JP2011140185A - ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流動性が改良され、強度と表面性状のバランスに優れたポリカーボネート樹脂成形品を射出成形で得る方法を提供する。
【解決手段】無機充填材を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)100質量部に対し、MVR(メルトボリュームレート)が、樹脂組成物(A)のMVRより5〜100%高い、無機充填材含有芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)5〜35質量部を配合したポリカーボネート原料樹脂を用いて、射出成形することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形品の製造方法による。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関し、さらに詳しくは、流動性が改良され成形性に優れた樹脂組成物から、強度と表面性状のバランスに優れたポリカーボネート樹脂成形品を射出成形にて得るポリカーボネート樹脂成形品の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などに優れ、その優れた特性から、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品等の幅広い分野で使用されている。さらに、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の上記の優れた特長を活かしつつ、ポリカーボネート樹脂の欠点である耐薬品性や成形加工性が改良された材料であり、優れた成形性、機械特性、耐薬品性及び寸法安定性を有しているので、種々の分野で広く使用されている。特に自動車等の車輌内装部品や外装部品の分野では、その優れた表面意匠性や軽量性が評価され、広く用いられるようになっている。
特に、ドアハンドル、フェンダーまたはドアミラースティのような自動車用外装部材には、材料に高強度・高剛性が要求され、そのため、樹脂の他、ガラス繊維や各種無機フィラー等の無機充填材を高充填したものを射出成形することが多い。
無機充填材の高充填は、ポリカーボネート樹脂組成物自身の流動性が低下しやすくなり、その結果、成形品の意匠面に無機充填材が浮いたような外観となり、金型転写性の低下によって光沢度が低下したりする。またウエルドラインが目立ち、ウエルド外観が問題となりやすい。
成形品の表面外観を改善する方法として、分子量の低いポリカーボネート樹脂を用いたり、流動性改質剤(可塑剤やワックス類)を使用する場合(特許文献1参照)もあるが、衝撃強度の低下や成形時のガスやシルバーストリーク発生の問題もあり、適用には制限がある。
特開平9−111109号公報
こうした状況下、成形時の流動性が改良されたポリカーボネート樹脂と無機充填材を含有する樹脂組成物を射出成形して、強度と表面性状の良好な成形品を得る方法が強く望まれていた。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ポリカーボネート樹脂と無機充填材を含有する樹脂組成物を射出成形して、流動性にも優れ、強度と表面性状のバランスに優れた成形品を得ることにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、無機充填材を含有するポリカーボネート樹脂組成物の溶融混練時の現象、あるいは射出から成形キャビティでの樹脂の挙動を詳細に解析し、鋭意検討を重ねた結果、メルトボリュームレートが高いフィラー含有ポリカーボネート樹脂組成物を追加して配合することが有効であり、これを射出成形すると、成形時の流動性も改良され、強度と表面性状のバランスに優れた成形品を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、無機充填材を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)100質量部に対し、MVR(メルトボリュームレート、JIS K7210に準拠し、温度300℃、荷重11.8Nで測定)が、樹脂組成物(A)のMVRより5〜100%高い、無機充填材含有芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)5〜35質量部を配合した原料樹脂を用いて、射出成形することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形品の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)が、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)100質量部に対し、ポリエステル樹脂(A2)1〜100質量部、無機充填材(A3)1〜60質量部、およびゴム性重合体(A4)0.5〜30質量部を含有することを特徴とする製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)が、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(B1)100質量部に対し、ポリエステル樹脂(B2)1〜100質量部、無機充填材(B3)1〜60質量部、およびゴム性重合体(B4)0.5〜30質量部を含有することを特徴とする製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、無機充填材(A3)および/または(B3)が、ガラス繊維、タルクまたはウォラストナイトであることを特徴とする製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)および芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)を構成する構成成分が実質的に同一であることを特徴とする製造方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明によって製造された成形品が提供される。
本発明の製造方法によれば、原料樹脂は成形時の流動性が改良され、これを射出成形して得られた成形品は、充分な物性・強度を有し、またピンホール発生等が少なく、表面性状に特に優れる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.概要]
