JP2010100455A - シリコンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハロゲン化シリコンを金属で還元してシリコンを生成させる反応の反応効率を向上させることができるシリコンの製造方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン化シリコンと、水素の含有率が1質量ppm以下である金属とを接触させることにより、ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得るシリコンの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコンの製造方法に関する。
半導体グレードシリコンの製造方法として、トリクロロシランと水素とを高温で反応させるジーメンス法が主に採用されている。しかしながら、この方法においては、極めて高純度のシリコンが得られるが、高コストであり、さらなるコストダウンは困難であると言われている。
環境問題がクローズアップされる中、太陽電池はクリーンなエネルギー源として注目を集め、住宅用を中心に需要が急増している。シリコン系太陽電池は信頼性や変換効率に優れるため、太陽光発電の8割程度を占めている。太陽電池用シリコンは、半導体グレードシリコンの規格外品を主な原料としている。そこで、発電コストをさらに低減させるためには、低価格のシリコン原料を確保することが望まれている。
ジーメンス法に替わるシリコンの製造方法としては、例えば下記特許文献1及び2に、還元剤(例えば溶融金属)でハロゲン化シリコンを還元して、シリコンを製造する方法が開示されている。
特開平2−64006号公報 特開2007−77007号公報
例えば、ハロゲン化シリコンとしてテトラクロロシランを用い、その還元剤である金属としてアルミニウムを用いる場合、テトラクロロシランとアルミニウムとを接触させることにより、下記化学反応式(A)で表される反応が進行し、シリコンと三塩化アルミニウムが生成する。
3SiCl+4Al → 3Si+4AlCl (A)
ここで、本発明者らは、ハロゲン化シリコンの還元反応において、還元剤として作用する金属に不純物として水素が含有されていると、金属に水素が含有されていない場合に比べて、反応効率が低下することを見出した。以下では、その理由を、還元剤の金属としてアルミニウムを用い、ハロゲン化シリコンとしてテトラクロロシランを用いる場合を例にとって説明する。
還元剤のアルミニウムに含まれる水素がテトラクロロシランと高温で接触した場合、下記化学反応式(B)で表される反応が進行し、トリクロロシランおよび塩化水素が生成する。
SiCl+H → SiHCl+HCl (B)
上記化学反応式(B)で表される反応により生成した塩化水素は、下記化学反応式(C)で表されるように、還元剤であるアルミニウムと反応し、塩化アルミニウムが生成する。
2Al+6HCl → 2AlCl+3H (C)
このように、還元剤のアルミニウムに含まれる水素に起因して生成する塩化水素によって、反応原料(還元剤であるアルミニウム)が酸化されてしまう。すなわち、本来テトラクロロシランを還元すべきアルミニウムが、テトラクロロシランと反応することなく、塩化水素と反応してしまうため、上記化学反応式(A)で表される反応が阻害されてしまう。
また、塩化水素は、還元剤のアルミニウムと反応するのみならず、下記化学反応式(D)及び(E)で表されるように、上記化学反応式(A)で表される反応により生成したシリコンとも反応して、トリクロロシランやテトラクロロシランが生成する。このように、還元剤のアルミニウムに含まれる水素に起因して生成する塩化水素によって、反応の目的生成物であるシリコンも酸化されてしまう。
Si+3HCl → SiHCl+H (D)
Si+4HCl → SiCl+2H (E)
以上のように、還元剤として作用する金属に水素が含有されていると、その水素に起因して生成する塩化水素によって、還元剤である金属及び反応生成物であるシリコンが消費(酸化)されてしまう。そして、上記化学反応式(A)〜(E)から明らかなように、還元剤として作用する金属に含有される水素が多いほど、上記化学反応式(A)で表される反応の反応効率が低下してしまう。また、ハロゲン化シリコンとして、SiF、SiBr又はSiIを用いた場合においても、上述と同様の理由で、フッ化水素、臭化水素、又はヨウ化水素が発生して、これらによりハロゲン化シリコンの還元反応の反応率が低下してしまう。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ハロゲン化シリコンを金属で還元してシリコンを生成させる反応の反応効率を向上させることができるシリコンの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のシリコンの製造方法では、ハロゲン化シリコンと、水素の含有率が1質量ppm以下である金属とを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得る。
上記本発明では、還元剤としてハロゲン化シリコンに作用する金属に含まれる水素の含有率が1質量ppm以下であることにより、ハロゲン化シリコンの還元反応が進行する反応場において、ハロゲン化シリコンと水素との反応、ハロゲン化水素と金属との反応、及びハロゲン化水素とシリコンとの反応を抑制することができる。すなわち、上記本発明では、ハロゲン化水素の生成を抑制し、還元剤である金属及び反応生成物であるシリコンがハロゲン化水素により酸化されることを抑制することができるため、十分に高い反応効率を達成できる。
