JP2011135800A - クリップ供給部付き接木苗処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】接木処理において台木と穂木とを接合固定するクリップを一定姿勢で接合固定部に供給するとともに、クリップの前後が逆向きに供給されることによる接木接合処理のトラブルを未然に防止することができるクリップ供給部付き接木苗処理装置を提供する。
【解決手段】クリップ供給部付き接木苗処理装置は、接木処理における台木と穂木とを接合固定するための挟持部(F)と、この挟持部(F)の後方で左右に張り出して同挟持部(F)を開放動作させる取手部(R)とからなるクリップ(C)を振動によりその挟持部(F)を先頭にして順次案内する案内路(9)を形成したクリップ供給部を備えて構成され、上記案内路(9)の底面には、クリップ(C)がその左右の取手部(R)を先頭とする前後逆向き姿勢で嵌入する形状の凹部による嵌合溝(E)を形成したものである。
【選択図】図27

Description

本発明は、台木と穂木とをクリップで接合固定するクリップを接木接合部に供給するクリップ供給部を備えることにより、全自動で接木苗処理を行うクリップ供給部付き接木苗処理装置に関するものである。
接木苗処理装置は、特許文献1の例の如く、台木と穂木とを接合固定するクリップを供給するクリップ供給部を備え、このクリップ供給部には、クリップの挟持部を先頭にしてその後方に左右の取手部を張り出した姿勢で同クリップを振動により順次案内する案内路を備える。この案内路を介してクリップを接合固定部まで案内送出することにより、台木と穂木とが接合固定される。
特開2006−280326号公報
しかしながら、クリップの前後が逆向きの姿勢で案内路に進入した場合は、そのまま案内移送されることから、接合固定部の手前で引っ掛かり、その結果、後続のクリップが案内路に詰まるとともに、台木と穂木とが未固定のまま送り出されるというトラブルを招くおそれがあった。
本発明の目的は、台木と穂木とを接合固定するクリップを一定姿勢で接合固定部に供給するとともに、クリップの前後が逆向きに供給されることによる接木接合処理のトラブルを未然に防止することができるクリップ供給部付き接木苗処理装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、接木処理における台木と穂木とを接合固定するための挟持部と、この挟持部の後方に張り出して同挟持部を開放動作させる左右の取手部とからなるクリップを振動によりその挟持部を先頭にして順次案内する案内路を形成したクリップ供給部を備えるクリップ供給部付き接木苗処理装置において、上記案内路の底面には、クリップがその左右の取手部を先頭とする前後逆向き姿勢で嵌入する形状の凹部による嵌合溝を形成してなることを特徴とする。
上記挟持部を先頭とするクリップがクリップ供給部の案内路に進入すると、その底面に沿ってその下面側を支持されつつ嵌合溝を通過案内され、一方、クリップが前後逆向き姿勢で案内路に進入すると前後逆向き姿勢の形状の嵌合溝の位置で底面の支持を失って同嵌合溝に嵌入する。
本発明は、以下の効果を奏する。
請求項1の構成により、案内路において前後逆向き姿勢のクリップのみが嵌合溝に嵌入して接合固定部への供給が停止されることから、異常供給されたクリップによる接木処理のトラブルを未然に防止することができる。
接木苗製造装置の要部を示す側面図 接木苗製造装置の要部を示す平面図 接木苗製造装置の要部拡大による側面図 接木苗製造装置の要部拡大による平面図 図4におけるA矢視図 把持ハンドの拡大側面図 上段と中段の把持状態のハンド機構平面図(a)(b) カッタ機構の作動状態平面図(a)とそのB―B線断面図(b) 持上げフォークの動作平面図 持上げフォークの動作側面図 持上げフォークの起立動作の正面図 穂木苗の取込動作の動作手順図 把持ハンドの準備状態(a)と把持状態(b)の動作平面図 別例の持上げフォークの平面図 サイドロッドを取付けたハンド機構の平面図 移送行程における方向修正動作の平面図 