JP2011144026A - エレベータの制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シュー材摩耗検出によるブレーキ復帰不能時、乗客のかご閉じ込めを防止する。
【解決手段】 電源供給ラインを形成する直列接続された電源遮断部22及びブレーキ動作制限用遮断部25と、ブレーキ動作制限用遮断部25に並列に接続されたバイパス回路部26と、ロープブレーキ10のシュー材摩耗を検出する摩耗検出手段23と、エレベータの異常を検出したとき、電源遮断部を遮断し、ロープブレーキを制動動作させるエレベータ制御装置6と、摩耗検出手段から異常検出を受け、ブレーキ動作制限用遮断部を遮断し、ロープブレーキの制動動作を制限する遮断指令出力手段24と、摩耗検出手段から異常検出を受け、バイパス回路部を閉じてバイパス電源回路を形成するバイパス指令出力手段27とを備え、エレベータ制御装置が所定の走行制御を必要としたとき、電源遮断部を閉成し、ロープブレーキを一時的に復帰させて所定の走行制御を行う制動制御装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロープブレーキを備えたエレベータの制動制御装置に関する。
エレベータの制動装置には、何れを制動対象とするかに応じて種々の形式のブレーキがあるが、その中の1つに乗りかごを昇降する主索を拘束保持するロープブレーキがある。
ロープブレーキは、主索を挟持する位置に対峙するように固定シューと可動シューとを配置させたブレーキ装置と、可動シューと係合するプランジャーを有し、常時はプランジャーを可動シューに係合させるが、かご速度の上昇に伴う非常制動時、可動シューとの係合を解除し、固定シューと可動シューとで主索を拘束保持させる保持装置とが設けられている(特許文献1)。
特開2006−193281号公報
しかしながら、以上のようなロープブレーキは、主索の拘束保持を繰り返すことによって、可動シュー等のシュー材の過度な摩耗が発生したとき、リミットスイッチが動作して以降のロープブレーキの電源供給を不可能となるため、例えばリレベル走行制御を必要とする場合でも、ロープブレーキを自動復帰させることができなくなる。
その結果、例えば停電発生等に伴ってロープブレーキが制動動作した際にシュー材の摩耗が検出された場合、復電や停電時のリレベル走行制御を必要としても、ロープブレーキを自動復帰できないため、乗りかごを走行させることができない。これにより、乗客がかご内に閉じ込められる可能性があり、乗客に不安感を与えるなど,エレベータに対する信頼性を損なう問題がある。
本発明は以上の問題を解決するためになされたもので、シュー材の摩耗検出によってロープブレーキの復帰が不可能になったとき、ロープブレーキを一時的に復帰させ、乗客のかご閉じ込めを防止するエレベータの制動制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、巻上機を含む回転駆動系に巻き掛けられ、乗りかごとつり合いおもりとを吊下げ支持する主索を把持する機構を持つロープブレーキを有するエレベータにおいて、常時は電源供給ラインを形成し、前記ロープブレーキを非制動状態に設定するそれぞれ開閉部を有する直列接続された電源遮断部及びブレーキ動作制限用遮断部と、前記ブレーキ動作制限用遮断部の開閉部に並列に接続され、常時は遮断状態に設定されている開閉部を有するバイパス回路部と、前記ロープブレーキのシュー材に生じる摩耗を検出する摩耗検出手段と、非常制動を必要とするエレベータの異常を検出したとき、前記電源遮断部を遮断し、前記ロープブレーキを制動動作させるエレベータ制御装置と、前記摩耗検出手段から異常検出を受けたとき、前記ブレーキ動作制限用遮断部を遮断し、前記ロープブレーキの制動動作を制限する遮断指令出力手段と、前記摩耗検出手段から異常検出を受けたとき、バイパス回路部を閉成してバイパス電源回路を形成するバイパス指令出力手段とを備え、前記エレベータ制御装置が所定の走行制御を必要としたとき、前記電源遮断部を閉成し、前記バイパス電源回路を通して前記ロープブレーキを一時的に復帰させ、所定の走行制御を実行するエレベータの制動制御装置である。
