JP2011136588A - 電動パワーステアリング - Google Patents
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Abstract
【課題】ステアリング機構の操舵力を電動モータでアシストするアシスト制御を行うシステムにおいて、路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができるようにする。
【解決手段】車両が走行する路面状態(例えば、舗装路、雪道、草原、岩場等)に応じて運転者が路面モード選択スイッチ17を操作することで、車両が走行する路面状態に対応した路面モード(例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等)を選択する。そして、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係)を変更することで、車両が走行する路面状態に応じた適正なアシスト制御を行う。その際、路面モード選択スイッチ17で路面モードが切り替えられた場合に、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときには、アシスト制御の制御特性の変更を禁止する。
【選択図】図1
【解決手段】車両が走行する路面状態(例えば、舗装路、雪道、草原、岩場等)に応じて運転者が路面モード選択スイッチ17を操作することで、車両が走行する路面状態に対応した路面モード(例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等)を選択する。そして、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係)を変更することで、車両が走行する路面状態に応じた適正なアシスト制御を行う。その際、路面モード選択スイッチ17で路面モードが切り替えられた場合に、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときには、アシスト制御の制御特性の変更を禁止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両に搭載されたステアリング機構の操舵力を電動モータでアシストする電動パワーステアリング制御装置に関する発明である。
近年、自動車等の車両においては、燃費節減等を目的として、電動パワーステアリングを搭載したものが増加しつつある。この電動パワーステアリングは、例えば、運転者によるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサやステアリング機構の操舵力をアシストする電動モータ等を備え、車速センサで検出した車速、操舵トルクセンサで検出した操舵トルク等に基づいてアシストトルクを演算し、このアシストトルクを実現するように電動モータを制御するようにしたものがある。
また、電動パワーステアリングを搭載した車両においては、例えば、特許文献1(特開2008−87529号公報)に記載されているように、車両が受ける線形路面反力トルクと推定路面反力トルクとの比較に基づいて車両のアンダーステア度を演算し、このアンダーステア度が所定の閾値以上になったときに、電動パワーステアリングのアシストトルクを抑制するハンドル切り戻し促進処理等を行ってアンダーステアを抑制するようにしたものがある。
ところで、実際に車両が走行する路面には、舗装路、雪道、草原、岩場等の種々の路面状態が存在するが、従来の電動パワーステアリングは、ステアリング機構の操舵力を電動モータでアシストするアシスト制御を行う際に、その制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係)が路面状態に拘らず一定であるため、路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができず、車両の操作性や安全性を十分に向上させることができないという問題がある。
また、上記特許文献1の技術は、アンダーステア度が所定の閾値以上になったときにアシストトルクを抑制するハンドル切り戻し促進処理等を行うことでアンダーステアを抑制するものであり、路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができないという事情は変わらない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができ、車両の操作性や安全性を向上させることができる電動パワーステアリング制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載されたステアリング機構の操舵力を電動モータでアシストするアシスト制御を行う電動パワーステアリング制御装置において、運転者の操作によって路面モードを選択する路面モード選択手段と、この路面モード選択手段で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性を変更するアシスト制御特性変更手段とを備えた構成としたものである。
この構成では、車両が走行する路面状態(例えば、舗装路、雪道、草原、岩場等)に応じて運転者が路面モード選択手段を操作することで、車両が走行する路面状態に対応した路面モード(例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等)を選択することができる。そして、路面モード選択手段で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係)を変更することで、車両が走行する路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができ、車両の操作性や安全性を向上させることができる。
ところで、路面モード選択手段で路面モードが切り替えられた場合でも、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないとき(つまりステアリングホイールの操作中)に、アシスト制御の制御特性を変更すると、ステアリングホイールの操作中にアシストトルクが変化して、運転者に違和感を与えたり、安全性を損なう可能性がある。