整列保持手段の要部平面図 整列保持手段の要部側面図(a)とそのB―B線断面図(b) 整列保持手段の受渡し動作の前後を示す側面図(a)(b) 穂木苗の受渡し動作の動作手順図 第一の整列動作の前後の平面図(a)(b) 第二の整列動作の前後の平面図(a)(b) 接ぎ木ロボットの要部平面図(保護カバーを外した図) クリップガイドレールの拡大平面図 クリップガイドレールの要部拡大平面透視図(a)と横断面図(b) 上流側の要部拡大平面透視図(a)と横断面図(b) 光電センサの取付け部の部分破断平面図(a)と拡大側面図(b) 光電センサ取付け部の別構成例の部分破断平面図 クリップボウル7の要部平面図(a)およびそのA矢視図(b) クリップ供給部の制御処理手順のフローチャート 接木苗処理装置の全体構成の平面図(a)および側面図(b) 右側苗搬入部(穂木側)の平面図(a)および側面図(b) 図32(b)内のD矢視図 ロボットのカバーを外した状態の要部拡大平面図 図34内のE矢視による平面図(a)および正面図(b)
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
まず、発明の適用対象となる接木苗処理装置である接木苗製造装置の全体構成について説明する。
図1及び図2は、接木苗製造装置1の要部を示す側面図と平面図である。
接木苗製造装置1は、台木と穂木を接ぎ木する接木ロボット本体1aを中心にその左側(図の上側)に不図示の台木取込部(取込部)、同右側(図の下側)に穂木取込部(取込部)2が配置され、接木ロボット本体1aには、その前面の左右に台木取込部または穂木取込部2から台木、穂木としての苗をそれぞれ受ける台木前処理部(前処理部)3、穂木前処理部(前処理部)4、中央には、台木前処理部3または穂木前処理部4から受けた台木と穂木を接着する接着処理部7、この接着された接木苗を下方から送出する接木苗送出部8を配置して左右を略対称に構成し、穂木取込部2の手前側には操作パネル1pを設けたものである。
穂木取込側については、接木苗製造装置1の要部拡大による側面図と平面図をそれぞれ図3及び図4に示すように、また、図4におけるD矢視図を図5に示すように、穂木取込部2は、接木ロボット本体1aの側方で苗ポットに育成した多数の穂木苗(苗)Wを格子配列したセルトレイを順次搬入移送する搬入機構11と、この搬入機構11上の穂木苗Wに対して進退機構12bにより進退動作可能に穂木苗Wを穂木として個々の把持しつつ胚軸をカットして把持動作する把持ハンド12と、この把持ハンド12を左右方向に横移動可能に支持する移送機構13と、その移送行程上に配した方向修正部材14等から構成する。また、穂木取込部2と穂木前処理部4との間の穂木受渡し位置(受渡し位置)Rには、穂木取込部2から移送された穂木苗Wを一時的に保持する受渡保持機構15を設ける。
詳細には、上記搬入機構11は、接木ロボット本体1aの側方に沿って移送動作するベルトコンベヤ等により構成し、セルトレイの配列ピッチで順次移送動作することにより、穂木苗Wを所定位置に搬入する。移送機構13は、接木苗製造装置1の片側位置で搬入機構11を横断して受渡保持機構15までの範囲で把持ハンド12を左右に位置制御可能に構成し、その移送行程に干渉するように、棒状部材または回動抵抗を抑えた縦軸ローラによる方向修正部材14を下垂状に配置する。また、受渡保持機構15には、把持ハンド12から受けた穂木苗Wを保持した際にその子葉展開方向を規制する整列部材16を設ける。これら受渡保持機構15と整列部材16とにより整列保持手段を形成する。
次に、穂木取込部2の把持ハンド12について詳細に説明する。
把持ハンド12は、拡大側面図を図6に示すように、穂木苗Wの胚軸Aの上段部と中段部を把持する上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびその下方に開閉動作により穂木苗Wの胚軸Aの下段部を切断するカッタ機構23を三段重ねに進退機構12bにより一体に進退動作可能に配置し、その側方に独立して上下動作可能に持上げフォーク24を備えて構成する。また、把持した胚軸Aの近傍で子葉Lと干渉しうる位置に回り止め用の棒状のストッパ25をカッタ機構23から立設する。
