JP2011142798A - 回転電機の固定子 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定子巻線の形成に際して、導線のスロット収容部の表面を被覆している絶縁被膜の損傷発生を回避し得るようにするとともに、製造効率を高めて低コスト化を図ることのできる回転電機の固定子を提供する。
【解決手段】固定子20は、固定子コア30と、固定子コア30に巻回される複数の導線50からなる固定子巻線40とを備える。導線50は、周方向に離間したスロット31にそれぞれ収容される第1〜第12スロット収容部51A〜51Lと、隣り合うスロット収容部51同士を接続する第1〜第11ターン部52とを有する。第1〜第12スロット収容部51A〜51Lの、固定子コア30の中心軸線Oからの半径距離rが順次小さくなるようにする。導線50のスロット収容部51の延長線上の部位に、スロット収容部51の表面よりも固定子コア30の径方向に膨出する膨出部57を設ける。
【選択図】図22

Description

本発明は、例えば車両において電動機や発電機として使用される回転電機の固定子に関する。
従来より、回転電機の固定子として、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、固定子コアに巻回される複数の導線からなる固定子巻線と、を備えたものが一般的に知られている。
そして、例えば特許文献1には、スロット内に配置される導線の占積率を向上させるために、軸線に対して垂直方向の断面形状が矩形形状であるとともに、平面に展開したときの全体形状がクランク状に蛇行した形状の各相巻線(U相導体、V相導体、W相導体)により、固定子巻線を構成する技術が開示されている。この場合、固定子巻線は、固定子巻線を構成する各相巻線を、所定の回数、渦巻き状に巻回することによって、円筒状に形成された構造になっている。
特開2001−145286号公報
ところで、上記特許文献1の固定子巻線は、複数のベルト状の導線(各相巻線)からなる平面状の導線積層体を所定の回数、渦巻き状に巻き付けることにより、径方向に複数の層を為す所定寸法の円筒状に形成される。このようにして円筒状に形成された固定子巻線は、同一のスロット内に収容される複数の導線のスロット収容部が径方向に整列した状態にされている必要がある。この場合、同一のスロット内に収容される複数の導線のスロット収容部は、占積率を向上させるために、より密な状態にされている方が好ましい。そのため、上記の平面状の導線積層体を巻き付ける際に、隣接する導線のスロット収容部同士が擦れ合うことにより、スロット収容部の表面を被覆している絶縁被膜の損傷が発生し易い。さらに、それぞれの導線は、長さの長いものが必要になるので、ハンドリングが悪くなるため、製造効率が悪化し、コストの増大を招くこととなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、固定子巻線の形成に際して、導線のスロット収容部の表面を被覆している絶縁被膜の損傷発生を回避し得るようにするとともに、製造効率を高めて低コスト化を図ることのできる回転電機の固定子を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、周方向の異なる前記スロットに配置されるスロット収容部と前記スロットの外部で前記スロット収容部同士を接続しているターン部とを有する複数の導線からなる固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子において、前記導線は、一端側に位置する第1スロット収容部から順に周方向に離間した前記スロットにそれぞれ収容される第2スロット収容部、第3スロット収容部、・・・、第n(nは4以上の自然数)スロット収容部と、前記固定子コアの軸方向一端側における前記スロットの外部と前記固定子コアの軸方向他端側における前記スロットの外部とで交互に前記スロット収容部同士を接続する前記第1ターン部、前記第2ターン部、・・・、前記第(n−1)スロット収容部と前記第nスロット収容部を接続する第(n−1)ターン部とを有し、前記第1スロット収容部から前記第nスロット収容部の前記固定子コアの中心軸線からの半径距離が順次大きく又は順次小さくなるよう配置された連続線とされているとともに、前記導線の前記スロット収容部または前記スロット収容部の延長線上の部位に、前記スロット収容部の表面よりも前記固定子コアの径方向に膨出する膨出部を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、導線のスロット収容部またはスロット収容部の延長線上の部位に膨出部が設けられているため、複数の導線を組み付けて円筒状の固定子巻線を形成する際に、隣接する導線のスロット収容部同士を径方向に離間させることができる。これにより、スロット収容部の表面を被覆している絶縁被膜の損傷発生を防止することができるので、スロット内でのスロット収容部の絶縁不良を防止することができる。なお、膨出部は、スロット収容部またはスロット収容部の延長線上の部位であれば何処に設けてもよい。
また、導線は、第1スロット収容部から第nスロット収容部の固定子コアの中心軸線からの半径距離が順次大きく又は順次小さくなるよう配置されて1つの相を形成する連続線とされているので、1本の連続線の長さを短くすることができる。そのため、製造時のハンドリングが極めて良好になり、製造効率を大幅に高めることができるので、製造コストの低減が可能となる。また、複数の導線を積み重ねることによって平面状の導線積層体を形成し、その導線積層体を更に渦巻き状に巻き付ける場合のように、大型の設備を必要としないため、さらに製造コストの低減が可能となる。なお、本発明において、第1スロット収容部が固定子コアの外径側に配置されている場合には、第nスロット収容部に向かうにつれて、固定子コアの中心軸線からの半径距離が順次小さくなるようにされる。逆に、第1スロット収容部が固定子コアの内径側に配置されている場合には、第nスロット収容部に向かうにつれて、固定子コアの中心軸線からの半径距離が順次大きくなるようにされる。
請求項2に記載の発明は、前記導線の前記スロットから突出する前記ターン部の突出箇所に、前記固定子コアの端面に沿った段部が形成されるように屈曲部が設けられ、前記膨出部は、前記屈曲部に設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、膨出部は、スロットから突出するターン部の突出箇所に設けられた屈曲部に設けられているので、その屈曲部を形成する際に膨出部を簡易に形成することができる。
請求項3に記載の発明は、前記ターン部は、前記固定子コアの端面に平行な段部が前記固定子コアの軸方向に複数形成された階段部を有し、前記階段部の屈曲部に前記固定子コアの径方向に膨出する膨出部が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、ターン部の階段部の屈曲部にも膨出部が設けられているので、複数の導線を組み付けることにより固定子巻線を形成するときに、導線のスロット収容部同士の径方向への離間状態をより確実に実現し、絶縁不良防止効果をより高めることができる。
請求項4に記載の発明は、前記導線は、前記第1スロット収容部が前記スロットの最も外径側に配置され、前記第nスロット収容部が前記スロットの最も内径側に配置されており、前記固定子巻線を形成する各相巻線は、少なくとも2つの前記導線を有するとともに、一方の前記導線の前記第1スロット収容部に接続される外周側端部と他方の前記導線の第nスロット収容部に接続される内周側端部とが接続されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、1本の導線の長さを短くすることができることから、固定子巻線を製造する際のハンドリングが向上して製造効率を向上できるので、製造コストを低減することができる。
