JP2011128060A - プラズモン励起センサ、並びにこれを用いた核酸検出装置および核酸検出方法 - Google Patents

プラズモン励起センサ、並びにこれを用いた核酸検出装置および核酸検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、金属薄膜表面が撥水処理されているプラズモン励起センサ、並びに、このセンサを用いる高感度な核酸検出装置及び核酸検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のプラズモン励起センサは、透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有しており、本発明の核酸検出装置及び核酸検出方法は、前記プラズモン励起センサ上で前記蛍光修飾プローブと検体中のターゲット核酸との反応により形成される二本鎖の複合体を、プラズモン光によって励起された蛍光シグナルとして検出することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、検体中の核酸を高感度に検出するプラズモン励起センサに関する。さらに本発明は、当該プラズモン励起センサ上で検体を基板に接触させ、これにより固定化された検体中の核酸をプラズモン蛍光測定を用いて高感度に検出する核酸検出装置および核酸検出方法に関する。
表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)とは、照射したレーザ光が金薄膜表面で全反射減衰(ATR)する条件において、金属薄膜表面に粗密波(表面プラズモン)を発生させることによって、照射したレーザ光が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やし(表面プラズモンの電場増強効果)、これにより金薄膜近傍の蛍光色素を効率良く励起させることによって、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出することができる方法である。
一方、核酸などの生体分子を検出する方法としては、検体中の生体分子と親和性の高い分子をプローブ分子として用い、このプローブ分子が生体分子と反応したときに生じる変化を蛍光の変化などの形で検出する方法が広く用いられている。例えば、検体中の生体分子のうち一重鎖のDNAを検出対象とする核酸分子(以下、「ターゲット核酸」と称することがある。)とする場合、この一重鎖のDNAと相補的な配列を有する別の一重鎖のDNAをプローブ分子として固定したバイオセンサを用い、このバイオセンサに蛍光分子を付した生体分子を接触させてこれらを反応させ、その結果バイオセンサに固定された蛍光分子からの蛍光を検出する方法が広く用いられている。しかし、この方法では、検体中の生体分子に予め蛍光分子を修飾させる必要があることから、蛍光分子の修飾量のばらつきによりデータの再現性が低下するという問題があり、また、しばしば検体中の生体分子を予め増幅させておく必要があることから検査プロセスが煩雑になるという問題がある。
このような問題点を解決するため、近年、プローブ分子としてモレキュラビーコンを用いた方法が研究されている。モレキュラービーコンの基本原理は、米国特許第5,925,517
号明細書(特許文献1)に示されており、モレキュラービーコンとは分子の両末端に蛍光分子と消光分子を有するものと定義されている。このモレキュラビーコンにおいては、通常、蛍光分子と消光分子とが近接しており、蛍光分子の励起エネルギーが消光分子に移動するために蛍光が消光している。ここで、モレキュラビーコンが別の分子と反応すると、ビーコンの立体構造が変化するために蛍光分子と消光分子が離れ、蛍光分子の発光が生じる。このため、モレキュラビーコンをプローブ分子として用いる場合には検体中の生体分子に蛍光分子等を別途付す必要がないので、モレキュラビーコンは溶液中で生体分子を検出する際の試薬として一般的によく用いられ始めている。
生体分子の検出にあたり、このモレキュラビーコンを基板に固定した状態で用いる試みもなされている。しかし、蛍光分子と消光分子を有するモレキュラビーコンを基板に固定した状態で使用すると、モレキュラビーコン分子の分子運動が抑制されるために、蛍光の消光効率が低くなり、かつ蛍光強度が低くなるといった問題がある。そのため、モレキュラビーコンに通常用いられる消光分子の代わりに金ナノ粒子を用いる試みが種々なされてきた。また、検出感度の向上を目的として、蛍光増強を用いる方法も試みられてきた。
これらの試みの中で、特開2007-171158号公報(特許文献2)は、基板表面に金属微粒
子を固定し、さらに一端に蛍光分子を修飾したループ型プローブ分子をこの金属微粒子に
