JP2011144022A - 圧延形鋼の製造方法および製造装置 - Google Patents

圧延形鋼の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】搬送テーブルを搬送される圧延H形鋼を、所定の停止位置に正確に停止し、停止した圧延H形鋼の停止位置の微調整作業を行うことなく、切断装置により所定の長さに切断することができる圧延形鋼の製造装置を提供する。
【解決手段】(i)複数のテーブルローラ24を有する搬送テーブル21と、(ii)搬送テーブル21によって搬送される圧延H形鋼26の位置を、圧延H形鋼26を撮影するカメラ22aの二次元画像を用いて連続的に測定するための測定装置22と、(iii)測定装置22の連続的な測定結果に基づいて圧延H形鋼26の減速開始位置を決定するとともに、この減速開始位置から減速を開始した後の圧延H形鋼26の速度を、連続的な測定結果に基づいて修正することによって、搬送テーブル21によって搬送される圧延H形鋼26を目標停止位置に停止するための停止位置制御装置23と、(iv)目標停止位置に停止した圧延H形鋼26を所定の長さに切断する切断装置とを備える製造装置20である。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧延形鋼の製造方法および製造装置に関し、具体的には、搬送される例えば圧延H形鋼や鋼矢板等の長尺の圧延形鋼を目標停止位置に正確に停止して所定の長さに正確に切断することができる圧延形鋼の製造方法および製造装置に関する。
図6は、圧延形鋼(以降の説明では圧延形鋼の代表例である圧延H形鋼を例にとる。)を製造する大形工場の製造工程1を模式的に示す説明図である。
図6に示すように、この製造工程1では、素材鋼片を加熱炉2により所定の温度に加熱した後に、粗圧延機3による粗圧延と、粗ユニバーサル圧延機4、エッジャー圧延機5および粗ユニバーサル圧延機6による中間圧延と、仕上げユニバーサル圧延機7による仕上げ圧延を行って、長尺の圧延H形鋼を製造する。長尺の圧延H形鋼は、並設される複数のテーブルローラを有する搬送テーブル8によって搬送され、第1のホットソー9および第2のホットソー10により、最終製品の仕様に応じた所定の長さに切断される。このようにして、最終製品である圧延H形鋼が製造される。
ホットソー9、10により圧延H形鋼を効率的に所定の長さに切断するためには、搬送テーブル8によって搬送される圧延H形鋼を、決められた目標停止位置に精度よく停止するための定位置停止制御を行う必要がある。
従来の定位置停止制御は、圧延H形鋼が発する赤外線を検知する光電子スイッチであるホットメタルディテクタHMDの出力を減速開始の基点とし、圧延H形鋼がホットメタルディテクタHMDを通過した時以降に、搬送テーブル8のテーブルモータの回転数を、テーブルモータに直結してその回転数を検出する回転検出器PLGを用いて積算することによって、搬送時の圧延H形鋼8の位置をトラッキングし、圧延H形鋼の存在位置から目標停止位置までの距離に応じて、テーブルモータの速度を減速させることにより、圧延H形鋼8を目標停止位置に停止させるようにしていた。
定位置停止制御に関して、例えば、特許文献1には、搬送される鋼材の現在位置に基づき鋼材を駆動し、鋼材が所定の位置に到達したときに搬送テーブルの駆動を停止し鋼材を停止させるようにした搬送制御装置において、搬送テーブルの駆動を停止した後の鋼材の移動量を鋼材の単位長さ当たりの質量と総質量とから推定する移動量推定手段と、移動量推定手段により推定したこの移動量だけ手前の位置に鋼材の目標停止位置を修正して設定する補正手段と、補正手段により修正された目標停止位置と鋼材の現在位置とに基づいて搬送テーブルの駆動制御を行う駆動制御手段とを備える鋼材の搬送制御装置が開示されている。
この搬送制御装置によれば、予め搬送する鋼材の単位長さ当たりの質量である単重および鋼材の総質量に基づいて求められる、鋼材の運動エネルギーを表すパラメータP(M,L)と、その流れ量(搬送テーブルの駆動ローラに対する回転駆動力の伝達が停止してから鋼材の慣性力等により生じる鋼材の移動量)との相関関係を一次元モデルとして求め、求めた一次元モデルから搬送する鋼材についてその流れ量を求め、鋼材の目標停止位置Qを、この流れ量分だけ手前である目標停止位置Q’に補正することによって、鋼材を目標停止位置Qに高精度で停止できるとされている。