本発明は、無機充填材を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)100質量部に対し、MVR(JIS K7210に準拠し、温度300℃、荷重11.8Nで測定したメルトボリュームレート)が、樹脂組成物(A)のMVRより5〜100%高い無機充填材含有芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)を5〜35質量部含有するポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形して成形品を得ることを特徴とする。
[2.MVR(メルトボリュームレート)]
本発明方法において、射出成形に供する原料樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)を配合するが、配合する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)は、主成分たる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)より、そのMVRが5〜100%高いものを用いる。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)100質量部に対し、5〜35質量部とする。
このように組成物(A)に対し、このような樹脂組成物(B)を、上記の量で配合した原料樹脂を原料樹脂として使用することで、原料樹脂は射出成形時の流動性が高くなり、金型キャビティの樹脂注入ゲートから遠い位置までの安定注入が可能となり、また得られた射出成形品は曲げ強度や曲げ弾性、耐衝撃性に優れることが見出された。さらに、成形品の表面性状は極めて良好であって、ピンホール等の表面欠陥が極めて少ないことも確認された。芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)を多く配合し過ぎると耐衝撃性が低下してしまい、少な過ぎると流動性が上がらないという事態に至ってしまうということも判明した。
なお、メルトボリュームレートMVRは、組成物(A)および組成物(B)のペレットについて、JIS K7210に準拠して、温度300℃、荷重11.8Nの条件下で、測定される。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)のMVRは、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)のMVRより、5〜100%、より好ましくは20〜80%高いことが好ましい。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)のMVRとしては、10〜30程度が好ましく、より好ましくは12〜25、特には14〜20である。
また、主成分たる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)のMVRとしては、5〜20程度が好ましく、より好ましくは7〜15、特には8〜12である。
さらに、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)の配合量の好ましい範囲は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)100質量部に対し、5〜30質量部、より好ましくは7〜25質量部である。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)および芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)は、いずれも芳香族ポリカーボネート樹脂と無機充填材を必須構成成分として含有し、好ましくはポリエステル樹脂、ゴム性重合体を、必要により他の樹脂成分を構成成分として含有するが、これらの各構成成分は、組成物(A)および組成物(B)において、それぞれ同一種のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
なかでも、組成物(A)および組成物(B)が、互いに同じ樹脂成分から構成された実施的に同じ組成物であって、樹脂組成物のMVR値が異なる組成物であるものが好ましい。このように同じ構成成分からなる組成物のMVRを、両組成物間で異なるものにするには、共通する構成成分の種類としては同じものであるが、その特性は異なるもので構成することが好ましい。なお、「構成成分が実質的に同一」とは、組成物(A)および(B)を構成する樹脂成分や無機充填材が同じ種のものから配合されていることをいい、その各成分の特性や配合量は異なっていてよく、また、その他の各種添加剤は、その有無、その種類や特性、あるいは配合量が異なっている場合も包含される。
以下、樹脂組成物(A)および(B)を構成する各構成成分について、説明する。
[3.原料樹脂1:芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)および(B1)]
芳香族ポリカーボネート樹脂は、周知のように、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲンと反応させる界面重合法や、炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法により製造されているが、本発明では何れの製造法のものも用いることができる。エステル交換法では末端封止剤を反応させて末端OH基濃度を調節することがあるが、この処理を経たものも用いることができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)が主として用いられているが、周知のように他の芳香族ジヒドロキシ化合物、例えばテトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどを用いることもできる。また生成する樹脂に難燃性を付与するため、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが結合した化合物や、シロキサン構造を有し且つ両末端にフェノール性OH基を有するポリマーやオリゴマーを併用することもできる。
本発明では、通常は市場で容易に入手し得る2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂を用いるが、他のポリカーボネート樹脂、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される共重合ポリカーボネート樹脂を用いることもできる。また2種以上のポリカーボネート樹脂を併用してもよい。