請求項5に記載の発明は、前記固定子巻線は、周方向にずらして前記固定子コアに巻回される複数の前記導線のそれぞれを、前記固定子コアに巻回されたときの予定寸法の形状に塑性変形させた後、前記固定子コアの軸方向に相対移動させて組み付けることにより形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、固定子巻線は、複数の導線を互いに軸方向に相対移動させて組み付けることにより形成されているので、例えば、導線を渦巻き状に巻き付けて固定子巻線を形成する場合のように、大きなスプリングバック(弾性復帰作用)が発生することがない。そのため、複数の導線を互いに軸方向に相対移動させて組み付ける際に、それぞれの導線の位置合わせを容易に行うことが可能となるので、スロット収容部の位置ずれや固定子巻線の形くずれ等の発生を回避することができる。また、導線を渦巻き状に巻き付ける場合のように、大型の設備を必要としないため、製造コストの低減も可能となる。
特に、本発明では、複数の導線を互いに軸方向に相対移動させて組み付けるときに、軸方向に延びる導線のスロット収容部同士を、スロット収容部またはスロット収容部の延長線上の部位に設けられた膨出部により、径方向に離間させることができる。これにより、複数の導線を互いに軸方向に相対移動させて組み付けるときに、最も長く擦れ合う可能性の高いスロット収容部表面を被覆している絶縁被膜の損傷発生を防止することができるので、膨出部を設けたことによる絶縁不良防止効果をより確実に発揮させることができる。
請求項6に記載の発明は、前記導線の前記スロット収容部の径方向の幅寸法Lに対する前記膨出部が設けられた部位の径方向の幅寸法Wの比率は、1を越え、1.1以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、幅寸法Lに対する幅寸法Wの比率を1.1以下とすることにより、絶縁の信頼性を確保しつつ、導線の軸方向挿入による組み付けを可能とし、製造コストの低減を図ることができる。即ち、幅寸法Lを一定条件(即ち、導線が初期寸法を保持したまま)で幅寸法Wを増やすと、複数の導線を軸方向に相対移動させて組み付けるときに、導線の膨出部が設けられた部位間での摩擦力が増えるので、導線の軸方向挿入荷重比が増える。特に、本願発明者は、(幅寸法W)/(幅寸法L)の比率が1.1倍を越えると、導線の膨出部が設けられている幅寸法Wの大きい部位が干渉し易くなることにより、導線の軸方向挿入荷重比が急増することを新たな知見として得た(図23参照)。この場合、軸方向挿入荷重比の急増により、導線の膨出部が設けられた部位での絶縁被膜の損傷発生による絶縁不良が増える。
請求項7に記載の発明は、前記固定子巻線は、複数の前記導線が前記固定子巻線の周方向に前記スロットの離間距離だけずらして配置されることにより多相に形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、1本の導線が長さの短い連続線であるため、多相の固定子巻線を簡単かつ容易に形成することができる。
実施形態に係る回転電機の固定子の全体斜視図である。 実施形態に係る回転電機の固定子の平面図である。 実施形態に係る回転電機の固定子の側面図である。 実施形態に係る固定子コアの平面図である。 実施形態に係る分割コアの平面図である。 実施形態に係る固定子巻線の全体斜視図である。 実施形態に係る固定子巻線の側面図である。 実施形態に係る固定子巻線の平面図である。 実施形態に係る固定子巻線の底面図である。 (A)(B)実施形態において用いられる導線の断面図である。 (A)は実施形態において用いられる導線の上面図であり、(B)は導線の平面図である。 (A)は実施形態において用いられる導線のターン部の形状を示す斜視図であり、(B)は隣接する複数のターン部を示す斜視図である。 実施形態において用いられる固定子巻線の結線図である。 実施形態において各スロットの最外径側に配置される各導線の第1スロット収容部の配置位置を示す説明図である。 実施形態の固定子巻線において1本の導線(U1−4’)のスロット収容部の配置位置および軌跡を示す説明図である。 実施形態においてV相の巻線の接続状態を示す巻線仕様図である。 実施形態の製造方法の製造工程を示すブロック図である。 実施形態の導線形成工程における折曲げ加工の様子を示す説明図である。 (A)は実施形態の導線形成工程における折曲げ加工を開始する前の説明図であり、(B)は実施形態の導線形成工程における折曲げ加工を開始した直後の説明図である。 実施形態の巻き工程において成形された導線の軸方向から見た平面図である。 実施形態の固定子巻線形成工程において1本の導線を他の1本の導線に軸方向に相対移動させて組み付ける状態を示す説明図である。 図21(A)によって形成した複数の導線による集合体に1本の導線を軸方向に相対移動させて組み付ける状態を示す説明図である。 (A)は実施形態の固定子巻線形成工程において導線を軸方向に相対移動させて組み付ける状態を示す斜視図であり、(B)は実施形態の固定子巻線形成工程において導線を軸方向に相対移動させて組み付けた状態を示す軸方向から見た平面図であり、(C)はスロット収容部からターン部に至る1本の導線を軸方向から見た図である。 導線の(幅寸法W)/(幅寸法L)と導線の軸方向挿入荷重比との関係を示すグラフである。 (A)は変形例1の導線の展開図であり、(B)は変形例2の導線の展開図である。 (A)は変形例3の導線の展開図であり、(B)は変形例4の導線の展開図である。 変形例5において用いられる導線のターン部の形状を示す斜視図である。 (A)は変形例6の導線の上面図であり、(B)は変形例6の導線の平面図である。
以下、本発明に係る回転電機の固定子の実施形態について図1〜図23を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本実施形態に係る回転電機の固定子の全体斜視図である。図2は、その固定子の平面図である。図3は、その固定子の側面図である。
本実施形態の固定子20は、例えば車両の電動機及び発電機を兼ねる回転電機に使用されるものであって、内周側に回転子(図示せず)を回転自在に収容する。回転子は、永久磁石により周方向に磁性が交互に異なる磁極を固定子20の内周側と向き合う外周側に複数形成している。固定子20は、図1〜図3に示すように、固定子コア30と、複数(本実施形態では48本)の導線50から形成される三相の固定子巻線40とを備えている。なお、固定子コア30と固定子巻線40との間には、絶縁紙を配してもよい。
図4および図5を用いて固定子コア30を説明する。図4は、本実施形態に係る固定子コアの平面図である。図5は、本実施形態に係る分割コアの平面図である。
固定子コア30は、図4に示すように、内周に複数のスロット31が形成された円環状を呈している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように形成されている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子の磁極数(8磁極)に対し、固定子巻線40の一相あたり2個の割合で形成されている。本実施形態では、8×3×2=48より、スロット数は48個とされている。
固定子コア30は、図5に示す分割コア32を所定の数(本実施形態では24個)を周方向に連結して形成されている。分割コア32の外周には、外筒37が嵌合されている(図1〜4参照)。分割コア32は、一つのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア32との間で一つのスロット31を区画する形状を呈している。具体的には、分割コア32は、径方向内方に伸びる一対のティース部33と、ティース部33を径方向外方で連結するバックコア部34とを有している。
固定子コア30を構成する分割コア32は、複数枚の電磁鋼板を積層させて形成されている。積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。分割コア32は、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板および絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
