JP2011144095A - 光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット - Google Patents

光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット Download PDF

Info

Publication number
JP2011144095A
JP2011144095A JP2010008321A JP2010008321A JP2011144095A JP 2011144095 A JP2011144095 A JP 2011144095A JP 2010008321 A JP2010008321 A JP 2010008321A JP 2010008321 A JP2010008321 A JP 2010008321A JP 2011144095 A JP2011144095 A JP 2011144095A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molding
mold
optical element
release film
optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010008321A
Other languages
English (en)
Inventor
Goji Natsume
剛司 夏目
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Corp filed Critical Olympus Corp
Priority to JP2010008321A priority Critical patent/JP2011144095A/ja
Publication of JP2011144095A publication Critical patent/JP2011144095A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

【課題】型の成形面に成形素材との密着力及び摺動抵抗が異なる離型膜を形成して成形することで形状精度の高い光学素子を成形する。
【解決手段】光学素子の成形用型セット10は、対向配置された上型11及び下型12と、この上型11の成形面11aに形成された第1の離型膜16と、下型12の成形面12aに形成され、第1の離型膜16とは異なる材質の第2の離型膜18と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス材料などの成形素材を加熱、加圧して光学素子を製造する光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セットに関する。
近年、レンズ等の光学素子の製造方法として、精密プレスによる成形技術が採用されている。この成形技術では、金型を用いて加熱及び軟化されたガラス等の成形素材を押圧成形することにより、高品質な光学素子が得られる。
ただし、この加熱工程では、成形素材及び金型がガラス軟化点付近にまで加熱されるため、成形された光学素子と成形型とが融着するおそれがある。
これに対し、従来、例えば特許文献1では、金型における光学素子の光学面(光学機能面)を形成するための第1成形面と、その外周に連なる第2成形面とで異なる材質からなる成形面にすることで、光学素子の割れ、カン(ヒビ)等の不具合の発生を防止する技術が提案されている。
これにより、冷却工程で、光学素子の中央よりも周辺部の方が収縮率が大きいため、第1成形面よりも第2成形面の離型性を良くして、第2成形面と光学素子との間の融着を抑制するというものである。
特開2007−55870号公報
しかしながら、特許文献1では、成形素材(例えば硝材)の種類によって成形素材と成形面との密着力が異なるために、金型成形面の部分的な材質変更では十分な効果が得られないおそれがある。また、光学素子の形状によっては、光軸に直交する面と光学素子の外周部における接線とのなす角度(傾斜角)が大きい部分で離型が速くなるため、光学素子の形状精度がばらつくという課題があった。
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、型本体の成形面に、成形素材との密着力及び摺動抵抗が異なる離型膜を形成することで形状精度の高い光学素子を成形可能な光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セットを提供することを目的とする。
本発明の光学素子の成形型は、
対向配置された第1の型及び第2の型と、
前記第1の型の成形面に形成された第1の離型膜と、
前記第2の型の成形面に形成され、前記第1の離型膜とは異なる材質の第2の離型膜と、を有する。
また、上記の光学素子の成形型において、
成形される光学素子は、両凹形状又は両凸形状であり、
前記第1の型の成形面は、前記光学素子の光学面のうち、光軸に直交する面と前記光学素子の外周部における接線とのなす角度が大きい方の該光学面を成形する成形面であり、
前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、成形素材との密着力が高い。
また、上記の光学素子の成形型において、
成形される光学素子は、メニスカス形状であり、
前記第1の型の成形面は、前記光学素子の凹面側の光学面を成形する成形面であり、
前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、成形素材との密着力が高い。
また、本発明の光学素子の製造方法は、
第1の離型膜が成形面に形成された第1の型と、該第1の離型膜とは異なる材質の第2の離型膜が成形面に形成された第2の型とを対向配置する工程と、
