JP2011132579A - 樹脂基材への無電解めっき方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な工程により、樹脂基材への密着性に優れ、平滑なめっきパターンが形成できる樹脂基材への無電解めっき方法を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂基材上に無電解めっきによりめっきする無電解めっき方法であって、樹脂基材に接着性のある樹脂材料に、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を混合・分散し塗工液を作製する工程と、塗工液を樹脂基材上に塗布し接着層を形成する工程と、接着層を加熱する工程と、接着層表面に無電解めっきを行う工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂基材上に無電解めっきによりめっきする無電解めっき方法であって、樹脂基材に接着性のある樹脂材料に、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を混合・分散し塗工液を作製する工程と、塗工液を樹脂基材上に塗布し接着層を形成する工程と、接着層を加熱する工程と、接着層表面に無電解めっきを行う工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、無電解めっき困難な樹脂基材に対し、密着性に優れた平滑な金属めっき被膜を形成でき、かつ工程が簡便な無電解めっき方法に関するものである。
従来、樹脂基材の表面に無電解めっきを施す場合、基材とめっきの密着性を確保するために、無電解めっきの触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有し、かつ基材と直接化学結合するポリマーからなるポリマー層を基材上に形成して、無電解めっきを行う方法が提案されている。
例えば(特許文献1)のように、基材表面に表面グラフト重合反応を用いて、基材表面に無電解めっきの触媒またはその前駆体と相互作用し、かつ基材と直接化学結合するポリマー層(以下ポリマー層)を形成する方法が提案されている。
しかしながら、グラフト重合にはプラズマ装置など高価な設備が必要な上、ポリマー層を形成するために、多くの材料や工数・時間を費やす必要があった。
また、グラフト重合によってできるポリマー層は0.1μm程度と薄いため、樹脂基材表面に0.1μm以上の凹凸があった場合、ポリマー層表面に形成されるめっき被膜に凹凸ができてしまい、配線パターンの微細化や平滑性が必要となる近年の高密度化、高周波化された半導体デバイスにとって問題があり、この凹凸を吸収するためには、別途凹凸を吸収する中間層が必要であった。
そこで本発明は、簡便な工程により、樹脂基材への密着性に優れ、平滑なめっきパターンが形成できる無電解めっき方法を提供することを目的とする。
本発明は、樹脂基材上に無電解めっきによりめっきする方法であって、樹脂基材に接着性のある樹脂材料に、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を混合・分散し、塗工液を作製する工程と、塗工液を樹脂基材上に塗布し接着層を形成する工程と、接着層を加熱する工程と、接着層表面に無電解めっきを行う工程とを有することを特徴とする。
以上のように、簡便な工程により、樹脂基材への密着性に優れ、平滑なめっきパターンが形成できる無電解めっき方法を提供することができる。
本発明の無電解めっき方法は、樹脂基材上に無電解めっきによりめっきする方法であって、樹脂基材に接着性のある樹脂材料に無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を混合・分散し塗工液を作製する工程と、塗工液を樹脂基材上に塗布し接着層を形成する工程と、接着層を加熱する工程と、接着層表面に無電解めっきを行う工程からなる、簡便な工程により、樹脂基材への密着性に優れ、平滑なめっきパターンが形成可能な無電解めっき方法を提供することができる。
また、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質がアミノ樹脂であることにより、接着層に対する無電解めっき触媒またはその前駆体の吸着力が高くなり、その結果無電解めっき被膜の密着力も高くなる。
また、上記アミノ樹脂の中でも、少なくともメラミン系化合物もしくはベンゾグアナミン系化合物のいずれか一方を使用することがさらに好ましく、この場合、無電解めっき触媒またはその前駆体への吸着力はより高くなり、その結果無電解めっき被膜の密着力もより高くなる。
