JP4770865B2 - シールド板および転がり軸受の製造方法 - Google Patents

シールド板および転がり軸受の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シールド板およびこのシールド板を備えた転がり軸受の製造方法に関する。
従来の転がり軸受、特に玉軸受では、内外輪間の環状空間内にグリースを密封するために、シールド板もしくはシール等の密封部材を備えたものがある。
シールド板は、鋼板の金属環からなり、通常、外輪に取り付けられて、内輪の外周面とは僅かの隙間を存して対向する、非接触タイプの密封部材である。シールは、金属環と、この金属環を芯金として少なくともその一部に接合されたゴム等の弾性部材とからなるものである。このシールには、弾性部材が内輪の外周面と弾力的に摺接する接触タイプのものと、弾性部材が内輪の外周面との間にラビリンスを形成する非接触タイプとがある。いずれの密封部材も、主要部として金属環を備えている。
この種の密封部材の金属環には、従来、防錆用として亜鉛メッキ処理により亜鉛メッキ層が形成され、この亜鉛メッキ層の表面には、クロム酸処理による被膜(クロメート被膜)が形成され、このクロメート被膜の表面には、保護膜として、合成樹脂等の有機被膜、もしくは無機被膜が設けられていた(特許文献1参照)。前記のクロメート被膜は、亜鉛メッキ層に対する保護膜の密着性を高める働きをしている。
しかし、前記の金属環には、その被膜中に環境負荷物質として6価クロムを含有しているため、環境汚染等の問題により、将来的に全面使用禁止となる状況にある。
これに対しては、たとえば、前記特許文献1に記載の発明では、金属環の表面に3価クロムのクロメート処理等による被膜、もしくはその他のメッキ層を形成して、6価クロムを含むクロメート被膜を省略することが提案されている。
特開2002−357227号
しかしながら、6価クロムを含むクロメート被膜を省略した場合、下層の亜鉛メッキ層等に対する保護膜の密着性、接合性が低下することは否めない。そのため、素材である平板状の鋼板からプレス加工等により、所定の形状の金属環を製作する場合、金属環の各部で保護膜の剥離が発生することになり、加工性が低下する。また、金属環の各部で保護膜の剥離やクラックが発生することで、錆が生じやすくなり、耐食性が低下する。
3価クロムのクロメート処理による被膜を設けたものでは、3価クロムが経時的に酸化反応を起こして、6価クロムに変化する可能性があり、環境汚染を引き起こすおそれがある。
本発明は、シールド板において、6価クロムのクロメート被膜を設けずに、このクロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性等の特性が得られるようにすることを課題とする。
本発明の第1は、鋼板の表面部に亜鉛メッキ層を形成し、前記亜鉛メッキ層を有する鋼板を酸性溶液に浸漬した後、前記亜鉛メッキ層の表面にリチウムシリケートの溶液をロールコーターにより加圧状態で塗布し、前記亜鉛メッキ層の表面で前記リチウムシリケートの溶液を乾燥固化させることで、被覆量が200〜550mg/m2であるリチウムシリケート被膜を形成し、前記亜鉛メッキ層と前記リチウムシリケート被膜とを有する鋼板に機械的な加工を施してシールド板となる金属環を得ることを特徴とする。
上記構成によれば、シールド板には6価クロムも、経時的に6価クロムに変化する可能性のある3価クロムも含まれないので、環境汚染のおそれがなくなる。製造工程の面では、クロム酸処理の工程を省略できるので、コストの削減に役立つ。
しかも、本件発明者が行った耐食性等の試験によれば、無機被膜であるリチウムシリケート被膜の被覆量の設定等により、クロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性を得ることができる。
上記第1の発明では、リチウムシリケート被膜の被覆量が200〜550mg/m2であって、被覆量が上記の範囲を越えると、加工性が低下し、プレス加工の際、無機被膜に剥離やクラックが生じやすくなる。被覆量が上記の範囲に達しないと、リチウムシリケート被膜の保護膜としての性能が低下し、早期に錆が発生することになり、耐食性が低下する。
