JP2011145355A - 潤滑剤供給装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
感光体に塗布する固形潤滑剤に無機潤滑剤を配合していなくとも、無機潤滑剤が配合された固形潤滑剤を塗布する場合と同様に、感光体表面のクリーニング性、感光体及び帯電ローラの性能を長期間良好な状態に維持することができる安価で小型の潤滑剤供給装置、並びにこの潤滑剤供給装置を備えたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】
感光体10に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置20は、脂肪酸金属塩が配合された固形潤滑剤21と、潤滑供給ブラシローラ22と、潤滑剤塗布ブレード23と、固形潤滑剤21の付勢手段24とを具備している。また、中間転写ベルト122に潤滑剤を供給する潤滑剤塗布装置80は、無機潤滑剤が配合されている固形潤滑剤81と、潤滑剤供給ブラシローラ82と、潤滑剤塗布ブレード83と、固形潤滑剤81の付勢手段83とを具備している。
【選択図】図1

Description

本発明は、感光体表面及び中間転写体表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤の薄層を形成する潤滑剤供給装置、並びにこの潤滑剤供給装置を備えたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関するものである。
従来より、電子複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの複合機などの画像形成装置に、像担持体表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤の薄層を形成する潤滑剤供給装置、並びにこの潤滑剤供給装置を備えたプロセスカートリッジを用いる構成は知られている。
像担持体は、感光体より成るか、またはその感光体上のトナー像が転写される中間転写体より成る。かかる像担持体表面に潤滑剤を塗布することによって、その表面の摩擦係数を下げ、像担持体表面と、これに当接する部材との間に作用する摩擦力を軽減することができる。これによって像担持体表面の摩耗を抑え、像担持体の寿命を伸ばすことができる。
また、特許文献1に記載されているように、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩を用いる構成も従来より知られている。ところが、かかる潤滑剤は、像担持体近傍で行われる放電の影響を受けてその特性が変化し、比較的早期に潤滑性を失ってしまうことが明らかとなった。例えば、像担持体が感光体より成る場合、帯電装置と感光体との間に放電を生じさせて、その感光体を所定の極性に帯電させているが、この放電によって感光体表面に塗布された潤滑剤が劣化するのである。特にAC帯電を用いた場合の劣化による潤滑性の低下が著しく、AC帯電ローラを用いるシステムでは感光体摩擦抵抗の上昇によるクリーニング性低下が顕著である。このため、トナーや潤滑剤紛体のすり抜けの増大による早期の帯電ローラ汚れが問題となっている。
像担持体が中間転写体より成るときには、中間転写体と転写装置に設けられた転写ローラとの間に放電を生じさせて、中間転写体上のトナー像を転写材に転写している。そのため、かかる放電によって、中間転写体表面に塗布された潤滑剤の潤滑性が失われてしまうという問題が生じる。
一方、特許文献2には、脂肪酸金属塩に無機潤滑剤である窒化ホウ素を配合した潤滑剤の構成が開示されている。潤滑剤として窒化ホウ素を用いると、像担持体上に塗布されて皮膜化された潤滑剤が、帯電ローラや転写ローラの作動時に発生する放電によって早期に劣化することはない。この理由は、窒化ホウ素が放電により特性が変化し難く、放電を受けても他の潤滑剤に比べて潤滑性が失われることがないためである。しかも、像担持体の表面を構成する層が放電により酸化、蒸発してしまうことを防止することもできる。
ところが、窒化ホウ素だけから成る潤滑剤を用いると、その像担持体表面に塗布された潤滑剤が像担持体表面全体に行き渡らずに、像担持体表面全体に均一な潤滑剤皮膜が形成されなくなるおそれがある。そこで、特許文献2には、像担持体表面の全体に亘って潤滑剤の皮膜を効率よく形成することができ、長期に亘って高い潤滑性を維持することができる構成として、放電を受けても他の潤滑剤に比べて潤滑性が失われることがない窒化ホウ素のほかに脂肪酸金属塩を配合する構成を開示している。これは、脂肪酸金属塩を含む潤滑剤を用いることで、潤滑剤の皮膜を像担持体表面全面に形成できるためである。
