JP2011142099A - ポリテトラフルオロエチレン製多孔質吸着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】水分の影響による有機EL構造体の劣化を効果的に防止し、長時間駆動しても初期の性能を維持できる有機EL素子に用いる多孔質吸着シートを提供する。
【解決手段】多孔質吸着シート4は、多孔質化したポリテトラフルオロエチレン樹脂をバインダー樹脂として含み、CaO、MgO、SrO、及びBaOから選択される少なくとも1種を吸湿性化学吸着剤として含み、有機EL素子に用いられるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、水分の影響を受け難く耐久性の優れた多孔質吸着シートに関する。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、有機発光材料層を一対の対向電極で挟んだ構造体からなり、この有機発光材料層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機発光材料層内で電子と正孔とが結合して発光が生ずる。この有機EL素子は、発光層の厚さを薄くすることにより低電圧での駆動が可能で応答も速いこと、輝度が注入電流に比例するため高輝度のEL素子を得ることができること、有機発光材料層の種類を変えることによりフルカラーにできること、自己発光性であるため視認性が高く視野角依存性が低いこと、耐衝撃性に優れていること等の利点から、現在主流のブラウン管ディスプレイや液晶表示ディスプレイに代わる次世代のディスプレイとして注目されている。しかし、このような有機EL素子は、長時間駆動すると、発光輝度や発光の均一性等の発光特性が、初期に比べて著しく低下してしまうことが知られている。性能低下の主な原因は、水分の影響である。有機EL素子の表面に付着している水分や、時間とともに外部から有機EL素子内に侵入した水分は、有機発光材料層と陰極との間の剥離を引き起こし、その結果、通電しなくなる部分で黒点(発光しない部分)が発生する。
従来、有機EL素子の性能低下を防止するために、水分の影響を防ぐ観点から様々な発明が為されてきた。これらの従来公知の発明は、(1)有機EL構造体を封止して外部からの水分の侵入を防ぐものと、(2)有機EL構造体を封止し、且つ有機EL構造体を封止したケース内に吸湿剤を配置することにより、外部からの水分の侵入を防ぎつつ、有機EL構造体を封止したケース内の水分を吸湿するものとに大別される。(1)に属する発明として、例えば、特許文献1では、互いに対向する2つの電極間に蛍光性の有機固体からなる発光層が少なくとも介在してなる積層構造体を有する有機EL素子の前記積層構造体の外表面に、電気絶縁性高分子化合物からなる保護層を設けた後、この保護層の外側に、電気絶縁性ガラス、電気絶縁性高分子化合物および電気絶縁性気密流体からなる群より選択される1つからなるシールド層を設けた有機EL素子の封止方法が開示されている。この方法では、従来一般的に用いられていた有機EL構造体を単にケースで密封する方法に比べて、ケース内に初めから存在していた水分の影響を受け難いという利点があるが、時間の経過とともに外部から侵入する水分の影響を完全に防ぐことは困難であり、又保護層とシールド層の形成のために、蒸着工程やコーティング工程が必要で、製造コストが高いという問題があった。また、(1)の方法では、有機EL構造体を単にケースで封止しただけでは、ケース内に存在しいていた水分の影響を受けること、有機EL構造体を完全に封止するにはコストがかかりすぎること、長時間にわたって水分の侵入を完全に防ぐことが困難なこと等から、現在では(2)の方法が主流となりつつある。
一方、(2)に属する発明として、特許文献2では、有機EL構造体を封止したケース内に、有機EL構造体から隔離して五酸化ニリンを配置した有機EL素子が開示されている。しかし、五酸化ニリンは水分を吸収して潮解し、リン酸となり、有機EL構造体に悪影響を及ぼしてしまう。また、粉末状の五酸化ニリンは、製造工程中で有機EL素子内を汚染する場合があり、取扱いが難しい。
特許文献3では、有機EL構造体を封止したケース内に、吸湿剤を混ぜたフルオロカーボン油を封入した有機EL素子が開示されている。しかし、この方法では、フルオロカーボン油を封止する必要があり、工程が煩雑になる。また、有機EL素子を組み込んだ携帯電話等の製品を落下すると、封止したフルオロカーボンが有機EL素子の外部に漏れ出す恐れがあった。
特許文献4では、有機EL構造体を封止したケース内に、有機EL構造体から隔離して化学的に水分を吸着するとともに吸湿しても固体状態を維持する化合物を配置した有機EL素子が開示されている。この発明では、化合物をケース内に固定する方法が具体的に開示されていないが、実施例で記載されている酸化バリウムや硫酸カルシウムは粉末状であり、これらの粉末をケース内に固定するには工程が煩雑になる。また、粉末では有機EL素子内を汚染する場合があり、取扱いが難しい。また、これらの化学吸着材の粉末は水と反応して激しく発熱するため、有機EL素子内部に水が浸入した場合を想定すると、安全性に問題があった。