次に、図6〜図9を用いて固定子巻線40を説明する。図6は、本実施形態に係る固定子巻線の全体斜視図であり、図7は側面図、図8は平面図、図9は底面図である。
固定子巻線40は、図6〜図9に示すように、複数の導線50により円筒形状に形成されており、固定子コア30のスロット31内に収容されるストレート部41と、このストレート部41の両端においてスロット31外に配置されるコイルエンド部42を有する。一方のコイルエンド部42の端面において、出力線および中性点が軸方向に突出するとともに、内径側から突出した導線50の端部を外径側から突出した導線50の端部に接続する渡り部70が設けられている。
固定子巻線40を構成する導線50は、図10(A)に示すように、銅製の導体67と、導体67の外周を覆い導体67を絶縁する内層68a及び外層68bからなる絶縁被膜68とから形成されている。内層68aおよび外層68bを合わせた絶縁被膜68の厚みは、100μm〜200μmの間に設定されている。このように、内層68aおよび外層68bからなる絶縁被膜68の厚みが厚いので、導線50同士を絶縁するために導線50同士の間に絶縁紙等を挟み込む必要がなくなっているが、導線50同士の間あるいは固定子コア30と固定子巻線40との間に絶縁紙を配設してもよい。
外層68bはナイロン等の絶縁材で形成され、内層68aは外層68bよりもガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂またはガラス転移温度の無いポリアミドイミド等の絶縁材で形成されている。これにより、回転電機100に発生する熱により外層68bは内層68aよりも早く結晶化するため、外層68bの表面硬度が高くなり、導線50に傷がつきにくくなる。このため、後述するターン部52に段部を形成する加工を施した導線50の絶縁を確保することができる。
さらに、導線50は、図10(B)に示すように、内層68aおよび外層68bからなる絶縁被膜68の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材69で被覆してもよい。これにより、融着材69は、回転電機に発生する熱により絶縁被膜68よりも早く溶融するので、同じスロット31に収容されている複数の導線50同士が融着材69同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に収容されている複数の導線50が一体化し導線50同士が硬化することで、スロット31内の導線50の機械的強度が向上する。なお、絶縁被膜68の外層68bには、ポリフェニレンサルファイド(PPS)よりなる被膜を用いてもよい。
図11に、導線50を平面上に展開した場合の図を示す。導線50は、図11に示すように、固定子コア30のスロット31内に収容される複数のスロット収容部51と、スロット31から固定子コア30の外に突出し、周方向に異なるスロット31に収容されているスロット収容部51同士を接続している複数のターン部52とを有する。具体的に、複数のスロット収容部51は、少なくとも、スロット31に収容される第1スロット収容部51Aと、第1スロット収容部51Aから周方向に離間したスロット31に収容される第2スロット収容部51Bと、第2スロット収容部51Bから周方向に離間したスロット31に収容される第3スロット収容部51Cを含む。また、複数のターン部52は、少なくとも、固定子コア30の一端側におけるスロット31の外部で第1スロット収容部51Aと第2スロット収容部52Bを接続する第1ターン部52Aと、固定子コア30の他端側におけるスロット31の外部で第2スロット収容部51Bと第3スロット収容部51Cを接続する第2ターン部52Bを含む。なお、本実施形態においては、図11に示すように、各導線50は、12個のスロット収容部51A〜51Lと、11個のターン部52A〜52Kを備えている。
具体的に、本実施形態におけるスロット収容部51は、図11の左端に位置する第1スロット収容部51Aから順に、固定子コア30の周方向に離間したスロット31にそれぞれ収容される第2スロット収容部51B、第3スロット収容部51C、・・・、第12スロット収容部51Lの12個からなる。また、ターン部52は、固定子コア30の一端側におけるスロット31の外部と固定子コア30の他端側におけるスロット31の外部とで交互にスロット収容部51同士を接続する第1ターン部52A、第2ターン部52B、・・・、第10ターン部52J、および第11スロット収容部51Kと第12スロット収容部51Lを接続する第11ターン部52Kの11個からなる。
この導線50の隣り合うスロット収容部51同士の周方向(矢印Y方向)の離間距離Xは、全ての箇所で異なるようにされている。この場合、離間距離Xは、導線50の第1スロット収容部51A側から第12スロット収容部51L側に向かうにつれて、徐々に短くなるようにされている。即ち、離間距離Xは、X1>X2>X3>X4>X5>X6>X7>X8>X9>X10>X11となっている。なお、離間距離Xは、固定子コア30の周方向において隣り合うスロット31同士の離間距離(スロットピッチ)を考慮して適宜設定される。
導線50の両端には、他の導線50等と接続するための引出し部53a、53bが設けられている。一方の引出し部53aは、第1スロット収容部51Aの端末から内側(図11の右側)へ戻るように、スロット収容部間のターン部の略半分の長さに形成されたターン部52Mを介して形成されている。よって、一方の引出し部53aは、第1スロット収容部51Aからターン部52Mの長さだけ内側(図11の右側)へ寄った所に位置している。他方の引出し部53bは、第12スロット収容部51Lの端末から内側(図11の左側)へ戻るように、スロット収容部間のターン部の略半分の長さに形成されたターン部52Nを介して形成されている。よって、他方の引出し部53bは、第12スロット収容部51Lからターン部52Nの長さだけ内側(図11の左側)へ寄った所に位置している。他方の引出し部53bとターン部52Nとの間には、固定子巻線40の軸方向端面上で固定子コア30の径方向外方へ折り曲げられて配置される渡り部70が設けられている。
ターン部52の略中央部には、第1スロット収容部51A、第2スロット収容部51B、第3スロット収容部51C、・・・、第12スロット収容部51Lを導線50の長手方向およびスロット収容部51の長手方向に直交する方向に順次段差が生じるようにクランク部54(図12参照)が形成されている。その結果、導線50は図11(A)に示すように階段状の形状を有することになる。なお、ターン部52M、52Nには、クランク部54は形成されていない。
図12に、図11に示す導線50を用いて円筒形状の固定子巻線40を形成した場合のターン部52の形状を示す斜視図を示す。図12(A)に示すように、ターン部52は、固定子コア30の径方向に変位して固定子コア30の端面30aに沿って延びるクランク部54を有する。クランク部54のクランク形状によるずれ量(径方向への変位量)は、ターン部52の径方向厚み分である。これにより、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士は、ターン部52の径方向厚み分だけ変位している。このようにクランク部54がターン部52に設けられていることにより、図12(B)に示すように周方向に隣接している導線50のターン部52同士を密に巻回できる。また、図12(B)に示すように周方向に隣接するターン部52は互いに同じ形状であり、ターン部52同士が干渉するのを防止している。
