JP2011140819A - 蓋ロック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロック部材を手動で容易に移動させることのできる蓋ロック装置を提供すること。
【解決手段】蓋ロック装置100において、ロック部材8は前進して蓋の被係合部に係合して蓋を閉状態にロックするとともに、ロック部材を後退させて蓋の開動作を可能とする。ロック部材8の駆動には、スライダ−クランク機構50が用いられ、ロック部材8の前進は、スライダ53のクランク溝530がクランクピン511によって押圧される力のみで行なわれる。このため、スライダ53がバネで付勢されている構成と違って、ロック部材8を手動で容易に移動させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、蓋体を閉状態でロックするための蓋ロック装置に関するものである。
洗濯機や乾燥機などの開口を開閉する蓋を備えた装置では、運転中に蓋が開いてしまうのを防止するために、閉状態において蓋をロックする蓋ロック装置が設けられており、かかる蓋ロック装置では、モータ等の駆動源によりロック部材を機器本体側で進退させて、蓋に設けた被係合穴に係合させる(例えば、特許文献1参照)。
かかる蓋ロック装置において、駆動部には、駆動源と、偏心ピンからなるクランクピンからなる回転部材と、クランクピンとバネとによって往復動作を行なうスライダと、スライダを付勢するバネとを設け、回転部材の回転をロック部材の往復直線運動に変換する構成が採用されている。
特開2009−144448号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、バネを用いると、例えば、蓋がロックされた状態で停電になった際、バネを変形させながらロック部材を後退させると同時に蓋を開けるという手間のかかる作業が行なわれなければならないという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ロック部材を手動で容易に移動させることのできる蓋ロック装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、機器本体の開口部を開閉する蓋が設けられた機器において前記機器本体および前記蓋の一方側に設けられ、他方側に設けられた被係合部に係合して前記蓋の開閉を規制するロック部材を備えた蓋ロック装置であって、駆動源によって回転駆動される回転部材と、該回転部材において当該回転部材の回転中心からずれた位置に設けられたクランクピンと、該クランクピンが係合するクランク溝を備え、前記回転部材の回転を前記ロック部材が進退動作を行なうための往復運動に変換するスライダと、を有し、前記ロック部材が前記被係合部に係合しようとする前進は、前記クランク溝が前記クランクピンによって押圧される力のみで行なわれることを特徴とする。
本発明において、ロック部材を前進させて被係合部に係合させて蓋を閉状態にロックするとともに、ロック部材を後退させて蓋の開動作を可能とする。かかる動作を行なうにあたって、本発明では、回転部材のクランクピンと、スライダのクランク溝とを利用し、ロック部材の前進は、クランク溝がクランクピンによって押圧される力のみで行なわれる。このため、スライダがバネで付勢されている構成と違って、ロック部材を手動で容易に移動させることができる。それ故、蓋がロックされた状態で停電になった際、ロック部材を後退させると同時に蓋を開けるという簡単な作業で蓋を開けることができる。
本発明において、前記蓋が開状態にある間、前記ロック部材の被干渉部に対して当該ロック部材の前進方向に位置して前記被干渉部と干渉可能な干渉部を備えたストッパ部材を有していることが好ましい。このように構成すると、蓋が開状態にある間、ストッパ部材は、ロック部材の前進を阻止するので、ロックが完了したものと誤って検出することがない。このような構成を採用した場合でも、本発明では、バネによってスライダやロック部材を付勢していないので、例えば、蓋を閉じた状態で急に蓋を開けても、ロック部材が急に突出するという事態が発生しない。
本発明において、前記クランク溝は、前記ロック部材が前記被係合部と係合しているときに前記クランクピンが位置する部分は、前記スライダの進退方向に対して斜めに傾いた傾斜部になっていることが好ましい。このように構成すると、ロック部材を手動で動かす際、クランクピンがクランク溝の傾斜部に沿ってスムーズに移動するので、小さな力でロック部材を手動で動かすことができる。
