JP2011132829A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Masayuki Tsunoda
昌之 角田
Fumihiko Ishizono
文彦 石園
Kenji Yano
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Abstract

【課題】渦巻歯が所謂非対称形状であるスクロール圧縮機であって、揺動スクロールに作用する元々の自転モーメントの変動幅を低減することが可能なスクロール圧縮機を得る。
【解決手段】スクロール圧縮機は、台板4fの上面に上渦巻歯4aが形成され、台板の下面に下渦巻歯4bが形成された揺動スクロールを備える。上渦巻歯4a及び下渦巻歯4bは、渦巻歯の外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が渦巻歯の内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するように、非対称渦巻形状に形成されている。上渦巻歯4aと下渦巻歯4bは、基準方向が90〜270degずれた位相に配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば冷凍・空調用途に用いられるスクロール型の圧縮機(以下、スクロール圧縮機という)に関し、特に渦巻歯が所謂非対称形状であるスクロール圧縮機に関するものである。
スクロール圧縮機においては、揺動スクロールに揺動運動を行なわせるため、自転防止手段としてオルダムリングが用いられることが多い。これにより、揺動スクロールに作用する自転モーメントに抗して揺動スクロールの姿勢を規正し、揺動スクロールに揺動運動を行なわせることができる。
このため、オルダムリングの爪部には、揺動スクロールに作用する自転モーメントに抗するための反力が作用するが、その大小は自転モーメントの大小に依存する。特に、渦巻歯が所謂非対称形状であるスクロール圧縮機の場合、揺動スクロールに作用する自転モーメントの変動幅が増大し、自転モーメントの向きが逆転する場合もある。このような自転モーメントの変動幅の増大に対して、その抑制を図った従来のスクロール圧縮機として、例えば「オルダム継手の慣性力の作用方向がガス圧縮による反力の作用方向とは実質逆向きになるようにオルダム継手(39)のスライドする方向を特定して、ガス圧縮の反力により可動スクロール(26)に作用する自転第1トルク(T1)とオルダム継手(39)のスライド動作による自転第2トルク(T2)との合計トルク(T)の変動幅を自転第1トルク(T1)の変動幅よりも小さくする。」(例えば、特許文献1参照)というものが提案されている。
特開2004−019545号公報(要約、図2)
オルダムリングは、揺動スクロール側のキー溝に挿入される爪部(以下、揺動側爪部という)と、固定スクロール側のキー溝(又は固定スクロールが固定されたハウジング等に形成されたキー溝)に挿入される爪部(以下、固定側爪部という)とが設けられている。そして、特許文献1のスクロール圧縮機においては、変動する自転モーメントとオルダムリングの自重による慣性力を重ね合わせたものが、元々の自転モーメントよりも変動が小さくなるようにオルダムリングの往復動方向が決められている。
しかしながら、オルダムリングの慣性力を利用する方法は、揺動側爪部にかかる反力の低減には有効であるが、固定側爪部にかかる反力の低減ができないという問題点があった。オルダムリングが固定スクロール側のキー溝の長手方向に沿って往復動するためである。
また、渦巻歯が所謂非対称形状であるスクロール圧縮機の場合、元々の自転モーメントの変動が増大し、自転モーメントの作用方向が逆転する場合があった。つまり、特許文献1のスクロール圧縮機においては、揺動側爪部にかかる反力の方向はオルダムリングの慣性力を利用して一方向に保つことができるが、固定側爪部にかかる反力はその方向が反転する場合があった。このため、固定スクロール側のキー溝は、固定側爪部にかかる反力を支持する面が入れ替わってしまう。したがって、固定側爪部と固定スクロール側のキー溝との間のクリアランス分だけオルダムリングが自転してしまい、騒音や振動が増大してしまうという問題点があった。また、このオルダムリングの自転によって、揺動スクロールの姿勢規正が甘くなり、半径方向すきまからの冷媒漏れの原因にもなっていた。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、渦巻歯が所謂非対称形状であるスクロール圧縮機であって、揺動スクロールに作用する元々の自転モーメントの変動幅を低減することが可能なスクロール圧縮機を得ることを目的とする。
