JP2011138593A - 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電磁変換特性が得られる磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】非磁性基板1の少なくとも一方の面上に磁性層2を形成する工程と、磁性層2の面上を覆うマスク層3を形成する工程と、マスク層3の上にレジスト層4を形成する工程と、レジスト層4の表面を磁気記録パターンに対応した形状にパターニングする工程と、パターニングされたレジスト層4を用いてマスク層3をパターニングする工程と、パターニングされたマスク層3を用いて磁性層2を部分的に除去する工程と、マスク層3をレジスト層4と共に磁性層2上から除去する工程とを含み、マスク層3及びレジスト層4をドライエッチングにより除去する際に、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスク装置(HDD)等に用いられる磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置に関するものである。
近年、磁気ディスク装置、フレキシブルディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録装置の適用範囲は著しく増大され、その重要性が増すと共に、これらの装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。特に、MRヘッドやPRML技術の導入以来、面記録密度の上昇は更に激しさを増し、近年ではGMRヘッドやTMRヘッドなども導入されて、1年に1.5倍ものペースで増加を続けている。
これらの磁気記録媒体については、今後更に高記録密度を達成することが要求されている。このため、磁性層の高保磁力化、高信号対雑音比(SNR)、及び高分解能を達成することが要求されている。また、近年では線記録密度の向上と同時にトラック密度の増加によって面記録密度を上昇させようとする努力も続けられている。
最新の磁気記録装置においては、トラック密度250kTPIにも達している。しかしながら、トラック密度を上げていくと、隣接するトラック間の磁気記録情報が互いに干渉し合い、その境界領域の磁化遷移領域がノイズ源となりSNRを損なうという問題が生じ易くなっており、このことはそのままビット・エラー・レートの悪化につながるため、記録密度の向上に対して障害となっている。
面記録密度を上昇させるためには、磁気記録媒体上の各記録ビットのサイズをより微細なものとし、各記録ビットに可能な限り大きな飽和磁化と磁性膜厚を確保する必要がある。その一方で、記録ビットを微細化していくと、1ビット当たりの磁化最小体積が小さくなり、熱揺らぎによる磁化反転で記録データが消失するという問題が生じてしまう。
また、トラック密度を上げていくと、トラック間距離が近づくために、磁気記録装置では極めて高精度のトラックサーボ技術が要求されると同時に、記録を幅広く実行し、再生は隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために記録時よりも狭く実行する方法が一般的に用いられている。しかしながら、この方法ではトラック間の影響を最小限に抑えることができる反面、再生出力を十分得ることが困難であり、その結果十分なSNRを確保することが難しいという問題がある。
このような熱揺らぎの問題やSNRの確保、十分な出力の確保を達成する方法の一つとして、記録媒体表面にトラックに沿った凹凸を形成し、記録トラック同士を物理的に分離することによってトラック密度を上げようとする試みがなされている。このような技術は、一般にディスクリートトラック法と呼ばれており、それによって製造された磁気記録媒体のことをディスクリートトラック媒体と呼んでいる。また、同一トラック内のデータ領域を更に分割した、いわゆるパターンドメディアを製造しようとする試みもある。
ディスクリートトラック法には、何層かの薄膜からなる磁気記録媒体を形成した後にトラックを形成する方法と、予め基板表面に直接、或いはトラック形成のための薄膜層に凹凸パターンを形成した後に、磁気記録媒体の薄膜形成を行う方法がある(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
このうち、前者の方法は、磁気層加工型と呼ばれるものである。しかしながら、この方法の場合、媒体形成後に表面に対する物理的な加工が実施されるため、媒体が製造工程において汚染されやすく、かつ製造工程が非常に複雑となるといった欠点がある。一方、後者の方法は、エンボス加工型と呼ばれるものである。しかしながら、この方法の場合、製造工程中に媒体が汚染されにくいものの、基板に形成された凹凸形状がその上に成膜された膜にも引き継がれることになるため、媒体上を浮上しながら記録再生を行う記録再生ヘッドの浮上姿勢や、浮上高さが安定しなくなるとった問題がある。
また、ディスクリートトラック媒体の磁気トラック間領域を、予め形成した磁性層に窒素、酸素等のイオンを注入し、または、レーザを照射することにより、その部分の磁気的な特性を変化させて形成する方法が開示されている(例えば、特許文献4を参照。)。
特開2004−164692号公報 特開2004−178793号公報 特開2004−178794号公報 特開平5−205257号公報
ところで、上述した特許文献4に記載の方法では、磁性層に部分的にイオンを注入し、その部分の磁気特性を変えることによって、磁性層に磁気的に分離された磁気記録パターンが形成される。ここで、磁性層に部分的にイオンを注入するためには、磁性層の表面にパターニングしたマスク層を設ける必要がある。また、マスク層をパターニングするために、このマスク層の上にレジスト層を設ける場合もある。そして、磁性層にイオンを注入した後に、これらマスク層やレジスト層が除去される。
