JP2011140877A - 梁の補強方法と補強構造。 - Google Patents
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【解決手段】補強すべき梁の両側にブラケットを取りつける。支柱などの支持体に一端を取付けた梁主筋アンカーの他端を、アーチ板の上部空間に配置する。両側のブラケットの間に、アーチ状のアーチ板を配置する。アーチ板にせん断補強筋の一端を取りつけ。せん断補強筋の他端は、梁に取りつける。アーチ板とその両外側に配置した側面型枠との内部に、梁主筋アンカーを包囲する状態でコンクリートを打設する。
【選択図】図1
Description
<1> 既設の構造物の周囲に新たにコンクリートを巻いて厚さを増加する方法では、新たなコンクリートを打設するための底型枠を梁の下に配置しなければならない。そのためには梁下面に型枠支保工を設置しなければならない。(下から荷重を支保する仮設材を支保工と呼ぶ)この底型枠を支保工を使わずに施工しようとすれば多数のアンカーを梁の下面に、上向きの姿勢で打ちこむ作業が必要となる。
<2> 特にコンクリートを打設する場合には、強固な支保工が必要となる。また支保工なしに施工する場合には多数のアンカーを梁の下面に、上向きの姿勢で打ち込む作業が必要となる。
<3> また、梁側面に配置するせん断補強筋は、梁の下面でせん断補強筋をL字状に折り曲げ、その折り曲げ端を梁の下面で溶接するという、手間のかかる作業が必要となる。
<4> コンクリートの梁の周囲を鋼板で巻き付ける方法は、建設費、維持管理費が高価である。
<5> 鋼板を梁に取りつけるには、梁に設置するボルト穴と、鋼板に開口するボルト穴の位置を正確に一致させなければならず、高い精度が要求される。
<6> 分割した鋼板をボルトで取りつけ、その後に溶接して一体化する必要があり、溶接後の塗装、およびそのメンテナンスが必要となる。
<7> さらにコンクリートの周囲に鋼板を巻き付ける方法は、アンカーによって定着した側面の鋼板にせん断補強筋効果を期待する構成である。したがってそのような要求に十分耐え得るだけの多数のアンカーが必要となる。
補強すべき位置の両側の支持体にブラケットを取りつけ、
支柱などの支持体に一端を取付けた梁主筋アンカーの他端を対向する支持体に向けて中空に張り出し、
両側のブラケットの間であって、かつ前記の梁主筋アンカーの下部には、アーチ状のアーチ板を配置し、
このアーチ板にせん断補強筋の一端を取り付け、
せん断補強筋の他端は、補強対象の梁に側方から取りつけ、
アーチ板の両側に側面型枠を取り付け、
アーチ板と、せん断補強筋の外側に配置した側面型枠との内部に、梁主筋アンカーを含んだ状態でコンクリートを打設して行う梁の補強方法梁の補強方法を特徴とするものである。
支持体の外側に鉛直方向に主筋を配置し、
この主筋を避ける状態で、支持体にブラケットを取りつけ、
支柱などの支持体に一端を取付けた梁主筋アンカーの他端を対向する支持体に向けて中空に張り出し、
両側のブラケットの間であって、かつ前記の梁主筋アンカーの下部には、アーチ状のアーチ板を配置し、
このアーチ板にせん断補強筋の一端を取り付け、
せん断補強筋の他端は、補強対象の梁に側方から取りつけ、
アーチ板の両側に側面型枠を取り付け、
アーチ板と、せん断補強筋の外側に配置した側面型枠との内部に、梁主筋アンカーを含んだ状態でコンクリートを打設して行う梁の補強方法を特徴とするものである。
補強すべき位置の両側の支持体に取りつけたブラケットと、
支柱などの支持体に一端を取付け、その他端を対向する支持体に向けて中空に張り出した梁主筋アンカーと、
両側のブラケットの間であって、かつ梁主筋アンカーの下部にアーチ状に配置したアーチ板と、
このアーチ板に一端を取りつけ、他端を補強対象の梁に側方から取りつけたせん断補強筋と、
アーチ板の両側に取り付けた側面型枠と、
アーチ板とせん断補強筋を包囲する状態で、アーチ板の上部に打設したコンクリートによって構成した梁の補強構造特徴とするものである。
<1> 補強すべき位置の両側の支持体にブラケットを取りつけ、このブラケットの間にアーチ状にアーチ板を配置する構成であるから、梁の下に支保工を組み立てる作業が不要である。
<2> 同様に、梁の下面に底型枠を支持するための多数のアンカーを打ち込む作業が不要であり、経済的である。