本件の第1の発明のより好ましい実施形態としては、リチウムシリケート被膜の被覆量が250〜550mg/m2である実施形態が挙げられる。この構成によれば、耐食性がより向上する。
本件の第1の発明の最適の実施形態は、リチウムシリケート被膜の被覆量が250〜450mg/m2である場合である。この構成では、リチウムシリケート被膜の形成時、被膜溶液の加圧が不充分でも、良好な加工性、耐食性が得られる。
なお、上記発明の製造方法により得られるシールド板は、玉軸受や円筒ころ軸受に限らず、一対の軌道部材の対向部間に形成される環状空間にグリースを密封するタイプの転がり軸受に使用可能である。この転がり軸受には、軸受内部に挿通される軸を内輪として利用するものや、軸受が取り付けられるハウジングの内周面を外輪軌道面として利用するものが含まれ、必ずしも、内外輪を有する転がり軸受に限定されない。
このほか、亜鉛メッキ層は、亜鉛を主要成分として含有するメッキ層であればよく、この亜鉛メッキ層には、亜鉛単体の電気メッキによるメッキ層のほか、亜鉛・ニッケル合金や、亜鉛・鉄合金、亜鉛・コバルト・モリブデン合金等の亜鉛合金の電気メッキによるメッキ層が含まれ、さらには、溶融亜鉛メッキ、溶融亜鉛合金メッキも含まれる。
本発明の第2は、シールド板を備えた転がり軸受の製造方法に関するもので、機械的な加工により、シールド板となる金属環を形成するとともに、該金属環の外周部に転がり軸受の外輪への取り付け部を形成してシールド板を製造し、このシールド板の取り付け部を、転がり軸受の外輪の内周部に形成された取り付け凹部に嵌着して転がり軸受を製造する。
上記製造方法により得られた転がり軸受では、6価クロムによる環境汚染のおそれがなくなり、シールド板の製造に当たって、クロム酸処理工程の省略により、コストの削減が可能になる。しかも、シールド板については、無機被膜であるリチウムシリケート被膜の被覆量の設定等により、クロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性を得ることができ、グリース密封タイプの転がり軸受として長期にわたって使用することができる。
本発明によれば、シールド板は、クロメート被膜を有しないので、環境汚染のおそれがなく、しかも、クロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性等の特性を有する。
本発明の内容を図面に基づいて詳細に説明すると、図1ないし図7は、本発明の一実施形態に係り、図1は、本発明の製造方法により得られるシールド板を備えた玉軸受の断面図、図2は、図1のシールド板の表面部の拡大断面図、図3は、図1のシールド板の製造工程を示す工程図、図4ないし図7は、いずれも図1のシールド板についての試験結果を示す特性図である。
図1に示すように、本実施形態の玉軸受1は、互いに対向する一対の軌道輪である外輪2および内輪3と、これら内外輪2,3の対向部間に配置される転動体としての複数の玉4と、内外輪2,3の対向部間に形成される環状空間5を密封する密封部材としてのシールド板6と、玉4用の保持器7とを備えており、内外輪2,3間の環状空間5には、グリースが密封されるようになっている。
シールド板6は、鋼板8aを素材として、この鋼板8aにプレス、巻き締め等の加工を施すことで造られた金属環8からなる。金属環8には、その外周部を全周にわたって断面円弧状に湾曲させることにより、外輪2への取り付け部81が形成され、内周部には、内輪3の外周面に僅かの隙間を存して近接する近接部82が形成されている。金属環8の取り付け部81は、外輪2の内周部に形成された取り付け凹部2aに嵌着される。
本発明は、密封部材であるシールド板6を構成する金属環8が、6価クロムのクロメート被膜を備えずに、クロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性等の特性が得られるように、表面部の構造を改良した金属環8を製造する点に特徴がある。