また、スロット31から固定子コア30の外に突出するターン部52の突出箇所に、導線50がまたがって設置されているスロット同士に向けて固定子コア30の軸方向両側の端面30aに沿って段部55が形成されている。これにより、スロット31から突出している導線50のターン部52の突出箇所の間隔、言い換えればターン部52が形成する三角形状部分の底辺の長さは、導線50がまたがって設置されているスロット同士の間隔よりも狭くなっている。その結果、コイルエンド42の高さが低くなる。ターン部52の突出箇所に形成された段部55は、スロット収容部51に対して略直角に屈曲されており、その屈曲部(スロット収容部51の延長線上の部位)の内側部分には、スロット収容部51の表面よりも固定子コア30の径方向両側に膨出した膨出部57が設けられている。この膨出部57が設けられた部位の径方向の幅寸法Wは、スロット収容部51の径方向の幅寸法Lを越え、1.1倍以下の範囲に設定されている(図22(B)参照)。
また、固定子コア30の端面30aに沿った段部55の長さをd1、周方向に隣接するスロット同士の間隔をd2とすると、d1≦d2になっている。これにより、導線50の段部55が周方向に隣り合うスロットから突出する導線50と干渉することを防止できる。これにより、周方向に隣接するスロットから突出する導線50同士が互いに干渉することを避けるために、コイルエンド42の高さが高くなったり、あるいはコイルエンド42の径方向の幅が大きくなったりすることを防止できる。その結果、コイルエンド42の高さが低くなる。さらに、コイルエンド42の径方向の幅が小さくなるので、固定子巻線40が径方向外側に張り出すことを防止する。
さらに、導線50には、ターン部52の略中央部のクランク部54と、ターン部52の突出箇所に形成した段部55との間に、それぞれ2個の段部56が形成されている。つまり、固定子コア30の一方の軸方向の端面30a側の導線50のターン部52には、1個のクランク部54と合計6個の段部55、56が形成されている。これにより、クランク部54や段部55、56を形成しない三角形状のターン部の高さに比べ、ターン部52の高さが低くなる。クランク部54のクランク形状も、段部55、56と同様に、固定子コア30の端面30aに沿って形成されている。したがって、導線50のターン部52は、クランク部54を挟んで両側が階段状に形成されている。
また、ターン部52の階段部において、4個の段部56により形成されるそれぞれの屈曲部の内側部分には、スロット収容部51の表面よりも固定子コア30の径方向両側に膨出した膨出部58が設けられている。この膨出部58が設けられた部位の径方向の幅寸法Wは、膨出部57の場合と同様に、スロット収容部51の径方向の幅寸法Lの1.0〜1.1倍の範囲に設定されている。なお、ターン部52M、52Nにも、ターン部52の片側部分と同様に、それぞれ段部55、56および膨出部57、58が設けられている。
固定子巻線40は、図11に示した導線50を48本用いて形成されている。ただし、固定子巻線40に出力線や中性点などを設けるために、渡り部70を設けていない導線50を適宜混在させても良い。したがって、本実施形態では、48本の導線50の全ては、各導線50の両端部に形成された引出し部53a、53bの間において同じ形状に成形されている。
この固定子巻線40を構成する導線50は、ターン部52の略中央部に、ターン部52の径方向厚み分だけ径方向にずれたクランク部54が設けられていることにより、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士は、固定子コア30の中心軸線からの半径距離が、スロット収容部51の径方向厚み分だけ異なっている。また、導線50は、隣り合うスロット収容部51同士の離間距離Xが、導線50の第1スロット収容部51A側から第12スロット収容部51L側に向かうにつれて、徐々に短くなるようにされており、全ての箇所で実質的に異なっている(図8参照)。これらのことから、固定子巻線40は、径方向に重なり合うスロット収容部51が、周方向に位置ずれすることなく径方向一列にストレートな状態に整列するようになるので、真円筒形状により近い形状にすることができる(図6および図7参照)。
この固定子巻線40は、複数の導線の第1スロット収容部51A同士、第2スロット収容部51B同士、・・・、第12スロット収容部51L同士をそれぞれ周方向に連続するスロットに配置するとともに、第1スロット収容部51A同士、第2スロット収容部51B同士、・・・、第12スロット収容部51L同士の固定子コアの中心軸線Oからの半径距離がそれぞれ等しくなるよう配置されているので、固定子巻線40の外径寸法および内径寸法を周方向で均一化することができる。この固定子巻線40は、図13に示すように、それぞれの相が16本の導線50を直列に接続した各相巻線43(U、V、W)をY結線した三相巻線として形成されている。
図14において、各導線50のスロット収容部51は、12個の破線円と放射方向に延びる破線とが交差する位置に配置されており、最外径側と最内径側のみが矩形断面形状で表されている。また、放射方向に1列に並んだスロット収容部51の外側には、それぞれ対応する1〜48のスロット番号が付されている(以後、図15においても同じ)。また、スロット番号の外側には、それぞれのスロットの最外径側(第12層)に、巻回の始端側となる第1スロット収容部51Aが配置される導線の番号が付されている。
各相の巻線を構成する16本の導線50は、8個の同一のスロット31にスロット収容部51が収容される8本の導線50と、それら8個のスロット31とは別の8個の同一のスロット31にスロット収容部51が収容される8本の導線50とに分かれている。例えばU相の場合には、8本の導線(U1−1)〜(U1−4)および(U1−1’)〜(U1−4’)は、外径側から内径側に向かって反時計回りに巻回されて、それぞれのスロット収容部51が、1番スロット、7番スロット、13番スロット、19番スロット、25番スロット、31番スロット、37番スロットおよび43番スロットに収容される。また、他の8本の導線(U2−1)〜(U2−4)および(U2−1’)〜(U2−4’)は、外径側から内径側に向かって反時計回りに巻回されて、それぞれのスロット収容部51が、2番スロット、8番スロット、14番スロット、20番スロット、26番スロット、32番スロット、38番スロットおよび44番スロットに収容される。
なお、図14には、代表として導線(U1−1)の軌跡が示されている。図14において、黒四角で示された部分は導線(U1−1)のスロット収容部51が配置されていることを示し、導線(U1−1)の周方向に延びる太線は、固定子コア30の軸方向一方側(図14の紙面手前側)に位置するターン部52を示し、導線(U1−1)の周方向に延びる二点鎖線は、固定子コア30の軸方向他方側(図14の紙面後側)に位置するターン部52を示す(以後、図15においても同じ)。
この固定子巻線40は、図14に示すように、各スロット31において、8本の導線50のスロット収容部51が径方向に12層、積層された状態になっている。導線(U1−1)は、始端側の第1スロット収容部51Aが1番スロットの最外層(第12層)に位置し、終端側の第12スロット収容部51Lが19番スロットの最内層(第1層)に位置している。
また、固定子巻線40を構成する48本の導線50は、長手方向(周方向)に1スロットピッチずつずれて配置されているので、各導線50の始端側となる第1スロット収容部51Aが、48個の各スロット31の最外層(第12層)に順に収容されている。下記の表1は、1番〜48番の各スロット31において、最外層に位置する導線の番号と、最内層に位置する導線の番号をまとめたものである。
Figure 2011142798
固定子巻線40を構成する導線50は、各導線50の一端側(第1スロット収容部51A側)から他端側(第12スロット収容部51L側)に向かうにつれて、スロット収容部51の固定子コア30の中心軸線Oからの半径距離が順次小さくなっている。本実施形態の場合、各導線50は、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士の固定子コア30の中心軸線Oからの半径方向距離がスロット収容部51の径方向厚み分異なっている。