上段のハンド機構21は、把持状態の平面図を示す図7(a)のように、左右の開閉アーム21a,21aの先端の把持位置に穂木苗の胚軸Aの径寸法より大きく左右方向の切欠Bを形成して穂木苗の胚軸Aを遊嵌保持可能に構成し、その隙間限度設定用の調節ボルト21bを設ける。中段のハンド機構22は、左右の開閉アーム22a,22aにより胚軸Aを回動不能に拘束把持する。この中段のハンド機構22は、必要により、その把持状態の平面図を示す図7(b)のように、左右の開閉アーム22a,22aのその先端の把持位置に穂木苗の胚軸Aの径寸法より大きく前後方向の切欠Cを形成して穂木苗の胚軸Aを遊嵌保持可能に構成する。これら両ハンド機構21,22により、穂木苗の把持位置精度を確保しつつ、穂木苗がその胚軸線で回動可能に把持する。また、穂木苗の胚軸Aの倒れを修正するためのガイドプレート21p、22pを両ハンド機構21,22の開閉アームの一方側から他方側に延出して形成する。
カッタ機構23は、その作動状態平面図(a)とそのB―B線断面図(b)を図8に示すように、左右の開閉アーム23a,23aの先端部に穂木苗の胚軸Aを切断する刃23bを形成し、かつ、切断後の胚軸Aの移動を拘束するように外周縁を高く形成する。
上記の両ハンド機構21,22とカッタ機構23は、穂木苗を穂木としてその根側を切断しつつその胚軸を回動可能に緩く把持する遊嵌把持機構を形成する。
持上げフォーク24は、図9の平面図および図10の側面図に示すように、穂木苗Wの根元位置まで前下がりに傾斜するとともに、同穂木苗Wの側方から背後に達するように先端部24tを屈曲したロッドにより形成する。先端部24tとその基部に屈曲して延びる側部24sの交差角度Bは90〜180度の範囲で決定することにより、図11の起立動作の正面図に示すように、持上げフォーク24の上行動作により倒れた胚軸Aを起立することができる。持上げフォーク24の支持部24bは、穂木苗に対する位置関係に合わせて前後位置と高さ位置を調節可能に構成する。
上記構成の把持ハンド12による穂木苗の取込動作は、図12の動作手順図に従って行う。
まず、図13(a)の準備状態の動作平面図に示すように、後退位置で上段のハンド機構21と中段のハンド機構22およびカッタ機構23を開状態に準備(S1)した上で、接木苗製造装置1の外側方向への移送機構13の横移動により、搬入機構11上の穂木苗Wの側方から持上げフォーク24の先端部24tを穂木苗Wの背面位置に挿し入れ、その上行動作(S2)により穂木苗Wの倒れを修正する。
この場合において、別例の持上げフォークによる平面図を図14に示すように、持上げフォーク24の先端部24tと側部24sとの交差角度Bが90〜180度の範囲であれば、上記同様に穂木苗Wの倒れを修正することができる。
次いで、図13(b)の把持状態の動作平面図に示すように、ハンド機構21,22およびカッタ機構23を前進(S3)した上で両ハンド機構21,22を閉じる(S4)ことによりガイドプレート21p、22pが穂木苗Wの倒れを修正しつつ上段のハンド機構21の先端の切欠Bに穂木苗Wの胚軸Aが遊嵌保持されるとともに中段のハンド機構22により把持拘束され、その後にカッタ機構23を閉じる(S5)ことにより、胚軸Aの下段部が切断されて穂木苗Wは回動可能に同カッタ機構23により下端が支持される。ここで、ハンド機構21,22およびカッタ機構23を後退(S6)するとともに持上げフォーク24を下行(S7)した上で接木苗製造装置1の中心方向に横移動(S8)することにより、搬入機構11から穂木苗を個別に取込むことができる。
この場合において、ハンド機構21には、必要により、図15の平面図に示すように、サイドロッド21sを取付け、このサイドロッド21sは、ハンド機構21の内側の開閉アーム21aから屈曲して外側方まで張り出して形成し、開閉アーム21a,21aが開いたときの位置が隣接の穂木苗との間の位置に設定する。このように構成したハンド機構21は、穂木苗Wを把持する際に両開閉アーム21a,21aが閉じるとともにサイドロッド21sがその外側方向に押し出すように動作する。したがって、隣接の穂木苗の絡みを防止して目的の穂木苗Wを確実に把持することができる。