上記本発明では、水素の含有率が1質量ppm以下である前記金属と前記ハロゲン化シリコンとを接触させる前に、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で前記金属を溶融することが好ましい。後述するように、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で前記金属を溶融することにより、溶融金属に含有される水素の増加を防止できる。なお、溶融した状態の金属をハロゲン化シリコンと接触させてよく、溶融後に冷却し固化した金属をハロゲン化シリコンと接触させてもよいが、溶融した状態の金属をハロゲン化シリコンと接触させる方が反応を促進することができる。
上記本発明では、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で前記金属を溶融し、溶融した前記金属と前記ハロゲン化シリコンとを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得ることが好ましい。
以下に説明するように、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で前記金属を溶融することにより、十分に脱水素された金属が、不活性ガス雰囲気下に存在するHOに由来する水素を吸収することを防止できる。
例えば、還元剤として好適な高純度の金属(例えばアルミニウム)を、露点が−20℃より高い不活性ガス雰囲気下で溶融する場合、雰囲気下に存在するHOによって下記化学反応式(F)で表される反応が進行し、金属(アルミニウム)が酸化して失活すると共に、HOと相当量の水素ガスが生成し、溶融した金属(アルミニウム)が水素ガスを吸収する恐れがある。
2Al+3HO → Al+3H (F)
しかし、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で金属を溶融することにより、上記化学反応式(F)で表されるような金属(還元剤)の酸化及び水素の生成を抑制し、また金属に水素が吸収されることを抑制することができるため、ハロゲン化シリコンの還元反応の反応効率の低下を防止できる。更には、溶融した状態の金属をハロゲン化シリコンと接触させることにより、ハロゲン化シリコンの還元反応の温度を高くできるため、反応効率を向上させ易くなる。
また、予め水素の含有率が1質量ppm以下である金属中の水素を増加させない溶融手段として、露点が−20℃以下の不活性ガス雰囲気下で金属を溶融することによって、塩素ガス等を用いたバブリング等の脱水素をする工程を別に実施することができるので、シリコンの製造装置を簡略化でき、安価に構成できるため好適である。
上記本発明では、露点が−20℃以下である雰囲気下で、前記金属と前記ハロゲン化シリコンとを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得ることが好ましい。
仮に、露点が−20℃より高い雰囲気下で、金属とハロゲン化シリコン(例えば、テトラクロロシラン)とを接触させた場合、雰囲気下に存在するHOによって下記化学反応式(G)で表されるような反応が進行し、HOと相当量のハロゲン化水素(例えば、塩化水素)が生成する。
SiCl+2HO → SiO+4HCl (G)
上記化学反応式(G)で表される反応により生成したハロゲン化水素(塩化水素)は、上記化学反応式(C)〜(E)で表されるように、還元剤である金属及び生成物であるシリコンを酸化するため、上記化学反応式(A)で表される反応の反応効率を低下させてしまう。
しかし、露点が−20℃以下である雰囲気下で、金属とハロゲン化シリコンとを接触させることにより、上記化学反応式(G)で表されるようなハロゲン化水素及び酸化シリコンの生成反応(塩化水素の生成)を抑制することができるため、金属及びシリコンの酸化を抑制し、ハロゲン化シリコンの還元反応の反応効率を向上させ易くなる。
上記本発明では、溶融した前記金属に、露点が−20℃以下であるアトマイズガスを吹き付けることにより、前記金属からなる微小液滴を形成し、前記微小液滴(液状粒子)と前記ハロゲン化シリコンとを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得ることが好ましい。
金属を微小液滴(液状粒子)とすることにより、金属の比表面積が増大し、ハロゲン化シリコンに対する金属の接触面積が増大するので、反応効率を向上させ易くなる。また、露点が−20℃以下であるアトマイズガスを用いることによって、上記化学反応式(F)で表されるような金属(還元剤)の酸化及び水素の生成を抑制することができるため、ハロゲン化シリコンの還元反応の反応効率を向上させ易くなる。
上記本発明では、前記金属に不純物成分として含まれるFe、Cu、Ni、Pb及びSnの含有率の合計が30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましい。このようにハロゲン化シリコンの還元に有効でない金属成分であるFe、Cu、Ni、Pb及びSnを低減した高純度の金属を還元剤として用いることにより、得られるシリコンがFe、Cu、Ni、Pb及びSnによって汚染されることを抑制することができる。
上記本発明では、金属がアルミニウムであることが好ましい。高純度のアルミニウムを還元剤として使用した場合、反応条件によっては未反応のアルミニウムがシリコンを汚染し得るが、シリコンの酸洗等により、シリコンから未反応のアルミニウムを容易に除去できる。この点において、アルミニウムは還元剤に好適である。
本発明によれば、ハロゲン化シリコンを金属で還元してシリコンを生成させる反応の反応効率を向上させることができるシリコンの製造方法を提供することができる。
