JP2011141998A - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 比較的簡単な方法で陽極の先端温度を確実に低下させることができ、陽極の過熱を防止し、電極蒸発物の発生を抑制し、照度維持率を高く維持することができるショートアーク型放電ランプを提供すること。
【解決手段】 発光管の内部に陽極および陰極が対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、陽極は陽極先端面にテーパー部を備える円柱状であり、該テーパー部に環状の溝よりなる凹所が形成される。前記凹所内面における先端側の側面が先端から後方に向かって電極軸から離れるよう傾斜するかもしくは電極軸に対して平行に伸びる場合には、陽極の軸を含む断面において開口部の長さをL1(mm)、底面の長さをL2(mm)、テーパー部の表面から底面までの長さをd(mm)とすると下記の関係を満足することを特徴とする。
5≦L1≦10
0.5≦L2/L1≦0.8
0.5≦d≦2
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体素子、液晶素子、プリント基板素子などの露光に使用されるショートアーク型放電ランプ、或いは、映写機、プロジェクターの光源に使用されるショートアーク型放電ランプに関する。
上記技術分野で使用される光源としてのショートアーク型放電ランプは、石英ガラスからなる発光管の内部に、所定の波長域の光を放射するための封入物が封入されると共に、陽極および陰極からなる一対の電極が対向配置されたものである。定格消費電力は概して数kW〜20kWであるが、近時ではさらに大型化し、25kW以上のランプが開発されている。
このように定格消費電力が大きなランプは、電極の熱負荷が高くなるため、電極先端が高温化し、電極構成物質であるタングステンが蒸発する。そのため、蒸発物が発光管の内壁に付着していわゆる黒化現象が生じ、ランプの点灯時間とともに光透過性が損なわれる。
このような電極からの蒸発物による照度低下を回避する目的で、特許文献1,2には陽極温度を低下させるための技術が開示されている。
具体的には、特許文献1には、陽極にレーザー加工によって階段状の側面を有するV字溝を形成することにより、表面が滑らかなものに比較して表面積を増加させ、放射により過熱を防止するようにした放電ランプが記載されている。
また、特許文献2には、陽極の背面に内部リード棒接合部用の穴よりも内径が大きい凹部を形成し、同じく放熱性を向上させることで過熱を防止した放電ランプが開示されている。
特開2003−157794号公報 特開2008−305782号公報
放電ランプにおいて陽極先端に衝突するアーク流が単に高温であるのみならず、さらには陰極から放出された電子の流入によって加熱され、高温化する。このため、陽極からの材料物質の蒸発量が大きく、早期に照度維持率が低下するという問題が生じる。
上述した特許文献によれば、陽極の胴部や後端部に放熱機構を設けて、温度上昇を回避するようにしたものである。しかしながら、発光空間は密閉状態にあり、電極の胴部における放熱作用のみで電極先端温度を下げるには表面積を大きくする必要があり、実効的に電極先端温度の低下を図ろうとすると現実には多くの加工が必要で、製造工程が煩雑かつ負荷のかかるものになって、生産コストがかかるといった問題がある。
本発明が解決すべき課題は、ショートアーク型放電ランプにおいて、比較的簡単な方法で陽極の先端温度を確実に低下させることができ、陽極の過熱を防止し、電極蒸発物の発生を抑制して、もって照度維持率を高く維持することができるショートアーク型放電ランプを提供することにある。
(1)
本発明は、発光管の内部に陽極および陰極が対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、前記陽極は円柱状であり、陽極先端面からその後方に向かって徐々に径が広がるテーパー部を備え、前記テーパー部に、当該陽極の軸上に中心を有する環状の溝よりなる凹所が形成されると共に、前記凹所内面における先端側の側面が、先端から後方に向かって電極軸から離れるよう傾斜するか、若しくは、電極軸に対して平行に伸びてなり、前記凹所は、陽極の軸を含む断面において開口部の長さをL1(mm)、底面の長さをL2(mm)、テーパー部の表面から底面までの長さをd(mm)とすると、