また、移送機構13による移送行程においては、図16の方向修正動作の平面図に示すように、穂木苗を把持した把持ハンド12が把持位置Bから受渡し位置Cまで横移動する際に中段のハンド機構22の把持を緩めた上で、その移送行程に干渉するように配置した方向修正部材14の近傍を通過することにより、穂木苗Wの子葉展開方向が移送方向に対して大きく傾斜していると子葉が方向修正部材14と干渉することにより子葉展開方向が略移送方向に揃うように穂木苗が回動される。このとき、穂木苗が過大に回動されても、ストッパ25によってその回動範囲が規制される。その後、中段のハンド機構22を強く把持することにより、穂木苗を安定して移送することができる。
次に、受渡し位置Rに構成される受渡保持機構と整列部材とによる整列保持手段について説明する。
受渡保持機構15は把持ハンド12の進出位置で穂木苗を受けるべく、進出動作する把持ハンド12に対向して配置される。その構成は、要部平面図を図17に、要部側面図(a)とそのB―B線断面図(b)を図18に示すように、受けた穂木苗の胚軸Aの上段部を把持するハンド機構31と、その下方で胚軸Aの中段部を把持するハンド機構32と、両ハンド機構31、32の中間高さ位置で胚軸Aの過大な進入を規制するストッパ33と、これらを一体に高さ位置を調節する昇降機構34とを受渡し位置Rに備える。この受渡保持機構15の上方で穂木苗の子葉を受ける位置に整列部材16を配置する。整列部材16は、双葉状の子葉展開方向を規制する平板状の部材であり、その中心位置に上下に延びる突条によるガイド部35を形成する。このガイド部35は受けた穂木苗の子葉を左右に振り分けるために、断面形状が山形でその表面を平滑に低摩擦に形成する。
上記構成の整列保持手段における受渡し動作は、その前後の側面図(a)(b)を図19に示すように、把持ハンド12の進出動作によって受渡保持機構15に穂木苗Wを渡す際に、穂木苗Wの子葉L,Lが整列部材16に押し付けられるとともに、ガイド部35により子葉L,Lが左右に振り分けられて子葉展開軸線が整列部材16に沿うように整列される。
上記受渡し動作を図20の動作手順図に従って詳細に説明すると、搬入機構11から穂木苗を取込み、その胚軸を把持した把持ハンド12を受渡保持機構15の正面に位置を合わせた後、まず、図21(a)(b)の第一の整列動作の前後の平面図に示すように、カッタ機構23を含めて把持ハンド12を閉じた状態、すなわち、胚軸Aの下端をカッタ機構23上に受けつつ中段のハンド機構22の把持を緩めた状態で進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで複数回(例えば2回)往復する(S11)ことにより整列部材16を介して子葉展開方向が整列される。
次いで、図22(a)(b)の第二の整列動作の前後の平面図に示すように、カッタ機構23を開く(S12)ことにより把持ハンド12のハンド機構21に子葉L,Lを受けて穂木苗Wの高さ位置を合わせる。この状態で進退機構12bの進退動作により受渡保持機構15の位置まで複数回(例えば2回)往復する(S13)ことにより、整列部材16を介して子葉展開方向が整列される。この時、把持ハンド12のストッパ25がカッタ機構23と一体に動作し、カッタ機構23の開動作と同期して側方に移動することから、両子葉L,Lが胚軸Aの片側に近接した奇形穂木苗が整列部材16とストッパ25との間に挟まる事態を回避することができる。
この整列動作の後、把持ハンド12を受渡保持機構15まで進出(S14)した上でカッタ機構23を閉じる(S15)ことにより、胚軸Aが所定位置で切断されて長さが揃えられる。この時、胚軸Aの曲がりがあっても、両ハンド機構31、32の中間高さ位置のストッパ33が胚軸Aの過大な進入を規制することから、胚軸Aを確実に切断することができる。