すなわち、図2の拡大断面図に示すように、金属環8の素材である鋼板8aの表面部には、亜鉛単体もしくは亜鉛合金の電気メッキや、溶融メッキ等の亜鉛メッキにより、亜鉛メッキ層8bが形成されている。この亜鉛メッキ層8bの表面部には、無機被膜として、シリコンを主成分とする被膜、この実施形態では、リチウムシリケート被膜8cが直接、被覆形成されている。
亜鉛メッキ層8bは、従来通りの厚さでよく、その厚さは特に限定しない。リチウムシリケート被膜8cの被覆量は、後に詳述する理由により、200〜550mg/m2であればよい。より望ましくは、250〜550mg/m2の被覆量であればよい。最適の被覆量は250〜450mg/m2である。
上記構成によれば、シールド板6の金属環8には6価クロムも、3価クロムも含まれないので、環境汚染のおそれがなくなる。製造工程の面では、クロム酸処理の工程を省略できる。
しかも、本実施形態の実施品について本件発明者が耐食性や加工性等の試験を行ったところ、リチウムシリケート被膜8cの被覆量を適宜設定したり、リチウムシリケート被膜8cの形成の仕方を調整することにより、クロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性を得ることができることが分かった。
上記の事実を明らかにするため、まず、本実施形態のシールド板6の製造方法を説明する。図3の工程図に示すように、亜鉛メッキ層8bと、リチウムシリケート被膜8cとは、金属環8の素材である鋼板8aが平板もしくは長尺の板材である状態のときに該鋼板8aの表面部に形成される。その後、亜鉛メッキ層8bとリチウムシリケート被膜8cとを有する鋼板8aに、プレス加工等の機械的な加工を施すことで、環状で取り付け部81や近接部82を有する金属環8が造られる。
詳しくは、図3の工程S1から工程S6までの工程が、平板もしくは長尺の板材である鋼板8aへの表面加工の工程である。工程S1では、電気メッキもしくは溶融メッキにより、鋼板8aの表面部に亜鉛メッキ層8bを形成し、その後処理として、工程S2で水洗いを行う。
工程S2の水洗いの後、S5のリチウムシリケート被膜8cの形成工程に進んでもよいが、亜鉛メッキ層8bとリチウムシリケート被膜8cとの密着性を高めるには、S3およびS4で示す清浄化処理の工程を介在させることが望ましい。
工程S3では、亜鉛メッキ層8bを有する鋼板8aを、0.1%硫酸溶液のような希薄な酸性溶液に、15〜40℃程度の常温で、3〜6秒浸漬することで、亜鉛メッキ層8bの表面を活性化させる。次の工程S4では水洗いを行う。
工程S5では、亜鉛メッキ層8bの表面にリチウムシリケートの溶液を、ロールコータにより加圧状態で塗布し、次の工程S6で、塗布溶液を乾燥させる。これで、リチウムシリケートの溶液は亜鉛メッキ層8bの表面で固化して、ガラス質のリチウムシリケート被膜8cを形成する。
このようにして、表面に亜鉛メッキ層8bとリチウムシリケート被膜8cとが形成された鋼板8aに対して、工程S7で、プレス加工等の機械的な加工を施す。これにより、環状で、外周部と内周部とにそれぞれ取り付け部81と近接部82とを有する金属環8からなるシールド板6が造られる。
上記の工程により得られる本実施形態のシールド板6について、リチウムシリケート被膜8cの被覆量を種々に変えて耐食性、プレス加工性の試験を行ったところ、表1の「被覆量/性能判定表」に示すような試験結果が得られた。耐食性については、JIS−Z2371準拠の塩水噴霧試験を行い、錆(鉄の錆である赤錆と、亜鉛の錆である白錆と)の発生時間を調べた。プレス加工性については、金属環8を90°曲げ加工を行い、その加工面を電子顕微鏡により観察して、クラックの発生度合いを調べた。
なお、本実施形態のシールド板6では、リチウムシリケート被膜8cは、被膜溶液をロールコータにより加圧状態で塗布することで形成されるが、表1には、リチウムシリケート被膜8cを、被膜溶液への浸漬により形成した場合のプレス加工性の試験結果も、併記している。
Figure 0004770865
表1の試験結果によれば、リチウムシリケート被膜8cの被覆量が200mg/m2未満では、耐食性が不良であり、被覆量が550mg/m2を越える場合は、プレス加工後の耐食性に問題があることが分かる。要するに、リチウムシリケート被膜8cの被覆量は、200〜550mg/m2であればよいことが分かる。