本発明では、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)として、粘度平均分子量(Mv)が14,000〜30,000のものを用いるのが好ましい。粘度平均分子量が低すぎると樹脂組成物の機械的強度が著しく低下し、逆に高すぎてもその流動性が著しく低下してしまう。粘度平均分子量が15,000〜29,000のものを用いるのが好ましく、16,000〜28,000のものを用いるのが最も好ましい。なお、粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定した溶液粘度に基づいて算出する。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)に使用する芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)として、粘度平均分子量(Mv)が10,000〜26,000のものを用いるのが好ましく、11,000〜25,000のものを用いるのがより好ましく、12,000〜24,000のものを用いるのが最も好ましい。
なお本発明では芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)および(B1)としては、バージン品だけでなく、使用済みの製品から再生されたもの、いわゆるマテリアルリサイクルされたものも用いることもできる。例えば、光学ディスクなどの光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防などの車両透明部材、水ボトルなどの容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板などの建築部材などから再生されたものを用いることができる。また、成形に際しての不良品、例えばスプルーやランナーなどから再生されたものを用いることもできる。芳香族ポリカーボネート樹脂(B1)として、このようなリサイクル材を用いることも好ましい。
[4.原料樹脂2:(A1)および(B1)以外の他の熱可塑性樹脂]
本発明に使用する両組成物(A)および(B)に配合する芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)および(B1)以外の他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;
ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;
ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
なお、その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[4−1.原料樹脂2:ポリエステル樹脂(A2)および(B2)]
このような他の熱可塑性樹脂のうちで、最も好ましいのは、ポリエステル樹脂である。
両樹脂組成物(A)および(B)に配合するポリエステル樹脂(A2)および(B2)としては、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、これを脂肪族グリコールを主とするアルコールと重縮合反応させて得られる熱可塑性ポリエステル樹脂を用いる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などが挙げられる。また脂肪族グリコールとしてはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜10のアルキレングリコール、あるいは、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。さらには、ビスフェノールAポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなども挙げられる。
ポリエステル樹脂には、パラヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸や、芳香族ジカルボン酸以外のカルボン酸、脂肪族ジオール以外のアルコールを共重合させることができ、本発明ではこのような共重合樹脂を用いることもできる。しかしながら、このような共重合成分は少量であるのが好ましく、ポリエステル樹脂の80質量%以上、更には90質量%以上が、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからの成分であるのが好ましい。また芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールは、それぞれその80モル%以上、更には90モル%以上を1種類の化合物が占めるのが好ましい。
このようなポリエステル樹脂の具体例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらは共重合成分を含有していてもよい。本発明では、これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いるのが好ましく、また両者を併用するのも好ましい。なお併用する場合には、その比率はPET:PBT=1:1〜1:8(質量比)が好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造するための重合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、スズ化合物、チタン化合物などが知られているが、本発明ではゲルマニウム化合物を触媒として重合したものを用いるのが好ましい。他の触媒で重合したものを用いると、最終的に得られるポリカーボネート樹脂との組成物の熱安定性及びリサイクル性が低下する傾向がある。触媒として用いるゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム酸化物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシドなどのゲルマニウムアルコキシド、水酸化ゲルマニウムおよびそのアルカリ金属塩、ゲルマニウムグリコレート、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、二酸化ゲルマニウムを用いるのが、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂の耐溶剤性および熱安定性の点から好ましい。
ゲルマニウム触媒は、生成するポリエチレンテレフタレート樹脂中に、ゲルマニウム原子として15ppm〜40ppmとなるように用いるのが好ましい。15ppm未満では重合反応の進行が遅く、40ppmをこえると樹脂中に残存したゲルマニウム化合物によって副反応を生じることがある。
