JP2011129386A - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電源電圧の低下や停電を検出した時にスイッチング素子の印加電圧(電流)を制限する閾値を変更する方法では、スイッチング素子のスペック上の耐電圧(電流)に対して大きく余裕をとった閾値を設定しておく必要があった。
【解決手段】加熱コイル13に高周波電流を供給するインバータ回路14と、インバータ回路に供給する直流電源15と、直流電源の出力電圧を検出する電源電圧検知手段17と、インバータ回路を制御し、スイッチング素子に印加される電圧が、スイッチング素子の破壊電圧に至らない第1のON時間を内部に設定している制御手段とを備え、制御手段は、電源電圧検知手段により電源電圧低下時にスイッチング素子のON時間を一定値に制限することでスイッチング素子を保護することにより、電源電圧の低下の検出遅れや制御周期を考慮する必要が無く、また、インバータの動作を停止する必要もない。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導加熱調理器に関するもので、特に、加熱制御に関するものである。
従来、この種の誘導加熱調理器は、電源電圧の低下や停電を検出した時に、スイッチング素子への印加電圧や流れる電流を制限する閾値を下げてインバータを駆動し、復電時にスイッチング素子への印加電圧や流れる電流が過大にならないようにする仕組みのものが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電源電圧の低下や停電を検出した時にはインバータの動作を停止し、復電したことを確認した後に再度インバータを駆動するものもある(例えば、特許文献2参照)。
特許第3146792号公報 特公平3−032192号公報
しかしながら、前記従来の構成では、電源電圧の低下や停電を検出した時にスイッチング素子への印加電圧や流れる電流を制限する閾値を変更しているため、スイッチング素子のON時間を制御する周期や、スイッチング素子の印加電圧(電流)を検知するA/D変換時間により遅れが生じ、スイッチング素子のスペック上の耐電圧(電流)に対して余裕をとった閾値を設定しておく必要があった。
また、電源電圧の低下や停電を検出した時にはインバータの動作を停止し、復電したことを確認した後に再度インバータを駆動する構成では、電圧変動や瞬時電圧低下が発生した際には都度インバータの駆動が停止してしまう。一般的に、一度加熱コイルの高周波電流を停止すると、医療用ペースメーカへの配慮から数秒の時間をおいて再度加熱を開始する構成をとるため、加熱を連続して行うことができなかったり、実効的な火力が低下したりするという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、スイッチング素子の制御周期や、スイッチング素子の印加電圧(電流)を検知するA/D変換時間といった遅れを考慮する必要がなく、また、電源電圧の低下や停電を検出した時にインバータの動作を停止する構成をとる必要もないことで、動作設計の簡単化とユーザの利便性を両立し品質の高い誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱調理器は、第1の手段として、電源電圧の低下を検出した時に、インバータのスイッチング素子のON時間を、スイッチング素子に印加される電圧が最も高くなる鍋においても、スイッチング素子の破壊電圧に至らないON時間に制限するとしたものである。
また、第2の手段として、電源電圧の低下を検出した時に、インバータのスイッチング素子のON時間を、スイッチング素子に印加される電流が最も高くなる鍋においても、スイッチング素子が許容する最大電流に至らないON時間に制限するとしたものである。
これによって、スイッチング素子の制御周期や、スイッチング素子の印加電圧(電流)を検知するA/D変換時間といった遅れを考慮する必要がなく、また、電源電圧の低下や停電を検出した時にインバータの動作を停止する構成をとる必要もない誘導加熱調理器を構成することができる。
本発明の誘導加熱調理器は、スイッチング素子の制御周期や、スイッチング素子の印加電圧(電流)を検知するA/D変換時間といった遅れを考慮する必要がないため、スイッチング素子保護に対するマージンを最小にでき、また、電源電圧の低下や停電を検出した時にインバータの動作を停止する構成をとる必要もないことで、動作設計の簡単化とユーザの利便性を両立し品質を高めることができる。
本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器のブロック図 本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の動作説明図 本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の動作説明図 本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の動作説明図