成形素材を加熱し、対向配置された前記第1の型及び前記第2の型を接近移動させて該成形素材を加圧して光学素子を成形する工程と、を有する。
また、上記の光学素子の製造方法において、
成形される光学素子は、両凹形状又は両凸形状であり、
前記第1の型の成形面は、前記光学素子の光学面のうち、光軸に直交する面と前記光学素子の外周部における接線とのなす角度が大きい方の該光学面を成形する成形面であり、
前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、前記成形素材との密着力が高い。
また、上記の光学素子の製造方法において、
成形される光学素子は、メニスカス形状であり、
前記第1の型の成形面は、前記光学素子の凹面側の光学面を成形する成形面であり、
前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、前記成形素材との密着力が高い。
本発明によれば、型本体の成形面に、成形素材との密着力及び摺動抵抗が異なる離型膜を形成することで形状精度の高い光学素子を成形可能な光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セットを得ることができる。
第1の実施の形態の成形用型セットの断面図である。 同上の上型の断面図である。 同上の下型の断面図である。 離型膜の密着力の大小を判定する判定装置の断面図である。 成形用型セットにより成形した両凹レンズの形状を示す図である。 第2の実施の形態の成形用型セットの断面図である。 同上の上型の断面図である。 同上の下型の断面図である。 成形用型セットにより成形した両凸レンズの形状を示す図である。 第3の実施の形態の成形後の凹メニスカスレンズの形状を示す図である。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の成形用型セットの断面図である。また、図2は、上型の断面図、図3は、下型の断面図である。
成形用型セット10は、対向配置された一対の第1の金型としての上型11、及び第2の金型としての下型12と、スリーブ13とを有している。上型11及び下型12は、スリーブ13の内部で、それぞれの成形面11a,12aが対向するようにスリーブ13の両端側から嵌挿されている。
上型11は円柱状をなし、先端に凸球面状(又は凸非球面状)の成形面11aが形成されている。また、下型12も円柱状をなし、先端に凸球面状(又は凸非球面状)の成形面12aが形成されている。
上型11は、スリーブ13の軸方向に摺動可能となっている。また、上型11の成形面11aと下型12の成形面12aとの間には、所定形状の成形素材14が配置されている。本実施の形態では、この成形素材14として円柱形状のガラス素材が用いられている。
なお、上型11及び下型12は、タングステンカーバイド(WC)等の超硬合金を研削、研磨して仕上げられている。また、成形素材14は、市販の光学ガラスが用いられている。
本実施の形態では、上型11及び下型12の成形面11a、12aはいずれも凸状であるため、光学面が両凹形状の光学素子が成形される。なお、例えば、上型11及び下型12の成形面11a、12aがともに凹状である場合は、光学面が両凸形状の光学素子が成形される。
一般に、高精度な成形品を得るためには、加熱温度を上げて成形素材14の粘性を下げたりプレス圧力を高める等の型への転写特性を向上するための成形条件と、成形後の冷却保持時間を延長して型内で製品を十分に冷却し、離型後の変形量のバラツキを少なくするための成形条件と、を同時に満足することが必要とされる。
しかし、型への転写特性を向上させることを重視すると、型と成形品とが融着して離型が困難となったり、成形品に割れが発生する等の問題が発生する。
このため、本実施の形態では、型の成形面に離型膜を一様に形成(例えばコーティング)することで、型と成形品との離型性の向上を図っている。また、離型膜は、例えばスパッタ法により形成されることができる。
図2に示すように、上型11の成形面11aには、第1の離型膜16がコーティングされている。また、図3に示すように、下型12の成形面12aには、第2の離型膜18がコーティングされている。
本実施の形態では、第1の離型膜16と第2の離型膜18とは異なる材質が用いられている。また、この第1の離型膜16と第2の離型膜18とは、成形素材14との密着力及び摺動抵抗が異なっている。
なお、密着力は、成形工程内で光学素材(ガラス素材)14と離型膜16、18との接触部位に作用する力で、お互いがくっついていようとする力である。この密着力は、光学素材14の組成、離型膜16、18の組成、温度、圧力によって変化する値である。また、摺動抵抗は、光学素材14と離型膜16、18との接触面での動きに対する抵抗値である。
本実施の形態では、主として離型膜16、18の密着力が、成形される光学素子の形状精度および外観欠陥に及ぼす影響に着目して実験を行った。
本実施の形態では、離型膜16、18の材質として、例えば3種類の離型膜を用意した(離型膜A、離型膜B、離型膜C)。
離型膜Aは、イリジウムIr合金中にレニウムRe又はオスミウムOs又はプラチナPtの3つのうち1つを2重量%以上30重量%以下を含み、かつロジウムRhを2重量%以上15重量%以下を含む。
離型膜Bは、DLC(Diamond Like Carbonダイヤモンドライクカーボン)であり、ダイヤモンドに類似した炭素薄膜材料である。
離型膜Cは、イリジウムIr合金中にレニウムRe又はオスミウムOs又はプラチナPtの3つのうち1つを2重量%以上50重量%以下を含み、かつロジウムRhを2重量%以上15重量%以下を含む。
これらの離型膜A、B、Cの夫々の密着力の大きさについては、以下の関係を有する。