本発明に係るスクロール圧縮機は、台板の一方の面に第1の揺動側渦巻歯が形成され、台板の他方の面に第2の揺動側渦巻歯が形成された揺動スクロールと、第1の揺動側渦巻歯と組み合わされる第1の固定側渦巻歯が形成された第1の固定スクロールと、第2の揺動側渦巻歯と組み合わされる第2の固定側渦巻歯が形成された第2の固定スクロールと、揺動スクロールに挿入され、揺動スクロールを駆動する駆動軸と、を備え、第1の揺動側渦巻歯と第1の固定側渦巻歯は、第1の揺動側渦巻歯の外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が第1の揺動側渦巻歯の内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するように、非対称渦巻形状に形成され、第2の揺動側渦巻歯と第2の固定側渦巻歯は、第2の揺動側渦巻歯の外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が第2の揺動側渦巻歯の内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するように、非対称渦巻形状に形成され、第1の揺動側渦巻歯と第2の揺動側渦巻歯は、基準方向が180degずれた位相に配置されているものである。
両面に渦巻歯が形成された従来のスクロール圧縮機は、駆動軸が揺動スクロールの略中央部に挿入されるため、揺動スクロールの略中央部を冷媒の圧縮過程に利用することができず、内部容積比を大きく設定することが難しかった。しかしながら、本発明に係るスクロール圧縮機は、揺動スクロール及び固定スクロールに形成される渦巻歯を所謂非対称形状としているので、内部容積比を大きく設定することが可能となる。
また、本発明に係るスクロール圧縮機の第1の揺動側渦巻歯と第2の揺動側渦巻歯は、基準方向が180degずれた位相に配置されている。このため、所謂非対称形状の渦巻歯を有する揺動スクロール特有の自転モーメントの変動を平滑化することが可能となる。このため、自転モーメントの逆転による振動・騒音の発生及び冷媒漏れの増大を回避することができる。つまり、オルダムリングの爪部に起因する振動・騒音が小さく、揺動スクロールの自転に伴なう冷媒漏れの少ないスクロール圧縮機を得ることが可能となる。
本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の概略縦断面図である。 本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の揺動スクロールを示す説明図である。 本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の上固定スクロールを示す底面図である。 本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の下固定スクロールを示す平面図である。 非対称渦巻歯の圧縮過程の説明図である。 揺動スクロール渦巻歯に作用するガス加重の計算方法を説明する説明図である。 揺動スクロールの伸開始点角(外向面側の伸開始点角φos、内向面側の伸開始点角φis)及び延長伸開角φexと揺動スクロールに作用する自転モーメントTrとの関係を示す特性図である。 図7に続く、揺動スクロールの伸開始点角(外向面側の伸開始点角φos、内向面側の伸開始点角φis)及び延長伸開角φexと揺動スクロールに作用する自転モーメントTrとの関係を示す特性図である。 図8に続く、揺動スクロールの伸開始点角(外向面側の伸開始点角φos、内向面側の伸開始点角φis)及び延長伸開角φexと揺動スクロールに作用する自転モーメントTrとの関係を示す特性図である。 台板両面の渦巻伸開始点角の基準方向を変化させたときの、自転モーメントTrの平均値に対するTrの最小値の比を図7〜図9の2仕様に対して計算した図であり、(a)が伸開始点角(φos=0.5π,φis=1.5π,φex=120deg)の場合を示し、(b)が伸開始点角(φos=2.5π,φis=3.5π,φex=180deg)の場合を示す。
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機を表す概略断面図である。図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
圧縮機100は、冷凍サイクル回路を循環する冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧の状態として吐出させるものである。このスクロール圧縮機100は、密閉型の圧縮機であり、略円筒状の密閉容器1の内部には、モーター2及び圧縮機構3等が設けられている。また、密閉容器1の例えば側面部には、冷媒を密閉容器1内へ吸入する吸入管11が設けられている。
モーター2は、ステーター2a及びローター2bを備えている。ステーター2aは中空円筒形状をしており、その外周部が密閉容器1の内壁に例えば圧入固定されている。このステーター2aは、例えば電磁鋼板等の鋼板を複数枚積層させることにより構成されている。また、ステーター2aには、内周部の溝にコイルが例えば分布巻きされている。このコイルは、ガラス端子6に接続されている。
ローター2bは中空円筒形状をしており、ステーター2aの内側に配置されている。ローター2bがステーター2aの内側に配置された状態においては、ローター2bの外周面とステーター2aの内周面との間にわずかな空隙が形成されている。このローター2bは、例えば電磁鋼板等の鋼板を複数枚積層させることにより構成されている。また、ローター2bの中心部には、駆動軸となる軸7が挿入されている。この軸7は、後述の圧縮機構3とも接続されている。
