JP2011134510A - 無電極蛍光ランプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制し、ランプ効率を高める無電極蛍光ランプの製造方法を提供する。
【解決手段】バルブ本体と、バルブ本体と接合されるキャビティ形成部と、バルブを保護する保護膜と、紫外線を可視光に変換する蛍光体膜と、キャビティ形成部に設けられた排気細管とを備えた無電極蛍光ランプの製造方法であって、バルブ本体とキャビティ形成部を形成する第1工程(S1)と、バルブ本体とキャビティ形成部に保護膜と蛍光体膜を塗布する第2工程(S2)と、蛍光体膜を高温で焼成する第3工程(S3)と、バルブ本体とキャビティ形成部を接合してバルブを形成する第4工程(S4)と、バルブ内を高温で真空排気する第5工程(S5)と、不活性ガスが封入されたバルブにプラズマを発生させ、真空排気を行う第6工程(S6)と、バルブ内に希ガスと水銀を封入する第7工程(S7)と、排気細管を封止する第8工程(S8)とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】バルブ本体と、バルブ本体と接合されるキャビティ形成部と、バルブを保護する保護膜と、紫外線を可視光に変換する蛍光体膜と、キャビティ形成部に設けられた排気細管とを備えた無電極蛍光ランプの製造方法であって、バルブ本体とキャビティ形成部を形成する第1工程(S1)と、バルブ本体とキャビティ形成部に保護膜と蛍光体膜を塗布する第2工程(S2)と、蛍光体膜を高温で焼成する第3工程(S3)と、バルブ本体とキャビティ形成部を接合してバルブを形成する第4工程(S4)と、バルブ内を高温で真空排気する第5工程(S5)と、不活性ガスが封入されたバルブにプラズマを発生させ、真空排気を行う第6工程(S6)と、バルブ内に希ガスと水銀を封入する第7工程(S7)と、排気細管を封止する第8工程(S8)とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、無電極蛍光ランプの製造方法に関するものである。
従来から、無電極蛍光ランプとして、例えば図5に示すように、放電ガスである希ガス(例えば、アルゴンなど)および水銀が封入された透光性のバルブ1と、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる誘導コイル15とを備え、バルブ1の内壁面にバルブ1を保護する保護膜3が被着されるとともに、保護膜3におけるバルブ1の内壁面側とは反対側に被着され高周波電磁界の作用による放電ガスの放電により発生した紫外線を可視光に変換する蛍光体膜4が被着され、バルブ1における電球状の外郭(以下、バルブ本体と称する)1a以外の部位に、誘導コイル15を収納するキャビティ5が形成されてなる無電極蛍光ランプが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この種の無電極蛍光ランプのバルブ1は、電球状に形成され口金2側の端部が開口されたバルブ本体1aと、口金2側が開放された有底筒状に形成されバルブ本体1aに挿入されるキャビティ形成部1bとの口金2側の端部同士を接合することにより構成されており、キャビティ形成部1bには、一端部がキャビティ形成部1bの底部に連結されて内部空間がバルブ本体1aの内部空間に連通し、他端部が封止された排気細管7が設けられている。排気細管7内には、バルブ1内に水銀蒸気を供給する水銀アマルガムが収納された金属容器12が配置され、金属容器12を排気細管7の上記一端部側と上記他端部側から挟持するように、排気細管7内に設けられたくぼみ部8にて固定される上記一端部側の第1のガラスロッド11aと、上記他端部側の第2のガラスロッド11bとが配置されている。ここで、上述の誘導コイル15は、排気細管7に外装された筒状のフィライトコア17に巻回されている。また、誘導コイル15とフィライトコア17とを具備するカプラ16がキャビティ形成部1bに収納されている。なお、保護膜3および蛍光体膜4は、バルブ1の内壁面の略全面に形成されており、図5ではその一部のみを図示している。この無電極蛍光ランプは、バルブ1内に電極を持たない構造のため、電極劣化による不点灯がなく、一般的に有電極蛍光ランプと比べて長寿命であると言われている。