この対策として、請求項2のように、路面モード選択手段で路面モードが切り替えられた場合に、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときにはアシスト制御の制御特性の変更を禁止し、ステアリング機構の操舵角が中立位置のときにアシスト制御の制御特性の変更を許可するようにすると良い。このようにすれば、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないとき(つまりステアリングホイールの操作中)に、アシスト制御の制御特性を変更することを未然に防止することができ、運転者に違和感を与えないようにできる共に、安全性を確保することができる。
この場合、請求項3のように、ステアリング機構の操舵角が中立位置の状態が所定時間以上継続したときにアシスト制御の制御特性の変更を許可するようにしても良い。このようにすれば、ステアリング機構の操舵角を右方向から左方向又は左方向から右方向に切り返す途中で操舵角が中立位置を単に通過しただけのときに、アシスト制御の制御特性を変更してしまうことを防止することができ、安全性を確実に確保することができる。
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいて電動パワーステアリング制御システムの概略構成を説明する。
車両に搭載された電動パワーステアリングには、運転者によるステアリング機構(図示せず)の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ11と、ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角センサ12と、ステアリング機構の操舵力をアシストする電動モータ13と、この電動モータ13の角速度を検出するモータ角速度センサ14と、電動モータ13に流れる電流を検出するモータ電流センサ15等が設けられている。また、車両には、車速を検出する車速センサ16と、運転者の操作によって路面モードを選択する路面モード選択スイッチ17(路面モード選択手段)等が設けられている。この路面モード選択スイッチ17によって、例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等の中から1つの路面モードを選択できるようになっている。
まず、図1に基づいて電動パワーステアリング制御システムの概略構成を説明する。
車両に搭載された電動パワーステアリングには、運転者によるステアリング機構(図示せず)の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ11と、ステアリング機構の操舵角を検出する操舵角センサ12と、ステアリング機構の操舵力をアシストする電動モータ13と、この電動モータ13の角速度を検出するモータ角速度センサ14と、電動モータ13に流れる電流を検出するモータ電流センサ15等が設けられている。また、車両には、車速を検出する車速センサ16と、運転者の操作によって路面モードを選択する路面モード選択スイッチ17(路面モード選択手段)等が設けられている。この路面モード選択スイッチ17によって、例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等の中から1つの路面モードを選択できるようになっている。
これら各種のセンサやスイッチの出力は、電動パワステECU18に入力される。この電動パワステECU18は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種の電動パワステ制御用のルーチンを実行することで、電動パワーステアリングを制御する。尚、電動パワーステECU18は、他の制御回路(例えばエンジンECU等)に組み込まれた構成としても良い。
電動パワーステECU18は、後述する図2のアシスト制御ルーチンを実行することで、ステアリング機構の操舵力を電動モータ13でアシストするアシスト制御を次のようにして行う。
まず、モータ角加速度演算部19で、モータ角速度センサ14の出力信号(電動モータ13の角速度)に基づいて電動モータ13の角加速度を演算し、アシストトルク演算部20で、車速センサ16の出力信号(車速)、操舵トルクセンサ11の出力信号(操舵トルク)、モータ角速度センサ14の出力信号(電動モータ13の角速度)、モータ角加速度演算部19の出力信号(電動モータ13の角加速度)等に基づいてアシストトルクをマップ又は数式等により演算する。尚、アシストトルクを演算する方法は、これに限定されず、適宜変更しても良い。
この後、モータ電流演算部21で、アシストトルクに応じた目標モータ電流をマップ又は数式等により演算し、モータ電流比較部22で、目標モータ電流と実モータ電流(モータ電流センサ15の出力信号)との偏差を演算した後、モータ駆動部23で、目標モータ電流と実モータ電流との偏差を小さくするように電動モータ13に流れる電流をフィードバック制御することで、アシストトルクを実現するように電動モータ13を制御する。尚、アシストトルクを実現するように電動モータ13を制御する方法は、これに限定されず、適宜変更しても良い。
ところで、実際に車両が走行する路面には、舗装路、雪道、草原、岩場等の種々の路面状態が存在するが、ステアリング機構の操舵力を電動モータ13でアシストするアシスト制御を行う際に、その制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係)を路面状態に拘らず一定にすると、路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができず、車両の操作性や安全性を十分に向上させることができない。
そこで、本実施例では、電動パワーステECU18により後述する図3及び図4のアシスト制御特性変更用の各ルーチンを実行することで、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モード(例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等)に応じてアシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係等)を変更する。
具体的には、(1)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが舗装路モードの場合には、アシスト制御の制御特性を舗装路用の制御特性(舗装路に適した制御特性)に設定する。