このように感光体表面の摩擦抵抗は低く維持されることにより、クリーニングブレードからのトナーや潤滑剤粉体のすり抜けは大幅に減少し、トナーや潤滑剤粉体の付着による帯電ローラ寿命は大幅に向上する。
しかしながら、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤である窒化ホウ素を配合した固形潤滑剤を製造する上でいくつかの問題がある。
固形潤滑剤の製造方法として一般に融点以上に溶かした後に金型で固める溶融成型や、粉末に金型等で高圧をかけて固める圧縮成型などがある。
溶融成型では、脂肪酸金属塩だけで成型した場合に比べて固形潤滑剤が硬くなってしまう。そして、窒化ホウ素の混合比5%を越えるあたりからブラシローラやスポンジローラで削るには非常に高い圧力で押圧する必要があり、ブラシローラやスポンジローラの耐久に関して実用上問題となる。
一方、圧縮成型では従来どおりブラシローラやスポンジローラなどで削ることが可能であるが、溶融成型に比べて成型装置が大きくコストが高いという問題がある。また、脂肪酸金属塩に窒化ホウ素を混合することでトナーなどが感光体表面に付着するフィルミングが発生しやすいという問題もある。
トナーなどが感光体表面に付着するフィルミングを防止するためには感光体表面への潤滑剤の塗布量を大幅に増やす必要がある。そして、長期に亘ってその潤滑剤の効果を維持するための固形潤滑剤の容量が、限られたスペースに配置せざるを得ない感光体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置においては問題となってくる。
そして、上述のような問題は、脂肪酸金属塩に配合するする無機潤滑剤が窒化ホウ素である場合に限って生じる問題ではなく、他の無機潤滑剤を配合した固形潤滑剤にも生じ得る問題であると考えられる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、感光体に塗布する固形潤滑剤に無機潤滑剤を配合していなくとも、無機潤滑剤が配合された固形潤滑剤を塗布する場合と同様に感光体表面の摩擦抵抗を長期に亘り低く維持することである。そして、感光体表面のクリーニング性、感光体及び帯電ローラの性能を長期間良好な状態に維持することができる安価で小型の潤滑剤供給装置、並びにこの潤滑剤供給装置を備えたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明の潤滑剤供給装置は、複数の感光体ごとに設けられた感光体表面に潤滑剤を塗布する感光体潤滑剤塗布装置と、複数の感光体からトナー像を転写されるベルト状の中間転写体表面に潤滑剤を塗布する中間転写体潤滑剤塗布装置とを備えた潤滑剤供給装置において、上記感光体潤滑剤塗布装置が塗布する潤滑剤は、無機潤滑剤を配合していないか、あるいは、無機潤滑剤を配合していたとしても微量しか配合していない固形潤滑剤であり、上記中間転写体潤滑剤塗布装置が供給する潤滑剤は、少なくとも無機潤滑剤を配合した固形潤滑剤であることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の潤滑剤供給装置において、上記感光体体潤滑剤塗布装置が塗布する潤滑剤は、脂肪酸金属塩を単独で配合した固形潤滑剤であることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑剤供給装置において、上記中間転写体潤滑剤塗布装置が塗布する潤滑剤は、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを配合した固形潤滑剤であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の潤滑剤供給装置において、上記固形潤滑剤に配合される脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか一に記載の潤滑剤供給装置において、上記固形潤滑剤に配合される無機潤滑剤が、窒化ホウ素であることを特徴とする。
また、請求項6の発明のプロセスカートリッジは、感光体と、少なくとも感光体への潤滑剤を塗布する装置とを一体に支持し、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、上記感光体への潤滑剤を塗布する装置が、請求項1乃至5のいずれか一に記載の潤滑剤供給装置が備える感光体潤滑剤塗布装置であることを特徴とする。