また、無電極蛍光ランプを点灯させる点灯装置は、例えば図6に示すように、バルブ1内の誘導コイル15(図5参照)に高周波電流(例えば、周波数が13.56MHzの電流)を供給する電源ユニット20と、電源ユニット20と誘導コイル15とを電気的に接続する管灯線19と、商用電源からなる交流電源(図示せず)に接続されるプラグ22と、プラグ22と電源ユニット20とを電気的に接続する電源線21とで構成される。上記交流電源から電源ユニット20に電力を供給し、電源ユニット20から誘導コイル15に上記高周波電流を流すことによって、バルブ1内に高周波電磁界が発生し、高周波電磁界の作用による放電ガスの放電により発生した紫外線が蛍光体膜4(図5参照)によって可視光に変換され、バルブ1の外部へ放射される。
このような無電極蛍光ランプの製造方法としては、例えば図7に示すように、バルブ本体1a(図5参照)とキャビティ形成部1b(図5参照)とをそれぞれ形成する工程(S1)と、バルブ本体1aとキャビティ形成部1bそれぞれに保護膜3(図5参照)を形成してから蛍光体膜4を塗布する塗布工程(S2)と、蛍光体膜4(図5参照)を大気中にて高温で焼成する焼成工程(S3)と、バルブ本体1aとキャビティ形成部1bとを接合することでバルブ1を形成する工程(S4)と、上記他端部が開放された状態の排気細管7を通してバルブ1内を高温で真空排気する真空排気工程(S5)と、バルブ1内に放電ガスである希ガス(例えば、アルゴンなど)および水銀(アマルガムを含む)を封入する工程(S7)と、バルブ1内の排気細管7(図5参照)の上記他端部を封止する工程(S8)とを有する方法が知られている。さらに、上述の各工程は、それぞれ別々の製造装置で行われ、各製造装置はそれぞれ処理時間が異なるので、各工程間に待ち時間が発生する。そのため、待ち時間を調整するために、製造途中の仕掛け品を一時保管する必要が生じ、バルブ1(図5参照)の内部と外部とを連通させる上記他端部が開放された排気細管7から、大気が流入されないようにバルブ1内に不活性ガス(例えば、窒素ガスなど)を封入して保管することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、図7に示した無電極蛍光ランプの製造方法に上記特許文献2に記載された技術を適用すれば、バルブ1(図5参照)内に不活性ガスを封入してあるので、大気中に含まれる水分がバルブ1内に取り込まれることを防止し、バルブ1の内壁面に形成された蛍光体膜4(図5参照)に水分が吸着されることを防止することができる。しかしながら、上述の製造方法では焼成工程(S3)にて蛍光体膜4を焼成し、真空排気工程(S5)にて真空排気を行っているにもかかわらず、真空排気で蛍光体膜4に含まれている有機物などの不純物が除去し切れなかったりして、水分および不純物がバルブ1内に残留し、蛍光体膜4に付着されていることが懸念される。そこで、無電極蛍光ランプの使用時に、蛍光体膜4に残留している水分および不純物が、バルブ1の内部空間に拡散されて不純ガスとなり、無電極蛍光ランプが光束劣化し、無電極蛍光ランプのランプ効率が低下する。また、無電極蛍光ランプが光束劣化するその他の原因としては、蛍光体膜4の経時的な劣化なども考えられる。
なお、蛍光体膜4に含まれている有機物とは、塗布工程(S2)の作業性を向上するために、蛍光体の粉末と、例えば酢酸ブチルからなる有機溶媒と、例えばニトロセルロースからなる増粘剤とを混合したものからなる。上記有機物をバルブ1の内壁面に塗布した後に、大気中にて高温で蛍光体膜4を焼成すると、上記増粘剤が酸化して、上記有機溶液が蒸発するので、蛍光体膜4からバルブ1内に水分および不純物が排出され、高温にて真空排気を行うことによって、水分および不純物がバルブ1の外部に除去される。
不純ガスの濃度を低減させる方法として、焼成工程(S3)および真空排気工程(S5)において、温度を高くする方法や、焼成工程(S3)および真空排気工程(S5)の処理時間を長くする方法が考えられるが、焼成工程(S3)および真空排気工程(S5)は約450度以上の高温で行われるため、蛍光体膜4の性能劣化が懸念され、あまり温度を高くする方法は好ましくなく、できる限り低温で、且つ、短時間で行うのがよい。
また、不純ガスの濃度を低減させる他の方法として、例えば有電極蛍光ランプのバルブ内に配置され、不純ガスを吸着するゲッターを使用する方法が考えられるが、実際にこの方法によって行ったところ、効果は得られなかった。この原因としては、有電極蛍光ランプの場合は、電極寿命を考慮してあまり管壁負荷(入力電力/バルブ内の表面積)を大きくすることが難しい。有電極蛍光ランプの管壁負荷は、通常0.03〜0.05[W/cm2]である。一方、無電極蛍光ランプの場合は電極がないため、管壁負荷を大きくすることができる。無電極蛍光ランプの管壁負荷は、通常0.1〜0.2[W/cm2]である。そのため、無電極蛍光ランプのバルブ1内の表面積が入力電力に対して小さくなるものの、管壁温度が高くなり、有電極蛍光ランプの場合と比較して、多量の不純ガスが蛍光体膜4からバルブ1の内部空間に排出されると考えられる。そのため、これらの不純ガスを吸着するためには、多量のゲッターが必要となる。また、ゲッターの経時的な劣化や無電極蛍光ランプのバルブ1内に多量のゲッターを配置すること等を考慮すると、無電極蛍光ランプにゲッターを使用する方法は適当でないと考えられる。