第1の発明は、トッププレート上の鍋を加熱する加熱コイルと、スイッチング素子や共振コンデンサ等で構成され前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、商用電源等の電源を整流・平滑し前記インバータ回路に供給する直流電源と、前記直流電源の出力電圧を検出する電源電圧検知手段と、前記インバータ回路を制御し、前記スイッチング素子に印加される電圧が最も高くなる鍋においても、前記スイッチング素子の破壊電圧に至らない第1のON時間が内部に設定されている制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電源電圧検知手段により電源電圧の低下を検出した時に、前記スイッチング素子のON時間を、前記第1のON時間に制限することにより、スイッチング素子の制御周期や、スイッチング素子の印加電圧を検知するA/D変換時間といった遅れを考慮する必要なく瞬時電圧低下や電圧変動時に前記スイッチング素子の保護を行うことができる。
第2の発明は、トッププレート上の鍋を加熱する加熱コイルと、スイッチング素子や共振コンデンサ等で構成され前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、商用電源等の電源を整流・平滑し前記インバータ回路に供給する直流電源と、前記直流電源の出力電圧を検出する電源電圧検知手段と、前記インバータ回路を制御し、前記スイッチング素子に印加される電流が最も高くなる鍋においても、前記スイッチング素子が許容する最大電流に至らない第2のON時間が内部に設定されている制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電源電圧検知手段により電源電圧の低下を検出した時に、前記スイッチング素子のON時間を、前記第2のON時間に制限することにより、スイッチング素子の制御周期や、スイッチング素子に流れる電流を検知するA/D変換時間といった遅れを考慮する必要なく瞬時電圧低下や電圧変動時に前記スイッチング素子の保護を行うことができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段を、電源電圧検知手段により電源電圧の低下を検出し、スイッチング素子のON時間を制限している状態において、前記電源電圧検知手段により電源電圧復帰を検出した後、前記スイッチング素子のON時間の制限を解除するようにしたことにより、インバータを停止することなく、瞬時電圧低下や電圧変動から復帰した際にも、加熱調理を継続して行うことができる。
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段を、電源電圧検知手段により検出する電源電圧の低下が一定時間継続すると、異常と判断して加熱を停止するようにした
ことにより、電源電圧が低下している状態を異常と認識して、動作を停止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱調理機のブロック図を示すものである。
図1において、負荷鍋11、負荷鍋11を載置するトッププレート12、負荷鍋11を加熱する加熱コイル13、スイッチング素子や共振コンデンサ等で構成され、加熱コイル13に高周波電流を供給するインバータ回路14、インバータ回路14へ電源を供給する直流電源15、直流電源15の出力電圧を検出する電源電圧検知手段17、前記インバータ回路14、電源電圧検知手段17と信号をやりとりして全体を制御する制御手段22で構成している。
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態おける誘導加熱調理器の動作説明図である。横軸にスイッチング素子ON時間、縦軸に鍋に入力される電力をプロットしている。一般に、スイッチング素子のON時間を長くすると、鍋に大きな電力を供給することができる。
スイッチング素子のON時間と鍋に入力される電力の関係は、インバータ回路を構成する共振コンデンサと負荷鍋を含めた加熱コイルの等価インピーダンスによって様々である。
等価インピーダンスの成分として、等価直列抵抗が小さな物や鍋底の径が小さな物はスイッチング素子のON時間に対して入力電力が上がりにくい傾向にある。
図2において、電力が入りやすい鍋の軌跡41、電力が入りにくい鍋の軌跡42、インバータの駆動周期などから決まるスイッチング素子の最大ON時間43をあらわしている。