また、メラミン系化合物もしくはベンゾグアナミン系化合物について、少なくともメチロール基、アルキルエーテル基のいずれか一方を含むことが好ましく、これにより、接着層樹脂との架橋反応が発生し、接着層被膜強度が向上すると同時に、メラミン系化合物もしくはベンゾグアナミン系化合物の固定化が向上する。さらにメラミン系化合物もしくはベンゾグアナミン系化合物同士での反応も起こり、その結果、未反応のメラミン系化合物もしくはベンゾグアナミン系化合物が、低分子状態で残存する割合が低くなり、接着層表面に低分子成分がブリードして不具合を発生させるようなことも少なくなる。
以下本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるめっきパターン形成の工程フロー図であり、図2は本発明の実施例1におけるめっきパターン形成の工程概略図である。これに沿って実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1におけるめっきパターン形成の工程フロー図であり、図2は本発明の実施例1におけるめっきパターン形成の工程概略図である。これに沿って実施例1を説明する。
まず、STEP1の塗工液調整工程について説明する。図2(a)での塗工液1は様々な条件で決定される。塗工液1を調整する場合、樹脂基材上に接着層を形成するための、樹脂基材に接着性のある樹脂材料(以下、接着材料)として、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、イミド樹脂等が適用できるが、これらに限定されず、樹脂基材の種類により、その基材に対する接着性や塗工作業性などから選択される。例えば樹脂基材がPETやPENなどの場合、樹脂基材に対して接着性の良好な樹脂として、塗料やインクのバインダーとして使用されるような、ポリエステル樹脂を接着材料として選択することができる。
また、本発明に使用する無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質としては、キレート樹脂やアミノ樹脂等があるが、特に限定されるものではない。例えば塗料等の硬化剤として一般的に使用されるメラミン化合物があげられる。
なお、接着材料がポリエステル樹脂のように末端に水酸基をもつような場合には、メラミン化合物のうち、メチロール基やアルキルエーテル基をもつものが好ましい。この場合、加熱時にポリエステル樹脂の水酸基とメチロール基もしくはアルキルエーテル基が反応するため、メラミン化合物が、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する効果だけでなく、ポリエステル樹脂の架橋剤となり、強固な接着層を形成することもできる。またメチロール基をもつメラミン化合物については、自己縮合反応することが可能なため、ポリエステル樹脂と未反応であったものについても、自ら高分子化することができ、低分子状態で接着層に残存することが少なく、接着層を加熱硬化後、低分子量のメラミン化合物が表面にブリードし、不具合を発生させる危険性を低減できる。
また、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質の接着材料への添加量については、特に限定されるものではなく、形成される接着層の塗膜強度や塗料への溶解性などから決定される。ただ、少なすぎると、無電解めっき触媒またはその前駆体の吸着性の低下により、めっきの密着強度が低下し、多すぎると、密着層形成後の塗膜内における未反応成分が多くなり、こちらもめっき密着強度の低下につながる。接着材料の10重量部に対し、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質は1〜10重量部程度が好ましい。
また、接着層に使用する樹脂が固体かもしくは粘度が高く、塗工が困難な場合には、有機溶剤に溶解し、使用することができる。この場合使用する有機溶剤は、主にエタノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸セロソルブ、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、ヘキサン、トルエン、キシレン等が使用されるが、これらに限定されるものではなく、基材の耐溶剤性、接着樹脂の溶解性、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質の溶解性、溶媒の乾燥性などから、適切なものが選択され、必要に応じて2種類以上の有機溶剤を混合して使用してもよい。