以下、図1を参照しながら、本発明の好適な実施形態に係るシリコンの製造方法、及びその製造方法に好適な製造装置10について詳細に説明する。なお、図1は、製造装置10を反応器3の長手方向で切断した概略断面図である。また、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示された比率に限られるものではない。
本実施形態に係るシリコンの製造方法では、反応器3内に設けられたノズル1aから吐出された溶融アルミニウム(水素の含有率が1質量ppm以下である金属)の細流Fに対して、アトマイズガスGを吹き付けて溶融アルミニウムからなる微小液滴Pを形成する。そして、アトマイズガスGに含まれるテトラクロロシラン(ハロゲン化シリコン)、またはアトマイズガスGとは別に反応器3に供給されるテトラクロロシランと微小液滴Pとを反応器3内で接触させ、テトラクロロシランを還元する。すなわち、本実施形態では、反応器3内で、下記化学反応式(A)で表される還元反応を進行させることにより、シリコン粒子を製造する。
3SiCl+4Al → 3Si+4AlCl (A)
本実施形態に係るシリコンの製造方法は、テトラクロロシランに接触させる微小液滴Pの水素の含有率が1質量ppm以下であることを特徴とする。
還元剤としてテトラクロロシランに作用するアルミニウムの微小液滴Pに含まれる水素の含有率を1質量ppm以下とすることにより、テトラクロロシランの還元反応が進行する反応場(反応器3の内部)において、下記化学反応式(B)で表されるテトラクロロシランと水素との反応(塩化水素の生成)を抑制することができる。
SiCl+H → SiHCl+HCl (B)
このように、塩化水素の生成を抑制することができるため、下記化学反応式(C)で表される塩化水素と金属との反応、及び下記化学反応式(D)、(E)で表される塩化水素とシリコンとの反応を抑制することができる。
2Al+6HCl → 2AlCl+3H (C)
Si+3HCl → SiHCl+H (D)
Si+4HCl → SiCl+2H (E)
すなわち、上記本実施形態では、還元剤であるアルミニウムの微小液滴P及び反応生成物であるシリコンが塩化水素により酸化されることを抑制することができるため、上記化学反応式(A)で表されるテトラクロロシランの還元反応において十分に高い反応効率を達成できる。
微小液滴Pの水素の含有率を1質量ppm以下とする脱水素法としては、例えば、微小液滴Pを形成するためのアルミニウムを、溶融金属収容部1に収容する前に溶融させ、アルミニウムの溶湯中に、例えば塩素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを吹き込み、アルゴンガス及び塩化アルミニウムガスの気泡を発生させて、溶湯中に拡散する水素を気泡中に取り込ませながら、気泡を溶湯上へ浮上させることにより、気泡と共に水素を溶湯外へ除去する方法が挙げられる。このような脱水素法を実施する際は、塩素ガス及びアルゴンガスの導入機構、回収機構、及びガス漏れの防止機構を備えた脱水素装置(図示せず。)を用いればよい。また脱水素後のアルミニウム(液体)を溶融金属収容部1に収容するまでにアルミニウムが水分等で再汚染されないようにアルミニウムを扱う。
あるいは、予め水素の含有率が1質量ppm以下であるアルミニウム(固体)を溶融金属収容部1に収容し、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で溶融し、水素の含有率が1質量ppm以下である溶融アルミニウムを得る手段を採用してもよい。これにより、上述した複雑な脱水素工程に係る装置をシリコンの製造装置10に附帯する必要がなくなるので好適である。
本実施形態に係る製造方法により得られたシリコン粒子は、太陽電池の製造に用いるシリコンとして好適である。
次に、本実施形態に係るシリコンの製造方法に好適な反応装置10の構成及びその運転条件について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るシリコンの製造装置10は、溶融金属収容部1、アトマイズガス噴射部2、反応器3、排ガス冷却器9、固気分離器5、8、テトラクロロシラン加圧加熱部7、及びこれらを接続する配管(以下、場合により「ライン」という。)等を備える。
反応器3は、鉛直方向に延びる円筒部3aと、円筒部3aの下部に位置するシリコン捕集部3bと、を備える。反応器3内には、上記化学反応式(A)で表される還元反応が進行する反応場が形成される。溶融金属収容部1には、溶融したアルミニウムが収容されている。ノズル1aは、溶融金属収容部1内の溶融アルミニウムを反応器3内へ供給する。アトマイズガス噴射部2は、ノズル1aから反応器3内へ供給された溶融アルミニウムの細流Fに対して、アトマイズガスGを吹き付ける。アトマイズガスGは、ラインL1からアトマイズガス噴射部2へ供給されるテトラクロロシランを含有する。
(溶融金属収容部1)
溶融金属収容部1は、アルミニウムを収容するためのものであり、密閉容器15内に設けられている。溶融金属収容部1の周囲には加熱器11が設けられ、収容するアルミニウムの温度を調整して、アルミニウムが溶融した状態を維持できるようになっている。溶融金属収容部1の底部には反応器3内にまで延在するノズル1aが設けられ、ノズル1aから溶融アルミニウムの細流Fが鉛直方向に流下する。このようにアルミニウムの溶融体を溶融金属収容部1に収容させておくと、ノズル1aから反応器3内に溶融アルミニウムを安定的に流下させることができ、安定的且つ連続的にシリコン粒子を製造できるという利点がある。なお、密閉容器15内及び溶融金属収容部1内には不活性ガスが充填されている。この不活性ガスで密閉容器15内を加圧してもよい。これにより溶融アルミニウムをより一層安定的に流下させることができる。