本発明によれば、シュー材の摩耗検出によってロープブレーキの復帰が不可能になったとき、ロープブレーキを一時的に復帰させ、乗客のかご閉じ込めを防止することができるエレベータの制動制御装置を提供できる。
本発明に係るエレベータの制動制御装置の第1の実施形態を示す構成図。 第1の実施形態における動作の流れを説明する図。 本発明に係るエレベータの制動制御装置の第2の実施形態を示す構成図。 第2の実施形態における動作の流れを説明する図。 本発明に係るエレベータの制動制御装置の第3の実施形態を示す構成図。 第3の実施形態における動作の流れ説明する図。 本発明に係るエレベータの制動制御装置の第3の実施形態を示す構成図。 第4の実施形態における動作の流れを説明する図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明に係るエレベータの制動制御装置の第1の実施形態を示す構成図である。
エレベータは、巻上機1とそらせシーブ2に巻き掛けられた主索3を有し、この主索3の一端部側には乗りかご4が吊り下げ支持され、当該主索3の他端部側にはつり合いおもり5が吊り下げ支持されている。
また、エレベータには、エレベータ制御装置6の他、ロープブレーキ10及び制動制御装置20が設けられている。
エレベータ制御装置6は、乗場呼びやかご呼びに基づく呼び登録階に応じた速度指令に従って巻上機1の回転速度を制御しつつ、乗りかご4の運行制御及び当該運行制御に伴う運行状態の異常の中から非常制動を必要とする異常を検出し、電源遮断指令を出力する機能を持っている。
ロープブレーキ10は、非常制動時に主索3を拘束保持する機能を有するものであって、例えば特許文献1のように主索3を挟持する位置に固定シュー11aと可動シュー11bとを対峙するように配置されたブレーキ装置11と、可動シュー11bに着脱自在に係合されるプランジャー12aを有し、常時はプランジャー12aが可動シュー11bに係合保持され、かご速度の急上昇に伴う電源遮断時,つまり非常制動時、可動シュー11bとの係合を解除し、当該可動シュー11bが固定シュー11aに向かって前進させることによって主索3を拘束保持させる保持装置12等によって構成されている。
制動制御装置20としては、ロープブレーキ10の非制動・制動を選択制御するものであって、電源供給部21と、エレベータ制御装置6からの電源遮断指令を受けて遮断動作する開閉部を有する電源遮断部22と、電源遮断に伴って保持装置12のプランジャー12aによる可動シュー11bへの係合が解除されたとき、固定シュー11a及び可動シュー11b等のシュー材の過度な摩耗を検出する摩耗検出手段23とが設けられている。
なお、摩耗検出手段23による摩耗検出の一例としては、例えば固定シュー11aに対する可動シュー11bの押出し量が予め設定された押出し設定量を超えたとき、過度の摩耗であると検出するものである。
また、制動制御装置20には、摩耗検出手段23からのシュー材の摩耗検出信号を受けて遮断指令を出力する遮断指令出力手段24と、電源遮断部22とロープブレーキ10の間に介在され、遮断指令出力手段24からの遮断指令に従って電源供給ラインを遮断し、ロープブレーキ10の制動動作を制限するブレーキ動作制限用遮断部25と、ブレーキ動作制限用遮断部25に並列に接続された開閉部を有するバイパス回路部26と、このバイパス回路部26を開閉操作するバイパス指令出力手段27とが設けられている。
次に、以上のようなエレベータの制動制御装置の作用について、図2を参照して説明する。
エレベータ制御装置1は、非常制動を必要とする異常を検出したとき、電源遮断指令を送出して電源遮断部22を遮断する(S1)。供給電源が遮断されると、ロープブレーキ10が制動動作する(S2)。すなわち、電源遮断部22の遮断により、可動シュー11bに係合中のプランジャー12aが解除され、可動シュー11bが所定方向に前進して固定シュー11aとで主索3を挟み込んで拘束保持する。
このとき、摩耗検出手段23は、非常制動毎に可動シュー11bと固定シュー11aによる主索3の拘束保持を繰り返すことによってシュー材の摩耗が蓄積されることから、可動シュー11aの例えば押出し量からロープブレーキ10のシュー材の過度な摩耗状態に有るか否かを検出する(S3)。
摩耗検出手段23は、過度な摩耗と判断したとき、摩耗検出信号を遮断指令出力手段24及びバイパス指令出力手段27に送出する。