さらに、特許文献5では、有機EL構造体を封止したケース内に、低吸湿性の高分子有機化合物と乾燥剤との混合物をケース内表面に塗布する方法が開示されている。この方法によれば、乾燥剤をケース内に固定するのは比較的容易であるが、透湿性のない高分子有機化合物を溶解して乾燥剤と混合塗布することにより得られた樹脂層では、乾燥剤が高分子有機化合物に取り込まれてしまい、吸着能力が極端に低下してしまうため、実用的でない。特許文献6では、前記高分子有機化合物として透湿性のあるシリコーン化合物を用いる方法が開示されており、特許文献7における乾燥剤の吸着能力が低下するという問題を解決するための試みをしているが、乾燥剤粒子がシリコーン樹脂で被覆され、空気と直接触れる構造ではないため、やはり乾燥剤の吸着能力が大幅に低下するという問題があった。
以上のように従来の技術では、有機EL素子の水分の影響による性能低下の問題に対して、吸湿能力が不十分であったり、ある程度の効果があっても工程が煩雑になりコストがかかるといった問題を有していた。
特開平5−36475号公報 特開平3−261091号公報 特開平5−114486号公報 特開平9−148066号公報 特開2000−195660号公報 特開2000−277254号公報 特開2000−195660号公報
本発明は、水分の影響による有機EL構造体の劣化を効果的に防止し、長時間駆動しても初期の性能を維持できる有機EL素子を提供するとともに、それに用いる多孔質吸着シートを提供することをその課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す有機EL素子及びそれに用いる多孔質吸着シートが提供される。なお特許請求の範囲では、下記で開示された本発明のうち、多孔質吸着シートの一部について記載した。
(1)基板と該基板上に形成された有機EL構造体と該有機EL構造体を外気から遮断する封止部材からなる有機EL素子であって、該有機EL構造体と該封止部材との間に、バインダー樹脂と吸湿性吸着材からなる多孔質吸着シートが配設されていることを特徴とする有機EL素子。
(2)該吸着シートの少なくとも一方の表面に、通気性シートが積層又は被覆されている前記(1)に記載の有機EL素子。
(3)該通気性シートが、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである前記(2)に記載の有機EL素子。
(4)該多孔質吸着シートが、両面粘着シートによって該封止材料に貼着されたものである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機EL素子。
(5)該両面粘着シートが、プラスチック製又は金属製基材の両面に粘着材を添着したものである前記(4)に記載の有機EL素子。
(6)基板と該基板上に形成された有機EL構造体と該有機EL構造体を外気から遮断する封止部材からなる有機EL素子であって、該有機EL構造体と該封止部材との間に、バインダー樹脂と吸湿性吸着材からなる多孔質吸着シートとクッション材との積層シートが配設されていることを特徴とする有機EL素子。
(7)該クッション材が、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである前記(6)に記載の有機EL素子。
(8)該バインダー樹脂が、フッ素系樹脂又はポリオレフィン系樹脂である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の有機EL素子。
(9)該バインダー樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンである前記(8)に記載の有機EL素子。
(10)該吸着材が、化学吸着材である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の有機EL素子。
(11)該吸着材が、化学吸着材と活性炭とを含有する前記(1)〜(9)のいずれかに記載の有機EL素子。
(12)該吸着材が、化学吸着材と酸素吸着材とを含有する前記(1)〜(9)のいずれかに記載の有機EL素子。
(13)該酸素吸着材が、鉄粉である前記(12)に記載の有機EL素子。
(14)該化学吸着材が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、金属硫酸塩及び金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種である前記(10)〜(13)のいずれかに記載の有機EL素子。
(15)該化学吸着材が、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるか又は酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる少なくとも1種を含む化学吸着材の混合物からなる前記(10)〜(13)のいずれかに記載の有機EL素子。
(16)該多孔質吸着シートのガーレー数が13000秒以下である前記(1)〜(15)のいずれかに記載の有機EL素子。
(17)基板と該基板上に形成された有機EL構造体と該有機EL構造体を外気から遮断する封止部材からなる有機EL素子に用いられる吸着シートであって、バインダー樹脂と吸湿性吸着材からなることを特徴とする多孔質吸着シート。
(18)該吸着シートの少なくとも一方の表面に、通気性シートが積層又は被覆されている前記(17)に記載の多孔質吸着シート。
(19)該通気性シートが、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである前記(18)に記載の多孔質吸着シート。
(20)該シートの少なくとも一方の面にクッション材が積層されている前記(17)〜(19)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(21)該クッション材が、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである前記(20)に記載の多孔質吸着シート。