特開平9−235014号公報
図7は、搬送される圧延H形鋼の速度と、その先端から停止目標(ストッパ)までの距離との関係、すなわち圧延H形鋼の減速パターン例を示すグラフである。図7のグラフにおけるパターン1は、搬送される圧延H形鋼の慣性が大きいか、あるいは搬送される圧延H形鋼に上滑りが存在する場合を示し、パターン2は、正常停止時(テーブルローラと圧延H形鋼との摩擦力が正常である場合)を示し、さらに、パターン3は、搬送される圧延H形鋼の慣性が小さいか、あるいはテーブルローラが空転した場合を示す。
本発明者らの検討結果によれば、特許文献1により開示された発明には、以下に列挙する課題1〜3があるので、図7のグラフも参照しながら、課題1〜3を説明する。
(課題1)
搬送テーブルを搬送される圧延H形鋼の質量や寸法は、製品の仕様に応じて変動する。圧延H形鋼の質量や寸法(長さや幅等)が異なれば、搬送時の圧延H形鋼の慣性も相違するため、当然のことながら、図7のグラフのパターン1〜3に示すように、所定の搬送速度で搬送されている時から停止する時までに要する時間および距離も変動する。しかし、特許文献1により開示された発明では、搬送される鋼材の質量や寸法が異なることを何ら考慮しないため、搬送される圧延H形鋼の質量や寸法が異なると、圧延H形鋼を充分な精度で目標停止位置に停止することができない。
(課題2)
図8は、従来の定位置停止制御に用いるホットメタルディテクタHMD13による圧延H形鋼11、12の検出を示す説明図であり、図8(a)は圧延H形鋼11に発生する上反りの程度が小さく正常である場合を示し、図8(b)は圧延H形鋼12に発生する上反りの程度が大きい場合を示す。
図8(a)および図8(b)に示すように、ホットメタルディテクタHMD13は、搬送される圧延形鋼11、12の側方に設置される。このため、図8(a)に示すように圧延H形鋼11に不可避的に発生する上反りの程度が小さい場合には、圧延H形鋼11の先端がホットメタルディテクタHMD13のオン位置に到達すれば、これを正確に検出することが可能である。
これに対し、図8(b)に示すように圧延H形鋼12に上反りが存在すると、上反りの程度にもよるが、ホットメタルディテクタHMD13が圧延H形鋼12の先端部分14の到達を検出できないため、ホットメタルディテクタHMD13による圧延H形鋼12の検出タイミング、すなわち圧延H形鋼12のトラッキング開始タイミングが遅れるため、圧延H形鋼12の搬送量の演算に誤差を生じ、圧延H形鋼12を目標停止位置に高精度で正確に停止することができない。
また、ホットメタルディテクタHMD13は赤外線センサーであるため、搬送される圧延H形鋼11の温度がホットメタルディテクタHMD13により測定可能な温度よりも低い場合にも、ホットメタルディテクタHMD13が圧延H形鋼11を検出できないため、圧延H形鋼11を目標停止位置に高精度で正確に停止することができない。
(課題3)
図9は、搬送される圧延H形鋼15に不可避的に発生する反りや曲がりの程度が大きいために搬送テーブルのテーブルローラ16を駆動するテーブルモータ17に直結してその回転数を検出する回転検出器(PLG)18が空転する状況を模式的に示す説明図である。
図9に示すように、圧延H形鋼15の反りや曲がりの程度が大きい場合には、圧延H形鋼15はテーブルローラ16との間に適正な摩擦力を得られなくなるためにテーブルモータ17がスリップし、図7のグラフにおけるパターン3に示すように、回転検出器PLG18も空転して測長誤差が増加し、圧延H形鋼15の搬送量の演算に誤差を生じる。
以上説明したように、特許文献1により開示された発明には、テーブル搬送物である圧延形鋼の質量、寸法さらには形状等が変動すると、圧延形鋼の停止位置精度が不足するという課題がある。
このため、特許文献1により開示された発明により、搬送テーブルを搬送される圧延形鋼を停止しても、その後にオペレータが、目標停止位置に対する実際の停止位置との偏差を目視で確認し、手動操作によって圧延形鋼の停止位置を微調整する必要があった。したがって、特許文献1により開示された発明に基づいても、大形工場のホットソーHSによる切断のための圧延形鋼の定位置停止制御を完全に自動化することは、できなかった。