遮断指令出力手段24は、摩耗検出手段23から摩耗検出信号を受けると、遮断指令をブレーキ動作制限用遮断部25に送り、ロープブレーキ10への電源供給ラインを遮断することにより、シュー材交換まで以降のロープブレーキ10の制動動作をさせないように制限する(S4)。
一方、バイパス指令出力手段27は、摩耗検出手段23から摩耗検出信号を受けると、投入指令をバイパス回路部26に送り、ブレーキ動作制限用遮断部25により遮断された電源供給ラインをバイパスし、バイパス電源回路を形成する(S5)。
引き続き、ロープブレーキ10の制動動作によるエレベータ停止後、エレベータ制御装置6が所定の走行制御を必要とするとき(S6)、投入指令を出力して一時的に電源遮断部22を閉成し(S7)、電源供給部21からロープブレーキ10に必要な電源を供給し、ロープブレーキ10を復帰させた後(S8)、所定の走行制御を実行する(S9)。ここで、所定の走行制御とは、シュー材の過度な摩耗検出後、リレベル走行制御を実行するとか、火災発生や地震発生等による管制運転を実行する等の場合に相当する。
従って、以上のような実施の形態によれば、非常制動時にエレベータ制御装置6が電源遮断部22を遮断し、かつ、摩耗検出手段23がシュー材の過度な摩耗を検出したとき、遮断指令出力手段24がブレーキ動作制限用遮断部25を遮断し、以降からロープブレーキ10の制動動作を制限する。
このとき、ブレーキ動作制限用遮断部25を遮断すると同時に、バイパス指令出力手段27がバイパス回路部26を閉成してバイパス電源回路を形成することにより、一時的にロープブレーキ10を復帰させて走行可能とすることにより、所定の走行制御を確実に実行することができる。
(第2の実施形態)
図3は本発明に係るエレベータの制動制御装置の第2の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その重複する部分の説明を省略する。
この第2の実施の形態において、特に異なるところは、図1の構成に新たに、巻上機1の回転速度から乗りかご4の走行速度を検出する速度検出手段31と、乗りかご4が着床階に到達したことを検出する位置検出手段32とを設け、これら検出手段31,32からの検出信号のもとにリレベル走行制御を行うことにある。
以上のように構成されたエレベータの制動制御装置の動作手順について、図4を参照して説明する。
このエレベータの制動制御装置においては、図2に示す一連の処理を実行する(ステップS1〜S5)。この段階では、ロープブレーキ10の制動動作によって主索3が拘束保持され、乗りかご4が乗客を乗せた状態で停止されており、乗りかご4がある階の乗場床面と同一面位置に停止されていない。
そこで、エレベータ制御装置6は、リレベル走行制御を実施するか否かを判断し(S11)、リレベル走行制御を実施すると判断された場合には投入指令を出力して電源遮断部22を閉成し(S12)、一時的に電源供給部21からロープブレーキ10に必要電源を供給し、ロープブレーキ10を復帰させた後(S13)、リレベル走行制御を実施する(S14)。
このとき、バイパス指令出力手段27aは、前記各検出手段31,32の出力から乗りかご4が最寄階である着床階に到達したか否かを判断する(S15)。つまり、バイパス指令出力手段27aは、速度検出手段31から走行速度「0」の停止信号を受け取り、かつ、位置検出手段32から乗りかご4が着床階に到達した検出信号を受け取ったとき、乗りかご4が最寄階である着床階に到達して停止したと判断する。
バイパス指令出力手段27aは、乗りかご4が着床階に停止したと判断すると、解除指令を出力してバイパス回路部26に遮断し、バイパス電源回路を解除する(S16)。これにより、ロープブレーキ10が再び制動動作を開始し(S17)、主索3を拘束保持することにより、乗りかご4が着床階で休止状態に入る。
従って、以上のような実施の形態によれば、非常制動時や停電時、摩耗検出手段23がシュー材の過度な摩耗を検出したとき、遮断指令出力手段24がブレーキ動作制限用遮断部25を遮断し、以降からロープブレーキ10の制動動作を制限する。
このとき、ブレーキ動作制限用遮断部25を遮断すると同時に、バイパス指令出力手段27がバイパス回路部26を閉成し、バイパス電源回路を形成することにより、一時的にロープブレーキ10を復帰させてリレベル走行制御を実施することができる。