(22)該バインダー樹脂が、フッ素系樹脂又はポリオレフィン系樹脂である前記(17)〜(21)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(23)該バインダー樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンである前記(22)に記載の多孔質吸着シート。
(24)該吸着材が、化学吸着材である前記(17)〜(23)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(25)該吸着材が、化学吸着材と活性炭とを含有する前記(17)〜(24)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(26)該吸着材が、化学吸着材と酸素吸着材とを含有する前記(17)〜(24)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(27)該酸素吸着材が、鉄粉である前記(26)に記載の多孔質吸着シート。
(28)該化学吸着材が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、金属硫酸塩及び金属ハロゲン化物の中から選ばれる少なくとも1種である前記(24)〜(27)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(29)該化学吸着材が、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるか又は酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる少なくとも1種を含む化学吸着材の混合物からなる前記(24)〜(27)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
(30)ガーレー数が13000秒以下である前記(1)〜(29)のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
本発明の有機EL素子は、前記構成としたので、有機EL素子内部の残留水分や、有機EL素子外部から微量に侵入してくる水分を確実に吸着することが可能で、長時間使用しても性能低下の少ない有機EL素子が提供できる。また、本発明による多孔質吸着シートは、薄膜化が可能で、吸着材からの発塵が無く、クッション材を介装して有機EL構造体と着設することが可能であり、さらに万一水が有機EL素子内に侵入しても、水と激しく反応して発煙することが無いため、薄型で、安全性の高い有機EL素子を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明の第8の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。 本発明に係る粘着材の一実施形態を示す断面図である。
本発明は、基板と該基板上に形成された有機EL構造体と該有機EL構造体を外気から遮断する封止部材からなる有機EL素子において、その有機EL構造体とその封止部材との間に、バインダー樹脂と吸着材からなる多孔質吸着シートを配設したことを特徴とする。
本発明で用いる有機EL構造体(電界発光体)は、電気的刺激により発光を生じる有機化合物であり、ディスプレイ材料として使用可能なものである。本発明では、従来公知の各種のものを使用することができる。このような有機EL構造体については、例えば、文献「C.W.Tang and S.A.VanSlyke:Appl. Phys. Lett. 51,913(1987)」に詳述されている。
本発明の有機EL素子では、有機EL構造体とその封止部材との間に、多孔質吸着シートを配設するが、このシートは、バインダー樹脂と吸湿性吸着材からなる。本発明によるこの多孔質吸着シートを好ましく製造するには、バインダー樹脂粉末と吸湿性吸着材粉末とを混合し、この混合物をシート状に押出し成形する。
前記バインダー樹脂粉末としては、従来公知の各種の熱可塑性樹脂からなる粉末が用いられる。このようなバインダー樹脂としては、フッ素樹脂系{例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン系不飽和単量体との共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等}や、ポリオレフィン樹脂系{例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等}等の樹脂の粉末が適宜用いられるが、その中でもポリテトラフルオロエチレン樹脂のファインパウダーが、成形後のシート材料が多孔質化し、吸着材粉末が空気に露出した構造となり易く、又耐熱性、耐薬品性にも優れるため好ましい。バインダー樹脂粉末の平均粒径は、吸着材粉末と混合しやすい粒径であればよく、特に制約されないが、通常、10nm〜1mm、好ましくは1〜500μm程度である。