本発明は上記の事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制し、ランプ効率を高める無電極蛍光ランプの製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、放電ガスである希ガスおよび水銀が封入された透光性のバルブと、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる誘導コイルと、バルブの内壁面に被着されバルブを保護する保護膜と、保護膜におけるバルブの内壁面側とは反対側に被着され高周波電磁界の作用による放電ガスの放電により発生した紫外線を可視光に変換する蛍光体膜とを備え、バルブにおける電球状に形成され口金側の端部が開口されたバルブ本体と、バルブ本体以外の部位に、口金側が開放された有底筒状に形成されバルブ本体に挿入されるキャビティ形成部とが、口金側の端部同士を接合することにより構成されており、キャビティ形成部には、一端部がキャビティ形成部の底部に連結されて内部空間がバルブ本体の内部空間に連通し、他端部が封止された排気細管が設けられている無電極蛍光ランプの製造方法であって、バルブ本体とキャビティ形成部とをそれぞれ形成する第1工程と、バルブ本体とキャビティ形成部それぞれに保護膜を形成してから蛍光体膜を塗布する第2工程と、蛍光体膜を大気中にて高温で焼成する第3工程と、バルブ本体とキャビティ形成部とを接合することでバルブを形成する第4工程と、上記他端部が開放された状態の排気細管を通してバルブ内を高温で真空排気する第5工程と、不活性ガスが封入されたバルブに外部からエネルギーを与えることでプラズマを発生させ、真空排気を行うことで蛍光体膜に含まれる水分および不純物を取り除く第6工程と、バルブ内に放電ガスである希ガスおよび水銀を封入する第7工程と、排気細管の上記他端部を封止する第8工程とを有することを特徴とする。
この発明によれば、バルブ内を高温で真空排気する第5工程とバルブ内に放電ガスである希ガスおよび水銀を封入する第7工程との間に、不活性ガスをバルブ内に封入し、外部からエネルギーを与えてバルブ内にプラズマを発生させて、蛍光体膜に含まれる水分および不純物を排出させ、真空排気を行う第6工程を設けていることによって、バルブ内の不純ガスの濃度を低減することができので、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制することができ、ランプ効率を高めることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第6工程は、前記不活性ガスが封入された前記バルブに外部からエネルギーを与えることでプラズマを発生させる過程と、前記蛍光体膜に含まれる水分および不純物を取り除き真空排気を行う過程とを同時に行うことを特徴とする。
この発明によれば、前記不活性ガスによりプラズマを発生させる過程と、真空排気を行う過程とを同時に行うことによって、前記蛍光体膜に含まれる水分および不純物を効率的に取り除くことができ、且つ、前記バルブ内の不純ガスの濃度を低減することができるので、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制することができ、ランプ効率を高めることができる。
請求項1の発明では、不活性ガスが封入されたバルブの外部からエネルギーを与えてバルブ内にプラズマを発生させて、バルブ内の蛍光体膜に含まれる水分および不純物を排出させ、真空排気を行うことによって、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制し、ランプ効率を高めることができるという効果がある。
以下、本実施形態における無電極蛍光ランプの製造方法について、図1〜図2を参照しながら説明するが、無電極蛍光ランプの構造は、図5に示した従来例の無電極蛍光ランプと同じなので、図5に示した従来例と同様の構成要素には同一の符号を付して説明する。