図15は、固定子巻線40を図14の裏側から見た場合の、1本の導線(U1−4’)の軌跡を示す図である。この導線(U1−4’)は、始端側となる第1スロット収容部51Aが43番スロットの第12層(最外層)に配置され、第2スロット収容部51Bが1番スロットの第11層に配置され、第3スロット収容部51Cが7番スロットの第10層に配置され、第4スロット収容部51Dが13番スロットの第9層に配置され、最終の第12スロット収容部51Lが13番スロットの第1層(最内層)に配置されている。即ち、導線(U1−4’)は、始端側(外径側)から終端側(内径側)に向かうにつれて、スロット収容部51の固定子コア30の中心軸線Oからの半径距離が順次小さくなっている。
よって、固定子コア30の中心軸線Oから、第1スロット収容部51Aまでの半径距離r43と、第2スロット収容部51Bまでの半径距離r1と、第3スロット収容部51Cまでの半径距離r7と、第4スロット収容部51Dまでの半径距離r13は、順次スロット収容部51の径方向厚み分小さくなっており、以後同様に、第12スロット収容部51Lに至るまで、半径距離が順次スロット収容部51の径方向厚み分小さくなっている。すなわち、第1スロット収容部51Aから第12スロット収容部51Lに至るまで、半径距離が順次小さくなるのみで、途中で半径距離が大きくなることはない。
次に、16本の導線50を直列に接続してなる各相巻線43(U、V、W)のうち、代表としてV相の各相巻線43の接続状態を、図13、図16および上記の表1を参照して説明する。なお、U相、W相の各相巻線もV相と同様の接続となっている。図13において出力線Vの始端に位置する導線(V1−1)は、表1および図16に示すように、始端側の第1スロット収容部51Aが5番スロットの最外層(第12層)に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが23番スロットの最内層(第1層)に配置されている。導線(V1−1)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが17番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが35番スロットの第1層に配置された導線(V1−2)の始端側が接続されている。
導線(V1−2)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが29番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが47番スロットの第1層に配置された導線(V1−3)の始端側が接続されている。導線(V1−3)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが41番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが11番スロットの第1層に配置された導線(V1−4)の始端側が接続されている。導線(V1−4)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが6番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが24番スロットの第1層に配置された導線(V2−1)の始端側が接続されている。
導線(V2−1)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが18番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが36番スロットの第1層に配置された導線(V2−2)の始端側が接続されている。導線(V2−2)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが30番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが48番スロットの第1層に配置された導線(V2−3)の始端側が接続されている。導線(V2−3)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが42番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが12番スロットの第1層に配置された導線(V2−4)の始端側が接続されている。
導線(V2−4)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが48番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが18番スロットの第1層に配置された導線(V2−4’)の終端側が接続されている。導線(V2−4’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが36番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが6番スロットの第1層に配置された導線(V2−3’)の終端側が接続されている。導線(V2−3’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが24番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが42番スロットの第1層に配置された導線(V2−2’)の終端側が接続されている。導線(V2−2’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが12番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが30番スロットの第1層に配置された導線(V2−1’)の終端側が接続されている。
導線(V2−1’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが47番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが17番スロットの第1層に配置された導線(V1−4’)の終端側が接続されている。導線(V1−4’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが35番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが5番スロットの第1層に配置された導線(V1−3’)の終端側が接続されている。導線(V1−3’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが23番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが41番スロットの第1層に配置された導線(V1−2’)の終端側が接続されている。導線(V1−2’)の始端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが11番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが29番スロットの第1層に配置された導線(V1−1’)の終端側が接続されている。なお、導線(V1−1’)の始端側は、中性点Vに接続されている。
次に、表1、図11および図16を参照して各導線50の接続状態を説明する。ここでは、代表として2本の導線(V1−1)(V1−2)の接続状態を説明する。一方の導線(V1−1)は、始端側となる第1スロット収容部51Aが5番スロットの最外層(第12層)に配置され、終端側となる第12スロット収容部51Lが23番スロットの最内層(第1層)に配置されている。この導線(V1−1)の終端側に設けられた引出し部53b(内周側端部)は、第12スロット収容部51Lが配置されている23番スロットからターン部52Nの長さ分だけ戻った所(20番スロット付近)に位置している。