前記吸湿性吸着材粉末は、少なくとも空気中に含まれる水分を吸湿し得るものであればよく、好ましくは、さらに酸性物質(SOx、NOx、HCl等)等に対して吸着性を示すものであればよく、化学的又は物理的あるいは化学物理的な吸着作用を有するものが適用される。本発明で好ましく用いる化学吸着材としては、アルカリ金属酸化物(Na2O、K2O等)、アルカリ土類金属酸化物(CaO、MgO、SrO、BaO等)、金属ハロゲン化物(CaCl2、MgCl2、CrCl2、FeCl2、NiCl2等)、金属硫酸塩(CaSO4、MgSO4、FeSO4、NiSO4、等)、過塩素酸塩(KClO4、NaClO4、Fe(ClO4)2、Co(ClO4)2、Ca(ClO4)2、Mg(ClO4)2、Ba(ClO4)2、Mn(ClO4)2等)等が挙げられる。本発明では、前記化学吸着材を単独で用いても、1種又は2種以上の混合物を用いてもよい。本発明では、特に、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる1種又は2種以上の混合物を使用するか又は酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムの中から選ばれる少なくとも1種を含む化学吸着材の混合物の使用が好ましい。これらのものは、特に、吸湿速度が速いという特徴を有する。物理吸着材としては、活性炭やゼオライト、アルミナ、ボリア、チタニア、シリカゲル、セピオライト、活性白土等が挙げられる。本発明においては、化学吸着材と物理吸着材との混合物、好ましくは化学吸着材と活性炭との混合物を用いる。この化学吸着材と活性炭との混合物において、その活性炭の割合は、化学吸着材100重量部当り、0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合である。
本発明で用いる吸着材は、酸素吸着材を含有することができる。酸素吸着材としては、従来公知の各種のもの、例えば、金属や金属酸化物の粉末、特に、鉄粉や酸化鉄(FeO)の粉末を用いることができる。酸素吸着材は、化学吸着材100重量部当り、0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の割合である。
本発明で用いる吸着材粉末の粒径は、多孔質吸着シートの厚さとの関係で決めるのがよい。一般的には、吸着材の平均粒径が、該シートの厚さに対して3/4以下、好ましくは2/3以下になるように決めるのがよい。吸着材の平均粒径の下限値は、特に制約されないが、通常10μm程度である。本発明で用いる酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム等の化学吸着材の平均粒径は、0.1〜500μm、好ましくは1〜300μmの範囲にするのがよい。
バインダー樹脂と吸着材の混合重量比(バインダー樹脂:吸着材)は、2:98〜90:10、好ましくは4:96〜80:20の範囲で用いられる。2:98よりもバインダー樹脂の配合比が小さいとシート化ができず、90:10よりもバインダー樹脂の配合比が大きいと吸湿性能が不十分となる。多孔質吸着シートの厚さは、0.02〜2mm、好ましくは0.05〜0.5mmである。その厚さが0.02mmよりも薄いと、吸着材の充填量が十分にとれなくなり、又、製造上の取扱いが困難となる。厚さが2mmよりも厚いと、コストが高くなり、又、有機EL素子全体の厚さが厚くなるため、携帯電話やモバイル端末等、小型化が要求される用途に適さなくなる。
多孔質吸着シートの通気度は、ガーレー数(100ccの空気が12.4mmH2Oの圧力差で6.45cm2の面積のサンプルを通り抜けるのに要する時間)で13000秒以下、好ましくは10000秒以下のものを用いることができる。ガーレー数が13000秒を超えると、シートに空隙部分が少なくなって、シート内部の吸着材粒子が空気に触れることができず、シートの吸湿性能が損なわれる。多孔質吸着シートのガーレー数が低いほど、吸着材粒子の空気への露出面積が大きくなるため好ましい。そのガーレー数の下限値は、特に制約されないが、通常、10秒程度である。本発明で用いる多孔質吸着シートにおいて、そのガーレー数は、吸着材の平均粒径やその配合割合及びその吸着シートの延伸割合等で適宜調節することができる。本発明の多孔質吸着シートは、水分吸着性にすぐれたものであり、しかもその吸湿速度も速い。その上、このシート上に水滴を落としても、その水滴と吸着材との直接接触が防止されるので、吸着材と水滴との反応による発熱を生じるようなこともない。
本発明で用いる多孔質吸着シートは、少なくともその有機EL構造体と対向する面に、通気性シートを積層又は被覆させた積層シートとするのが好ましい。多孔質吸着シートの表面を通気性シートで積層又は被覆させることにより、多孔質吸着シートから吸着材粒子が離脱して有機EL構造体表面を汚染するのを防ぐことができる。
通気性シートは、吸着材粒子を通さず、且つガスや湿気を通す素材であれば適宜用いることができ、例えば、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、フッ素樹脂系繊維、ガラス繊維のような無機系繊維等を用いた不織布、織布、ペーパー等;フッ素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の多孔質樹脂フィルム;ポリウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の充実構造を有する透湿性樹脂フィルム;ポリウレタン樹脂系、メラミン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系等のフォーム材等を用いることができる。特に、多孔質樹脂フィルムが、薄膜化が可能で、発塵しにくく、透湿性に優れていることから好ましく用いることができ、中でもポリテトラフルオロエチレン樹脂の多孔質フィルム(多孔質PTFEフィルム)が耐熱性、耐薬品性に優れ、発塵しないため特に好ましく用いることができる。多孔質樹脂フィルムの最大細孔径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μmである。多孔質樹脂フィルムの最大細孔径が0.01μmより小さいと膜製造上の困難さがあり、逆に10μmを超えると吸着材粉末が透過するため好ましくない。多孔質樹脂フィルムの空孔率は、30〜98%、好ましくは60〜95%である。多孔質樹脂フィルムの空孔率が30%より小さいと水蒸気の透過量が少なくなって、吸着材シートの吸湿性能を阻害し、逆に98%を超えると膜の強度が低下するため、製造上の取扱いが困難となる。
