JP2010111891A - 冷間圧延鋼板および表面処理鋼板ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スケール疵が抑制された高延性高張力鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、Al:1.5%以下、P:0.1%以下、S:0.1%以下、N:0.020%以下およびNi:0.01%以上1.0%以下を含有し、さらにSi,Al及びNiの含有量の和が1.3〜2.5を満足し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼板に、Si、Al及びNiにより決まる表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、更に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で350〜600℃の温度域まで冷却し、前記温度域に5秒以上保持する、連続焼鈍処理を施す。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、建築、電気機器等用の部材として主に使用される高張力鋼板の中で、表面性状に優れた、具体的にはスケール疵の抑制された、冷間圧延鋼板および表面処理鋼板ならびにこれらの製造方法に関する。
近年、自動車の技術分野においては、車体を軽量化させつつ衝突安全性を確保するための開発が盛んに行われている。車体を軽量化すべく鋼板厚を薄くすると、成形性のよい軟質な鋼板では安全性を維持できなくなってしまう。このため、強度を高めた高張力鋼板の需要が高まっている。
しかしながら、強度が高くなると、一般的には、延性の低下が発生しやすくなってしまう。このため、高強度でありながら、延性に優れた鋼板が必要とされている。
そこで、フェライト生成元素であるSiやAlとオーステナイト生成元素であるMnとを多量に含有させることにより鋼中にオーステナイトを残留させ、この残留オーステナイトによるTRIP効果を利用した高延性高張力鋼板の開発が行われている。
一方、耐食性の向上という市場の要求に応えるために、部材の表面処理鋼板化が進んでおり、現在では、溶融めっき法などによって形成されためっき被膜を備えためっき鋼板が多くの部材に用いられている。
しかしながら、上記高延性高張力鋼板のようにSi含有量が多い鋼板を基材として用いた場合には、通常の溶融亜鉛めっき工程で採用されている還元性の雰囲気下でもSiの酸化物が鋼板表面に濃化してしまい、めっき濡れ性の低下、およびその結果としてめっき密着性の低下を招いてしまう。そこで、残留オーステナイトの安定化に有効であるとともに亜鉛等と親和性の高いNiを含有させることにより、めっき密着性を改善することが検討されている。
ところで、熱間圧延工程に起因するスケール疵の発生を防止する方法として、仕上熱間圧延前の高圧水デスケーリングを強化する方法が特許文献1〜3に提案されている。しかし、これらの方法は、設備能力の増強を伴うものであり、設備コストが増大するため実用的でなく、また、スケール疵対策としても十分とはいえない。
また、Si含有鋼特有のスケール対策として、ファイアライト(FeSiO)の生成を抑制する試みも検討されている。例えば、ファイアライトの生成が共晶点以上で増加することから、熱間圧延に供するスラブの加熱温度や、粗熱間圧延により得られる粗バーの表面温度を共晶点以下に抑制する方法が提案されている。しかし、この方法では、低温で圧延するため圧延荷重が過大となり製造可能範囲が狭まる他、高い板厚精度が得られないという問題が発生するため実用的ではなく、また、スケール疵対策としても十分とはいえない。
特開平6−190433号公報 特開平7−144213号公報 特開平9−249914号公報
本発明者らは、SiやAlを多量に含有し、さらにオーステナイトの安定化やめっき密着性の改善のためにNiを含有させることが検討されている高延性高張力鋼板について、熱間圧延工程で形成されるスケールおよびその影響について検討を行った。
その結果、SiやAlのみならずNiを含有し、これらの合計含有量の高い高延性高張力鋼板は、熱間圧延工程において密着性の高いスケールが生成しやすく、このために冷間圧延後に焼鈍、さらには表面処理を施した場合に、このスケールに起因する表面欠陥であるスケール疵やスケール模様(以下、便宜上これらを併せて「スケール疵」という。)が生じやすいことを知見した。
したがって、残留オーステナイトの安定化やめっき密着性の観点からは亜鉛等との親和性の高いNi含有量を高めることが有効であるが、熱間圧延工程に起因するスケール疵の観点からはNi含有量を高めることは好ましくない。このために、高延性高張力鋼板についてNi含有量を高めることが実際には困難であることが判明した。
そこで、本発明は、Si、AlおよびNiの合計含有量の高い高延性高張力鋼板について、熱間圧延工程に起因するスケール疵が効果的に抑制された、高延性高張力鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、Si、AlおよびNiの合計含有量の高い高延性高張力鋼板について、熱間圧延工程に起因するスケール疵を抑制するために、化学組成および製造条件が鋼板の表面性状に及ぼす影響を詳細に調査した。その結果、以下の新たな知見を得た。