胚軸Aの切断の後にカッタ機構23を開くとともに穂木苗Wを受けた受渡保持機構15の両ハンド機構31、32を閉じ(S16)、次いで、把持ハンド12の上下のハンド機構21,22を開くとともに受側の受渡保持機構15を下降して所定の保持高さに合わせ(S17)、その後、把持ハンド12を後退(S18)する。
次に、上記接木苗処理装置における発明の詳細を示すべく新たに構成した実施の形態について、それぞれの構成部材に新たに付した参照符号により説明する。
接木苗処理装置は、その全体構成の平面図(a)および側面図(b)を図31に示すように、中央に配置されて台木苗と穂木苗の接合を自動的に行う接ぎ木ロボットによる本体部1と、その左外側で台木苗を搬入するコンベヤによる台木苗搬入部2と、同じくその右外側で穂木苗を搬入するコンベヤによる穂木苗搬入部3と、本体部1の正面から延びて接合処理済の接木を排出する接木送出部4とから構成される。
(本体部)
本実施の形態の本体部1は、その要部平面図(保護カバーを外した図)を図23に示すように、機体の前部中央に台木と穂木とを接着固定する接合部6を配置し、左半側を台木苗供給部、右半側を穂木苗供給部、奥側をクリップ供給部とし、手前側に接木苗搬出部4を接続して構成する。
左右の苗供給部は、それぞれ、接合部6の左右の側方に台木苗又は穂木苗を待機するための左右の苗受部17,21と、それぞれから苗を接合部6に位置決め搬送する回動ハンドによる左右の搬送部18,22と、その搬送途中で苗を切断する左右の切断部19,23とから構成される。また、奥側のクリップ供給部は、台木と穂木を接続固定するクリップを振動移送する案内路であるクリップガイドレール9およびその後方でクリップを振動により整列送出するクリップボウル7とから構成される。
上記構成の接ぎ木ロボット1により、左右の苗受部17,21に人手により供給された台木苗または穂木苗は、それぞれ左右の搬送部18,22の旋回アームに把持されて接合部6に位置決め搬送され、その途中で切断部19,23により切断された切断面が接合部6で合わされるとクリップガイドレール9からクリップが供給されて接続固定される。
次に、本発明のクリップガイドレール9について説明する。
クリップガイドレール9は、その拡大平面図を図24に示すように、螺旋状の上昇路を持つ振動型のパーツフィーダであるクリップボウル7の側縁部から前方の接合部6までの間に架設するように構成し、クリップボウル7の選別供給により、挟持部Fを先頭にしてその後方に左右の取手部R,Rを張り出した姿勢でクリップCを受け、その姿勢のままクリップCを接合部6まで微細振動により案内移送する。クリップボウル7からクリップCを受ける位置には、引っ掛かった不良クリップCを取出すための開閉可能なスライドカバー33,33を設け、その下流部にはクリップCの詰まりを検出する光電センサ34を配置する。
クリップガイドレール9は、詳細に説明すると、その要部拡大平面透視図(a)と横断面図(b)を図25に示すように、クリップCの挟持部Fを中央位置でガイドする中央案内部31と、この中央案内部31の両側部に取付けられて同クリップCの左右の取手部R,Rをそれぞれの外側面と上面についてガイドする左右の取手案内部32,32とから構成する。中央案内部31は、クリップCの挟持部Fの幅寸法の溝31gを中央に形成して同挟持部Fを案内する。また、左右の取手案内部32,32は、内部観察可能に中央に隙間を空けてその基部32b、32bを中央案内部31の両側部に取付け、その内側に側面案内部32s、32sを形成することにより、左右の取手部R,Rの外側端位置を案内しつつ、その上方を覆ってクリップCの飛び出しを防止する。
スライドカバー33,33は、その要部拡大平面透視図(a)と横断面図(b)を図26に示すように、中央案内部31の両側部に取付けた側壁部33b、33bの上端に長穴33h,33hを介してボルト締結する。このスライドカバー33,33により、左右の取手部R,Rの外側端位置を案内しつつ、その上方を覆ってクリップCの飛び出しを防止するとともに、各長穴33hの範囲で左右個別に外側方向にスライドして対応する側の取手部R,Rの上方を案内路の全幅に及び開放可能に構成する。
