JP2973767B2 - ストリップ形状の良好な超高強度冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
ストリップ形状の良好な超高強度冷延鋼板の製造方法Info
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Description
用いられるストリップ形状が優れた引張強度が100k
gf/mm2 以上の超高強度冷延鋼板の製造方法に関す
る。
全性の確保といった観点から、バンパーレインホースメ
ント(バンパー強化部材)、ドアガードバー(ドアの衝
突保護用部材)などの自動車の保安部品に、引張強度が
100kgf/mm2 以上の超高強度冷延鋼板が採用さ
れている。これに対し、従来より超高強度冷延鋼板に関
する発明は数多く開示されている。かかる発明の例とし
て例えば特開昭61−3843号公報、特開昭62−1
3533号公報等があるが、その多くは超高強度冷延鋼
板の加工性に主眼をおいたものである。
2 以上の超高強度冷延鋼板は、引張強度が100kgf
/mm2 未満であるような鋼板に比べ、低温変態相の体
積率を高めるため、高温からの急冷が必要不可欠であ
り、このため、変態歪や熱歪が大きく、ストリップ形状
が著しく悪くなっている。実際にユーザーで使用する場
合は、このストリップ形状の悪さは、しばしばプレスラ
イン等の通板性を悪化させ、時にはライン停止という事
態を招き、大きな問題となっている。
強度冷延鋼板で問題となっているストリップ形状の悪化
を解消し、形状の良好な超高強度冷延鋼板の製造方法を
提供するものである。
が100kgf/mm2 以上の超高強度冷延鋼板に関
し、優れたストリップ形状を得るために、鋼の成分組成
と連続焼鈍での熱サイクルをいかに最適化していくかに
ついて鋭意検討した結果、以下の諸点が明らかとなっ
た。
なるにともないストリップ形状は良好となり、とくに6
50℃以下とすることにより著しく改善される。
始温度を650℃以下まで下げると、C、Si、Mnを
主体とした通常の成分系では、フェライトの析出が著し
くなり、100kgf/mm2 以上の引張強度が得られ
ない。
b、Ti、Vから選ばれる1種または2種以上と複合添
加することにより、前述の急冷開始温度を650℃以下
としてもフェライトの析出を著しく抑制されることが明
らかとなった。以上のような知見をベースとして本発明
をするに至ったものである。
の良好な引張強度が100kgf/mm2 以上の超高強
度冷延鋼板の製造方法(成分組成はwt%である)であ
る。 (a)C:0.1 〜0.3 % 、 Si:1% 以下、 Mn:
1〜3 % 、P:0.02% 以下、 S:0.01 %以下、 s
ol.Al:0.01〜0.05 %、B:0.0003〜0.003%、 N:0.005
% 以下、更に、Nb:0.005〜0.05% 、Ti:0.005〜0.05% 、
V:0.01 〜0.1% のうち1種又は2種以上を含有し、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる冷間圧延鋼板を用
意する工程と、(b)続いて、前記冷間圧延鋼板を連続
焼鈍において、Ac1 〜900℃の範囲において30秒〜
15分間均熱後、10〜40℃/秒で450〜650℃
の温度範囲に徐冷却し、続いて100℃/秒以上の冷却
速度で350℃以下に急冷する工程。
%である)にさらに、Cr:0.1〜1%、 Ni:0.1
〜1%、 Mo:0.1 〜1%、Cu:0.1〜1%、のうち1種ま
たは2種以上を含有する請求項1記載のストリップ形状
の良好な引張強度が100kgf/mm2 以上の超高強
度冷延鋼板の製造方法である。
る。 C:0.1〜0.3%とする。Cは、所望の高強度を得
るため、0.1%以上添加するが、0.3%を超えて添
加すると加工性が劣化するため、これを上限とする。
安定化元素であって、1%を超えて添加すると連続焼鈍
での均熱後の徐冷段階でのフェライトの析出が促進さ
れ、強度が低下しやすくなる。そこで、Siの含有量は
上記範囲とする。
き入れ性を向上させる元素であって、マルテンサイト、
ベイナイトといった低温変態組織を生成させ、高強度化
するために必須かつ安価な元素であるため、1%以上添
加する。しかし、3%以上を超えて添化すると、偏析が
著しくなり、加工性が劣化するため、上記範囲とする。
加工性に悪影響を及ぼすため0.02%以下に規定す
る。
に、鋼板の加工性に悪影響を及ぼすため0.01%以下
とする。sol.Al:0.01〜0.05%とする。
sol.Alで0.01%未満ではシリケート介在物が
残り、加工性に悪影響を及ぼすため、sol.Alで
0.01%以上添加する必要がある。一方、0.05%
を超えると鋼板の表面疵の増加を招き好ましくないの