本実施形態では、溶融アルミニウムの水素の含有率が1質量ppm以下である。なお、アルミニウムの水素の含有率は、例えば、JIS Z 2614(金属材料の水素定量方法通則)に基づいて測定することができる。JIS Z 2614に規定されている、不活性ガス融解−熱伝導度法に基づいてアルミニウムの水素の含有率を測定する場合、測定装置としては、例えば、LECOジャパン(株)製の水素分析計 RHEN−600等を用いればよい。
溶融アルミニウムの純度は、99.9質量%以上であることが好ましく、99.99質量%以上であることがより好ましく、99.995質量%以上であることが更に好ましい。純度の高いアルミニウムを使用することで、純度の高いシリコン粒子を得ることができる。なお、ここでいうアルミニウムの純度とは、原料アルミニウムのグロー放電質量分析法によって測定された元素のうち、Fe、Cu、Ga、Ti、Ni、Na、Mg及びZnの含有量(質量%)の合計を100質量%から差し引いた値を意味する。
本実施形態では、不純物成分として含まれるFe、Cu、Ni、Pb及びSnの含有率の合計が30質量ppm以下である溶融アルミニウムを用いることが好ましく、不純物成分として含まれるFe、Cu、Ni、Pb及びSnの含有率の合計が10質量ppm以下である溶融アルミニウムを用いることがより好ましい。このように高純度の溶融アルミニウムを還元剤として用いることにより、得られるシリコンがFe、Cu、Ni、Pb及びSnによって汚染されることを抑制することができる。
なお、溶融金属収容部1にアルミニウムを収容する前に、機械加工等の際にアルミニウム表面に付着した切削油等の不純物を除去し、アルミニウムの表面を清浄化することが好ましい。また、溶融金属収容部1に収容する前のアルミニウムに対して、真空下での加熱乾燥等の処理を施すことによって、アルミニウムに付着した水分を除去することが好ましい。
本実施形態では、溶融金属収容部1内の不活性ガスの露点を−20℃以下とすることが好ましく、−40℃以下とすることがより好ましく、−70℃以下とすることが特に好ましい。すなわち、このように露点の低い不活性ガス雰囲気下でアルミニウムを溶融することが好ましい。アルミニウムを溶融すると、アルミニウムの還元剤としての活性を高めることができるため、反応効率を向上させ易くなる。また、以下に説明するように、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下でアルミニウム溶融することにより、十分に脱水素されたアルミニウムが、不活性ガス雰囲気下に存在するHOに由来する水素を吸収することを防止できる。
例えば、アルミニウムを、露点が−20℃より高い不活性ガス雰囲気下で溶融する場合、雰囲気下に存在するHOによって下記化学反応式(F)で表される反応が進行し、溶融アルミニウムの一部が酸化して失活すると共に、HOと相当量の水素が生成し、溶融アルミニウムが水素を吸収し、溶融アルミニウムの水素の含有率を1質量ppm以下に維持し難くなる。
2Al+3HO → Al+3H (F)
しかし、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下でアルミニウムを溶融することにより、上記化学反応式(F)で表されるアルミニウムの酸化及び水素の生成を抑制することができ、また溶融アルミニウムに水素が吸収されることを抑制することができるため、テトラクロロシランの還元反応の反応効率を向上させ易くなる。
溶融金属収容部1内の不活性ガス雰囲気の露点を−20℃以下とする方法の一つとしては、水素の含有率が1質量ppm以下であるアルミニウムを溶融金属収容部1に収容した後で、真空ポンプ(図示せず。)により密閉容器15内を減圧下に保持した後に、露点が−20℃以下の不活性ガスを密閉容器15内へ供給する方法がある。特に密閉容器15内部を減圧下に保持する際には、密閉容器15内部を200℃程度に加熱して、溶融金属収容部1内に付着する水分を蒸発させ、密閉容器15の外部へ除去することが好ましく、また不活性ガスを用いて溶融金属収容部1内を繰返しパージすることが好ましい。
溶融金属収容部1内の温度は、溶融させる金属の融点に応じて適宜設定すればよいが、本実施形態のように金属としてアルミニウム(融点:660℃)を使用する場合には、通常700〜1300℃、好ましくは700〜1200℃、更に好ましくは700〜1000℃である。なお、溶融アルミニウムの温度が高くなるほど、溶融アルミニウム中への水素の溶解度が高くなる。したがって、溶融アルミニウム中への水素の溶解を防止するために、溶融アルミニウム温度の上限を低く抑えることが好ましい。
ノズル1aから溶融アルミニウムを安定して流出させるために、ノズル1aの温度は、通常700〜1300℃程度とすることが好ましい。なお、ノズル1aに付帯する加熱器等のノズル保温装置(図示せず。)を設置することにより、該温度を確保し、且つノズルの閉塞を防止することができる。
(テトラクロロシラン加圧加熱部7)
テトラクロロシラン加圧加熱部7は、テトラクロロシランを高温高圧にする機器である。テトラクロロシランガスを加圧及び加熱してもよいが、液化テトラクロロシランを加圧し、加圧された液化テトラクロロシランを加熱して気体または超臨界流体にすることが好ましい。液化テトラクロロシランを加圧するため、テトラクロロシランガスを加圧する場合と比較し、安価な装置で容易に昇圧でき、加圧工程後に液化テトラクロロシランを加熱して気体または超臨界流体にすることにより、高温高圧のテトラシラン流体を効率的に製造できる。
液化テトラクロロシランを加圧する方法としては、特に制限はなく、例えば、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプなどのポンプを用いた方法が挙げられる。
加圧された液化テトラクロロシランを加熱して気体または超臨界流体(以下、両者を総称してテトラクロロシラン流体ということがある。)にする方法としては、特に制限はなく、例えば、高周波加熱、抵抗加熱、ランプ加熱などの加熱器を用いた方法が挙げられる。