本発明は、並設される複数のテーブルローラを有する搬送テーブルによって搬送される圧延形鋼を目標停止位置に停止した後に所定の長さに切断する圧延形鋼の製造方法であって、搬送される圧延形鋼を停止する際に、圧延形鋼の位置を、圧延形鋼を撮影するカメラの二次元画像を用いて連続的に測定し、連続的な測定結果に基づいて圧延形鋼の減速開始位置を決定するとともに、減速開始位置から減速を開始した後の圧延形鋼の速度を連続的な測定結果に基づいて修正することを特徴とする圧延形鋼の製造方法である。
別の観点からは、本発明は、並設される複数のテーブルローラを有する搬送テーブルと、搬送テーブルによって搬送される圧延形鋼の位置を、圧延形鋼を撮影するカメラの二次元画像を用いて連続的に測定するための測定装置と、測定装置の連続的な測定結果に基づいて圧延形鋼の減速開始位置を決定するとともに、減速開始位置から減速を開始した後の圧延形鋼の速度を、連続的な測定結果に基づいて修正することによって、前記搬送テーブルによって搬送される圧延形鋼を目標停止位置に停止するための停止位置制御装置と、目標停止位置に停止した圧延形鋼を所定の長さに切断する切断装置とを備えることを特徴とする圧延形鋼の製造装置である。
本発明により、搬送テーブルを搬送される、例えば圧延H形鋼や鋼矢板等の圧延形鋼を、所定の停止位置に正確に停止し、停止した圧延形鋼の停止位置の微調整作業を行うことなく、切断装置により所定の長さに切断することができるようになる。
図1は、本発明に係る製造装置の構成例を簡略化して示す説明図である。 図2は、カメラの設置状況の一例を示す説明図である。 図3は、圧延H形鋼の長さと停止距離との関係の一例を示すグラフである。 図4は、本発明による、搬送される圧延H形鋼の速度と、その先端から停止目標(ストッパ)までの距離との関係、すなわち圧延H形鋼の減速パターン例を示すグラフである。 図5は、本発明例および従来例それぞれの、減速開始からの経過時間と、減速開始位置から目標停止位置までの距離とを示すグラフである。 図6は、圧延形鋼を製造する大形工場の製造工程を模式的に示す説明図である。 図7は、搬送される圧延H形鋼の速度と、その先端から停止目標(ストッパ)までの距離との関係、すなわち圧延H形鋼の減速パターン例を示すグラフである。 図8は、従来の定位置停止制御に用いるホットメタルディテクタHMDによる圧延H形鋼の検出を示す説明図であり、図8(a)は圧延H形鋼に発生する上反りの程度が小さく正常である場合を示し、図8(b)は圧延H形鋼に発生する上反りの程度が大きい場合を示す。 図9は、搬送される圧延H形鋼に不可避的に発生する反りや曲がりの程度が大きいために搬送テーブルのテーブルローラを駆動するテーブルモータに直結してその回転数を検出する回転検出器(PLG)が空転する状況を模式的に示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。
はじめに、本発明に係る製造装置を説明する。なお、以降の説明では、圧延形鋼が圧延H形鋼である場合を例にとるが、例えば鋼矢板等の圧延H形鋼以外の圧延形鋼についても本発明は同様に適用される。以降の説明において、搬送テーブルを搬送される圧延H形鋼の質量や寸法は、(フランジ幅100mm、ウェブ高さ100mm、長さ8mおよび総重量0.2トン)〜(フランジ幅900mm、ウェブ高さ350mm、長さ30mおよび総重量22トン)の範囲で変動するものとする。さらに、鋼矢板についても例示すると、(幅400mm、長さ8mおよび総重量0.2トン)〜(幅900mm、長さ30mおよび総重量15トン)の範囲で変動する。
図1は、本発明に係る製造装置20の構成例を簡略化して示す説明図である。図1に示すように、この製造装置20は、搬送テーブル21と、測定装置22と、停止位置制御装置23と、切断装置(図示しない)とを備えるので、これらの構成要素を順次説明する。
[搬送テーブル21]