圧縮機構3は、上固定スクロール31、下固定スクロール32、揺動スクロール4及びオルダムリング5等を備えている。本実施の形態に係る圧縮機構3は、揺動スクロール4の台板4fの両面に渦巻歯(上渦巻歯4a、下渦巻歯4b)が形成されたものであり、渦巻歯が所謂非対称形状となったものである。
図1に示すように、上固定スクロール31は、揺動スクロール4の上方に設けられており、例えば密閉容器1の側面部に固定されている。この上固定スクロール31の下面部には、揺動スクロール4の上渦巻歯4aと組み合わされる渦巻歯31eが形成されている。また、上固定スクロール31には、吐出ポート31b及び吸入ポート31cが形成されている。
上固定スクロール31は、その略中央部に上軸受31aが設けられており、軸7を回動自在に支持している。
下固定スクロール32は、揺動スクロール4の下方に設けられており、例えば密閉容器1の側面部に固定されている。この下固定スクロール32の上面部には、揺動スクロール4の下渦巻歯4bと組み合わされる渦巻歯32eが形成されている。また、下固定スクロール32には、吐出ポート32b及び吸入ポート32cが形成されている。
下固定スクロール32は、その略中央部に下軸受32aが設けられており、軸7を回動自在に支持している。
揺動スクロール4は、上固定スクロール31と下固定スクロール32との間に設けられている。揺動スクロール4の台板4fの上面部には、上固定スクロール31の渦巻歯31eと組み合わされる上渦巻歯4aが形成されている。揺動スクロール4の台板4fの下面部には、下固定スクロール32の渦巻歯32eと組み合わされる下渦巻歯4bが形成されている。また、揺動スクロール4の略中央部には揺動軸受4cが設けられている。この揺動軸受4cには、軸7の偏心部7aが挿入されている(貫通して設けられている)。
つまり、本実施の形態に係る圧縮機構3は、2つの圧縮室(上圧縮室21、下圧縮室22)が形成されることとなる。より詳しくは、揺動スクロール4の上渦巻歯4aと上固定スクロール31の渦巻歯31eとの間の空間が上圧縮室21となる。揺動スクロール4の下渦巻歯4bと下固定スクロール32の渦巻歯32eとの間の空間が下圧縮室22となる。
上圧縮室21には、上固定スクロール31に形成された吐出ポート31bを介して、吐出管12aが接続されている。また、下圧縮室22には、下固定スクロール32に形成された吐出ポート32bを介して、吐出管12bが接続されている。
ここで、揺動スクロール4の上渦巻歯4aが、本発明における第1の揺動側渦巻歯に相当する。揺動スクロール4の下渦巻歯4bが、本発明における第2の揺動側渦巻歯に相当する。また、上固定スクロール31が本発明における第1の固定スクロールに相当し、上固定スクロール31の渦巻歯31eが本発明における第1の固定側渦巻歯に相当する。下固定スクロール32が本発明における第2の固定スクロールに相当し、下固定スクロール32の渦巻歯32eが本発明における第2の固定側渦巻歯に相当する。
なお、上固定スクロール31、下固定スクロール32及び揺動スクロール4に形成された渦巻歯の詳細形状については後述する。
上固定スクロール31と揺動スクロール4との間には、揺動スクロール4の自転運動を阻止するためのオルダムリング5が設けられている。このオルダムリング5には複数の爪部が設けられている。これら爪部は、上固定スクロール31のオルダム溝31dや揺動スクロール4のオルダム溝4eに、摺動自在に挿入されている。上固定スクロール31と揺動スクロール4との間にオルダムリング5が設けられることにより、揺動スクロール4は、上固定スクロール31及び下固定スクロール32に対して、自転運動することなく公転運動を行う。
軸7には、上固定スクロール31の上側と下固定スクロール32の下側のそれぞれに、上バランスウェイト8aと下バランスウェイト8bが取り付けられている。これら上バランスウェイト8a及び下バランスウェイト8bは、偏心部7aと偏心方向が逆向きになるように取り付けられている。また、軸7の下端部には、軸7内の縦孔を経由して各軸受部に潤滑油10を給油するための油ポンプ9が取り付けられている。
ステーター2aとのコイルにガラス端子6から電力が供給されると、上固定スクロール31と下固定スクロール32の中央部で支持された軸7が回転し、揺動スクロール4は自転せずに揺動運動を行なう。これにより、吸入管11から密閉容器1内に吸入されたガス状冷媒は、上圧縮室21及び下圧縮室22に取り込まれて圧縮される。上圧縮室21及び下圧縮室22で圧縮されたガス状冷媒は、吐出ポート31b及び吐出ポート32bから吐出され、吐出管12a及び吐出管12bを介して冷房サイクル回路へと至る。
続いて、上固定スクロール31、下固定スクロール32及び揺動スクロール4に形成された渦巻歯の詳細形状について説明する。
図2は、本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の揺動スクロールを示す説明図である。なお、図2(a)は、揺動スクロール4の平面図(図1の上側から見た図)を示している。図2(b)は、揺動スクロール4の縦断面図(図1と同じ切断方向に切断した断面図)を示している。図2(c)は、揺動スクロール4の底面図(図1の下側から見た図)を示している。