本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法は、図1に示すように、バルブ本体1aとキャビティ形成部1bとをそれぞれ形成する第1工程(S1)と、バルブ本体1aとキャビティ形成部1bそれぞれに保護膜3を形成してから蛍光体膜4を塗布する第2工程(S2)と、蛍光体膜4を大気中にて高温で焼成する第3工程(S3)と、バルブ本体1aとキャビティ形成部1bとを接合することでバルブ1を形成する第4工程(S4)と、上記他端部が開放された状態の排気細管7を通してバルブ1内を高温で真空排気する第5工程(S5)と、不活性ガス(例えば、アルゴンなど)が封入されたバルブ1内に外部からエネルギーを与えることでプラズマを発生させ、真空排気を行うことで蛍光体膜4に含まれる水分および不純物を取り除く第6工程(S6)と、バルブ1内に放電ガスである希ガス(例えば、アルゴンなど)および水銀を封入する第7工程(S7)と、バルブ1内の排気細管7の上記他端部を封止する第8工程(S8)とを有する。
以下に、本実施形態における無電極蛍光ランプの製造方法の手順を詳述する。
まず、第1工程(S1)では、バルブ本体1a、キャビティ形成部1bを透光性材料により形成するが、バルブ本体1aの形成過程とキャビティ形成部1bの形成過程との順序は限定するものではない。
第2工程(S2)では、まず、例えば水とポリエチレンオキサイドとの溶液に二酸化珪素(シリカ)を混合した懸濁液(以下、スラリーと称する)を、バルブ本体1aの内壁面およびキャビティ形成部1bの外壁面に沿うように垂れ流して塗布する。次に、塗布した上記スラリーに空気を吹き付けて上記スラリーを乾燥させることにより保護膜3を形成する。それから、蛍光体(青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の混合物)の粉末と、例えば酢酸ブチルからなる有機溶媒と、例えばニトロセルロースからなる増粘剤とを混合した混合液を、保護膜3に積層するように垂れ流して塗布する。そして、塗布した上記混合液に空気を吹き付けて上記混合液を乾燥させることで蛍光体膜4を形成する。
第3工程(S3)では、まず、蛍光体膜4を大気中にて高温(例えば、450度)で焼成することにより、蛍光体膜4に含まれる上記増粘剤を酸化させ、上記有機溶液を蒸発させて、蛍光体膜4から水分および不純物を排出する。
第4工程(S4)では、バルブ本体1aとキャビティ形成部1bとを接合することでバルブ1を形成する。
第5工程(S5)では、図2に示すように、上記他端部が開放された状態の排気細管7を通してバルブ1内を高温で真空排気を行う。
第6工程(S6)では、まず、図2に示すように、バルブ1内に排気細管7を通して不活性ガス(例えば、アルゴンなど)を封入する。次に、バルブ1の最大外径付近に巻回された誘導コイル24に高周波電力装置25から高周波電流(例えば、周波数が13.56MHzの電流)を通電することによって、バルブ1内に高周波電磁界を発生させ、バルブ1内の不活性ガスを励起させることで、バルブ1内にプラズマを発生させる(図2中の一点鎖線)。このプラズマによって発生した不活性ガスによるイオンが蛍光体膜4に含まれている水分および不純物の原子または分子に衝突する効果(スパッタ効果)を用いることによって、蛍光体膜4に残留している水分および不純物がバルブ1の内部空間に排出される(以下、プラズマ洗浄と称する)。それから、上述のプラズマが発生している状態で、真空排気を行う真空装置23にて、バルブ1の外部に排気細管7を通って水分および不純物を真空排気する。なお、プラズマ洗浄用の不活性ガスはアルゴンに限らず、例えばネオン、クリプトン、キセノンなどであってもよい。但し、バルブ1内に封入されたプラズマ洗浄用の不活性ガスが蛍光体膜4に侵入することがあるため、プラズマ洗浄用の不活性ガスは、最終的にバルブ1内に封入される希ガスと同じものがよい。
第7工程(S7)では、図2に示すように、バルブ1内に排気細管7を通して、放電ガスである希ガス(例えば、アルゴンなど)および水銀(アマルガムを含む)を導入し、排気細管7に第1のガラスロッド11a、金属容器12、第2のガラスロッド11bを順次挿入する。
第8工程(S8)では、図2に示すように、バルブ1内の排気細管7の上記他端部を封止し、バルブ1のキャビティ形成部1bにより形成されているキャビティ5にフィライトコア17に巻回された誘導コイル15を具備したカプラ16を収納し、バルブ1に口金2を取り付けて、無電極蛍光ランプが形成される。
以上説明した本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法では、バルブ1内を高温で真空排気する第5工程とバルブ1内に放電ガスである希ガスおよび水銀を封入する第7工程との間に、プラズマ洗浄用の不活性ガスをバルブ1内に封入し、外部からエネルギーを与えてバルブ1内にプラズマを発生させて、蛍光体膜4に含まれる水分および不純物を取り除き、真空排気を行うことによって、バルブ1内の不純ガスの濃度を低減することができので、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制することができ、ランプ効率を高めることができる。