上記のようにクリップ供給部を構成することにより、クリップCがクリップガイドレール9の途中で詰まった場合は、詰まった部分に限定して片方のスライドカバー33を必要な範囲でスライド開放することにより、他のクリップCの飛び出しを最小限度に抑えて詰まりの原因となっている不良クリップCを取出すことができる。したがって、案内路の開放によるクリップCの供給の滞りを小さく抑えて供給体制を即時復旧することができる。
次に、光電センサ34の取付け部については、部分破断平面図(a)と拡大側面図(b)を図27に示すように、左右の取手案内部32,32を横切る位置に光透過窓32w、32wを形成して光電センサ34の光軸を配置する。この光透過窓32w、32wは、クリップCの左右の取手部R,Rの高さ位置と差Dを形成することにより、クリップCの引っ掛かりを小さくすることができる。
この光電センサ34の取付け部の近傍において、中央案内部31には、クリップCがその左右の取手部を先頭とする前後逆向き姿勢で嵌入する形状の凹部による嵌合溝Eを形成する。この嵌合溝Eは、前後逆向き姿勢で移送されるクリップCの通過を阻止し、滞留したクリップCを光電センサ34によって検出することによって不良クリップによるトラブルを未然に防止することができる。復旧の際は、スライドカバー33,33を開けて滞留クリップを取り除くことができる。
また、光電センサ34の取付け部の別構成例として、部分破断平面図を図28に示すように、左右の取手案内部32,32の内側部を取手部R,Rの外側端位置より幅広く形成した上で、左右の取手案内部32,32を横切る位置に光透過窓32w、32wを形成して光電センサ34の光軸を配置し、その下流位置から取手部R,Rの外側端を案内する側壁部33b、33bを取手案内部32,32の内側に形成する。このように構成することにより、光透過窓32w、32wが取手部R,Rと同じ高さ位置であっても、前記同様にクリップCの引っ掛かる可能性を小さくすることができる。
次に、クリップボウル7の出口については、その要部平面図(a)およびそのA矢視図(b)を図29に示すように、不良クリップの排出を規制する選別板41と、この選別板41の後方にエア量の調整が可能なエアノズル42とを設ける。選別板41は、正常なクリップCが通過しうる切欠41cを形成して取付部41bによって出口位置に横断配置し、絡まったクリップや、アゴ外れと称する挟持部Fの合わせ不良のものを通過規制する。エアノズル42は、選別板41により通過規制されて詰まったクリップをエアブローによって排出する。
上記エアノズル42の稼動は、クリップガイドレール9の稼動を含め、クリップガイドレール9の光電センサ34の感知時間に応じて制御を行う。例えば、5秒以上の感知によりクリップガイドレール9の送りを停止し、また、10秒以上の不感知によりエアノズル42を稼動することにより詰まりによる作業停止を回避することができる。
具体的な制御処理手順は、図30のフローチャートに示すように、クリップボウル7およびクリップガイドレール9を振動稼動し(S1,S2)、光電センサ34のチェック(S3、S4)により感知時間が5秒以上になるとクリップガイドレール9をOFF(S5)し、感知OFF(S6)により再稼動(S2)する。また、光電センサ34のチェック(S3、S7)により不感知時間が10秒以上になるとエアノズル42を稼動(S8)して不良クリップを排出した後に最初(S1)から繰り返す。
従来は、クリップガイドレール9にクリップが一定量が滞留したときに、その後から流入するクリップをエアブロウによりクリップボウル7に戻し、または、クリップボウル7の振動停止により、供給量調節制御を行っていたが、いずれの方法も、不良クリップが選別板41で規制されると詰まりによって作業停止を招いていたが、この滞留の問題の解決とともに、上記制御処理によって供給量調節を合わせて処理することができる。
(搬入部)
次に、台木苗又は穂木苗のセルトレイを搬入する左右のセルトレイ苗搬入部2,3の支持構造について説明する。