揺動スクロール4の略中央部から若干偏心した位置には、揺動スクロール4の台板4f、後述の球根形状部4a1及び球根形状部4b1を貫通する孔が形成されている。この孔が、上述の揺動軸受4cとなる。また、この孔の両端部の外周部には、この孔とこの孔の外周側に形成される圧縮室とを区画するため、内周シール溝4dが形成されている。
台板4fの上面部には上渦巻歯4aが伸開形成されている。この上渦巻歯4aの最内周部は、例えば大径の球根形状部4a1が形成されている。位相の基準位置(伸開角0deg)から上渦巻歯4aの内向面及び外向面を形成する伸開線を描き始めるまでの角度(伸開開始角)を大きくすると、この間の上渦巻歯4aの形状は略円弧形状となる。本実施の形態では、この外周縁形状が略円弧形状となった部分を、球根形状部4a1という(後述の球根形状部4b1も同様である)。また、上渦巻歯4aは、上渦巻歯4aの外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が上渦巻歯4aの内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するような、所謂非対称渦巻形状に形成されている。
また、台板4fの上面部には、オルダムリング5の爪部が挿入されるオルダム溝4eも形成されている。
台板4fの下面部には下渦巻歯4bが伸開形成されている。この下渦巻歯4bの最内周部は、例えば大径の球根形状部4b1が形成されている。この下渦巻歯4bは、位相の基準方向(伸開角が0degとなる方向)が上渦巻歯4aと略180deg異なる位相に配置されている。より詳しくは、位相の基準方向が異なることを除けば、上渦巻歯4aと下渦巻歯4bは実質的に略同一の形状となっている。つまり、台板4fを透過して上渦巻歯4aと下渦巻歯4bを見た場合、位相の基準方向が異なることを除けば、上渦巻歯4aと下渦巻歯4bは略同一の形状となっている。したがって、下渦巻歯4bも、下渦巻歯4bの外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が下渦巻歯4bの内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するような、所謂非対称渦巻形状に形成されている。
図3は、本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の上固定スクロールを示す底面図(図1の下側から見た図)である。また、図4は、本発明の実施の形態によるスクロール圧縮機の下固定スクロールを示す平面図(図1の上側から見た図)である。
上固定スクロール31の略中央部には、上軸受31aとなる貫通孔が形成されている。
また、上固定スクロール31の下面部には、渦巻歯31eが形成されている。渦巻歯31eは、上渦巻歯4aの外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が上渦巻歯4aの内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するような、所謂非対称渦巻形状に形成されている。また、渦巻歯31eの最内周部近傍には吐出ポート31bが形成されており、渦巻歯31eの最外周部近傍には吸入ポート31cが形成されている。これら吐出ポート31b及び吸入ポート31cの開口部形状は、略長穴形状となっている。
上固定スクロール31の下面部には、オルダムリング5の爪部が挿入されるオルダム溝31dも形成されている。
上固定スクロール31は、台板上に渦巻歯31eだけが形成されているタイプではなく、歯底部材厚+歯高分の素材に渦巻溝部分を加工した溝加工タイプである。つまり、渦巻歯31eは、素材に渦巻溝を加工することにより形成されている。また、この渦巻溝は、上渦巻歯4aの最外周部から略半周分の外向面と対向する内向面を形成するように、加工されている。この内向面は、通常の対称形状渦巻歯ではシール点形成に関与しないため、設けられていないものである。なお、本実施の形態では、この内向面も渦巻歯31eの一部とみなす。
下固定スクロール32の略中央部には、下軸受32aとなる貫通孔が形成されている。
また、下固定スクロール32の上面部には、渦巻歯32eが形成されている。渦巻歯32eは、下渦巻歯4bの外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が下渦巻歯4bの内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するような、所謂非対称渦巻形状に形成されている。また、渦巻歯32eの最内周部近傍には吐出ポート32bが形成されており、渦巻歯32eの最外周部近傍には吸入ポート32cが形成されている。これら吐出ポート32b及び吸入ポート32cの開口部形状は、略長穴形状となっている。
下固定スクロール32も上固定スクロール31と同様に、台板上に渦巻歯32eだけが形成されているタイプではなく、歯底部材厚+歯高分の素材に渦巻溝部分を加工した溝加工タイプである。また、この渦巻溝は、下渦巻歯4bの最外周部から略半周分の外向面と対向する内向面を形成するように、加工されている。この内向面は、通常の対称形状渦巻歯ではシール点形成に関与しないため、設けられていないものである。なお、本実施の形態では、この内向面も渦巻歯32eの一部とみなす。