なお、テトラクロロシランガスを加圧及び加熱する場合も、同様に、ポンプ、加熱器を組み合わせて使用すればよい。また、特に予め加圧せずに液化テトラクロロシランを加熱することにより蒸気圧を高め、気化させたテトラクロロシランガスを使用できる。
加圧工程及び加熱工程を経て得られるテトラクロロシラン流体の圧力は、0.1〜15MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましく、2〜10MPaであることが更に好ましい。後述するように、テトラクロロシラン加圧加熱部7からのテトラクロロシラン及び/または不活性キャリアガスを図1に点線で示すラインL10から直接に反応器3内へ供給する場合には、テトラクロロシラン流体を特に高圧に加圧する必要がなく使用できる。
当該テトラクロロシラン流体の圧力が0.1MPa未満であると、アトマイズガスの製造が非効率的になりやすい。すなわち、使用するアトマイズガスが、テトラクロロシラン流体と不活性ガスとの混合ガスである場合、テトラクロロシラン流体の圧力が0.1MPa未満であると、所望のアトマイズガス圧力とするため、アトマイズガスの製造過程においてテトラクロロシラン流体または不活性ガスとを混合し再度加圧する必要が生じる。また、使用するアトマイズガスがテトラクロロシラン流体単独である場合も、テトラクロロシラン流体の圧力が0.1MPa未満であると、所望のアトマイズガス圧力とするため、テトラクロロシラン流体を再度加圧する必要が生じる。他方、15MPaを超えるテトラクロロシラン流体を使用するには、耐圧性の高い各種装置を使用する必要があり、コストが増大する傾向がある。
加圧工程及び加熱工程を経て得られるテトラクロロシラン流体は、温度が200〜1200℃であることが好ましく、200〜1000℃であることがより好ましい。
当該テトラクロロシラン流体の温度が200℃未満であると、アトマイズガスの製造が非効率的になりやすい。すなわち、テトラクロロシラン流体の温度が200℃未満であると、アトマイズガスの製造過程においてテトラクロロシラン流体またはアトマイズガスを再度加熱する必要が生じる。他方、当該テトラクロロシラン流体の温度が1200℃を超えても、それに要するコストに見合うだけの効果が小さい。
テトラクロロシランは、高純度のシリコン粒子を得る観点から、その純度が99.99質量%以上であることが好ましく、99.999質量%以上であることがより好ましく、99.9999質量%以上であることが更に好ましい。
(アトマイズガス噴射部2)
アトマイズガス噴射部2は、テトラクロロシラン加圧加熱部7からラインL1を通じて供給されるテトラクロロシラン流体、及び必要に応じて、加熱器17を有するラインL2から供給される不活性ガスを、溶融アルミニウムの細流Fに向けて噴射するためのものである。アトマイズガス噴射部2は、溶融アルミニウムの細流Fに向けてその周囲からアトマイズガスGを噴射するノズル2aを備える。細流FにアトマイズガスGを吹き付けることによって、アルミニウムの微小液滴Pが形成される。このように、アルミニウムを微小液滴とすることにより、アルミニウムの比表面積が増大し、テトラクロロシランに対するアルミニウムの接触面積が増大するので、反応効率を向上させ易くなる。
本実施形態では、アトマイズガスGの露点を−20℃以下とすることが好ましい。露点が−20℃以下であるアトマイズガスを用いることによって、上記化学反応式(F)で表される反応を抑制できる。すなわち、溶融アルミニウムの酸化を抑制できると共に、塩化水素の発生の原因となる水素の生成を抑制することができる。その結果、上記化学反応式(A)で表される反応の反応効率を向上させ易くなる。また、後述するように、本発明の効果を得るためには、アルミニウムの微小液滴Pとテトラクロロシランとの反応が進行する反応場(反応器3内の雰囲気)の露点を−20℃以下とすることが好ましいが、反応器3内へ供給するアトマイズガスGの露点を−20℃以下とすることによって、反応場の露点を−20℃以下にし易くなる。
ノズル2aから噴射するアトマイズガスGは、好ましくは、テトラクロロシラン流体と不活性ガスとの混合ガスである。アトマイズガスGに含まれる不活性ガスとしては、アルゴン及び/またはヘリウムが好適である。
アトマイズガスG中のテトラクロロシランの濃度は10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましく、50体積%以上であることが更に好ましい。テトラクロロシランの濃度が10体積%未満であると、上記化学反応式(A)の反応が十分に進行しない傾向がある。
アトマイズガスGの調製に使用する不活性ガスは、高純度のシリコン粒子を得る観点から、その純度が99.9体積%以上であることが好ましく、99.99体積%以上であることがより好ましく、99.999体積%以上であることが更に好ましく、99.9995体積%以上であることが特に好ましい。
溶融アルミニウムの細流Fに吹き付けるアトマイズガスGの温度は、200〜1200℃であることが好ましく、200〜1000℃であることがより好ましい。アトマイズガスGの温度を高くすることで、アトマイズ効率を向上できる。すなわち、より少量のアトマイズガスで溶融アルミニウムを微粒化できる。より一層高い温度のアトマイズガスGを調製する方法としては、腐食性を有しない不活性ガスを加熱器17によりテトラクロロシラン流体の温度よりも高い温度に加熱し、この不活性ガスとテトラクロロシラン流体とを混合するという手法が挙げられる。