5≦L1≦10
0.5≦L2/L1≦0.8
0.5≦d≦2
を満足することを特徴とする。
(2)
また、本発明は、発光管の内部に陽極および陰極が対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、前記陽極は円柱状であり、陽極先端面からその後方に向かって徐々に径が広がるテーパー部を備え、前記テーパー部に、当該陽極の軸上に中心を有する環状の溝よりなる凹所が形成されると共に、前記凹所内面における先端側の側面が、先端から後方に向かって陽極の軸に近づくよう傾斜してなり、前記凹所は、陽極の軸を含む断面において開口部の長さをL1(mm)、底面の長さをL2(mm)、テーパー部の表面から底面までの長さをd(mm)とすると、
5≦L1≦10
0.5≦L2/L1≦0.8
0.5≦d≦1
を満足することを特徴とする。
(3)
また、前記凹所は切削加工によって形成されたものであることを特徴とする。
本発明のショートアーク型放電ランプによれば、アークおよびアークの熱で加熱された気流から受ける熱を減らすことができ、陽極先端の温度を確実に低下させることができるようになる。この結果、陽極先端の過熱に由来して生じるタングステンの蒸発を回避し、発光管の黒化を防止して、照度維持率の高いランプを提供することができるようになる。
本発明の実施形態を説明する放電ランプの管軸方向断面図である。 図1の陽極部分を拡大して示す説明図である。 図1の陽極部分を拡大して示す説明用断面図である。 本発明の他の実施形態を説明する図である。 本発明の他の実施形態を説明する図である。 実験例にかかる陽極の凹部深さと陽極先端温度の関係を示す図である。
[第1の実施形態]
図1は本願第1の発明の実施形態を説明するショートアーク型放電ランプの断面図である。
この放電ランプにおいて、発光管10は、石英ガラスにより形成され、発光空間を囲繞する楕円球形の発光部11と、この発光部11の両端から外方に伸びるよう連設された筒状の封止管部12とにより構成されており、それぞれ当該発光部11に続く封止管部12の発光部11に接近した個所に、封止管部12の一部が縮径された状態の絞り込み部12aが形成されている。
発光管10の発光部11内には、陽極20および陰極14が互いに対向するよう配置されており、その各々は、封止管部12から発光部11に管軸に沿って伸びる例えばタングステンよりなる円柱状の電極棒15の先端に固定されて支持されている。なお同図において符号16は、封止管部12端部に装着された口金である。
また、発光管10内部には、キセノン、アルゴン、クリプトン等の希ガス若しくはこれらの混合物よりなる封入ガスおよび水銀などの発光物質が封入されている。本発明にかかるショートアーク放電ランプの定格消費電力は、おおむね数kW〜25kWであるが、本発明はその原理から容易に推測されるとおり、これら消費電力に限定されるものではない。
陰極14は、例えばタングステンと電子放射性物質から構成されており、上述したように後端部分に設けられた電極棒15により保持されている。
陽極20は略円柱状のタングステンよりなり、先端面からその後方に向かって徐々に径が広がるテーパー部を備え、このテーパー部の後方に、径がほぼ一定の略円柱状の胴部22を備えている。
なおここでいうテーパー部21とは、テーパー部の稜線が丸みを帯びたものや、直線と曲線の組み合わせからなるもの含む。また、陽極20の先端面は電極棒15にほぼ垂直な平面により構成される。
図2は、陰極および陽極を拡大して示す図である。
この陽極20のテーパー部21には、表面の傾斜に沿って凹所30が形成されている。凹所30は、陽極20を先端側から見たときにその中心が、電極の中心軸M(以下、「電極軸M」という。)と略一致する環状の溝よりなり、半径方向の幅が所定の大きさを有して形成されたものである。
このような凹所30を備えた陽極20によれば、ランプ点灯中、アーク内でプラズマ状態となったガスは陽極に向かって加速された後、陽極20先端面に衝突し、テーパー部21の表面(以下「テーパー面」ともいう)に沿って広がりつつ胴部22に向かって流れる。この際、先端に衝突した流れは、流速を減じつつ、矢印で示すように凹所30の上部領域を通過してテーパー部表面の稜線にそって流れる。つまり、図に示すように凹所30の上部を流れが通過するため、陽極20の凹所30の底面においては、この高温の気流との接触が緩和され、陽極20先端テーパー部においては受熱量が軽減されるようになり、陽極20先端近傍における加熱が抑制される。