レジスト層及びマスク層の除去には、ドライエッチングが用いられる。ドライエッチングとは、レジスト層やマスク層を構成する固体物質とガスとを反応させて固体物質をガス化し除去する方法である。例えば、C系の固体物質の場合、酸素ガスや窒素ガスを用いてこれをCO系ガスやCN系ガスとして除去する方法、SiO系の固体物質の場合、CF系ガスを用いてこれをハロゲン化ガスとして除去する方法などが知られている。
しかしながら、このような酸素や窒素、ハロゲンなどを用いたドライエッチングによりレジスト層やマスク層を除去すると、磁性層の表面が酸化、窒化、ハロゲン化されることによって、その酸化物や窒化物、ハロゲン化物などが磁気記録媒体の電磁変換特性を低下させることが、本発明者の検討により明らかになった。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、優れた電磁変換特性が得られる磁気記録媒体の製造方法、並びに、そのような製造方法により製造された磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 磁気的に分離された磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造方法であって、
非磁性基板の少なくとも一方の面上に磁性層を形成する工程と、
前記磁性層の面上を覆うマスク層を形成する工程と、
前記マスク層を前記磁気記録パターンに対応した形状にパターニングする工程と、
前記パターニングされたマスク層を用いて前記磁性層を部分的に改質又は除去することにより磁気的に分離された磁気記録パターンを形成する工程と、
前記マスク層をドライエッチングにより除去する工程とを含み、
前記マスク層をドライエッチングにより除去する際に、エッチングガスとして、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2) 前記マスク層をパターニングする前に、当該マスク層の上に前記磁気記録パターンに対応した形状にパターニングされたレジスト層を形成する工程を含み、
前記のレジスト層を用いて前記マスク層を前記磁気記録パターンに対応した形状にパターニングし、前記パターニングされたマスク層を用いて前記磁性層を部分的に改質又は除去した後、前記マスク層を前記レジスト層と共に前記還元性のガスを用いたドライエッチングにより除去することを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3) 前記還元性のガスとして、水素を用いることを特徴とする(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4) 前記マスク層として、ノボラック樹脂を用いることを特徴とする(1)〜(3)の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5) 前記レジスト層として、ノボラック樹脂を用いることを特徴とする(2)又は(3)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(6) (1)〜(5)の何れか一項に記載の製造方法により製造された磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
前記磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド移動手段と、
前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドから出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理手段とを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
以上のように、本発明では、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いたドライエッチングによりマスク層やレジスト層を除去するため、磁性層の表面が酸化、窒化、ハロゲン化されることがなく、その結果、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を製造することが可能となる。また、このような電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置では、記録密度の更なる向上を図ることが可能である。
図1は、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法の一例を説明するための断面図である。 図2は、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法の他例を説明するための断面図である。 図3は、磁気記録再生装置の一構成例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(磁気記録媒体の製造方法)
先ず、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法の一例について説明する。なお、以下の説明では、磁気記録媒体の片面のみを図示するものとするが、磁気記録媒体の両面について同様の構成とすることが可能である。
本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法は、磁気的に分離された磁気記録パターンを有する磁気記録媒体を製造する際に、例えば図1(a)〜(g)に示すように、非磁性基板1の少なくとも一方の面上に磁性層2を形成する工程と、磁性層2の面上を覆うマスク層3を形成する工程と、マスク層3の上にレジスト層4を形成する工程と、レジスト層4の表面を磁気記録パターンに対応した形状にパターニングする工程と、パターニングされたレジスト層4を用いてマスク層3をパターニングする工程と、パターニングされたマスク層3を用いて磁性層2を部分的に除去する工程と、マスク層3をレジスト層4と共に磁性層2上から除去する工程と、この上に保護層5を形成する工程と、保護層4の上に潤滑膜を形成する工程(図示せず。)とを含んでいる。