(2)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが雪道モードの場合には、アシスト制御の制御特性を雪道用の制御特性(雪道に適した制御特性)に設定する。
(3)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが草原モードの場合には、アシスト制御の制御特性を草原用の制御特性(草原に適した制御特性)に設定する。
(4)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが岩場モードの場合には、アシスト制御の制御特性を岩場用の制御特性(岩場に適した制御特性)に設定する。
(2)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが雪道モードの場合には、アシスト制御の制御特性を雪道用の制御特性(雪道に適した制御特性)に設定する。
(3)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが草原モードの場合には、アシスト制御の制御特性を草原用の制御特性(草原に適した制御特性)に設定する。
(4)路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが岩場モードの場合には、アシスト制御の制御特性を岩場用の制御特性(岩場に適した制御特性)に設定する。
以下、電動パワーステECU18が実行する図2乃至図4の各ルーチンの処理内容を説明する。
[アシスト制御ルーチン]
図2に示すアシスト制御ルーチンは、電動パワーステECU18の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、各種のセンサ(操舵トルクセンサ11、モータ角速度センサ14、モータ電流センサ15、車速センサ16等)の出力信号を読み込む。
図2に示すアシスト制御ルーチンは、電動パワーステECU18の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、各種のセンサ(操舵トルクセンサ11、モータ角速度センサ14、モータ電流センサ15、車速センサ16等)の出力信号を読み込む。
この後、ステップ102に進み、車速センサ16で検出した車速、操舵トルクセンサ11で検出した操舵トルク、モータ角速度センサ14で検出した電動モータ13の角速度、該角速度から求めた電動モータ13の角加速度等に基づいてアシストトルクを演算する。この際、後述する図3のルーチンで路面モードに応じて設定されたアシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を規定したマップ又は数式等)を用いてアシストトルクを演算する。
この後、ステップ103に進み、アシストトルクに応じた目標モータ電流をマップ又は数式等により演算した後、ステップ104に進み、目標モータ電流と実モータ電流(モータ電流センサ15の出力信号)との偏差を小さくするように電動モータ13に流れる電流をフィードバック制御する。これにより、ステアリング機構の操舵力を電動モータ13でアシストするアシスト制御を行う。
[アシスト制御特性変更ルーチン]
図3に示すアシスト制御特性変更ルーチンは、電動パワーステECU18の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうアシスト制御特性変更手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、路面モード選択スイッチ17の出力信号(路面モード選択スイッチ17で選択された路面モード)を読み込んだ後、ステップ202に進み、後述する図4の変更許可判定ルーチンを実行して、変更許可フラグを変更許可を意味する「1」にセットするか又は「0」にリセットする。
図3に示すアシスト制御特性変更ルーチンは、電動パワーステECU18の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいうアシスト制御特性変更手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、路面モード選択スイッチ17の出力信号(路面モード選択スイッチ17で選択された路面モード)を読み込んだ後、ステップ202に進み、後述する図4の変更許可判定ルーチンを実行して、変更許可フラグを変更許可を意味する「1」にセットするか又は「0」にリセットする。
この後、ステップ203に進み、変更許可フラグが「1」にセットされているか否かを判定する。このステップ203で、変更許可フラグが「0」であると判定された場合には、アシスト制御の制御特性の変更が禁止されていると判断して、ステップ204以降の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ203で、変更許可フラグが「1」であると判定された場合には、アシスト制御の制御特性の変更が許可されていると判断して、ステップ204以降の処理を次のようにして行う。
まず、ステップ204で、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが舗装路モードであるか否かを判定する。
このステップ204で、路面モードが舗装路モードであると判定されれば、ステップ208に進み、アシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を規定したマップ又は数式等)を舗装路用の制御特性に設定する。この舗装路用の制御特性は、例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係が舗装路に適した特性になるように設定されている。
このステップ204で、路面モードが舗装路モードであると判定されれば、ステップ208に進み、アシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を規定したマップ又は数式等)を舗装路用の制御特性に設定する。この舗装路用の制御特性は、例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係が舗装路に適した特性になるように設定されている。