(a)TRIP効果による高延性を実現するには、鋼板中の残留オーステナイトの割合を8体積%以上とすることが必要である。
(b)8体積%以上の残留オーステナイトを確保するには、鋼板の化学組成において、Si、AlおよびNiの合計含有量を所定の範囲以上にする必要がある。
(c)一方、このようにSi、AlおよびNiの合計含有量が高い鋼は、熱間圧延工程において密着性の高いスケールが生成しやすく、このために冷間圧延後に焼鈍、さらには表面処理を施した場合に、スケール疵が生じやすい。
(d)しかしながら、所定の化学組成を有する鋼板に、Si、AlおよびNiの含有量に応じた所定の表面温度としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供するという熱間圧延方法を施すことにより、スケール疵は著しく抑制される。
上記の知見に基づき次の発明を完成するに至った。
(1)質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、Al:1.5%以下、P:0.1%以下、S:0.1%以下、N:0.02%以下およびNi:0.01%以上1.0%以下を含有し、さらにSi、AlおよびNiの含有量が下記式(1)を満足し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する鋼板に、下記式(2)を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、前記熱間圧延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒間以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で350〜600℃の温度域まで冷却し、前記温度域に5秒間以上保持する、連続焼鈍処理を施すことにより得られる冷間圧延鋼板。
1.3≦Si+Al+Ni≦2.5 (1)
150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
ここで、上記式(1)および(2)におけるSi、Al、Niは各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(2)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.5%以下を含有する、上記(1)に記載の冷間圧延鋼板。
(3)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下およびV:0.2%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する、上記(1)または(2)に記載の冷間圧延鋼板。
(4)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Co:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する、上記(1)から(3)のいずれかに記載の冷間圧延鋼板。
(5)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下を含有する、上記(1)から(4)のいずれかに記載の冷間圧延鋼板。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載の冷間圧延鋼板の表面にめっき層を備える表面処理鋼板。
(7)前記めっき層が、溶融めっき層である上記(6)に記載の表面処理鋼板。
(8)前記溶融めっき層が、溶融亜鉛めっき層である上記(7)に記載の表面処理鋼板。
(9)前記溶融亜鉛めっき層が、合金化溶融亜鉛めっき層である上記(8)に記載の表面処理鋼板。
(10)上記(1)から(5)のいずれかに記載の化学組成を有する鋼板に、下記式(2)を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、前記熱間圧延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒間以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で350〜600℃の温度域まで冷却し、前記温度域に5秒間以上保持する、連続焼鈍処理を施すことを特徴とする冷間圧延鋼板の製造方法。
150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
ここで、上記式(2)におけるSi、Al、Niは各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(11)上記(10)に記載の製造方法により得られた冷間圧延鋼板の表面に電気めっき層を形成する電気めっき処理を施すことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