<3> 支持体に一端を取付けた梁主筋アンカーが、補強コンクリートの内部に配置してあるので、補強したコンクリートが補強対象のコンクリートと確実に一体となって補強対象構造物の強度を向上させることができる。
<4> 補強した後の構造物に作用する引張力は、補強部分の中間ではアーチ板に作用し、補強部分の端部では梁主筋アンカーを介して補強対象の構造物に伝達するので、補強部分と補強前の構造物とが完全に一体化して耐力を向上させることができる。
<5> せん断補強筋の一端をアーチ板の一部にボルトで取りつける構成を採用すれば溶接作業が不要となり施工性が向上する。
<6> せん断補強筋がアーチ板を支持する構造であるから、確実にアーチ板を支持することができる。
本発明の梁の補強方法は、両側を支柱1などの支持体で支持されている梁の下面に補強コンクリートを厚く巻きつける補強方法であり、補強コンクリートの内部には梁主筋アンカーとせん断補強筋を配置する。
両側の支持体は支柱1に限らず、壁面などで支持された梁を対象とすることができる。
例えば梁2を支持しているその両側の支柱1の表面にブラケット3を取りつける。
このブラケット3は例えば断面がL字状のアングル材を使用することができる。
このブラケット3を、支柱1などの支持体の表面に、ボルトを介して固定する。
このブラケット3の上には後述するアーチ板4の端部を搭載するが、コンクリート打設後、すなわち補強後にアーチ板4に作用するコンクリートの引張力は、後述する梁主筋アンカー6によって構造物に伝達する構成であり、ブラケット3を介して伝達する構成ではない。
そのためにブラケット3は簡易な構造でよく、ブラケット3と支柱1との取り付けも、アンカーのような強力な構造を必要とせず、簡単なボルトによって固定するだけで足りる。
支柱などの支持体のブラケット取付け位置よりも上方に、水平方向に向けて削孔する。
そしてこの削孔内に梁主筋アンカー6の一端を挿入し、削孔内にモルタルや接着剤を注入して固定する。
この梁主筋アンカー6は鉄筋、鋼棒などで構成する。
この梁主筋アンカー6の他端は、対向する支持体に向けて中空に張り出す。
その結果、梁主筋アンカー6は後述するアーチ板の上部空間に位置することになる。
この梁主筋アンカー6が、補強したコンクリートに作用する引張力を、支柱などの本来の構造物本体に伝達する作用を行う。
両側のブラケット3の間で、かつ梁主筋アンカー6の下に、アーチ状に上向きに曲げて形成したアーチ板4を配置する。
このアーチ板4は例えば亜鉛メッキを施した鋼板を、上向きに曲面状に曲げて使用する。
この鋼板で構成したアーチ板4の上面の両縁には、長手方向に沿ってH鋼などの型鋼41を取りつけて補強する。
当然、この型鋼41もアーチ板と同一の曲率で曲面状に曲げて構成してある。
アーチ板4の両縁に取りつけた補強用の型鋼41には、外側から多数の個所に切り欠き41aを形成する。
この切り欠き41aは、外側が開放しているから、後述するせん断補強筋5を外側から挿入することができる。
アーチ板4の両端は、ブラケット3の上に搭載し、その端部を簡単に溶接し、あるいはボルト止めして固定する。
このアーチ板4の上に、L型鋼などのズレ止め42を、梁の横断方向に取付けることもできる。
このズレ止め42によって、アーチ板4とその上に打設するコンクリートとの付着を確実にする。
またコンクリート打設時にズレ止め42の存在によって、梁横断方向のたわみを抑えることができる。
せん断補強筋5は、補強する部分に配置する鉄筋である。
このせん断補強筋5は、取付けに際して水平に挿入する水平部51と、鉛直に配置する鉛直部52によってL字状に形成する。
せん断補強筋5を梁2に取りつけるには、梁2に水平方向からアンカー孔を削孔し、そのアンカー孔にせん断補強筋5の上側の水平部分を側面方向から挿入して接着剤で固定する。
一方、せん断補強筋5の鉛直部52の下端には、ナット53を止めるためのねじ山を形成しておく。
その場合にネジ切りが不要な、らせん溝が形成してある既製品を使用すれば、ネジ切りによる断面の欠損が発生せず、かつネジ切り作業が不要であるから経済的である。
そして、せん断補強筋5の下端を、アーチ板4の補強用の型鋼41の切り欠き41aに外側から挿入する。
上記したように、この切り欠き41aは、外側が開放しているから、せん断補強筋5を外側から挿入することができる。
そしてせん断補強筋5のネジ山にナット53を締付けることによって、型鋼41のフランジを上下両側から締付ければ、せん断補強筋5と型鋼41とを一体化することができる。