溶融アルミニウムの細流Fに吹き付けるアトマイズガスの圧力は、0.1〜15MPaであることが好ましく、1〜10MPaであることがより好ましく、2〜10MPaであることが更に好ましい。アトマイズガスの圧力が0.1MPa未満であると、アルミニウムの微小液滴Pの形成が不十分となるとともに上記化学反応式(A)で表される反応の進行が不十分となる傾向がある。他方、15MPaを超えるアトマイズガスを使用するには、耐圧性の高い各種装置を使用する必要があり、コストが増大する傾向がある。なお、アトマイズガスは、ノズル2aから吐出される以前の段階にあっては、温度条件及び圧力条件に応じて液体や超臨界流体であってもよい。
(反応器3)
反応器3の円筒部3a内には、上記化学反応式(A)で表される反応が進行する反応場が形成される。本実施形態では、反応場(円筒部3a内の雰囲気)の露点を−20℃以下とすることが好ましく、−40℃以下であることがより好ましく、−70℃以下であることが更に好ましい。
仮に、露点が−20℃より高い雰囲気下で、アルミニウムとテトラクロロシランとを接触させた場合、雰囲気下に存在するHOによって下記化学反応式(G)で表される反応が進行し、HOと相当量の塩化水素が生成する。
SiCl+2HO → SiO+4HCl (G)
上記化学反応式(G)で表される反応により生成した塩化水素は、上記化学反応式(C)〜(E)で表されるように、アルミニウム及びシリコンを酸化するため、上記化学反応式(A)で表される反応の反応効率を低下させてしまう。また、上記化学反応式(G)に示す反応で生成した酸化シリコンがシリコン中に混入して、シリコンの純度が低下する傾向がある。
しかし、露点が−20℃以下である雰囲気下で、アルミニウムとテトラクロロシランとを接触させることにより、上記化学反応式(G)で表される反応(塩化水素の生成)を抑制することができるため、アルミニウム及びシリコンの酸化を抑制し、上記化学反応式(A)で表される反応の反応効率を向上させ易くなる。
反応場(円筒部3a内の雰囲気)の露点を−20℃以下にする方法としては、予め円筒部3a内を真空状態とし、必要があれば更に加熱した後に、露点が−20℃未満の不活性ガス及び/又はテトラクロロシランを円筒部3a内へ供給することが挙げられる。なお、後述するように、不活性ガス及び/又はテトラクロロシランをラインL10から直接反応器3内に供給する場合には、ラインL10から供給する不活性ガス及び/又はテトラクロロシランの露点を−20℃未満とすることが好ましい。
上記化学反応式(A)に示すように、当該反応におけるテトラクロロシランのモル数と溶融アルミニウムのモル数の化学量論比は、3:4であるが、生産性などの観点から、反応場に供給する単位時間あたりのテトラクロロシランのモル数Mと溶融アルミニウムの供給モル数Mの比(M/M)は、0.75〜20であることが好ましく、0.75〜10であることがより好ましく、0.75〜7.5であることが更に好ましい。M/Mの値が0.75未満であると、反応の進行が不十分となる傾向があり、他方、20を越えると、反応に寄与しないテトラクロロシランの量が増大する傾向がある。
円筒部3aの周囲には加熱器13が設けられ、反応場の温度を調整できるようになっている。加熱方式としては、特に制限はなく、例えば、高周波加熱、抵抗加熱、ランプ加熱などを用いた直接的な方法の他に、予め温度調節されたガス等の流体を用いる方式も用いることができる。反応場の温度は、通常、300〜1200℃(好ましくは500〜1000℃)となるように調整する。また、反応場の圧力は、通常、1気圧以上となるように調整する。
円筒部3a内に形成される反応場の酸素濃度は、酸化物の生成を十分に抑制する観点から、なるべく低い値に維持することが好ましい。具体的には、反応を開始する前の反応場の酸素濃度は、1体積%以下であることが好ましく、0.1体積%以下であることがより好ましく、100体積ppm以下であることが更に好ましく、10体積ppm以下であることが特に好ましい。反応を開始する前の反応場の酸素濃度を下げる方法として、溶融アルミニウムを所定時間噴霧し、アルミニウムの微小液滴に反応場の酸素を吸着させるという手法が挙げられる。
また、反応場の酸素濃度は、反応中においても、酸化物の生成を十分に抑制する観点から、なるべく低い値に維持することが好ましい。具体的には、反応中の反応場の酸素濃度は、1体積%以下であることが好ましく、0.1体積%以下であることがより好ましく、100体積ppm以下であることが更に好ましく、10体積ppm以下であることが特に好ましい。
反応器3は、その下部に下方に行くに従って内径が小さくなると共に下端にシリコン粒子を排出するためのシリコン排出口3cを有する縮径部3bを備える。この縮径部3bの鉛直方向の略中間の位置には、上記化学反応式(A)の還元反応によって生じたAlCl(気体)、未反応のSiCl(気体)、不活性ガス等及び微粒のシリコン粒子を排出するためのガス排出口3dが設けられている。
反応器3の下部に設けられた縮径部3bは、第一段目の固気分離器として機能する。縮径部3bの周囲には加熱器(図示せず。)が設けられ、内部の温度を調整できるようになっている。縮径部3bの内部の温度をAlCl(昇華点:180℃)が析出しない温度に保持することで、シリコン粒子とガスとを分離する。具体的には、縮径部3bの内部の温度を200℃以上となるように調整することが好ましい。縮径部3bの内部の温度を200℃よりも低くした場合、縮径部3b内においてAlClが析出し、シリコン粒子中に混入しやすくなる傾向がある。
(排ガス冷却器9)
ガス排出口3dから排出されるガスはラインL3を介して排ガス冷却器9に供給される。排ガス冷却器9は、ガス排出口3dから排出されるガスを冷却するためのものである。この排ガス冷却器9の内部の温度は、縮径部3bと同様に200℃以上となるように調整することが好ましい。排ガス冷却器9の好適な例として、熱媒体を利用する多管式熱交換器、二重管式熱交換器、あるいは直接に、排出されるガスに冷却媒体を噴霧する冷却器などを例示できる。冷却媒体としては、後述する固気分離器8から排出されるテトラクロロシランなど利用することができる。また排ガス冷却器9をラインL3に配置したが、必要に応じてラインL4にも設置してもよいし、ラインL3に冷却手段を付与し排ガス冷却器を省略してもよい。冷却手段としては、熱媒体を利用したジャケットが例示できる。さらには、ガス排出口3dから排出されるガスを冷却するために、反応器3の内部に冷却媒体を流入させても良い。