(12)上記(1)から(5)のいずれかに記載の化学組成を有する鋼板に、下記式(2)に示す条件を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、前記熱間圧延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒間以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で450〜600℃の温度域まで冷却し、該温度域に5秒間以上保持し、さらに溶融めっき層を形成する、連続溶融めっき処理を施すことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
ここで、式(2)におけるSi、Al、Niは各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(13)前記溶融めっき層が溶融亜鉛めっき層であることを特徴とする上記(12)に記載の表面処理鋼板の製造方法。
(14)前記連続溶融めっき処理で得られた鋼板に対して、470℃以上600℃以下温度域に5秒間以上180秒間以下保持する合金化処理を行うことを特徴とする上記(13)に記載の表面処理鋼板の製造方法。
ここで、「仕上熱間圧延」とは、複数の圧延スタンドが連続したタンデム式熱間圧延設備を用いて連続的に圧延を施すことにより熱間圧延鋼板とする一連の工程のことである。
また、「仕上熱間圧延に供する鋼板」とは、熱間圧延工程が粗熱間圧延工程と仕上熱間圧延工程とからなる場合においては粗熱間圧延により得られる粗バーであり、熱間圧延工程が仕上熱間圧延工程のみからなる場合、例えば、薄スラブCCにより得られた薄スラブを用いる場合のように、粗熱間圧延工程を省略して薄スラブを直接仕上熱間圧延に供する場合においては薄スラブである。
「めっき層」は電気めっき層であってもよく溶融めっき層であってもよい。電気めっき層としては、電気亜鉛めっき、電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。溶融めっき層としては、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。
本発明によれば、スケール疵が抑制された高延性高張力鋼板が提供され、特に冷間圧延鋼板の表面に溶融めっきが施された表面処理鋼板はめっき密着性に優れる。この鋼板は、自動車、建築、電気機器等用の部材、特に自動車の足回り周辺の構造部材や補強備品用の部材の素材に好適であり、各技術分野において極めて有益である。
以下に、本発明の最良の形態や製造条件の範囲およびこれらの設定理由について説明する。なお、本明細書において、化学組成を示す「%」は、特にことわりが無い限り「質量%」である。
まず、本実施形態に係る鋼の化学組成について説明する。
1.鋼の化学組成
C:本実施形態に係る鋼は、Cを含有させて残留オーステナイトを生成させることにより強度−延性バランスを向上させる。Cの含有量は狙いとする強度に応じて調整すればよいが、本実施形態に係る鋼が狙いとする590MPa以上の引張強度を達成し、さらにTRIP効果により延性を向上させるには、C含有量を少なくとも0.1%以上とする必要がある。一方、上限は、自動車の足回り部品や補強備品を本実施形態に係る鋼の典型的な用途として想定しているため、スポット溶接性の観点からC含有量を0.3%以下とする。
Si:Siは、フェライト形成元素であり、オーステナイト中にCを濃縮させ、オーステナイトの安定度を調整して、TRIP効果による高延性を実現するために有効な元素である。しかしながら、鋼板表層に偏析しやすい易酸化元素でもあるため、含有量が多い場合にはめっき密着性の劣化が著しくなる。したがって、Si含有量の上限を1.5%とする。
なお、SiとAlとは同様の働きを有し、SiをAlに置換させることも可能であるので、Si含有量の下限は規定されない。
Al:Alは、Siと同様にフェライト形成元素であり、オーステナイト中にCを濃縮させ、オーステナイトの安定度を調整して、TRIP効果による高延性を実現するために重要な元素である。しかしながら、過剰に含有させてもその効果は飽和して経済的に不利になる。したがって、Al含有量の上限を1.5%とする。
なお、AlとSiとは同様の働きを有し、AlをSiに置換させることも可能であるので、Al含有量の下限は規定されない。
Mn:Mnは、鋼板の強度を高めるだけでなく、オーステナイトの安定化に作用する元素である。また、高温からの冷却中にパーライトの生成を抑制し、成形性を向上させる効果がある。これらの効果を発揮させるためには少なくとも1.0%以上のMnの含有が必要であり、狙いとする強度に応じてこの下限値以上でMnの含有量を調整すればよい。一方、上限は、加工性に悪影響を及ぼすバンド状組織の形成を抑制する観点や、さらには経済性の観点からMn含有量を3.0%以下とする。
P:P含有量は極力低い方が好ましい。特にその含有量が0.1%を超えると鋼板の溶接性が著しく劣化し、かつ延性が劣化する。したがって、P含有量を0.1%以下とする。