本発明において、前記クランク溝は、上死点および下死点での前記クランクピンの当接個所を中心に対称形状に構成されていることが好ましい。このように構成すると、クランクピンがいずれの方向に移動してもスライダが直動するので、駆動源の回転方向には制約がない。従って、モータとしてACモータを用いた場合でも、逆転防止機構を設ける必要がない。
本発明において、前記クランク溝は、前記クランクピンの移動軌跡に沿って延在する円弧部を備えていることが好ましい。このように構成すると、クランク溝の円弧部内であればクランクピンがいずれの個所に位置する場合でも、ロック部材の位置は同じである。従って、クランクピンの位置制御にずれが発生した場合でも、ロック部材が不用意に前進するなどの異常動作の発生を防止することができる。
本発明において、ロック部材を前進させて被係合部に係合させて蓋を閉状態にロックするとともに、ロック部材を後退させて蓋の開動作を可能とする。かかる動作を行なうにあたって、本発明では、回転部材のクランクピンと、スライダのクランク溝とを利用し、ロック部材の前進および後退は、クランク溝がクランクピンによって押圧される力のみで行なわれる。このため、スライダがバネで付勢されている構成と違って、ロック部材を手動で容易に移動させることができる。それ故、蓋がロックされた状態で停電になった際、ロック部材を後退させると同時に蓋を開けるという簡単な作業で蓋を開けることができる。
本発明を適用した蓋ロック装置の使用方法を示す説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置の外観を示す説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置の上半部の構成を示す説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置の下半部の構成を示す説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置に構成したスライダ−クランク機構の説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置の駆動部によってスライダ(ロック部材)を駆動する様子を示すタイミングチャートである。 本発明を適用した蓋ロック装置におけるシャッター、ストッパ部材およびロック部材の位置関係を斜めからみた様子を示す説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置におけるシャッター、ストッパ部材およびロック部材の位置関係を側方からみた様子を示す説明図である。 本発明を適用した蓋ロック装置においてストッパ部材に対して設けたストッパの説明図である。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した蓋ロック装置の一実施形態について説明する。なお、以下の説明では、洗濯機や乾燥機などの機器において、洗濯機本体や乾燥機本体などの機器本体の開口部を開閉する蓋をロックするための蓋ロック装置を例に説明する。また、以下の説明では、機器本体および蓋のうち、機器本体の側に蓋ロック装置が設けられ、蓋の側に被係合部が設けられている場合を例示する。さらに、以下の説明では、互いに直交する方向をX軸(X方向)、Y軸(Y方向)およびZ軸(Z方向)とし、蓋ロック装置のロック部材がZ方向に進退して蓋との係合および係合の解除が行なわれるものとして説明し、Z軸方向のうち、+Z方向を前進(係合方向)とし、−Z方向を後退(係合の解除方向)として説明する。
(蓋ロック装置の使用形態)
図1は、本発明を適用した蓋ロック装置の使用方法を示す説明図であり、図1(a)、(b)は、蓋が開状態にある様子を示す説明図および蓋が閉状態にある様子を示す説明図である。
図1に示す蓋ロック装置100は、洗濯機や乾燥機などの機器200において、洗濯機本体や乾燥機本体などの機器本体210側に設けられ、機器本体210の開口部211を開閉する蓋230をロックするための装置である。すなわち、蓋230の端部には、X方向に突出した突出部235が設けられており、かかる突出部235には、Z方向に関する穴(被係合穴)からなる被係合部236が形成されている。また、蓋ロック装置100には、ロック部材8が設けられており、かかるロック部材8は、図1(a)に示すように、−Z方向の待機位置にある一方、図1(b)に示すように、蓋230が閉状態になると、+Z方向に前進して先端部分が被係合部236内に嵌って係合し、蓋230をロックする。また、フタを開けるときには、再び図1(a)に示す待機位置まで後退し、蓋230との係合が解除される。ここで、蓋ロック装置100は、蓋230がロックされた際、ロック完了信号を発生可能な状態となるので、機器本体210側では、ロック完了信号に基づいてドラム(図示せず)の回転などを行なう。このため、ドラムの回転は、常に蓋230がロックされた状態で行なわれることになる。
