しかしながら、上述した特許文献1に開示されたテレスコピックカバーを含めて、これまでのテレスコピックカバーでは、ワイパーが単一であることから、該テレスコピックカバーが伸縮を繰り返すことにより、一部が破損した場合であってもワイパー全体を交換せざるを得ない。
そこで、本発明は、上述した従来のテレスコピックカバーが有する課題を解決するために提案されたものであって、ワイパーの一部が破損した場合であっても該ワイパー全体を交換する必要のない新規なテレスコピックカバーを提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、それぞれ天板部と側板部とを備えた大小複数の保護カバーが入れ子状に配置され、それぞれの保護カバーがスライドされることにより全体として伸縮自在とされたテレスコピックカバーであって、上記保護カバーの内で最も小さな保護カバーを除く保護カバーには、複数に分割されたワイパーがそれぞれ着脱可能に取り付けられてなるととともに、上記複数に分割されたワイパーの内の2つは、天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えてなることを特徴とするものである。
この第1の発明を構成する上記ワイパーは、複数に分割されていることが必要であり、さらに、その分割されたワイパーの内の2つは、天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えていることが必要である。上記ワイパーが2つに分割された例を説明すれば、左側板部の全部と天板部の半分に取り付けられるとともに、中途部には、左側のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第1のワイパーと、右側板部の全部と天板部の(残り)半分に取り付けられるとともに、中途部には、右側のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第2のワイパーとに分割されたものである。また、ワイパーが3つに分割された例を説明すれば、左側板部の全部と天板部の一部に取り付けられるとともに、中途部には、左側のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第1のワイパーと、右側板部の全部と天板部の一部に取り付けられるとともに、中途部には、右側のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第2のワイパーと、天板部に取り付けられてなる第3のワイパーとに分割されたものである。さらに、5つに分割されたワイパーを説明すると、左側板部の一部に取り付けられた第1のワイパーと、上記左側板部の一部と天板部の一部に取り付けられるとともに、中途部には、左側のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第2のワイパーと、右側板部の一部に取り付けられた第3のワイパーと、上記右側板の一部と天板部の一部に取り付けられるとともに、中途部には、右側のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第4のワイパーと、天板部のみに取り付けられてなる第5のワイパーとに分割されたものである。
上述した第1の発明に係るテレスコピックカバーによれば、一部のワイパーが破損した場合には、その破損したワイパーのみを交換すれば足り、全てのワイパーを交換する必要はないことから、ワイパーの交換作業を迅速に行うことができるばかりではなく、ワイパーの交換コストも抑制することができる。しかも、この第1の発明に係るテレスコピックカバーでは、上記複数に分割されたワイパーの内の2つは、天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えてなり、天板部と側板部とのコーナー部を境界に分割されているものではないことから、該コーナー部においてワイパーと保護カバーとの間に隙間が発生することが防止され、その隙間からテレスコピックカバーの内部に塵埃等が侵入する危険性を有効に回避することができる。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記複数に分割されたワイパーの一端又は両端には、該ワイパーの長さ方向とは傾斜した傾斜面が形成され、上記複数のワイパー同士は上記傾斜面が互いに当接した状態で保護カバーに取り付けられてなることを特徴とするものである。
この第2の発明では、複数に分割されたワイパーの一端又は両端には、該ワイパーの長さ方向とは傾斜した傾斜面が形成されている。この傾斜面の傾斜角度は、ワイパーの長さ方向(テレスコピックカバーの伸縮方向)に対する角度が90度である場合を含まない意味であり、鈍角又は鋭角を形成してれば良い。また、こうした傾斜面は、言うまでもなく、上記複数に分割されたワイパーの両端に形成されている必要はない。例えば、前述した上記ワイパーが2つに分割された例を再度引用して説明すれば、この傾斜面は、前記第1のワイパーと第2のワイパーとが当接される側の端部に形成されていれば良いし、また、前記ワイパーが3つに分割された例では、この傾斜面は、前記第1のワイパーの一端と、第2のワイパーの一端と、上記第3のワイパーの両端に形成されていれば良い。
上述した第2の発明によれば、複数に分割されたワイパーの一端又は両端には、該ワイパーの長さ方向とは傾斜した傾斜面が形成され、上記複数のワイパー同士は上記傾斜面が互いに当接した状態で保護カバーに取り付けられてなることから、分割されたワイパー同士が当接した部位から塵埃がテレスコピックカバーの内部に侵入することを防止することができる。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記保護カバーを構成する天板部と側板部とには、前記ワイパーの長さ方向と同じ方向に長さを有する位置決め部材が固定され、前記分割された各ワイパーの背面は、上記位置決め部材の正面に当接してなることを特徴とするものである。
上記各位置決め部材の長さや形状は特に限定されるものではないが、天板部に固定された位置決め部材は、該天板部の幅方向の中心に該位置決め部材の中心が位置するように固定されていることが、安定性の上からは好ましく、また該位置決め部材の数も複数固定されていても良い。また、側板部に固定された位置決め部材も各側板部の幅(高さ)方向に長さを有するようそれぞれ固定されていれば良く、その固定位置は該側板部の幅(高さ)方向の中心に該位置決め部材の中心が位置するように固定されていることが好ましい。なお、これら天板部や側板部に固定された各位置決め部材の背面は、テレスコピックカバーが収縮して、これらの位置決め部材が固定された特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーの先端が当接する当接面とされていても良い。
上述した第3の発明に係るテレスコピックカバーによれば、上述したように、保護カバーを構成する天板部と側板部とには、前記ワイパーの長さ方向と同じ方向に長さを有する位置決め部材が固定され、前記分割された各ワイパーの背面は、上記位置決め部材の正面に当接してなることから、取り付けられたワイパーの全部又は一部が破損し、新たなワイパーを取り付ける際には、該新たなワイパーの背面を上記位置決め部材の正面に当接させることにより、必ず正確な位置に取り付けることができるため、作業者に熟練が要求されることなく、簡単かつ迅速にワイパーを交換することができる。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1、第2又は第3の何れかの発明において、前記ワイパーは、前記天板部の一部から側板部に亘って取り付けられた第1及び第2のワイパーと、上記天板部にのみ取り付けられた第3のワイパーと、を備え、上記第3のワイパーの両端には、該第3のワイパーの背面から正面にかけて該第3のワイパーの長さが徐々に短くなるように傾斜面が形成されてなるとともに、上記第1のワイパーと第2のワイパーの端部には、上記第3のワイパーに形成された傾斜面に対応した傾斜面が形成され、これら第3のワイパーの一端に形成された傾斜面と第1のワイパーに形成された傾斜面とが互いに当接されてなるとともに、上記第3のワイパーの他端に形成された傾斜面と上記第3のワイパーに形成された傾斜面とが互いに当接されてなることを特徴とするものである。