S:S含有量も極力低い方が好ましい。特にその含有量が0.1%を超えると、MnSの析出物が多量に生成してしまい、鋼板の延性を低下させる。したがって、S含有量を0.1%以下とする。
N:Nは0.02%を超えるとAlNとして消費されるAlの量が多くなり、上述したAlの効果が小さくなって鋼板の特性が低下してしまう。さらに、生成したAlNに起因する延性の劣化が顕在化しやすくなる。したがって、N含有量を0.02%以下とする。
Ni:NiはMnと同じように、オーステナイト生成元素であり、オーステナイトの安定化に作用すると同時に、強度を向上させる作用も有する。また、溶融めっき時のめっきのぬれ性およびめっき密着性を向上させる元素である。しかも、Feよりも酸化しにくい元素であるので、鋼板表層に濃化し、Siの酸化によるめっき密着性およびぬれ性の低下を抑制する。したがって、Ni含有量を0.01%以上とする。一方、Ni含有量が過剰であると上記作用効果が飽和してしまい経済的に不利となる。このため、Ni含有量を1.5%以下とする。
Si、Al、Ni:Si、AlおよびNiは、いずれもオーストナイト安定化元素である。残留オーステナイトを8体積%以上とするためにはSi、AlおよびNiの合計含有量を1.3%以上とする必要がある。一方、Si、AlおよびNiの合計含有量を2.5%超とすると、オーステナイト安定化効果が飽和してしまい経済的に不利である。したがって、Si、AlおよびNiの合計含有量を2.5%以下とする。
Cu:Cuは、Niと同じように、オーステナイト生成元素であり、オーステナイトの安定化に作用すると同時に、強度を向上させる作用も有する。また、溶融めっき時のめっきのぬれ性およびめっき密着性を向上させる元素である。しかも、Feよりも酸化しにくい元素であるので、鋼板表層に濃化し、Siの酸化によるめっき密着性およびぬれ性の低下を抑制する。したがって、Cuを含有させることができる。ただし、Cu含有量が過度に多い場合には熱間圧延時に割れを生じるおそれがある。したがって、Cu含有量を1.0%以下とする。上記作用による効果をより確実に得るには、Cu含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
Ti、Nb、V:これらの元素は強度を向上させるだけでなく、亜鉛を含む溶融めっきを施して合金化処理を行う場合には合金化速度を向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させることができる。しかしながら、過剰の添加はTiCなどの析出物を大量に析出させ、こうした析出物は延性の劣化をもたらす。また、これらの元素はめっき層中のFe%を増加させる作用も有するため、過剰の添加は合金化溶融亜鉛めっきを施した場合においてパウダリング性を劣化させる。したがって、TiおよびNbを含有させる場合にはそれぞれ0.1%以下とする。Vについては、TiやNbと比較すると同一量含有させた場合の効果が小さいため、その含有量を0.2%以下とする。
Co、Cr、Mo、B:高温からの冷却過程でパーライトの生成を抑制するのに有効な元素である。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、Co、CrおよびMoの含有量についてはそれぞれ1.0%超、B含有量については0.01%超含有させても効果は飽和するだけであるから、経済的観点から好ましくない。よって、これらの元素の含有量の上限は、Co、CrおよびMoの含有量については1.0%以下、B含有量については0.01%以下とする。
Ca:Caは、介在物の形態を制御して加工性を向上させる作用を有する。しかしながら、0.01%超含有させてもその効果は飽和して経済的に不利となる。このため、Caを含有させる場合には、その含有量を0.01%以下とする。
上記以外の成分はFeおよび不純物である。
2.製造方法
以下に本発明に係る鋼板の好適な製造方法を説明するが、本発明は、焼鈍以降の工程において目的とする鋼組織を造り込むため、冷間圧延以前の工程における、仕上熱間圧延に供する鋼板のデスケーリング前の表面温度以外の諸条件については特に規定されない。
(1)熱間圧延
ア)粗熱間圧延まで
上記の化学組成を有する鋼を常法により鋳造し、あるいはさらに分塊圧延し、得られたスラブを粗熱間圧延する。スラブは常法により加熱して粗熱間圧延されたのち、仕上熱間圧延に供されるが、連続鋳造により得られたスラブを直送する場合や分塊圧延後のスラブを速やかに粗熱間圧延に供する場合のように、鋳造または分塊圧延後のスラブ温度が高く、仕上熱間圧延における仕上温度が確保される場合には、スラブ加熱を省略して粗熱間圧延しても構わない。また、薄スラブCCなど公知の方法により薄い鋳片が得られる場合には、粗熱間圧延を省略しても構わない。
イ)デスケーリング処理、仕上熱間圧延
上記のようにして得られた仕上熱間圧延に供する鋼板について、下記式(2)を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施し、その後仕上熱間圧延を施して熱間圧延鋼板とする。