また、下固定スクロールの上面部には、渦巻溝を囲むように外周シール溝32dが形成されている。
次に、非対称渦巻形状の渦巻歯による圧縮過程を説明する。
図5は、非対称渦巻歯の圧縮過程の説明図である。なお、揺動スクロール4の上渦巻歯4aと上固定スクロール31の渦巻歯31eとの間での圧縮過程と、揺動スクロール4の下渦巻歯4bと下固定スクロール32の渦巻歯32eとの間での圧縮過程と、は同様となる。このため、以下では、上固定スクロール31の渦巻歯31eと下固定スクロール32の渦巻歯32eを総称して、固定スクロール渦巻歯30と記す。また、揺動スクロール4の上渦巻歯4aと下渦巻歯4bを総称して、揺動スクロール渦巻歯40と記す。また、図5は、破線で示した固定スクロール渦巻歯30に組み合わされた実線の揺動スクロール渦巻歯40が0deg→90deg→180deg→270degと揺動運動する状況を表している。
揺動スクロール渦巻歯40の外向面と固定スクロール渦巻歯30の内向面で形成される圧縮室(以下、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室という)のうち最外室は、0degの時点で冷媒の吸入が完了する(冷媒の圧縮開始となる)。揺動外向面/固定内向面側の圧縮室の最外室における圧力は、P2oとなっている。揺動スクロールが1回転すると、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室の圧力はP1oとなっている。更に揺動スクロールが1回転すると、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室の圧力は、揺動内向面/固定外向面側の圧縮室(揺動スクロール渦巻歯40の内向面と固定スクロール渦巻歯30の外向面で形成される圧縮室)と連通してP0となっている。
揺動内向面/固定外向面側の圧縮室のうち最外室は、180degの時点で冷媒の吸入が完了する(冷媒の圧縮開始となる)。揺動内向面/固定外向面側の圧縮室の最外室における圧力は、P2iとなっている。この時点で揺動外向面/固定内向面側の圧縮室は既に1/2回転分圧縮過程が進んでいるので、P2oはP2iよりも高くなっている。一周内側のP1oとP1iについても同様で、この状況は揺動外向面/固定内向面側の圧縮室と揺動内向面/固定外向面側の圧縮室とが連通して最内室(圧力P0)となるまで続く。なお、通常の対称形状渦巻歯における圧縮過程の場合、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室における吸入完了タイミングは、揺動内向面/固定外向面側の圧縮室における吸入完了と同じである。このため、対応する双方の圧縮室の圧力(例えば、P2oとP2i)は、原理的には常に等しい。
本実施の形態では、固定スクロール渦巻歯30及び揺動スクロール渦巻歯40を非対称渦巻歯とすることで、揺動スクロール渦巻歯40の外向面側のシール点形成開始タイミングを早めている。このため、上述のように、対応する双方の圧縮室の圧力が異なっている。この差圧によって揺動スクロールに作用するガス荷重により、揺動スクロールの自転モーメントの変動幅が拡大する。このため、非対称渦巻歯による圧縮過程の場合、揺動スクロールの自転モーメントの変動幅を低減させるには、このガス荷重の差を計算に入れなくてはならない。
例えば、揺動スクロール渦巻歯40が180deg揺動運動した状態(図5の180deg)に着目すると、圧力P2oが外向面に付与されている範囲の揺動スクロール渦巻歯40は、その外周側(巻き終わり側)の約半分の内向面に圧力P2iが付与されている。このため、この範囲の揺動スクロール渦巻歯40では、外向面側の圧力と内向面側の圧力に差が生じる。また、圧力P1oが外向面に付与されている範囲の揺動スクロール渦巻歯40は、その外周側の約半分の内向面に圧力P1iが付与されている。このため、この範囲の揺動スクロール渦巻歯40では、外向面側の圧力と内向面側の圧力に差が生じる。したがって、揺動スクロールの自転モーメントの変動幅を低減させるには、この差圧によって揺動スクロールに作用するガス荷重を計算に入れなくてはならない。
なお、固定スクロール渦巻歯30及び揺動スクロール渦巻歯40を非対称渦巻歯としているのは、圧縮機構3の行程容積及び内部容積比を大きくするためである。
例えば、揺動スクロール渦巻歯が180deg揺動運動したときの揺動内向面/固定外向面側の圧縮室の容積を、揺動内向面/固定外向面側の圧縮室の行程容積Vstiとする。この場合、通常の対称形状渦巻歯では、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室の行程容積VstoがVstiとなる。したがって、渦巻歯が対称形状である圧縮機構の行程容積Vstは、Vst=2×Vsti=2×Vstoとなる。一方、非対称渦巻歯では、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室の行程容積VstoがVsto>Vstiとなる。したがって、渦巻歯が非対称形状である圧縮機構の行程容積Vstは、Vst=Vsti+Vsto>2×Vstiとなる。つまり、渦巻歯が非対称形状である圧縮機構は、渦巻歯が対称形状である圧縮機構よりも、行程容積及び内部容積比を大きくすることができる。