また、本形態の蓋ロック装置100では、後述するように、蓋230が閉状態になるまでは、ロック部材8の前進が阻止されており、蓋230が閉まって、被係合部236がロック部材8と係合可能な個所に到達した時点で、ロック部材8の前進が許容されるようになっている。
(蓋ロック装置の全体構成)
図2は、本発明を適用した蓋ロック装置の外観を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、蓋ロック装置をX方向の一方側(上側)からみたときの説明図およびX方向の他方側(下側)からみたときの説明図である。図3は、本発明を適用した蓋ロック装置の上半部の構成を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、蓋ロック装置から上ケースを外した状態の説明図、およびさらにモータのボビンなどを外した状態の説明図である。図4は、本発明を適用した蓋ロック装置の下半部の構成を示す説明図である。
図1、図2、図3および図4に示すように、蓋ロック装置100は、薄型の略直方体のケース10を備えており、かかるケース10は、上ケース11と下ケース12とからなる。また、上ケース11と下ケース12との間には、プレート14が挟持されている。
ケース10の側面(長辺側の側面)には、ロック部材であるロック部材8の通路となる開口部13が形成されている。開口部13には、ロック部材8の通路を開放または閉鎖するためのシャッター2が設けられている。ロック部材8の進退動作を行なうために、本形態の蓋ロック装置100には、以下に説明するモータ部30、歯車列40、スライダ−クランク機構50を備えた駆動部3が構成されている。
(駆動部3の構成)
図3に示すように、モータ部30は、プレート14に保持された支軸141に回転可能に支持されたロータ31と、このロータ31に被さるステータ32とを備えたACモータとして構成されている。ロータ31の外周面にはマグネット(図示せず)が固着され、図示を省略するが、ステータ32は、概ね、コイルが巻回されたコイルボビンと、プレートに対向配置されたステータコアとを備えている。歯車列40において、ステータコアには支軸410、420が保持されており、支軸410には、ロータピニオンに噛合する大径歯車を備えた複合歯車41が回転可能に支持され支軸420には、複合歯車41の小径歯車に噛合するカム歯車42が回転可能に支持されている。
(スライダ−クランク機構50の構成)
図5は、本発明を適用した蓋ロック装置100に構成したスライダ−クランク機構50の説明図であり、図5(a)、(b)は、クランクピンが下死点にある状態を示す説明図、およびクランクピンが上死点付近にある状態を示す説明図である。図6は、本発明を適用した蓋ロック装置100の駆動部3によってスライダ(ロック部材)を駆動する様子を示すタイミングチャートである。
図4に示すように、カム歯車42の下面側は、プレート14の円形の開口部を介して下面側に露出して、スライダ−クランク機構50の回転部材51として利用されている。かかるスライダ−クランク機構50は、回転部材51の回転中心軸(支軸420)からずれた偏心ピンとしてもクランクピン511と、クランクピン511が嵌るクランク溝530が形成されたスライダ53とを備えており、クランク溝530は、ロック部材8の進退方向(Z方向)と直交するY方向に延在している。
また、プレート14においてスライダ53と対向する面にはZ方向に延在するガイド部551、552が形成されており、スライダ53においてプレート14と対向する面にはガイド部551、552に摺動する段差状あるいは凹溝状の被ガイド部(図示せず)が形成されている。このため、駆動部3において、モータ部30での回転が歯車列40を介して回転部材51に伝達されると、かかる回転部材51の回転は、クランクピン511およびクランク溝530を介してスライダ53に伝達される結果、スライダ53はZ方向に往復直線運動を行なうことになる。