搬送テーブル21は、並設される複数のテーブルローラ24を有し、搬送される圧延H形鋼26を搬送するための装置である。各テーブルローラ24を駆動するテーブルモータ(図示しない)には、回転検出器(PLG)25が設けられている。
搬送テーブル21は、この種の搬送テーブルとして周知慣用のものであればよく、特定の型式のものには制限されない。
[測定装置22]
測定装置22は、搬送テーブル21によって搬送される圧延H形鋼26の位置を、圧延H形鋼26を撮影するカメラ22aの二次元画像を用いて連続的に測定するための装置である。このように、本発明では、測定装置22には、圧延H形鋼26の二次元画像を連続的に撮影することができるカメラ22aを用い、このカメラ22aの二次元の画像を用いて、圧延H形鋼26の位置を連続的に測定する。
例えば、従来のようにホットメタルディテクタHMDのような光軸式のセンサを用いて圧延H形鋼26の位置を検出しようとすると、上述したように、搬送テーブル21を搬送される圧延H形鋼26のスリップや反り、さらには曲がり等の外乱因子の影響を不可避的に受けるため、上述したように搬送される圧延H形鋼26の通過を正確に検出できないことがある。
これに対し、本発明では、圧延H形鋼26を二次元で撮影することにより、この外乱因子の影響を受けずに正確に圧延H形鋼26の位置を測定可能なカメラ22aの連続的な画像を用いる。カメラ22aを用いることにより、圧延H形鋼26の現在の位置の検出分解能を大幅に向上することができるので、圧延H形鋼26の定位置停止精度を大幅に向上することが可能になる。
本発明において「連続的に」とは、極めて短い時間間隔で、との意味であり、例えば(1/100)〜(1/10)秒間隔であることを含む。
カメラ22aは、要求停止精度から決定されるカメラ22aの分解能を以って、視野範囲をカバーすることができるように、適切な設置位置および設置台数を決定すればよい。
図2は、カメラ22aの設置状況の一例を示す説明図である。この例では、圧延H形鋼26に要求される停止精度は±100ミリ以内とする。したがって、必要となるカメラ22aの分解能はその1/4程度、すなわち25ミリである。カメラ22aは一台あたり512画素であり、隣接するカメラ22aと視野が重なる部分には経験上、両端0.8メートル(800ミリ/25ミリ=32画素)のオーバラップを考慮するので,カメラ22aの1台の実質画素は、512−32×2=448画素となる。今回監視するライン範囲を67メートルとすると、67メートル/(25ミリ×448)=5.98台となり、すなわち6台のカメラ22aを配置する必要がある。
カメラ22aの設置場所は、障害物がなくラインが見渡せる場所であって、かつ振動、水蒸気、輻射熱を受けない場所であることが望ましい。ラインからの距離は、レンズと組み合わせて1画素が25ミリを確保できればよい。今回は、上述した設置環境条件に照らし、圧延H形鋼26の上方約10メートルの場所に設置した。
表1には、本発明およびホットメタルディテクタHMDを用いる従来例の諸元を比較して示す。
Figure 2011144022
表1に示すように、二次元画像センサであるカメラ22aを用いることにより、設置台数を大幅に削減しながら検出精度を大幅に高めることが可能になる。
なお、後述するように、カメラ22aのバックアップとして,上述した回転検出器(PLG)25を用いてもよい。
[停止位置制御装置23]
停止位置制御装置23は、測定装置22の連続的な測定結果に基づいて、圧延H形鋼26の減速開始位置を決定するとともに、減速開始位置から減速を開始した後の圧延H形鋼26の速度を修正することによって、搬送テーブル21によって搬送される圧延H形鋼26を目標停止位置に停止するための制御装置である。
停止位置制御装置23により、圧延H形鋼26の減速開始位置は、圧延H形鋼26の質量および寸法に応じて予め求めた、減速を開始する時から停止する時までに要する時間の演算値に基づいて、決定される。
以下、材料長による停止距離の演算例を、具体的に示す。
圧延H形鋼26の減速時間Tβ(秒)は、Tβ={(GD +GD )×N×10−3)/(365×P)により求められ、材料のGDにより変化する。ただし、GD は材料である圧延H形鋼26のGD(Kg−m)であり、GD はモータ、テーブルローラ24等のGD(Kg−m)であり、Nは回転数(rpm)であり、Pはモータ容量(KW)である。