図6は、揺動スクロール渦巻歯に作用するガス加重の計算方法を説明する説明図である。ここで、図6(a)は、揺動内向面/固定外向面側の圧縮室から揺動外向面/固定内向面側の圧縮室方向へ作用するガス加重の計算方法を説明するための説明図である。また、図6(b)は、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室から揺動内向面/固定外向面側の圧縮室方向へ作用するガス加重の計算方法を説明するための説明図である。なお、図6では、固定スクロール渦巻歯30を破線で示し、揺動スクロール渦巻歯40を実線で示している。また、図6に示す揺動スクロール渦巻歯40は、最内周部(巻始め部)に球根形状部が形成されていない(伸開始点角を大きく設定したものでない)、一般的な巻始め部を有するものとしている。
図6(a)に示すように、揺動スクロール渦巻歯40の斜線部には、揺動内向面/固定外向面側の第n室(n番目の圧縮室)の圧力Pniと揺動外向面/固定内向面側の第n+1室の圧力P(n+1)oとの差圧が作用する(但し最内室はP0,最外周は吸入圧Ps)。このとき、シール点間距離はLni(n+1)oとなっているので、揺動スクロール渦巻歯40の斜線部には、h×Lni(n+1)o×(Pni−P(n+1)o)の力が作用する。ここで、hは揺動スクロール渦巻歯40の歯高を表す。
このため、揺動スクロール渦巻歯40の各斜線部に作用する力の合計に相当する力Fioに抗して、揺動スクロールを駆動しなければならない。
また、図6(b)に示すように、揺動スクロール渦巻歯40の斜線部には、揺動外向面/固定内向面側の第n室の圧力Pnoと揺動内向面/固定外向面側の第n室の圧力Pniとの差圧が作用する(但し最内室はP0,最外周は吸入圧Ps)。このとき、シール点間距離はLnoiとなっているので、揺動スクロール渦巻歯40の斜線部には、h×Lnoi×(Pno−Pni)の力が作用する。
このため、揺動スクロール渦巻歯40の各斜線部に作用する力の合計に相当する力Foiに抗して、揺動スクロールを駆動しなければならない。
なお、対称形状渦巻歯の場合、Pno=Pniとみなせるので、力Foiを計算する必要はなかった。
したがって、揺動スクロールの揺動半径をRrとすると、Rr×(Fio+Foi)が、ガス圧縮に要するガス圧縮トルクTθとなる。
このとき、Fio及びFoiの各作用点と揺動スクロールの中心(偏心部7aの中心)が一致しないため、FioとFoiのそれぞれは、揺動スクロールを揺動スクロールの中心周りに回転(自転)させるように作用する。これが自転モーメントTrと言われるものである。図6の揺動スクロール中心から作用点までの距離を参照すると、自転モーメントTrの大きさのうち、Fio成分の大きさはFio×Rr/2となり、Foi成分の大きさは−Foi×(p−Rr)/2となる。なお、pは揺動スクロール渦巻歯40のピッチである。また、自転モーメントTrのFio成分とFoiは向きが逆になる。
上述のように、対称形状渦巻歯の場合にはPno=Pniとみなせたので、力Foiを計算する必要はない。このため、ガス圧縮トルクTθはFioに関してのみ計算すればよく、Tθ=Rr×Fioとなる。したがって、自転モーメントTrはTr=Rr/2×Fio=Tθ/2となる。つまり、揺動スクロールが自転しようとする向きは、揺動スクロールの外向面側シール点が閉じる方向(揺動スクロールの内向面側シール点が開く方向)で一定していた。
これに対して、非対称渦巻歯では、自転モーメントTrがTr=Fio×Rr/2−Foi×(p−Rr)/2=(Fio+Foi)×Rr/2−Foi×pとなる。このため、揺動スクロールが自転しようとする向きは、その方向が逆転する場合もあり得ることになる。
揺動スクロールの自転を規正するためのオルダムリングは、本来一定方向の自転モーメントに対して姿勢を規正するためのものである。このため、揺動スクロールに作用する自転モーメントが逆転すると、オルダムリングの爪部の摺動面が反転してしまう。つまり、オルダムリングの爪部とこの爪部が挿入される溝部(本実施の形態に係るスクロール圧縮機ではオルダム溝31d及びオルダム溝4e)との間のクリアランス分だけ、揺動スクロールやオルダムリングが自転してしまう。また、この自転に起因して、振動や騒音が発生してしまう。また、固定スクロール渦巻歯30と揺動スクロール渦巻歯40との間のすきま(半径方向すきま)からの冷媒漏れが増大してしまう。したがって、従来の方法(例えば、特許文献1参照)で揺動スクロールの自転モーメントの変動幅を低減することは、避けるべきである。
ここで、揺動スクロールに作用する自転モーメントが逆転するかどうかは、上記の計算式よりFoiの大きさに依存していることがわかる。このFoiは、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室への吸入完了タイミングを揺動内向面/固定外向面側の圧縮室への吸入完了タイミングよりも早めたことにより発生した力である。このため、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室への吸入完了タイミングを揺動内向面/固定外向面側の圧縮室への吸入完了タイミングよりも早めた角度(以下、延長伸開角φexという)が大きいほど、揺動スクロールに作用する自転モーメントの変動幅が大きくなるといえる。つまり、揺動スクロールに作用する自転モーメント方向が逆転してしまう可能性が増すといえる。