固定した生体分子検出素子を用いて、検出用生体分子を非標識の状態で高感度に検出する方法を紹介している。この生体分子検出素子において、金属微粒子が蛍光増強効果を生じさせるとともに消光分子としての役割をも有している。この生体分子検出素子では、検体中のターゲット核酸との反応前においては、金属微粒子と蛍光分子とが近接しているのでプローブ分子上の蛍光分子が金属消光により消光しているが、反応後では蛍光分子と金属微粒子との距離が増大するので蛍光分子が蛍光を発生する。また、特許文献2には、検体中のターゲット核酸を検出する際に、金属微粒子の局在プラズモン共鳴による電場増強効果を利用して蛍光増強を行っているので、高感度な検出が可能であることが記載されている。
米国特許第5,925,517号明細書 特開2007-171158号公報 特開2001-335804号公報
特許文献2に記載の前記生体分子検出素子等、二本鎖DNAの形成によって蛍光発光を生じさせる従来のバイオセンサーが本来の作用・効果を発揮するためには、プローブ分子とターゲット核酸とのハイブリダイゼーションにより形成した二本鎖DNAが基板表面に対して直立することが前提となる。ところが、実際には、形成した二本鎖DNAの一部が基板表面に横倒しになることがある。その場合には、プローブ分子上の蛍光分子が金属微粒子と再び近接することとなり、その結果、その蛍光分子が再び金属消光により消光する。現在までのところ、このような現象は知られていないものの、このような現象が生じると、充分な検出感度を得ることができないという問題点がある。
本発明は、このような問題点を克服するため、金属薄膜表面が撥水処理されているプラズモン励起センサ、並びに、このセンサを用いる高感度な核酸検出装置及び核酸検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いて核酸の検出を行うに当たり、プラズモン励起センサの金属薄膜表面に撥水処理を行うと、この金属薄膜表面に固定したプローブ分子に検体中の検出対象とする核酸分子(以下、「ターゲット核酸」という。)と反応させたときに形成する複合体に基づく蛍光の強度が増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のプラズモン励起センサは、透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有することを特徴とする。
また、上記プラズモン励起センサを備えた核酸検出装置として、本発明の核酸検出装置は、
透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサを備えており、
前記プラズモン励起センサ上で前記蛍光修飾プローブと検体中のターゲット核酸との反応により形成される二本鎖の複合体を、プラズモン光によって励起された蛍光シグナルと
して検出する
ことを特徴とする。
そして、上記プラズモン励起センサを用いた核酸検出方法として、本発明の核酸検出方法は、
工程(a):透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサに、検体を接触させる工程;
工程(b):前記工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに対して、前記透明平面基板の、前記金属薄膜とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された前記蛍光分子から発光された蛍光量を測定する工程;および、
工程(c):前記工程(b)で得られた測定結果から、前記検体中に含まれる核酸の量を算出する工程
を含むことを特徴とする。
これらの発明において、表面処理が、炭化フッ素系化合物による撥水処理であることが望ましい。
また、これらの発明において、プローブ分子の一方の末端が前記金属薄膜に固定されており、他方の末端が前記蛍光分子と結合していることが望ましく、特に、プローブ分子が、ループ型の構造を有する核酸であるとさらに望ましい。
また、本発明で用いられる検体については、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液からなる群から選択される少なくとも1種の体液であると好ましい。
また、本発明は、前記核酸検出方法に用いられるキットをも提供する。
本発明は、金属薄膜表面が撥水処理されているプラズモン励起センサを用いることによって、さらなる蛍光強度の増大及び蛍光シグナルの安定性向上をも図ることができるので、高感度かつ高精度の核酸検出装置及び核酸検出方法を提供することができる。さらに、金属薄膜表面が撥水処理されていることから、プラズモン励起センサを汚れの付着のない状態に保つことができる。
本願発明で用いられるプラズモン励起センサの、ターゲット核酸との反応前(a)および反応後(b)における模式図を示す。 実施例1及び比較例1、2で作製した各プラズモン励起センサにおける蛍光シグナル強度を示す図である。
以下、本発明について、図1を参照しながら具体的に説明する。
〔プラズモン励起センサ〕
本発明の第1の態様は、
透明平面基板11の表面に金属薄膜12が形成され、金属薄膜12の表面に、プローブ分子31と消光状態の蛍光分子32とからなる蛍光修飾プローブ21が配列され、該金属薄膜12の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサである。