ところで、このような電極先端に設けられた溝状の異形部においては、その幅と深さの関係により、深さに対して幅が狭い場合、放射による放熱作用が奏されることが知られている(特許文献1,2)。放射による放熱機能を期待する場合、多数の細溝を形成する必要があり、電極製造時の加工にコストがかかる。
これに対し、本発明に係る陽極によれば、テーパー面に沿って流れる高温の側面流からの伝熱を低減するため、陽極温度の大きな低減効果が得られる。凹所の開口幅を大きくとれるので、その加工においては、陽極の先端部表面の切削時に凹所を同時に形成することが可能となるため、電極の切削作業と同時に加工することができる。つまり、本発明では、簡単な加工でありながら、陽極先端部の温度低下を図ることができ、ランプの長寿命化を実現することができる。従って、従来公知の技術(特許文献1,2など)と比較した場合、装置や設備が簡単であると共に、工数が少なくて済み、生産コストを低く抑えながらも高い効果を得ることができるショートアーク型放電ランプを得ることができる。
本発明にかかる陽極の凹所については、凹所の開口部の幅が狭いと、テーパー面の表面積に占める凹所部分の面積割合が減少するため十分な受熱量低減効果を得ることができず、下流側の凹所壁面から元のテーパー面への移行に伴って、その角部域では表面流からの受熱量が増加する。従って、凹所底面での受熱量低減はこの分を上回る必要があるので、その長さ、あるいは放射改善目的の凹所の幅に比べて大きいことが好ましい。さらに、凹所が深いと、陽極のテーパー部断面積を減じるので陽極先端から本体部に向かう熱の流れを阻害することになる。よって本発明の効果を得るため、凹所形状は幅広としかつ深すぎないようにする必要がある。
要は、本発明に係る電極の凹所形状においては、ランプのスペック等に関連付けられて最適な凹所の開口幅および深さが決まる。その大きさはアークに続く表面の流れを引き込まない範囲において可及的に大きい方が効果的である。このことは、従来技術にかかる放射による放熱を目的とする細溝とは、構成上対照的であるということができる。
さらには、凹所の大きさによる影響は、先端部の径、凹所の陽極先端側境界の位置によって変わるが、凹所配設の位置はなるべく先端部に近くアークおよびその気流の温度が高い領域でより大きな効果を発揮するようになる。このため、必然的に凹所形成位置は先端に近いことが好ましいということになる。なお、先端面に隣接して続くテーパー面はその表面に沿って流れるアークおよびその気流の方向に影響する重要な領域であることから、および凹所の陽極先端寄りの部分はとりもなおさず先端面から陽極部にかけて形成される熱の流路を狭隘化することになるので、あまり先端面に近づけすぎると、先端部で受ける熱の陽極部への伝熱の断面積が小さくなるために高温となる孤立領域が形成され、熱が溜まることになるので、あまり近づけることは好ましくない。凹所の先端寄りの端部の先端面からの距離は、例えば1mmないし2mmは設けることが好ましい。
凹所の底部断面形状は、直線状であることに限定されず、曲線で形成されていてもかまわない。
また、凹所は切削加工によって形成されるものであり、凹所のエッジ部分においては、表面流を凹所の底面部分に誘導しないよう、切削後の加工形状を残留させた段状、ないしは少なくともテーパー部表面との境界において表面流が剥離するような角度を持たせることが望ましい。このテーパー面表面との境界において表面流が剥離するような角度は、ランプのスペックによって表面流の速度が異なるため、スペックに応じて決定すればよい。
以下、本発明にかかる陽極の凹所の具体的な形状について、図3ないし図5を参照しながら説明する。
図3〜図5はそれぞれ、図1〜図2で示した陽極の凹所を形状を変えて形成した説明用拡大断面図である。
同図において、符号L1はテーパー部21上に形成された、凹所30断面の開口部分の長さであり、「開口幅」という。符号L2は凹所底部32の長さである。