上記第4の発明に係るテレスコピックカバーでは、第3のワイパーの両端には、該第3のワイパーの背面から正面にかけて該第3のワイパーの長さが徐々に短くなるように傾斜面が形成されてなるとともに、上記第1のワイパーと第2のワイパーの端部には、上記第3のワイパーに形成された傾斜面に対応した傾斜面が形成され、これら第3のワイパーの一端に形成された傾斜面と第1のワイパーに形成された傾斜面とが互いに当接されてなるとともに、上記第3のワイパーの他端に形成された傾斜面と上記第3のワイパーに形成された傾斜面とが互いに当接されてなることから、この第4の発明によれば、保護カバーに対して分割された各ワイパーを取り付ける場合、先ず、上記第3のワイパーを取り付け、次いで、上記第1のワイパーや第2のワイパーを取り付けることができる。すなわち、上記第1のワイパーや第2のワイパーを取り付けた後に、第3のワイパーを取り付けるのではなく、第3のワイパーの取付作業を最初に行うこととなる。そして、こうした取付方法(順序)を採用することにより、天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第1及び第2のワイパーをより高精度に取り付けることができる。換言すれば、こうした第1及び第2のワイパーの取付精度如何により、該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部と(第1及び第2の)ワイパーの円弧状のコーナー部との間に隙間が発生し、又は、該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部と(第1及び第2の)ワイパーとの間に隙間が発生してしまう場合があり、極めて微妙な位置決め作業が要求されるところ、上述した取付手順が決定されるこの第4の発明によれば、予め取り付けられた第3のワイパーの端部により、第1のワイパーや第2のワイパーの端部は規制され、更に位置決め部材が固定された上記第3の発明との関係では、それぞれの位置決め部材により第1のワイパーや第2のワイパーは、それぞれ背面において該位置決め部材により位置決めされることから、該第1のワイパーや第2のワイパーを新規に取り付ける場合は勿論、交換作業により取り付ける場合も、より高精度に取り付けることが可能となる。しかも、この第4の発明に係るテレスコピックカバーによれば、上記第3のワイパーの一端と第1のワイパーの端部との間や、該第3のワイパーの他端と第2のワイパーの端部との間から塵埃や切り粉或いはクーラント液等がテレスコピックカバーの内部に侵入することも防止できる。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記第1の発明に係るテレスコピックカバー(請求項1記載のテレスコピックカバー)を構成するワイパーであって前記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えたワイパー、又は前記第4の発明に係るテレスコピックカバー(請求項4記載のテレスコピックカバー)を構成する第1及び第2のワイパーは、特定の保護カバーに取り付けられる以前の自然形状においては直線状の長さを有してなるとともに、上記天板部の下面の全部又は一部に接合される第1の接合部と、上記側板部の内側面の全部又は一部に接合される第2の接合部と、上記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部の内側面に接合される第3の接合部と、これら第1ないし第3の接合部から該各接合部の幅方向に延出され該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーを構成する天板部の上面,側板部の外側面,上記コーナー部の外側面に摺接するリップ部と、を有し、上記リップ部の内で上記第3の接合部から延出された部位には、該リップ部の他の部位の肉厚よりも薄肉とされた第1の薄肉部が形成され、該第3の接合部には、上記第1及び第2の接合部における肉厚よりも薄肉とされた第2の薄肉部と第3の薄肉部とが該ワイパーの長さ方向に並んで形成されてなり、
上記第1の薄肉部は、それぞれ上記他の保護カバー側から特定の保護カバー側に窪んだ状態で形成されてなり、上記第2及び第3の薄肉部は、特定の保護カバー側から他の保護カバー側に窪んだ状態で成形されてなることを特徴とするものである。
上記第5の発明では、前記請求項1記載の発明を構成する前記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えたワイパー、又は前記請求項4記載の発明を構成する第1及び第2のワイパーは、上述した構成を備えてなることから、該ワイパー(第1及び第2のワイパー)が取り付けられた特定の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部の内側面とワイパー(第1及び第2のワイパー)の外側面とが隙間が生ずることなく密着し、また、このワイパー(第1及び第2のワイパー)が取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部の外側面と該ワイパー(第1及び第2のワイパー)のリップ部との間で隙間が生ずることなく圧接・摺接されることとなり、より一層このテレスコピックカバーの内側に塵埃等が侵入する危険性を防止することができる。
この点を更に詳細に説明すると、このワイパー(第1及び第2のワイパー)が特定の保護カバーに取り付けられた状態では、上記第3の取付部においては、上記第2の薄肉部と第3の薄肉部との間が上記特定の保護カバーのコーナー部の中心(中央)に位置した状態となり、該第2の薄肉部と第3の薄肉部が形成された位置で主に折曲されることから、ワイパー自体の強度を上げるために或る程度の硬さを有する素材(樹脂やゴム等)を使用した場合であっても、上記特定の保護カバーのコーナー部の内側(湾曲面)に対応して折曲される。また、このように折曲されたワイパー(第1及び第2のワイパー)を構成するリップ部には、上記第1の薄肉部が形成されていることから、この第1の薄肉部においても他の部位と比較して大きく折曲・湾曲され、この結果、特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーのコーナー部の外側(湾曲面)に対応した形状となる。換言すれば、このテレスコピックカバーに取り付けられたワイパー(第1及び第2のワイパー)は、上記第1ないし第3の薄肉部が形成されていることから、該ワイパー(第1及び第2のワイパー)が取り付けられた特定の保護カバーのコーナー部の内側形状ばかりか、この特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーのコーナー部の外側形状にも馴染んで折曲され、この結果、該テレスコピックカバーの内側に塵埃等が侵入することを有効に防止できる。しかも、上記第1の薄肉部は、前述した通り、それぞれ上記他の保護カバー側から特定の保護カバー側に窪んだ状態で形成され、第2及び第3の薄肉部は、特定の保護カバー側から他の保護カバー側に窪んだ状態で形成されており、それぞれの薄肉部が両側から窪んでなるものではないことから、該ワイパー(第1及び第2のワイパー)が取り付けられた特定の保護カバーとの間に隙間が生ずることもない。
なお、上記ワイパー(第1及び第2のワイパー)単体として評価した場合には、上記構成を備えることにより、間に形成された円弧状のコーナー部を挟んで連続する天板部と側板部との角度が異なる保護カバーであっても、それぞれの保護カバーに対して単一のワイパーを取り付けることが可能となり、上記角度に応じて複数のワイパーを別個に製造する必要がなく、汎用性を高めることができる。この点を更に詳述すると、個々の保護カバーを構成する天板部と側板とは、一枚の金属板を曲げ加工することにより該天板部と側板部とをそれぞれ形成する方法(以下、第1の方法)や、幅の狭い金属板を曲げ加工し、該曲げ加工された金属板の一側端に天板の端縁を溶接し、他方の側の端部に側板の端縁を溶接する方法(第2の方法)が採用されているが、上述したように単一のワイパーを個々の保護カバーに固定した場合には、該ワイパーを固定した個々の保護カバーのコーナー部(内側の部位)とワイパーとの間に隙間が生じたり、該ワイパーを固定した保護カバーの内側に配置された他の保護カバーのコーナー部(外側の部位)との間に隙間が発生したりし、これらの隙間からテレスコピックカバーの内側に塵埃や切り粉或いはクーラント液等が侵入する危険性が高い。例えば、上記保護カバーが上記第1の方法で成形されている場合には、ワイパーが固定された保護カバーのコーナー部の内側は、所定の曲率により円弧状とされていることから、曲げられたワイパーの外側の曲率は、上記コーナー部の曲率に対応した曲率となるように折曲されなければならないだけではなく、該折曲されたワイパーの内側は、上記保護カバーの内側に配置された他の保護カバーのコーナー部の外側の曲率に対応した曲率とされなければ、何れかの保護カバーとワイパーとの間に隙間が生じることとなる。このことは、上記第2の方法により保護カバーを成形する場合も同様である。また、天板部と左右の側板部との角度に関しても、装着される工作機械等の構造や機能に応じて様々であり、必ずしも同じ角度であると限らない。したがって、上記第5の発明を構成するワイパーを単体として評価した場合には、保護カバーの(外側と内側の)コーナー部の曲率に対応して折曲することができ、1つのワイパーにより角度が異なる各種の保護カバーに取り付けることができる。