ポリブチレンテレフタレート樹脂としては、チタン化合物を主触媒とし、1族金属化合物や2族金属化合物を助触媒として重合したものを用いるのが好ましい。チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物類;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート類;テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート類等が挙げられる。なかでもチタンアルコラート類を用いるのが好ましい。最も好ましいのはテトラアルキルチタネート類、特にテトラブチルチタネートである。
チタン化合物は、生成するポリブチレンテレフタレート樹脂中に、チタン原子換算で20ppm〜50ppm、特に30〜40ppmとなるように用いるのが好ましい。チタン化合物の使用量が多過ぎると、生成するポリブチレンテレフタレート樹脂の色調や耐加水分解性が低下したり、チタン触媒の失活による溶液ヘイズや異物増加が生ずる場合がある。逆に少な過ぎてもポリブチレンテレフタレート樹脂の重合性が低下しやすい。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)に使用するポリエステル樹脂(A2)の分子量は、フェノールとテトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=50/50)中、30℃で測定される固有粘度が0.4〜2.0であるのが好ましい。固有粘度が0.4未満のものを用いたのでは樹脂組成物の機械的強度が劣り、逆に2.0を越えるものでは成形性が低下する傾向がある。ポリエステル樹脂の好ましい固有粘度は0.6〜1.2である。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)に使用するポリエステル樹脂(B2)の分子量の固有粘度は、0.4〜2.0であるのが好ましく、より好ましい固有粘度は0.6〜1.2である。
なお、ポリエステル樹脂(A2)および(B2)としては、バージン品だけでなく、使用済みの製品から再生されたもの、いわゆるマテリアルリサイクルされたものも用いることもでき、また、成形に際しての不良品、スプルー、ランナーなどから再生されたものを用いることもできる。ポリエステル樹脂(B2)は、このようなリサイクル材を用いることも好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)(B1)と、他の熱可塑性樹脂の配合比率は、(A1)/(他の熱可塑性樹脂)の質量比で、50〜99/50〜1の割合であるのが好ましい。
ポリエステル樹脂を使用する場合の配合量は、いずれも芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)、(B1)100質量部に対し、ポリエステル樹脂(A2)、(B2)は1〜100質量部であるのが好ましい。1未満では、樹脂組成物の耐薬品性が不足し、100を越えると耐熱性や耐衝撃性が低下することがある。よりポリエステル樹脂が、5〜80質量部、特には、10〜60質量部が好ましい。
[5.ゴム性重合体(A4)および(B4)]
また、樹脂組成物(A)および(B)は、ゴム性重合体を含有することが好ましい。
ゴム性重合体(A4)および(B4)としては、一般にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂に配合してその耐衝撃性を改良するのに用いられているものを用いればよい。例えば所謂ゴムやゴムにこれと反応する化合物をグラフト重合させたものを用いるのが好ましく、また、ゴム性重合体のガラス転移温度は0℃以下、特に−20℃以下であるのが好ましい。
ゴム性重合体の具体例としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム等)、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
またゴム性重合体の他の例としては、上記のゴム性重合体に単量体成分をグラフト重合した共重合体が挙げられる。この単量体としては例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が挙げられる。また、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)も挙げられる。これらの単量体は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
ゴム性重合体は、樹脂組成物の耐衝撃性改良の点から、コア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもブタジエン成分含有ゴム、ブチルアクリレート成分含有ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれるゴムをコア層とし、その周囲にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物から選ばれる単量体をグラフト重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。
コア/シェル型グラフト共重合体の例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPN(Interpenetrating Polymer Network)ゴム)重合体等が挙げられる。これらのゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ゴム性重合体(A4)および(B4)の好ましい配合量は、組成物(A)および(B)とも、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)または(B1)の100質量部に対し、ゴム性重合体(A4)および(B4)0.5〜30質量部が好ましく、より好ましくは1〜25質量部である。ゴム性重合体の配合量が0.5質量部未満では、耐衝撃性の改良効果が小さく30質量部を越えると耐熱性や剛性が低下することがある。ゴム性重合体の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A1)または(B1)の100質量部に対し、2〜20質量部であるのが最も好ましい。
[6.無機充填材(A3)および(B3)]
また、樹脂組成物(A)および(B)は、強度と剛性を向上させる目的で、無機充填材を含有するのが好ましい。