一方、上記ステップ204で、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが舗装路モードではないと判定された場合には、ステップ205に進み、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが雪道モードであるか否かを判定する。
このステップ205で、路面モードが雪道モードであると判定されれば、ステップ209に進み、アシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を規定したマップ又は数式等)を雪道用の制御特性に設定する。この雪道用の制御特性は、例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係が雪道に適した特性(例えば、舗装路の制御特性よりも相対的にアシストトルクが小さくなる特性)になるように設定されている。
一方、上記ステップ205で、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが雪道モードではないと判定された場合には、ステップ206に進み、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが草原モードであるか否かを判定する。
このステップ206で、路面モードが草原モードであると判定されれば、ステップ210に進み、アシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を規定したマップ又は数式等)を草原用の制御特性に設定する。この草原用の制御特性は、例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係が草原に適した特性(例えば、舗装路の制御特性よりも相対的にアシストトルクが小さく且つ雪道の制御特性よりも相対的にアシストトルクが大きくなる特性)になるように設定されている。
一方、上記ステップ206で、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが草原モードではないと判定された場合には、ステップ207に進み、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードが岩場モードであるか否かを判定する。
このステップ207で、路面モードが岩場モードであると判定されれば、ステップ211に進み、アシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を規定したマップ又は数式等)を岩場用の制御特性に設定する。この岩場用の制御特性は、例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係が岩場に適した特性(例えば、舗装路の制御特性よりも相対的にアシストトルクが大きくなる特性)になるように設定されている。
尚、アシスト制御の各制御特性(舗装路用の制御特性、雪道用の制御特性、草原用の制御特性、岩場用の制御特性)は、予め試験データや設計データ等に基づいて作成され、電動パワーステECU18のメモリに記憶されている。
[変更許可判定ルーチン]
図4に示す変更許可判定ルーチンは、前記図2のアシスト制御特性変更ルーチンのステップ202で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、アシスト制御の制御特性が路面モードに対応した制御特性に設定されているか否かを判定する。
図4に示す変更許可判定ルーチンは、前記図2のアシスト制御特性変更ルーチンのステップ202で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、アシスト制御の制御特性が路面モードに対応した制御特性に設定されているか否かを判定する。
このステップ301で、アシスト制御の制御特性が路面モードに対応した制御特性に設定されていないと判定された場合には、路面モード選択スイッチ17で路面モードが切り替えられたが、まだアシスト制御の制御特性が路面モードに対応した制御特性に変更されていないと判断して、ステップ302に進み、操舵角センサ12で検出したステアリング機構の操舵角(例えばステアリングホイールの操舵角)を読み込む。
この後、ステップ303に進み、ステアリング機構の操舵角が中立位置(ニュートラル位置)であるか否かを判定する。ここで、中立位置は、例えば、操舵角が0°(直進状態)となる位置、又は操舵角がほぼ0となる位置(操舵角が0°を含む0°近傍の所定範囲内となる位置)である。
このステップ303で、ステアリング機構の操舵角が中立位置ではないと判定された場合には、ステアリングホイールの操作中であると判断して、ステップ305に進み、変更許可フラグを「0」にセットして、アシスト制御の制御特性の変更を禁止する。
一方、上記ステップ303で、ステアリング機構の操舵角が中立位置であると判定された場合には、ステップ304に進み、ステアリング機構の操舵角が中立位置の状態が所定時間以上継続したか否かを判定する。
このステップ304で、ステアリング機構の操舵角が中立位置の状態が所定時間以上継続していないと判定された場合には、ステアリングホイールの操作中(ステアリング機構の操舵角を右方向から左方向又は左方向から右方向に切り返す途中で操舵角が中立位置を単に通過しただけ)であると判断して、ステップ305に進み、変更許可フラグを「0」にセットして、アシスト制御の制御特性の変更を禁止する。
一方、上記ステップ304で、ステアリング機構の操舵角が中立位置の状態が所定時間以上継続したと判定された場合には、ステアリング機構の操舵角が中立位置に維持されていると判断して、ステップ306に進み、変更許可フラグを「1」にセットして、アシスト制御の制御特性の変更を許可する。
その後、上記ステップ301で、アシスト制御の制御特性が路面モードに対応した制御特性に設定されていると判定された場合には、アシスト制御の制御特性を変更する必要がないと判断して、ステップ305に進み、変更許可フラグを「0」にセットする。