本形態において、スライダ53は、ロック部材8の一部として形成された平板部である。従って、駆動部3において、モータ部30での回転が歯車列40を介して回転部材51に伝達されると、かかる回転部材51の回転は、スライダ53を介してロック部材8に伝達される結果、ロック部材8はZ方向に往復直線運動を行なう。従って、ロック部材8は、図1を参照して説明したように、図1(b)に示すように、+Z方向に前進して先端部分が被係合部236内に係合して蓋230をロックした状態と、再び図1(a)に示す待機位置まで後退し、蓋230との係合が解除された状態とに切り換えられる。
図5に示すように、クランク溝530は、クランクピン511の外径寸法と略同一の幅寸法を有しており、スライダ53およびロック部材8の前進および後退は、クランク溝530がクランクピン511によって押圧される力のみで行なわれる。また、クランク溝530は、クランクピン511の上死点および下死点でのクランクピンの当接個所を中心にY方向で対称形状に構成されている。また、クランク溝530は、ロック部材8が被係合部236と係合しているときにクランクピン511が位置する上死点付近は、スライダ53の進退方向に対して斜めに傾いた傾斜部533になっている。また、クランク溝530は、クランクピン511の移動軌跡(一点鎖線Lで示す)に沿って延在する円弧部531を備えている。
このように構成したスライダ−クランク機構50において、クランクピン511の回転位置とスライダ53(ロック部材8)の位置とは、図6に示すように表され、角度180°を挟む両側の角度範囲では、スライダ53(ロック部材8)の移動は対称である。なお、本形態では、クランクピン511が122〜238°の角度範囲で移動する領域をスライダ53(ロック部材8)の駆動に利用する。ここで、クランクピン511の角度位置が180°である位置を中心としてみたとき、クランクピン511が0°の方向に戻る方向と、クランクピン511が360°に向けて戻る方向とでは、スライダ53の変位は相違するが、いずれの方向を利用した場合でも、スライダ53(ロック部材8)を後退させることができる。
(スイッチなどの構成)
本形態の蓋ロック装置100において、ケース10の下面には端子61、62が設けられ、かかる端子61、62はプレート14を貫通して上面まで届いており、モータ部30への電力供給に利用される。本形態では、機器本体210側の制御に基づいてモータ部30への電力供給を行う。
また、ケース10の下面には検出スイッチ60の端子65、66が設けられ、かかる端子65、66は、金属片を折り曲げて形成された可動片63および固定片64の端部からなる。ここで、可動片63は、その先端に設けられた突起部63aは、スライダ53が位置する側に向いており、スライダ53が前進したときに突起部63aと当接するように突出した当接部53aが形成されている。従って、スライダ53が+Z方向に前進して、ロック部材8が蓋230の被係合部236内に嵌った係合すると、当接部53aは、突起部63aを押圧して可動片63と固定片64とを接触させる。このため、機器本体210の側において、端子65、66がオープン状態であれば、蓋230のロックが行なわれていない状態と認識することができ、端子65、66がショート状態であれば、それを蓋230がロックされた状態と認識することができ、ロック完了信号を発生させることができる。従って、機器本体210では、ロック完了信号に基づいて蓋230のロックを確認し、かかるロック完了信号が発生してからドラムなどの回転を開始する。
(シャッター2およびストッパ部材の構成)
図7は、本発明を適用した蓋ロック装置100におけるシャッター2、ストッパ部材7およびロック部材8の位置関係を斜めからみた様子を示す説明図であり、図7(a)〜(c)は蓋230の位置によってシャッター2、ストッパ部材7およびロック部材8の位置関係が変化する様子を示す説明図である。図8は、本発明を適用した蓋ロック装置100におけるシャッター2、ストッパ部材7およびロック部材8の位置関係を側方からみた様子を示す説明図であり、図8(a)〜(c)は蓋230の位置によってシャッター2、ストッパ部材7およびロック部材8の位置関係が変化する様子を示す説明図である。
本形態の蓋ロック装置100では、蓋230が閉まる前にロック部材8が前進しないように、以下の構成が採用されている。