で、上限を0.05%とする。
に添加されるとBが窒化物として析出しやすくなり、十
分なフェライト析出抑制効果が得られなくなるため、上
限を0.005%とする。
Bは、上述したように、Nb、Ti、Vから選ばれる1
種または2種以上と複合添加すると連続焼鈍での均熱後
の徐冷段階でのフェライトを著しく抑制するため、本発
明の目的を達成するために必要不可欠な元素である。下
限はこれ未満では所望の効果が得られないため、また、
上限はこれを超えて添加しても効果が飽和するため上記
範囲とする。
0.005〜0.05%、V:0.01〜0.1%のう
ち1種または2種以上を含有させるものとする。
を有効に作用させるためにBと複合添加する。下限はこ
の量未満では所望の効果が得られないため、また、上限
は、これを超えて添加しても効果が飽和するため上記範
囲とする(以上請求項1記載の発明の成分組成)。
1〜1%、Ni:0.1〜1%、Mo:0.1〜1%、
Cu:0.1〜1%のうち1種または2種以上を含有さ
せることもできる(請求項2記載の発明の成分組成)。
素であり、Mnと複合添加することにより、焼き入れ性
をさらに向上させ、急冷開始温度の低下あるいは急冷速
度の低下にともなう強度低下を抑制する。そこでそれぞ
れの下限0.1%は、所望の効果を得るための最低含有
量で、上限1%は、これ以上添加しても効果が飽和する
ため上記範囲とする。
上記のように限定された成分組成を有する鋼に対し、通
常の熱間圧延、酸洗、冷間圧延を行ない、冷間圧延鋼板
を用意し、続く連続焼鈍において、オーステナイト相を
得るためにAc1 〜900℃に30秒〜15分間均熱す
る。均熱温度の下限は、所望の効果を得るための最低温
度で、上限は操業上問題となるので上記範囲とする。ま
た、均熱時間の下限は、これ以下では安定してオーステ
ナイト相を得られないため、また、上限は製造コスト上
問題となるので上記範囲とする。
℃の温度範囲に徐冷し、続いて100℃/秒以上の冷却
速度で350℃以下に急冷する。10〜40℃/秒の徐
冷は、フェライトの析出を抑制しつつ、急冷後もストリ
ップ形状が良好となる650℃以下まで冷却するためで
ある。徐冷速度の下限10℃/秒は、これ以下ではフェ
ライトが析出しやすくなるためで、上限の40℃/秒は
これを超えて冷却することにより生ずる熱歪が大きくな
り、ストリップ形状が悪化するためである。
これ以下では強度が著しく低下するために、所望の強度
を安定して得ることは困難となるためである。また、1
00℃/秒以上の冷却速度で350℃以下に急冷するの
はベイナイト、マルテンサイトといった低温変態相を安
定して得るためである。
ついて述べる。ストリップ形状の評価は、板の山高さを
もって評価する。この評価方法を図3に示す。定盤の上
にストリップ形状をおいて板幅方向について定盤から最
も高い場所の高さを計りこれを山高さとした。すなわ
ち、この山高さが高い場合はストリップ形状が悪く、山
高さが低い場合はストリップの形状は良好であるとし
た。
とおりである。後述する表1に示す発明鋼A、K、L及
び比較鋼a、c、fに関して急冷開始温度と引張強度
(TS)と山高さとの関係を調査しその結果を図1およ
び図2に示した。図1は水焼き入れを適用した場合にお
けるストリップ形状と強度に及ぼす鋼成分と急冷開始温
度との影響を示す。図1において、Nb、Ti、V、B
が適切に添加されていない比較鋼a、c、fではストリ
ップ形状が良好になる急冷開始温度650℃以下では、
所望の強度が得られていない。
適切に制御することにより、100kgf/mm2 を超
える鋼の強度と共に、高さ10mm以下という良好なス
トリップ形状が得られている。
場合のストリップ形状と強度に及ぼす鋼成分組成と急冷
開始温度の影響を示す。急冷速度は、水焼き入れによる
場合よりも小さいが、この場合もNb、Ti、V、Bが
適切に添加されていない比較鋼a、c、fではストリッ
プ形状が良好になる急冷開始温度が650℃以下になる
と所望の強度が得られていない。これに対し、本発明鋼
では、急冷開始温度を適切に制御することにより、鋼の
強度と共に、良好なストリップ形状が得られている。ま
た、図1及び図2は、ストリップ形状に対しては、急冷
速度よりも急冷開始温度が著しく影響していることがわ
かる。
イクルは特に規定しないが、例えば水焼き入れのように
100℃以下まで1000℃/秒に近い冷却速度で急冷
する場合に、急冷後100℃以上の温度域で焼き戻しを
行なうこと、また、ガスジェット冷却、気水冷却、ロー
ル冷却、温水冷却のような冷却方式の場合に、350℃
以下の温度で30〜600秒の保持を行うことは、本発
明の効果を損なうものではない。さらにストリップの平
坦度をさらに要求する場合には、連続焼鈍後にスキンパ
ス等を行ってもよい。
較鋼種を溶製し、スラブとした後、加熱温度1200