左右の苗搬入部2,3は、右側苗搬入部(穂木側)3について、その平面図(a)および側面図(b)を図32に、そのD矢視図を図33にそれぞれ示すように、多数の苗を格子状に配列したセルトレイを搬入するためのコンベヤ81,81を本体部1の側辺に平行に配置し、それぞれのコンベヤ81を高さ調節用のパンタグラフ形状の昇降機構82を介して支持する。
コンベア81は、手前側へ向けて(クリップ供給部側から接合部6側へ向けて)苗を収容するセルトレイを搬送する構成である。このパンタグラフ形状の昇降機構82は、接木苗処理装置の側面操作のために、同昇降機構82の昇降ハンドル軸83をコンベヤ81の苗搬送方向と平面視で直交して苗移送機構91の苗取出し位置よりもコンベア81の搬送上手側の位置に設け、昇降ハンドル軸83に装着する昇降ハンドルが平面視でコンベア81の側方(コンベア81の左右外側、コンベア81の中間部の側方となる本体部1とは反対側)で且つ苗移送機構91の苗取出し位置よりもコンベア81の搬送上手側に配置される。これにより、作業者はコンベア81の側方で且つ苗移送機構91の苗取出し位置よりもコンベア81の搬送上手側から該コンベア81の高さ調節が行え、苗移送機構91との相対的な高さを調節できる。
昇降機構82は、セルトレイを投入するコンベヤ81の始端側には駆動モータ84を取付けて終端側とバランスするようにコンベヤ81の始端位置寄りの中間位置を支持する。この支持位置により、バランスを維持しつつコンベヤ81の高さを調節することができ、次に述べる苗移送機構91の高さに合わせた後に、コンベヤ81の終端側を苗移送機構91に接続することができる。従って、コンベヤ81の終端側部分を昇降機構82から長く延設し、苗移送機構91内へ挿入することができる。
左右の苗搬入部2,3と本体部1との間には、カバーを外した状態の要部拡大平面図を図34に示すように、苗搬入部2,3のセルトレイから苗を個々に取出して本体部1にそれぞれ移送する左右の苗移送機構91,91を設け、その下方のフレームには、図34内のE矢視による平面図(a)および正面図(b)を図35に示すように、d−SUBポート用コネクタ93をそれぞれに配置する。このコネクタ93は、苗移送機構91について、左右それぞれのセルトレイの変更毎に苗取出し位置のティーチング用コントローラを接続して苗取出し位置を入力することができる。これにより、ティーチング用コントローラを平面視でコンベア81の側方(コンベア81の左右外側、コンベア81の中間部の側方となる本体部1とは反対側)で且つ苗移送機構91の苗取出し位置よりもコンベア81の搬送上手側に位置させて、作業者がその位置から左右方向の苗取出し位置を容易に視認しながら設定することができる。
左右の苗移送機構91,91は、本体部1から取外し可能で個々に水平調節可能に構成し、本体部1の機器(搬送ロータ部)の支持ベースである天井面と左右の苗移送機構91,91のベース部を平行な基準面として随時調節することにより、水平を保つことができる。この水平調節は、左右の苗移送機構91,91を調節する構成であり、苗移送機構91と別個に設けたコンベア81を調節するものではないので、水平調節する部分が苗移送機構91部分のみで大掛かりなものとならず、水平調節を精度良く行うことができる。この水平調節のために、図31(a)に示すように、水準器94…を本体部1の中心、左右の苗移送機構91,91の内側の受け渡し地点に設けて目視調節可能に構成する。また、本体部1と左右の苗移送機構91,91にそれぞれ圧力調整レギュレータを設けることにより、それぞれの取扱い対象に合わせて個別に圧力調整することが可能となる。
また、本体部1と左右それぞれのセルトレイ苗搬入部2,3との間には、図32、図33に示すように、それぞれの苗移送機構91,91の把持部95に備えた分草杆95aの本体部1側から苗取出し位置への移動経路(左右移動経路)上で前記移動経路におけるセルトレイの直前位置(コンベア81の本体部1側の側方位置)には、ガイドプレート95b(図32(a)参照)を設ける。該ガイドプレート95bは、本体部1側からセルトレイ側(コンベア81側)へいくにつれて高くなる傾斜面を構成し、セルトレイ側となる頂上部はセルトレイの上面よりも高位に配置されている。
