JP2011132306A - ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】低燃費性、耐破壊特性及び加工性を高い次元でバランスさせることができ、操縦安定性も改善できるベーストレッド用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴムを含むゴム成分と、
CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上であるシリカとを含むベーストレッド用ゴム組成物に関する。
[化1]
Figure 2011132306

(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ベーストレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤの転がり抵抗を低減(転がり抵抗性能を向上)させることにより自動車の低燃費化が行なわれている。例えば、タイヤのトレッドを2層構造(内面層(ベーストレッド)及び表面層(キャップトレッド))とし、ベーストレッドに、優れた低発熱性を有するゴム組成物が使用されている。しかし、近年、低燃費化への要求が更に強くなり、より優れた低発熱性が要求されている。
ベーストレッド用ゴム組成物においては、キャップトレッド用ゴム組成物と異なり、従来から粒子径の大きいカーボンブラックが使用されており、カーボンブラックをシリカに変更しても低発熱性の向上効果はそれほど大きくない。特許文献1には、粒子径の異なるシリカを配合し、低発熱性を向上できるゴム組成物が開示されている。しかし、低発熱性の向上については未だ改善の余地がある。また、シリカをベーストレッド用ゴム組成物に配合すると、未加硫状態のゴム粘度(ムーニー粘度)が上昇するなど、加工性についても不利な点がある。
特開2008−101127号公報
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、耐破壊特性及び加工性を高い次元でバランスさせることができ、操縦安定性も改善できるベーストレッド用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1);
Figure 2011132306
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
で表される化合物により変性されたブタジエンゴムを含むゴム成分と、
CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上であるシリカとを含むベーストレッド用ゴム組成物に関する。
上記シリカは、アグリゲートサイズが30nm以上であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、上記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴムを含むゴム成分と、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカとを含むベーストレッド用ゴム組成物であるので、低燃費性、耐破壊特性を高い次元でバランスさせることができ、操縦安定性も改善できる空気入りタイヤを提供できる。また、タイヤ製造時の加工性にも優れている。
細孔分布曲線を示す図である。
本発明のベーストレッド用ゴム組成物は、上記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴム(S変性BR)を含むゴム成分と、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカとを含む。
S変性BRは、上記式(1)で表される化合物により変性されたブタジエンゴムである。S変性BRは、シリカと強固な結合を形成し、また練り時にシリカの分散を促進し、低燃費性、耐破壊特性及び操縦安定性を向上させることができる。S変性BRとしては、上記式(1)で表される化合物で、ブタジエンゴムの少なくとも末端を変性したものが好適に用いられる。
上記式(1)で表される化合物において、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)等が挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等の炭素数5〜8のシクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等の炭素数6〜8のアリールオキシ基等)も含まれる。
上記シリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、ジエチルイソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基等)等が挙げられる。
上記アセタール基としては、例えば、−C(RR′)−OR″、−O−C(RR′)−OR″で表される基を挙げることができる。前者としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、t−ブトキシメチル基、ネオペンチルオキシメチル基等が挙げられ、後者としては、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、i−プロポキシメトキシ基、n−ブトキシメトキシ基、t−ブトキシメトキシ基、n−ペンチルオキシメトキシ基、n−ヘキシルオキシメトキシ基、シクロペンチルオキシメトキシ基、シクロヘキシルオキシメトキシ基等を挙げることができる。R、R及びRとしては、アルコキシ基が望ましい。これにより、優れた低燃費性、耐破壊特性及び操縦安定性を得ることができる。
及びRのアルキル基としては、例えば、上記アルキル基と同様の基を挙げることができる。
n(整数)としては、1〜5が好ましい。これにより、優れた低燃費性、耐破壊特性及び操縦安定性を得ることができる。更には、nは2〜4がより好ましく、3が最も好ましい。nが0であるとケイ素原子と窒素原子との結合が困難であり、nが6以上であると変性剤としての効果が薄れる。