また、バイパス指令出力手段27aが、リレベル走行制御の実行時、速度検出手段31及び位置検出手段32の出力から乗りかご4が最寄階である着床階に到達したことを検出すると、バイパス指令に代えて遮断指令を出力してバイパス回路部26を遮断することによりバイパス電源回路を中止させるので、再びロープブレーキ10の制動動作を開始させることができる。
(第3の実施形態)
図5は本発明に係るエレベータの制動制御装置の第3の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1,図3と同一部分には同一符号を付し、その重複する部分の説明を省略する。
第3の実施形態において、特に異なるところは、図3の構成の一部であるバイパス指令出力手段27bに摩耗検出カウント手段33を設け、バイパス指令出力手段27bがシュー材の過度な摩耗検出信号を受けたときに摩耗検出カウント手段33を+1インクリメントし、摩耗検出回数をカウントアップする構成である。
バイパス指令出力手段27bは、摩耗検出カウント手段33の摩耗検出回数が予め定める設定カウント数Nに達したとき、如何なる指示にも拘らず、遮断指令出力を保持し続ける機能を持たせる。
次に、以上のように構成されたエレベータの制動制御装置の動作手順について、図6を参照して説明する。
このエレベータの制動制御装置においては、摩耗検出手段23にて、シュー材の過度な摩耗を検出すると(S3)、摩耗検出信号を遮断指令出力手段24及びバイパス指令出力手段27に送出する。
ここで、バイパス指令出力手段27bは、ブレーキ動作制限用遮断部25により遮断された電源回路をバイパスし、バイパス電源回路を形成した後(S5)、摩耗検出カウント手段33に対して+1インクリメントし(S21)、図4のステップS11〜S14に示す一連の処理を実行した後、乗りかご4が着床階に停止したことを確認する(図4のS15参照)。
バイパス指令出力手段27bは、乗りかご4が着床階に停止したことを確認すると、摩耗検出カウント手段33の摩耗検出回数が設定カウント数Nに達したか否かを判断し(S22)、達していない場合にはステップS16,S17(図4のステップS16,S17参照)の処理を実行する。
一方、摩耗検出カウント手段33の摩耗検出回数が設定カウント数Nに達している場合、バイパス指令出力手段27bはバイパス電源回路の解除保持指令を出力し、バイパス回路部26に送ることによってバイパス電源回路を解除保持する(S23)。これにより、バイパス電源回路の解除保持により、ロープブレーキ10が制動動作を保持し続け(S17)、以降のロープブレーキ10の復帰を防止する。
ここで、設定カウント数Nは、以降のロープブレーキ10が制動動作によりシュー材が主索3を拘束保持する際に所望の制動力が得られなくなる回数であって、例えば検出感度を調整し、例えば5回程度とすれば、設定カウント数N=5の完全な摩耗に至る前の段階でシュー材の摩耗を見つけ出せる。また、設定カウント数Nを数回に設定すれば、シュー材の摩耗状態における走行を最低限に抑えて安全走行を確保することができる。
従って、以上のような実施の形態によれば、摩耗検出カウント手段33を設け、摩耗検出ごとにカウントアップし、その摩耗検出回数が設定カウント数Nに達したとき、バイパス指令出力手段27bがバイパス電源回路の解除保持指令を出力し、バイパス回路部26を介してバイパス電源回路を解除保持するので、ロープブレーキ10が制動動作を保持し続け、以降のロープブレーキ10の復帰を防止し、事故を未然に回避することができる。
なお、摩耗検出カウント手段33としては、不揮発性メモリを用いれば、摩耗検出回数を保存するようにすれば、電源喪失時も摩耗検出回数を記憶保持することができる。
(第4の実施形態)
図7は本発明に係るエレベータの制動制御装置の第4の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その重複する部分の説明を省略する。
