JP2011140406A - シリコンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応器の内部で下式(1)で表されるハロゲン化珪素を溶融アルミニウムで還元してシリコンを製造する方法であって、還元時に前記反応器の内部に三塩化アルミニウムを供給する高純度シリコンの製造方法。
SiHnX4-n (1)
(式中、nは、0〜3の整数であり、Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。)
【選択図】なし
Description
例えば、ハロゲン化珪素としてテトラクロロシランを用い、その還元剤である金属としてアルミニウムを用いる場合、テトラクロロシランとアルミニウムとを接触させることにより、下記化学反応式(A)で表される反応が進行し、シリコンと三塩化アルミニウムが生成する。
3SiCl4+4Al → 3Si+4AlCl3 (A)
生成したアルミニウムサブハライドは、1000℃以下では不安定になり、次の式(D−1)、式(D−2)に示されるように、分解してアルミニウムと三塩化アルミニウムを生成することが知られている。
3AlCl → AlCl3+2Al (D−1)
3AlCl2 → 2AlCl3+Al (D−2)
これらの反応が起きると、還元剤であるアルミニウムが有効に利用されず、式(A)の反応効率が低下する。
SiHnX4-n (1)
(式中、nは、0〜3の整数であり、Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。)
前記アルミニウムに含まれるホウ素が5重量ppm以下、かつリンが0.5重量ppm以下であることが好ましい。
また、前記三塩化アルミニウムが1体積%以上30体積%以下の濃度で前記反応器の内部に存在していることが好ましい。
また、前記ハロゲン化珪素の純度が4N以上であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様においては、前記の高純度シリコンの製造方法により得られたシリコンを方向凝固により精製する工程をさらに有する高純度シリコンの製造方法を提供する。
SiHnX4-n (1)
以下では、ハロゲン化珪素としてテトラクロロシランを用いる場合を例にとって説明する。
テトラクロロシランをアルミニウムで還元してシリコンを製造する反応は、式(A)で表される。
3SiCl4+4Al → 3Si+4AlCl3 (A)
しかし、本発明においては、驚くべきことに、還元時にAlCl3を反応器の内部に供給することにより、式(A)の平衡を左辺に移動させずに、式(A)の右辺にさらに移動させて、シリコンを生成させる反応の反応効率を上昇させることができる。
式(A)の反応の自由エネルギーが負でありその値も大きいこと(例えば1000℃において、−196kJ/mol)、すなわち式(A)の平衡定数が1.1x108と生成物側に偏っていることから、AlCl3の分圧を高くしても式(A)の平衡は左には動かない。
一方、式(D−1)の反応の自由エネルギー(例えば1000℃において、75kJ/mol)、式(D−2)の反応の自由エネルギー(例えば1000℃において、−35kJ/mol)と、反応式(A)と比較して大きく、平衡は、それほど生成物側(式の右辺側)に偏っているわけではないので、反応器の内部にAlCl3を供給して反応器の内部のAlCl3の分圧を高くすると、式(D−1)、式(D−2)の左辺へ戻す方向、すなわちサブハライドの分解反応を抑制する方向へ進ませようとする効果が大きい。
したがって、アルミニウムサブハライドの分解反応が抑制される効果のために、式(A)の反応の反応効率を向上させることができる。
P(SiCl4)=0.9×10−8×P(AlCl3)
という関係が得られた。
一方、例えば、式(D−2)の自由エネルギーに基づいて、前記反応器の内部におけるAlCl2の分圧をP(AlCl2)、AlCl3の分圧をP(AlCl3)で表すと、
P(AlCl2)=1.2×103×P(AlCl3)
という関係が得られた。
したがって、AlCl3の分圧が反応式の左辺(原料)のガスの分圧に及ぼす効果は、1010のオーダーで、サブハライドの分解反応を抑制する程度が大きいことが分かった。
具体的には、前記反応器の内部にノズルから溶融アルミニウムの細流を噴出させ、噴出した溶融アルミニウムの細流にアトマイズガスを吹き付けて、溶融アルミニウムの微小液滴として前記反応器の内部に溶融アルミニウムを供給することが好ましい。
また、不活性ガスと三塩化アルミニウムとの混合ガスを前記アトマイズガスとして用いる方法が挙げられる。この場合には、前記アトマイズガスとは別に、ハロゲン化珪素ガスを前記反応器の内部に供給する。
アトマイズガス中の三塩化アルミニウムの濃度は1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。
また、前記アトマイズガスとは別に、反応器に三塩化アルミニウムガスを供給する方法が挙げられる。
三塩化アルミニウムを前記反応器の内部に供給することにより、前記反応器の内部の上昇した三塩化アルミニウムの濃度は、反応率の点からは高いほど良いが、高すぎると、相対的に原料テトラクロロシランの濃度を低下させる結果となり、反応器の体積効率を考慮すると好ましくない。これらを勘案すると、前記反応器の内部の好ましい三塩化アルミニウム濃度としては、1体積%以上30体積%以下程度である。1体積%より低濃度では効果が顕著ではなく、また30体積%を超える濃度では原料ガス濃度の低下を引き起こし、体積効率的に有利でない。
なお、テトラクロロシランと他のハロゲン化珪素とを組み合わせて用いる場合、その組成及び配合比は限定されないが、テトラクロロシランの配合比率が別種のハロゲン化珪素の配合比率より大きいことが好ましい。
Claims (5)
- 反応器の内部で下式(1)で表されるハロゲン化珪素を溶融アルミニウムで還元してシリコンを製造する方法であって、還元時に前記反応器の内部に三塩化アルミニウムを供給する高純度シリコンの製造方法。
SiHnX4-n (1)
(式中、nは、0〜3の整数であり、Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれた1種または2種以上のハロゲン原子である。) - 前記アルミニウムに含まれるホウ素が5重量ppm以下、かつリンが0.5重量ppm以下である請求項1記載の高純度シリコンの製造方法。
- 前記三塩化アルミニウムが1体積%以上30体積%以下の濃度で前記反応器の内部に存在している請求項1または2に記載の高純度シリコンの製造方法。
- 前記ハロゲン化珪素の純度が4N以上である請求項1〜3のいずれかに記載の高純度シリコンの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の高純度シリコンの製造方法により得られたシリコンを方向凝固により精製する工程をさらに有する高純度シリコンの製造方法。
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JP2009091228A (ja) * | 2007-10-12 | 2009-04-30 | Sumitomo Chemical Co Ltd | シリコンの製造方法 |
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