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジメチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジメチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジメチルアミノブチルジエトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリメトキシシラン、ジエチルアミノメチルジメトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジメトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジメトキシメチルシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、2−ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、4−ジエチルアミノブチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルジエトキシメチルシラン、2−ジエチルアミノエチルジエトキシメチルシラン、3−ジエチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−ジエチルアミノブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記S変性BRのビニル含量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。ビニル含量が35質量%を超えると、低発熱性が損なわれる傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。
なお、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
上記式(1)で表される化合物(変性剤)によるブタジエンゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報等に記載されている方法等、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ブタジエンゴムと変性剤とを接触させればよく、ブタジエンゴムを重合し、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加する方法、ブタジエンゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法等が挙げられる。
変性されるブタジエンゴム(BR)としては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。
ゴム成分100質量%中のS変性BRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、最も好ましくは40質量%以上である。10質量%未満であると、転がり抵抗低減効果が充分に得られないおそれがある。上記S変性BRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。70質量%を超えると、練り工程でゴム生地の状態が悪くなるため、ゴムの厚みを均一に保ちにくい傾向がある。
本発明のゴム組成物に使用されるS変性BR以外のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムなどが挙げられる。これらジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、低燃費性、加工性、耐亀裂成長性という理由から、NR、BR、SBRが好ましい。
NRとしては、RSS♯3、TSR20などのゴム工業において一般的なものを使用することができる。
本発明のゴム組成物がNRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。20質量%未満であると、充分な低燃費性が得られないおそれがある。上記NRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。70質量%を超えると、変性BRの配合量が少なくなり、低燃費性を充分に向上できない傾向がある。
BRとしては特に限定されず、上述の変性されるBRと同様のBRを使用できる。なかでも、材料が安価であり、加工性にも優れるという理由から、BRのシス含量は95質量%以上が好ましい。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性向上効果が充分に得られないおそれがある。該BRの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。40質量%を超えると、ゴム練り工程でのゴム生地の状態が悪化するおそれがある。
本発明では、CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上のシリカ(以下、「微粒子シリカ」ともいう)が使用される。このような微粒子シリカを配合することによって、優れた低燃費性、耐破壊特性、操縦安定性が得られる。
微粒子シリカのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積は、好ましくは190m/g以上、より好ましくは195m/g以上、更に好ましくは197m/g以上である。CTAB比表面積が180m/g未満であると、充分な補強性が得られないため、ゴムの強度が不足するおそれがある。
該CTAB比表面積は、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。CTAB比表面積が500m/gを超えると、練り工程中に粘度が高くなりすぎるおそれがある。
なお、CTAB比表面積は、ASTM D3765−92に準拠して測定される。
微粒子シリカのBET比表面積は、好ましくは190m/g以上、より好ましくは195m/g以上、更に好ましくは210m/g以上である。BET比表面積が185m/g未満であると、充分な補強性が得られないため、ゴムの強度が不足するおそれがある。
該BET比表面積は、好ましくは500m/g以下、より好ましくは300m/g以下、更に好ましくは260m/g以下である。BET比表面積が500m/gを超えると、練り工程中に粘度が高くなりすぎるおそれがある。