まず、図5、図7(a)、および図8(a)に示すように、ケース10の開口部13からはロック部材8の先端部が突出しているとともに、開口部13にはシャッター2が配置されている。シャッター2は、Y方向で対向する一対の板状部21、22と、板状部21、22の間でZ方向に板面を向ける当接板部23と、当接板部23より+Z方向の側で板状部21、22を連結する補強板部24と、当接板部23より−Z方向の側で板状部21、22を連結する補強梁部25とを備えている。また、板状部21、22の各々の外面側には、Y方向に張り出したガイド部28、29が形成されているとともに、ガイド部28、29からはX方向に延在する軸状のバネ受け部26、27が形成されている。ここで、上ケース11には、ガイド部28、29をZ方向で挟む両側にX方向に延在するガイド板部116、117、118、119が形成されており、シャッター2はX方向に移動可能である。
また、バネ受け部26、27には、コイルバネ98、99(付勢部材)が装着されており、かかるコイルバネ98、99の両端は、ガイド部28、29と下ケース12とに当接している。このため、シャッター2は、コイルバネ98、99によってX方向において開口部13が位置する側に向けて付勢され、シャッター2は、開口部13の縁に当接して、開口部13を覆う位置で停止している。
この状態で、シャッター2の当接板部23は、ロック部材8の前進方向(+Z方向)の前側に位置する。従って、シャッター2がロック部材8の前進方向(+Z方向)の前側に位置する間、ロック部材8は、たとえモータ部30に給電が行なわれても前進が阻止される状態にある。
(ストッパ部材7の構成)
図9は、本発明を適用した蓋ロック装置100においてストッパ部材7に対して設けたストッパの説明図である。
本形態の蓋ロック装置100において、下ケース12の下面側には、Z軸方向に延在するストッパ部材7が下ケース12の下面に沿うように配置されており、かかるストッパ部材7の−Z方向の端部71には、上ケース11の−Z方向の端部に形成された軸部113が嵌る穴713が形成されている。このため、ストッパ部材7は、軸部113を中心にY方向に延在する軸線周りに回転可能である。また、軸部113の周りには捻りコイルバネからなる付勢部材70が装着されており、かかる付勢部材70は、ストッパ部材7を下ケース12が位置する側に向けて付勢している。
また、図9に示すように、ストッパ部材7の+Z方向の端部72の背後(ストッパ部材7が付勢されている側とは反対側)では、下ケース12からさらに下方に延在する一対の板状部125、126がストッパ部材7の両側に位置し、かつ、板状部125、126の相対向する部分には段部128、129が形成されている。かかる段部128、129は、ストッパ部材7に対するストッパとして機能し、ストッパ部材7の+Z方向の端部72が下ケース12から離間する方向に傾く度合いが制限されている。従って、付勢部材70の過度な変形を防止することができ、付勢部材70の損傷を防止することができる。
再び図7(a)および図8(a)において、ストッパ部材7は、下ケース12の側に向けて突出した突部からなる干渉部75を備えており、かかる干渉部75は、下ケース12に形成された穴を介してケース10の内部に入り込んでいる。ここで、干渉部75は、断面直角三角形であり、ロック部材8の後退方向(−Z方向)側に位置する面751は、ロック部材8の進退方向(Z方向)に直交する面であるのに対して、ロック部材8の前進方向(+Z方向)側に位置する面752は、ロック部材8が位置する側に向けて傾斜したテーパー面になっている。また、ストッパ部材7の+Z方向の端部72は、シャッター2の背後(シャッター2に対して開口部13が位置する側とは反対側)に位置している。
一方、ロック部材8も、ストッパ部材7と同様、Z方向に延在しており、ロック部材8において、ストッパ部材7と対向する面側には、ストッパ部材7に向けて突出した突部からなる2つの被干渉部85、86が形成されている。ここで、被干渉部85、86はいずれも、断面直角三角形であり、ロック部材8の前進方向(+Z方向)側に位置する面851、861は、ロック部材8の進退方向(Z方向)に直交する面であるのに対して、ロック部材8の後退方向(−Z方向)側に位置する面852、862は、ストッパ部材7が位置する側に向けて傾斜したテーパー面になっている。また、ロック部材8の側面には、ケース10から突出したレバー部87が形成されている。
このように構成したストッパ部材7およびロック部材8において、ストッパ部材7は、干渉部75がロック部材8の被干渉部85、86に対してロック部材8の前進方向の前側に位置する前進阻止位置にある。従って、ストッパ部材7の干渉部75がロック部材8の被干渉部85、86に対してロック部材8の前進方向(+Z方向)の前側に位置する間、ロック部材8は、たとえモータ部30に給電が行なわれても前進が阻止される状態にある。ここで、ストッパ部材7は、後述するように、蓋230が完全に閉状態になって、蓋230の突出部235に形成された被係合部236がロック部材8の先端部と係合可能な位置に到達すると、シャッター2に押圧されて、ロック部材8の前進を許容する前進許容位置に変位する。