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記ワイパー又は第1及び第2のワイパーに形成された第1の薄肉部は、特定の保護カバーに取り付けられる以前の自然形状においては、中央が最も薄く、この中央から該ワイパーの長さ方向に向かって徐々に肉厚が厚くされてなることを特徴とするものである。
この第6の発明に係るテレスコピックカバーでは、前記ワイパー又は第1及び第2のワイパーに形成された第1の薄肉部は、中央が最も薄く、この中央から該ワイパーの長さ方向に向かって徐々に肉厚が厚くされてなることから、より一層該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーのコーナー部の形状に対応した形状に倣って撓み(変形し)、該他の保護カバーとの間に隙間が発生することを防止することができる。
また、第7の発明(請求項7記載の発明)は、上記第5又は第6の何れかの発明において、前記特定の保護カバーに取り付けられる以前の自然形状においては、前記第2の薄肉部と第3の薄肉部との間には、前記ワイパー又は第1及び第2のワイパーの幅方向に突条部が形成されてなり、この突条部は、該ワイパー又は第1及び第2のワイパーに形成されたコーナー部の中央に位置してなることを特徴とするものである。
この第7の発明では、特定の保護カバーに取り付けられる以前の自然形状においては、前記第2の薄肉部と第3の薄肉部との間には、前記ワイパー又は第1及び第2のワイパーの幅方向に突条部が形成されてなり、この突条部は、該ワイパー又は第1及び第2のワイパーに形成されたコーナー部の中央に位置してなることから、該突条部が形成された部位における剛性が高まり、該特定の保護カバーのコーナー部と該ワイパー又は第1及び第2のワイパーとの間に隙間が発生することをさらに防止することができる。
また、第8の発明(請求項8記載の発明)は、上記第1ないし第4の発明の何れかにおいて、複数に分割されたワイパーであって前記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えたワイパー、又は前記第1及び第2のワイパーは、上記天板部の全部又は一部に接合される第1の接合部と、上記側板部の全部又は一部に接合される第2の接合部と、上記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に接合され該コーナー部の形状に対応して湾曲してなる第3の接合部と、これら第1ないし第3の接合部から該各接合部の幅方向に延出され該特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーを構成する天板部の上面,側板部の外側面,上記コーナー部の外側面に摺接するリップ部と、を有してなることを特徴とするものである。
この第8の発明では、前記請求項1記載の発明を構成する前記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えたワイパー、又は前記請求項4記載の発明を構成する第1及び第2のワイパーは、上述した構成を備え、特に、第3の接合部は、上記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部の形状に対応して湾曲してなることから、該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーと該ワイパー又は第1及び第2のワイパーとの間に隙間が発生することを防止することができる。また、上記ワイパー又は第1及び第2のワイパーに使用する樹脂又はゴム等の可撓性を有する素材の硬度ないし撓み量によっては、天板部と側板部との角度が多少異なる場合であっても取り付けることが可能となる。
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係るテレスコピックカバーによれば、一部のワイパーが破損した場合には、その破損したワイパーのみを交換すれば足り、全てのワイパーを交換する必要はないことから、ワイパーの交換作業を迅速に行うことができるばかりではなく、ワイパーの交換コストも抑制することができる。しかも、この第1の発明に係るテレスコピックカバーでは、上記複数に分割されたワイパーの内の2つは、天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えてなり、天板部と側板部とのコーナー部を境界に分割されているものではないことから、該コーナー部においてワイパーと保護カバーとの間に隙間が発生することが防止され、その隙間からテレスコピックカバーの内部に塵埃等が侵入する危険性を有効に回避することができる。
また、上記第2の発明(請求項2記載の発明)では、複数に分割されたワイパーの一端又は両端には、該ワイパーの長さ方向とは傾斜した傾斜面が形成され、上記複数のワイパー同士は上記傾斜面が互いに当接した状態で保護カバーに取り付けられてなることから、分割されたワイパー同士が当接した部位から塵埃がテレスコピックカバーの内部に侵入することを防止することができる。
また、上記第3の発明(請求項3記載の発明)によれば、上述したように、保護カバーを構成する天板部と側板部とには、前記ワイパーの長さ方向と同じ方向に長さを有する位置決め部材が固定され、前記分割された各ワイパーの背面は、上記位置決め部材の正面に当接してなることから、取り付けられたワイパーの全部又は一部が破損し、新たなワイパーを取り付ける際には、該新たなワイパーの背面を上記位置決め部材の正面に当接させることにより、必ず正確な位置に取り付けることができるため、作業者に熟練が要求されることなく、簡単かつ迅速にワイパーを交換することができる。また、この第3の発明によれば、上記位置決め部材が固定されていることから、入れ子状に配置された各保護カバーを分解することなく、そのままの状態でワイパーを交換することができる。すなわち、この第3の発明によれば、各ワイパーを取り外して新たなワイパーを取り付ける場合、特定の保護カバーとこの特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーとの間に、新たなワイパーの背面側を挿入させると、該ワイパーの背面が上記特定の保護カバーに固定された位置決め部材に当接し位置決めされる。この位置決めされた状態におけるワイパーを、ネジ等の所定の固定手段により固定すれば良い。
また、上記第4の発明(請求項4記載の発明)によれば、天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えた第1及び第2のワイパーをより高精度に取り付けることができる。換言すれば、こうした第1及び第2のワイパーの取付精度如何により、該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部と(第1及び第2の)ワイパーの円弧状のコーナー部との間に隙間が発生し、又は、該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部と(第1及び第2の)ワイパーとの間に隙間が発生してしまう場合があり、極めて微妙な位置決め作業が要求されるところ、上述した取付手順が決定されるこの第4の発明によれば、予め取り付けられた第3のワイパーの端部により、第1のワイパーや第2のワイパーの端部は規制され、更に位置決め部材が固定された上記第3の発明との関係では、それぞれの位置決め部材により第1のワイパーや第2のワイパーは、それぞれ背面において該位置決め部材により位置決めされることから、該第1のワイパーや第2のワイパーを新規に取り付ける場合は勿論、交換作業により取り付ける場合も、より高精度に取り付けることが可能となる。しかも、この第4の発明に係るテレスコピックカバーによれば、上記第3のワイパーの一端と第1のワイパーの端部との間や、該第3のワイパーの他端と第2のワイパーの端部との間から塵埃や切り粉等がテレスコピックカバーの内部に侵入することも防止できる。