このようにボルトとナット53の組み合わせでアーチ板4を梁2に吊り下げる状態で取りつければ、熟練工による溶接作業を必要とせず、迅速な作業を行うことができる。
このような構成のせん断補強筋5を多数本配置すれば、多数の個所において、せん断補強筋5によってアーチ板4を補強対象の梁2から吊り下げることができる。
なおせん断補強筋5は、図3に示すようなL字型に直交した形状に限るものではなく、図4に示すように、アンカー孔21を上向きでかつ、鉛直またはこれに近い角度で削孔しそれにあわせた形状でせん断補強筋5を形成して使用することも可能である。
その場合にはせん断補強筋5は、鉛直部52と、非水平部54とによって構成することになる。
上記のような構成によって梁2に取りつけたアーチ板4の両側に、側面型枠7を取り付ける。
この側面型枠7は、せん断補強筋5の外側に配置することになる。
そしてアーチ板4と、せん断補強筋5の外側に配置した側面型枠7との内部に梁主筋アンカー6を包囲する状態で補強のコンクリートを打設する。
コンクリートを打設する場合、上記したようにアーチ板4はその両端はブラケット3に支持され、中間は多数本のせん断補強筋5によっても支持されているため、底型枠を確実に支保して安全にコンクリートの打設を行うことができる。
こうして梁2の下部と側部の厚さを、補強コンクリートによって増すことによってコンクリート構造物を補強することができるが、アーチ板4は埋設型枠であり、支保工であるだけでなく曲げ補強材としても機能するから、強度の向上に貢献する。
せん断補強筋5は、アーチ板4を支持する支持部材として機能すると同時にせん断補強材として機能して、コンクリート部材の強度の向上に貢献する。
さらに補強部分の端部では、梁主筋アンカー6がコンクリートに作用する引張力を、支柱などの構造物に伝達する作用を行う。
2:梁
3:ブラケット
4:アーチ板
41:型鋼
41a:切り欠き
5:せん断補強筋
6:梁主筋アンカー
Claims (4)
- 両側を支柱などの支持体で支持されている梁の側面及び下面を梁主筋アンカーとせん断補強筋とによって補強する方法であって、
補強すべき位置の両側の支持体にブラケットを取りつけ、
支柱などの支持体に一端を取付けた梁主筋アンカーの他端を対向する支持体に向けて中空に張り出し、
両側のブラケットの間であって、かつ前記の梁主筋アンカーの下部には、アーチ状のアーチ板を配置し、
このアーチ板にせん断補強筋の一端を取り付け、
せん断補強筋の他端は、補強対象の梁に側方から取りつけ、
アーチ板の両側に側面型枠を取り付け、
アーチ板と、せん断補強筋の外側に配置した側面型枠との内部に、梁主筋アンカーを含んだ状態でコンクリートを打設して行う、
梁の補強方法。 - 両側を支柱などの支持体で支持されている梁の側面及び下面を梁主筋アンカーとせん断補強筋とによって補強する方法であって、
支持体の外側に鉛直方向に主筋を配置し、
この主筋を避ける状態で、支持体にブラケットを取りつけ、
支柱などの支持体に一端を取付けた梁主筋アンカーの他端を対向する支持体に向けて中空に張り出し、
両側のブラケットの間であって、かつ前記の梁主筋アンカーの下部には、アーチ状のアーチ板を配置し、
このアーチ板にせん断補強筋の一端を取り付け、
せん断補強筋の他端は、補強対象の梁に側方から取りつけ、
アーチ板の両側に側面型枠を取り付け、
アーチ板と、せん断補強筋の外側に配置した側面型枠との内部に、梁主筋アンカーを含んだ状態でコンクリートを打設して行う、
梁の補強方法。 - アーチ板の上面には補強用の型鋼を取りつけて構成した、
請求項1または2記載の、梁の補強方法。 - 両側を支柱などの支持体で支持されている梁の側面及び下面を梁主筋アンカーとせん断補強筋とによって補強した補強構造であって、
補強すべき位置の両側の支持体に取りつけたブラケットと、
支柱などの支持体に一端を取付け、その他端を対向する支持体に向けて中空に張り出した梁主筋アンカーと、
両側のブラケットの間であって、かつ梁主筋アンカーの下部にアーチ状に配置したアーチ板と、
このアーチ板に一端を取りつけ、他端を補強対象の梁に側方から取りつけたせん断補強筋と、
アーチ板の両側に取り付けた側面型枠と、
アーチ板とせん断補強筋を包囲する状態で、アーチ板の上部に打設したコンクリートによって構成した、
梁の補強構造。
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