図7〜図9は、揺動スクロールの伸開始点角(外向面側の伸開始点角φos、内向面側の伸開始点角φis)及び延長伸開角φexと揺動スクロールに作用する自転モーメントTrとの関係を示す特性図である。この図7〜図9は、揺動スクロールの歯高h,ピッチp,歯厚t,巻数を固定して、揺動スクロールの伸開始点角(外向面側の伸開始点角φos、内向面側の伸開始点角φis)及び延長伸開角φexと揺動スクロールに作用する自転モーメントTrとの関係を示したものである。なお、延長伸開角φexは、揺動内向面/固定外向面側の圧縮室における行程容積と揺動外向面/固定内向面側の圧縮室における行程容積との和が一定となるように、変化させている。
図7〜図9では、揺動スクロールの伸開始点角(外向面側の伸開始点角φos、内向面側の伸開始点角φis)及び延長伸開角φexを変化させて、固定スクロール渦巻歯の形状及び揺動スクロール渦巻歯の形状を求めている。そして、これら各形状の固定スクロール渦巻歯の形状及び揺動スクロール渦巻歯について、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室の冷媒吸入を完了したときの組合せ形状を示している。また、これら各形状の揺動スクロール渦巻歯に作用する一回転中の自転モーメントTrの変動を、ガス圧縮トルクTθの平均値に対する比としてグラフに示している(以下、自転モーメントTrの平均ガス圧縮トルクに対する比を自転モーメント比という)。なお、グラフに示す折れ線Aは、台板の一方の面に歯高hの揺動スクロール渦巻歯を形成した場合の自転モーメント比を示している。また、グラフに示す折れ線Bは、台板の両面に歯高1/2の揺動スクロール渦巻歯を形成し、これら揺動スクロール渦巻歯の位相を180degずらした場合の自転モーメント比を示している。
図7〜図9に示す延長伸開角φex=0[deg]の固定スクロール渦巻歯及び揺動スクロール渦巻歯は、対称形状渦巻歯である。折れ線Aの自転モーメント比及び折れ線Bの自転モーメント比は、共に0.5前後で変動している。(自転モーメント比が0.5で一定とならないのは、基準を平均ガス圧縮トルクとしているからである。各回転角におけるガス圧縮トルクを分母にすると、自転モーメント比は0.5で一定となる。)
ここで、折れ線Aの自転モーメント比(台板の一方の面に歯高hの揺動スクロール渦巻歯を形成した場合の自転モーメント比)に着目する。延長伸開角φexを60[deg],120[deg]として非対称性を増していくと、上述のように揺動外向面/固定内向面側の圧縮室への吸入完了タイミングが揺動内向面/固定外向面側の圧縮室への吸入完了タイミングよりも早まる度合いが増大し、自転モーメント比の変動幅が拡大する。そして、φex=180[deg]で、自転モーメント比の変動幅最大となる。(原理的に非対称渦巻歯の延長伸開角φexは180[deg]を越えられない。)
また、延長伸開角φex=0[deg]の対称形状渦巻歯では、伸開始点角を大きくして渦巻歯巻始め部のスペース(球根形状部)を大きくしていく程、自転モーメント比の変動幅が拡大する傾向にある。また、延長伸開角φexを最大の180[deg]とした場合、伸開始点角が小さい方が自転モーメント比の変動幅が大きくなる傾向にあり、φis=1.5πとφis=2.5πでは自転モーメントが逆転する回転角もある。これは、図6を参照すると、以下の理由によると考えられる。圧力P0の最内室が関与するガス荷重は、図6(a)のシール点間距離L01oにおける斜線部に作用するガス荷重に関するものである(揺動内向面/固定外向面側の圧縮室から揺動外向面/固定内向面側の圧縮室方向へ作用するガス加重に関するものである)。つまり、圧力P0の最内室が関与するガス荷重は、揺動外向面/固定内向面側の圧縮室から揺動内向面/固定外向面側の圧縮室方向へ作用するガス加重に関するものではない。このため、圧力P0の最内室が関与するガス荷重は、非対称渦巻歯の場合と対称形状渦巻歯の場合とで同様である。したがって、巻始め部のスペース(球根形状部)を大きくすることにより、伸開始点角が小さい場合に較べて、全ガス荷重に占める最内室関与の割合が増すことで、自転モーメント比の変動が抑えられる。
次に、折れ線Bの自転モーメント比(台板の両面に歯高1/2の揺動スクロール渦巻歯を形成し、これら揺動スクロール渦巻歯の位相を180degずらした場合の自転モーメント比)に着目する。
図7〜図9からわかるように、何れの場合も、折れ線Bの自転モーメント比は、折れ線Aの自転モーメント比の半分以下に抑制されている(平滑化されている)。台板の一方の面(例えば上面)に形成された揺動スクロール渦巻歯に作用するガス荷重と、台板の他方の面(例えば下面)に形成された揺動スクロール渦巻歯に作用するガス荷重と、が相殺し合うからである。
また、伸開始点角を大きくして渦巻歯巻始め部のスペース(球根形状部)を設ける方が(φis=2.5π又はφis=3.5πの場合)、折れ線Bの自転モーメント比の変動幅を低減できていることがわかる。つまり、伸開始点角を大きくして渦巻歯巻始め部のスペース(球根形状部)を設ける方が(φis=2.5π又はφis=3.5πの場合)、揺動スクロールに作用する自転モーメントを低減できていることがわかる。