圧延H形鋼26のGDは単重により決まり、単重は長さにより決まる。質量W(Kg)は鋼種により決定されるので、圧延スケジュールおよび仕上げ圧延機からの圧延材を測長することにより、単重W(Kg/m)は、下記(1)式により計算で求められる。ただし、(1)式においてWは材料重量(Kg)であり、Sは材料長さ(m)である。
=W/S(Kg/m)・・・・・・・・・(1)
(1)式により求められた単重W(Kg/m)より、圧延H形鋼26のGDは、GD =365×W×(V/n)(Kg−m)となる。ただし、Vは圧延H形鋼26の搬送速度(m/s)を示し、nはテーブルローラ24の回転数(rpm)を示す。
停止距離L(m)は、
L=V×Tβ/2(m)・・・・・・・・・(2)
により与えられる。
以上説明したように、鋼種情報から停止距離L(m)を計算によりもとめることが可能である。
次に、停止距離の演算例を説明する。この例では、JISH400×400を用い、スラブ質量は26100kgである
減速時間Tβ(秒)は、
β={(GD +GD )×N×10−3}/(365×P)(秒)
ただし、GD :材料のGD(Kg−m)、GD :モータ、テーブルローラ等のGD(60Kg−m)である。
ここで、回転数N=290rpm、およびモーター容量P=30KWであるとすると、
圧延H形鋼26のGDは、GD =365×W×(V/n)(Kg−m)である。ただし、搬送速度V=2m/sec、テーブルローラ24の回転数n=96rpmである。
圧延H形鋼26の測長結果と減速時間、圧延H形鋼26のGDの計算結果を表2に示す。
Figure 2011144022
上述したように、停止距離L(m)は、L=V×Tβ/2(m)であるから、圧延H形鋼26の長さSに対する停止距離Lは、表3および図3のグラフのようになる。
Figure 2011144022
図3のグラフより、L=6/S0.6(m)の関係が得られるので、この関係を使用して制御する。
また、停止位置制御装置23により、圧延H形鋼26の減速は、圧延H形鋼26の搬送方向の先端の位置が減速開始位置に到達した時に開始される。
図4は、本発明による、搬送される圧延H形鋼の速度と、その先端から停止目標(ストッパ)までの距離との関係、すなわち圧延H形鋼の減速パターン例を示すグラフである。
図4にグラフで示すように、従来の画像センサは停止物体の位置を測定するために用いられてきたが、本発明では、搬送される圧延H形鋼26の位置をカメラ22aにより二次元画像として測定するために、高速で移動する圧延H形鋼26の搬送時の位置を、連続的(周期20ms毎)且つ高精度(60mm)で測定することができるようになる。このため、減速中の圧延H形鋼26の位置と目標値との偏差に基づきテーブルローラ24に対する速度指令を修正すること、具体的には、本発明における停止位置制御装置23によって、圧延H形鋼26の速度を、減速中における圧延H形鋼26の先端の位置と、予め定めた減速パターンにおけるこの先端の位置との偏差を求め、求めた偏差に基づいてテーブルローラに対する速度指令を修正することによって、制御することが可能になった。
このため、本発明によれば、減速中における圧延H形鋼26の実際の位置と目標位置との偏差に基づいて圧延H形鋼26の速度を緻密に修正することができるので、図4のグラフにおいて、搬送される圧延H形鋼の速度を、圧延H形鋼26の減速開始から停止までの全ての期間にわたって、実線で示す規範カーブ上に一致させることが可能になり、これにより、圧延H形鋼26の定位置停止制度を大幅に向上することができるようになる。
さらに、停止位置制御装置23は、圧延H形鋼26の位置を、この圧延H形鋼26を撮影するカメラ22aの二次元の画像と、テーブルローラ21のモータの回転検出器25の出力値とを用いて、測定すること、具体的には、圧延H形鋼26の位置の測定を、カメラ22aによる圧延H形鋼26の撮影が可能である時期にはこのカメラ22aの画像を用いて行い、カメラ22aによる圧延H形鋼26の撮影が不可能である時期には回転検出器25の出力値を用いて行うことが望ましい。カメラ22aの視野内に、走行するクレーン27の吊荷28等の外乱物が映り込み、圧延H形鋼26の正確な位置の測定が不可能となることがある。このため、カメラ22aの画像と、モータ回転検出器(PLG)25の出力値とを停止位置制御装置23に常時入力しておき、カメラ22aによる圧延H形鋼26の撮影が不可能である時期には、瞬時にPLGの出力値を用いた定位置制御に切り替えて圧延H形鋼26のトラッキングを継続して行うことができるように、モータ回転検出器(PLG)25の出力値をバックアップとして用いることが望ましい。