具体的に、このような磁気記録媒体を製造する際は、先ず、図1(a)に示すように、非磁性基板1の上に、磁性層2及びマスク層3を順次積層して形成する。
非磁性基板1としては、例えば、Al−Mg合金などのAlを主成分としたAl合金基板、ソーダガラスやアルミノシリケート系ガラス、結晶化ガラスなどのガラス基板、シリコン基板、チタン基板、セラミックス基板、樹脂基板等の各種基板を挙げることができるが、その中でも、Al合金基板や、ガラス基板、シリコン基板を用いることが好ましい。また、非磁性基板1の平均表面粗さ(Ra)は、1nm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5nm以下であり、さらに好ましくは0.1nm以下である。
磁性層2は、面内磁気記録媒体用の面内磁性層でも、垂直磁気記録媒体用の垂直磁性層でもかまわないが、より高い記録密度を実現するためには垂直磁性層が好ましい。また、磁性層2は、主としてCoを主成分とする合金から形成することが好ましい。
例えば、垂直磁気記録媒体用の磁性層2としては、例えば軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる軟磁性層と、Ru等からなる中間層と、60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金からなる記録磁性層とを積層したものを利用できる。また、軟磁性層と中間層との間にPt、Pd、NiCr、NiFeCrなどからなる配向制御膜を積層してもよい。一方、面内磁気記録媒体用の磁性層2としては、例えば非磁性のCrMo下地層と強磁性のCoCrPtTa記録磁性層とを積層したものなどを利用できる。
記録磁性層の厚みは、3nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上15nm以下とし、使用する磁性合金の種類と積層構造に合わせて、十分なヘッド出入力が得られるように形成すればよい。また、磁性層2は、再生の際に一定以上の出力を得るのにある程度以上の膜厚が必要であり、一方で記録再生特性を表す諸パラメーターは出力の上昇とともに劣化するのが通例であるため、最適な膜厚に設定する必要がある。磁性層2は、通常はスパッタ法により薄膜として形成する。
マスク層3としては、例えば炭素の他、水素で還元除去が容易な有機物系の材料を用いることが好ましく、例えばノボラック系樹脂や、アクリル酸エステル類、脂環式エポキシ類、(メタ)アクリル系樹脂、多還芳香族系樹脂などを用いることができ、その中でもノボラック樹脂を用いることが特に好ましい。
マスク層3の厚みは、5nm〜40nmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは10nm〜30nmの範囲である。マスク層3の厚みが5nmより薄いと、このマスク層3のエッジ部分がだれて磁気記録パターンの形成特性が悪化することになる。また、レジスト層4及びマスク層3を透過したイオンが磁性層2に侵入して、磁性層2の磁気特性を悪化させることになる。一方、マスク層3の厚みが40nmより厚くなると、このマスク層4のエッチング時間が長くなり生産性が低下することになる。また、このマスク層3をエッチングする際の残渣が磁性層2の表面に残留しやすくなる。
次に、図1(b)に示すように、このマスク層3の上にレジスト層4を形成した後、このレジスト層4を、例えばフォトリソグラフィー法やナノインプリント法などを用いて、磁気記録パターンに対応した形状にパターニングする。これにより、レジスト層4の表面には、図1(c)に示すように、磁気記録パターンに対応した部分が凸部4a、その間が凹部4bとなるパターンが形成される。
ここで、レジスト層4をパターニングする際は、ナノインプリント法を用いることが好ましい。このナノインプリント法では、放射線を照射することにより硬化する材料をレジスト層4に用い、このレジスト層4にスタンプ(図示せず。)を用いてパターンを転写する。
また、本発明では、このようなパターンを転写する工程の後に、レジスト層4に放射線を照射することが好ましい。これにより、レジスト層4にスタンプの形状を精度良く転写することができ、磁気記録パターンの形成特性を向上させることが可能となる。
特に、レジスト層4にスタンプを用いてパターンを転写する際は、レジスト層4の流動性が高い状態で、このレジスト層4にスタンプを押圧し、その押圧した状態で、レジスト層4に放射線を照射することによりレジスト層4を硬化させ、その後、スタンプをレジスト層4から離すことにより、スタンプの形状を精度良く、レジスト層4に転写することが可能である。
レジスト層4にスタンプを押圧した状態で、このレジスト層4に放射線を照射する方法としては、例えば、スタンプの反対側、すなわち非磁性基板1側から放射線を照射する方法や、スタンプの材料として放射線を透過できる物質を選択し、スタンプ側から放射線を照射する方法、スタンプの側面から放射線を照射する方法、熱線のように固体に対して伝導性の高い放射線を用いて、スタンプ又は非磁性基板1からの熱伝導により放射線を照射する方法などを用いることができる。
なお、本発明における放射線とは、熱線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線などの広い概念の電磁波のことを言う。また、放射線を照射することにより硬化する材料としては、例えば、熱線に対しては熱硬化樹脂、紫外線に対しては紫外線硬化樹脂を挙げることができる。
また、レジスト層4には、このような材料の中でも、ノボラック系樹脂や、アクリル酸エステル類、脂環式エポキシ類などの紫外線硬化樹脂を用いることが好ましく、その中でも特に、ノボラック系樹脂を用いることが好ましい。一方、スタンプとしては、紫外線に対して透過性の高いガラス又は樹脂を用いることが好ましい。また、レジスト層4は、上記マスク層3と同じ材料を用いることが可能である。この場合、マスク層3は、フォトリソグラフィー法やナノインプリント法などを用いて、磁気記録パターンに対応した形状に直接パターニングする。