ここにおいて、本実施形態では、上述の説明から分かるように、プラズマ洗浄用の不活性ガスが封入されたバルブ1に外部からエネルギーを与えることでプラズマを発生させる過程と、蛍光体膜4に含まれる水分および不純物を取り除き真空排気を行う過程とを同時に行うようにしている。
本実施形態における第6工程(S6)では、プラズマ洗浄用の不活性ガス(例えば、アルゴンなど)が励起されて発生したプラズマをバルブ1内で発生させたまま、真空排気を行うことによって、蛍光体膜4に残留している水分および不純物を効率的にバルブ1の外部に排出することができる。また、水分および不純物を取り除くことによって、バルブ1内の不純ガスの濃度を低減することができので、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制することができ、ランプ効率を高めることができる。
一実施例として、上述の第6工程において、プラズマ洗浄用の不活性ガスであるアルゴンを所定の圧力(例えば、約40Pa)でバルブ1内に封入し、バルブ1の最大外径(外径110mm)付近に1回巻回された誘導コイル24に高周波電力装置25(電力100W)から高周波電流(周波数が13.56MHzの電流)を約10分間通電し、アルゴンが励起されて発生したプラズマをバルブ1内で発生させたまま(ランプが点灯したまま)、真空装置23にて真空排気を行い、ランプが消灯した後(約1分後)に、再度アルゴンをバルブ1内に封入して、同様の作業を少なくとも3回行った無電極蛍光ランプを作製した。なお、プラズマ洗浄用の不活性ガスであるアルゴンによってプラズマ洗浄を行う場合、プラズマ洗浄用の不活性ガスを高圧(例えば、約67Pa)にするとアーク放電が起こらず、プラズマの発光領域(図2中の一点鎖線)が大きくならない場合がある。この作業にて形成された定格が50Wの無電極蛍光ランプと、従来例の製造方法(図7参照)で形成された定格が50Wの無電極蛍光ランプとの2個ずつについて、ランプ点灯時間が0時間、100時間、200時間においてランプ効率を測定し、結果を図3に示した。
本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法で形成された実施例の無電極蛍光ランプおよび従来例の製造方法で形成された無電極蛍光ランプにおけるランプ効率(光束/ランプ入力電力)とランプ点灯時間との相関関係は、図3に示すように、従来例の製造方法で形成された無電極蛍光ランプ(図3では、ハおよびニ)は、ランプ点灯時間が0時間の場合、ランプ効率が約86[lm/W]であるが、ランプ点灯時間が100時間の場合、ランプ効率が約81[lm/W]と、約5[lm/W]低下した。一方、本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法で形成された実施例の無電極蛍光ランプ(図3では、イおよびロ)は、ランプ点灯時間が0時間の場合、ランプ効率は約87[lm/W]であるが、ランプ点灯時間が100時間の場合、ランプ効率が約84[lm/W]と、約3[lm/W]低下した。したがって、本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法で形成された無電極蛍光ランプは、従来例の製造方法で形成された無電極蛍光ランプと比較して、ランプ点灯時間が100時間の場合において、ランプ効率が約3[lm/W]向上したことになる。したがって、本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法の第6工程(S6)において、蛍光体膜4に残留している水分および不純物を取り除くことによって、バルブ1内の不純ガスの濃度を低減することができるので、無電極蛍光ランプの光束劣化が抑制されたと考えられる。なお、定格が50Wの無電極蛍光ランプに100Wの高周波電力を印加したが、無電極蛍光ランプが無電極であり、高負荷による電極劣化がないため、実施することができる。
また、通常、蛍光ランプは有電極や無電極にかかわらず、最初の点灯時から100時間経過した時点までに無電極蛍光ランプの光束劣化が大きいと言われている。そのため蛍光ランプの明るさが急激に変化しないように、ランプ点灯時間が100時間点灯した時点でのランプ効率をランプ点灯時間が0時間のランプ効率として、カタログなどにエネルギー消費効率(ランプの光束値)で記載されている。なお、最初の点灯時から100時間経過した時点のランプ効率は、ランプ点灯時間が0時間のランプ効率よりも数%ほど劣化すると一般的に言われている(但し、蛍光ランプによって異なる)。
