JP2011129333A - 燃料電池筐体ユニット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池筐体ユニットにおいて、ガス透過膜を筐体に組み付けしやすくするとともに、筐体の製造作業の容易化を図ることである。
【解決手段】第1換気用開口部20及び第2換気用開口部24を有する、燃料電池スタック収容のための筐体10と、第1膜一体板状部材12及び第2膜一体板状部材14とを備える。各膜一体板状部材12,14は、第1換気用開口部20または第2換気用開口部24よりも小さい複数のスリット32または円孔42を有し、第1ガス透過膜30または第2ガス透過膜40に重ね合わせるように一体に結合された第1板状部材28または第2板状部材38を含む。各膜一体板状部材12,14は、対応する換気用開口部20,24を覆うように筐体10に取り付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池収容のための筐体と、ガス透過膜とを備える燃料電池筐体ユニット及びその製造方法に関する。
従来から、環境に与える影響が少ないことから、車両に燃料電池を搭載した燃料電池搭載車両が考えられ、一部で実用化されている。燃料電池は、例えば燃料電池スタックのアノード側に水素ガス等の燃料ガスを供給し、カソード側に酸素を含む酸化ガス、例えば空気を供給し、電解質膜を通しての反応によって必要な電力を取り出す。
また、燃料電池への外部からの雨水の侵入を防止するとともに、感電などの防止を図るために、筐体であるケースに燃料電池を構成する燃料電池スタックを収容することが考えられている。ただし、燃料電池スタックのシール部材の劣化や、シール部材やシール部材と相手部材との間からの水素の漏れである水素透過等の原因により、水素がスタックから漏れ出る、すなわちリークする可能性がある。
これに対して、特許文献1には、燃料電池スタックを収納する燃料電池用ケースにおいて、燃料電池スタックのシール部材を水素が透過した場合や、シール部材の劣化により水素がリークした場合に、水素をケースから外気に開放してケース内の水素濃度を低くするために、ケースの最上部に設けた換気用の換気口と、換気口を密封する水素透過膜とにより構成する換気部を設けることが記載されている。水素透過膜は、液体は透過しないが気体は透過する材料により形成されている。これにより、換気部に集まった水素は、水素透過膜を透過してケースから排出されるとされている。
特開2002−367647号公報
上記の特許文献1に記載された燃料電池用ケースの場合、水素透過膜は、脆弱で傷付きやすい場合があるため、筐体であるケースの形状によっては、水素透過膜だけをケースに組み付けることが困難になる可能性がある。このため、水素透過膜を取り付けたケースのコストが高くなる可能性がある。
また、ケース内への電磁波ノイズの侵入や、ケース内からの電磁波ノイズの放射を防止するためにケースを構成する壁部に電磁波を通さない複数の小さい換気用貫通孔を形成し、この複数の換気用貫通孔形成部分を覆うように、壁部の表面に水素透過膜を取り付けることも考えられる。ただし、この場合、壁部に複数の小さい換気用貫通孔を形成するための加工作業が困難で、しかも水素透過膜が大型化する可能性がある。すなわち、剛性の高いケースに電磁波を通さない換気用貫通孔を形成する場合、貫通孔を形成するための大きな力を加える必要があり、隣り合う貫通孔同士のピッチが大きくなる。このため、貫通孔形成部分に取り付ける水素透過膜が大型化する。また、剛性の高いケースに小さいピッチの孔を形成するために、ドリル等の機械加工や、レーザーカット等で個々の円形の孔やスリットを形成する必要があり、コストが高くなる可能性がある。
本発明の目的は、燃料電池筐体ユニット及びその製造方法において、ガス透過膜を筐体に組み付けしやすくするとともに、筐体の製造作業の容易化を図ることである。