透明平面基板
本発明において、プラズモン励起センサの構造を支持する平面基板として透明平面基板11が用いられる。本発明において、平面基板として透明平面基板11を用いるのは、後述する金属薄膜12への光照射をこの平面基板を通じて行うからである。
本発明で用いられる透明平面基板11について、本発明の目的が達せられる限り、材質に特に制限はない。例えば、この透明平面基板11が、ガラス製であってもよく、また、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などのプラスチック製であってもよい。
また、d線(588nm)における屈折率〔nd〕が好ましくは1.40〜2.20で
あり、厚さが好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmであれば、大きさ(縦×横)は特に限定されない。
なお、ガラス製の透明平面基板11は、市販品として、SCHOTT AG社製のBK7(屈折率〔nd〕1.52)およびLaSFN9(屈折率〔nd〕1.85)、(株)住田光学ガラス製のK−PSFn3(屈折率〔nd〕1.84)、K−LaSFn17(屈
折率〔nd〕1.88)およびK−LaSFn22(屈折率〔nd〕1.90)、並びに(株)オハラ製のS−LAL10(屈折率〔nd〕1.72)などが、光学的特性と洗浄性
との観点から好ましい。
透明平面基板11は、その表面に金属薄膜12を形成する前に、その表面を酸および/またはプラズマにより洗浄することが好ましい。
酸による洗浄処理としては、0.001〜1Nの塩酸中に、1〜3時間浸漬することが好ましい。
プラズマによる洗浄処理としては、例えば、プラズマドライクリーナー(ヤマト科学(株)製のPDC200)中に、0.1〜30分間浸漬させる方法が挙げられる。
金属薄膜
本発明に係るプラズモン励起センサでは、透明平面基板11の一方の表面に金属薄膜12を形成する。ここで、プラズモン励起センサを検体と接触させる前においては、図1(a)に示すように、金属薄膜12は、蛍光分子32と近接した状態にあるので、蛍光分子32の励起エネルギーを吸収することにより蛍光分子32に対して金属消光をもたらす役割を有する。一方、プラズモン励起センサを検体と接触させた後においては、図1(b)に示すように、金属薄膜12は、蛍光分子32から離れた状態にあるので、蛍光分子32に対して金属消光をもたらさない。その代わりに、金属薄膜12は、光源からの照射光により表面プラズモン励起を引き起こすことで電場を発生させることにより、蛍光分子32の発光をもたらし増強させる役割を有する。
上記透明平面基板11の一方の表面に形成された金属薄膜12としては、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることが好ましく、金からなることがより好ましい。これらの金属については、その合金の形態であってもよく、金属を積層したものであってもよい。このような金属種は、酸化に対して安定であり、かつ表面プラズモンによる電場増強が大きくなることから好適である。
なお、透明平面基板11としてガラス製平面基板を用いる場合には、ガラスと上記金属薄膜12とをより強固に接着するため、あらかじめクロム、ニッケルクロム合金またはチ
タンの薄膜を形成することが好ましい。
透明平面基板11上に金属薄膜12を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法等)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。薄膜形成条件の調整が容易なことから、スパッタリング法または蒸着法によりクロムの薄膜および/または金属薄膜12を形成することが好ましい。
金属薄膜12の厚さとしては、金:5〜500nm、銀:5〜500nm、アルミニウム:5〜500nm、銅:5〜500nm、白金:5〜500nm、およびそれらの合金:5〜500nmが好ましく、クロムの薄膜の厚さとしては、1〜20nmが好ましい。
電場増強効果の観点から、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、およびそれらの合金:10〜70nmがより好ましく、クロムの薄膜の厚さとしては、1〜3nmがより好ましい。
金属薄膜12の厚さが上記範囲内であると、表面プラズモンが発生し易いので好適である。また、このような厚さを有する金属薄膜12であれば、大きさ(縦×横)は特に限定されない。
蛍光分子
本発明において、「蛍光分子」とは、本発明において、所定の励起光を照射する、または電界効果を利用して励起することによって蛍光を発光する分子を意味し、該「蛍光」は、燐光など各種の発光も含む。
本発明で蛍光分子32として用いられる蛍光色素は、その種類に特に制限はなく、公知の蛍光色素のいずれであってもよい。一般に、単色比色計(monochromometer)よりむしろフィルタを備えた蛍光計の使用をも可能にし、かつ検出の効率を高める大きなストークス・シフトを有する蛍光色素が好ましい。