図3は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱調理器の動作説明図である。横軸にスイッチング素子のON時間、縦軸にスイッチング素子の印加電圧をプロットしている。
一般に、スイッチング素子のON時間を長くし、鍋に大きな電力を供給すると、スイッチング素子への印加電圧は大きくなる。スイッチング素子のON時間とスイッチング素子に印加される電圧の関係は、インバータ回路を構成する共振コンデンサと負荷鍋を含めた加熱コイルの等価インピーダンスによって様々である。
誘導加熱調理器においては、共振コンデンサと加熱コイルを適切な定数に設計し、市販の様々な鍋に対して効率の良い加熱ができるようにしている。
鍋の等価インピーダンスは様々であるが、等価インピーダンスの成分として等価直列抵抗が小さな物はスイッチング素子に印加される電圧が高くなりやすいことが知られている。
図3において、最もスイッチング素子印加電圧が大きくなる鍋で、スイッチング素子が破壊に至らない電圧31、スイッチング素子毎に保証されているスイッチング素子破壊電圧32、スイッチング素子電圧が上がりにくい鍋をトッププレートに載置し加熱を行ったときの動作軌跡33、最もスイッチング素子印加電圧が大きくなる鍋で、スイッチング素子が破壊に至らないON時間34、最もスイッチング素子印加電圧が大きくなる鍋の動作軌跡35、インバータの駆動周期などから決まるスイッチング素子の最大ON時間36をあらわす。
図4は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱調理器の動作説明図である。図4において、横軸にスイッチング素子のON時間、縦軸にスイッチング素子に流れる電流をプロットしたものである。
一般に、スイッチング素子のON時間を長くし、鍋に大きな電力を供給すると、スイッチング素子に流れる電流は大きくなる。スイッチング素子のON時間とスイッチング素子に流れる電流の関係は、インバータ回路を構成する共振コンデンサと負荷鍋を含めた加熱コイルの等価インピーダンスによって様々である。
鍋の等価インピーダンスは様々であるが、等価インピーダンスの成分として等価直列抵抗が小さな物はスイッチング素子に流れる電流が大きくなりやすいことが知られている。
図4において、最もスイッチング素子に流れる電流が大きくなる鍋において、スイッチング素子が破壊に至らない電流51、スイッチング素子毎に保証されているスイッチング素子が許容する最大電流52、スイッチング素子に流れる電流が上がりにくい鍋をトッププレートに載置し加熱を行ったときの動作軌跡53、最もスイッチング素子に流れる電流が大きくなる鍋で、スイッチング素子が破壊に至らないON時間54、最もスイッチング素子に流れる電流が大きくなる鍋の動作軌跡55、インバータの駆動周期などから決まるスイッチング素子の最大ON時間56をあらわす。
図1のように構成された誘導加熱調理器について、制御手段22内は設定された火力(負荷鍋への入力電力)に相当する入力電流値になるようにインバータ回路14の駆動状態を調整している。
電源電圧が低下する瞬時停電や電圧変動が生じると、電源電圧の低下により入力電流検知手段により検出されている負荷鍋11に入力される電力が低下する。入力電力が低下すると、制御手段22はスイッチング素子のON時間を長くし、目標の入力電力になるようにインバータ回路14を制御する。
この状態で、電源電圧が復帰すると、復帰直後には負荷鍋に電力が入りすぎる状態になるため、制御手段22はスイッチング素子のON時間を短くし、目標の入力電力になるようにインバータ回路14を制御して電力制御を行っている。
たとえば、図3に示す最もスイッチング素子印加電圧が大きくなる鍋の動作軌跡35に相当する鍋を負荷鍋11とした場合、スイッチング素子のON時間を特に制限無く長くすると、スイッチング素子印加電圧がスイッチング素子破壊電圧32を超えて大きくなる。
スイッチング素子の印加電圧は、電源電圧が低下すると下がるが電源電圧低下時の電力制御によりON時間が長くなっている状態で、電源電圧が復帰すると、復帰直後はスイッチング素子の印加電圧が大きくなり、場合によってはスイッチング素子印加電圧がスイッチング素子破壊電圧32を超える。
特許文献1によれば、スイッチング素子の印加電圧を検知して、スイッチング素子の印加電圧がスイッチング素子の破壊電圧を超えないような制限をかけているが、スイッチング素子の印加電圧を検出して内部閾値と比較するため、スイッチング素子印加電圧の検出回路による遅延や、スイッチング素子の制御周期による遅延が生じる。
このため、実際のスイッチング素子の破壊電圧に対して内部閾値は前記遅延も考慮した値に設計しておく必要がある。
これに対して、本実施の形態では、第1のON時間34をあらかじめ制御手段22に設定しておき、電源電圧検知手段17により電源電圧の低下を検出した時に、スイッチング素子のON時間を、第1のON時間34に制限する。