また、本形態においては、ロック部材8に2つの被干渉部85、86が形成されており、ロック部材8とストッパ部材7との間には、ロック部材8の進退方向に沿って複数の干渉個所(干渉部75と被干渉部85との第1干渉個所、および干渉部75と被干渉部86との第2干渉個所)とが設けられている。本形態において、干渉部75と被干渉部85との第1干渉個所は、蓋230が開状態から閉状態に移行する際、蓋230と干渉しない位置にロック部材8を停止させておく干渉個所である。また、干渉部75と被干渉部86との第2干渉個所は、ロック部材8が被係合部236に係合可能な位置まで前進してもロック完了信号が発生しない状態でロック部材8を停止させておく干渉個所である。
(通常動作)
本形態の蓋ロック装置100において、機器本体210側の制御装置(図示せず)は、機器本体210側の起動スイッチ(図示せず)の検出や自動運転による洗濯、脱水等の開始などの制御によってモータ部30への電力供給を行う。その結果、ロック部材8が+Z方向に向けて前進する。
その際、図1(a)に示す状態から図1(b)に示すように、蓋230が閉状態になると、図7(c)および図8(c)に示すように、蓋230の突出部235の先端部は、シャッター2に当接し、コイルバネ98、99の付勢力に抗してシャッター2を開口部13から側方に変位させる。その結果、シャッター2の当接板部23は、ロック部材8の前進方向(+Z方向)の前側から退避する。但し、図7(b)および図8(b)に示すような蓋230が不完全な閉状態では、ストッパ部材7は、干渉部75がロック部材8の被干渉部85、86に対してロック部材8の前進方向の前側に位置する前進阻止位置にある。従って、ロック部材8は、モータ部30に給電が行なわれても前進が阻止される状態にある。
蓋230が完全に閉状態になって、蓋230の突出部235に形成された被係合部236がロック部材8の先端部と係合可能な位置に到達すると、蓋230の突出部235の先端部がシャッター2をさらに押圧することになる。その結果、図7(c)および図8(c)に示すように、シャッター2がストッパ部材7の+Z方向の端部72に当接し、ストッパ部材7は、ロック部材8から離間する方向に傾いた前進許容位置に変位する。その結果、ストッパ部材7の干渉部75がロック部材8の被干渉部85、86の前側から退避する。従って、ロック部材8は前進が許容され、ロック部材8の先端部は蓋230の突出部235に形成された被係合部236に嵌る。
そして、図5を参照して説明したスライダ53の当接部53aが突起部63aを押圧するまで、スライダ53が+Z方向に前進すると、可動片63と固定片64とが接触する。このため、機器本体210の側において、検出スイッチ60の端子65、66がショート状態であることを確認できれば、それを蓋230がロックされた状態と認識することができ、ロック完了信号を発生させる。そして、ロック完了信号の発生を発生してからドラムなどの回転を開始する。従って、蓋230が完全にロックされてからドラムなどが回転するので安全である。
ここで、蓋230が開状態もしくは不完全な閉状態では、ストッパ部材7は、干渉部75がロック部材8の被干渉部85、86に対してロック部材8の前進方向の前側に位置する前進阻止位置にある。従って、ロック部材8は、モータ部30に給電が行なわれても前進が阻止されるため、可動片63と固定片64とが接触することがない。このため、機器本体210の側において、所定時間モータ部30に給電が行なわれても端子65、66が開放状態であることが確認できれば、それを蓋230が完全な閉状態ではないと認識することができる。
(蓋230の開動作)
そして、ドラムの回転が終了すると、駆動部3はロック部材8を−Z方向に後退させるので、蓋230を開くことができる。その結果、図7(a)および図8(a)に示す状態に戻る。
(ロック状態で停電した際の動作)