本発明に係る燃料電池筐体ユニットは、換気用開口部を有する、燃料電池収容のための筐体と、換気用開口部よりも小さい複数の換気用孔部を有し、ガス透過膜に重ね合わせるように一体に結合された板状部材と、を備え、ガス透過膜に結合された板状部材は、換気用開口部を覆うように筐体に取り付けられていることを特徴とする燃料電池筐体ユニットである。
本発明に係る燃料電池筐体ユニットによれば、各ガス透過膜を対応する板状部材により補強できるため、板状部材に結合した状態でガス透過膜を筐体に結合することで、各ガス透過膜の筐体への組み付け作業の容易化を図れる。このため、ガス透過膜を取り付けた筐体のコストを低減できる。また、ガス透過膜に結合する板状部材に、電磁波ノイズを通さない複数の換気用孔部を設けることができるので、筐体に電磁波を通さない複数の小さい貫通孔を直接形成することなく、筐体内への電磁波ノイズの侵入や筐体外部への電磁波ノイズの放射を防止できる。このため、筐体の加工作業の容易化を図れ、コストの低減を図れる。すなわち、筐体には、水素等のガス放出のために大きな換気用開口部のみを形成すればよいので、筐体のコスト低減を図れる。また、本発明と異なり、筐体に電磁波を通さない複数の小さい貫通孔を直接形成し、その貫通孔形成部分を覆うようにガス透過膜を結合する構成も考えられる。ただし、この構成の場合にガス透過膜が大きくなるのに対し、本発明の場合には、ガス透過膜を小さくできるので、部品コストの低減も図れる。したがって、各ガス透過膜を筐体に組み付けしやすくできるとともに、筐体の製造作業の容易化を図れる。
また、本発明に係る燃料電池筐体ユニットにおいて、好ましくは、ガス透過膜は、平面視の外周形状において、板状部材の平面視の外周形状と同一形状である。
また、本発明に係る燃料電池筐体ユニットにおいて、好ましくは、板状部材の片面と筐体の外面との間に設けられたシール部材を備える。
上記構成によれば、板状部材と筐体との間からのガス漏れを、より有効に防止できる。
また、本発明に係る燃料電池筐体ユニットにおいて、好ましくは、換気用孔部は、電磁波ノイズの内部への侵入を阻止しつつ、筐体内側から外側への水素の流出を可能とする。
また、本発明に係る燃料電池筐体ユニットにおいて、好ましくは、筐体は、外側に突出するように結合されたダクトを備え、換気用開口部は、ダクトに設けられており、ガス透過膜に結合された板状部材は、換気用開口部を覆うようにダクトに取り付けられている。
また、本発明に係る燃料電池筐体ユニットの製造方法は、換気用開口部を有する筐体と、ガス透過膜と、板状部材とを備える、本発明に係る燃料電池筐体ユニットの製造方法であって、換気用孔部を有する板状部材にガス透過膜を重ね合わせるように結合し、膜一体板状部材を構成するステップと、膜一体板状部材を、換気用開口部を覆うように、筐体に取り付けるステップとを含む燃料電池筐体ユニットの製造方法である。
本発明に係る燃料電池筐体ユニット及び燃料電池筐体ユニットの製造方法によれば、ガス透過膜を筐体に組み付けしやすくできるとともに、筐体の製造作業の容易化を図れる。
本発明に係る第1の実施の形態の燃料電池筐体ユニットを構成する筐体と、第1、第2のガス透過膜と、第1、第2の板状部材とを一部を分離して示す斜視図である。 図1に示す第1のガス透過膜と、第1のガス透過膜に結合する第1の板状部材とを上下に並べて示す図である。 図1において、筐体に第1のガス透過膜及び第1の板状部材を取り付けた場合の部分断面図である。 図1に示す第2のガス透過膜と、第2のガス透過膜に結合する第2の板状部材とを上下に並べて示す図である。 本発明に係る第2の実施の形態の燃料電池筐体ユニットを構成する筐体と、ガス透過膜と、板状部材とを分離して示す斜視図である。 図5に示すガス透過膜と、ガス透過膜に結合する板状部材とを上下に並べて示す図である。