以上、このように構成されたスクロール圧縮機100においては、揺動スクロール4に形成された上渦巻歯4a及び下渦巻歯4bを非対称形状としている。このため、従来は軸が貫通するために内部容積比が小さくなってしまっていた揺動スクロールの構成(台板の両面に渦巻歯が形成された揺動スクロールの構成)としても、行程容積を増大させた分、内部容積比を大きくすることができる。
また、基準方向(伸開角が0degとなる方向)が上渦巻歯4aと180deg異なる位相となるように下渦巻歯4bを配置しているので、上渦巻歯4a及び下渦巻歯4bが非対称形状となっていても、揺動スクロール4に作用する自転モーメントを平滑化することができる(自転モーメントの変動幅を低減することができる)。
したがって、このように構成されたスクロール圧縮機100は、自転モーメントの逆転による振動・騒音の発生及び冷媒漏れの増大を回避することができる。つまり、オルダムリング5の爪部に起因する振動・騒音が小さく、揺動スクロール4の自転に伴なう冷媒漏れの少ないスクロール圧縮機100を得ることが可能となる。
また、上渦巻歯4a及び下渦巻歯4bの最内周部に球根形状部4a1及び球根形状部4b1を設けたので、上記の効果をより確実に得ることができる。
図10は、図7〜図9の2仕様について、上下渦巻の基準方向の位相差を10deg刻みで変化させて計算した、自転モーメントの変動を示したものである。(a)φos=0.5π,φis=1.5π,φex=120degと(b)φos=2.5π,φis=3.5π,φex=180degについて、横軸基準位相差Δφsに対して、一回転中の自転モーメントの最小値の平均値に対する比を縦軸に示している。自転モーメントの平均値は基準方向の位相差に関わらず常に一定値であり、この平均値に対する最小値の比が1に近いほど平滑化の効果が大きいことを示している。例えば、Tr(min)/Tr(mean)=1は自転モーメントの変動が全く無いことを示しており、Tr(min)/Tr(mean)=0であれば、自転モーメントの変動幅は2×Tr(mean)ということになる。
図10より、Δφsを90deg〜270degに設定すれば、位相差180degのときの概略半分以上の平滑化効果が得られることがわかる。
1 密閉容器、2 モーター、2a ステーター、2b ローター、3 圧縮機構、31 上固定スクロール、31a 上軸受、31b 吐出ポート、31c 吸入ポート、31d オルダム溝、31e 渦巻歯、32 下固定スクロール、32a 下軸受、32b 吐出ポート、32c 吸入ポート、32d 外周シール溝、32e 渦巻歯、4 揺動スクロール、4a 上渦巻歯、4a1 球根形状部、4b 下渦巻歯、4b1 球根形状部、4c 揺動軸受、4d 内周シール溝、4e オルダム溝、4f 台板、5 オルダムリング、6 ガラス端子、7 軸、7a 偏心部、8a 上バランスウェイト、8b 下バランスウェイト、9 油ポンプ、10 潤滑油、11 吸入管、12a 吐出管、12b 吐出管、21 上圧縮室、22 下圧縮室、30 固定スクロール渦巻歯、40 揺動スクロール渦巻歯、100 スクロール圧縮機。

Claims (2)

  1. 台板の一方の面に第1の揺動側渦巻歯が形成され、前記台板の他方の面に第2の揺動側渦巻歯が形成された揺動スクロールと、
    前記第1の揺動側渦巻歯と組み合わされる第1の固定側渦巻歯が形成された第1の固定スクロールと、
    前記第2の揺動側渦巻歯と組み合わされる第2の固定側渦巻歯が形成された第2の固定スクロールと、
    前記揺動スクロールに挿入され、前記揺動スクロールを駆動する駆動軸と、
    を備え、
    前記第1の揺動側渦巻歯と前記第1の固定側渦巻歯は、前記第1の揺動側渦巻歯の外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が前記第1の揺動側渦巻歯の内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するように、非対称渦巻形状に形成され、
    前記第2の揺動側渦巻歯と前記第2の固定側渦巻歯は、前記第2の揺動側渦巻歯の外向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了が前記第2の揺動側渦巻歯の内向面側に形成される圧縮室への冷媒の吸入の完了よりも先行するように、非対称渦巻形状に形成され、
    前記第1の揺動側渦巻歯と前記第2の揺動側渦巻歯は、基準方向が90〜270deg異なる位相に配置されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記第1の揺動側渦巻歯及び前記第2の揺動側渦巻歯は、渦巻歯の最内周部に球根形状部が形成され、
    前記駆動軸は、これら球根形状部を貫通して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
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