被覆量が、より限定された範囲、すなわち250〜550mg/m2である場合は、リチウムシリケート被膜8cがロールコータにより形成されている限り、耐食性もプレス加工性も、ともに優れていることが分かる。
さらに、被覆量が250〜450mg/m2である場合は、リチウムシリケート被膜8cが浸漬により形成されていても、実用に供しうる程度のプレス加工性が得られることが分かる。このことから、リチウムシリケート被膜8cがロールコータにより形成されている場合、被膜の形成時、被膜溶液の加圧が不充分でも、良好なプレス加工性、耐食性が得られることは明らかである。
また、表1の結果からは、リチウムシリケート被膜8cがロールコータにより形成された場合、浸漬法により形成された場合よりも、プレス加工性に優れていることが分かる。これは、ロールコータによりリチウムシリケート被膜8cを形成する場合、被膜溶液が加圧状態で亜鉛メッキ層8bに塗布されるため、リチウムシリケート被膜8cが亜鉛メッキ層8bに密着し、亜鉛メッキ層8bから剥離しにくくなるため、と考えられる。
さらに、本件発明者は、本実施形態の実施品であって、リチウムシリケート被膜8cの被覆量が一定であるものを多数用意して、クロメート被膜を有する従来品と耐食性等を比較する試験を行った。その結果を図4ないし図7に示す。
従来品は、クロメート被膜のほかに、その表面側にリチウムシリケート被膜を有しており、その被覆量は、膜厚から換算して、約170mg/m2である。本実施品でのリチウムシリケート被膜8cの被覆量は、クロメート被膜が有していた耐食性を補うに充分な量だけ多く、約250mg/m2である。
図4は、耐食性試験の一つである湿潤試験の結果を示す特性図で、(A)は、亜鉛の錆である白錆の発生時間を、(B)は、鉄の錆である赤錆の発生時間を、それぞれ示している。この湿潤試験は、JIS−K2246に準拠するもので、温度49℃、湿度95%以上の湿潤雰囲気中にサンプルを放置した。
白錆については、本実施品も従来品も、ほぼ同一の時間帯に発錆したが、長時間(600〜700時間)経過した時点では、本実施品の白錆の発生割合は、従来品より低いことが分かる。赤錆についても、ほぼ同一の時間帯に発錆したが、長時間経過後は、本実施品の赤錆の発生割合の方が低い。
図5は、耐食性試験の一つである塩水噴霧試験の結果を示す特性図で、(A)は白錆の発生時間を、(B)は赤錆の発生時間を、それぞれ示している。この塩水噴霧試験は、JIS−Z2371に準拠するもので、温度35℃の雰囲気中で、サンプルに5%食塩水を噴霧した。
図5の結果からは、本実施品と従来品とは、白錆についてほぼ同じ発生態様を示しており、赤錆についてもほぼ同じ発生態様を示していることが分かる。
図6は、耐食性試験の一つである耐ワニス性試験の結果を示す特性図で、(A)は白錆の発生時間を、(B)は赤錆の発生時間を、それぞれ示している。ワニスは、モータのコイル部等に使用されているもので、転がり軸受のシールド板等の密封部材は、このワニスに接する機会が多い。この耐ワニス性試験では、水とワニスとが混在する雰囲気中にサンプルを置き、温度60℃として10時間、室温として14時間の熱サイクルを繰り返した。
白錆について、本実施品は従来品と若干異なる発生態様を示すが、長時間(500時間)経過した時点では、本実施品の白錆の発生割合は、従来品とほぼ同じになっている。赤錆については、本実施品も従来品も、ほぼ同じ発生態様を示している。
図7は、耐グリース性試験の結果を示す特性図である。この耐グリース性試験では、サンプルをグリースに浸漬した上で、180℃に加熱して、腐食、剥離の度合いを調べた。図7の結果からは、約300時間経過すると、本実施品でも従来品でも、腐食、剥離はサンプルの全体に広がるが、それまでは、本実施品での腐食、剥離の発生は、従来品より少ない。
以上要するに、図4ないし図7の試験結果からは、本実施品が、クロメート被膜を有する従来品と同等、もしくはそれより若干優れた耐食性、耐グリース性を有していることが分かる。
参考例として、本発明と同様の製造方法は、シールド板6に限らず、図8に示すように、金属環を備えていて、一対の軌道部材の対向部間に形成される環状空間を密封する他のタイプの密封部材にも適用可能である。図8は、参考例に係るシールを備えた玉軸受の断面図である。