(固気分離器5)
ガス排出口3dから排出されるガスはラインL3またはラインL3の経路に配置された排ガス冷却器9を介して固気分離器5に供給される。固気分離器5は、第二段目の固気分離器として機能する。固気分離器5は、ガス排出口3dから排出されるガス中に存在する微粒のシリコン粒子(固体)を分離するためのものである。この固気分離器5の内部の温度も縮径部3bと同様に200℃以上となるように調整することが好ましい。固気分離器5の好適な例として、保温サイクロン式固気分離器などを例示できる。
(固気分離器8)
固気分離器5から排出されるガスはラインL4を介して固気分離器8に供給される。固気分離器8は、第3段目の固気分離器として機能する。固気分離器8は、固気分離器5からのガスに含まれるAlClを除去するためのものである。固気分離器8内の温度を、AlCl(AlClの昇華点:180℃)は析出するがSiCl(沸点:57℃)は凝縮しない温度に保持することで、析出したAlCl(固体)を除去する。具体的には、固気分離器8の内部の温度を60〜170℃(より好ましくは70〜100℃)に維持することが好ましい。固気分離器8の内部の温度を60℃よりも低くした場合、固気分離器8内においてSiClも凝縮し、回収される塩化アルミニウムの取扱いが煩雑となる傾向がある。他方、固気分離器8の内部の温度を170℃よりも高くした場合、AlClの析出が不十分となり、リサイクルされるテトラクロロシランガス中のAlClの含有量が高くなり取扱いが煩雑となる傾向がある。
固気分離器8は、その内部にバッフル板(図示せず。)を備えるものであることが好ましい。バッフル板を内部に設けることで、固気分離器8の内表面積が増大してAlClが効率的に析出し、ガス中のAlCl含有量を十分に低減できる。固気分離器8の内表面積は、固気分離器8の装置表面積の5倍以上であることが好ましい。
固気分離器8においてAlClの除去処理がなされたガスは、ラインL7を通じて固気分離器8から排出される。当該ガス中に未反応のテトラクロロシランガスと不活性ガス等及び微量の塩化アルミニウムとが共存する場合には、不活性ガス等を分離し、必要に応じて微量の塩化アルミニウムを分離・精製を行うことで、テトラクロロシランを回収できる。このテトラクロロシランを反応ガスとしてリサイクルしてもよい。また、分離された不活性ガス等もリサイクルしてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、アトマイズガスGとしてテトラクロロシラン流体及び不活性ガスの混合ガスを供給しているが、アトマイズガスとしてテトラクロロシラン流体のみを供給してもよい。かかる構成を採用することにより、反応場におけるテトラクロロシランの分圧を更に高くすることができ、より一層高い反応率を達成できる。一方、アトマイズガスとして不活性ガスのみを供給し、テトラクロロシラン加圧加熱部7からのテトラクロロシランガス及び/または不活性ガス等を図1に点線で示すラインL10から直接反応器3内に供給しても良い。また、反応器3やアトマイズガス噴射部2等の形状も図1の形状には限定されない。
また、反応器3の下部にシリコン排出口3cを例示したが、シリコン排出口3cを設けずに、後述する第二の構造物として、シリコンを汚染させにくい基材を反応器3の内部に設置し、その表面にシリコンを析出させて回収しても良く、あるいは後述する第二の構造物としてシリコンを捕集する内部容器を反応器3の内部に設置し、シリコンを融液として回収しても良い。また、ガス排出口3dから排出されるガスにシリコン粒子を全て同伴させて固気分離器5を利用して回収することもできる。さらには、固気分離器5を多段に設置することで、シリコン粒子の回収率を向上させることができる。
また、上記実施形態では、図1に示すように、溶融アルミニウムの細流Fをノズル1aから流下させた後に、ノズル2aから噴射されるアトマイズガスGを細流Fに吹き付ける、いわゆるフリーフォール法を採用する場合を例示したが、これ以外のガスアトマイズ法を採用してもよい。例えば、ノズル1aの溶融アルミニウムの出口とノズル2aのアトマイズガスの出口とが近接して設けられたアトマイズ機構を有する装置を用いた、いわゆるコンファインド法(Confined法又はClose−Coupled法)を採用してもよい。
また、上記実施形態においては、ノズル1aから下方に向けて溶融アルミニウムを吐出する場合を例示したが、いわゆるUpdraughtアトマイザ装置を使用し、溶融アルミニウムを上方に吐出させてもよい。
また、溶融アルミニウムが上方または下方に向けて吐出される場合、溶融アルミニウムが移動する方向と同じ方向に、テトラクロロシランを流してもよく(並流)、溶融アルミニウムが移動する方向に対向してテトラクロロシランを流してもよい(向流)。
また、上記実施形態では、アトマイズ法により形成した溶融アルミニウム粒子をそのまま液体の状態でハロゲン化シランと接触させているが、例えば、溶融アルミニウム粒子を一旦冷却して固体状態として貯留し、その後、溶融アルミニウム粒子となるまで再加熱してからハロゲン化シランと接触させてもよく、また、溶融せずに固体アルミニウム粒子をハロゲン化シランと接触させても実施は可能である。
また、上記実施形態において、金属としてアルミニウムの微小液滴(液状粒子)を用いる場合を例示したが、アルミニウムの形態は溶融薄膜または溶融プールでもよく、更にはアルミニウム粒子(固体)でもよい。または蒸発気化したアルミニウムガスを用いてもよい。