150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
仕上熱間圧延に供される鋼板の表面温度Tsを[150×(Si+0.5Al+Ni)+900](℃)以上にすることによって、通常の水スプレーによるデスケーリング装置によってもスケールが効果的に除去されるようになる。このため、得られた熱間圧延鋼板に対して酸洗、冷間圧延および焼鈍、さらにはめっきを施したのちにおいて、スケール疵が抑制された良好な表面性状を有する鋼板が安定的に得られる。なお、「通常の水スプレー」とは、衝突圧がおおむね5kPa程度のスプレーであって、前掲の特許文献に示される水スプレーような衝突圧が高い(300kPa程度以上)ものではないことを意味する。
スケールが効果的に除去される理由は明らかではないが、以下のような各元素の作用が複雑に関与することによって、上記条件を満たす場合にスケールが効果的に除去されるようになると考えられる。
すなわち、Siはファイアライトを形成する作用を有する。一方で、Alは鋼板の表層部へ濃化し、Siの鋼板表層への拡散移動を抑制しファイアライトの生成や生成した場合にはその厚さに影響を与える。また、NiもAlと同様に鋼板の表層部に濃化してファイアライトの生成やその厚さに影響を与えるが、Niはさらにスケールの密着性を向上させる作用を有する。また、これらの元素の含有量によりファイアライトの共晶点も変化する。また、Fe、Si、Al、Ni等の多元系の酸化物が形成され、これらがスケールの剥離挙動に影響を及ぼす可能性もある。
一方、仕上熱間圧延に供する鋼板のデスケーリング前の表面温度が1300℃超では、デスケーリング前に著しい加熱を施す必要が生じて生産性を低下させたり、デスケーリング前の工程における温度が高すぎるためにスケールロスが顕著になったりする場合がある。
上記表面温度の確保は、粗熱間圧延に供する鋼材の温度を制御することによって行ってもよく、また仕上熱間圧延の入側で誘導加熱装置等によって補助的に再加熱を施してもよい。
本実施形態に係る鋼板を製造する際の熱間圧延鋼板は、極力均一な鋼組織を備えたものとすることが好ましく、この観点から仕上熱間圧延における仕上温度はAr点以上とすることが好ましい。仕上温度をAr点以上として仕上熱間圧延を行うことで、圧延中にバンド状の組織が形成されてしまうことを安定的に回避することが可能となる。このバンド状の組織は冷間圧延後の鋼板の組織のみならず連続焼鈍処理または連続溶融めっき処理を施した後の鋼板の組織にも影響を及ぼす。このため、最終製品としての鋼板内に不均一な組織が形成されてしまい、プレス成形性などの二次加工性が劣化してしまう。一方、仕上熱間圧延後のフェライト変態を促進して鋼組織の均一化を図る観点からは、仕上熱間圧延においてオーステナイトに導入する圧延歪み量が多い程好ましいので、仕上温度はより低温とすることが好ましい。したがって、仕上熱間圧延における仕上温度は(Ar点+80℃)以下とすることが好ましい。
なお、仕上熱間圧延において、前述の仕上温度を鋼材の全長にわたって確保するように、必要に応じて補助加熱手段を用いることが望ましい。鋼材が長い場合には、熱間圧延途中で鋼材温度が低下し、熱間圧延の後期などにおいて上記の仕上温度の下限(Ar点)が確保されないおそれがある。そこで、仕上熱間圧延の入側で補助的に再加熱を施すのがよい。この補助再加熱方法は限定されないが、仕上熱間圧延の入側における鋼材の温度分布に応じた加熱量の制御が容易である電磁誘導加熱方式が好ましい。
ウ)巻取温度
巻取温度で決定される鋼組織は、その後の冷間圧延および連続焼鈍処理を施して得られる冷間圧延鋼板、ならびに冷間圧延および連続溶融めっき処理を施して得られる表面処理鋼板である溶融めっき鋼板の特性に影響する。
巻取温度が高い場合には、粗大な炭化物が疎らに形成されるため、鋼板内の微視的な炭素濃度分布にばらつきが発生しやすくなる。この微視的に炭素濃度が高い領域は、冷間圧延後の連続焼鈍処理や連続溶融めっき処理において、二相共存温度域で保持する際に速やかにオーステナイト変態し、フェライト相からのCの排出とオーステナイト相へのCの濃縮が促進される。さらに、冷却後に所定の温度域で保持する際のベイナイト変態も促進され、ベイナイト組織からのCの排出とオーステナイト相へのCの濃縮が促進される。その結果、安定な残留γ相が形成される。この安定な残留γ相を形成する観点から、巻取温度は450℃以上とすることが好ましい。
一方、巻取温度を過度に高くすると、鋼板の表面が脱炭し表面品質が劣化してしまう。これを防止するために巻取温度は680℃以下とするのが好ましい。
(2)酸洗・冷間圧延
上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板は、酸洗により脱スケール処理されたのちに冷間圧延が施されて冷間圧延鋼板(焼鈍後の最終製品としての冷間圧延鋼板と区別するために「未焼鈍冷間圧延鋼板」ともいう。)とされる。酸洗および冷間圧延は常法でかまわない。しかしながら、冷間圧延における圧下率を過度に大きくすると、加工硬化により板破断が生じ、生産能率が低下する。したがって、冷間圧延における圧下率は45%以上85%以下が好ましい。