そして、他方の導線(V1−2)は、始端側となる第1スロット収容部51Aが17番スロットの最外層(第12層)に配置され、終端側となる第12スロット収容部51Lが35番スロットの最内層(第1層)に配置されている。この導線(V1−2)の始端側に設けられた引出し部53a(外周側端部)は、第1スロット収容部51Aが配置されている17番スロットからターン部52Mの長さ分だけ戻った所(20番スロット付近)に位置している。図6〜図9に示すように、この導線(V1−1)の引出し部53b(内周側端部)は、径方向外方側へ略直角に折り曲げられた後、その先端が、固定子巻線40の外周端部に位置する導線(V1−2)の引出し部53a(外周側端部)の先端部に溶接接合されることにより接続されている。
この溶接接合は、固定子巻線40の最も外径側に位置するターン部52よりも外径側において溶接により接続されている。この場合、導線(V1−1)の引出し部53b(内周側端部)の折り曲げ部は、固定子巻線40の軸方向端面(ターン部52の軸方向外面)上を通る渡り部70を形成しており、2本の導線(V1−1)(V1−2)は、渡り部70を介して接続されている。これにより、内径側に位置するス第12ロット収容部51Lの径方向内方への膨出をより効果的に防止することができるので、内径側に位置する回転子との干渉を回避することが可能となる。
なお、渡り部70は、図2および図8に示すように、渡り部70の径方向両端部が、固定子コア30(固定子巻線40)の中心軸線Oから放射方向に延びる直線に沿って延びるように形成されている。渡り部70の形状をこのようにすることによって、導線の折り曲げを容易にするとともに、溶接接合を容易にすることができる。
また、この渡り部70は、図2および図8に示すように、固定子巻線40の軸方向端面上において、周方向に略3/4周する範囲の領域に設けられている。そして、固定子巻線40の軸方向端面上の残り1/4周する範囲の領域には、中性点V、出力線W、中性点U、出力線V、中性点Wおよび出力線Uの引出し部が順番に並んで設けられている。即ち、固定子巻線40の軸方向端面において、中性点U、V、Wの引出し部と同じ領域に出力線U、V、Wの引出し部が設けられているとともに、渡り部70が設けられる領域と中性点U、V、Wおよび出力線U、V、Wの引出し部が設けられる領域が分離されている。
上記のように構成された固定子巻線40は、外周側から分割コア32が挿入されることによって固定子コア30と組み付けられている(図1〜図3参照)。これにより、固定子巻線40を構成する導線50は、固定子コア30の内周側で周方向に沿って波巻きされた状態に組み付けられている。導線50のターン部52によって接続されたスロット収容部51同士は、所定のスロットピッチ(本実施形態では、3相×2個=6スロットピッチ)だけ離間したスロット31に収容されている。隣り合うスロット収容部51同士を接続するターン部52は、固定子コア30の軸方向の両端面からそれぞれ突出し、その突出している部分によりコイルエンド42が形成されている。
次に、上記のように構成された本実施形態の固定子20の製造方法について説明する。本実施形態の固定子20の製造方法は、図17に示すように、導線形成工程101と、巻き工程102と、固定子巻線形成工程103と、コア組付工程104とからなる。
最初の導線形成工程101では、図18および図19に示すように、治具を用いて、線材50aに対して、スロット31に収容されるスロット収容部51と、周方向に異なるスロット31に収容されるスロット収容部51同士を接続するターン部52とを形成し、図11に示す導線50を作製する。ここで用いられる治具は、線材50aの幅に相当する距離を隔てて対向配置された第1および第2固定治具81、82と、支軸83aに回転可能に取着され、第1および第2固定治具81、82の間に挟持された線材50aを第1固定治具81側へ屈曲させる回転治具83とを備えている。第1固定治具81は、線材50aが屈曲される際に屈曲部が当接する略直角のコーナ部81aを有する。コーナ部81aは、所定の大きさのアール形状とされている。
この治具により、ターン部52を形成するには、図19(A)に示すように、第1および第2固定治具81、82の間に、線材50aのスロット収容部51となる部分を挟持させて、支軸83aを中心にして回転治具83を第1固定治具81側へ回転させる。なお、第1固定治具81と第2固定治具82の対向方向は、固定子コア30の周方向に相当する(図18参照)。これにより、図19(B)に示すように、回転治具83が線材50aを第1固定治具81のコーナ部81aに押し付け、コーナ部81aのアール形状に沿って屈曲させる。
これにより、スロット31から突出するターン部52の突出箇所(スロット収容部51の延長線上の部位)が、スロット収容部51に対して略直角に屈曲され、ターン部52の突出箇所に、固定子コア30の端面に沿った段部55が形成される。このとき形成された屈曲部の内側部分には、スロット収容部51の表面よりも固定子コア30の径方向両側に膨出した膨出部57(図12参照)が形成される。なお、屈曲部の肉厚tは、屈曲部に膨出部57が形成されるのに伴って、線材50aの初期の肉厚Tよりも小さくなっている。
また、上記の治具を上記と同様に操作して、各ターン部52に、固定子コア30の端面に平行な段部56からなる階段部を形成することにより、その階段部の屈曲部の内側部分に、固定子コア30の径方向に膨出する膨出部58(図12参照)を形成する。
次の巻き工程102では、導線形成工程101で作製した導線50を塑性変形させて、所定の大きさの円弧状または渦巻き状に成形する。この巻き工程102では、図20に示すように、導線50が周方向に略1周半する渦巻き状に成形されている。たとえば、平面状の導線50を所定外径を複数持つ円筒状芯材の外周に巻きつけ、外径側から押さえ治具で挟持し塑性変形させ、上記円筒状芯材を1周した後に、上記押さえ治具の外周に同様に所定外径を持つ円筒面を持たせ、ここに平面状の導線50を巻きつけて塑性変形させることによって、成形される。なお、導線50が周方向に1周しない長さの場合には、図21(A)に示すように、導線50は円弧状に成形される。
次の固定子巻線形成工程103では、巻き工程102で渦巻き状に成形された48本の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付け、円筒状の固定子巻線40を形成する。この工程での導線50の組付けは、例えば図21(A)に示すように、2本の導線50をスロットピッチ(隣り合うスロット間の周方向幅)だけずらして、軸方向から組み合わせる。これを繰り返し、複数の導線50を組み付けてなる1つの導線集合体50bに対して1本の導線50を軸方向に相対移動させる様子を、図21(B)に示す。この場合、導線50または導線集合体50bは、弾性変形範囲内において径方向に変形させた状態にされており、それらを軸方向に相対移動させる際に、導線50の干渉が少なくなるようにして軸方向への相対移動がより円滑且つ容易になるようにされている。例えば、図20の導線50において、導線集合体50bの渦巻きの始端部と終端部に、渦巻きを巻き戻す方向に荷重Fを加えることによって、導線50は外径方向に膨らむ。複数の導線50を組み付けた導線集合体50bにおいても、この外径方向に膨らむ動きは同様である。これにより、導線集合体50bの内周側に拡大された隙間に、新たに導線50を軸方向から挿入できるので、両者の干渉を少なくすることが容易となる。なお、導線50を1本ずつ順次組み付けて導線集合体50bを形成することを述べたが、2つの導線集合体50bを作製後、それらの少なくとも一方の導線集合体50bを弾性変形範囲内において径方向に変形させて、両者を軸方向に相対移動させて組み付けてもよい。