無機充填材(A3)または(B3)の形状は、針状、板状、粒状または無定型状など任意である。無機充填材の具体例としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のガラス系フィラー;炭素繊維、炭素短繊維、カーボンナノチューブ、黒鉛などの炭素系フィラー;チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ゾノトライト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
これらの中では良好な表面意匠性を得る目的で、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリナイト、ガラス繊維が好ましく、より好ましくはタルク、ウォラストナイト、ガラス繊維、特には、タルク、ウォラストナイトが好ましい。
また、無機充填材は、2種以上を併用してもよい。
無機充填材(A3)および(B3)の好ましい含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A1)または(B1)100質量部に対し、1〜60質量部である。無機充填材の効果を発現させるためには、少なくとも1質量部は含有させるべきである。無機充填材の含有量が1質量部未満の場合は補強効果が十分でない場合がある。また60質量部を超える場合は、外観や耐衝撃性が劣り、流動性が十分でない場合がある。無機充填材のより好ましい含有量は3〜50?質量部、特には5〜30質量部である。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)に配合する無機充填材(A3)は、その平均粒子径が0.05〜50μmであることが好ましく、更には0.1〜25μmであればより好ましい。平均粒子径が小さすぎると補強効果が不充分となり易く、逆に大きすぎても製品外観に悪影響を与えやすく、更に耐衝撃性も不十分となる場合がある。無機充填材(A3)の最も好ましい平均粒子径は、0.2〜15μm、特に0.3〜10μmである。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)に使用する無機充填材(B3)の平均粒子径は、0.05〜30μmであることが好ましく、更には0.05〜15μmであればより好ましく、特に0.1〜8μmであるのが好ましい。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)に使用する無機充填材(B3)の平均粒子径は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)に配合する無機充填材(A3)の平均粒子径に対して、50〜90%であることが好ましい。このようにすることで、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)(B)を混練した原料樹脂の流動性をより高くすることができ、これを射出成形した成形品の表面外観をより向上させることができる。
なお、本発明における平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるD50をいい、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定を行う。
[7.その他成分:有機リン酸エステル化合物]
また、本発明に使用する樹脂組成物(A)および(B)の両方あるいは一方には、有機リン酸エステル化合物を含有するのが好ましい。
有機リン酸エステル化合物は、リン原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が1〜3個結合した部分構造を有するものである。なお、これらのアルコキシ基やアリールオキシ基には、さらに置換基が結合していてもよい。
有機リン酸エステル化合物の具体例としては、ビス(ジステアリルアシッドホスフェート)亜鉛塩、モノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩、トリス(ジステアリルアッシドホスフェート)アルミニウム塩、1個のモノステアリルアッシドホスフェートと2個のモノステアリルアッシドホスフェートアルミニウムとの塩、モノステアリルアシッドホスフェートやジステアリルアシッドホスフェートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また混合物として用いてもよい。市販され入手し得るものとしては、堺化学工業社製商品名「LBT−1830」(ジンクステアリリルアシッドフォスフェート)や商品名「LBT−1813」(リン酸エステルアルミニウム塩系)、城北化学工業社製商品名「JP−518Zn」(オレイルアシッドフォスフェート系)、ADEKA社製商品名「アデカスタブAX−71」(オクタデカノキシホスフェート系)などがある。
有機リン酸エステル化合物の配合量は、樹脂組成物(A)または(B)100質量部に対して、0.02〜1質量部が好ましい。配合量が少ないと樹脂組成物の耐衝撃性、滞留熱安定性,耐薬品性が十分に確保できにくくなる。逆に配合量が多すぎると樹脂組成物を押出成形する際に金型汚染が生じ、かつ成形品の耐衝撃強度も低下しやすい。より好ましい配合量は、樹脂組成物(A)または(B)100質量部に対し、0.05質量部以上、特に0.1質量部以上であり、またその上限は0.5質量部、特に0.3質量部であるのが好ましい。
[8.その他の成分]
本発明における樹脂組成物(A)および(B)の両方あるいは一方には、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよく、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・その他の添加剤
本発明における樹脂組成物(A)および(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
[9.原料樹脂の製造方法]
樹脂組成物(A)および(B)の製造法、またこれら両組成物を配合して原料樹脂とする方法に制限はなく、公知のポリカーボネート系樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。
具体例を挙げると、本発明に係る各成分、並びに必要に応じて配合されるその他の成分を、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸又は二軸スクリュー押出機、コニーダー等を使用して溶融混練する方法等が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