離型膜Cの密着力 > 離型膜Aの密着力 > 離型膜Bの密着力

すなわち、離型膜Cの密着力が最も大きく、離型膜Aの密着力は中程度、離型膜Bの密着力は最も小さい。
図4は、離型膜31、32の密着力の大小を判定する判定装置の断面図である。
同図4において、この判定装置20は、上下に対向配置された上型21及び下型22を有し、対向する成形面21a、22aはいずれも平面形状である。これらの成形面21a、22aの間に成形素材24が配置されている。上型21は上プレート26に固定され、下型22は下プレート27に固定されている。
上プレート26及び下プレート27には、夫々ヒーター28、29が内蔵されている。また、上プレート26は、図示しないエアーシリンダーによって上下方向(矢印A方向)に昇降可能となっている。
上型21及び下型22の夫々の成形面21a、22aには、密着力の大小を判定すべき異なる離型膜31、32がコーティングされている。また、本実施の形態では、下型22の離型膜32は、基準となる貴金属系の離型膜Aを使用している。
こうして、下型22の成形面22aに成形素材24を載置した後、上型21を下降させて成形素材24を挟み込む。
次いで、上型21及び下型22の温度を成形素材24の屈伏点+10℃に加熱する。
そして、成形素材24、上型21、及び下型22が均温になるまで、上型21を成形素材24に当接したまま、その状態で位置保持する。
次いで、所定の成形圧力でプレスを行い、成形素材24と上型21及び下型22との接触面積が同じ状態で任意の厚みに変形させる。
さらに、上記状態を保持したまま、成形素材24、上型21、及び下型22を成形素材24のガラス転移点(Tg)にまで冷却する。この冷却は、内蔵したヒーター28、29の温度を下げることにより行う。
こうして冷却後、上プレート26を上昇させ、成形素材24と上型21(又は下型22)との強制離型を行う。
このとき、成形素材24と先に離型する上型21又は下型22との密着力が小さいことがわかる。すなわち、成形素材24と上型21とが先に離型すれば、成形素材24と上型21との密着力が小さい。また、成形素材24と下型22とが先に離型すれば、成形素材24と下型22との密着力が小さい。
なお、上記と同じ方法で、例えばロードセル等を用いて密着力の測定を行うことも可能である。しかし、上プレート26の摺動抵抗、移動速度等の影響による測定ばらつきが発生すること、及び、装置が高価となるおそれがあるため、本実施の形態では、上記判定装置20を用いて実験を行った。
また、例えば上記と同様の方法を用いることで、光学素子を成形して得ることができる。
次に、図5は、成形用型セット10により成形した両凹レンズ(光学素子)15の形状を示す図である。
この光学素子15は、外径D=φ14mm、中心厚t=0.8mm
L面の最外周部の傾斜角θ1=1.7°
R面の最外周部の傾斜角θ2=62°
である。
なお、ここで、傾斜角θ1、θ2は、例えば図5において、光軸O−Oに直交する面と光学素子15の外周部(D)における接線dとのなす角度をいう。
図5の光学素子15を、L面及びR面ともに密着力が小さい離型膜B(C系)をコーティングして成形した場合、R面の外周部の形状精度のバラツキが大きく、図面規格を満足しなかった。
これは、光学素子15のR面の外周部の傾斜角θ2が大きいこと、及び成形素材14(光学素子15の原素材)と離型膜Bとの密着力が小さいため冷却過程でのR面の外周部の離型温度が高い領域でばらつくため、と考えられる。このため、L面及びR面に離型膜Bを用いた場合、離型温度のばらつきにより、光学素子15の形状がバラツキ、安定しない。
また、L面及びR面に密着力が中程度の離型膜Aをコーティングして成形した場合も、上記と同じ結果が得られた。ただし、この場合は、光学素子15のR面の外周部の形状ばらつきは、離型膜Bを用いた場合よりも小さかった。
これは、離型温度が高いと、成形素材14の粘性割合が高い領域なので、外力の影響により、成形された光学素子15の形状が容易に変化するためと考えられる。
なお、通常の成形で好ましい離型温度は、成形素材14の歪点以下である。この歪点は、成形素材14がガラスの場合、その粘性流動が事実上おこりえない温度で、徐冷後における下限温度に相当する。また、粘度が1014.5dPa・sに相当する温度である。
さらに、上記と同じ成形条件で、L面及びR面に密着力が大きい離型膜C(貴金属系)をコーティングして成形した場合、R面の外周部の光学素子15の形状精度は安定したが、L面に微小な表層割れ(ガラスの表面の割れ)が発生した。
この表層割れは、L面の傾斜角θ1が小さいために、L面の離型時に大きな力が必要となり、成形素材14の強度を超えるために、表層割れが発生したものと考えられる。
本実施の形態では、L面に生じた表層割れの不具合を解決するために、L面を成形する下型12の成形面12a(図1参照)に離型膜Bをコーティングした。また、R面を成形する上型11の成形面11a(図1参照)に離型膜Cをコーティングした。こうして、同じ成形条件で成形した。その結果、光学素子15のR面の外周部の形状は安定して図面規格を満足し、L面の表層割れも発生しなかった。
上記で使用した成形素材14は、La系硝材で歪点530℃、ガラス転移点570℃のものを使用した。
成形条件は以下の通りである。
成形温度:615℃ 成形圧力:100kgf
冷却速度:500℃まで0.5℃/sec
本実施の形態によれば、成形される光学素子15が両凹形状の場合(図5参照)、光学素子15の光軸O−Oに直交する面P−Pと光学素子15の外周部における接線とのなす角度(θ1、θ2)が大きい方(θ2)のR面側の成形面11aに、成形素材14との密着力が離型膜Bよりも高い方の離型膜Cを用いたので、割れやカンのない形状精度の高い光学素子15を得ることができた。