このような蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(Integrated DNA Technologies社製)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)、クマリン・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株)製)、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製)、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株)製)、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(インビトロジェン(株)製)などが挙げられ、さらに米国特許番号第6,406,297号、同第6,221,604号、同第5,
994,063号、同第5,808,044号、同第5,880,287号、同第5,556,
959号および同第5,135,717号に記載の蛍光色素も本発明で用いることができる。
これらのファミリーに含まれる代表的な蛍光色素の吸収波長(nm)および発光波長(nm)を表1に示す。
また、蛍光分子32として用いられる蛍光色素は、上記有機蛍光色素に限られない。例えば、例えばEu、Tb等の希土類錯体系の蛍光色素も、本願発明に用いられる蛍光分子32となりうる。希土類錯体は、一般的に励起波長(310〜340nm程度)と発光波長(Eu錯体で615nm付近、Tb錯体で545nm付近)との波長差が大きく、蛍光寿命が数百マイクロ秒以上と長い特徴がある。市販されている希土類錯体系の蛍光色素の一例としては、ATBTA−Eu3+が挙げられる。
本発明においては、後述する蛍光測定を行う際に、蛍光分子32が金属薄膜12と近接しているときには金属薄膜12による蛍光の消光が生じていることが好ましいが、蛍光分子32が金属薄膜12から離れているときには金属薄膜12による蛍光の消光の影響を少なくすることが好ましい。そのため、金属薄膜12に含まれる金属による吸光が適度に生じる波長領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることが望ましい。例えば、金属薄膜12として金を用いる場合には、最大蛍光波長が600〜700nmの範囲にある蛍光色素を使用することが望ましい。このような蛍光色素として、例えば、Cy5、Alexa 647などが挙げられ、特にAlexa 647を使用することが望ましい。一方、金属薄膜12として銀を用いる場合には、最大蛍光波長が400〜700nmの範囲にある蛍光色素を使用することが望ましい。
これらの蛍光色素は1種単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
これらの蛍光色素は、プローブ分子31に共有結合で結合してもよく、水素結合、配位結合、イオン結合などにより結合してもよい。例えば、プローブ分子31に対して直接または適度の長さのリンカーを介して、活性エステル法などの常法を用いて、カルボキシル基を付与した蛍光色素を結合させることにより、プローブ分子31に蛍光分子32を導入して蛍光修飾プローブ21とすることができる。
蛍光修飾プローブ
本発明では、前記金属薄膜12を形成後に得られる金属薄膜基板において、金属薄膜12の、基板11とは反対側の表面に、図1(a)に示すようにプローブ分子31と消光状
態の蛍光分子32とからなる蛍光修飾プローブ21を結合させる。この蛍光修飾プローブ21は、検体中の検出対象とする核酸(以下、「ターゲット核酸」ともいう。)をプラズモン励起センサに固定させる目的で用いられるものである。ここで、「消光状態」とは、金属薄膜12などによる金属消光のために、蛍光分子32からの蛍光の発光が、金属消光の影響を受けていない場合と比較して抑制されている状態をいう。
本発明において、「プローブ分子」とは、検体中に含有されるターゲット核酸33を特異的に認識し(または、認識され)結合し得る分子または分子断片をいう。本発明の場合、このような「分子」または「分子断片」は、核酸を特異的に認識し(または、認識され)結合し得る分子等である。その具体例として、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただ、本発明においては、ターゲット核酸33と相補的な配列を有する核酸をプローブ分子31として用いられることが好ましい。そのようなプローブ分子31を用いると、ターゲット核酸33と反応させたときにハイブリダイゼーションが起こり、図1(b)に示すように複合
体22として剛直且つ安定な二本鎖の核酸が形成するからである。なお、相補的な配列とは、水素結合によって安定な塩基対を形成できる配列を意味し、DNAを例にとると、Aに対してはT、Tに対してはA、Cに対してはG、Gに対してはCがそれぞれ相補的な配列である。