この第4の実施の形態において、特に異なるところは、図1の構成に新たに、ロープブレーキ10以外によってエレベータを制動する制動装置36と、例えば制動装置36による制動動作を実施しているにも拘らずブレーキドラム等が回転しているときに制動異常と検出する制動異常検出手段37と、前記バイパス回路部26に直列に接続されるバイパス無効回路部38と、制動異常検出手段37からの制動異常信号に基づいてバイパス無効回路部38を操作するバイパス無効指令出力手段39とを設けた構成である。
制動装置36としては、例えば巻上機1を制動する電磁ブレーキ、油圧ブレーキ、巻上機シーブや巻上機1の回転軸に連結されるドラムを制動するシーブブレーキやドラムブレーキが挙げられる。
次に、以上のように構成されたエレベータの制動制御装置の動作手順について、図8を参照して説明する。
エレベータ制御装置1は、非常制動を必要とする異常を検出したとき、電源遮断指令を送出して電源遮断部22を遮断し(S1)、ロープブレーキ10を制動動作させる(S2)。
このとき、摩耗検出手段23は、可動シュー12aの例えば押出し量からロープブレーキ10のシュー材の過度な摩耗状態に有るか否かを検出する(S3)。過度な摩耗状態に有ると判断したとき、摩耗検出信号を遮断指令出力手段24及びバイパス指令出力手段27に送出する。
遮断指令出力手段24は、遮断指令をブレーキ動作制限用遮断部25に送り、ロープブレーキ10への電源ラインを遮断することにより、シュー材交換まで以降のロープブレーキ10の制動動作をさせないように制限する(S4)。
一方、バイパス指令出力手段27aは、投入指令をバイパス回路部26に送り、ブレーキ動作制限用遮断部25により遮断された電源回路をバイパスし、バイパス電源回路を形成する(S5)。
しかる後、バイパス無効指令出力手段39は、制動異常検出手段37の出力から制動異常か否かを判断し(S31)、制動異常でない場合には制動異常無し信号をエレベータ制御装置6に送出する。
エレベータ制御装置6は、リレベル走行制御を実施するか否かを判断し(S11)、リレベル走行制御を実施すると判断された場合には投入指令を電源遮断部22に送出し、電源遮断部22を閉成し(S12)、一時的に電源供給部21からロープブレーキ10に必要電源を供給し、ロープブレーキ10を元の状態に復帰させた後(S13)、リレベル走行制御を実施する(S14)。
さらに、バイパス指令出力手段27aは、前記各検出手段31,32の出力から乗りかご4が着床階に到達したか否かを判断し(S15)、着床階に到達して停止したと判断すると、解除指令をバイパス回路部26に送り、バイパス電源回路を解除する(S16)。これにより、ロープブレーキ10が再び制動動作を開始し(S17)、主索3を拘束保持することにより、乗りかご4が着床階で休止状態に入る。
一方、バイパス無効指令出力手段39は、制動異常検出手段37から制動異常検出信号を受けると、遮断指令を出力し、バイパス無効回路部38を遮断する(S32)。
その結果、バイパス無効回路部38の遮断に伴ってバイパス電源回路が遮断し、ロープブレーキ10の自動復帰が防止される。
従って、以上のような実施の形態によれば、ロープブレーキ10のシュー材が過度な摩耗状態となり、かつ、ロープブレーキ10以外の制動装置36も制動異常となったとき、乗りかご4を制動させる手段が共に異常状態となっていることから、バイパス無効回路部38を遮断することによってバイパス電源回路を形成しないようにし、制動不安定状態での乗りかご4の走行を防止することにより、乗客の安全性を優先的に確保するものである。
(その他の実施形態)
(1) 上記実施の形態では、図1,図4等に示すような構造のロープブレーキ10を用いたが、ロープブレーキ10には様々な制動構造及び制動形式のものが存在する。ここでは、非常制動時に電源遮断指令に基づいて制動動作を行うものであれば、特に制動構造及び制動形式に拘らずに適用できるものである。
(2) 上記実施の形態では、主索3が巻上機1に巻き掛けられているが、巻上機1を含む回転駆動系に巻き掛けられていればよい。例えば巻上機1の回転軸に連結された巻上機シーブに巻き掛けている場合でもよい。
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