接着樹脂として適用できる樹脂としては、例えば、ユピコート(宇部興産株式会社製)などのポリイミド樹脂や、バイロン(東洋紡績株式会社製)などのポリエステル樹脂等があるが、本実施例では、非晶質ポリエステル樹脂バイロン240(東洋紡績株式会社製)を使用した。無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質としては、スーパーベッカミン(DIC株式会社)やサイメル(日本サイテックインダストリーズ株式会社製)、ユーバン(三井化学株式会社)などの、ベンゾグアナミン化合物、メラミン化合物、尿素化合物などがあるが、本実施例ではメラミン化合物で、メチロール基とメトキシメチル基を有する、サイメル370(日本サイテックインダストリーズ株式会社製)を使用した。
塗工液1はポリエステル樹脂及びメラミン化合物を用いて、まず非晶質ポリエステル樹脂バイロン240を10wt%、シクロヘキサノン70wt%、エタノール20wt%となるように配合し、ポリエステル樹脂が溶解するまで攪拌後、さらにバイロン240に対し、重量比率が7:3になるように、メラミン化合物サイメル370を添加し、さらに攪拌溶解させ製作した。
次に、STEP2の塗工工程、およびSTEP3の加熱工程について図2(b)、(c)を用いて説明する。図2(b)で塗工後の接着層2を形成するための、塗工液1の塗工方法としては、メイヤーバーコーターをはじめ、グラビアコーター、ダイコーターバー、スプレー、ディッピング、インクジェット等を適時使用できるが、これらに限定されるものではない。上記方法等により形成された、図2(b)の塗工後の接着層2を加熱・硬化させることで、図2(c)の加熱・硬化後の接着層4が得られるが、図2(a)の塗工液1中の接着材料などの固形分濃度によって、塗工後の接着層2に対する、加熱・硬化後の接着層4の厚みは変化する。例えば塗工液中の固形分濃度が10%の場合、塗工後の接着層2の厚みを20μmで形成した場合、加熱・硬化後の接着層4の厚みは、約2μmとなる。
図2(b)、(c)に示される、塗工後の接着層2及び加熱・硬化後の接着層4の厚みについては、特に限定はされないが、基材の表面に凹凸がある場合、例えば数μm程度の凹凸であれば、その凹凸以上に加熱・硬化後の接着層4の厚みを厚くすることで、基材表面の凹凸を吸収でき、乾燥後の接着層表面の凹凸が0.1μm以下の平滑面にすることも可能となる。そのため平滑パターンを形成するための中間層を別途設ける必要もない。なお、各接着層2、4が薄すぎると、基材への塗工ムラが発生しやすく、また加熱・硬化後の接着層4の厚みが厚くなりすぎると、接着層の膜厚均一性が低下すると共に、塗膜強度が低下しやすくなることから、好ましくは基材表面の凹凸を吸収し、さらに加熱・硬化後の接着層4の厚みが、0.5μm〜10μm程度になるように塗工するのがよく、基材の表面粗さ、塗工性、塗膜強度等により、厚みを決定する。
またSTEP3の加熱工程について、塗工後の加熱装置は、接着層内の溶剤を乾燥させ、接着層を加熱・硬化できるものであれば、温風加熱、赤外線加熱など、特に限定されないが、接着層の厚みが厚い場合などは、接着層内の深部加熱性から、赤外線加熱装置を使用することが好ましい。
加熱温度としては、溶剤の乾燥性や塗工後の接着層2の硬化性、また樹脂基材3の耐熱性等により異なるため、特に限定はされないが、温度が低すぎると溶剤の乾燥性や接着層の硬化性低下し、めっきの密着強度が低下する。例えば、塗工後の接着層2の無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質としてメチロール化メラミンを用い、樹脂基材がPET樹脂のような場合には、100℃以下においてメチロール基の反応性が著しく低下する上、PET樹脂は150℃を超えると、加水分解が活発になり、樹脂の劣化が加速する。したがって加熱温度としては100〜150℃程度が好ましい。加熱時間としても、溶剤が乾燥し、塗工後の接着層2の硬化が完了すればよく、特に限定されない。硬化時間が長い場合などは、適時塗工液1に触媒を加え、硬化速度を速くしてもよい。
なお、本実施例においては、図2(b)のように塗工液1をバーコーターを用いて、樹脂基材3を幅50mm、長さ80mm、厚み100μmのPETフィルム テトロンフィルムG2(帝人デュポンフィルム株式会社)とし、塗工液1を10μmの厚みになるように塗工し、その後、熱風乾燥炉で140℃で20分加熱を行うことで、図2(c)のように塗工後の接着層2の最終厚みが1μmのPETフィルム10を得た。