なお、材料特性を向上させるために、冷間圧延後に連続焼鈍ラインまたは箱焼鈍により予備焼鈍を施してもかまわない。
(3)連続焼鈍処理
本実施形態に係る鋼板を実現するためには、未焼鈍冷間圧延鋼板を加熱してフェライト(α)/オーステナイト(γ)の二相共存温度域で30秒間以上保持することが好ましく、具体的には700℃以上900℃以下の温度域に保持することが好ましい。この工程により、フェライトからのCの排出とオーステナイトへのCの濃縮が促進される。具体的には、還元性雰囲気中でAc点〜Ac点の二相共存温度域に加熱して、30秒間以上保持する(第一の保持工程)。特に好ましい保持時間は60秒以上である。このときの還元性雰囲気としては、水素が1〜30体積%、残部が窒素および不可避的な微量の水分からなることが好ましく、その水分量は、露点として−60〜0℃の範囲であればよい。特に好ましいのは、水素が2〜15体積%、残部が窒素および不可避的な微量の水分であって、その水分量が、露点として−50〜−0℃の範囲である場合である。第一の保持工程における保持時間の上限は、特に規定する必要はないが、長時間の保持は生産性の低下や連続焼鈍設備の長大化を招くので、600秒間以下とすることが好ましく、300秒間以下とすることがさらに好ましい。また、上述したように二相共存温度域で保持すればよいのであり、二相共存温度域内で昇温や降温などの温度変化があっても構わない。さらにまた、二相共存温度域で保持する前に、一旦Ac点超の温度域まで加熱しても構わない。
上記二相共存温度域での保持、すなわち第一の保持工程に続く冷却工程(第一の冷却工程)は次のように行うことが好ましい。本実施形態に係る鋼板は最終製品において所定量の残留γ相を含有させるため、二相共存温度域からの冷却途中でのパーライトの生成を避ける必要がある。そこで、350〜600℃の温度域まで、3℃/秒以上で冷却することが好ましく、特に好ましい冷却速度は5℃/秒以上である。冷却速度の上限は特に規定する必要はないが、実用的には100℃/秒以下である。
このようにして、パーライト生成を回避しつつ冷却したら、350〜600℃の温度域で保持してベイナイトを生成させる(第二の保持工程)。こうしてγ相中のC濃度を高め、常温までの冷却過程においてα相と炭化物とに分解しないようにγ相を安定化させる。したがって、この第二の保持工程における保持時間が短すぎるとベイナイトの生成が不十分となるので5秒間以上とする。過時効帯を備える連続焼鈍設備を用いる場合には通常60秒間以上である。第二の保持工程における保持時間の上限は特に規定する必要はないが、過度に長いと生産性が著しく低下したり、連続焼鈍設備の長大化を招いたりするので300秒間以下とすることが好ましく、180秒間以下とすることがさらに好ましい。また、この保持温度が350℃未満では冷却中にマルテンサイトが生成してしまい、保持温度が600℃超ではベイナイト変態が進行せずパーライト変態が生じるため、目的とする残留オーステナイトの体積率が得られない場合がある。
上記ベイナイト生成のための保持(第二の保持工程)に続く冷却工程(第二の冷却工程)は250℃以下の温度域まで、4℃/秒以上で冷却することが好ましい。このように冷却することで、ベイナイト生成温度域からの冷却途中でのオーステナイトの分解が抑制され、最終製品において所定量の残留γ相を含有させることが安定的に実現される。第二の冷却工程における冷却速度の上限は特に規定する必要はないが、実用的には100℃/秒以下である。なお、このときの冷却は、Nおよび工業用ガスを用い冷却を行ってもよいし、さらに通常のミスト冷却を行ってもよい。
(4)連続溶融めっき処理
本発明に係る溶融めっき層を備える表面処理鋼板を製造する場合には、上記の未焼鈍冷延鋼板に対して、溶融めっき処理および必要に応じてさらに合金化処理を施す。溶融めっき処理は、工業的には連続溶融めっき処理で行うことが好ましいので、連続溶融めっき処理を例として溶融めっき処理についての説明を行う。
連続溶融めっき処理においても、未焼鈍冷延鋼板に対して二相共存温度域での保持(第一の保持工程)およびそれに続く冷却(第一の冷却工程)を行う。これらの処理についての条件および理由は、上記の連続焼鈍処理の場合と同一である。二相共存温度域の保持に続く冷却(第一の冷却工程)における冷却速度の上限も連続焼鈍処理の場合と同様に特に規定する必要はないが、連続焼鈍の場合と異なり連続溶融めっきの場合には設備制約上30℃/s以下となる。
連続溶融めっき処理においても、上記の連続焼鈍処理の場合と同様に、第一の冷却工程後に所定の温度で保持する工程(第二の保持工程)を行う。この第二の保持工程の温度域の上限および保持する時間の下限およびその理由も上記の連続焼鈍処理の場合と同一である。ただし、連続溶融めっき処理における第二の保持工程の温度域の下限は、連続焼鈍処理の場合と異なり、後続する溶融めっき処理を施す際の熱効率の観点から450℃以上とすることが好ましい。なお、第二の保持工程の保持時間の上限も連続焼鈍処理の場合と同様に特に規定する必要はないが、連続溶融めっきの場合には90秒間以下とすることが実用的である。