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図4は、本発明に係る第1の実施の形態を示している。図1に示すように、本実施の形態の燃料電池筐体ユニットは、燃料電池である燃料電池スタック(図示せず)を収容するための筐体(ケース)10と、それぞれ複数ずつの第1膜一体板状部材12及び第2膜一体板状部材14とを備える。筐体10は、有底の箱状である筐体本体16と、筐体本体16の上部開口を塞ぐ蓋部18とを含む。蓋部18は、筐体本体16の上部に複数のボルト結合部により結合している。複数のボルト結合部は、例えばボルトにナットをねじ結合することにより構成する。なお、燃料電池スタックは、複数の燃料電池セルの積層構造を含む。各燃料電池セルは、例えば、電解質膜の両側にアノード側、カソード側の電極を配置し、さらにその両側にセパレータを設けることにより構成する。
蓋部18の長さ方向複数個所に離隔するように、上下方向に貫通する複数の第1換気用開口部20を設けている。各第1換気用開口部20は、略矩形状であり、互いに同一の大きさ及び形状を有する。また、筐体本体16を構成する側壁部22の長さ方向複数個所に離隔するように、水平方向に貫通する第2換気用開口部24を設けている。各第2換気用開口部24は、略矩形状であり、互いに同一の大きさ及び形状を有する。
蓋部18の上面で、各第1換気用開口部20の周辺部は、平坦面となっている。筐体本体16の側壁部22の外面で、第2換気用開口部24の周辺部も、平坦面となっている。蓋部18の上面で、隣り合う第1換気用開口部20の間には、外側に突出するリブ26を設けている。
蓋部18の上面に、それぞれ各第1換気用開口部20を覆うように第1膜一体板状部材12を接着等により結合固定し、取り付けている。各第1膜一体板状部材12は、略矩形状の第1板状部材28に第1ガス透過膜30を一体に重ね合わせるように結合することにより構成している。
図2に示すように、第1ガス透過膜30は、略矩形状に形成するとともに、例えば、水は透過しないが、水素や空気等の気体は透過する材料、例えば多孔質材料により構成している。第1ガス透過膜30は、例えば気体のうち、水素のみを透過する水素透過膜とすることもできる。
また、第1板状部材28は、アルミニウムまたはアルミニウム合金や鉄等の金属により略矩形の外周形状を有する薄板状に造っている。第1板状部材28は、第1ガス透過膜30の平面視の外周形状と同一形状または略同一形状で、同一の大きさまたは略同一の大きさの外周形状を有する。第1板状部材28及び第1ガス透過膜30は、第1換気用開口部20(図1)の内周形状よりも少しだけ大きい外形を有する。
また、第1板状部材28の長さ方向(図2の左右方向)複数個所に、複数の換気用孔部であるスリット32を、厚さ方向に貫通するように形成している。なお、図2では、第1板状部材28の長さ方向中間部に設けたスリット32の図示を省略している。複数のスリット32は、第1板状部材28の長さ方向にほぼ等間隔で形成している。各スリット32は、第1板状部材28の幅方向(図2の上下方向)に長い断面矩形状を有する。また、各スリット32は、第1換気用開口部20(図1)よりも小さい。このようなスリット32は、プレス等により形成することができる。例えば複数のスリット32を同時に形成することもできる。
また、図3に示すように、第1板状部材28の厚さd1は、第1板状部材28を取り付ける蓋部18の厚さd2と略同一か、または蓋部18の厚さd2以下とする。なお、第1板状部材28は、樹脂に金属メッキを施したものから造ってもよい。
図3に示すように、第1ガス透過膜30は、第1板状部材28に重ね合わせ、互いに接着等により結合することにより、第1膜一体板状部材12を構成している。また、第1ガス透過膜30と第1板状部材28との接合部の外周部に、全周にわたってシール部材34を設けている。シール部材34は、シールゴムや、両面テープ等の水を通さない性質を有する材料により構成している。このようにシール部材34を設けるために、例えば、第1ガス透過膜30と第1板状部材28との互いに対向する面の外周部のそれぞれに枠状の溝部を形成することもできる。