また、導線50には、スロット31から突出するターン部52の突出箇所に形成された屈曲部の内側部分に膨出部57が設けられている。そのため、図22に示すように、複数の導線50を軸方向に相対移動させた際には、膨出部57のみが対向する導線50のスロット収容部51と接触する。しかも、移動後は、軸方向に延びる導線50のスロット収容部51同士が、固定子コア30の径方向に離間した状態になる。導線50の絶縁被膜68には、外気が内部の導体67までつながっているピンホールや、外気とつながらない空孔が一定の確率で存在する。この空孔は、絶縁被膜68の表面が摩擦力などによって損傷すると、容易にピンホールとなり得るものである。そして、対向する導線50のピンホールどうしが近い位置に存在し、ここに塩水やシャンプーなどの電解液が侵入すると、電気短絡の不具合を生じる。本発明において、複数の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付けるときに、最も長く擦れ合う可能性の高いスロット収容部51において、膨出部57が無い場合の面接触による摩擦力よりも、膨出部57のある場合の点接触による摩擦力の方が小さい。よって、膨出部57を設けることによって、スロット収容部51の表面を被覆している絶縁被膜68の損傷が低減されるので、対向する絶縁被膜68のピンホールが互いに接近する確率も低減できる。さらに導線50のスロット収容部51同士が膨出部57によって離間しているので、ピンホール間の沿面距離も離すことができる。以上により、スロット31内でのスロット収容部51の絶縁不良を防止できる。
なお、本願発明者が、導線50のスロット収容部51の径方向の幅寸法Lに対する膨出部57、58が設けられた部位の径方向の幅寸法Wの比率と、導線50の軸方向挿入荷重比との関係を調べたところ、図23に示す結果が得られた。ここで、軸方向挿入荷重とは、導線50を1本ずつ軸方向に移動させて順次組み付けて導線集合体50bを形成する場合や、複数の導線集合体50bを作製後にそれらを軸方向に相対移動させて組み付ける時の挿入荷重を示す。それぞれの場合に、(幅寸法W)/(幅寸法L)=1.0における軸方向荷重比を基準値1とすると、(幅寸法W)/(幅寸法L)の比率が1.0から1.1の範囲では軸方向挿入荷重比は殆ど増加しないが、1.1を越えると、導線50の膨出部57、58が設けられている幅寸法Wの大きい部位が径方向に隣接する導線50と干渉し易く、摩擦力も大きくなることにより、導線50の軸方向挿入荷重比が急増することが解る。(幅寸法W)/(幅寸法L)の比率が1.1を超えると、導線50および導線集合体50bを、弾性変形範囲内において径方向に変形させても挿入しにくくなり、さらに変形させると塑性変形となり、スロット収容部51の位置ずれが発生するなどの新たな問題が生じる。また、挿入荷重が大きい状態で製作すると、導線50の絶縁皮膜68への損傷による絶縁不良の問題も生じやすくなる。よって、(幅寸法W)/(幅寸法L)の比率を1を越え、1.1以下の範囲に設定することにより、上記の問題を防止できる。
また、導線50のターン部52に形成された階段部の屈曲部の内側部分にも膨出部58が設けられている。図22(C)に、1本の導線50を軸方向から見た時の、膨出部57、58を示す。これにより、複数の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付けた状態において、ターン部52同士の径方向の離間を確保することによって、ターン部52の絶縁被膜68におけるピンホールの沿面距離を遠くすることができる。これにより、径方向に隣接するターン部52での各導線50の絶縁不良を防止できる。
以上のようにして48本の導線50の組付けを行った後、所定の導線50の引出し部53a、53bを溶接で接続することにより、図6〜図9に示す固定子巻線40が得られる。この固定子巻線40は、48本の導線50を互いに軸方向に相対移動させることにより組み付けられているので、スロット収容部51の位置ずれや固定子巻線40の形くずれ等の発生が回避されている。
次のコア組付工程104では、固定子巻線形成工程103で形成された固定子巻線40と固定子コア30との組付けを行う。この場合、円筒状に形成された固定子巻線40に対して、所定数の分割コア32を外周側から挿入して円環状に組み付けることで、図1〜図3に示す固定子20が完成する。
以上のように、本実施形態の固定子によれば、導線50のスロット収容部51の延長線上の部位に膨出部57が設けられているため、複数の導線50を組み付けて円筒状の固定子巻線40を形成する際に、隣接する導線50のスロット収容部51同士を径方向に離間させることができる。これにより、スロット収容部51の表面を被覆している絶縁被膜68の損傷発生を防止することができるので、スロット51内でのスロット収容部51の絶縁不良を防止することができる。この膨出部57は、スロット31から突出するターン部52の突出箇所に設けられた屈曲部に設けられているので、その屈曲部を形成する際に膨出部57を簡易に形成することができる。
さらに、本実施形態では、ターン部52の階段部の屈曲部にも膨出部58が設けられているので、複数の導線50を組み付けることにより固定子巻線40を形成するときに、導線50のスロット収容部51同士の径方向への離間状態をより確実に実現し、絶縁不良防止効果をより高めることができる。
また、本実施形態では、導線50は、第1スロット収容部51Aがスロット31の最も外径側に配置され、第12スロット収容部51Lがスロット31の最も内径側に配置されており、固定子巻線40を形成する各相巻線は、16本の導線50により構成され、一方の導線50の第1スロット収容部51Aに接続される外周側端部と他方の導線50の第12スロット収容部51Lに接続される内周側端部とが接続されて、1つの相の巻線が形成されている。そのため、1本の導線50の長さを短くすることができることから、固定子巻線40を製造する際のハンドリングが向上して製造効率を向上できるので、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の固定子巻線40は、周方向にずらして固定子コア30に巻回される複数の導線50のそれぞれを、固定子コア30に巻回されたときの予定寸法の形状に塑性変形させた後、固定子コア30の軸方向に相対移動させて組み付けることにより形成されている。
そのため、例えば、導線50を渦巻き状に巻き付けて固定子巻線40を形成する場合のように、大きなスプリングバック(弾性復帰作用)が発生することがない。そのため、複数の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付ける際に、それぞれの導線50の位置合わせを容易に行うことが可能となるので、スロット収容部51の位置ずれや固定子巻線40の形くずれ等の発生を回避することができる。また、導線50を渦巻き状に巻き付ける場合のように、大型の設備を必要としないため、製造コストの低減も可能となる。
特に、本実施形態では、複数の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付けるときに、軸方向に延びるスロット収容部51同士を、スロット収容部51の延長線上の部位に設けられた膨出部57により、径方向に離間させることができるようにしている。そのため、複数の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付けるときに、最も長く擦れ合う可能性の高いスロット収容部51表面を被覆している絶縁被膜68の損傷発生を防止することができるので、膨出部57を設けたことによる絶縁不良防止効果をより確実に発揮させることができる。
そして、本実施形態では、導線50のスロット収容部51の径方向の幅寸法Lに対する膨出部57、58が設けられた部位の径方向の幅寸法Wの比率を、1以上かつ1.1以下としているので、絶縁の信頼性を確保しつつ、導線の軸方向挿入による組み付けを可能とし、製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態の固定子巻線40は、複数の導線50が固定子巻線40の周方向にスロット31の離間距離だけずらして配置されることにより三相に形成されていることから、1本の導線が長さの短い連続線であるため、多相の固定子巻線を簡単かつ容易に形成することができる。
〔他の実施形態〕