尚、最大細孔径の測定方法は、ASTM F−316の規定、空孔率の測定方法は、JIS K 6885の見掛け密度測定に準拠し、測定した見掛け密度(ρ)より次式で計算して求めたものである。
空孔率(%)=(2.2−ρ)/2.2×100 (1)
また、多孔質樹脂フィルムの厚さは、5〜300μm、好ましくは10〜150μmが適当である。多孔質樹脂フィルムの厚さが5μmより薄いと製造時の取扱い性に問題が生じ、300μmを超えるとコストが高くなり、又、水蒸気の透過効率が低下し、吸着材シートの吸湿性能を阻害してしまう。尚、フィルムの厚さの測定は、ダイヤルゲージで測定した平均厚さ(テクノロック社製1/1000mmダイヤルシックネスゲージを用い、本体バネ荷重以外の荷重をかけない状態で測定した)による。
通気性シートと多孔質吸着シートとの積層体の形成方法は、通気性シートが多孔質吸着シートの表面(有機EL構造体側)をカバーできる方法であればよく、あらかじめ多孔質吸着シートの片面に積層させる方法や、封止部材に多孔質吸着シートを貼着する際に、通気性シートで多孔質吸着シートを覆い、通気性シートが多孔質吸着シートからはみ出した部分(多孔質吸着シートの周縁部)で通気性シートを封止部材と貼着固定する方法等がある。また、封止部材に設けられた窪み部に多孔質吸着シートを配置し、該窪み部の段差部に粘着材を用いて通気性シートを貼着固定する方法でもよい。
多孔質吸着シートと通気性シートをあらかじめ積層するには、押出し成形した多孔質吸着シートの片面に接着法、又は熱融着法により通気性シートを貼り合わせればよい。接着法による場合は、多孔質吸着シート、又は通気性シートの積層面にグラビアロール等で接着剤を部分的に転写して貼り合わせる。この際、接着剤の転写面積は3〜95%、好ましくは10〜80%である。3%未満では十分な接着強度が得られず、95%超では接着面で透湿性が阻害されてしまうため、多孔質吸着シートの吸湿能力が損なわれる。一方、熱融着法による場合は、多孔質吸着シートと通気性シートを重ね合わせた状態でヒートロール間を通し、ヒートロールにより熱と圧力をかけて、多孔質吸着シートのバインダー樹脂、又は通気性シートの積層面を部分的に溶かして融着する。多孔質吸着シートと通気性シートが融着しにくい材料の場合は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂のシート、又はネット等を多孔質吸着シートと通気性シートとの間に挟み込んでヒートロールに通せばよい。熱可塑性樹脂のシート又はネット等を用いる場合、前記接着剤を用いる場合と同じで、融着部の面積が3〜95%、好ましくは10〜80%となるようにする。
次に、本発明を図面を参照して詳述する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。有機EL構造体2は基板1上に形成され、封止部材3で封止されており、多孔質吸着シート4が封止部材3の上部内側表面に粘着材5により貼着されている。図2は、本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。多孔質吸着シート4は封止部材3の側面部内側表面に粘着材5により貼着されている。図3は、本発明の第3の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。多孔質吸着シート4は封止部材3に設けられた突起部9に嵌め込まれて、封止部材3の上部内側に固定されている。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。有機EL構造体2は基板1上に形成され、封止部材3で封止されており、多孔質吸着シート4と通気性シート6の2層積層シートが、通気性シート6側を有機EL構造体2側に向けた状態で、封止部材3の上部内側表面に粘着材5により貼着されている。図5は、本発明の第5の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。有機EL構造体2は基板1上に形成され、封止部材3で封止されており、多孔質吸着シート4が封止部材3の上部内側表面に粘着材5により貼着されている。また、該多孔質吸着シートの表面(有機EL構造体側)が通気性シート6でカバーされており、該通気性シート6は、多孔質吸着シート4の外周部で、封止部材3と粘着材5により貼着されている。図6は、本発明の第6の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。多孔質吸着シート4は封止部材3に設けられた窪み部10と通気性シート6との間の空間に配置されている。通気性シートは、粘着材5により封止部材3の段差部に貼着されている。