なお、シリカのBET比表面積は、ASTM D3037−81に準じて測定される。
微粒子シリカのアグリゲートサイズは、30nm以上、好ましくは35nm以上、より好ましくは40nm以上、更に好ましくは45nm以上、特に好ましくは50nm以上、最も好ましくは55nm以上である。また、該アグリゲートサイズは、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは70nm以下、特に好ましくは65nm以下である。このようなアグリゲートサイズを有することにより、良好な分散性を有しながら、優れた補強性、低燃費性、耐破壊特性、操縦安定性を与えることができる。
アグリゲートサイズは、凝集体径又は最大頻度ストークス相当径とも呼ばれているものであり、複数の一次粒子が連なって構成されるシリカの凝集体を一つの粒子と見なした場合の粒子径に相当するものである。アグリゲートサイズは、例えば、BI−XDC(Brookhaven Instruments Corporation製)等のディスク遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定できる。
具体的には、BI−XDCを用いて以下の方法にて測定できる。
3.2gのシリカ及び40mLの脱イオン水を50mLのトールビーカーに添加し、懸濁液を含有するビーカーを氷充填晶析装置内に置く。ビーカーを超音波プローブ(1500ワットの1.9cmVIBRACELL超音波プローブ(バイオブロック社製、最大出力の60%で使用))を使用して懸濁液を8分間砕解し、サンプルを調製する。サンプル15mLをディスクに導入し、撹拌するとともに、固定モード、分析時間120分、密度2.1の条件下で測定する。
装置の記録器において、16質量%、50質量%(又は中央値)及び84質量%の通過直径の値、及びモードの値を記録する。(累積粒度曲線の導関数は、分布曲線にモードと呼ばれるその最大の横座標を与える)。
このディスク遠心沈降式粒度分析法を使用して、シリカを水中に超音波砕解によって分散させた後に、Dとして表される粒子(凝集体)の重量平均径(アグリゲートサイズ)を測定できる。分析(120分間の沈降)後に、粒度の重量分布を粒度分布測定装置によって算出する。Dとして表される粒度の重量平均径は、以下の式によって算出される。
Figure 2011132306
(式中、mは、Dのクラスにおける粒子の全質量である)
微粒子シリカの平均一次粒子径は、好ましくは25nm以下、より好ましくは22nm以下、更に好ましくは17nm以下、特に好ましくは14nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは7nm以上である。このような小さい平均一次粒子径を有しているものの、上記のアグリゲートサイズを有するカーボンブラックのような構造により、シリカの分散性をより改善でき、補強性、低燃費性、耐破壊特性、操縦安定性を更に改善できる。
なお、微粒子シリカの平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
微粒子シリカのD50は、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは5.5μm以下、更に好ましくは4.5μm以下である。7.0μmを超えると、充分な補強性が得られないため、ゴムの強度が不足するおそれがある。該微粒子シリカのD50は、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは2.5μm以上、更に好ましくは3.0μm以上である。2.0μm未満であると、低燃費性向上効果が充分に得られないおそれがあるとともに、ゴム練り工程中の粘度が高くなりすぎるおそれがある。
ここで、D50は、微粒子シリカの中央直径であって粒子の50質量%がその中央直径よりも小さい。
また、微粒子シリカは、粒子径が18μmより大きいものの割合が6質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。これにより、シリカの良好な分散性が得られ、所望の性能が得られる。
なお、微粒子シリカのD50、所定の粒子径を有するシリカの割合は、以下の方法により測定される。
凝集体の凝集を予め超音波砕解されたシリカの懸濁液について、粒度測定(レーザー回折を使用)を実施することによって評価する。この方法では、シリカの砕解性(0.1〜数10ミクロンのシリカの砕解)が測定される。超音波砕解を、19mmの直径のプローブを装備したバイオブロック社製VIBRACELL音波発生器(600W)(最大出力の80%で使用)を使用して行う。粒度測定は、モールバーンマスターサイザー2000粒度分析器でのレーザー回折によって行う。
具体的には、以下の方法により測定される。
1グラムのシリカをピルボックス(高さ6cm及び直径4cm)中で秤量し、脱イオン水を添加して質量を50グラムにし、2%のシリカを含有する水性懸濁液(これは2分間の磁気撹拌によって均質化される)を調製する。次いで、超音波砕解を420秒間実施し、更に、均質化された懸濁液の全てが粒度分析器の容器に導入された後に、粒度測定を行う。
微粒子シリカの細孔容積の細孔分布幅Wは、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.3以上、最も好ましくは1.5以上である。また、該細孔分布幅Wは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.0以下である。このようなブロードなポーラスの分布により、シリカの分散性を改善でき、所望の性能が得られる。
なお、シリカの細孔容積の細孔分布幅Wは、以下の方法により測定できる。
微粒子シリカの細孔容積は、水銀ポロシメトリーによって測定される。シリカのサンプルをオーブン中で200℃で2時間予備乾燥させ、次いでオーブンから取り出した後、5分以内に試験容器内に置き、真空にする。細孔直径(AUTOPORE III 9420 粉体工学用ポロシメーター)は、ウォッシュバーンの式によって140°の接触角及び484ダイン/cm(又はN/m)の表面張力γで算出される。