℃、仕上げ温度820℃、巻取温度600℃で熱間圧延
し、板厚3mm、板幅1200mmの熱延鋼板とした。
この熱延鋼板を酸洗し、板厚1.4mmに冷間圧延し、
続いて水焼き入れ又はロール冷却兼用タイプの連続焼鈍
ラインにおいて、焼鈍を行った。表2およびそれに続く
表3は水焼き入れを行った場合、表4はロール冷却を行
った場合における鋼板の強度と山高さを示した。なお、
水焼き入れによる冷却速度は約1000℃/秒、ロール
冷却においては急冷開始温度から低温保持温度までの冷
却速度は約200℃/秒で低温保持時間は300秒であ
る。表2及び表3から本発明の成分組成及び製造条件に
おいては、良好なストリップ形状を有する100kgf
/mm2 を超える超高強度鋼板が安定して製造できるこ
とが明らかである。
ことにより良好なストリップ形状を有する100kgf
/mm2 を超える超高強度鋼板が安定して製造できる。
に及ぼす鋼の成分組成と急冷開始温度の影響を示す図で
ある。
に及ぼす鋼の成分組成と急冷開始温度の影響を示す図で
ある。
山高さの測定方法を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記の工程を備えたストリップ形状の良
好な引張強度が100kgf/mm2 以上の超高強度冷
延鋼板の製造方法(成分組成はwt%である)。 (a)C:0.1 〜0.3 % 、 Si:1% 以下、 Mn:
1〜3 % 、 P:0.02% 以下、 S:0.01 %以下、 sol.Al:0.01
〜0.05 %、 B:0.0003〜0.003%、 N:0.005 % 以下、 更に、Nb:0.005〜0.05% 、Ti:0.005〜0.05% 、 V:0.01
〜0.1% のうち1種又は2種以上を含有し、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる冷間圧延鋼板を
用意する工程と、(b)続いて, 前記冷間圧延鋼板を連
続焼鈍において、Ac1 〜900℃の範囲において30秒
〜15分間均熱後、10〜40℃/秒で450〜650
℃の温度範囲に徐冷却し、続いて100℃/秒以上の冷
却速度で350℃以下に急冷する工程。 - 【請求項2】 前記鋼の成分組成( 成分組成はwt%で
ある)にさらに、 Cr:0.1〜1%、 Ni:0.1〜1%、 Mo:0.1
〜1%、 Cu:0.1〜1%、のうち1種または2種以上を含有する請求
項1記載のストリップ形状の良好な引張強度が100k
gf/mm2 以上の超高強度冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP5056738A JP2973767B2 (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | ストリップ形状の良好な超高強度冷延鋼板の製造方法 |
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JPH06271942A JPH06271942A (ja) | 1994-09-27 |
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US20130087257A1 (en) * | 2010-06-30 | 2013-04-11 | Jfe Steel Corporation | Ultra high strength cold rolled steel sheet having excellent ductility and delayed fracture resistance and method for manufacturing the same |
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JP4530606B2 (ja) * | 2002-06-10 | 2010-08-25 | Jfeスチール株式会社 | スポット溶接性に優れた超高強度冷延鋼板の製造方法 |
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KR101245702B1 (ko) * | 2010-11-15 | 2013-03-25 | 주식회사 포스코 | 인장강도 590MPa급의 가공성 및 재질편차가 우수한 고강도 냉연 DP강의 제조방법 |
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- 1993-03-17 JP JP5056738A patent/JP2973767B2/ja not_active Expired - Fee Related
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