[第2の実施の形態]
図6は、第2の実施の形態の成形用型セットの断面図である。また、図7は、上型の断面図、図8は、下型の断面図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
図6〜図8において、上型11は円柱状をなし、先端に凹球面状(又は凹非球面状)の成形面11aが形成されている。また、下型12も円柱状をなし、先端に凹球面状(又は凹非球面状)の成形面12aが形成されている。また、成形素材14としては、例えば球形状のガラス素材を用いることができる。
本実施の形態では、上型11及び下型12の成形面11a、12aはいずれも凹状であるため、光学面が両凸形状の光学素子15’(図9参照)が成形される。また、上型11の成形面11aには、第1の離型膜16として離型膜Cを用い、下型12の成形面12aには、第2の離型膜18として離型膜Bを用いた。
図9は、成形用型セット10により成形した両凸レンズ(光学素子)15’の形状を示す図である。
この光学素子15’は、外径D=φ17mm、中心厚t=3mm
L面の最外周部の傾斜角θ1=21°
R面の最外周部の傾斜角θ2=24°
である。傾斜角θ1、θ2の定義は、第1の実施の形態と同様である。
なお、図9の光学素子15’を、L面及びR面ともに、密着力が高い離型膜Cをコーティングした成形用型セット10で成形を行ったところ、L面で融着が発生した。
すなわち、離型膜Cと成形素材(ガラス)14がくっついて、離型膜C側にガラスが残るという現象(融着)が発生した。
また、上記と同じ成形条件で、L面及びR面ともに密着力が中程度の離型膜Aをコーティングした成形用型セット10で成形したところ、L面の表面に表層割れが発生した。
これら2事例ともに、成形素材(ガラス)14と離型膜C又は離型膜Aとの密着力が大きいために、傾斜角θ1が小さいL面において、離型がスムーズに行われないために不具合が発生したと考えられる。
これは、一般に、傾斜角θが小さい光学面では、離型するのに要する力が傾斜角θが大きい光学面よりも多く必要となるためである(図5参照)。
次に、上記と同じ成形条件で、L面及びR面ともに密着力が小さい離型膜Bをコーティングした成形用型セット10で成形したところ、L面の表面に成形素材(ガラス)14の揮発物による曇りが発生した。
これは、L面の形状精度を測定した結果、下型12の成形面12aが凹形状になっていたために、離型直後に成形素材(ガラス)14と下型12の成形面12aとの間に微小隙間が発生して、揮発物の濃度が上昇したためと考えられる。
さらに、L面に密着力の小さい離型膜Bを使用し、R面に密着力の大きい離型膜Cを使用して、上記と同一成形条件で成形した。その結果、表面欠陥がなく形状精度も安定した光学素子15’が得られた。
本実施の形態で使用した成形素材(ガラス)14は、La系硝材で歪点530℃、ガラス転移点570℃のものを使用した。
成形条件は以下の通りである。
成形温度:615℃ 成形圧力:150kgf
冷却速度:500℃まで0.5℃/sec
本実施の形態によれば、成形される光学素子15’が両凸形状の場合(図9参照)、光軸O−Oに直交する面P−Pと光学素子15’の外周部における接線とのなす角度(θ1、θ2)が大きい方(θ2)のR面側の成形面11aに、成形素材14との密着力が離型膜Bよりも高い方の離型膜Cを用いたので、割れやカンのない形状精度の高い光学素子15’を得ることができた。