次にSTEP4触媒付与工程〜STEP6無電解めっき工程について、図2の(d)〜(f)を用いて説明する。図2の(c)で樹脂基材3上に形成された塗工後の接着層2は、STEP4の触媒付与工程では、図2の(d)に示すように触媒金属またはその前駆体5を付着させるための工程であり、STEP5の触媒活性工程では、図2の(e)の触媒金属またはその前駆体5を活性化させる工程、STEP6は、めっきを析出させる無電解めっき工程であり、図2の(f)で無電解めっき被膜6が形成される。無電解めっき被膜6を形成するための工程については、市販の無電解めっき処置液ならびに一般的な無電解めっき装置を使用できる。
例えば、触媒金属またはその前駆体5を付着させるための液に浸す工程(STEP4)については、市販のSn−Pbコロイドの触媒液等を使用することができ、条件は各メーカーの推奨条件にしたがうが、20℃〜50℃程度で2〜5分程度処理することが好ましい。
触媒を活性化させる工程(STEP5)についても同様に、触媒付与工程(STEP4)で使用した触媒液に対して推奨される市販の活性化液を使用すればよく、20℃〜50℃程度で30秒〜8分程度処理することが好ましい。
無電解めっき工程(STEP6)で用いる無電解めっき処理液についても、市販されているものを使用すればよく、無電解めっきに使用できる金属、銅、ニッケル、銀等全て適用することができる。また無電解めっき処理液の処理温度は30〜50℃程度が好ましい。
本実施例においては、市販の無電解銅めっき処理液(奥野製薬工業株式会社製)を使用し、以下の条件にて処理を行った。まず図2の(c)で塗工後の接着層2を形成した樹脂基材3のPETフィルム10を25℃のキャタリスト浴 OPC−SALM/OPC−80キャタリスト浴(奥野製薬工業株式会社製)に3分浸漬し、水洗を行った。続いて、25℃のアクセラレーター浴 OPC−555アクセラレーター浴(奥野製薬工業株式会社製)に7分浸漬後、水洗を行い、30℃の無電解銅めっき浴 ATSアドカッパー(奥野製薬工業株式会社製)に20分浸漬することで、図2の(f)で示すように無電解銅めっき膜6が形成されたPETフィルム10が得られた。
続いて、無電解銅めっき膜6の回路形成について、図1のSTEP7(レジスト貼付工程)〜STEP10(レジスト剥離工程)の工程を図2(g)〜(j)を用いて説明する。無電解めっきされた樹脂フィルムに対し、一般的に行われている、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により、容易に形成することができるが、本実施例では、サブトラクティブ法による回路形成方法を選定した。まず図2(f)形成された無電解銅めっき被膜6が形成されたPETフィルム10に対し、図2(g)において、感光性レジストフィルム7、商標名Photec RY−3315EE(日立化成工業株式会社製)をラミネートロール温度110℃、ラミネートロール速度2m/minラミネートロール圧力0.4MPaでラミネートした。
その後、図2(h)に示すように、感光性レジストフィルム7のラミネートを行ったPETフィルム10上に、パターン形成用のフォトマスクを載置し、超高圧水銀ランプにより露光を8sec.行った後、28℃0.8%炭酸ナトリウム水溶液を0.2MPaにてスプレーして現像を行い、水洗を行った。以上により、回路形成部以外について感光性レジストフィルムが開口されたPETフィルム10を作製した。
続いて、図2(i)において、感光性レジストフィルム7を開口したPETフィルム10を、エッチング液H−1000A(サンハヤト株式会社製)に浸漬し、回路部以外の無電解銅めっき部を除去した後、水洗を行い、図2(i)に示す回路8を形成した。
回路8以外の無電解銅めっき部を除去したPETフィルム10に対し、図2(j)に示すように、50℃2wt%水酸化ナトリウム水溶液を0.2MPaにて40秒スプレーし、エッチング後の感光性レジストフィルム7を剥離後、水洗を行った。
上記実施例1で形成した回路付PETフィルム11について、図3(a)(b)を用いて説明する。図3(a)は回路付PETフィルム11の断面図であり、図3(b)は正面図である。PETフイルム3は幅50mm、長さ80mm、厚み100μmを用い、完成した回路はパターンの厚み0.4μmであった。また図3(b)に示すようにライン幅10μm、ラインピッチ1mmの回路8を形成している。
そこで、実験条件を変え、比較するためにPETフィルム上に形成した無電解銅めっき膜の密着強度について「JIS C5012」に準じて測定を実施した。その結果を表1に示す。
なお、試料1および試料2は、本実施例1の図1のSTEP6までで作製した無電解めっき被膜付PETフィルム10に対し、銅の厚みを20μmまで厚くしたものであり、試料1は乾燥加熱後の接着層の厚みを1μmに作製したもの、試作2は、上記試作1とは接着層の厚みが異なり、乾燥加熱後の接着層の厚みを4μmとしたものである。