樹脂組成物(A)よりMVRが5〜100%高い樹脂組成物(B)は、各種の方法により調製可能であるが、例えば前述したように原料樹脂として、樹脂組成物(A)に配合したのと同じ原料樹脂でも分子量が低いものを使用するとか、同様に同じ無機充填材でもその平均粒径がより小さいものを使用する等により、調製することができる。
また、両樹脂組成物(A)および(B)を配合する際には、ポリカーボネート樹脂や他のポリエステル樹脂等の樹脂を追加してもよく、また樹脂添加剤等を一緒に追加してもよい。
溶融樹脂をペレットにする場合には、溶融樹脂はストランド状に押し出し、吐出ダイスを経て、通常は冷却水槽が設けられて、冷却処理後、ペレタイザー等の切断手段により切断されて、平均粒径1〜5mm程度のペレットとされる。
両組成物を混合して得られたペレットを射出成形して成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、両組成物を押出機等で溶融混練された樹脂を直接、射出成形して成形品を製造することもできる。
[10.射出成形]
射出成形法としては、具体的には例えば、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空射出成形法、インサート射出成形法による金属部品、その他の部品との一体成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法等が挙げられる。またこの様な射出成形法に用いる金型としても、従来公知の任意のものを使用でき、具体的には例えば、断熱金型や、急速加熱金型等が挙げられる。
[10−1.ガスインジェクション射出成形]
本発明においては、射出成形のなかでも、特にガスインジェクション射出成形にて中空部を有する成形品を製造するのが好ましい。
ガスインジェクション射出成形では、上記した原料樹脂のペレット、あるいはペレットを経由せずに両樹脂組成物を、射出成形機にて溶融して、金型キャビティに一定量を射出し、適切なタイミングで高圧の不活性ガス(通常は窒素ガス)を、通常ノズルまたは金型キャビティより注入して、ガスによる付形を行う。この方法は、ガスアシスト射出成形とも呼ばれる。
好ましいガス保持圧は、10〜24MPaであり、かつ金型表面温度が40〜100℃の範囲であることが好ましい。
また、本発明において、ガスインジェクション射出成形は、上記に狭義に限定して解釈されるべきではなく、空気アシスト射出プレス成形、PFP(Partial Frame Process)、高中空体成形(HM成形)、断熱層によるチャンネル成形(CGM)、External Gas Injectionといわれるような射出した樹脂をガスによる付形を行う成形法を広く意味する。
本発明での原料樹脂を用いて、ガスインジェクション射出成形によって得られる中空成形品は、引張強度、曲げ強度等の機械的強度に優れ、ピンホール等の発生のない表面性状に優れた成形品となる。
射出成形により得られた成形品は、優れた耐衝撃性、寸法安定性、優れた表面外観を兼備しているので、車両・航空機等の内装部品、外装部品、電気・電子・OA機器部品、携帯電話、機械部品、建築部材、レジャ−用品・雑貨類等の幅広い用途に適している。
具体的には例えば、自動車外装部品としては、アウターハンドル、ドアミラースティ、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ルーフレール、ワイパーアームなどがあり、自動車内装部品としては、インナーハンドル、センターコンソール、インパネ、アシストグリップ、シートベルトストッパーなどが挙げられる。
また鉄道車両部品としては、テーブルアーム、吊り手、アシストグリップなどがあり、電気部品としては、シェーバー枠、ドライヤー、冷蔵庫用ハンドルおよび引き手、電子レンジ用扉、ポータブルMDシステムのハンドル、ヘッドホーンアーム、電動ドライバー用ハウジングなどが挙げられる。そして建材部品として、ドアハンドル、クレセント、フランス落としなどを例示できる。
特に、その優れた外観、生産性等から、特に車両・航空機用アウターまたはインナーハンドル用途に、好ましく用いられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例において用いた原料成分は次のとおりである。
ポリカーボネート樹脂
1)芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「PC−A」):
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロン(登録商標)E−2000
粘度平均分子量28,000
2)芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「PC−B」):
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロン(登録商標)S−3000
粘度平均分子量22,000
3)芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「PC−C」):
界面重合法で製造されたビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 ユーピロン(登録商標)H−3000
粘度平均分子量20,000
ポリエステル樹脂
1)ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂(以下、「PBT−1」):
三菱エンジニアリングプラスチックス社製
ノバデュラン(登録商標)5020 固有粘度1.20dl/g
2)ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂(以下、「PBT−2」):
三菱エンジニアリングプラスチックス社製
ノバデュラン(登録商標)5008、固有粘度0.85dl/g
3)ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂(以下、「PET」):
三菱化学社製 ノバペックスGG500
ゲルマニウム原子含有量28ppm、固有粘度0.76dl/g
尚、上述の各ポリエステル樹脂の固有粘度は、フェノ−ルとテトラクロロエタンとの1対1(質量比)混合液中、30℃で測定した値である。
ゴム性重合体:
ポリブタジエン(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体
ローム・アンド・ハース・ジャパン社製 EXL2603、軟化点温度約105℃
有機リン酸エステル化合物:
トキシエチルアシッドフォスフェート 城北化学工業社製
商品名JP−506H(COCO)P(O)(OH)3−n n=1,2
熱安定剤:
リス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
