JP2011144937A

JP2011144937A - 転がり軸受

Info

Publication number: JP2011144937A
Application number: JP2011103504A
Authority: JP
Inventors: Takahiro Wakuta; 貴裕和久田
Original assignee: NTN Corp; NTN Toyo Bearing Co Ltd
Current assignee: NTN Corp
Priority date: 2011-05-06
Filing date: 2011-05-06
Publication date: 2011-07-28
Anticipated expiration: 2025-09-29
Also published as: JP5016123B2

Abstract

【課題】安価な手段でシール部材を形成する金属板の耐食性を高めることである。
【解決手段】金属板７ａで形成されたシール部材の金属板７ａまたは金属板と弾性体で形成されたパックシールの金属板を、Ｚｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層Ａを有する溶融めっき鋼板で形成することにより、前記めっき層の表面に２層構造の保護皮膜を設け、この保護皮膜は下層のＡｌとＭｇを含むＺｎ系保護皮膜と上層のＭｇを含むＺｎ系保護皮膜とから成るものとして安価な手段で金属板７ａの耐食性を高めることができるようにした。
【選択図】図３

Description

本発明は、内輪と外輪間の軸受空間の少なくとも片側をシール部材でシールした転がり軸受に関する。

ダストや水等が飛散する環境で使用される転がり軸受には、これらが内輪と外輪間の軸受空間へ侵入するのを防止するために、軸受空間の片側または両側をシール部材でシールしたものがある。このシール部材には、シールド板やスリンガのように金属板のみで形成されたものと、接触シールやパックシールのように金属板とゴム等の弾性体で形成されたものとがある。また、これらのシール部材を２重や３重に設けたものもある。

上述したシール部材を形成する金属板には、加工性の優れた鋼板が多く用いられ、打ち抜き加工後にプレス加工によって様々の形状に成形される。めっき層が薄くて加工性のよい電気めっき鋼板を用いることもある。

上述した金属板に鋼板を用いたシール部材は、泥水等が飛散する環境で使用されると、錆が発生しやすく耐食性を確保できない問題がある。電気めっき鋼板を用いる場合も、めっき層のない打ち抜き切断面から錆が発生するとともに、電気めっきの薄いめっき層では十分な耐食性を確保できない問題がある。

このようなシール部材を形成する金属板の耐食性を高めるためには、金属板にステンレス鋼板を用いたり、成形後の部品にバレルめっき等でめっきを施すことが考えられる。しかしながら、ステンレス鋼板を用いる方法は、素材コストが高くなるとともに、変形強度の高いステンレス鋼板のプレス加工が難しい問題がある。また、バレルめっき等でめっきを施す方法は、別途のめっき工程を必要とするので、製造コストが高くなる。

そこで、本発明の課題は、安価な手段でシール部材を形成する金属板の耐食性を高めることである。

上記の課題を解決するために、本発明は、内輪と外輪間の軸受空間の少なくとも片側を、金属板、または金属板と弾性体で形成されたシール部材でシールした転がり軸受において、前記金属板をＺｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層を有する溶融めっき鋼板で形成した構成を採用した。

前記Ｚｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層は、優れた加工性を有するとともに、時間の経過によって、下層のＡｌとＭｇを含むＺｎ系保護皮膜と、上層のＭｇを含むＺｎ系保護皮膜とから成る緻密で付着性の強い２層構造の保護皮膜が表面に形成され、めっき層の腐食を抑制して非常に優れた耐食性を発揮する。また、このめっき層は、裸の切断面が生じると、めっき層から溶け出すＡｌとＭｇを含む緻密なＺｎ系保護皮膜が切断面を覆い、切断面の耐食性を確保する。したがって、前記金属板をＺｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層を有する溶融めっき鋼板で形成することにより、安価な手段でシール部材を形成する金属板の耐食性を高めることができる。

本発明の転がり軸受は、シール部材を形成する金属板を、Ｚｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層を有する溶融めっき鋼板で形成したので、安価な手段でその耐食性を高めることができる。

ａは参考例の転がり軸受を示す縦断面図、ｂはａの金属板を拡大して示す断面図第１の実施形態の転がり軸受を示す縦断面図第２の実施形態の転がり軸受を示す縦断面図第３の実施形態の転がり軸受を示す縦断面図

以下、図面に基づき、本発明の実施形態と参考例を説明する。
図１（ａ）、（ｂ）は、参考例を示す。この転がり軸受は、図１（ａ）に示すように、内輪１と外輪２の間でボール３が保持器４に保持された軸受空間の両側を、芯金の金属板５ａと弾性体としてのゴム５ｂとで形成されたシール部材としての接触シール５でシールした玉軸受であり、図１（ｂ）に示すように、金属板５ａはＺｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層Ａを有する溶融めっき鋼板で形成されている。

図２は、第１の実施形態を示す。この転がり軸受も玉軸受であり、内輪１と外輪２の間でボール３が保持器４に保持された軸受空間の両側が、金属板６ａのみで形成されたシール部材としてのシールド板６でシールされている。図示は省略するが、この金属板６ａもＺｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層Ａを有する溶融めっき鋼板で形成されている。

図３は、第２の実施形態を示す。この転がり軸受も玉軸受であり、内輪１と外輪２の間でボール３が保持器４に保持された軸受空間の両側が、参考例と同様の接触シール５と、金属板７ａのみで形成されたシール部材としてのスリンガ７とで、内外２重にシールされている。図示は省略するが、この金属板７ａもＺｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層Ａを有する溶融めっき鋼板で形成されている。

図４は、第３の実施形態を示す。この転がり軸受は、内輪１と外輪２の間の軸受空間で、２列のボール３が保持器４に保持された複列玉軸受であり、軸受空間の片側が参考例と同様の接触シール５でシールされ、これと反対側が、外環の金属板８ａと内環の金属板８ｂと弾性体としてのゴム８ｃとで形成されたシール部材としてのパックシール８でシールされている。図示は省略するが、パックシール８の各金属板８ａ、８ｂも、Ｚｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層Ａを有する溶融めっき鋼板で形成されている。

上述した各実施形態および参考例では、転がり軸受を単列と複列の玉軸受としたが、本発明に係る転がり軸受は、ころ軸受等の他の種類の転がり軸受にも採用することができる。さらに、シール部材も各実施形態のものに限定されることはなく、シール部材は金属板を有するものであればよい。

Ａめっき層
１内輪
２外輪
３ボール
４保持器
５接触シール
５ａ金属板
５ｂゴム
６シールド板
６ａ金属板
７スリンガ
７ａ金属板
８パックシール
８ａ、８ｂ金属板
８ｃゴム

Claims

内輪と外輪間の軸受空間の少なくとも片側を、金属板で形成されたシール部材、および金属板と弾性体で形成されたシール部材でシールした転がり軸受において、
前記金属板をＺｎ−６％Ａｌ−３％Ｍｇ合金で形成されためっき層を有する溶融めっき鋼板で形成して前記めっき層の表面に２層構造の保護皮膜を設け、この保護皮膜は下層のＡｌとＭｇを含むＺｎ系保護皮膜と上層のＭｇを含むＺｎ系保護皮膜とから成ることを特徴とする転がり軸受。
上記金属板で形成されたシール部材がスリンガであり、上記金属板と弾性体で形成されたシール部材が接触シールである請求項１に記載の転がり軸受。
上記金属板が、打ち抜き加工後にプレス加工によって成形された金属板である請求項１または２に記載の転がり軸受。