蓋230がロックされた状態で停電した際、蓋230はロックされたままである。このような状態のときには、ロック部材8に設けたレバー部87を押し下げる。その結果、ロック部材8が後退し、蓋230のロックが解除される。その際、図5を参照して説明したように、ロック部材8の前進および後退は、クランク溝530がクランクピン511によって押圧される力のみで行なわれるため、スライダがバネで付勢されている構成と違って、ロック部材8を手動で容易に移動させることができる。また、ロック部材8が被係合部236と係合しているときにクランクピン511が位置する部分は、図5(b)に示すように、スライダ53の進退方向に対して斜めに傾いた傾斜部533になっている。このため、ロック部材8を手動で動かすと、クランクピン511がクランク溝530の傾斜部533に沿ってスムーズに移動するので、小さな力でロック部材8を手動で動かすことができる。
(干渉している状態で停電した際の動作)
ストッパ部材7の干渉部75がロック部材8の被干渉部85、86よりも−Z方向に位置する状態で停電した際も、蓋230はロックされたままである。このような状態のときには、ロック部材8に設けたレバー部87を押し下げる。その結果、ロック部材8が後退し、蓋230のロックが解除される。その際、図7(a)および図8(a)を参照して説明したように、ストッパ部材7の干渉部75において、ロック部材8の前進方向(+Z方向)側に位置する面752はテーパー面であり、ロック部材8の被干渉部85、86において、ロック部材8の後退方向(−Z方向)側に位置する面852、862はテーパー面である。従って、ロック部材8を後退方向(−Z方向)に手動で押し下げれば、干渉部75は、第1被干渉部85および第2被干渉部86を容易に乗り越える。従って、小さな力でロック部材8を手動で動かすことができる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の蓋ロック装置100において、駆動部3は、ロック部材8を前進させて蓋230の被係合部236に係合させて蓋230を閉状態にロックするとともに、ロック部材8を後退させて蓋230の開動作を可能とする。また、ロック部材8による被係合部236への係合が完了すると、ロック完了信号が発生するので、蓋230がロックされていることを検出することができる。さらに、蓋230が開状態にある間、ストッパ部材7は、ロック部材8の前進を阻止するので、ロック完了信号が誤って発生することがない。
ここで、ストッパ部材7は、蓋230が開状態から閉状態に移行する際、被係合部236がロック部材8と係合可能な位置に到達するまでは被干渉部85、86の前進方向前側に干渉部75が位置する前進阻止位置にあって、被係合部236がロック部材8と係合可能な位置に到達したときにシャッター2を介して蓋230に押圧されて干渉部75が被干渉部85、86の前進方向側から退避した前進許容位置に変位する。このため、蓋230が半閉状態にあるなど、被係合部236がロック部材8と係合可能な位置に到達しない場合には、ロック部材8の前進が阻止されるので、ロック部材8が被係合部236と係合せずに前進するという事態が発生しない。
また、ストッパ部材7とロック部材8との間には、ロック部材8の進退方向に沿って被干渉部85、86と干渉部75とによる干渉個所が複数設けられている。このため、1箇所の干渉個所に異常が発生しても、他の干渉個所での干渉によって、ロック部材8の異常な前進動作を阻止することができる。しかも、干渉部75と被干渉部85との第1干渉個所は、蓋230が開状態から閉状態に移行する際、蓋230と干渉しない位置にロック部材8を停止させておく干渉個所である。従って、蓋230の閉動作がロック部材8によって妨げられるという事態を確実に回避することができる。また、干渉部75と被干渉部86との第2干渉個所は、ロック部材8が被係合部236に係合可能な位置まで前進してもロック完了信号が発生しない状態でロック部材8を停止させておく干渉個所である。それ故、ロック動作の途中で蓋230が開けられるという動作が行なわれた場合にロック完了信号が発生するという事態を確実に回避することができる。
また、ストッパ部材7は、蓋230によって押圧された際、ロック部材8の進退方向(Z方向)と交差するY方向に延在する軸線周りに回転する。このため、ロック部材8が前進しようとしたときにストッパ部材7の干渉部75とロック部材8の被干渉部85、86との干渉が外れることを防止することができる。
さらに、本形態では、蓋230とストッパ部材7との間に介在して、蓋230が開状態から閉状態に移行する際、蓋230による押圧をストッパ部材7に伝達する伝達部材としてのシャッター2を備え、かかるシャッター2も、ストッパ部材7と同様、ロック部材8と干渉する位置に向けて付勢されている。従って、シャッター2(伝達部材)によっても、ロック部材8の不用意な前進を阻止することができる。