1…巻上機、3…主索、4…乗りかご、5…つり合いおもり、6…エレベータ制御装置、10…ロープブレーキ、11…ブレーキ装置、12…保持装置、20…制動制御装置、21…電源供給部、22…電源遮断部、23…摩耗検出手段、24…遮断指令出力手段、25…ブレーキ動作制限用遮断部、26…バイパス回路部、27,27a,27b…バイパス指令出力手段、31…速度検出手段、32…位置検出手段、33…摩耗検出カウント手段、36…制動装置、37…制動異常検出手段、38…バイパス無効回路部、39…バイパス無効指令出力手段。

Claims (5)

  1. 巻上機を含む回転駆動系に巻き掛けられ、乗りかごとつり合いおもりとを吊下げ支持する主索を把持する機構を持つロープブレーキを有するエレベータにおいて、
    常時は電源供給ラインを形成し、前記ロープブレーキを非制動状態に設定するそれぞれ開閉部を有する直列接続された電源遮断部及びブレーキ動作制限用遮断部と、
    前記ブレーキ動作制限用遮断部の開閉部に並列に接続され、常時は遮断状態に設定されている開閉部を有するバイパス回路部と、
    前記ロープブレーキのシュー材に生じる摩耗を検出する摩耗検出手段と、
    非常制動を必要とするエレベータの異常を検出したとき、前記電源遮断部を遮断し、前記ロープブレーキを制動動作させるエレベータ制御装置と、
    前記摩耗検出手段から異常検出を受けたとき、前記ブレーキ動作制限用遮断部を遮断し、前記ロープブレーキの制動動作を制限する遮断指令出力手段と、
    前記摩耗検出手段から異常検出を受けたとき、バイパス回路部を閉成してバイパス電源回路を形成するバイパス指令出力手段とを備え、
    以降、前記エレベータ制御装置が所定の走行制御を必要としたとき、前記電源遮断部を閉成し、前記バイパス電源回路を通して前記ロープブレーキを一時的に復帰させ、所定の走行制御を実行することを特徴とするエレベータの制動制御装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータの制動制御装置において、
    前記所定の走行制御は、リレベル走行制御,火災発生や地震発生に伴う管制運転制御の何れか1つの走行制御であることを特徴とするエレベータの制動制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のエレベータの制動制御装置において、
    前記所定の走行制御の1つであるリレベル走行制御の実行は、
    前記乗りかごの速度を検出する速度検出手段と、
    前記乗りかごの停止位置を検出する位置検出手段と、
    エレベータ制御装置が前記電源遮断部を閉成し、前記バイパス電源回路を通して前記ロープブレーキを復帰させてリレベル走行制御を実行する手段と、
    前記バイパス指令出力手段が前記リレベル走行制御の実行時に前記速度検出手段の検出速度及び前記位置検出手段のかご検出位置に基づいて前記乗りかごが最寄階である着床階に停止したことを検出し、前記バイパス回路部を開放して前記ロープブレーキを制動動作させる手段とを備えたことを特徴とするエレベータの制動制御装置。
  4. 請求項3に記載のエレベータの制動制御装置において、
    前記摩耗検出手段から異常検出を受けるごとに前記シュー材の摩耗検出回数をカウントする摩耗検出カウント手段を設け、
    前記バイパス指令出力手段は、前記リレベル走行制御の完了後に、前記摩耗検出カウント手段にカウントされている摩耗検出回数が予め前記主索を把持した際に前記シュー材による所望の制動力を得難くなる所定の設定回数に達したとき、前記バイパス回路部を解除し保持することにより前記ロープブレーキの制動動作を保持し続けるようにしたことを特徴とするエレベータの制動制御装置。
  5. 請求項3に記載のエレベータの制動制御装置において、
    前記巻上機を含む回転駆動系を制動する制動装置と、
    この制動装置の制動異常を検出する制動異常検出手段と、
    前記バイパス回路部に直列に接続される開閉部を有するバイパス無効回路部と、
    制動異常検出手段から制動異常の検出信号を受けたとき、バイパス無効指令を出力することにより前記バイパス無効回路部を遮断し、前記バイパス電源回路を解除するバイパス無効指令出力手段とを付加したことを特徴とするエレベータの制動制御装置。
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