また、請求項7の発明の画像形成装置は、複数の感光体からトナー像を転写するベルト状の中間転写体表面に潤滑剤を塗布する装置として、請求項1乃至5のいずれか一に記載の中間転写体潤滑剤塗布装置を備え、感光体表面に潤滑剤を塗布する装置として、請求項1乃至5のいずれか一に記載の感光体潤滑剤塗布装置、又は請求項6記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする。
本発明は、上述したような構成を備えることで、中間転写体に供給される無機潤滑剤が配合された固形潤滑剤の一部が、中間転写体と感光体の接触部で感光体へ転移する。感光体へ転移した固形潤滑剤に含まれる無機潤滑剤はわずかな量で感光体表面の潤滑性を維持することが可能である。したがって、感光体に塗布される固形潤滑剤に無機潤滑剤が配合されていなくとも、無機潤滑剤が配合された潤滑剤が塗布される場合と同様に感光体表面の摩擦抵抗を、長期に亘り低く維持できる。これにより、感光体表面のクリーニング性は維持でき、感光体及び帯電ローラ寿命が向上させることができる。さらに、感光体に供給する固形潤滑剤は、無機潤滑剤を配合していないか、あるいは無機潤滑剤を配合していたとしても微量しか配合していないので、安価な製造方法である溶融成型での製造が可能となる。これにより、脂肪酸金属塩に無機潤滑剤を混合することに起因したトナーなどが感光体表面に付着するフィルミングを防止するために固形潤滑剤の容量を大量に増やす必要もなくなり、感光体への潤滑剤塗布装置を小型にできる。また、中間転写体への潤滑剤塗布装置で塗布する固形潤滑剤は、少なくとも無機潤滑剤を配合したものであるので、中間転写体表面の潤滑性を長期に亘り低く維持できる。そして、固形潤滑剤の容量を増やすためのスペースも、感光体への潤滑剤塗布装置と比べると確保しやすく、固形潤滑剤の容量の問題も解決可能である。
本発明によれば、感光体表面のクリーニング性、感光体及び帯電ローラの性能を長期間良好な状態に維持することができる安価で小型の潤滑剤供給装置を提供することができる。
本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図。 本実施形態に係る潤滑剤供給装置を含むプロセスカートリッジの拡大図。 本実施形態に係る潤滑剤供給装置を含む中間転写ベルトの拡大図。
以下に、本発明を画像形成装置に適用した実施の形態の一例について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る潤滑剤供給装置を備えた画像形成装置を示す概略構成図である。図1において、画像形成装置200は、フルカラー画像を形成する画像形成装置であって、読み取り部110、画像形成部120及び給紙部130とから主として構成されている。読み取り部110には第1読み取り走行体111、第2読み取り走行体112、結像レンズ113及び読み取りセンサ114が配置されている。
また、画像形成部120には、4個のプロセスカートリッジ121(Y、C、M、K)と、無端状の中間転写ベルト122と、二次転写ローラ123と、各プロセスカートリッジにトナーを供給する不図示のトナーボトルが設けられている。各プロセスカートリッジ121には、感光体10と、この感光体10の周囲に順次配置されたクリーニング装置30、潤滑剤塗布装置20、帯電装置40及び現像装置50が設けられている。
中間転写ベルト122は、各プロセスカートリッジ121の感光体10の上方に配置され、この中間転写ベルト122の下側の走行面が各感光体10の周面に当接している。中間転写ベルト122は、各感光体10の表面にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像が重ねて転写される転写材として機能する。
中間転写ベルト122を挟んで、感光体10と対向する位置に、不図示の一次転写ローラがそれぞれ配置されている。
各プロセスカートリッジが配置された列の下方には、帯電された像担持面に例えば画像情報に基づいてレーザ光を照射して静電潜像を形成する露光装置60が配置されている。
一方、給紙部130には、記録媒体としての転写紙を収容する給紙カセット131及び給紙ローラ132が設けられている。そして、給紙ローラ132は、レジストローラ133を経て中間転写ベルト122と二次転写ローラ123との間のニップ部に向けて所定のタイミングで転写紙を給送する。
更に、二次転写ローラ123の出口には、定着装置126が配置されており、この定着装置126の後流には、排紙ローラ127及び排紙された記録紙を収納する排紙収納部128が設けられている。