なお、上述したパターンを転写する工程では、スタンプとして、例えば、金属プレートに電子線描画などの方法を用いて微細なトラックパターンを形成したスタンパを用いることができる。また、スタンパには、上記プロセスに耐え得る硬度及び耐久性が要求されるため、例えばNiなどが使用されるが、上記目的に合致するものであれば、その材質について特に限定されるものではない。さらに、スタンプには、通常のデータを記録するトラックの他にも、バーストパターンや、グレイコードパターン、プリアンブルパターンなどといったサーボ信号のパターンも形成することができる。
レジスト層4に磁気記録パターンに対応した凹凸パターン(凸部4a及び凹部4b)を形成した後、このレジスト層4の凹部4bにおける厚みは、0〜20nmの範囲とすることが好ましい。これにより、後述するマスク層3及び磁性層2のエッチング工程において、マスク層3のエッジの部分のダレを無くし、マスク層3のミリングイオンに対する遮蔽性を向上させ、また、マスク層3による磁気記録パターンの形成特性を向上させることができる。
また、レジスト層4の凹凸パターンのうち、凸部4aの幅Wは200nm以下、凹部4bの幅Lは100nm以下、その合計の幅P(=W+L)は300nm以下とすることが好ましく、これらの幅ができるだけ狭くなるように形成することが好ましい。最終的に、凸部4aの幅Wが磁性層3の磁性部分(磁気記録パターン)の幅、凹部4bの幅Lが磁性層3の非磁性部分(凹部又は改質部)の幅、その合計の幅Pがトラックピッチとなるからであり、記録密度を高めるためにはこれらの幅をできるだけ狭くすることが好ましい。
次に、図1(d)に示すように、このパターニングされたレジスト層4を用いたドライエッチングにより、レジスト層4の凹部4bと、その直下にあるマスク層3を除去する。これにより、マスク層3を磁気記録パターンに対応した形状にパターニングすることができ、このパターニングされたマスク層3の間から磁性層2が露出した状態となる。また、マスク層3の上にレジスト層4が形成されていることにより、このマスク層3の角部が丸まった形状となることが防止され、垂直に切り立った形状でパターニングされる。このマスク層3のパターニングには、反応性イオンエッチング、イオンミリングなどのドライエッチングを用いることができるが、その中でも特に、ICP(Inductive Coupled Plasma)による反応性イオンエッチングを用いることが好ましい。
次に、図1(e)に示すように、このパターニングされたマスク層3を用いたドライエッチングにより、磁性層2のマスク層3及びレジスト層4で覆われていない箇所を部分的に除去する。これにより、当該箇所に凹部6と、凹部6の間に磁気的に分離された磁気記録パターン2aとが形成される。
磁性層2をパターニングする際は、反応性イオンエッチング、イオンミリングなどのドライエッチングを用いることができるが、この磁性層2のドライエッチングについては、例えばICPやRIEなどの反応性イオンエッチング装置を用いて、ArガスやNガス等の不活性ガスを導入して行うことが好ましい。本発明では、このような方法を採用することにより、残された磁性層2のエッジ部を垂直に形成することが可能となる。これは、磁性層2の上のマスク層3が垂直に切り立った形状であるため、その下の磁性層2も同様の形状となるためである。これにより、フリンジ特性の優れた磁性層2(磁気記録パターン2a)を形成することができる。なお、この工程でイオンミリングにNガスを使用しても、磁気記録パターン2aの表面はマスク層3によって保護されているため、磁気記録パターン2aの表面が窒化されて磁気特性を悪化させることはない。
次に、図1(f)に示すように、マスク層3及びその上のレジスト層4を磁性層2上から除去する。本発明では、これらマスク層3及びレジスト層4の除去にドライエッチングを使用し、このドライエッチングのエッチングガスとして、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含有しない還元性のガスを使用することを特徴とする。
ここで、ドライエッチングでは、エッチング力の大きなガスとして、一般的に酸素、窒素、ハロゲンが使用されている。すなわち、これらのエッチングガスは、被エッチング物を酸化、窒化、ハロゲン化しながら、COやCOなどの酸化物、窒化物、ハロゲン化物として除去する。
しかしながら、本発明者による検討の結果、磁気記録パターン2aを形成した後のレジスト層4やマスク層3の除去に、エッチングガスとして酸素、窒素、ハロゲンを使用すると、磁性層2(磁気記録パターン2a)の表面がわずかに酸化、窒化、ハロゲン化し、その酸化物、窒素物、ハロゲン化物が磁気記録媒体の電磁変換特性を低下させることが明らかになった。
そこで、本発明では、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いたドライエッチングによりマスク層やレジスト層を除去する。磁性層2の表面の酸化、窒化、ハロゲン化を防止し、磁気記録媒体の電磁変換特性の改善を図ることを趣旨とする。
すなわち、本発明では、レジスト層4やマスク層3には、還元除去できる物質を使用し、エッチングガスには、レジスト層4やマスク層3に対する還元性を持ちながら、磁性層2に対する酸化性、窒化性、ハロゲン化性をほとんど持たないガスを使用する。
ここで、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含有しない還元性のガスとしては、例えば水素等を含むガスを用いることができる。より具体的には、水素の含有量が60体積%以上、より好ましくは80体積%以上であって、酸素、窒素、ハロゲンの合計含有量が15体積%以下、より好ましくは10体積%以下のガスを用いることができる。