図7は、本発明の第7の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。有機EL構造体2は基板1上に形成され、封止部材3で封止されており、多孔質吸着シート4とクッション材7の2層積層シートが、クッション材7側を有機EL構造体2に接触した状態で、封止部材3の上部内側表面に粘着材5により貼着されている。図8は、本発明の第8の実施形態に係る有機EL素子を示す断面図である。有機EL構造体2は基板1上に形成され、封止部材3と多孔質吸着シート4とクッション材7の3層積層シートにより被覆され、該3層積層シートの周縁部が接着剤8により封止されている。
前記封止部材3は、カバー状で、基板に取り付けて有機EL構造体を密封することができる構造のものであれば適宜使用できる。その材質は、ステンレス、チタン、アルミなどの金属や、ガラス、石英、プラスチック等の材料が適宜使用できる。基板1は、従来公知のものを適宜使用でき、特に限定されない。封止部材3と基板1との接合は、封止部材と基板との間の隙間を埋めて、封止部材と基板とにより、内部を完全に密封固定できるものであれば適宜用いることができるが、接着剤が好ましく用いられる。この場合の接着剤は、熱硬化型、化学反応型、光硬化型等の接着剤を適宜用いることができるが、光硬化型の接着剤が、加熱の必要がなく、有機EL構造体への影響が少ないため好ましく用いられる。光硬化型の接着剤としては、従来公知の接着剤が適宜用いられるが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤が、ガス発生が少なく好ましく用いられる。
多孔質吸着シート4は、封止部材3と有機EL構造体2の間に配置される。多孔質吸着シートの配置場所は、多孔質吸着シートの所定の吸湿性能が達成できればよく、特に限定されない。図1、3〜7は、多孔質吸着シート4を封止部材3の上部に部分的に使用した例を示し、図2は、多孔質吸着シート4を封止部材2の側面部内側表面に部分的に使用した例を示す。有機EL素子が非常に小型で、多孔質吸着シートの面積、厚みが十分に取れないような場合には、封止部材の内側全面に貼着してもよい。
多孔質吸着シート4の形状は、特に限定されず、封止部材の形状に合わせてもよいし、円形、四角形、星型等に打ち抜いたものでもよい。また、多孔質吸着シートを封止部材の内側表面に部分的に用いる場合は、1枚の多孔質吸着シートを1ヵ所に貼着してもよいし、複数枚の多孔質吸着シートを複数箇所に貼着してもよい。多孔質吸着シート4を封止部材3の内側表面に貼着する方法は、接着剤を用いた接着、熱可塑性樹脂を用いた融着、粘着材を用いた粘着等、適宜の方法を用いることができるが、粘着材を用いる方法が、簡便で作業性に優れるため好ましい。
粘着材5は、アクリル系、ゴム系等、従来公知のものが適宜使用できるが、アクリル系粘着材が耐熱性に優れており好ましく用いられる。粘着材の耐熱温度は80℃以上、好ましくは120℃以上のものが用いられる。耐熱性が80℃以下では、使用時の熱負荷により封止部材から多孔質吸着シートが剥れてしまう場合がある。粘着材の厚さは、25〜500μm、好ましくは45〜200μmのものが用いられる。厚さが25μm以下では十分な粘着力が得られず、又、強度も弱いため、製造時の取扱いが困難となる。厚さが500μm以上では、コストが高くなり、又、有機EL素子全体の厚さが厚くなるため、携帯電話やモバイル端末等、小型化が要求される用途に適さない。粘着材5には、図9に示すように、ポリエステルやポリイミド等の基材(5b)の両面に粘着材(5a、5c)を貼り合わせた3層構造のものを用いてもよい。基材5bを用いることにより、粘着材シートに適度な腰が出るため、製造時の取扱い性が向上する。
本発明の第7の実施形態に係る有機EL素子は、図7に示されるように、有機EL構造体2と封止部材3とが多孔質吸着シート4とクッション材7との2層積層シートを介して着設された構造であり、多孔質吸着シートと封止部材との間の無駄な空間を排除し、有機EL素子を薄型化することが可能である。
クッション材7は、封止部材3に加わった衝撃が有機EL構造体に及ぶことを防止するために設けられる。従って、クッション材はクッション性を有しておれば適宜使用できる。例えば、フッ素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系等の多孔質樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂系、メラミン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系等のフォーム材等を用いることができる。特に、多孔質PTFEフィルムが薄膜化が可能で、耐熱性、耐薬品性に優れ、発塵しないため、好ましく用いられる。その厚さは、通常、10μm〜2mm、好ましくは30μm〜1mmである。前記多孔質PTFEフィルムの最大細孔径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μmである。多孔質PTFEフィルムの最大細孔径が0.01μmより小さいと膜製造上の困難さがあり、逆に10μmを超えると強度が弱くなる。多孔質PTFEフィルムの空孔率は、30〜98%、好ましくは60〜95%である。多孔質PTFEフィルムの空孔率が30%より小さいと水蒸気の透過量が少なくなって、多孔質吸着材シートの吸湿性能を阻害し、逆に98%を超えると膜の強度が低下するため、製造上の取扱いが困難となる。また、多孔質PTFEフィルムの厚さは、10μm〜1mm、好ましくは30〜300μmが適当である。多孔質PTFEフィルムの厚さが10μmより薄いと十分なクッション性が得られず、1mmを超えるとコストが高くなり、又、水蒸気の透過効率が低下し、吸着材シートの吸湿性能を阻害してしまう。