また、試料3は、PETフィルム基材上に塗工する塗工液に、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を加えなかったものであり、その他の配合は、実施例1と同等とし、試料4は、接着層を形成せず無電解めっきを実施したものである。結果、試料1と試料2では密着強度は同等であり、試作3、試作4よりも大きいことがわかった。 以上の結果より、実施例1の図1に示す工程に示される、基材上に、無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を加えた接着層を形成するという簡便な工程により、平滑な樹脂基材に対しても、平滑性を損なわず、密着性に優れためっきパターンを形成可能な、無電解めっき方法を提供することができる。また基材に凹凸がある場合でも、数μm程度の凹凸であれば、接着層を厚くすることで、平滑なめっきパターンが形成できるため、この場合も、エッチングによる微細回路形成が容易で、密着強度の高いめっきパターンを形成することができる。
(実施例2)
実施例2は、接着層の形成後、エッチング工程を必要としない作製方法を示したものであり、図4(STEP1〜STEP9)は、本実施例2の工程フロー、ならびに図5は図4の各STEPに対応する工程概略図である。
(実施例2)
実施例2は、接着層の形成後、エッチング工程を必要としない作製方法を示したものであり、図4(STEP1〜STEP9)は、本実施例2の工程フロー、ならびに図5は図4の各STEPに対応する工程概略図である。
まずエッチング工程を必要としない回路形成方法としては、接着層が形成された樹脂基材に対し、回路形成部のみ、触媒金属またはその前駆体を付着させ、その後触媒活性化工程を経て、無電解めっき工程を経ることで、回路付樹脂基材を得る方法や、樹脂基材に対し、接着層を回路形成部のみ塗布し、その後、触媒金属またはその前駆体を付着させるための工程、触媒を活性化させる工程、めっきを析出させる工程を経ることで、回路付樹脂基材を得る方法がある。
回路形成部のみ、触媒金属またはその前駆体を付着させる方法としては、接着層が形成された樹脂基材に対して、回路形成部以外の部分を被覆し、回路形成部のみを露出させ、その後触媒金属またはその前駆体を付着させるための液に浸した後、被覆したものを除去することで行う方法がある。
回路形成部以外を被覆し、回路形成部のみを露出させる方法としては、通常サブトラクティブ法やセミアディティブ法で用いられるような感光性レジストを、接着層が形成された樹脂基材上に積層し、露光及び現像を行うことで、回路形成部のみを開口する方法や、回路形成部以外の部分に対し直接レジスト材を印刷する方法等が考えられるが、これらに限定されるものではない。
通常、回路形成部以外を被覆した材料に対しても、触媒金属またはその前駆体5を付着させるための液に浸す工程において、触媒金属またはその前駆体が付着するため、そのまま無電解めっき液へ浸漬すると、回路形成部以外へもめっきが析出してしまう。このため、めっき液に浸漬する前に被覆した材料を剥離液等で剥離する必要がある。
よって、被覆材料としては、接着層に密着し、かつ、無電解めっき液に浸漬する前に剥離できるものであれば、特に限定されない。
しかしながら、被覆する材料として、撥水性をもつ材料を使用できれば、触媒金属またはその前駆体5を付着させるための液に浸す工程において、被覆材料に対して、触媒金属またはその前駆体5が付着することを防止することができる。この場合、後から被覆材料を剥離する必要がなくなり、工程が簡略化できるため好ましい。
また、回路形成部のみ、触媒金属またはその前駆体を付着させる他の方法としては、接着層が形成された樹脂フィルムに対して、インクジェットにより直接触媒金属またはその前駆体を付着させるための液を直接パターニングする方法などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
接着層を回路形成部のみ塗布する方法としては、スクリーン印刷、インクジェット等があるが、回路形成部のみ塗布できる方法であれば、これらに限定されるものではない。
本実施例2及び図4は、塗工後の接着層2が形成された樹脂フィルムに対し、回路形成部のみ、触媒金属またはその前駆体5を付着させ、その後触媒活性化、無電解めっきを行うことで、直接回路8を形成する方法であり、回路形成部のみ、触媒金属またはその前駆体5を付着させる方法としては、感光性レジストフィルム7を積層し、露光と現像を行うことで、回路形成部のみを開口後、触媒金属またはその前駆体5を付着させるための液に浸漬し、その後レジストを剥離することで行った。本実施例を図4および図5を用いて説明する。