一方、上記還元性ガスでドライエッチングできる物質としては、例えば、炭素、ノボラック系樹脂、アクリル酸エステル類、脂環式エポキシ類などを挙げることができる。このうち、炭素は、流動性が低いため、ナノインプリントによるパターニングができず、その上にレジスト層を設けてパターニングする必要がある。一方、ノボラック系樹脂や、アクリル酸エステル類、脂環式エポキシ類は、流動性があり、ナノインプリントによるパターニングが可能であり、レジスト層4として用いることができる他、マスク層3として用いることができる。この中で特に、本発明では、還元性ガスに対するエッチング容易性からノボラック系樹脂を用いることが好ましい。
また、レジスト層4及びマスク層3を除去した後は、磁性層2の表面にArなどの不活性ガスを照射して、この磁性層2の表層を1〜2nmの範囲でエッチングにより除去することが好ましい。これにより、磁性層2の一部に、改質により磁気特性が低下した部位が生じていた場合であっても、その磁気特性の低下した部位を除去することができ、本発明の効果をより高めることができる。すなわち、上述したレジスト層4やマスク層3の除去に、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含有しない還元性のガスを使用しても、これらのガスに不可避的に酸素等が含有されると、磁性層2の表面がわずかに酸化等される場合があるからである。
次に、図1(g)に示すように、マスク層3及びレジスト層4が除去された面上を覆う保護層5を形成する。この保護層5の形成には、一般的にDLC(Diamond Like Carbon)薄膜をP−CVDなどを用いて成膜する方法が用いられるが、このような方法に必ずしも限定されるものではない。また、この保護層5は、磁性層2が除去された部分に埋め込まれるのに十分な厚みで形成される。
その後、保護層5の上に潤滑剤を塗布することによって潤滑膜(図示せず。)を形成する。この潤滑膜に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物などを挙げることができ、通常1〜4nmの厚さで潤滑膜を形成する。そして、以上の工程を経ることによって、磁気記録媒体を製造することができる。
以上のように、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法では、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いたドライエッチングによりマスク層3やレジスト層4を除去するため、磁性層2の表面が酸化、窒化、ハロゲン化されることがなく、その結果、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を製造することが可能である。また、このような電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置では、記録密度の更なる向上を図ることが可能である。
次に、本発明を適用した磁気記録媒体の製造方法の他例について説明する。
本例は、上記磁性層2に磁気記録パターン2aを形成する方法として、図1に示すように、磁性層2を部分的に除去する代わりに、図2に示すように、磁性層2の磁気特性を部分的に改質する方法を採用する。
具体的に、この磁気記録媒体の製造方法は、例えば図2(a)〜図2(g)に示すように、非磁性基板1の少なくとも一方の面上に磁性層2を形成する工程と、磁性層2の面上を覆うマスク層3を形成する工程と、マスク層3の上にレジスト層4を形成する工程と、レジスト層4の表面を磁気記録パターンに対応した形状にパターニングする工程と、パターニングされたレジスト層4を用いてマスク層3をパターニングする工程と、パターニングされたマスク層3を用いて磁性層2を部分的に改質する工程と、マスク層3をレジスト層4と共に磁性層2上から除去する工程と、この上に保護層5を形成する工程と、保護層4の上に潤滑膜を形成する工程(図示せず。)とを含んでいる。
このうち、図2(a)〜(d)に示す工程は、上記図1(a)〜(d)に示す工程と基本的に同じである。このため、これら図2(a)〜(d)に示す工程の説明については省略するものとする。
次に、図2(e)に示すように、例えば反応性プラズマや反応性イオンを用いて、マスク層3の下にある磁性層2のうち、レジスト層4及びマスク層3で覆われていない箇所を部分的に改質し、改質部7の間に磁気的に分離された磁気記録パターン2bを形成する。
本発明において、磁気記録パターン2bとは、磁気記録媒体を表面側から見た場合、磁性層2の一部の磁気特性を改質した、好ましくは非磁性化した非磁性領域7により分離された状態のものを言う。すなわち、磁性層2が表面側から見て分離されていれば、磁性層2の底部において分離されていなくとも、本発明の目的を達成することが可能であり、本発明において磁気記録パターン2bの概念に含まれる。
また、磁気記録パターン2bを形成するための磁性層2の改質とは、磁性層2をパターン化するために、この磁性層2の保磁力、残留磁化等を部分的に変化させることを指し、その変化とは、保磁力を下げ、残留磁化を下げることを指す。
特に、磁気特性の改質として、反応性プラズマや反応性イオンにさらした箇所の磁性層2の磁化量を当初(未処理)の75%以下、より好ましくは50%以下、保磁力を当初の50%以下、より好ましくは20%以下とする方法を採用するのが好ましい。このような方法を用いてディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造することにより、本媒体に磁気記録を行う際の書きにじみをなくし、高い面記録密度の磁気記録媒体を提供することが可能となる。
さらに、本発明では、磁気記録トラック及びサーボ信号パターン部を分離する箇所(非磁性領域7)を、すでに成膜された磁性層2を反応性プラズマや反応性イオンにさらして磁性層2を非晶質化することにより実現することも可能である。すなわち、本発明における磁性層2の磁気特性の改質は、磁性層2の結晶構造の改変によって実現することも含む。
本発明において、磁性層2を非晶質化するとは、磁性層2の原子配列を、長距離秩序を持たない不規則な原子配列の形態とすることを指し、より具体的には、2nm未満の微結晶粒がランダムに配列した状態とすることを指す。そしてこの原子配列状態を分析手法により確認する場合は、X線回折または電子線回折により、結晶面を表すピークが認められず、また、ハローが認められるのみの状態とする。