また、上記第5の発明(請求項5記載の発明)では、前記請求項1記載の発明を構成する前記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えたワイパー、又は前記請求項4記載の発明を構成する第1及び第2のワイパーは、上述した構成を備えてなることから、該ワイパー(第1及び第2のワイパー)が取り付けられた特定の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部の内側面とワイパー(第1及び第2のワイパー)の外側面とが隙間が生ずることなく密着し、また、このワイパー(第1及び第2のワイパー)が取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーに形成された円弧状のコーナー部の外側面と該ワイパー(第1及び第2のワイパー)のリップ部との間で隙間が生ずることなく密着(圧接・接合)されることとなり、より一層このテレスコピックカバーの内側に塵埃等が侵入する危険性を防止することができる。
また、上記第6の発明(請求項6記載の発明)では、前記ワイパー又は第1及び第2のワイパーに形成された第1の薄肉部は、中央が最も薄く、この中央から該ワイパーの長さ方向に向かって徐々に肉厚が厚くされてなることから、より一層該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーの内側に配置された他の保護カバーのコーナー部の形状に対応した形状に倣って撓み(変形し)、該他の保護カバーとの間に隙間が発生することを防止することができる。
また、上記第7の発明(請求項7記載の発明)では、特定の保護カバーに取り付けられる以前の自然形状においては、前記第2の薄肉部と第3の薄肉部との間には、前記ワイパー又は第1及び第2のワイパーの幅方向に突条部が形成されてなり、この突条部は、該ワイパー又は第1及び第2のワイパーに形成されたコーナー部の中央に位置してなることから、該突条部が形成された部位における剛性が高まり、該特定の保護カバーのコーナー部と該ワイパー又は第1及び第2のワイパーとの間に隙間が発生することをさらに防止することができる。
また、上記第8の発明(請求項3記載の発明)では、前記請求項1記載の発明を構成する前記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部に取り付けられる部位を備えたワイパー、又は前記請求項4記載の発明を構成する第1及び第2のワイパーは、上述した構成を備え、特に、第3の取付部は、上記天板部と側板部との間に形成された円弧状のコーナー部の形状に対応して湾曲してなることから、該ワイパーが取り付けられた特定の保護カバーと該ワイパー又は第1及び第2のワイパーとの間に隙間が発生することを防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態に係るテレスコピックカバー1を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態に係るテレスコピックカバー1は、図示しない工作機械に固定されるものである。
この実施の形態に係るテレスコピックカバー1は、鉄を素材とするものであり、図1に示すように、それぞれ入れ子状に配置された第1ないし第3の保護カバー2,3,4を備えている。これら第1ないし第3の保護カバー2,3,4は、それぞれ相似形状をなし、上記第1の保護カバー2は、最も大型の保護カバーであり、第2の保護カバー3はこれよりも小型であり、第3の保護カバー4は、最も小型の保護カバーであって、上記第1の保護カバー2の内側に第2の保護カバー3が配置され、この第2の保護カバー3の内側に第3の保護カバー4が配置されている。そして、上記第1ないし第3の保護カバー2,3,4は、それぞれ天板部2a,3a,4aと、左側板部2b,3b,4bと、右側板部2c,3c,4cと、を備えている。なお、この実施の形態に係るテレスコピックカバー1では、上記天板部2a,3a,4aは、平板状に成形され、また、上記左側板部2b,3b,4bの下端には、内側に折曲された左折曲板部2d,3d,4dが形成され、上記右側板部2c,3c,4cの下端には、内側に折曲された右折曲板部2e,3e,4eが形成されている。また、上記各天板部2a,3a,4aと左側板部2b,3b,4bとの間には、これらを折曲した際に成形された円弧状の(左)コーナー部2f,3f,4fが形成され、同様に、各天板部2a,3a,4aと上記右側板部2c,3c,4cとの間には、これらを折曲した際に成形された円弧状の(右)コーナー部2g,3g,4gが形成されている。
そして、上記第1の保護カバー2の背面には、図1及び図2にそれぞれ示すように、基端固定板5が固定され、また、上記第3の保護カバー4の正面には、図1に示すように、正面側固定板6が固定されている。上記正面固定板6は、図示しない工作機械本体に固定される部位であり、上記基端固定板5は、上記工作機械本体から離間し接近駆動する図示しない加工ヘッドに固定される部位である。したがって、上記工作機械を構成する図示しない駆動装置の駆動により、上記加工ヘッドが駆動すると、この加工ヘッドの動作に追従してこのテレスコピックカバー1が伸縮動作する。
そして、このテレスコピックカバー1では、上記第1の保護カバー2と第2の保護カバー3とには、それぞれ第1ないし第3の位置決め部材(第2の位置決め部材は図示しない)7,9と、第1ないし第3のワイパーが着脱自在に取り付けられている。そこで、以下、これら第1ないし第3の位置決め部材7,9及び第1ないし第3のワイパー11,12,13が取り付けられた第2の保護カバー3について(本発明を構成するワイパーが3つに分割されている例について)、図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。
図3及び図4は、何れも上記第2の保護カバー3の分解斜視図であり、図3は、平面側から示すものであり、図4は底面側から示すものである。この図3又は図4に示すように、上記第2の保護カバー3の天板部3aには、後述する第3の位置決め部材9を固定する図示しないネジが挿通される3つのネジ穴3h(図3参照)がそれぞれ穿設され、これらのネジ穴3hが形成された位置よりも該天板部3aの先端側には、全部で7つのネジ穴3i・・・3oが天板部3aの幅方向に並んで穿設されている。上記天板部3aに形成されたネジ穴3i,3jは、それぞれ後述する第1のワイパー11を固定する図示しないネジが挿通されるものであり、3つのネジ穴3k,3l,3mは、それぞれ後述する第3のワイパー13を固定する図示しないネジが挿通されるものであり、上記ネジ穴3n,3oは、それぞれ後述する第2のワイパー12を固定する図示しないネジが挿通されるものである。また、上記左側板部3bには、後述する第1の位置決め部材7を固定する図示しないネジが挿通される2つの図示しないネジ穴が穿設され、これらのネジ穴の穿設位置よりも該左側板3bの先端側には、3つのネジ穴3p(図3参照)が穿設されている、これらのネジ穴3pは、上記第1のワイパー11を固定する図示しないネジが挿通される部位である。一方、上記右側板部3cには、図示しない第2の位置決め部材を固定する図示しないネジが挿通される2つのネジ穴3qが穿設され、これらのネジ穴3qの先端側には、第2のワイパー12を固定する図示しないネジが挿通される3つのネジ穴3rが穿設されている。
そして、上記第2の保護カバー3を構成する左側板部3bの内側面であって先端側中途部には、該左側板部3bの高さ方向と同じ方向に長さを有する第1の位置決め部材7(図3参照)が固定され、また、上記右側板部3cの内側面であって先端側中途部には、該右側板部3cの高さ方向と同じ方向に長さを有する図示しない第2の位置決め部材が固定され、また、上記天板部3aの内側面には、該天板部3aの幅方向に長さを有する第3の位置決め部材9(図4参照)が固定されている。なお、上記第1ないし第3の位置決め部材7,9は、何れも鉄などの金属又はゴム若しくは樹脂により長方形状に成形されてなるものであり、それぞれ上記ネジが螺着されるネジ穴7a,9aが形成されている。また、上記天板部3aに固定された第3の位置決め部材9は、図4に示すように、正面側は平面とされてなる一方、背面側の左右両側にはそれぞれ4つの凹部9b・・・9eが形成されている。