また、上記実施形態において、反応場を形成する構造物(例えば、反応器3)の内側にさらに第二の構造物(図示せず。)を設けることができる。このような第二の構造物としては、具体的には、例えば、反応器3の内壁から反応器3内へ突出するノズル(例えば、溶融アルミニウムを反応器3内に供給するノズルや、テトラクロロシランガスを反応器3内に供給するノズル等)、反応器3内でシリコンをその表面に析出、付着させる基材、シリコン粒子を捕集する内部容器等が挙げられる。また、これらの第二の構造物は、例えば、反応器3の円筒部3aや縮径部3bの内側や固気分離器5の内側等に設けることができる。第二の構造物の材料としては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、炭化珪素、炭素及びシリコンからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。炭素としては、黒鉛が好ましい。特に第二の構造物として、黒鉛からなる本体の表面を窒化珪素または炭化珪素で被覆した構造物であることができる。これらの第二の構造物に上述の材料を用いることにより、更に高純度のシリコンを得ることができる。
上記実施形態においては、還元剤である金属としてアルミニウムを使用する場合を例示したが、金属はこれに限定されない。還元剤としては、種々の還元性金属を使用でき、例えば、Na、K、Ca、Mg及びZnからなる群より選択された1種を単独で使用してもよく、または2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。また、還元剤である金属とシリコンの合金も使用できる。例えば、金属の形態としては、金属の微小液滴(液状粒子)でもよく、溶融薄膜または溶融プールでもよく、更には金属粒子(固体)でもよい。または蒸発気化した金属ガスを用いてもよい。
上記実施形態においては、ハロゲン化シリコンとしてテトラクロロシランを使用する場合を例示したが、ハロゲン化シリコンはこれに限定されず、下記一般式(H)で示されるハロゲン化シリコンのうち、テトラクロロシラン以外のものを単独で使用してもよく、あるいは、下記式(1)で示されるハロゲン化シリコンの2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
SiX (H)
[式中、Xは、F、Cl、Br及びIからなる群より選択された原子をそれぞれ示す。]
なお、テトラクロロシランと他のハロゲン化シリコンとの組み合わせて用いる場合、その組成及び配合比は限定されないが、テトラクロロシランの配合比率が別種のハロゲン化シリコンの配合比率より大きいことが好ましい。
また、溶融金属収容部1に、水素の含有率が1質量ppmより大きいアルミニウムを収容して、アルミニウムに対して上述の脱水素法を施すことにより、アルミニウムの水素の含有率を1質量ppm以下とした後に、溶融金属収容部1内の不活性ガスの露点を−20℃以下とした状態でアルミニウムを再度溶融してもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るシリコンの製造方法及び製造装置を示す概略図である。
符号の説明
1・・・溶融金属収容部、1a・・・溶融アルミニウムを流下させるノズル、2・・・アトマイズガス噴射部、2a・・・アトマイズガスを噴射するノズル、3・・・反応器、3a・・・円筒部、3b・・・縮径部、3c・・・シリコン排出口、3d・・・ガス排出口、5,8・・・固気分離器、7・・・テトラクロロシラン加圧加熱部、9・・・排ガス冷却器、10・・・反応装置、11,13,17・・・加熱器、F・・・溶融アルミニウムの細流、P・・・アルミニウムの微小液滴、G・・・アトマイズガス、L1,L2,L3,L4,L7,L10・・・ライン。

Claims (6)

  1. ハロゲン化シリコンと、水素の含有率が1質量ppm以下である金属とを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得るシリコンの製造方法。
  2. 水素の含有率が1質量ppm以下である前記金属と前記ハロゲン化シリコンとを接触させる前に、露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で前記金属を溶融することを特徴とする、請求項1に記載のシリコンの製造方法。
  3. 露点が−20℃以下である不活性ガス雰囲気下で前記金属を溶融し、
    溶融した前記金属と前記ハロゲン化シリコンとを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得ることを特徴とする、請求項1に記載のシリコンの製造方法。
  4. 露点が−20℃以下である雰囲気下で、前記金属と前記ハロゲン化シリコンとを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコンの製造方法。
  5. 溶融した前記金属に、露点が−20℃以下であるアトマイズガスを吹き付けることにより、前記金属からなる微小液滴を形成し、
    前記微小液滴と前記ハロゲン化シリコンとを接触させることにより、前記ハロゲン化シリコンを還元してシリコンを得ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコンの製造方法。
  6. 前記金属に不純物成分として含まれるFe、Cu、Ni、Pb及びSnの含有率の合計が30質量ppm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコンの製造方法。
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