[第3の実施の形態]
図10は、本実施の形態で成形された凹メニスカスレンズ(光学素子)15”の形状を示す図である。なお、使用する上型及び下型の形状は、第1の実施の形態で示したものと同様であるので、図示を省略する。また、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付して説明する。
この光学素子15”は、外径D=φ10mm、中心厚t=2.05mm、コバ厚s=4.5mmである。
図10の光学素子15”を、L面及びR面ともに密着力が大きい離型膜Cをコーティングした成形用型セット10で成形を行ったところ、面頂(a点)付近で割れが発生した。
また、上記と同じ成形条件で、L面及びR面ともに密着力が中程度の離型膜Aをコーティングした成形用型セット10で成形したところ、L面の曲面と平面とのつなぎ部(b点)で割れが発生した。
さらに、上記と同じ成形条件で、L面及びR面ともに密着力の小さい離型膜Bをコーティングした成形用型セット10で成形したところ、R面の外周部(c点)の形状精度のバラツキが大きく、光学素子15”の仕様を満足しなかった。
これは、離型膜A及び離型膜Cのいずれも、成形素材(ガラス)14と離型膜A、Cとの密着力が大きいために、発生した不具合現象であると考えられる。
また、成形の過程で冷却時に、中心厚tとコバ厚sの厚みの差によって発生する応力、及びL面,R面の形状(凹凸)による離型タイミングの変化、さらに応力の発生位置によって欠陥の発生位置が異なったためと考えられる。
次に、上記と同じ成形条件で、L面及びR面ともに密着力の大きい離型膜Cをコーティングした成形用型セット10で成形したところ、凹面(R面)側の外周部(c点)の離型温度が高くなるために、光学素子15”の形状が安定しない結果となった。
そこで、L面に密着力の小さい離型膜Bを使用し、R面に密着力の大きい離型膜Cを使用して、上記と同一成形条件で成形した。その結果、表面欠陥がなく形状精度も安定した光学素子15”が得られた。
本実施の形態で使用した成形素材(ガラス)14は、La系硝材で歪点530℃、転移点570℃のものを使用した。
成形条件は以下の通りである。
成形温度:615℃ 成形圧力:80kgf
冷却速度:500℃まで0.5℃/sec
本実施の形態によれば、成形される光学素子15”がメニスカス形状の場合(図10参照)、凹面側の光学面(R面)を成形する金型の成形面に、成形素材14との密着力が高い方の離型膜Cを用いたので、表面欠陥がなく形状精度も安定した光学素子15”を得ることができた。
10 成形用型セット
11 上型
11a 成形面
12 下型
12a 成形面
13 スリーブ
14 成形素材
15 光学素子
15’ 光学素子
15” 光学素子
16 第1の離型膜
18 第2の離型膜
20 判定装置
21 上型
21a 成形面
22 下型
22a 成形面
24 成形素材
26 上プレート
27 下プレート
28 ヒーター
29 ヒーター
31 離型膜
32 離型膜

Claims (6)