実施例2では図4のSTEP1の塗工液調整工程およびSTEP2の塗工工程、STEP3の加熱工程は、実施例1と同様である。さらに図5(c)のPETフィルム10に対し、STEP4のレジスト貼付工程では、感光性レジストフィルムPhotec RY−3315EE(日立化成工業株式会社製)7を、ラミネートロール温度110℃、ラミネートロール速度2m/min、ラミネートロール圧力0.4MPaでラミネートした。また感光性レジストフィルム7のラミネートを行ったPETフィルム10上に、STEP5の露光・現像工程において、パターン形成用のフォトマスクを載置し、超高圧水銀ランプにより露光を8秒行い、0.8%炭酸ナトリウム水溶液にて現像、ならびに水洗を行い、回路形成部について図5(e)が示すような感光性レジストフィルム7が開口されたPETフィルム10を作製した。
塗工後の接着層2上に、開口された感光性レジストフィルム7を形成したPETフィルム12を、STEP6の触媒付与工程において25℃のキャタリスト浴 OPC−SALM/OPC−80キャタリスト浴(奥野製薬工業株式会社製)に3分浸漬し、水洗を行い、さらに25℃のアクセラレーター浴 OPC−555アクセラレーター浴(奥野製薬工業株式会社製)に7分浸漬後、水洗を行った。
次に上記STEP7の触媒活性化工程で、図5(g)のように触媒を活性化したPETフィルム13に対し、STEP8のレジスト剥離工程で2wt%水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、感光性レジストフィルム7を剥離後、水洗を行った(図5(h))。
さらにSTEP9の無電解めっき工程では、感光性レジストフィルム7を剥離したPETフィルム10を30℃の無電解銅めっき浴 ATSアドカッパー(奥野製薬工業株式会社製)に20min.浸漬することで、無電解銅めっき膜により回路8が形成されたPETフィルム14が得られた。
本発明の無電解めっき方法によれば、ポリエステルのようにめっき困難な基材に対しても、密着性の高い、平滑なめっきを行うことができるため、樹脂基材上への微細配線が容易となると共に、高周波特性に有利な回路を形成することができる。さらに透明な樹脂基材に対して、透明な接着層用いれば、基材の特徴である、透明性を損なわずに、めっきパターンを形成することができるため、タッチパネルのような、透明パネルへの応用が可能となる。
1 塗工液
2 塗工後の接着層
3 樹脂基材
4 加熱・硬化後の接着層
5 触媒金属またはその前駆体
6 無電解銅めっき被膜
7 感光性レジストフィルム
8 回路
10 接着材付PETフィルム
11 回路付PETフィルム
12 開口レジスト付PETフィルム
13 触媒活性化後PETフィルム
14 回路付PETフィルム
2 塗工後の接着層
3 樹脂基材
4 加熱・硬化後の接着層
5 触媒金属またはその前駆体
6 無電解銅めっき被膜
7 感光性レジストフィルム
8 回路
10 接着材付PETフィルム
11 回路付PETフィルム
12 開口レジスト付PETフィルム
13 触媒活性化後PETフィルム
14 回路付PETフィルム
Claims (4)
- 樹脂基材上に無電解めっきによりめっきする無電解めっき方法であって、
前記樹脂基材に接着性のある樹脂材料に無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質を混合・分散し塗工液を作製する工程と、
前記塗工液を前記樹脂基材上に塗布し接着層を形成する工程と、
前記接着層を加熱する工程と、
前記接着層表面に無電解めっきを行う工程とを有することを特徴とする無電解めっき方法。 - 前記無電解めっき触媒またはその前駆体を吸着する物質がアミノ樹脂であることを特徴とし、さらには前記樹脂材料がポリエステル系樹脂であり、かつ、樹脂基材がエステル結合を有することを特徴とする請求項1記載の無電解めっき方法。
- 前記アミノ樹脂が少なくともメラミン系化合物もしくはベンゾグアナミン系化合物のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項2記載の無電解めっき方法。
- 前記メラミン系化合物もしくは前記ベンゾグアナミン系化合物が少なくともメチロール基、アルキルエーテル基のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項3記載の無電解めっき方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111868302A (zh) * | 2018-03-06 | 2020-10-30 | 日产化学株式会社 | 包含高分子和金属微粒的非电解镀基底剂 |
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