以上説明した本実施例では、車両が走行する路面状態(例えば、舗装路、雪道、草原、岩場等)に応じて運転者が路面モード選択スイッチ17を操作することで、車両が走行する路面状態に対応した路面モード(例えば、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モード等)を選択することができる。そして、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性(例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係)を変更するようにしたので、車両が走行する路面状態に応じた適正なアシスト制御を行うことができ、車両の操作性や安全性を向上させることができる。
ところで、路面モード選択スイッチ17で路面モードが切り替えられた場合でも、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないとき(つまりステアリングホイールの操作中)に、アシスト制御の制御特性を変更すると、ステアリングホイールの操作中にアシストトルクが変化して、運転者に違和感を与えたり、安全性を損なう可能性がある。
この対策として、本実施例では、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときにはアシスト制御の制御特性の変更を禁止し、ステアリング機構の操舵角が中立位置のときにアシスト制御の制御特性の変更を許可するようにしたので、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないとき(つまりステアリングホイールの操作中)に、アシスト制御の制御特性を変更することを未然に防止することができ、運転者に違和感を与えないようにできる共に、安全性を確保することができる。
更に、本実施例では、ステアリング機構の操舵角が中立位置の状態が所定時間以上継続したときにアシスト制御の制御特性の変更を許可するようにしたので、ステアリング機構の操舵角を右方向から左方向又は左方向から右方向に切り返す途中で操舵角が中立位置を単に通過しただけのときに、アシスト制御の制御特性を変更してしまうことを防止することができ、安全性を確実に確保することができる。
尚、上記実施例では、路面モード選択スイッチ17で選択可能な路面モードとして、舗装路モード、雪道モード、草原モード、岩場モードを例示したが、これに限定されず、選択可能な路面モードとして、例えば、ウエット路モード、凍結路モード、砂地モード、砂利地モード等の他の路面モードを追加しても良い等、選択可能な路面モードの種類や数を適宜変更しても良い。
また、上記実施例では、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性を変更する際に、アシスト制御の制御特性として、例えば、車速と操舵トルクとアシストトルクとの関係を変更するようにしたが、これに限定されず、アシスト制御の制御特性を変更する方法は、適宜変更しても良い。
また、上記実施例では、車速に基づいてアシストトルクを演算する(車速に応じてアシストトルクを変化させる)車速感応型の電動パワーステアリングに本発明を適用したが、これに限定されず、エンジン回転速度に基づいてアシストトルクを演算する(エンジン回転速度に応じてアシストトルクを変化させる)回転速度感応型の電動パワーステアリングに本発明を適用しても良く、この場合、路面モード選択スイッチ17で選択された路面モードに応じてアシスト制御の制御特性を変更する際に、アシスト制御の制御特性として、例えば、エンジン回転速度と操舵トルクとアシストトルクとの関係を変更するようにすると良い。
また、上記実施例では、路面モード選択スイッチ17で路面モードが切り替えられた場合に、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときには、アシスト制御の制御特性の変更を禁止するようにしたが、これに限定されず、ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときには、アシスト制御の制御特性を、切り替え前の路面モードに対応した制御特性から切り替え後の路面モードに対応した制御特性に徐々に変更して、アシストトルクの急変を防止するようにしても良い。
また、上記実施例では、操舵角センサ12で検出した操舵角に基づいて中立位置を判定するようにしたが、これに限定されず、例えば、中立位置を検出するセンサを設け、そのセンサの出力信号に基づいて中立位置を判定するようにしても良い。或は、モータ角速度センサ14の出力信号等に基づいて操舵角を推定し、その推定値に基づいて中立位置を判定するようにしても良い。
また、本発明は、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする車両に適用しても良いし、或は、モータのみを動力源とする電気自動車やエンジンとモータの両方を動力源とするハイブリッド車に適用しても良い。
11…操舵トルクセンサ、12…操舵角センサ、13…電動モータ、14…モータ角速度センサ、15…モータ電流センサ、16…車速センサ、17…路面モード選択スイッチ(路面モード選択手段)、18…電動パワステECU(アシスト制御特性変更手段)
Claims (3)
- 車両に搭載されたステアリング機構の操舵力を電動モータでアシストするアシスト制御を行う電動パワーステアリング制御装置において、
運転者の操作によって路面モードを選択する路面モード選択手段と、
前記路面モード選択手段で選択された路面モードに応じて前記アシスト制御の制御特性を変更するアシスト制御特性変更手段と
を備えていることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。 - 前記アシスト制御特性変更手段は、前記路面モード選択手段で路面モードが切り替えられた場合に、前記ステアリング機構の操舵角が中立位置でないときには前記アシスト制御の制御特性の変更を禁止し、前記ステアリング機構の操舵角が中立位置のときに前記アシスト制御の制御特性の変更を許可する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記アシスト制御特性変更手段は、前記ステアリング機構の操舵角が中立位置の状態が所定時間以上継続したときに前記アシスト制御の制御特性の変更を許可する手段を有することを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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