図8において、符号1は玉軸受の全体を示し、9はシールである。このシール9は、通常、鋼板からなる金属環10を芯金としてその一部にゴム等の弾性部材11を接合して構成されている。弾性部材11は、主として金属環10の外面側に接合され、外周側には、外輪2への取り付け部11aが形成され、内周側には、内輪3の外周面に摺接する摺接部11bが形成されている。金属環10の内面は、内外輪2,3間の環状空間5に対して露出している。他の構成は、図1に示した玉軸受1と同じで、対応する部分は、図1と同一の符号で示している。
シール9の金属環10については、特に図示しないが、図2に図示の表面部と同様に、素材である鋼板の表面部には、電気亜鉛メッキや、溶融亜鉛メッキにより、亜鉛メッキ層が形成されており、この亜鉛メッキ層の表面部に、シリコンを主成分とする無機被膜、たとえばリチウムシリケート被膜が直接、被覆形成されている。
この表面部の構成により、シール9の金属環10は、クロメート被膜を有しないにもかかわらず、クロメート被膜を有する場合と同程度、もしくはそれ以上の耐食性、加工性等の特性を有する。
本発明の一実施形態を示すもので、本発明の製造方法により得られるシールド板を備えた玉軸受の断面図。 図1のシールド板の表面部の拡大断面図。 図1のシールド板の製造工程を示す工程図。 図1のシールド板についての湿潤試験の結果を示す特性図で、(A)は白錆の発生時間を、(B)は赤錆の発生時間を、それぞれ示している。 図1のシールド板についての塩水噴霧試験の結果を示す特性図で、(A)は白錆の発生時間を、(B)は赤錆の発生時間をそれぞれ示している。 図1のシールド板についての耐ワニス性試験の結果を示す特性図で、(A)は白錆の発生時間を、(B)は赤錆の発生時間をそれぞれ示している。 図1のシールド板についての耐グリース性試験の結果を示す特性図。 参考例に係るシールを備えた玉軸受の断面図。
符号の説明
2 外輪(一方の軌道輪)
3 内輪(他方の軌道輪)
4 玉(転動体)
5 環状空間
6 シールド板
8 金属環
8a 素材としての鋼板
8b 亜鉛メッキ層
8c リチウムシリケート被膜

Claims (6)

  1. 鋼板の表面部に亜鉛メッキ層を形成し、
    前記亜鉛メッキ層を有する鋼板を酸性溶液に浸漬した後、
    前記亜鉛メッキ層の表面にリチウムシリケートの溶液をロールコーターにより加圧状態で塗布し、
    前記亜鉛メッキ層の表面で前記リチウムシリケートの溶液を乾燥固化させることで、被覆量が200〜550mg/m2であるリチウムシリケート被膜を形成し、
    前記亜鉛メッキ層と前記リチウムシリケート被膜とを有する鋼板に機械的な加工を施してシールド板となる金属環を得る、
    ことを特徴とするシールド板の製造方法。
  2. 前記リチウムシリケート被膜の被覆量が250〜550mg/m2である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のシールド板の製造方法。
  3. 前記機械的な加工は、プレス加工である、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のシールド板の製造方法。
  4. 前記機械的な加工により、前記金属環の内周部に転がり軸受の内輪への近接部を形成する、
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のシールド板の製造方法。
  5. 前記機械的な加工により、前記金属環の外周部に転がり軸受の外輪への取り付け部を形成する、
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のシールド板の製造方法。
  6. シールド板を備えた転がり軸受の製造方法であって、
    請求項に記載のシールド板の製造方法によりシールド板を製造し、
    前記シールド板の取り付け部を、転がり軸受の外輪の内周部に形成された取り付け凹部に嵌着する、
    ことを特徴とする転がり軸受の製造方法。
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