そして、蓋部18の上面において、各第1換気用開口部20の周辺部に第1膜一体板状部材12を、第1ガス透過膜30を上側に、第1板状部材28を下側に配置した状態で、第2シール部材36を介して結合している。すなわち、第1板状部材28の下面の周辺部と、蓋部18の上面の各第1換気用開口部20の周辺部との間に、第2シール部材36を設けている。第2シール部材36も、シール部材34と同様に、シールゴムや、両面テープ等の水を通さない性質を有する材料により構成している。この結果、第1ガス透過膜30に結合された第1板状部材28は、第1換気用開口部20を覆うように筐体10に取り付けられる。また、第1板状部材28の下面と筐体10の外面との間に第2シール部材36が設けられる。また、スリット32は、予め設定した特定の範囲の周波数の電磁波ノイズの筐体10の内部への侵入を阻止しつつ、筐体10内側から外側への水素の流出を可能とする。特定の範囲の周波数の電磁波ノイズの通過を阻止できるか否かは、スリット32の幅Wにより決定される。
また、図1に戻って、筐体本体16の側壁部22の外面に、それぞれ各第2換気用開口部24を覆うように第2膜一体板状部材14を接着等により結合固定し、取り付けている。各第2膜一体板状部材14は、略矩形状の第2板状部材38に第2ガス透過膜40を一体に重ね合わせるように結合することにより構成している。
図4に示すように、第2ガス透過膜40は、第1ガス透過膜30(図2)と同様に、略矩形状で例えば、水は透過しないが、水素や空気等の気体は透過する材料、例えば多孔質材料により構成している。第2ガス透過膜40は、例えば気体のうち、水素のみを透過する水素透過膜とすることもできる。
また、第2板状部材38は、アルミニウムまたはアルミニウム合金や鉄等の金属により略矩形の外周形状を有する薄板状に造っている。第2板状部材38は、第2ガス透過膜40の平面視の外周形状と同一形状または略同一形状で、同一の大きさまたは同一の大きさの外周形状を有する。第2板状部材38及び第2ガス透過膜40は、第2換気用開口部24(図1)の内周形状よりも少しだけ大きい外形を有する。また、第2板状部材38の複数個所に、ほぼ均一に複数の換気用孔部である断面円形の円孔42を厚さ方向に貫通するように形成している。各円孔42は、第2換気用開口部24よりも小さい。このような円孔42は、プレス等により形成することができる。また、第2板状部材38の厚さは、第2板状部材38を取り付ける筐体本体16の厚さと略同一か、または筐体本体16の厚さ以下とする。なお、第2板状部材38は、樹脂に金属メッキを施したものから造ってもよい。
第2ガス透過膜40は、第2板状部材38に重ね合わせ、互いに接着等により結合することにより、第2膜一体板状部材14を構成している。第2ガス透過膜40と第2板状部材38との接合部の外周部に、全周にわたって第3シール部材を設けることもできる。第3シール部材は、シール部材34(図3)と同様の材料により構成する。
そして、図1に示すように、筐体本体16の側壁部22の外面の各第2換気用開口部24の周辺部に第2膜一体板状部材14を、第2ガス透過膜40を外側に、第2板状部材38を内側に配置した状態で、シール部材34(図3)と同様の材料により構成する第4シール部材(図示せず)を介して結合している。すなわち、第2板状部材38の内面の周辺部と、側壁部22の外面の各第2換気用開口部24の周辺部との間に、第4シール部材を設けている。この結果、第2ガス透過膜40に結合された第2板状部材38は、第2換気用開口部24を覆うように筐体10に取り付けられる。また、第2板状部材38の内面と筐体10の外面との間に第4シール部材を設けている。
また、第2板状部材38に設ける円孔42は、予め設定した特定の範囲の周波数の電磁波ノイズの筐体10内部への侵入を阻止しつつ、筐体10内側から外側への水素の流出を可能とする。例えば、円孔42の内径は、スリット32の幅W(図3)とほぼ同一寸法を有するものとする。また、円孔42の内径とスリット32の幅Wとは、円孔42及びスリット32を通じての侵入を阻止する電磁波ノイズの種類に応じて予め設定した寸法以下に設定する。