苗移送機構91が苗搬入部2,3のセルトレイ上に移動する際は、分草杆95aの上下動作用のエアシリンダの上下ポート共に排気して上下方向に自由動作可能にしておくことにより、組付誤差等により仮に分草杆95aがセルトレイの上面よりも低位に位置していても、分草杆95aの本体部1側からセルトレイ側(コンベア81側)への移動で分草杆95aがガイドプレート96に接触して案内されることにより上側へジャンプ動作してセルトレイの上方に至り、左右方向へ移動する分草杆95aがセルトレイの側面に干渉してセルトレイを破損させるようなことを防止でき、分草および引起こしによって苗を取出すことができる。
把持部95は、苗移送機構91,91に上下移動自由に取り付けられ、下部に設けた案内ローラ95c(図35(b)参照)がガイドプレート96に接触して案内されることにより上下位置が決定する。ガイドプレート96は、セルトレイ(コンベア81)上の位置では左右水平に構成され、その左右水平部分に接続される本体部1側部分が本体部1側ほど低位となるように傾斜した傾斜部分となっている。これにより、セルトレイ(コンベア81)上ではその直上で把持部95が左右水平移動し、本体部1側へいくほど把持部95が下降し、本体部1へ苗を供給する左右移動終端位置では案内ローラ95cがガイドプレート96の端から外れて上下移動ストロークの最下位置で把持部95が位置し本体部1へ苗を供給する高さとなる。
この場合において、図35(b)に示すように、ガイドプレート96を検出するセンサー97を把持部95の案内ローラ95cよりも本体部1側に設け、把持部95がガイドプレート96の左右水平部分上にあるときにはセンサー97がガイドプレート96を検出し、把持部95がガイドプレート96の傾斜部分上にあるときにはセンサー97とガイドプレート96との間隔が広くなってセンサー97がガイドプレート96から離れるのでセンサー97がガイドプレート96を検出せず、把持部95がガイドプレート96の端から外れた位置にあるときにはセンサー97がガイドプレート96を検出しない構成となっている。
そして、センサー97がガイドプレート96を検出しないときは、把持部95が把持部95から苗を受け取る本体部1側ひいては該本体部1側の苗受部17,21に近い位置にあるから、その状態でオペレータがリセット操作して把持部95がセルトレイ(コンベア81)上となる原点位置に復帰しようとすると、本体部1側の原点位置に復帰しようとする他の装置(搬送部18,22が苗受部17,21の位置に復帰しようとする)に干渉することがあるので、リセット機能が作動しないように制御装置が規制する。この場合は、オペレータが各装置ごとに原点位置に復帰させる操作を行って、全ての装置を原点位置に復帰させることができる。
1 接木ロボット(本体部)
6 接合部
7 クリップボウル
9 クリップガイドレール(案内部)
31 中央案内部(案内部)
31g 溝
32s 側面案内部
32w 光透過窓
32 取手案内部
32b 基部
33 スライドカバー
33b 側壁部
33h 長穴
34 光電センサ
C クリップ
E 嵌合溝
F 挟持部
R 取手部

Claims (1)

  1. 接木処理における台木と穂木とを接合固定するための挟持部(F)と、この挟持部(F)の後方で左右に張り出して同挟持部(F)を開放動作させる取手部(R)とからなるクリップ(C)を振動によりその挟持部(F)を先頭にして順次案内する案内路(9)を形成したクリップ供給部を備えるクリップ供給部付き接木苗処理装置において、
    上記案内路(9)の底面には、クリップ(C)がその左右の取手部(R)を先頭とする前後逆向き姿勢で嵌入する形状の凹部による嵌合溝(E)を形成してなることを特徴とするクリップ供給部付き接木苗処理装置。
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