反応性プラズマとしては、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)や反応性イオンプラズマ(RIE;Reactive Ion Plasma)が例示できる。また、反応性イオンとしては、上述した誘導結合プラズマ、反応性イオンプラズマ内に存在する反応性のイオンが例示できる。
誘導結合プラズマとしては、気体に高電圧をかけることによってプラズマ化し、さらに高周波数の変動磁場によってそのプラズマ内部に渦電流によるジュール熱を発生させることによって得られる高温のプラズマを例示できる。誘導結合プラズマは、電子密度が高く、従来のイオンビームを用いてディスクリートトラックメディアを製造する場合に比べ、広い面積の磁性膜において、高い効率で磁気特性の改質を実現することができる。
反応性イオンプラズマとは、プラズマ中にO、SF、CHF、CF、CCl等の反応性ガスを加えた反応性の高いプラズマである。このようなプラズマを用いることにより、磁性層2の磁気特性の改質をより高い効率で実現することが可能となる。
本発明では、磁性層2を反応性プラズマにさらすことにより磁性層2を改質するが、この改質は、磁性層2を構成する磁性金属と反応性プラズマ中の原子またはイオンとの反応により実現するのが好ましい。
この場合、反応とは、磁性金属に反応性プラズマ中の原子等が侵入し、磁性金属の結晶構造が変化すること、磁性金属の組成が変化すること、磁性金属が酸化すること、磁性金属が窒化すること、磁性金属が珪化すること等が例示できる。
特に、反応性プラズマとして酸素原子を含有させ、磁性層2を構成する磁性金属と反応性プラズマ中の酸素原子とを反応させることにより、磁性層2を酸化させることが好ましい。磁性層2を部分的に酸化させることにより、酸化部分の残留磁化及び保磁力等を効率よく低減させることが可能となるため、短時間の反応性プラズマ処理により、磁気記録パターンを有する磁気記録媒体を製造することが可能となるからである。
また、反応性プラズマには、ハロゲン原子を含有させることが好ましい。特に、ハロゲン原子として、F原子を用いることが好ましい。ハロゲン原子は、酸素原子と一緒に反応性プラズマ中に添加して用いてもよく、また酸素原子を用いずに反応性プラズマ中に添加してもよい。上述したように、反応性プラズマに酸素原子等を加えることにより、磁性層2を構成する磁性金属と酸素原子等が反応して磁性層2の磁気特性を改質させることが可能となる。この際、反応性プラズマにハロゲン原子を含有させることにより、この反応性をさらに高めることが可能となる。
また、反応性プラズマ中に酸素原子を添加していない場合においても、ハロゲン原子が磁性合金と反応して、磁性層2の磁気特性を改質させることが可能となる。この理由の詳細は明らかではないが、反応性プラズマ中のハロゲン原子が、磁性層2の表面に形成している異物をエッチングし、これにより磁性層2の表面が清浄化し、磁性層2の反応性が高まることが考えられる。
また、清浄化した磁性層表面とハロゲン原子とが高い効率で反応することが考えられる。このような効果を有するハロゲン原子としてF原子を用いるのが特に好ましい。
次に、図2(f)以降に示す工程についても、上記図1(f)以降に示す工程と基本的に同じである。このため、図2(f)以降に示す工程の説明については省略するものとする。
したがって、この図2に示す磁気記録媒体の製造方法においても、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いたドライエッチングによりマスク層3やレジスト層4を除去するため、磁性層2の表面が酸化、窒化、ハロゲン化されることがなく、その結果、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を製造することが可能である。また、このような電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置では、記録密度の更なる向上を図ることが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明では、上記マスク層3にノボラック樹脂を用いる場合は、このマスク層3の上に上記レジスト層4を設ける必要がなく、この場合、ノボラック樹脂からなるマスク層3にスタンプを用いて磁気記録パターンに対応した凹凸パターンを転写した後、このパターニングされたマスク層3を用いて、上記磁性層2に磁気的に分離された磁気記録パターン2a(2b)を形成すればよい。
また、本発明では、上記磁性層2に磁気記録パターンを形成する方法として、上記磁性層2のマスク層3及びレジスト層4で覆われていない箇所を部分的に除去して、磁性層2に凹部を形成した後、この凹部の磁気特性を部分的に改質する方法を採用することも可能である。
また、本発明では、上記磁性層2を部分的に除去した後、この磁性層2が除去された面上を覆う非磁性層を形成し、その後、磁性層2が表出するまで非磁性層に対してCMP(Chemical Mechanical Polishing)による研磨加工を施すことによって、磁気記録パターンとなる磁性層2の間に非磁性層が埋め込まれた状態とすることも可能である。なお、上記レジスト層4及びマスク層3の除去工程は、この非磁性層を埋め込む工程の前に設けてもよいし、後に設けてもよい。
また、本発明では、磁性層2が表面側から見て分離されていれば、磁性層2の底部において分離されていなくとも、本発明の目的を達成することが可能であり、本発明の磁気的に分離された磁気記録パターンの概念に含まれる。
なお、本発明は、磁気的に分離された磁気記録パターンを有する磁気記録媒体に対して幅広く適用することが可能であり、この磁気記録パターンを有する磁気記録媒体としては、磁気記録パターンが1ビットごとに一定の規則性をもって配置された、いわゆるパターンドメディアや、磁気記録パターンがトラック状に配置されたメディア、その他、サーボ信号パターン等を含む磁気記録媒体を挙げることができる。本発明は、この中でも磁気的に分離された磁気記録パターンが磁気記録トラック及びサーボ信号パターンである、いわゆるディスクリート型の磁気記録媒体に適用することが、その製造における簡便性から好ましい。