また、筐体10と第1膜一体板状部材12及び第2膜一体板状部材14とを備える燃料電池筐体ユニットの製造方法は、スリット32を有する第1板状部材28に第1ガス透過膜30を重ね合わせるように結合し、第1膜一体板状部材12を構成するステップと、円孔42を有する第2板状部材38に第2ガス透過膜40を重ね合わせるように結合し、第2膜一体板状部材14を構成するステップと、第1膜一体板状部材12を、第1換気用開口部20を覆うように、蓋部18に取り付けるステップと、第2膜一体板状部材14を、第2換気用開口部24を覆うように、筐体本体16に取り付けるステップとを備える。第1膜一体板状部材12構成ステップは、第2膜一体板状部材14構成ステップよりも後でもよく、第2膜一体板状部材14構成ステップは、第1膜一体板状部材12の蓋部18への取り付けステップよりも後でもよい。要するに、第1板状部材28(または第2板状部材38)に第1ガス透過膜30(または第2ガス透過膜40)を結合し、第1膜一体板状部材12(または第2膜一体板状部材14)を構成した後で、第1膜一体板状部材12(または第2膜一体板状部材14)を蓋部18(または筐体本体16)に取り付ける。なお、燃料電池スタックへの水素供給用、酸素供給用等の、燃料電池スタックに接続した配管は、筐体10の図示しない部分から外部に導出させている。
このような燃料電池筐体ユニット及び燃料電池筐体ユニットの製造方法によれば、得られた燃料電池筐体ユニットにおいて、筐体10内に収容した燃料電池スタックのシール部材(図示せず)の水素透過や、経年劣化によるシール部材部分からの水素漏れ等により筐体10内に水素が溜まる傾向となった場合でも、水素を各ガス透過膜30,40を通じて外部に排出できる。このため、筐体10内で水素濃度が高くなることを防止できる。特に、水素は筐体10内で上部に溜まる傾向となるが、筐体10の上端部に設けた第1膜一体板状部材12のスリット32及び第1ガス透過膜30を通じて水素を有効に外部に排出できる。
また、第1、第2ガス透過膜30,40を筐体10に組み付けしやすくできるとともに、筐体10の製造作業の容易化を図れる。すなわち、各ガス透過膜30,40を対応する板状部材28,38により補強できるため、板状部材28,38に結合した状態でガス透過膜30,40を筐体10に結合することで、各ガス透過膜30,40の筐体10への組み付け作業の容易化を図れる。このため、ガス透過膜30,40を取り付けた筐体10のコストを低減できる。
また、ガス透過膜30,40に結合する板状部材28,38に、電磁波ノイズを通さない複数のスリット32または円孔42を設けることができる。このため、筐体10に電磁波を通さない複数の小さい貫通孔を直接形成することなく、筐体10内への電磁波ノイズの侵入や筐体10外部への電磁波ノイズの放射を防止できる。このため、筐体10の加工作業の容易化を図れ、コストの低減を図れる。すなわち、筐体10には、水素放出のために大きな換気用開口部20,24のみを形成すればよいので、筐体10のコスト低減を図れる。また、本実施の形態と異なり、筐体10に電磁波を通さない複数の小さい貫通孔を直接形成し、その貫通孔形成部分を覆うように水素透過膜を結合する構成も考えられる。ただし、この構成の場合には水素透過膜が大きくなるのに対し、本実施の形態では、剛性の低い板状部材28,38にプレス等により複数のスリット32や円孔42を形成でき、隣り合うスリット32または円孔42同士の間隔であるピッチを小さくできる。このため、ガス透過膜30,40を小さくでき、部品コストの低減も図れる。したがって、各ガス透過膜30,40を筐体10に組み付けしやすくできるとともに、筐体10の製造作業の容易化を図れる。また、ガス透過膜30,40は、水の通過を阻止するように構成しているので、筐体10内への外部からの水の浸入を有効に防止できる。
また、板状部材28,38の片面と筐体10の外面との間に設けられた第2シール部材36等のシール部材を備えるので、板状部材28,38と筐体10との間からのガス漏れをより有効に防止できる。なお、本実施の形態では、第1膜一体板状部材12と第2膜一体板状部材14との2種類を筐体10に取り付けているが、いずれか1種類の膜一体板状部材12(または14)のみを筐体10に取り付けることもできる。