導線50の両端に設けられた引出し部53a、53bの形状の変形例を説明する。導線50の両端に設けられる引出し部53a、53bは、例えば図24(A)(B)および図25(A)(B)に示す変形例1〜4のように設けることができる。図24(A)に示す変形例1の場合には、両方の引出し部53a、53bは、両端に位置する第1および第12スロット収容部51A、51Lの端末からそれぞれ外側へ向かって延びるように、略半分の長さに形成されたターン部52M、52Nを介して形成されている。図24(B)に示す変形例2の場合には、一方の引出し部53aは、第1スロット収容部51Aの端末から外側へ向かって延びるように、略半分の長さに形成されたターン部52Mを介して形成され、他方の引出し部53bは、第12スロット収容部51Lの端末から内側へ戻るように、略半分の長さに形成されたターン部52Nを介して形成されている。
そして、図25(A)に示す変形例3の場合には、一方の引出し部53aは、第1スロット収容部51Aの端末から内側へ戻るように、略半分の長さに形成されたターン部52Mを介して形成され、他方の引出し部53bは、第12スロット収容部51Lの端末から外側へ向かって延びるように、略半分の長さに形成されたターン部52Nを介して形成されている。
また、図25(B)に示す変形例4の場合には、両方の引出し部53a、53bは、両端に位置する第1および第12スロット収容部51A、51Lの端末からそれぞれ直接、延長するように形成されている。
また、上記の実施形態では、図12に示したように、ターン部52の略中央部のクランク部54と、ターン部52の突出箇所に形成した段部55との間に、それぞれ2個の段部56が形成されていたが、ターン部52の形状を図26に示す形状に変更した変形例5のようにすることもできる。変形例5では、ターン部52の略中央部のクランク部54と、ターン部52の突出箇所に形成した段部55との間に、段部56が形成されていない。このようなターン部52の形状とすることで、ターン部52の形状および加工を簡易なものにすることができる。
なお、ターン部52の形状は、図12や図26の形状に限らず、種々の形状を採用することができる。例えば、ターン部52の略中央部のクランク部54のクランク形状によるずれ量(径方向への変位量)がスロット収容部51の径方向厚み分であるものを、スロット収容部51の径方向厚みの0.5倍や1.5倍あるいは2倍としても良い。このようにクランク形状を変更した場合、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士の固定子コア30の中心軸線Oからの半径距離も同様にスロット収容部51の径方向厚みの0.5倍や1.5倍あるいは2倍異なるものになる。
また、上記の実施形態では、図11に示したように、導線50の両端部にそれぞれ形成された引出し部53a、53bと、それら引出し部53a、53bに最も近い所に位置するスロット収容部51A、51Lとの間にそれぞれ設けられた略半分のターン部52M、52Nは、曲げ加工により段部が形成されているが、図27に示す変形例6のように、ターン部52M、52Nに段部を形成することなく、ストレート状にしてもよい。このようにターン部52M、52Nをストレート状にすることで、引出し部53a、53bを所定の位置に精度良く設けることができる。なお、変形例6では、両方のターン部52M、52Nがストレート状に形成されているが、両方のターン部52M、52Nのうちのいずれか一方のみをストレート状にするようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、固定子コア40の中心軸線Oからスロット収容部51までの半径距離rが、始端側の第1スロット収容部51Aから終端側の第12スロット収容部51Lに向かうにつれて順次小さくなる構成であったが、逆に、始端側の第1スロット収容部51Aから終端側の第12スロット収容部51Lに向かうにつれて順次大きくし、始端側をスロットの最内層に収容して終端側を最外周に収容する構成としても良い。
20…固定子、 30…固定子コア、 30a…端面、 31…スロット、 40…固定子巻線、 43…各相巻線、 50…導線、 50b…導線集合体、 51…スロット収容部、 52…ターン部、 53a…引出し部(外周側端部)、53b…引出し部(内周側端部)、 54…クランク部、 55、56…段部、 57、57a、58…膨出部、 67…導体、 68…絶縁皮膜、 70、70B…渡り部、 W…導線の膨出部が設けられた部位の径方向の幅寸法、 L…導線のスロット収容部の径方向の幅寸法。

Claims (7)

  1. 周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、周方向の異なる前記スロットに配置されるスロット収容部と前記スロットの外部で前記スロット収容部同士を接続しているターン部とを有する複数の導線からなる固定子巻線と、を備えた回転電機の固定子において、
    前記導線は、一端側に位置する第1スロット収容部から順に周方向に離間した前記スロットにそれぞれ収容される第2スロット収容部、第3スロット収容部、・・・、第n(nは4以上の自然数)スロット収容部と、前記固定子コアの軸方向一端側における前記スロットの外部と前記固定子コアの軸方向他端側における前記スロットの外部とで交互に前記スロット収容部同士を接続する前記第1ターン部、前記第2ターン部、・・・、前記第(n−1)スロット収容部と前記第nスロット収容部を接続する第(n−1)ターン部とを有し、前記第1スロット収容部から前記第nスロット収容部の前記固定子コアの中心軸線からの半径距離が順次大きく又は順次小さくなるよう配置された連続線とされているとともに、
    前記導線の前記スロット収容部または前記スロット収容部の延長線上の部位に、前記スロット収容部の表面よりも前記固定子コアの径方向に膨出する膨出部を有することを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記導線の前記スロットから突出する前記ターン部の突出箇所に、前記固定子コアの端面に沿った段部が形成されるように屈曲部が設けられ、前記膨出部は、前記屈曲部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記ターン部は、前記固定子コアの端面に平行な段部が前記固定子コアの軸方向に複数形成された階段部を有し、前記階段部の屈曲部に前記固定子コアの径方向に膨出する膨出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記導線は、前記第1スロット収容部が前記スロットの最も外径側に配置され、前記第nスロット収容部が前記スロットの最も内径側に配置されており、前記固定子巻線を形成する各相巻線は、少なくとも2つの前記導線を有するとともに、一方の前記導線の前記第1スロット収容部に接続される外周側端部と他方の前記導線の第nスロット収容部に接続される内周側端部とが接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記固定子巻線は、周方向にずらして前記固定子コアに巻回される複数の前記導線のそれぞれを、前記固定子コアに巻回されたときの予定寸法の形状に塑性変形させた後、前記固定子コアの軸方向に相対移動させて組み付けることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機の固定子。
  6. 前記導線の前記スロット収容部の径方向の幅寸法Lに対する前記膨出部が設けられた部位の径方向の幅寸法Wの比率は、1を越え、1.1以下であることを特徴とする請求項5に記載の回転電機の固定子。
  7. 前記固定子巻線は、複数の前記導線が前記固定子巻線の周方向に前記スロットの離間距離だけずらして配置されることにより多相に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転電機の固定子。
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