[切断装置]
切断装置(図示しない)は、搬送テーブル21により搬送されて所定の目標停止位置に停止した圧延H形鋼26を所定の長さに切断するための切断装置であり、この種の切断装置として周知慣用のホットソーを用いることが例示される。
圧延H形鋼26が、所定の目標停止位置に正確に停止した場合には、直ちに切断装置を起動して、長尺の圧延H形鋼26を所望の長さに切断することができる。
本発明に係る製造装置20は、以上のように構成される。次に、本発明に係る製造方法を説明する。
図1において、本発明の製造方法によれば、並設される複数のテーブルローラ24を有する搬送テーブル21によって搬送される圧延H形鋼26を目標停止位置に停止した後に切断装置により所定の長さに切断することによって圧延H形鋼26が製造される。
本発明では、搬送される圧延H形鋼26を停止する際に、圧延H形鋼26の位置をカメラ22aを有する測定装置22によって連続的に測定し、測定装置22の連続的な測定結果に基づいて圧延H形鋼26の減速開始位置を決定するとともに、減速開始位置から減速を開始した後の圧延H形鋼26の速度を、連続的な測定結果に基づいてフィードバック制御する。
このため、本発明によれば、高速で移動する圧延H形鋼26の搬送時の位置を、連続的(周期20ms毎)且つ高精度(60mm)で測定することができるようになるので、減速中における圧延H形鋼26の実際の位置と目標位置との偏差に基づいて圧延H形鋼26の速度を緻密に修正でき、これにより、搬送される圧延H形鋼の速度を、圧延H形鋼26の減速開始から停止までの全ての期間にわたって、目標とする速度に可及的一致させることが可能になり、圧延H形鋼26の定位置停止制度を大幅に向上することができるようになる。
本発明では、さらに、
(a)減速開始位置を、圧延H形鋼26の質量および寸法に応じて予め求めた、減速を開始する時から停止する時までに要する時間の演算値に基づいて、決定すること、(b)圧延H形鋼26の減速を、圧延H形鋼26の搬送方向の先端の位置が減速開始位置に到達した時に開始すること、および
(c)圧延H形鋼26の速度を、圧延H形鋼26の減速中における圧延H形鋼26の先端の位置と、予め定めた減速パターンにおける先端の位置との偏差を求め、求めた偏差に基づいてテーブルローラ24に対する速度指令を修正することによって、修正すること
のうちの少なくとも一つを行うことによって、圧延H形鋼26の停止位置の精度をさらに高めることが可能になる。
このようにして、本発明によれば、搬送テーブル21を搬送される圧延H形鋼26の質量や、寸法さらには形状等が変動しても、圧延H形鋼26を目標停止位置に高精度で停止することができるので、その後にオペレータの手動操作による停止位置の微調整を行う必要がなくなる。このため、本発明によれば、大形工場のホットソーによる切断のための圧延H形鋼26の定位置停止制御を完全に自動化することができるようになる。
以下に示す本発明例および従来例により圧延H形鋼(H400×200)を、それぞれ50本ずつ製造し、これらの圧延H形鋼の製造時における圧延H形鋼の停止位置の偏差を求めた。
(本発明例)
図1に示すように、並設される複数のテーブルローラ24を有する搬送テーブル21によって搬送される圧延H形鋼26(H400×200)の位置を、図2に示すように配置された、圧延H形鋼26を撮影するカメラ22aの二次元画像を用いて連続的に測定し、連続的な測定結果に基づいて圧延H形鋼26の減速開始位置を決定するとともに、減速開始位置から減速を開始した後の圧延H形鋼26の速度を、カメラ22aによる連続的な測定結果に基づいて修正することによって、圧延H形鋼26を目標停止位置に停止し、その後に所定の長さに切断した。
(従来例)