また、本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法の第6工程において、プラズマ洗浄を行う方法として、誘導コイル24に高周波電力装置25から高周波電流を通電されることによって、バルブ1内に高周波電磁界を発生させ、バルブ1内のプラズマ洗浄用の不活性ガスが励起し、バルブ1内にプラズマを発生させているが、例えば図4に示すように、テスラーコイルなどの高電圧発生装置28を用いて、バルブ1の最大外径付近に外装された金属リング27に、高電圧発生装置28から電線29を介して均等になるように高電圧を印加する方法であってもよい。
以上説明した本実施形態の無電極蛍光ランプの製造方法では、不活性ガスによりプラズマを発生させる工程と、真空排気を行う工程とを同時に行うことによって、蛍光体膜4に含まれる水分および不純物を効率的に取り除くことができ、且つ、バルブ1内の不純ガスの濃度を低減することができるので、無電極蛍光ランプの光束劣化を抑制することができ、ランプ効率を高めることができる。
1 バルブ
1a バルブ本体
1b キャビティ形成部
2 口金
3 保護膜
4 蛍光体膜
5 キャビティ
7 排気細管
1a バルブ本体
1b キャビティ形成部
2 口金
3 保護膜
4 蛍光体膜
5 キャビティ
7 排気細管
Claims (2)
- 放電ガスである希ガスおよび水銀が封入された透光性のバルブと、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる誘導コイルと、バルブの内壁面に被着されバルブを保護する保護膜と、保護膜におけるバルブの内壁面側とは反対側に被着され高周波電磁界の作用による放電ガスの放電により発生した紫外線を可視光に変換する蛍光体膜とを備え、バルブにおける電球状に形成され口金側の端部が開口されたバルブ本体と、バルブ本体以外の部位に、口金側が開放された有底筒状に形成されバルブ本体に挿入されるキャビティ形成部とが、口金側の端部同士を接合することにより構成されており、キャビティ形成部には、一端部がキャビティ形成部の底部に連結されて内部空間がバルブ本体の内部空間に連通し、他端部が封止された排気細管が設けられている無電極蛍光ランプの製造方法であって、バルブ本体とキャビティ形成部とをそれぞれ形成する第1工程と、バルブ本体とキャビティ形成部それぞれに保護膜を形成してから蛍光体膜を塗布する第2工程と、蛍光体膜を大気中にて高温で焼成する第3工程と、バルブ本体とキャビティ形成部とを接合することでバルブを形成する第4工程と、上記他端部が開放された状態の排気細管を通してバルブ内を高温で真空排気する第5工程と、不活性ガスが封入されたバルブに外部からエネルギーを与えることでプラズマを発生させ、真空排気を行うことで蛍光体膜に含まれる水分および不純物を取り除く第6工程と、バルブ内に放電ガスである希ガスおよび水銀を封入する第7工程と、排気細管の上記他端部を封止する第8工程とを有することを特徴とする無電極蛍光ランプの製造方法。
- 前記第6工程は、前記不活性ガスが封入された前記バルブに外部からエネルギーを与えることでプラズマを発生させる過程と、前記蛍光体膜に含まれる水分および不純物を取り除き真空排気を行う過程とを同時に行うことを特徴とする請求項1記載の無電極蛍光ランプの製造方法。
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KR20140078984A (ko) * | 2012-12-18 | 2014-06-26 | 엘지전자 주식회사 | 무전극 조명장치 및 이의 제조방법 |
KR20150078041A (ko) * | 2013-12-30 | 2015-07-08 | 엘지전자 주식회사 | 무전극 조명장치 및 이의 제조방법 |
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2009
- 2009-12-22 JP JP2009291454A patent/JP2011134510A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20140078984A (ko) * | 2012-12-18 | 2014-06-26 | 엘지전자 주식회사 | 무전극 조명장치 및 이의 제조방법 |
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