図2は、本実施形態の潤滑剤供給装置を含むプロセスカートリッジの拡大図である。図2において、このプロセスカートリッジ121は、感光体10と、この感光体10の周囲に付設されたクリーニング装置30、潤滑剤供給装置20、帯電装置40及び現像装置50とから主として構成されている。
帯電装置40は、感光体10に当接するように配置された帯電ローラ41と、この帯電ローラ41を感光体10に当接させる押圧手段42とから主として構成されている。帯電ローラ41は、感光体10の表面を一様に帯電させる。
現像装置50は、感光体10の表面に現像剤としてのトナーを供給して静電潜像を可視像化する現像ローラ51と、現像剤収容部に収容された現像剤を攪拌する混合ローラ52と、供給ローラ53とから主として構成されている。そして、供給ローラ53は混合ローラ52により、攪拌、混合された現像剤を現像ローラ51に供給する。
クリーニング装置30には、感光体10の表面に当接するクリーニングブレード31が設けられている。クリーニングブレード31は、感光体10表面に残留するトナー等を回収し、清掃する。
潤滑剤塗布装置20は、バー状に形成された固形潤滑剤21と、この固形潤滑剤21と感光体10との両方に接触して回転する潤滑剤供給手段としての潤滑供給ブラシローラ22と、潤滑剤塗布ブレード23と、付勢手段24とから主として構成されている。そして、付勢手段24は固形潤滑剤21を潤滑剤供給ブラシローラ22に対して押圧している。また、潤滑剤供給ブラシローラ22は固形潤滑剤21から削り取った粉末状の潤滑剤を感光体10の表面に塗布する。潤滑剤塗布ブレード23は、感光体10の表面に塗布された潤滑剤を均してその厚さを均一にする。
ここで用いる固形潤滑剤には脂肪酸金属塩で配合されており、安価な製造方法である溶融成型での製造が可能である。脂肪酸金属塩の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム。または、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸コバルト、パルチミン酸鉛、パルチミン酸マグネシウム。または、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウムおよびそれらの化合物などがある。しかし、これらに限るものではない。また、これらを混合して使用しても良い。本発明においては上述した脂肪酸金属塩のうち、特にステアリン酸亜鉛を用いることが好ましい。これはステアリン酸亜鉛が感光体への成膜性に優れており感光体表面を保護する能力が高く、しかも吸湿性が低く、さらに温度が変化しても潤滑性が損なわれ難い特性を有しているためである。
図3は中間転写ベルトの拡大図である。図3において、中間転写ベルト122の表面にはクリーニング装置70と潤滑剤供給装置80が設けられている。
クリーニング装置70には、中間転写ベルト122の表面に当接するクリーニングブレード71が設けられている。クリーニングブレード71は、中間転写ベルト122表面に残留するトナー等を回収し、清掃する。
潤滑剤塗布装置80は、固形潤滑剤81と、この固形潤滑剤81と中間転写ベルト122との両方に接触して回転する潤滑剤供給手段としての潤滑剤供給ブラシローラ82と、潤滑剤塗布ブレード83と、付勢手段83とから主として構成されている。そして、固形潤滑剤81は、付勢手段83により潤滑剤供給ブラシローラ82に向け押圧されている。
潤滑剤供給ブラシローラ82は固形潤滑剤81から削り取った粉末状の潤滑剤を中間転写ベルト122の表面に塗布する。潤滑剤塗布ブレード83は、中間転写ベルト122の表面に塗布された潤滑剤を均してその厚さを均一にする。
ここで用いる固形潤滑剤には、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤が配合されており、粉体状の潤滑剤を金型に入れて型内で圧力をかける圧縮成形で製造されている。脂肪酸金属塩の例は、上述と同様でありステアリン酸亜鉛を用いるのが好ましい。
また、ここで無機潤滑剤と呼称する物質は、自身が劈開(結晶構造における原子間の結合力の弱い面で割れる)して潤滑する、あるいは内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。ここでの例としては、タルク、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、スメクタイト、ハイドロタルサイト化合物、フッ化カルシウム、グラファイト、板状アルミナ、セリサイト、合成マイカなどがある。しかし、これらに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合わさった六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから最も好ましく用いられる。また、窒化ホウ素は、放電により特性が変化し難く、放電を受けても他の潤滑剤に比べて潤滑性が失われることがないのも特徴であり、わずかな供給量で潤滑性が維持可能である。