そして、この実施の形態に係るテレスコピックカバー1では、上記第3の位置決め部材9の背面には、図4に示すように、ゴム又は軟質樹脂により一体成形されたストッパー10が装着されている(図4参照)。このストッパー10は、この第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4が所定量以上、該第2の保護カバー3よりも前方に突出することを規制するためのものである。したがって、上記第3の保護カバー4を構成する天板部4aには、このストッパー10に当接する図示しない当接部が形成されている。そして、このストッパー10の正面には、上記第3の位置決め部材9の背面に形成された凹部9b・・・9eに嵌合してなる凸部10a・・・10dが形成されてなる一方、背面には、この第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4に形成された図示しない当接部が当接する5つ(複数)の当接用凸部10eが形成されている。なお、これらの当接用凸部10eは、それぞれ該ストッパー10の背面からさらに後ろ側に円弧状に膨出してなるものであり、こうした形状とすることにより、上記図示しない当接部がこのストッパー10に当接した際の当接音が生ずることを防止している。
そして、上記第1のワイパー11は、背面が上記左側板部3bに固定された第1の位置決め部材7の正面により位置決めされ、一端面は後述する第3のワイパー13の一端面(傾斜面)に位置決めされてなるものであり、ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)又は軟質樹脂により予めL字状に成形されたワイパー本体15と、2つの取付金属板16,17とから構成されている。また、この第1のワイパー11は、上記天板部3aの裏面の(左側)一部に接合される第1の接合部(符号は省略する。)と、上記左側板部3bの内側面に接合される第2の接合部(符号は省略する。)と、上記第1の接合部と第2の接合部との間に形成され、円弧状に成形された第2の保護カバー3の(左)コーナー部3fに接合される第3の接合部(符号は省略する。)とから構成されている。この点を更に具体的に説明すると、第1の接合部と第2の接合部とに対応した位置であって、該第1のワイパー11の内側面には、それぞれ溝部15b,15cが形成され(図4参照)、上記溝部15b内には、上記取付金属板16が収容され、上記溝部15c内には上記取付金属板17が収容されている。なお、これらの取付金属板16,17には、上記天板部3aや左側板部3bに穿設されたネジ穴3i,3j,3pに対応したネジ穴16a,17aがそれぞれ形成され、また、上記ワイパー本体15にも、これらのネジ穴16a,17aに対応した位置にネジ穴15dが形成されている。
また、この第1のワイパー11を構成する上記ワイパー本体15には、上記第1ないし第3の接合部から正面側に延出されたリップ部15aが連続して形成されている。このリップ部15aは、この第1のワイパー11が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aの上面の(左側の)一部と、左側板部4bの外側面と、該天板部4aと左側板部4bとの間に形成された(左側の)円弧状のコーナー部4fの外側面に先端側が摺接する部位である。特に、この実施の形態に係る第1のワイパー11は、予め略L字状に成形されてなるものであり、上記リップ部15aであって上記第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aと左側板部4bとの間に形成された(外側の)円弧状のコーナー部4fの外側面に摺接する部位は、該円弧状のコーナー部4fに確実に摺接する形状とされている。また、この第1のワイパー11を構成する上記ワイパー本体15の(天板部側)端部には、図4に示すように、傾斜面15eが形成されている。
また、上記第2のワイパー12は、上記第1のワイパー11と対称形状に成形されてなるものであり、背面が上記右側板部3cに固定された図示しない第2の位置決め部材の正面に当接して位置決めされ、一端面は後述する第3のワイパー13の他端面(傾斜面)に位置決めされてなるものであり、ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)又は軟質樹脂により予めL字状に成形されたワイパー本体19と、2つの取付金属板20,21とから構成されている。そして、上記ワイパー本体19は、上記天板部3aの裏面の(右側)一部に接合される第1の接合部(符号は省略する。)と、上記右側板部3cの内側面に接合される第2の接合部(符号は省略する。)と、上記第1の接合部と第2の接合部との間に形成され、円弧状に成形された(第2の)保護カバー3の(右)コーナー部に接合される第3の接合部とから構成されている。この点を更に具体的に説明すると、第1の接合部と第2の接合部とに対応した位置であって、該ワイパー本体19内側面には、溝部19b,19cが形成され、上記溝部19b内には、上記取付金属板20が収容され、上記溝部19c内には上記取付金属板21が収容されている。なお、これらの取付金属板20,21には、上記天板部3aや左側板部3bに穿設されたネジ穴3n,3o,3rに対応したネジ穴20a(取付金属板21に形成されたネジ穴は図示しない)がそれぞれ形成され、また、上記ワイパー本体19にも、これらのネジ穴20aに対応した位置にネジ穴19dが形成されている。
また、この第2のワイパー12を構成する上記ワイパー本体19には、上記第1ないし第3の接合部から正面側に延出されたリップ部19aが連続して形成されている。このリップ部19aは、この第1のワイパー12が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aの上面の(右側の)一部と、右側板部4cの外側面と、該天板部4aと右側板部4bとの間に形成された(右側の)円弧状のコーナー部4gの外側面に摺接する部位である。特に、この実施の形態に係る第2のワイパー12は、予め略L字状に成形されてなるものであり、上記リップ部19aであって上記第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aと右側板部4cとの間に形成された(外側の)円弧状のコーナー部4gの外側面に摺接する部位は、該円弧状のコーナー部4gに確実に摺接する形状とされている。また、この第2のワイパー12を構成する上記ワイパー本体19の(天板部側)端部には、図3及び図4にそれぞれ示すように、傾斜した傾斜面19eが形成されている。
また、上記第3のワイパー13は、図3及び図4に示すように、直線状に長さを有してなるものであり、背面が上記第3の位置決め部材9の正面に位置決めされてなるものであり、ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)又は軟質樹脂により一体成形されたワイパー本体22と、1つの取付金属板23とから構成されている。そして、上記ワイパ本体22は、上記天板部3aの裏面に接合される接合部(符号は省略する。)と、この接合部から正面側に延出されてなるリップ部22aとから構成され、上記接合部の裏面(下面)には、該第3のワイパー13の長さ方向に溝部22bが形成されており、この溝部22b内には、上記取付金属板23が収容されている。この取付金属板23は、長方形状に成形されてなるとともに、前記天板部3aの中央に3つ穿設されたネジ穴3k,3l,3mに挿通される図示しないネジが螺着される3つのネジ穴23b(図3参照)が形成されている。また、上記リップ部22aは、この第3のワイパー13が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aの上面の中央に摺接する部位である。また、この第3のワイパー13の左右両側面は、傾斜面22e,22fとされている。これらの傾斜面22e,22fは、この第3のワイパー13の長さが、正面側から背面側に亘って徐々に長くなるように傾斜してなるものである。すなわち、この第3のワイパー13を構成するワイパー本体22の左側に形成された傾斜面22eの傾斜角度は、上記第1のワイパー11のワイパー本体15に形成された傾斜面15eに対応し、これらの傾斜面22e,15e同士が当接した状態で上記第2の保護カバー3に取り付けられ、また、この第3のワイパー13を構成するワイパー本体22の右側に形成された傾斜面22fの傾斜角度は、上記第2のワイパー12のワイパー本体19に形成された傾斜面19eに対応し、これらの傾斜面22e,19e同士が当接した状態で上記第2の保護カバー3に取り付けられている。なお、上記第3のワイパー13を構成するワイパー本体22には、上記取付金属板23に形成された3つのネジ穴23bの形成位置と同じ位置に、それぞれネジ穴22gが形成されている(図3参照)。