旭電化工業社製 アデカスタブAS2112
タルク
1)松村産業社製顆粒状タルク(以下、「タルク−A」):
平均粒子径:3.7μm 嵩密度0.76g/ml
粒度/目開き500μm篩上の割合が98質量%
粒子形状/円柱状、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mm
バインダー種/水溶性ポリエステル
2)松村産業社製顆粒状タルク(以下、「タルク−B」)
平均粒子径:2.0μm 嵩密度0.72g/ml
粒度/目開き500μm篩上の割合が98質量%
粒子形状/円柱状、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mm
バインダー種/水溶性ポリエステル
(実施例1〜5および比較例1〜3)
<樹脂組成物1〜4の調製>
上記原料成分を使用し、下記表1に示す割合で含有するポリカーボネート樹脂組成物1〜4を以下のように調製した。
すなわち、表1に示す各成分を同表に示す割合にて、タンブラ−ミキサ−で均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製「TEX30XCT」)にフィードし、溶融混練した樹脂組成物を、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、樹脂組成物のペレットを得た。樹脂組成物1〜3のMVRは、表1に示すとおりであった。
さらに、上記樹脂組成物1のペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、表2に示す配合比率で混合し、ファナック社製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形した。さらにZERMA社製「GSL180/180」にて、粉砕して樹脂組成物4を得た。このもののMVRは、15であった。
Figure 2011140185
(1)ガスインジェクション射出成形による耐ピンホール性の評価
上記で得られた組成物1〜4のペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、下記表2に示す配合比率で、日本製鋼所製J−220EV−P型射出成形機のホッパに投入し、片側に自動車本体ドアへの取り付け部分を有するピラー/ドア取り付け部成形用金型(ガス注入用ノズルを有する)を取り付け、シリンダー温度280℃、金型温度70℃、充填時間7秒、ガス射出遅延8秒、ガス圧10MPa、ガス保圧時間35秒、成形サイクル80秒の条件で、30ショット連続成形した。30ショット中に発生したピンホール数をカウントした。
結果を表2に示す。
(2)耐衝撃性(ノッチ付きシャルピー衝撃強度)の測定
上記と同様にして組成物1〜4のペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、表2に示す配合比率で混合し、ファナック製「α100iA型」射出成形機を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4.0mm)を射出成形した。ISO179に準拠して、この試験片から厚さ4.0mmのノッチ付試験片を作製し、23℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:KJ/m)を測定した。
結果を表2に示す。
(3)曲げ強度、曲げ弾性率
上記(2)と同様にして、ISO 178に準拠して、曲げ試験片(厚さ4mm)を試験片とし、23℃の温度で曲げ強度(単位:MPa)及び、曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
以上の結果を、下記表2に示す。
Figure 2011140185
実施例および比較例の結果から分かるように、本発明に従って、MVRがより高い樹脂組成物を特定量配合した組成物を原料にして成形をした場合には、耐衝撃性と曲げ強度等の機械特性のバランスに優れ、かつピンホールの少ない良好な表面外観の中空成形品を得ることができることが分かる。
本発明の成形品の製造方法によれば、複数の組成物を混合した原料を射出成形することによって、成形時の流動性は良好で、十分な機械的強度と良好な表面外観の成形品を与えることができるので、自動車内外装部品分野、電気電子部品分野等の広い分野に適用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (6)

  1. 無機充填材を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)100質量部に対し、MVR(メルトボリュームレート、JIS K7210に準拠し、温度300℃、荷重11.8Nで測定)が、樹脂組成物(A)のMVRより5〜100%高い、無機充填材含有芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)5〜35質量部を配合した原料樹脂を用いて、射出成形することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)が、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(A1)100質量部に対し、ポリエステル樹脂(A2)1〜100質量部、無機充填材(A3)1〜60質量部、およびゴム性重合体(A4)0.5〜30質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)が、芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂(B1)100質量部に対し、ポリエステル樹脂(B2)1〜100質量部、無機充填材(B3)1〜60質量部、およびゴム性重合体(B4)0.5〜30質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記無機充填材(A3)および(B3)が、ガラス繊維、タルクまたはウォラストナイトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに1項に記載の製造方法。
  5. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(A)と前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物(B)の構成成分が実質的に同一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された成形品。
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