本発明では、中間転写ベルト122に窒化ホウ素を含む潤滑剤を供給しているので、中間転写ベルト122を介して窒化ホウ素は各色の感光体10に供給される。各色の感光体10に供給される窒化ホウ素は最も下流の感光体10の潤滑性を維持できるような供給量が必要である。
図3の潤滑剤塗布ブレード83はカウンタ当接で図示しているが、各色の感光体10に供給される窒化ホウ素の供給量を調節するために、潤滑剤塗布ブレード83はトレーリング当接にしてもいいし、潤滑剤塗布ブレード83自体をなくしてもよい。また、潤滑剤中の窒化ホウ素の含有量も適宜設定することで窒化ホウ素の供給量を調整することができるが、含有率は10〜80体積%であることが好ましい。窒化ホウ素の含有量がこの範囲よりも少ないと、窒化ホウ素による潤滑性向上の効果をあまり期待できないだけでなく、放電による潤滑剤の劣化効果を高めることもできない。また、窒化ホウ素の含有量が上記範囲よりも多いと、中間転写ベルト122に形成される潤滑剤の皮膜を効率よく形成できなくなり、好ましくない。
これまで上述した実施形態では潤滑剤供給部材はブラシローラとしているが、これに限るものではなくスポンジローラなどでもよい。
以上、本実施形態の潤滑剤供給装置では、像担持体である感光体10に無機潤滑剤を配合していたとしても微量しか配合していない潤滑剤である固形潤滑剤21を塗布する潤滑剤塗布装置20と、像担持体である中間転写体122に少なくとも無機潤滑剤を配合した潤滑剤である固形潤滑剤81を塗布する潤滑剤塗布装置70とを備えている。よって、感光体10の表面のクリーニング性、感光体10及び帯電ローラ41の性能を長期間良好な状態に維持することができる安価で小型の潤滑剤供給装置を提供することができる。
また、本実施形態の潤滑剤供給装置では、像担持体である感光体10に塗布する潤滑剤である固形潤滑剤21に脂肪酸金属塩のみ配合する構成を備えている。この脂肪酸金属塩のみが配合された固形潤滑剤21は必要塗布量が少なくてすむ。また、脂肪酸金属塩のみが配合された固形潤滑剤21は安価な製造方法である溶融成型での製造できる。よって、感光体10に塗布する固形潤滑剤21製造のコストダウンが可能である。さらに、限られたスペースに配置せざるを得ない感光体10表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置20での固形潤滑剤21の容量を過度に増やす必要も無くすことができる。
また、本実施形態の潤滑剤供給装置では、像担持体である中間転写ベルト122に塗布する潤滑剤である固形潤滑剤81に、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤を配合する構成を備える。この無機潤滑剤に加え脂肪酸金属塩が配合された固形潤滑剤81は、中間転写ベルトの全体に亘って潤滑剤の皮膜を効率よく形成することができる。また、中間転写ベルトへの潤滑剤の塗布であるため、固形潤滑剤の容量を増やすためのスペースが感光体への潤滑剤塗布装置と比べると確保しやすい。よって、固形潤滑剤の容量に制限されることなく、従来どおりブラシローラやスポンジローラなどで削ることが可能な圧縮成型とすることができる。
また、本実施形態の潤滑剤供給装置では、固形潤滑剤21(81)に配合する脂肪酸金属塩をステアリン酸亜鉛とする構成を備える。このステアリン酸亜鉛は成膜性に優れ、像担持体表面を保護する能力が高く、しかも吸湿性が低く、さらに温度が変化しても潤滑性が損なわれ難いという特性を有している。よって、環境変化に影響されにくく像担持体表面を保護する能力の高い皮膜化された潤滑剤の保護層を形成することができる。
また、本実施形態の潤滑剤供給装置では、固形潤滑剤81に配合する無機潤滑剤を窒化ホウ素とする構成を備える。この窒化ホウ素は放電により特性が変化し難く、放電を受けても他の潤滑剤に比べて潤滑性が失われることがないのも特徴を有している。そのため、像担持体上に塗布されて皮膜化された潤滑剤は、帯電ローラや転写ローラの作動時に発生する放電によって早期に劣化することない。よって、長期に亘り良好な潤滑性を維持することができる。しかも、像担持体の表面を構成する層が放電により酸化、蒸発してしまうことを防止することもできる。