上記の本発明例におけるカメラ22aの連続的な測定結果に代えてホットメタルディテクタHMDの出力値を用いて圧延H形鋼26の減速開始位置を決定するとともに、カメラ22aによる連続的な測定結果に代えて搬送テーブル21の回転検出器(PLG)25の出力値を用いて減速開始後の圧延H形鋼26の速度をフィードバック制御した。
表4に、本発明例および従来例それぞれの停止位置偏差を示すとともに、図5に、本発明例および従来例それぞれの、減速開始からの経過時間と、減速開始位置から目標停止位置までの距離とをグラフにより示す。
Figure 2011144022
表4および図5により、従来例では停止位置偏差が700mmであったのに対し、本発明例では0mmであり、本発明により極めて高い停止位置精度を得られることがわかる。
1 大形工場の製造工程
2 加熱炉
3 粗圧延機
4、6 粗ユニバーサル圧延機
5 エッジャー圧延機
7 仕上げユニバーサル圧延機
8 搬送テーブル
9 第1のホットソー
10 第2のホットソー
11、12 圧延H形鋼
13 ホットメタルディテクタHMD
14 先端部分
15 圧延H形鋼
16 テーブルローラ
17 テーブルモータ
18 回転検出器(PLG)
20 製造装置
21 搬送テーブル
22 測定装置
22a カメラ
23 停止位置制御装置
24 テーブルローラ
25 回転検出器(PLG)
26 圧延H形鋼
27 クレーン
28 吊荷

Claims (6)

  1. 並設される複数のテーブルローラを有する搬送テーブルによって搬送される圧延形鋼を目標停止位置に停止した後に所定の長さに切断する圧延形鋼の製造方法であって、
    前記搬送される圧延形鋼を停止する際に、前記圧延形鋼の位置を、該圧延形鋼を撮影するカメラの二次元画像を用いて連続的に測定し、該連続的な測定結果に基づいて該圧延形鋼の減速開始位置を決定するとともに、該減速開始位置から減速を開始した後の前記圧延形鋼の速度を前記連続的な測定結果に基づいて修正すること
    を特徴とする圧延形鋼の製造方法。
  2. 前記減速開始位置は、前記圧延形鋼の質量および寸法に応じて予め求めた、減速を開始する時から停止する時までに要する時間の演算値に基づいて、決定すること
    を特徴とする請求項1に記載された圧延形鋼の製造方法。
  3. 前記減速は、前記圧延形鋼の搬送方向の先端の位置が前記減速開始位置に到達した時に開始すること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載された圧延形鋼の製造方法。
  4. 前記圧延形鋼の速度は、前記減速中における前記圧延形鋼の先端の位置と、該減速の開始前に予め定めた減速パターンにおける該先端の位置との偏差を求め、求めた偏差に基づいて、修正すること
    を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された圧延形鋼の製造方法。
  5. 前記圧延形鋼の位置の測定は、前記カメラによる前記圧延形鋼の撮影が可能である時期には当該カメラの画像を用いて行うとともに、前記カメラによる前記圧延形鋼の撮影が不可能である時期には前記テーブルローラに設けられる回転検出器の出力値を用いて行う請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された圧延形鋼の製造方法。
  6. 並設される複数のテーブルローラを有する搬送テーブルと、
    該搬送テーブルによって搬送される圧延形鋼の位置を、該圧延形鋼を撮影するカメラの二次元画像を用いて連続的に測定するための測定装置と、
    該測定装置の連続的な測定結果に基づいて前記圧延形鋼の減速開始位置を決定するとともに、該減速開始位置から減速を開始した後の前記圧延形鋼の速度を、前記連続的な測定結果に基づいて修正することによって、前記搬送テーブルによって搬送される圧延形鋼を目標停止位置に停止するための停止位置制御装置と、
    前記目標停止位置に停止した圧延形鋼を所定の長さに切断する切断装置と
    を備えることを特徴とする圧延形鋼の製造装置。
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