また、本形態の蓋ロック装置100で採用したスライダ−クランク機構50において、ロック部材8の前進は、クランク溝530がクランクピン511によって押圧される力のみで行なわれる。このため、スライダ53がバネで付勢されている構成と違って、ロック部材8を手動で容易に移動させることができる。それ故、蓋230がロックされた状態で停電になった際、ロック部材8を後退させると同時に蓋230を開けるという簡単な作業で蓋230を開けることができる。また、バネによってスライダ53やロック部材8を付勢していないので、例えば、蓋230を閉じた状態で急に蓋230を開けても、ロック部材8が急に突出するという事態が発生しない。
また、クランク溝530は、上死点および下死点での前記クランクピンの当接個所を中心に対称形状に構成されている。このため、クランクピン511がいずれの方向に移動してもスライダ53が直動するので、駆動源の回転方向には制約がない。従って、モータ部30にACモータを用いた場合でも、逆転防止機構を設ける必要がない。
また、クランク溝530は、クランクピン511の移動軌跡に沿って延在する円弧部531を備えている。このため、クランク溝530の円弧部531内であればクランクピン511がいずれの個所に位置する場合でも、ロック部材8の位置は同じである。従って、クランクピン511の位置制御にずれが発生した場合でも、ロック部材8が不用意に前進するなどの異常動作の発生を防止することができる。
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、ストッパ部材7がシャッター2を介して蓋230で押圧される構成であったが、ストッパ部材7が直接、蓋230で押圧される構成を採用してもよい。この場合、上記実施の形態で用いたストッパ部材7とシャッター2とを一体のストッパ部材として構成すればよい。
また、上記実施の形態では、洗濯機本体や乾燥機本体などの機器本体210の側に蓋ロック装置100を設けたが、蓋230の側に蓋ロック装置100を設けてもよく、この場合、被係合部236は、機器本体210の側に設けられる。
2 シャッター
3 駆動部
7 ストッパ部材
8 ロック部材
10 ケース
30 モータ部
50 スライダ−クランク機構
51 回転部材
60 検出スイッチ
70 付勢部材
75 干渉部
85、86 被干渉部
98、99 コイルバネ(付勢部材)
100 蓋ロック装置
200 機器
210 機器本体
230 蓋
235 突出部
236 被係合部
511 クランクピン
530 クランク溝
531 クランク溝の円弧部
533 クランク溝の傾斜部

Claims (5)

  1. 機器本体の開口部を開閉する蓋が設けられた機器において前記機器本体および前記蓋の一方側に設けられ、他方側に設けられた被係合部に係合して前記蓋の開閉を規制するロック部材を備えた蓋ロック装置であって、
    駆動源によって回転駆動される回転部材と、
    該回転部材において当該回転部材の回転中心からずれた位置に設けられたクランクピンと、
    該クランクピンが係合するクランク溝を備え、前記回転部材の回転を前記ロック部材が進退動作を行なうための往復運動に変換するスライダと、
    を有し、
    前記ロック部材が前記被係合部に係合しようとする前進は、前記クランク溝が前記クランクピンによって押圧される力のみで行なわれることを特徴とする蓋ロック装置。
  2. 前記蓋が開状態にある間、前記ロック部材の被干渉部に対して当該ロック部材の前進方向に位置して前記被干渉部と干渉可能な干渉部を備えたストッパ部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の蓋ロック装置。
  3. 前記クランク溝は、前記ロック部材が前記被係合部と係合しているときに前記クランクピンが位置する部分は、前記スライダの進退方向に対して斜めに傾いた傾斜部になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋ロック装置。
  4. 前記クランク溝は、上死点および下死点での前記クランクピンの当接個所を中心に対称形状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の蓋ロック装置。
  5. 前記クランク溝は、前記クランクピンの移動軌跡に沿って延在する円弧部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の蓋ロック装置。
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