ところで、本発明で用いられる蛍光修飾プローブ21において、ターゲット核酸33との反応前には、金属薄膜12による金属消光のため蛍光分子32からの蛍光が消光している必要があるので、図1(a)に示すように蛍光分子32が金属薄膜12に近接するような位置でプローブ分子31と結合している必要がある。金属消光が生じる距離は、蛍光分子32の種類や金属薄膜12を構成する金属の種類などにより変わるものの、一般的には、蛍光分子32と金属薄膜12との直線距離が5nm以下の場合に、金属消光が顕著になる。これに対して、ターゲット核酸33との反応後には、金属薄膜12による金属消光の影響を受けることなく蛍光分子32が蛍光を発光している必要があるので、図1(b)に示すように蛍光分子32が金属薄膜12から離れた位置に存在している必要がある。このとき、金属薄膜12と蛍光分子32との直線距離が30〜100nmの範囲にある場合には、金属薄膜12による蛍光の増強効果が得られる。したがって、プローブ分子31の一方の末端が金属薄膜12に固定されており、他方の末端が蛍光分子32と結合している場合には、プローブ分子31の長さが、30〜100nmの範囲にあることが好ましい。
これらの点を考慮すると、本願で用いられる蛍光修飾プローブ21において、プローブ分子31の一方の末端が金属薄膜12に固定されており、他方の末端が蛍光分子32と結合していることが好ましく、プローブ分子31が、ループ型の構造を有していることがより好ましい。これは、プローブ分子31がループ型の構造を有していれば、蛍光分子32からの蛍光を金属薄膜12により効率よく消光できるからである。より具体的には、プローブ分子31が、ループ型の構造を有する核酸であることが好ましく、このような核酸が、ターゲット核酸33と相補的な配列をさらに有しているとさらに好ましい。典型的には、3’末端に蛍光分子32、5’末端にチオール基を持つループ型の核酸プローブが好適に用いられる。ただし、本発明で用いられるプローブ分子31は、3’末端に蛍光分子32を有する核酸プローブに限定されるものではなく、5’末端に蛍光分子32、3’末端にチオール基を持つループ型の核酸プローブをプローブ分子31として用いてもよい。
プローブ分子31としてループ型の構造を有する核酸を用いる場合、その核酸の両末端は、外側から内側に向かって互いに相補的な配列を有している。核酸の両末端が相補的な配列であると、この両末端同士が水素結合を形成するためにループ型の構造を形成しやすいのである。しかし、両末端からの相補的な配列の長さが大きいと、両末端同士が形成する水素結合が強固になるので、ターゲット核酸33との反応が困難になることがある。そのため、両末端からの相補的な配列の長さが8塩基以下であることが好ましい。一方、両末端からの相補的な配列の長さが0の場合には、ループ型の構造を形成しないものの、蛍光分子32が金属薄膜12に吸着するために蛍光の消光が起こる。このようなループ型の構造を有する核酸の配列のうち、前記両末端部分の内側にある配列については、ターゲット核酸33となる核酸の配列に応じて変えることができる。
蛍光修飾プローブ21の固定化方法としては、例えば、
(i) 3’末端に蛍光分子32、5’末端にチオール基を持つループ型の核酸プローブを、リン酸バッファー等の中性付近の水溶液に溶解させ、
(ii) この核酸プローブ溶液を金属薄膜12にスポッティングし、25〜40℃にて2
〜24時間、充分湿度を保った環境で、反応させ、
(iii) その後、必要に応じて未反応の核酸プローブを洗浄により除去する
方法などが挙げられる。なお、ループ型の核酸プローブとして5’末端に蛍光分子32、3’末端にチオール基を持つものを使用する場合においても、同様の方法を用いることができる。
撥水処理
本発明においては、前記蛍光修飾プローブ21を結合させた金属薄膜12の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有する。ここで、本発明にいう「接触角」は、静的接触角であり、より具体的には、基板に溶液を滴下したときにこの液滴と基板とのなす角度、言い換えれば、液滴の気−液界面が基板と接する点においてこの気−液界面と基板表面とがなす角度である。一般に、基板の対純水接触角が0度に近いほどその基板の親水性が高く、一方、180度に近いほど撥水性が高い。この接触角は、従来公知の種々の方法により測定することができる。
本発明の発明者は、本発明を行う過程において、従来技術に基づく生体分子検出素子においては、プローブ分子31がターゲット核酸33と反応することにより形成される二本鎖の核酸が基板に対して横倒しになる現象が発生することを見出した。これは、プローブ分子31を固定した基板表面の疎水性が不充分であるためであると考えられる。そこで、金属薄膜12の表面に撥水処理を行うと、プローブ分子31と金属薄膜12との間で疎水性相互作用が発生し、この疎水性相互作用によって、プローブ分子31とターゲット核酸33とがハイブリダイズすることにより形成される複合体22である二本鎖の核酸が全て直立するようになると考えられる。その結果、蛍光を発する二本鎖の核酸が増加し、高感度化を図ることができると期待される。