以下、上述したテレスコピックカバー1を構成する第2の保護カバー3に、上記第1ないし第3のワイパー11,12,13を取り付ける方法を説明する。これら第1ないし第3のワイパー11,12,13を第2の保護カバー3に取り付ける場合には、先ず、上記第3のワイパー13を取り付ける。この際には、図4に示すように、該第3のワイパー13の背面が上記天板部3aの裏面に予め固定されている第3の位置決め部材9の正面に当接させ、上記複数の図示しないネジを、上記天板部3aの上面側から該天板部3aに穿設された各ネジ穴3k,3l,3mにそれぞれ挿通するするとともに、ワイパー本体22に形成されたネジ穴22fにそれぞれ挿通し、さらに上記取付金属板23に螺着させる。こうした操作により、上記ワイパー本体22は天板部3aと取付金属板23とにより挟持された状態で固定される。こうした要領で第3のワイパー13を固定する作業が終了すると、次いで、上記第1のワイパー11や第2のワイパー12を取り付ける。この第1のワイパー11の取付方法は、上記第2の保護カバー3を構成する左側板部3bの内側面に固定された第1の位置決め部材7の正面に、該第1のワイパー11の背面を当接させるとともに、該第1のワイパー11の端部に形成された傾斜面15eが、上記第3のワイパー13の一端(右端)に形成された傾斜面22eに当接させることにより位置決めし、次いで、図示しないネジを上記天板部3aに穿設されたネジ穴3i,3jや、上記左側板部3bの外側から該左側板部3bに穿設されたネジ穴3pに挿通するとともに第1のワイパー11を構成するワイパー本体15に形成されたネジ穴15dに挿通し、さらに上記取付金属板16,17にそれぞれ形成されたネジ穴16aやネジ穴17aに螺着させる。こうした操作により、上記ワイパー本体15は天板部3a,左側板3bと取付金属板16,17とにより挟持された状態で固定される。また、上記第2のワイパー12の取付方法も上記第1の取付方法と同じように、上記第2の保護カバー3を構成する右側板部3cの内側面に固定された第2の位置決め部材の正面に、該第2のワイパー12の背面を当接させるとともに、該ワイパー本体19の端部に形成された傾斜面19eが、上記第3のワイパー13の他端(右端)に形成された傾斜面22fに当接させることにより位置決めし、次いで、図示しないネジを上記右側板部3cの外側から該右側板部3cに穿設された各ネジ穴3rに挿通するとともにワイパー本体19に形成されたネジ穴19dに挿通し、さらに上記取付金属板21に形成された図示しないネジ穴に螺着させる。また、図示しないネジを上記天板部3aに穿設された上記ネジ穴3n,3oに挿通し、ワイパー本体19に形成されたネジ穴19dに挿通した上で、上記取付金属板20に形成されたネジ穴20aに螺着させる。こうした操作により、上記ワイパー本体19は天板部3aと取付金属板20,21とにより挟持された状態で固定される。
したがって、上述した実施の形態に係るテレスコピックカバー1では、上記第1ないし第3のワイパー11,12,13はそれぞれ図示しないネジにより着脱自在に固定されていることから、該ネジを螺退させることにより該第2の保護カバー3からそれぞれ取り外すことが可能となる。そして、このテレスコピックカバー1が繰り返して使用されることにより、該第1ないし第3のワイパー11,12,13の何れかが破損した場合には、該破損した特定のワイパー(例えば第1のワイパー11のみ)を交換することができる。特に、上記第1及び第2のワイパー11,12を交換する場合は、その破損した第1及び第2のワイパー11,12を取り外し、新たな第1のワイパー11や第2のワイパー12を取り付ける場合には、上記第1又は第2の位置決め部材7により位置決めされるとともに、天板部3a側の端部は、上記第3のワイパー13に形成された傾斜面22e,22fより位置決めされることから、第1ないし第3の保護カバー2,3,4をそれぞれ分解した上で取り付けるなどと言う極めて面倒な交換作業が要求されることなく、単に第1のワイパー11や第2のワイパー12のみを交換することができる。
しかも、これら第1及び第2のワイパー11,12は、上記第1ないし第3の接合部が形成され、該第3の接合部の形状は、第2の保護カバー3のコーナー部の内側の形状である円弧状に予め成形され、リップ部15a,19aは、上記第3の保護カバー4の(外側の)コーナー部4f,4gの形状である円弧状に予め形成されていることから、該第1及び第2のワイパー11,12が取り付けられた第2の保護カバー3とこれら第1及び第2のワイパー11,12との間や、上記第3の保護カバー4の(外側の)コーナー部4f,4gと該第1及び第2のワイパー11,12のリップ部15a,19aと間に隙間が形成されることがない。
なお、上記実施の形態に係るテレスコピックカバー1では、本発明を構成するワイパーが3つに分割されているものを示したが、本発明は、ワイパーが2つに分割されているものであっても良いし、以下に説明するように、5つに分割されているものであっても良い。
図5は、5つに分割された(第1ないし第5の)ワイパー31・・・35が上記第2の保護カバー3に取り付けられた例を第2の実施の形態として示すものである。なお、この第2の保護カバー3にも、図6に示すように、先に説明した上記第1ないし第3の位置決め部材7,9が固定されている。そして、上記第1のワイパー31は、前記第1のワイパー11と同じように、背面が上記左側板部3bに固定された第1の位置決め部材7の正面(の一部)に位置決めされ、一端面は後述する第3のワイパー35の一端面(傾斜面46e)に位置決めされてなるものであり、図6又は図7に示すように、ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)又は軟質樹脂により予めL字状に成形されたワイパー本体36と、2つの取付金属板37,38とから構成されている。また、この第1のワイパー31は、上記天板部3aの裏面の(左側)一部に取り付けられる第1の取付部(符号は省略する。)と、上記左側板部3bの内側面の一部(約半分)に取り付けられる第2の取付部(符号は省略する。)と、上記第1の取付部と第2の取付部との間に形成され、円弧状に成形された(第2の)保護カバー3の(左)コーナー部に取り付けられる第3の取付部(符号は省略する。)とから構成されている。この点をさらに具体的に説明すると、第1の取付部と第2の取付部とに対応した位置であって、該第1のワイパー31の内側面には、それぞれ溝部36b,36cが形成され、これらの溝部36b,36c内には上記取付金属板37,38が収容されている。この取付金属板37,38には、上記天板部3aや左側板部3bに穿設された図示しないネジ穴に対応したネジ穴37a,38a(図6参照)がそれぞれ形成され、また、ワイパー本体36にも、これらのネジ穴37a,38aに対応した位置に図示しないネジ穴36d(図7参照)が形成されている。
また、この第1のワイパー31を構成する上記ワイパー本体36には、上記第1ないし第3の取付部から正面側に延出されたリップ部36aが連続して形成されている。このリップ部36aは、この第1のワイパー31が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aの上面の(左側の)一部と、左側板部4bの外側面と、該天板部4aと左側板部4bとの間に形成された(左側の)円弧状のコーナー部の外側面に摺接する部位である。特に、この実施の形態に係る第1のワイパー31は、予め略L字状に成形されてなるものであり、上記リップ部36aであって上記第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aと左側板部4bとの間に形成された(外側の)円弧状のコーナー部4fの外側面に摺接する部位は、該円弧状のコーナー部4fに確実に摺接する形状とされている。また、この第1のワイパー31を構成する上記ワイパー本体36の両端には、図6及び図7にそれぞれ示すように、傾斜した傾斜面36e,36fが形成されている(図7参照)。