多孔質吸着シート4とクッション材7との積層は、押出し成形した多孔質吸着シートの片面に接着、又は熱融着によりクッション材を貼り合わせればよい。接着による場合は、多孔質吸着シート、又はクッション材の積層面にグラビアロール等で接着剤を部分的に転写して貼り合わせる。この際、接着剤の転写面積は3〜95%、好ましくは10〜80%である。3%未満では十分な接着強度が得られず、95%超では接着面で透湿性が阻害されてしまうため、多孔質吸着シートの吸湿能力が損なわれる。一方、熱融着による場合は、多孔質吸着シートとクッション材を重ね合わせた状態でヒートロール間を通し、ヒートロールにより熱と圧力をかけて、多孔質吸着シートのバインダー樹脂、又はクッション材の積層面を部分的に溶かして融着する。多孔質吸着シートとクッション材が融着しにくい材料の場合は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂のシート、又はネット等を多孔質吸着シートと通気性シートとの間に挟み込んでヒートロールに通せばよい。熱可塑性樹脂のシート又はネット等を用いる場合、前記接着剤を用いる場合と同じで、融着部の面積が3〜95%、好ましくは10〜80%となるようにする。
有機EL構造体2の厚さは、通常、1μm以下と極めて薄く、クッション材を有機EL構造体に押し当てると、有機EL構造体は、図7に示されるようにクッション材で押し包まれた状態となる。
本発明の第8の実施形態に係る有機EL素子は、図8に示されるように、有機EL構造体2が、封止部材3と多孔質吸着シート4、クッション材7の3層積層シートにより被覆され、該3層積層シートの周縁部が接着剤により封止されている。この構造では、有機EL素子内の無駄な空間をほとんど無くすことができるため、有機EL素子のさらなる薄型化が可能である。封止部材3と多孔質吸着シート4との積層は、封止部材の積層面に粘着、接着、又は熱融着により押出し成形した多孔質吸着シートを貼り合わせればよい。粘着する場合は、アクリル系、ゴム系等、従来公知の粘着シートを封止部材と多孔質吸着シートとの間に挟んで貼り合わせればよい。粘着材としては、アクリル系粘着材が耐熱性に優れており好ましく用いられる。粘着材の耐熱温度は80℃以上、好ましくは120℃以上のものが用いられる。耐熱性が80℃以下では、使用時の熱負荷により封止部材から多孔質吸着シートが剥れる場合がある。
粘着材の厚さは、25〜500μm、好ましくは45〜200μmのものが用いられる。厚さが25μm以下では十分な粘着力が得られず、又、強度も弱いため、製造時の取扱いが困難となる。厚さが500μm以上では、コストが高くなり、又、有機EL素子全体の厚さが厚くなるため、携帯電話やモバイル端末等、小型化が要求される用途に適さない。接着による場合は、封止部材の積層面の一部又は全面に接着剤を転写して多孔質吸着シートと貼り合わせる。熱融着による場合は、封止部材と多孔質吸着シートを重ね合わせた状態でヒートロール間を通し、ヒートロールにより熱と圧力をかけて、封止部材、又は多孔質吸着シートのバインダー樹脂を溶かして融着する。封止部材と多孔質吸着シートが融着しにくい材料の場合は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂のシート、又はネット等を多孔質吸着シートと通気性シートとの間に挟み込んでヒートロールに通せばよい。図8における多孔質吸着シート4とクッション材7との積層方法は第7の実施形態による場合と同じである。
有機EL構造体の厚さは、通常、1μm以下と極めて薄く、該3層積層シートを有機EL構造体に押し当てると、有機EL構造体は、図8に示されるようにクッション材で押し包まれた状態となる。従って、基材と封止部材との接合は、該3層積層シートの周縁部で、該3層積層シートの側面を完全にカバーするように、接着剤を塗布して行われる。ここで用いられる接着剤は、熱硬化型、化学反応型、光硬化型等の接着剤を適宜用いることができるが、光硬化型の接着剤が、加熱の必要がなく、有機EL構造体への影響が少ないため好ましく用いられる。光硬化型の接着剤としては、従来公知の接着剤が適宜用いられるが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤が、ガス発生が少なく好ましく用いられる。
次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
粉末状酸化バリウム(関東化学社製、04040−02、平均粒径約10μm、純度80%)をポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(三井デュポンフロロケミカル社製、6J、平均粒径約470μm)に対して、窒素ガス雰囲気下で重量比6:4で計量し、さらに成形助剤であるシロキサン(信越化学社製、KF994)を18wt%加えて混練した。次に、プリフォーム(圧力0.3MPa、時間1分)成形した後、約2mmの厚さでラム押出し(圧力10MPa、押出し速度550mm/min)し、さらに厚さが0.1mmになるまで圧延して多孔質吸着シートを作製した。この多孔質吸着シートのガーレー数は500秒であった。次に、得られた多孔質吸着シートを150℃で20分間乾燥させ、日東電工社製両面粘着テープ(厚さ50μmのポリエステル基材の両面に、厚さ30μmのアクリル系粘着材#5911を積層したもので、トータル厚さは110μm)の上に貼り付けた後、窒素ガス雰囲気下で10×20mmのサイズに打ち抜いた。この打ち抜きシートの重量は約0.1gであり、クリーンルーム環境25℃、RH50%の条件下でこの吸湿シートの重量の経時変化(1分毎、1時間)を測った結果、吸湿速度(含有酸化バリウムの重量変化率)が0.4wt%/minであることを確認した。また、打ち抜いたシートの多孔質吸着シート面に、水を2cc落としたが、発煙・温度上昇は確認されなかった。発煙は目視で、温度上昇は熱電対により測定した。