こうして第二の保持工程を経た鋼板に対して溶融めっき処理を行う。この処理は常法にしたがって行えばよい。例えば、溶融めっきが溶融亜鉛めっきであるならば、めっき浴の温度は、めっき付着量の調整を容易にするために430℃以上とし、Zn の蒸発を避けてめっき浴の維持を容易にするために550℃以下とすればよい。また、めっき付着量の調整方法は、気体絞り法等、通常用いられている方法でよい。なお、溶融めっきの材質は亜鉛のみでもよいし、例えばアルミニウムを含有する合金であってもよい。
こうして溶融めっき処理が終了したら、合金化処理をさらに行わない場合には、得られた表面処理鋼板を室温まで冷却する。このとき、続焼鈍処理における第二の冷却工程と同様に4℃/秒以上で冷却してオーステナイトの分解を抑制することが好ましい。なお、冷却速度の上限は特に規定する必要はないが、実用的には100℃/秒以下である。
(5)合金化処理
溶融亜鉛めっき処理によって得られた表面処理鋼板に対してさらに合金化処理をする場合には、溶融亜鉛めっき処理後の表面処理鋼板を470℃以上600℃以下の温度域に5秒間以上180秒間以下保持することが好ましい。合金化溶融亜鉛めっき層におけるFeの質量濃度は7%以上15%以下とすることが好ましい。合金化処理を施す温度が470℃未満であったり、合金化処理を施す時間が5秒未満であったりすると、合金化が不十分となってめっき密着性が劣化することが懸念される。一方、上記温度が600℃を超えたり、上記時間が180秒超えたりすると、安定化したγ相がフェライトと炭化物に分解し、鋼板の特性として延性が低下する傾向を示すようになる。
上記の合金化処理に続く冷却工程は、連続焼鈍処理における第二の冷却工程と同様に、4℃/秒以上で冷却してオーステナイトの分解を抑制することが好ましい。冷却速度の上限は特に規定する必要はないが、実用的には100℃/秒以下である。
3.鋼組織
上記化学組成を有する鋼板に上記製造方法を適用することにより得られる鋼板は、残留オーステナイトを8体積%以上含有するので、優れた強度−延性バランスを有する。
本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
表1に示す化学組成を有するスラブ(厚さ:250mm)を加熱炉に装入して加熱し、加熱炉から抽出して粗熱間圧延を施して粗バーとなし、インダクションヒータを用いて上記粗バーの表面温度を種々の温度としたのちに水スプレー(衝突圧:5kPa)によるデスケーリングを施し、仕上温度:880℃で板厚:3.2mmまで圧下する仕上熱間圧延を施してコイル状に巻き取った。デスケーリング処理前の粗バーの表面温度を表1に併せて示す。
このようにして得られた熱間圧延鋼板に酸洗を施して、板厚1.0mmまで圧下する(圧下率:69%)冷間圧延を施して冷間圧延鋼板を得た。
次いで、得られた冷間圧延鋼板を、連続溶融亜鉛めっき設備を用いて、めっき付着量40g/mになるように溶融亜鉛めっきを施し、さらに合金化処理を施して室温まで冷却して、種々の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を作成した。この連続溶融亜鉛めっき処理および合金化処理の条件を以下に示す。
昇温速度:10℃/秒
均熱温度:830℃
均熱時間:120秒
均熱雰囲気:露点−30℃、7〜12%H、残部N
均熱後冷却速度:15℃/秒
低温保持温度:550℃
低温保持時間:30秒
低温保持雰囲気:露点−40℃、7〜12%H、残部N
亜鉛めっき浴温:460℃
合金化処理温度:540℃
合金化処理時間:Fe濃度が10%になるように種々時間を調整
合金化処理後冷却速度:5℃/秒
得られた種々の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を目視で観察し、スケール状の模様が有無を確認し、下記判定基準で評価した。
○:スケール模様が認められず、表面性状良好。
△:1mあたり100cmの面積にスケール模様がある
×:多量のスケール模様が認められる(不良)
また、機械試験値(TS:引張強度)についてはJIS Z2201 に規定される5号試験片を用い、JIS Z2241 に準拠して引張試験を実施して求めた。
試験結果を表1、図1に示す。
Figure 2010111891
本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、スケール模様が存在しない良好な表面性状を有する。また、590MPa以上の引張強さを有し、8体積%以上の残留オーステナイトを含有する鋼組織を有するので、高い強度と良好な延性を有する。