これにより、電源電圧が復帰した際にもスイッチング素子が破壊されることが無く、また前記のような遅延を考慮する必要も無い。
電源電圧検知手段17により電源電圧復帰を検出した後、スイッチング素子のON時間の制限を解除することで、負荷鍋の加熱を停止することなく加熱調理を行うことができ、ユーザの利便性が確保できる。
さらに、電源電圧検知手段により検出する電源電圧の低下が一定時間継続すると、異常と判断して加熱を停止することで、電源の異常な低下状態では加熱を停止することができる。
第1のON時間の代わりに図4に示す第2のON時間を電源電圧の低下時のON時間として設定すれば、スイッチング素子の過電流保護も同様に可能である。
また、第1のON時間と第2のON時間の短い方を電源電圧低下時のON時間として設定すれば、スイッチング素子の過電圧保護と過電流保護を両立することができる。
第1のON時間及び第2のON時間は、当該の誘導加熱調理器で加熱できる最小径の負荷鍋で決定する。
ここでは制限する制御量をON時間としたが、これは入力電力制御方法がデューティ制御の場合である。たとえば周波数制御であれば周波数、電圧制御であれば電圧のように駆動方式毎の制御量を同様に制限することで同様の効果を得ることもできる。
電源電圧検知手段は、直流電源の出力ではなく、直流電源前段の交流電圧を直接検出する方法でも同様の効果を得ることができる。
入力電力検知手段は、直流電源への入力電流により検出する方法や、インバータ回路14や加熱コイル13に流れる電流から推定する方法があるが、本構成に直接影響しないため詳細は割愛する。
以上のように、本発明にかかる誘導加熱調理器は、スイッチング素子の保護構成を設計するにあたって、スイッチング素子の制御周期や、スイッチング素子の印加電圧(電流)を検知するA/D変換時間といった遅れを考慮する必要がないため、スイッチング素子保護に対するマージンを最小にでき、また、電源電圧の低下や停電を検出した時にインバータの動作を停止する構成をとる必要もないことで、動作設計の簡単化とユーザの利便性を両立し品質を高めることが可能となるので、誘導加熱調理器の用途に有効である。
11 負荷鍋
12 トッププレート
13 加熱コイル
14 インバータ回路
15 直流電源
16 入力電流検知手段
17 電源電圧検知手段
22 制御手段

Claims (4)

  1. トッププレート上の鍋を加熱する加熱コイルと、スイッチング素子(IGBT等)や共振コンデンサ等で構成され前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、商用電源等の電源を整流・平滑し前記インバータ回路に供給する直流電源と、前記直流電源の出力電圧を検出する電源電圧検知手段と、前記インバータ回路を制御し、前記スイッチング素子に印加される電圧が最も高くなる鍋においても、前記スイッチング素子の破壊電圧に至らない第1のON時間が内部に設定されている制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電源電圧検知手段により電源電圧の低下を検出した時に、前記スイッチング素子のON時間を、前記第1のON時間に制限する誘導加熱調理器。
  2. トッププレート上の鍋を加熱する加熱コイルと、スイッチング素子(IGBT等)や共振コンデンサ等で構成され前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、商用電源等の電源を整流・平滑し前記インバータ回路に供給する直流電源と、前記直流電源の出力電圧を検出する電源電圧検知手段と、前記インバータ回路を制御し、前記スイッチング素子に印加される電流が最も高くなる鍋においても、前記スイッチング素子が許容する最大電流に至らない第2のON時間が内部に設定されている制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電源電圧検知手段により電源電圧の低下を検出した時に、前記スイッチング素子のON時間を、前記第2のON時間に制限する誘導加熱調理器。
  3. 制御手段は、電源電圧検知手段により電源電圧の低下を検出し、スイッチング素子のON時間を制限している状態において、前記電源電圧検知手段により電源電圧復帰を検出した後、前記スイッチング素子のON時間の制限を解除する請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 制御手段は、電源電圧検知手段により検出する電源電圧の低下が一定時間継続すると、異常と判断して加熱を停止する請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。
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