図3〜図5において、仮想線Nは凹所30の先端側の縁部30Aを通過するとともに電極軸Mに平行に伸びる仮想線である。仮想線Pは、凹所30の縁部30Aを通過し、凹所30の先端側の側面31に沿って伸びる仮想線である。なお同図に示すように凹所30は、先端側の側面31と、テーパー部21表面の稜線とほぼ平行に傾斜して形成される底面32と、後端側の側面33によって構成される。さらに、仮想線Nは陽極先端面とテーパー分との境界を通過し、電極軸Mに平行に伸びる仮想線であり、仮想線Qは、陽極20のテーパー部21の表面(稜線)にそって引いた仮想線である。この場合、テーパー部21の傾きαは仮想線NとQの間の角度αを用いて表すことができる。
凹所30の開口幅L1は具体的には5〜10mmの範囲であり、底面32の長さL2は、L1に対して0.5〜0.8の関係を有している。このような開口幅L1をもつ凹所30が形成された陽極20によれば、陽極先端部の温度の上昇を抑制することができる。
仮に、上記範囲から外れて、L2の長さが比較的小さくなると、凹所30の側面31,33がテーパー部21の表面(稜線)に近接するような斜面を形成するため、熱を受け取りやすくなり、期待される効果が得られない。よって、L2の長さをL1の長さに対して0.5以上とすることが望ましい。また、これとは逆にL2の長さが長い場合は、熱流から受け取る熱量を小さく抑えることができるが、陽極の容積が減少するため陽極先端の熱が後方に逃げ難くなる。よって、L2の長さをL1の長さに対して0.8以下とすることが望ましい。
図3〜図5に示す各陽極の構成上の相違点は、凹所側面31の傾きであり、以下、断面図上の仮想線Nと仮想線Pに挟まれた角度αを用いて、傾きの違いを説明する。
図3は、仮想線Pが電極の後方(図面において上側)に向かうに従って、電極軸Mから離れる方向に傾いている例であり、このときのαを正(α>0)と定義する。図4で示す陽極20は、仮想線Pが仮想線N上にあり両者が一致する場合であって、角度α(°)は、0°(α=0)である。図5で示す陽極20は、仮想線Pが電極の後方(図面においては上側)に向かうに従って電極軸Mから離れる方向に傾斜している例であり、このときのαは負(α<0)となる。
また、凹所30の大きさに関して深さdは、仮想線Qから凹所30の底面32までの距離である。なお、実用には、仮想線Qから底面32に向かって垂直な仮想線を引いたときの長さをdとし、凹所底面の長さL2に亘ってdを複数箇所測定し、その平均値を採用するとよい。
(1)α>0の場合
図3に示した陽極20は、凹所30が、その先端側側面31に沿う仮想線Pが後方に向かうに従って電極軸Mから遠ざかるように傾斜して形成されている。このように、凹所の形状が陽極20の断面積が増加するように設けられている場合、深さdは0.5mm〜2mmの間で適宜に設定することができる。
この仮想線Nに対する仮想線Pの間のαの大きさは、例えば45°であり、また、αの大きさは例えば60°である。この場合、α−α=15(°)であるため、陽極先端を通過した熱流は、凹所開口の上部を通過して凹所に流れ込むことが抑制される。しかしながら、αがこれ以上大きくなり過ぎると、凹所の内壁面の傾きαがテーパー面の傾きと近似するため、熱流が凹所の底部に流れ込み易くなる。αの角度については詳細にはアークからの流れの速さに関係するためランプのスペックによって決まるが、おおむねα−αの大きさが15°以上であるのが好ましい。
(2)α=0の場合
図4に示した実施例2にかかる陽極では、凹所の側面31に沿う仮想線Pが電極軸Mと平行に伸びるものであり、陽極20の断面積に関して増減がなく、一定の径となるよう形成されている。
この場合も、深さdは0.5mm〜2mmの間で適宜に設定することができる。
このような場合、αの大きさは例えば60°であると、αの大きさは0°であるので、α−α=60(°)となり、陽極先端を通過した熱流は凹所開口の上部を通過して底部に流れこむことはない。
(3)α<0の場合
図5に示した実施例3にかかる陽極では、凹所側面に沿う仮想線Pが電極軸Mに近づくように傾斜している。このため、凹所30の縁部30Aから側面31の後端に至るまでの間は陽極の断面積が後方に向かって減少する領域となる。
このような場合、陽極断面積の減少が陽極先端の熱の蓄積に影響し、温度上昇することがあり、凹所の深さについて注意する必要が生じる。実用の範囲においては、凹所の深さdは0.5mm〜1mmの間である。
この仮想線Nに対する仮想線Pの間の角αの大きさは例えば−30°であり、αの大きさが例えば60°であると、α−α=90(°)となる。従って、陽極先端を通過した熱流はテーパー面に沿って凹所開口の上部を確実に通過し、凹所底部に流れ込むことはない。