細孔分布幅Wは、細孔直径(nm)及び細孔容量(mL/g)の関数で示される図1のような細孔分布曲線によって求めることができる。即ち、細孔容量のピーク値Ys(mL/g)を与える直径Xs(nm)の値を記録し、次いで、Y=Ys/2の直線をプロットし、この直線が細孔分布曲線と交差する点a及びbを求める。そして、点a及びbの横座標(nm)をそれぞれXa及びXbとしたとき(Xa>Xb)、細孔分布幅Wは、(Xa−Xb)/Xsに相当する。
微粒子シリカの細孔分布曲線中の細孔容量のピーク値Ysを与える直径Xs(mm)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは18mm以上、特に好ましくは20mm以上であり、また、好ましくは60mm以下、より好ましくは35mm以下、更に好ましくは28mm以下、特に好ましくは25mm以下である。上記範囲内であれば、分散性と補強性に優れた微粒子シリカを得ることができる。
上記微粒子シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは25質量部以上、最も好ましくは30質量部以上である。10質量部未満であると、充分な補強性が得られないため、ゴムの強度が不足するおそれがある。一方、補強性をカーボンブラックを配合することにより補おうとすると、低燃費性を充分に向上することができない。該微粒子シリカの配合量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、最も好ましくは55質量部以下である。100質量部を超えると、低燃費性を充分に向上できないおそれがある。
本発明のゴム組成物では、上記微粒子シリカ以外のシリカを含んでもよい。この場合、シリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上、最も好ましくは45質量部以上である。また、該合計含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。下限未満の場合や上限を超える場合は、前述の微粒子シリカの配合量と同様の傾向がある。
本発明のゴム組成物では、更にシランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤を配合することにより、転がり抵抗の低減(低燃費性の向上)と、加工性の改良を同時に達成できる。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。なかでも、加工性が良好である点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上、更に好ましくは6質量部以上である。2質量部未満では、転がり抵抗の低減効果(低燃費性の向上効果)が充分に得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは15質量部以下が好ましく、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。15質量部を超えると、高価なシランカップリング剤を配合した量に見合った転がり抵抗の低減効果(低燃費性の向上効果)が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができるとともに、ゴム練り工程中の加工性、特に粘度、ゴム生地の状態を改善できる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は20m/g以上が好ましく、25m/g以上がより好ましい。20m/g未満では、充分な補強性が得られない傾向がある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は180m/g以下が好ましく、160m/g以下がより好ましく、120m/g以下が更に好ましく、80m/g以下が特に好ましい。180m/gを超えると、低燃費性を充分に向上できないおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。5質量部未満では、ゴム練り工程中の粘度が高くなるおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。50質量部を超えると、低燃費性を充分に向上できないおそれがある。
シリカ(微粒子シリカ及び微粒子シリカ以外のシリカ)とカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは25質量部以上、より好ましくは30質量部以上、より好ましくは35質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。25質量部未満では、充分なゴムの強度が得られず、引張強度が低下するおそれがある。上記合計含有量は、好ましくは170質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下、最も好ましくは55質量部以下である。170質量部を超えると、低燃費性を充分に向上できないおそれがある。
本発明では、S変性BRと微粒子シリカとを併用したことにより、両成分を併用しなかった場合のフィラーの配合量(シリカ(微粒子シリカ及び微粒子シリカ以外のシリカ)とカーボンブラックの合計配合量)よりも少ないフィラーの配合量で耐破壊特性、操縦安定性を向上することが可能となるため、ゴム組成物の重量を低減でき、低燃費性が向上する。さらに、S変性BRと微粒子シリカとを併用したことによる低燃費性の向上と相まって低燃費性の向上を充分に行うことができる。また、フィラーの配合量を減量したことにより、未加硫時のムーニー粘度が低下し、タイヤ製造時(特に、押出し工程)の加工性にも優れている。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、ワックス、硫黄、含硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、ベーストレッドに好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でベーストレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。本発明により得られる空気入りタイヤは、低燃費性、耐破壊特性が高い次元でバランスよく得られ、操縦安定性にも非常に優れている。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS♯3