また、筐体10に設ける換気用開口部の数を1つのみとし、いずれか1の膜一体板状部材を換気用開口部を覆うように筐体10に取り付けることもできる。例えば、換気用開口部を筐体10の上部、すなわち、蓋部18のみに設けることもできる。また、ガス透過膜に設ける換気用孔部は、スリット32や円孔42に限定するものではなく、例えば円形や矩形以外の種々の断面形状を有するように構成することもできる。
[第2の発明の実施の形態]
図5は、本発明に係る第2の実施の形態の燃料電池筐体ユニットを構成する筐体と、ガス透過膜と、板状部材とを分離して示す斜視図である。図6は、図5に示すガス透過膜と、ガス透過膜に結合する板状部材とを上下に並べて示す図である。本実施の形態では、上記の第1の実施の形態において、蓋部18の隅部に上方に立設する状態で、内側が筐体10内部に通じるダクト44を設けている。すなわち、筐体10は、外側に突出するように結合されたダクト44を備える。ダクト44は、蓋部18と一体成形することもでき、また、蓋部18と別の部材を、蓋部18に結合固定することによりダクト44を構成することもできる。
ダクト44は、換気用ダクトまたは冷却配管またはセンサ接続ダクト等としての機能を有する。例えば、ダクト44を換気用として使用する場合に、ダクト44の端部に別の配管を接続し、その配管を通じて水素を排出可能とすることで、外部の好ましい水素排出場所に水素を排出することもできる。例えば、筐体10の周辺部が水素が溜まりやすい構造になっている等の場合に、筐体10の周辺部から離れた排出場所に水素を排出させることができる。また、ダクト44を冷却用として使用する場合、ダクト44に接続した配管を排気用ファンに導くことで、排気用ファンの駆動により筐体10内の温度上昇した空気を強制的に外気に排出可能とすることもできる。また、ダクト44をセンサ接続用として使用する場合、ダクト44の端部に水素検知センサを結合したり、ダクト44の端部に別の配管を接続し、その配管を、外部に設けられた水素検知センサまで導くことで、筐体10内の水素濃度を水素検知センサにより検知可能とすることができる。
また、ダクト44の端部やダクト44の中間部の内側に、ガス透過膜46と板状部材48とにより構成する膜一体板状部材を取り付けている。また、ダクト44の内側に換気用開口部50を設けている。膜一体板状部材は、ガス透過膜46に板状部材48を重ね合わせるように一体に結合している。ガス透過膜46に結合された板状部材48は、ダクト44内側の換気用開口部50を覆うようにダクト44に取り付けている。
図6に示すように、ガス透過膜46は、外周形状を円形に形成し、例えば、水は透過しないが、水素や空気等の気体は透過する材料、例えば多孔質材料により構成している。ガス透過膜46は、例えば気体のうち、水素のみを透過する水素透過膜とすることもできる。
また、板状部材48は、円形の外周形状を有する薄板状で、アルミニウムまたはアルミニウム合金や鉄等の金属により薄板状に造っており、ガス透過膜46の平面視の外周形状と同一形状または略同一形状で、同一の大きさまたは同一の大きさの外周形状を有する。板状部材48及びガス透過膜46の外周形状は、換気用開口部50の内周形状とほぼ同じとしている。また、板状部材48の複数個所にほぼ均一に、厚さ方向に貫通する換気用孔部である、断面円形の円孔52を形成している。なお、板状部材48に設ける換気用孔部は、円孔52以外に、断面円形以外の断面形状を有する貫通孔としたり、断面矩形等のスリットとすることもできる。
各円孔52は、換気用開口部50よりも小さい。このような円孔52は、プレス等により形成することができる。また、板状部材48の厚さは、板状部材48を取り付ける蓋部18(図5)の厚さと略同一か、または蓋部18の厚さ以下とする。なお、板状部材48は、樹脂に金属メッキを施したものから造ってもよい。このような板状部材48はガス透過膜46に結合することにより膜一体板状部材を構成し、膜一体板状部材をダクト44に取り付けている。