以上の事項をまとめると次のようになる
(1)α≧0の場合
陽極の先端に形成されたテーパー部の表面に、開口幅L1が5〜10mmの範囲となるよう環状の凹所を形成し、凹所底部の幅L2を開口幅L1に対して0.5〜0.8とするとともに、深さdを0.5〜2mmの範囲とする。
すなわち下記の関係を満たす。
5≦L1≦10
0.5≦L2/L1≦0.8
0.5≦d≦2
このような関係を満足する凹所を有する陽極によれば、凹所形成個所において陽極断面積が減少することがないので、陽極先端の熱の移動を妨げることなく、凹所を形成することによる熱量の受け取りを抑制することができるようになる。
開口幅L1は5〜10mmの範囲であり、凹所底部の幅L2を開口幅L1に対して0.5〜0.8とすることで、凹所形成に伴い陽極先端の体積が減少しても、陽極先端がアーク先端の熱流から受け取る熱量を、実用的に温度低下に寄与できる程度に少なく抑えることができる。
(2)α<0の場合
陽極の先端に形成されたテーパ面に、開口幅L1は5〜10mmの範囲となるよう環状の凹所を形成し、凹所底部の幅L2を開口幅L1に対して0.5〜0.8とするとともに、深さdを0.5〜1mmの範囲とする。
すなわち下記の関係を満たす。
5≦L1≦10
0.5≦L2/L1≦0.8
0.5≦d≦1
このような陽極によれば、αが0未満であるため、凹所形成個所において陽極断面積が減少するが、深さdを0.5〜1mmの範囲とすることで熱の移動を妨げない程度に深さdが設定されているため、陽極の温度低下を実現できるようになる。
この場合も、開口幅L1を5〜10mmの範囲とし、凹所底部の幅L2を開口幅L1に対して0.5〜0.8とすることで、凹所形成に伴い陽極先端の体積が減少しても、陽極先端がアーク先端の熱流から受け取る熱量を、実用的に温度低下に寄与できる程度に少なく抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されることなく、適宜変更が可能であることは言うまでもない。
以下、本発明の実施例について説明する。
[実験例]
図3〜図5で示した断面形状の陽極を多数製作し、これらを用いて図1で示したようなショートアーク型の放電ランプを製作した。放電ランプの主な仕様は下記の通りである。
定格消費電力:12kW
定格電流120A
封入水銀:24mg/cc
封入バッファガス:キセノン
陽極:最大径部直径30mm、長さ60mm、先端径φ10、コーン部開き角120°(すなわちα=60°)
上記仕様に基き、陽極の先端面と胴部の間に、コーン部開き角が120°となるテーパー状に加工し、凹所が形成されていない陽極を製作し、従来技術にかかるランプ1を製作した。
ランプ1の陽極形状を基本的に具備し、この斜面部分に、開口幅(L1)8mm、の凹所を形成した。凹所の陽極先端側内壁面(131)の傾斜角度α、凹所底面の幅(L2)について種々変化させて形成し、ランプ2〜ランプ13を製作した。
上記ランプ1〜ランプ13の各放電ランプを、電力12kW(電圧100V、電流120A)として点灯して照度維持率を測定した。照度維持率においては、初期照度100とした相対値をもとに、1000時間点灯後の維持率で比較した。ランプ1(凹所なし)を基準として、維持率が5%以上改善したものに○印を、それ以下であったものについては×印をつけた。
この結果を、ランプ1〜ランプ13のL2,α,dの数値とともに図6にまとめて示す。
ここで、照度維持率と陽極の温度との関係を簡単に説明すると、陽極の過熱に由来して発光管内面に黒化が生じ、照度が低下するため、照度維持率を評価することで、陽極の温度上昇の程度を予測することができる。
(1)ランプ1は従来技術にかかる放電ランプである。基準としたランプは1000h点灯後の照度維持率が80%であった。
(2)ランプ2〜ランプ7はいずれもα>0である凹所が形成された陽極を備えた放電ランプである。
ランプ2は十分な照度維持率が得られなかった。この理由はαが50°であり、テーパー面の傾斜αに対して近似した角度を有するものであるために、アークに続く高温の流れが凹所内に入り込んでしまったためと推察される。
ランプ3は照度維持率が良好で、大きな改善が図られた。すなわち陽極の温度上昇を回避できたためと推察される。なおα−αの大きさは15°であったことから、αの角度としてはテーパー面の傾斜角度に対して15°以上の差異を有するよう凹所側面を形成することが望ましい。