また、上記第2のワイパー32は、上記第1のワイパー31の下側に取り付けられてなるものであり、背面は上記第1の位置決め部材7の正面(の一部)に位置決めされており、図7に示すように、上下方向に長さを有するワイパー本体39と、1つの取付金属板40とから構成されている。なお、このワイパー本体39の上端は、上記傾斜面36fと同じ傾斜角度とされた傾斜面39eが形成され、下端面は該ワイパー本体39の長さ方向に対して垂直とされている。そして、この第2のワイパー32には、上記左側板部3bの内側面に取り付けられる取付部(符号は省略する。)と、この取付部から正面側に延出されたリップ部39aとを備えている。上記取付部には、上記ワイパー本体39の長さ方向に溝部39b(図7参照)が形成され、この溝部39b内には上記取付金属板40が収容されている。
また、上記第3のワイパー33は、図7に示すように、上記第1のワイパー31と対称形状に成形されてなるものであり、背面が上記右側板部3cに固定された図示しない第2の位置決め部材の正面の一部に位置決めされ、(天板部3a側の)一端面は後述する第5のワイパー35の他端面(傾斜面46f)に位置決めされてなるものであり、ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)又は軟質樹脂により予めL字状に成形されたワイパー本体41と、2つの取付金属板43とから構成されている。なお、右側板3cに固定される取付金属板は図示しない。また、この第3のワイパー33は、上記天板部3aの裏面の(右側)一部に取り付けられる第1の取付部(符号は省略する。)と、上記右側板部3cの内側面の一部に取り付けられる第2の取付部(符号は省略する。)と、上記第1の取付部と第2の取付部との間に形成され、円弧状に成形された(第2の)保護カバー3の(右)コーナー部3gに取り付けられる第3の取付部とから構成されている。この点を更に具体的に説明すると、第1の取付部と第2の取付部とに対応した位置であって、上記第3のワイパー33の内側面には、図示しない溝部がそれぞれ形成され、これらの溝部内には上記取付金属板が収容されている。そして、これらの取付金属板には、上記天板部3aや右側板部3cに穿設されたネジ穴3n,3o,3rに対応した図示しないネジ穴がそれぞれ形成され、また、上記ワイパー本体41にも、これらのネジ穴に対応した位置にネジ穴41dが形成されている。
また、この第3のワイパー33を構成する上記ワイパー本体41には、上記第1ないし第3の取付部から正面側に延出されたリップ部41aが連続して形成されている。このリップ部41aは、この第3のワイパー33が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aの上面の(右側の)一部と、右側板部4cの外側面の一部と、該天板部4aと右側板部4bとの間に形成された(右側の)円弧状のコーナー部3gの外側面に摺接する部位である。特に、この実施の形態に係る第3のワイパー33は、予め略L字状に成形されてなるものであり、上記リップ部41aであって上記第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aと右側板部4cとの間に形成された(外側の)円弧状のコーナー部4gの外側面に摺接する部位は、該円弧状のコーナー部4gに確実に摺接する形状とされている。また、この第3のワイパー33を構成する上記ワイパー本体41の両端には、図7にそれぞれ示すように、傾斜した傾斜面41e,41fが形成されている。
また、上記第4のワイパー34は、図5に示すように、上記第3のワイパー33の下側に取り付けられてなるものであり、背面は上記図示しない第2の位置決め部材の正面(の一部)に位置決めされており、図7に示すように、上下方向に長さを有するワイパー本体44と、1つの取付金属板45とから構成されている。なお、このワイパー本体44の上端は、上記傾斜面41fと同じ傾斜角度とされた傾斜面44eが形成され、下端面は該ワイパー本体39の長さ方向に対して垂直とされている。そして、上記ワイパー本体44には、上記右側板部3cの内側面に取り付けられる取付部(符号は省略する。)と、この取付部から正面側に延出されたリップ部44aとを備えている。上記取付部には、該第4のワイパー34の長さ方向に溝部44bが形成され、この溝部44b内には上記取付金属板45が収容されている。また、上記リップ部44aは、上記第3の保護カバー4を構成する右側板部4cの外側面に摺接する部位である。なお、上記第5のワイパー35の構成は、前記テレスコピックカバー1を構成する第3のワイパー13と同じ構成であり、ワイパー本体46と、1つの取付金属板47とから構成され、上記ワイパー本体46は上記天板部3aの裏面に取り付けられる取付部(符号は省略する。)と、この取付部から正面側に延出されたリップ部46aを備えている。そして、上記取付部の裏面には上記取付金属板47が収容された溝部46bが形成されている。また、上記ワイパー本体46の左右両側は、該ワイパー本体46の長さが背面側から正面側にかけて徐々に短くなるように傾斜した傾斜面46e,46fが形成されている。上記傾斜面46eは、上記第1のワイパー31に形成された傾斜面36eに当接する部位であり、上記傾斜面46fは、上記第3のワイパー33を構成する傾斜面41eに当接する部位である。なお、上記ワイパー本体46にも、図示しないネジが挿通される3つのネジ穴46dが穿設され、上記取付金属板47にも、これらのネジ穴46dに対応した位置にネジ穴47a(図6参照)が形成されている。
こうした第2の実施の形態に係るテレスコピックカバーによれば、上述したように、(本発明を構成する特定のワイパーである)第2の保護カバー3には、第1ないし第5のワイパー31・・・35に分割されていることから、これら第1ないし第5のワイパー31・・・35の何れかが破損した場合、全てを交換することなく破損したワイパーのみを交換することができるとともに、テレスコピックカバー全体を分解することなく、テレスコピックカバーをそのままの状態としたままで破損した特定のワイパーのみを交換することができる。しかも、こうした交換作業は、先に説明したテレスコピックカバー1と同じように、(第2の)ワイパー3には上記第1ないし第3の位置決め部材7,9が固定されていることから、交換する第1ないし第5のワイパー31・・・35の何れかをこの(第3の)保護カバー3の正面側から内部側に押し付けることにより位置決めができ、この状態で図示しないネジを螺進することにより交換すべき第1ないし第5のワイパー31・・・35の何れかを取付可能であることから、交換作業を極めて簡単かつ迅速に終了することができる。特に、上記第2の実施の形態に係るテレスコピックカバーでは、ワイパー本体36の下端とワイパー本体39の上端とにはそれぞれ傾斜面36f,39eが形成され、これらの傾斜面36f,39eが接合されてなり、同様に、ワイパー本体41の下端とワイパー本体44の上端とにはそれぞれ傾斜面41f,44eが形成され、これらの傾斜面41f,44eが接合されてなることから、このテレスコピックカバーの内側に塵埃やクーラント駅等が侵入することを防止できる。
なお、先に説明したテレスコピックカバー1を構成する第1及び第2のワイパー11,12や、後に説明したテレスコピックカバーを構成する第1及び第3のワイパー31,33は、天板部3aと(左又は右)側板部3b,3cとの間に形成された円弧状のコーナー部3f,3gに取り付けられる部位を備えてなるワイパーであり、何れも予め略L字状に成形されてなるものであるが、本発明を構成する分割されたワイパーの内で、上記天板部3aと(左又は右)側板部3b,3cとの間に形成された円弧状のコーナー部3f,3gに取り付けられる部位を備えてなるワイパーは、以下に説明するように、各保護カバー(例えば、上記第2の保護カバー3)に取り付けられる以前の自然状態では直線状の長さを有するものを使用しても良い。換言すれば、先に説明したテレスコピックカバー1を構成する第1及び第2のワイパー11,12や、後に説明したテレスコピックカバーを構成する第1及び第3のワイパー31,33に代えて、以下に説明するワイパー51を使用しても良い。