また、本実施形態のプロセスカートリッジ121では、上述した中間転写体122への潤滑剤塗布装置80を設けた画像形成装置において、上述した感光体への潤滑剤塗布装置20を備える。この構成により、上述した潤滑剤供給装置を備えた場合と同様な作用を奏することができる。よって、長期に亘って良好な画像を形成することができる小型のプロセスカートリッジを提供することができる。
また、本実施形態の画像形成装置200では、上述した中間転写体122への潤滑剤塗布装置80を設け、上述した感光体10への潤滑剤塗布装置20、または上述したプロセスカートリッジ121を備える。この構成により、上述した潤滑剤供給装置、またはプロセスカートリッジ121を備えた場合と同様な作用を奏することができる。よって、長期に亘って良好な画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
10 感光体
20 潤滑剤塗布装置(感光体側)
21 固形潤滑剤(感光体側)
22 潤滑剤供給ブラシローラ(感光体側)
23 潤滑剤塗布ブレード(感光体側)
30 クリーニング装置(感光体側)
40 帯電装置
50 現像装置
60 露光装置
70 クリーニング装置(中間転写ベルト側)
71 クリーニングブレード(中間転写ベルト側)
80 潤滑剤塗布装置(中間転写ベルト側)
81 固形潤滑剤(中間転写ベルト側)
82 潤滑剤供給ブラシローラ(中間転写ベルト側)
83 潤滑剤塗布ブレード(中間転写ベルト側)
110 読み取り部
120 画像形成部
121(Y、C、M、K) プロセスカートリッジ(Y、C、M、K)
122 中間転写ベルト
123 二次転写ローラ
126 定着装置
130 給紙部
200 本実施形態に係る画像形成装置
特開2002−91232号公報 特開2006−350240号公報

Claims (7)

  1. 複数の感光体ごとに設けられた感光体表面に潤滑剤を塗布する感光体潤滑剤塗布装置と、複数の感光体からトナー像を転写されるベルト状の中間転写体表面に潤滑剤を塗布する中間転写体潤滑剤塗布装置とを備えた潤滑剤供給装置において、
    上記感光体潤滑剤塗布装置が塗布する潤滑剤は、無機潤滑剤を配合していないか、あるいは、無機潤滑剤を配合していたとしても微量しか配合していない固形潤滑剤であり、
    上記中間転写体潤滑剤塗布装置が供給する潤滑剤は、少なくとも無機潤滑剤を配合した固形潤滑剤であることを特徴とする潤滑剤供給装置。
  2. 上記感光体体潤滑剤塗布装置が塗布する潤滑剤は、脂肪酸金属塩を単独で配合した固形潤滑剤であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤供給装置。
  3. 上記中間転写体潤滑剤塗布装置が塗布する潤滑剤は、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを配合した固形潤滑剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑剤供給装置。
  4. 上記固形潤滑剤に配合される脂肪酸金属塩が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の潤滑剤供給装置。
  5. 上記固形潤滑剤に配合される無機潤滑剤が、窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の潤滑剤供給装置。
  6. 感光体と、少なくとも感光体への潤滑剤を塗布する装置とを一体に支持し、装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
    上記感光体への潤滑剤を塗布する装置が、請求項1乃至5のいずれか一に記載の潤滑剤供給装置が備える感光体潤滑剤塗布装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 複数の感光体からトナー像を転写するベルト状の中間転写体表面に潤滑剤を塗布する装置として、請求項1乃至5のいずれか一に記載の中間転写体潤滑剤塗布装置を備え、
    感光体表面に潤滑剤を塗布する装置として、請求項1乃至5のいずれか一に記載の感光体潤滑剤塗布装置、又は請求項6記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。
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