(磁気記録再生装置)
次に、本発明を適用した磁気記録再生装置(HDD)について説明する。
本発明を適用した磁気記録再生装置は、例えば図3に示すように、上記本発明の製造方法により製造された磁気記録媒体30と、磁気記録媒体30を回転駆動する回転駆動部51と、磁気記録媒体30に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッド52と、磁気ヘッド52を磁気記録媒体30の径方向に移動させるヘッド駆動部53と、磁気ヘッド52への信号入力と磁気ヘッド52から出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系54とを備えている。
この磁気記録再生装置では、上記ディスクリートトラック型の磁気記録媒体30を用いることにより、この磁気記録媒体30に磁気記録を行う際の書きにじみをなくし、高い面記録密度を得ることが可能である。すなわち、上記磁気記録媒体30を用いることで記録密度の高い磁気記録再生装置を構成することが可能となる。また、上記磁気記録媒体30の記録トラックを磁気的に不連続に加工したことによって、従来はトラックエッジ部の磁化遷移領域の影響を排除するために再生ヘッド幅を記録ヘッド幅よりも狭くして対応していたものを、両者をほぼ同じ幅にして動作させることができる。これにより十分な再生出力と高いSNRを得ることができるようになる。
さらに、磁気ヘッド52の再生部をGMRヘッド又はTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記録再生装置を実現することができる。また、この磁気ヘッド52の浮上量を0.005μm〜0.020μmの範囲内とし、従来より低い高さで浮上させると、出力が向上して高い装置SNRが得られ、大容量で高信頼性の磁気記録再生装置を提供することができる。
さらに、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度100kトラック/インチ以上、線記録密度1000kビット/インチ以上、1平方インチ当たり100Gビット以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なSNRが得られる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、先ず、HD用ガラス基板をセットした真空チャンバを予め1.0×10−5Pa以下に真空排気した。ここで使用したガラス基板は、LiSi、Al−KO、Al−KO、MgO−P、Sb−ZnOを構成成分とする結晶化ガラスを材質とし、外径が65mm、内径が20mm、平均表面粗さ(Ra)が2オングストロームである。
次に、このガラス基板にDCスパッタリング法を用いて、軟磁性層として層厚60nmのFeCoB膜、中間層として層厚10nmのRu膜と、記録磁性層として層厚15nmの70Co−5Cr−15Pt−10SiO合金膜、層厚14nmの70Co−5Cr−15Pt合金膜と、マスク層として層厚20nmの炭素膜とをこの順で積層した。
次に、この上に、レジストをスピンコート法により塗布し、層厚100nmのレジスト層を形成した。なお、レジストには、紫外線硬化樹脂であるノボラック系樹脂を用いた。そして、磁気記録パターンのポジパターンを有するガラス製のスタンプを用いて、このスタンプを1MPa(約8.8kgf/cm)の圧力でレジスト層に押し付けた状態で、波長250nmの紫外線を、紫外線の透過率が95%以上であるガラス製のスタンプの上部から10秒間照射し、レジスト層を硬化させた。その後、スタンプをレジスト層から分離し、レジスト層に磁気記録パターンに対応した凹凸パターンを転写した。
なお、レジスト層に転写した凹凸パターンは、271kトラック/インチの磁気記録パターンに対応しており、凸部が幅120nmの円周状、凹部が幅60nmの円周状であり、レジスト層の層厚は80nm、レジスト層の凹部の深さは約5nmであった。また、凹部の基板面に対する角度は、ほぼ90度であった。
次に、レジスト層の凹部の箇所、並びにその下のマスク層をドライエッチングで除去した。ドライエッチングの条件は、水素ガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を30秒とした。
次に、記録磁性層のマスク層及びレジスト層で覆われていない箇所をイオンエッチングにより除去した。イオンエッチングの条件は、窒素ガスを10sccm、圧力を0.1Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を30秒とした。このとき、記録磁性層に形成される凹部の深さは約10nmであった。また、記録磁性層の凹部では、底面から深さ約5nmの領域が窒素原子のイオン注入により非磁性化していた。
次に、レジスト層及びマスク層をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、水素ガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を25秒とした。その後、イオンミリング装置により、アルゴンガスを10sccm、圧力を0.5Pa、エッチング時間を5秒として、記録磁性層の表面を約1〜2nmの範囲でエッチングした。
次に、記録磁性層の表面にCVD法にてカーボン保護膜を5nm成膜し、その後、フッ素系潤滑剤を2.0nm塗布して磁気記録媒体を製造した。
以上の方法で製造した磁気記録媒体の電磁変換特性を測定した。電磁変換特性の評価は、スピンスタンドを用いて実施した。このとき、評価用のヘッドには、記録には垂直記録ヘッド、読み込みにはTuMRヘッドを用いた。そして、750kFCIの信号を記録したときのSNRを測定した。その結果、実施例1では、SNRが16.1dBであった。
(実施例2)