このワイパー51は、ゴム(NBR:ニトリルブタジエンゴム)又は軟質樹脂により、自然状態では直線状の長さを有してなるものであり、先に説明した実施の形態に係るテレスコピックカバー1を構成する第1のワイパー11と同じように、第2の保護カバー3を構成する天板部3aの一部から左側板部3bに亘って取り付けられるものである。そして、このワイパー51は、図8に示すように、ワイパー本体52と、このワイパー本体52の裏面に収容される図示しない2つの金属取付板とから構成されている。なお、上記2つの金属取付板は、冒頭で説明した実施の形態に係る2つの取付金属板16,17と同じ構成であることから説明を省略する。そして、上記ワイパー本体52は、上記天板部3aの裏面に上面が接合される第1の接合部52bと、上記左側板部3bの内側面に接合される第2の接合部52cと、上記第1の接合部と52bと第2の接合部52cとの間に形成され、上記天板部3aと左側板部3bとの間に形成された円弧状のコーナー部3fの内側面に接合される第3の接合部52dとを備えている。
そして、上記ワイパー本体52の正面には、該ワイパー本体52の幅方向に延出されたリップ部52aが形成されている。このリップ部52aは、先に説明した実施の形態に係る第1のワイパー11に形成されたリップ部15aと同じように、上記第2の保護カバー3に取り付けられることにより、先端側が、該ワイパー52が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aの上面の(左側の)一部と、左側板部4bの外側面と、該天板部4aと左側板部4bとの間に形成された(左側の)円弧状のコーナー部4fの外側面に摺接する部位である。このリップ部52aに関し、より詳細に説明すると、図11や図12に示すように、上記第3の接合部52d(や第1,第2の接合部52b,52c)から、正面側に延出され基端側から先端側にかけて徐々に下方に傾斜してなるものであり、先端の位置は、上記各接合部(52b,52c,52d)の下面位置よりも下方とされている。なお、こうしたリップ部52aの形状は、先に説明したテレスコピックカバー1を構成する第1ないし第3のワイパー11,12,13,31・・・35に形成されたリップ部15a,19a,22a,36a,39a,41a,44a,46aも同様である。
そして、このワイパー51(ワイパー本体52)では、上記リップ部52aの内で、第3の接合部52dから前方に延出された部位には、第1の薄肉部52eが形成されている。この第1の薄肉部52eは、図10に示すように、該リップ部52aの背面側から正面側に窪んだ状態で形成されてなるものであり、その窪んだ形状は円弧状とされている。一方、上記ワイパー本体52を構成する上記第3の接合部52dの上面(上記リップ部52eを除いた部位の上面)には、図8及び図9に示すように、第2の薄肉部52fと第3の薄肉部52gとが、該ワイパー本体52の長さ方向に並んで形成されている。これら第2及び第2の薄肉部52f,52gは、このワイパー本体52の上面から裏面側に僅かに(約0.2〜1mm)窪んだ状態で形成されてなるものである。そして、上記第2の薄肉部52fと第3の薄肉部52gとの間であって、このワイパー本体52の裏面には、図9及び図10に示すように、該ワイパー本体52の幅方向に円弧状の突条部52hが形成されている。すなわち、この突条部52hが形成された部位は、上記第2の薄肉部52fと第3の薄肉部52g、さらには、このワイパー本体52の他の部位の肉厚に比べて最も厚い肉厚とされている。そして、この突条部52hが形成された部位からこのワイパー本体52の正面側に延長された部位に、上記第1の薄肉部52eの中心(リップ部52aの肉厚で最も薄い部位)が位置している。なお、上記突条部52hが形成されている部位は、後述するように、このワイパー51が第2の保護カバー3に取り付けられた際、該第2の保護カバー3を構成する天板部3aと左側板部3bとの間に形成された円弧状のコーナー部3fの内側面の中央に位置する部位であり、上記第1の薄肉部52eは、このワイパー51が取り付けられた第2の保護カバー3の内側に配置された第3の保護カバー4(本発明を構成する他の保護カバー)を構成する天板部4aと左側板4bとの間に形成された円弧状のコーナー部4gの外側面に摺接する部位である。
なお、上記ワイパー本体52の裏面には、図10に示すように、右端側から中央にかけて一方の溝部52jが形成され、左端から中央にかけて他方の溝部52kが形成されている。これらの溝部52j,52kは、ワイパー本体52の裏面の背面側から垂下してなる後方垂下部52lと、該ワイパー本体52の裏面の正面側から垂下してなる前方垂下部52mと該ワイパー本体52の裏面とから形成されてなるものであり、さらにこの例に係るワイパー51では、上記後方垂下部52lは、図10に示すように、上記第3の接合部52dにおいては切欠き52pが形成されている。そして、上記第1の接合部52bであって上記一方の溝部52j内には、該第1の接合部52bの長さと略同じ長さに成形された前記取付金属板(冒頭で説明したテレスコピックカバー1を構成する取付金属板16と同じ部材)が収容され、上記第2の接合部52cであって上記他方の溝部52k内には、該第2の接合部52cの長さと略同じ長さに成形された前記取付金属板(冒頭で説明したテレスコピックカバー1を構成する取付金属板17と同じ部材)が収容されている。なお、これらの取付金属板には、図3に示す第2の保護カバー3の天板部3aに穿設されたネジ穴3i,3j,3pにそれぞれ対応した図示しないネジ穴が形成され、同じように、上記ワイパー本体52にも、上記ネジ穴3i,3j,3pに対応したネジ穴52qが形成されている。また、このワイパー本体52の右端面は、前記第1のワイパー11と同じように、傾斜面52rとされている。
そして、このように第2の保護カバー3に取り付けられる以前の自然状態では直線状の長さを有してなるワイパー51が、図13に示すように、第2の保護カバー3に取り付けられると、図正面側から観察した場合は、冒頭で説明したテレスコピックカバー1を構成する第1のワイパー11と全く同じように、上記天板部3aの裏面や左側板部3bの内側面、さらには該天板部3aと左側板3bとの間に形成された円弧状のコーナー部3fの内側面に隙間がない状態とされ、同時に、リップ部52aの先端側も上記第3の保護カバー4を構成する天板部4aの上面や左側板部4bの外側面や該天板部4aと左側板部4bとの間に形成された円弧状のコーナー部4fに密着した状態とされる。そして、このように第2の保護カバー3に取り付けられた状態においては、図14に示すように、上記突条部52hが第2の保護カバー3に形成された円弧状のコーナー部3fの内側面の中央に位置してなり、上記第2の薄肉部52f,52gの上面も上記コーナー部に密着した状態となる。
なお、上記説明では、テレスコピックカバー1を構成する第2の保護カバー3に、先に説明した第1のワイパー11に代えて上記ワイパー51を取り付けた例を説明したが、言うまでもなく、この場合においては、第2のワイパー12に代えて上記ワイパー51と対称形状に成形された図示しないワイパーも取り付けるものとするとともに、上記第1の保護カバー2にも該ワイパー51と同じ構造(構成)に係るワイパーを左右両側に取り付けるものとする。また、上記構成に係るワイパー51は、後に説明したテレスコピックカバーを構成する第1及び第3のワイパー31,33に代えても良い。
そして、こうしたワイパー51が取り付けられたテレスコピックカバー1によれば、先に説明した各ワイパー(符号は省略する。)と同じように、破損したワイパーのみを交換することが可能となるとともに、該破損したワイパーから新たなワイパーに交換する作業も簡単かつ迅速に行うことができる。
特に、最後に説明したワイパー51を単独で評価すれば、該ワイパー51を構成するワイパー本体52は、各保護カバーに取り付けられる以前の自然状態では直線状の長さを有することから、円弧状のコーナー部を介して連続してなる天板部と左側板部との角度がそれぞれ異なる保護カバーであっても単一のワイパー51を取り付けることが可能となり、先に説明した第1及び第2のワイパー11,12や、後に説明した第1及び第3のワイパー31,33のように予め略L字状に成形されたものに比べて極めて汎用性の高いものとなる。
なお、上記各説明では、保護カバーを構成する天板部が平板状に成形されているタイプのテレスコピックカバーを図示して説明したが、本発明を構成する各保護カバーは、こうした形状のものに限定されることはなく、中央に形成された稜線を境に左右傾斜してなり正面形状が略く字状に成形されてなる天板部を備え、したがって、該天板部と左側板部や天板部と右側板とはそれぞれ鈍角をなすものであっても良い。