  1. 対向配置された第1の型及び第2の型と、
    前記第1の型の成形面に形成された第1の離型膜と、
    前記第2の型の成形面に形成され、前記第1の離型膜とは異なる材質の第2の離型膜と、を有する、光学素子の成形用型セット。
  2. 請求項1に記載の光学素子の成形用型セットにおいて、
    成形される光学素子は、両凹形状又は両凸形状であり、
    前記第1の型の成形面は、前記光学素子の光学面のうち、光軸に直交する面と前記光学素子の外周部における接線とのなす角度が大きい方の該光学面を成形する成形面であり、
    前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、成形素材との密着力が高い、光学素子の成形用型セット。
  3. 請求項1に記載の光学素子の成形用型セットにおいて、
    成形される光学素子は、メニスカス形状であり、
    前記第1の型の成形面は、前記光学素子の凹面側の光学面を成形する成形面であり、
    前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、成形素材との密着力が高い、光学素子の成形用型セット。
  4. 第1の離型膜が成形面に形成された第1の型と、該第1の離型膜とは異なる材質の第2の離型膜が成形面に形成された第2の型とを対向配置する工程と、
    成形素材を加熱し、対向配置された前記第1の型及び前記第2の型を接近移動させて該成形素材を加圧して光学素子を成形する工程と、を有する、光学素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の光学素子の製造方法において、
    成形される光学素子は、両凹形状又は両凸形状であり、
    前記第1の型の成形面は、前記光学素子の光学面のうち、光軸に直交する面と前記光学素子の外周部における接線とのなす角度が大きい方の該光学面を成形する成形面であり、
    前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、前記成形素材との密着力が高い、光学素子の製造方法。
  6. 請求項4に記載の光学素子の製造方法において、
    成形される光学素子は、メニスカス形状であり、
    前記第1の型の成形面は、前記光学素子の凹面側の光学面を成形する成形面であり、
    前記第1の離型膜は、前記第2の離型膜に比べ、前記成形素材との密着力が高い、光学素子の製造方法。
JP2010008321A 2010-01-18 2010-01-18 光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット Withdrawn JP2011144095A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010008321A JP2011144095A (ja) 2010-01-18 2010-01-18 光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010008321A JP2011144095A (ja) 2010-01-18 2010-01-18 光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011144095A true JP2011144095A (ja) 2011-07-28

Family

ID=44459297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010008321A Withdrawn JP2011144095A (ja) 2010-01-18 2010-01-18 光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011144095A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008285375A (ja) 接合光学素子及びその製造方法
TWI499563B (zh) Method for producing glass preform, and
JP6374951B2 (ja) 光学素子成形用型セット、及び、光学素子の製造方法
CN101386465A (zh) 模造玻璃的模具
JP4951166B2 (ja) レンズブランク及びレンズの製造方法
JP5326773B2 (ja) ガラス成形体の製造方法
JP2008285374A (ja) 接合光学素子及びその製造方法
JP2011144095A (ja) 光学素子の製造方法及び光学素子の成形用型セット
TWI551553B (zh) Method for manufacturing glass preform and glass preform, method for manufacturing optical element and optical element
JP4744352B2 (ja) 複合光学素子の製造方法
US20120096900A1 (en) Method of manufacturing glass molding
JP4426910B2 (ja) モールドプレス成形型、光学素子の製造方法、及びモールドプレスレンズ
JP5559982B2 (ja) ガラス非球面レンズ及びその製造方法
JP4992035B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP2014094849A (ja) ガラス成形品の製造方法および製造装置
JP3753372B2 (ja) 複合非球面レンズの製造方法
JPWO2007102519A1 (ja) 光学ガラス用成形型およびそれを用いた光学ガラスのプレス成形法
JP5414222B2 (ja) 精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子の製造方法
JP5445087B2 (ja) 光学素子用成形型及び光学素子の成形方法
CN106430917A (zh) 光学镜片的制造方法
JP4473692B2 (ja) 成形品の製造方法
JP4666679B2 (ja) モールドプレス成形装置、及び成形体の製造方法
JP2006206394A (ja) 光学素子成形型およびその製造方法、並びにこれを用いた光学素子の製造方法
JP2008083190A (ja) 光学素子の成形方法
JP3185299B2 (ja) ガラスレンズ成形用型およびガラスレンズ成形装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20130402