このような本実施の形態の場合も、ガス透過膜46を筐体10に組み付けしやすくできるとともに、筐体10の製造作業の容易化を図れる。なお、上記の第1の実施の形態で筐体10に取り付けていた第1膜一体板状部材12及び第2膜一体板状部材14(図1等)を省略し、これらの膜一体板状部材12,14により覆っていた換気用開口部20,24を筐体10から省略することもできる。なお、ダクト44を設ける位置は、図示の例の位置に限定するものではなく、例えば蓋部18の中央部に設けたり、筐体本体16の側壁部22に横方向に突出するように設けることもできる。なお、水素排出の面からは、ダクト44は筐体10の上部に設けることが好ましい。その他の構成及び作用は、上記の第1の実施の形態と同様であるため、重複する図示及び説明を省略する。
なお、本発明に関する参考例として、燃料電池スタックからの水素透過や水素のリークができる構造で、かつ、電磁波ノイズの筐体内からの放射及び筐体内への侵入を防止できる構造であれば、上記の各実施の形態において、膜一体板状部材12,14の代わりに、筐体に膜一体網部材を取り付けたり、筐体に膜一体不織布部材を取り付けることもできる。膜一体網部材は、水素透過膜等のガス透過膜の片面に金属メッシュを結合固定する。膜一体不織布部材は、ガス透過膜の片面に不織布を結合させる。このような構成の場合も、ガス透過膜を金属メッシュや不織布により補強できて、筐体に組み付けしやすくできるとともに、筐体の製造作業の容易化を図れる。
10 筐体(ケース)、12 第1膜一体板状部材、14 第2膜一体板状部材、16 筐体本体、18 蓋部、20 第1換気用開口部、22 側壁部、24 第2換気用開口部、26 リブ、28 第1板状部材、30 第1ガス透過膜、32 スリット、34 シール部材、36 第2シール部材、38 第2板状部材、40 第2ガス透過膜、42 円孔、44 ダクト、46 ガス透過膜、48 板状部材、50 換気用開口部、52 円孔。

Claims (6)

  1. 換気用開口部を有する、燃料電池収容のための筐体と、
    換気用開口部よりも小さい複数の換気用孔部を有し、ガス透過膜に重ね合わせるように一体に結合された板状部材と、を備え、
    ガス透過膜に結合された板状部材は、換気用開口部を覆うように筐体に取り付けられていることを特徴とする燃料電池筐体ユニット。
  2. 請求項1に記載の燃料電池筐体ユニットにおいて、
    ガス透過膜は、平面視の外周形状において、板状部材の平面視の外周形状と同一形状であることを特徴とする燃料電池筐体ユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池筐体ユニットにおいて、
    板状部材の片面と筐体の外面との間に設けられたシール部材を備えることを特徴とする燃料電池筐体ユニット。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1に記載の燃料電池筐体ユニットにおいて、
    換気用孔部は、電磁波ノイズの内部への侵入を阻止しつつ、筐体内側から外側への水素の流出を可能とすることを特徴とする燃料電池筐体ユニット。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1に記載の燃料電池筐体ユニットにおいて、
    筐体は、外側に突出するように結合されたダクトを備え、
    換気用開口部は、ダクトに設けられており、
    ガス透過膜に結合された板状部材は、換気用開口部を覆うようにダクトに取り付けられていることを特徴とする燃料電池筐体ユニット。
  6. 換気用開口部を有する筐体と、ガス透過膜と、板状部材とを備える、請求項1に記載の燃料電池筐体ユニットの製造方法であって、
    換気用孔部を有する板状部材にガス透過膜を重ね合わせるように結合し、膜一体板状部材を構成するステップと、
    膜一体板状部材を、換気用開口部を覆うように、筐体に取り付けるステップとを含む燃料電池筐体ユニットの製造方法。
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