ランプ4,5,6の各ランプもまた十分な照度維持率が得られなかった。
ランプ4はαが適正な大きさであったにも拘らず、凹所底面の長さL2が短く、後方側の凹所の壁面を通じて熱を受け取った可能性が高い。
ランプ5もまた、αは適正な大きさであったが、L2の長さが足りず、後方側の凹所の壁面が熱流に近接していたために高温化したことが原因と見られる。
一方、ランプ6は逆にL2が長過ぎたため、陽極体積が不足したか或いは断面積の減少が影響したことによる熱の伝達不足が生じたため、高温化したと考えられる。
ランプ7は、L1の長さ、L2/L1の割合、dの全てにおいて適正値であり、照度維持率の改善が見られた。
(3)ランプ8はαが0°であり、テーパー部に部分的に直径一定の箇所が形成されるものである。このランプにおいても、照度維持率に改善が見られた。これのことから、L1,L2/L1及びdがそれぞれ適正値であったと考えられる。
(4)ランプ9〜ランプ13はいずれもαが−30°であり、凹所が形成されることにより陽極断面積が後方に向かって小さくなる部分が形成される。この場合、深さdが2mmであるランプ11においては、照度維持率は悪化した。またL2/L1の比が0.9となったランプ12においても、照度維持率に関し期待した結果が得られなかった。この理由は、L2が長過ぎたため、陽極体積が不足したか或いは断面積の減少が影響したことによる熱の伝達不足が生じたためと考えられる。そのほかのランプ9,ランプ10,ランプ13はいずれも照度維持率が良好で、L1,L2/L1及びdがそれぞれ適正値であったと考えられる。
以上のように、本発明によれば、陽極の胴部の先端側に形成されたテーパー部の表面上に、凹所を形成することで、陽極の温度上昇を抑制し、その結果、光透過率が維持され、照度を高く維持することができる使用寿命の長いショートアーク型放電ランプを提供できるようになる。
10 発光管
11 発光部
12 封止管部
12a 絞込み部
14 陰極
15 電極棒
16 口金
20 陽極
21 テーパー部
22 胴部
30 凹所
31 側面
32 底面
33 側面

Claims (3)

  1. 発光管の内部に陽極および陰極が対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記陽極は円柱状であり、陽極先端面からその後方に向かって徐々に径が広がるテーパー部を備え、
    前記テーパー部に、当該陽極の軸上に中心を有する環状の溝よりなる凹所が形成されると共に、
    前記凹所内面における先端側の側面が、先端から後方に向かって電極軸から離れるよう傾斜するか、若しくは、電極軸に対して平行に伸びてなり、
    前記凹所は、陽極の軸を含む断面において開口部の長さをL1(mm)、底面の長さをL2(mm)、テーパー部の表面から底面までの長さをd(mm)とすると、
    5≦L1≦10
    0.5≦L2/L1≦0.8
    0.5≦d≦2
    を満足することを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
  2. 発光管の内部に陽極および陰極が対向配置されたショートアーク型放電ランプにおいて、
    前記陽極は円柱状であり、陽極先端面からその後方に向かって徐々に径が広がるテーパー部を備え、
    前記テーパー部に、当該陽極の軸上に中心を有する環状の溝よりなる凹所が形成されると共に、
    前記凹所内面における先端側の側面が、先端から後方に向かって陽極の軸に近づくよう傾斜してなり、
    前記凹所は、陽極の軸を含む断面において開口部の長さをL1(mm)、底面の長さをL2(mm)、テーパー部の表面から底面までの長さをd(mm)とすると、
    5≦L1≦10
    0.5≦L2/L1≦0.8
    0.5≦d≦1
    を満足することを特徴とするショートアーク型放電ランプ。
  3. 前記凹所は、切削加工によって形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のショートアーク型放電ランプ。
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