デスケーリング前温度TsとSi、AlおよびNi含有量との関係を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 質量%で、C:0.1〜0.3%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、Al:1.5%以下、P:0.1%以下、S:0.1%以下、N:0.02%以下およびNi:0.01%以上1.0%以下を含有し、さらにSi、AlおよびNiの含有量が下記式(1)を満足し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する鋼板に、下記式(2)を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、前記熱間圧延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒間以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で350〜600℃の温度域まで冷却し、前記温度域に5秒間以上保持する、連続焼鈍処理を施すことにより得られる冷間圧延鋼板。
    1.3≦Si+Al+Ni≦2.5 (1)
    150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
    ここで、上記式(1)および(2)におけるSi、Al、Niは各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu:0.5%以下を含有する、請求項1に記載の冷間圧延鋼板。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下およびV:0.2%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載の冷間圧延鋼板。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Co:1.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の冷間圧延鋼板。
  5. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の冷間圧延鋼板。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の冷間圧延鋼板の表面にめっき層を備える表面処理鋼板。
  7. 前記めっき層が、溶融めっき層である請求項6に記載の表面処理鋼板。
  8. 前記溶融めっき層が、溶融亜鉛めっき層である請求項7に記載の表面処理鋼板。
  9. 前記溶融亜鉛めっき層が、合金化溶融亜鉛めっき層である請求項8に記載の表面処理鋼板。
  10. 請求項1から5のいずれかに記載の化学組成を有する鋼板に、下記式(2)を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、前記熱間圧延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒間以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で350〜600℃の温度域まで冷却し、前記温度域に5秒間以上保持する、連続焼鈍処理を施すことを特徴とする冷間圧延鋼板の製造方法。
    150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
    ここで、上記式(2)におけるSi、Al、Niは各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  11. 請求項10に記載の製造方法により得られた冷間圧延鋼板の表面に電気めっき層を形成する電気めっき処理を施すことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  12. 請求項1から5のいずれかに記載の化学組成を有する鋼板に、下記式(2)に示す条件を満足する表面温度Ts(℃)としたのちに水スプレーによるデスケーリングを施して仕上熱間圧延に供する熱間圧延を施して熱間圧延鋼板となし、前記熱間圧延鋼板に酸洗および冷間圧延を施して冷間圧延鋼板となし、前記冷間圧延により得られた冷間圧延鋼板に、二相共存温度域で30秒間以上保持し、次いで3℃/秒以上の冷却速度で450〜600℃の温度域まで冷却し、該温度域に5秒間以上保持し、さらに溶融めっき層を形成する、連続溶融めっき処理を施すことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
    150×(Si+0.5Al+Ni)+900≦Ts≦1300 (2)
    ここで、式(2)におけるSi、Al、Niは各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  13. 前記溶融めっき層が溶融亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項12に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  14. 前記連続溶融めっき処理で得られた鋼板に対して、470℃以上600℃以下温度域に5秒間以上180秒間以下保持する合金化処理を行うことを特徴とする請求項13に記載の表面処理鋼板の製造方法。
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