実施例2
粉末酸化ストロンチウム(ナカライテスク社製、323−15)と、粉末無水硫酸カルシウム(ナカライテスク社製、069−31を、ワンダーブレンダー(大阪ケミカル社製)で1分間粉砕したもの)とPTEEを6:1:3で計量し、さらに成形助剤であるシロキサン(信越化学社製、KF994)を20wt%加えて混練した。このようにして得られた混練物を用いた以外は実施例1と同様にして打ち抜きシートを作り、そのシートの吸湿速度(含有吸湿剤の重量変化率)を測定したところ、0.35wt%であった。この打ち抜きシートの重量は約0.1gであった。
実施例3
実施例1で得られた多孔質吸着シートと延伸多孔質PTFEフィルム(ジャパンゴアテックス社製:空孔率80%、孔径0.2μm、厚さ40μm)とをポリエチレンネット(デルネット社製、X530)を間に挟んでヒートロールにより融着積層して2層積層シートを作製した(温度:160℃、圧力:10MPa、速度:3m/min)。
この2層積層シートのガーレー数は850秒だった。次に、得られた2層積層シートを150℃で20分間乾燥させ、2層積層シートの多孔質吸着シート面を日東電工社製両面粘着テープ(厚さ50μmのポリエステル基材の両面に、厚さ30μmのアクリル系粘着材#5911を積層したもので、トータル厚さは110μm)の上に貼り付けた後、窒素ガス雰囲気下で10×20mmのサイズに打ち抜いた。この打ち抜きシートの重量は約0.1gであり、クリーンルーム環境25℃、RH50%の条件下でこの吸湿シートの重量の経時変化(1分毎、1時間)を測った結果、吸湿速度(含有酸化バリウムの重量変化率)が0.4wt%/minであることを確認した。
実施例4
ガラス透明基板上に、有機EL構造体を形成し、この有機EL構造体を囲繞するように、ガラス製封止部材であって、上部内側表面に実施例2で作成した打ち抜きシートを該打ち抜きシートの粘着テープ面で貼着した封止部材を被せ、ガラス基板と封止部材との接触面をカチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤により密封し、図4に示すような有機EL素子を作成した。この際、多孔質吸着シートからの酸化バリウム粉末の飛散もなく、有機EL素子の作製を非常に簡単に行うことができた。
比較例1
粉末状酸化バリウム(純度80%)をSUS容器(2×φ20mm)に0.1g入れたサンプルでは、吸湿速度が25℃、RH50%の条件下で0.4wt%/minであることを確認した。この結果から、本発明の実施例1、2の吸湿能力は、粉末状酸化バリウムとほぼ同等の性能を維持していることを確認できた。前記粉末状酸化バリウム0.1gに水を2cc落としたところ、激しく発熱、発煙が発生した。
1 基板
2 有機EL構造体
3 封止部材
4 多孔質吸着シート
5 粘着材
6 通気性シート
7 クッション材
8 接着剤
9 突起部
10 窪み部

Claims (12)

  1. 多孔質化したポリテトラフルオロエチレン樹脂をバインダー樹脂として含み、CaO、MgO、SrO、及びBaOから選択される少なくとも1種を吸湿性化学吸着材として含み、有機EL素子に用いられるものである、多孔質吸着シート。
  2. 水2ccを落とした時に目視で発煙が観察されないものである請求項1に記載の多孔質吸着シート。
  3. 該吸着シートの少なくとも一方の表面に、通気性シートが積層又は被覆されている請求項1または2に記載の多孔質吸着シート。
  4. 該通気性シートが、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである請求項3に記載の多孔質吸着シート。
  5. 該シートの少なくとも一方の面にクッション材が積層されている請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
  6. 該クッション材が、多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである請求項5に記載の多孔質吸着シート。
  7. さらに活性炭を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
  8. さらに酸素吸着材を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
  9. 該酸素吸着材が、鉄粉である請求項8に記載の多孔質吸着シート。
  10. ガーレー数が13000秒以下である請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
  11. ガーレー数が10秒以上である請求項1〜10のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
  12. 基板と該基板上に形成された有機EL構造体と該有機EL構造体を外気から遮断する封止部材からなる有機EL素子に用いられるものである請求項1〜11のいずれかに記載の多孔質吸着シート。
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