BR1:宇部興産(株)製のBR130B(シス含量96質量%)
BR2:住友化学(株)製の変性ブタジエンゴム(S変性BR)(ビニル含量15質量%、R、R及びR=−OCH、R及びR=−CHCH、n=3)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN351(NSA:69m/g)
シリカ1:Rhodia社製のZeosil 1115MP(CTAB比表面積:105m/g、BET比表面積:115m/g、平均一次粒子径:25nm、アグリゲートサイズ:92nm、細孔分布幅W:0.63、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:60.3nm)
シリカ2:Rhodia社製のZeosil Premium 200MP(CTAB比表面積200m/g、BET比表面積:220m/g、平均一次粒子径10:nm、アグリゲートサイズ:65nm、D50:4.2μm、18μmを超える粒子の割合:1.0質量%、細孔分布幅W:1.57、細孔分布曲線中の細孔容量ピーク値を与える直径Xs:21.9nm)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
プロセスオイル:ジャパンエナジー社製のプロセスX−140
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノワックスN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例1〜9及び比較例1〜6
表1、2に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫し、加硫ゴムシートを得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をベーストレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、170℃で12分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴムシート、試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1及び表2に示す。
(1)ムーニー粘度指数
JIS K6300に準じて、130℃で所定の未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。測定結果を、比較例1を100とした指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工が容易であることを示す。
(2)転がり抵抗指数
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で、各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗性(低燃費性)が優れている。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)÷(各配合のtanδ)×100
(3)耐破壊強度
加硫ゴムシートについて、JIS K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)を破断時伸びEB(%)を測定した。TB×EB/2の数値を耐破壊強度とした。数値が大きいほど耐破壊特性に優れる。
(4)操縦安定性
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。その際に、10点を満点とし、比較例1の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価を行った。数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
Figure 2011132306
Figure 2011132306
表1、2より、S変性BRと、特定値以上のCTAB比表面積及びBET比表面積を有するシリカとを併用した実施例では、低燃費性、耐破壊特性が高い次元でバランスよく得られ、操縦安定性も改善できた。特に、フィラーの配合量(シリカ(微粒子シリカ及び微粒子シリカ以外のシリカ)とカーボンブラックの合計配合量)を減量した実施例7〜9では、低燃費性の向上効果が高かった。また、実施例1〜6の加工性(ムーニー粘度)については、シリカを配合している比較例3〜6と同等であった。フィラーの配合量を減量した実施例7〜9の加工性(ムーニー粘度)については、シリカを配合していない比較例1、2と同等以上であり、シリカを配合している比較例3〜6よりも優れていた。
一方、カーボンブラックのみを配合した比較例1では、低燃費性、耐破壊特性を高い次元でバランスよく得られず、操縦安定性も改善できなかった。比較例1よりもカーボンブラック量を減量した比較例2では、耐破壊特性、操縦安定性が大幅に低下した。通常のシリカを配合した比較例3、4では、耐破壊特性、操縦安定性が大幅に低下した。微粒子シリカを配合したものの、S変性BRを配合しなかった比較例5では、低燃費性、耐破壊特性を高い次元でバランスよく得られなかった。S変性BRを配合したものの、微粒子シリカを配合しなかった比較例6では、耐破壊特性、操縦安定性が大幅に低下した。

Claims (3)

  1. 下記式(1);
    Figure 2011132306
    (式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
    で表される化合物により変性されたブタジエンゴムを含むゴム成分と、
    CTAB比表面積が180m/g以上、BET比表面積が185m/g以上であるシリカとを含むベーストレッド用ゴム組成物。
  2. シリカは、アグリゲートサイズが30nm以上である請求項1記載のベーストレッド用ゴム組成物。
  3. 請求項1又は2記載のゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する空気入りタイヤ。
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