実施例2では、マスク層にノボラック樹脂を使用し、レジスト層を設けなかった。すなわち、非磁性基板の記録磁性層上に、ノボラック樹脂をスピンコート法により塗布し、層厚100nmのマスク層を形成した。そして、磁気記録パターンのポジパターンを有するガラス製のスタンプを用いて、このスタンプを1MPa(約8.8kgf/cm)の圧力でマスク層に押し付けた状態で、波長250nmの紫外線を、紫外線の透過率が95%以上であるガラス製のスタンプの上部から10秒間照射し、マスク層を硬化させた。その後、スタンプをマスク層から分離し、マスク層に磁気記録パターンに対応した凹凸パターンを転写した。
次に、マスク層の凹部の箇所をドライエッチングで除去した。ドライエッチングの条件は、水素ガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を15秒とした。
次に、記録磁性層のマスク層で覆われていない箇所をイオンエッチングにより除去した。イオンエッチングの条件は、窒素ガスを10sccm、圧力を0.1Pa、高周波プラズマ電力を150W、DCバイアスを30W、エッチング時間を50秒とした。
次に、マスク層をドライエッチングにより除去した。ドライエッチングの条件は、水素ガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を15秒とした。
それ以外は、実施例1と同様の条件で磁気記録媒体を製造した。その結果、実施例2では、SNRが16.3dBであった。
(比較例1)
比較例1では、レジスト層及びマスク層の除去を、酸素プラズマを用いたドライエッチングにより行った。このドライエッチングの条件は、酸素ガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を20秒とした。
それ以外は、実施例1と同様の条件で磁気記録媒体を製造した。その結果、比較例1では、SNRが15.6dBであった。
(比較例2)
比較例2では、レジスト層及びマスク層の除去を、窒素プラズマを用いたドライエッチングにより行った。このドライエッチングの条件は、窒素ガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を25秒とした。
それ以外は、実施例1と同様の条件で磁気記録媒体を製造した。その結果、比較例2では、SNRが15.7dBであった。
(比較例3)
比較例3では、レジスト層及びマスク層の除去を、ハロゲンプラズマを用いたドライエッチングにより行った。このドライエッチングの条件は、CFガスを40sccm、圧力を0.3Pa、高周波プラズマ電力を300W、DCバイアスを30W、エッチング時間を15秒とした。
それ以外は、実施例1と同様の条件で磁気記録媒体を製造した。その結果、比較例3では、SNRが15.1dBであった。
1…非磁性基板 2…磁性層 2a,2b…磁気記録パターン 3…マスク層 4…レジスト層 5…保護層 6…凹部 7…改質部
30…磁気記録媒体 51…回転駆動部 52…磁気ヘッド 53…ヘッド駆動部 54…記録再生信号処理系

Claims (6)

  1. 磁気的に分離された磁気記録パターンを有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    非磁性基板の少なくとも一方の面上に磁性層を形成する工程と、
    前記磁性層の面上を覆うマスク層を形成する工程と、
    前記マスク層を前記磁気記録パターンに対応した形状にパターニングする工程と、
    前記パターニングされたマスク層を用いて前記磁性層を部分的に改質又は除去することにより磁気的に分離された磁気記録パターンを形成する工程と、
    前記マスク層をドライエッチングにより除去する工程とを含み、
    前記マスク層をドライエッチングにより除去する際に、エッチングガスとして、実質的に酸素、窒素、ハロゲンを含まない還元性のガスを用いることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記マスク層をパターニングする前に、当該マスク層の上に前記磁気記録パターンに対応した形状にパターニングされたレジスト層を形成する工程を含み、
    前記のレジスト層を用いて前記マスク層を前記磁気記録パターンに対応した形状にパターニングし、前記パターニングされたマスク層を用いて前記磁性層を部分的に改質又は除去した後、前記マスク層を前記レジスト層と共に前記還元性のガスを用いたドライエッチングにより除去することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記還元性のガスとして、水素を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記マスク層として、ノボラック樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記レジスト層として、ノボラック樹脂を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法により製造された磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
    前記磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
    前記磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド移動手段と、
    前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドから出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理手段とを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
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