従来技術に基づく生体分子検出素子は、プローブ分子31を固定する基板表面にガラスを用いることが多いことから、その基板表面の対純水接触角が70度程度である。前記特許文献2に開示されている生体分子検出素子の場合、基板表面に自己組織化単分子膜を形成させていることからその表面の対純水接触角がもう少し大きいと考えられる。ただ、後述する実施例における比較例1に示すように、アルカンチオールで表面処理を行った基板でも対純水接触角が85度程度に留まることを考慮すると、ハイブリダイズにより形成される二本鎖の核酸が基板に対して横倒しになることなく全て直立するには、基板表面の対純水接触角が90度以上であることが望ましい。
一方、基板表面の撥水性が極度に高まると、検体中のターゲット核酸33がプローブ分子31に近づきにくくなる可能性がある。これを考慮すると、基板表面の対純水接触角が90〜100度の範囲にあることが好ましい。
本発明において、前記蛍光修飾プローブ21を結合させた金属薄膜12の表面の対純粋接触角を上記のような値とする方法としては、具体的には、金属薄膜12に炭化フッ素系化合物などの撥水性物質からなる撥水処理膜13を形成させる方法が挙げられる。例えば、金属薄膜12が金薄膜である場合には、例えば、特開2001-335804号公報(特許文献3
)に記載されているような、パーフルオロアルキル基を末端に有する、チオール、ジスルフィドなどの硫黄含有炭化フッ素系化合物、具体的には、
CF3−(CF2)m−(CH2)n−SH、
CF3−(CF2)p−(CH2)q−SS−(CH2)r−(CF2)s−CF3、または、
CF3−(CF2)x−(CH2)y−S−CO−CH3
(m,p,s,xは、それぞれ独立に5〜13の整数を表し、n,q,r,yは、それぞれ独立に1〜5の整数を表す。)で表される硫黄含有炭化フッ素系化合物が好適に用いられる。このような化合物を撥水性物質として用いると、金−硫黄結合の形成により金薄膜に固定され、自己組織化単分子膜を形成するからである。このような化合物の一例としては、パーフルオロオクチルエチルメルカプタン(CF3−(CF2)7−(CH2)2−SH)などが挙げられる
。また、このような撥水性物質は、同時にブロッキング剤としての役割も有している。
このような撥水性物質からなる撥水処理膜13の厚さについては、本発明における蛍光検出の妨げとならない限り特に限定されるものではないが、5nm以下にすることが好ましい。
撥水処理膜13を形成させる方法としては、撥水性物質を適当な溶媒に溶解させて金属薄膜12に付着させ、その後未反応の撥水性物質を洗浄する方法などが挙げられる。ここで、撥水性物質として上記硫黄含有炭化フッ素系化合物を用いる場合、これらの硫黄含有炭化フッ素系化合物は水に溶解しないのでアルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の有機溶媒に溶解させて、金属薄膜12に塗布等を行い、その後当該有機溶媒を用いて金属薄膜12を洗浄する等の方法により撥水処理膜13を形成させることになる。
撥水処理膜13の形成は、前記蛍光修飾プローブ21の固定化を行った後に行うことが望ましい。
〔核酸検出装置〕
本発明の第2の態様は、上記第1の態様に示したプラズモン励起センサを備えた核酸検出装置である。具体的には、
透明平面基板11の表面に金属薄膜12が形成され、該金属薄膜12の表面に、プローブ分子31と消光状態の蛍光分子32とからなる蛍光修飾プローブ21が配列され、該金属薄膜12の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサを備えており、
そのセンサ上で前記蛍光修飾プローブ21と検体中のターゲット核酸33との反応により形成される二本鎖の複合体22を、プラズモン光によって励起された蛍光シグナルとして検出する
ことを特徴とする核酸検出装置である。
検体
本発明において、「検体」とは、本発明の核酸検出方法による測定対象となる種々の試料をいう。
「検体」としては、例えば、血液(血清・血漿)、尿、鼻孔液、唾液、便、体腔液(髄液、腹水、胸水等)などが挙げられ、所望の溶媒、緩衝液等に適宜希釈して用いてもよい。これら検体のうち、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
ターゲット核酸
ターゲット核酸33は、上記プローブ分子31によって特異的に認識され(または、上記プローブ分子31を特異的に認識し)結合し得る分子または分子断片としての核酸であり、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子などが挙げられる。
複合体
本発明において、「複合体」とは、図1(b)に示すように、上記蛍光修飾プローブ2
1とターゲット核酸33とのハイブリダイゼーションにより形成された複合体22であり、通常は二本鎖の核酸である。ターゲット核酸33と蛍光修飾プローブ21に含まれるプローブ分子31とが相補的な配列を有する場合には、安定な二本鎖の核酸を形成するので、蛍光分子32が金属薄膜12から離れることになり、金属薄膜12による金属消光の影響を受けなくなる。これに基づき、本発明においては、金属消光の消失により蛍光の発光が生じたことをもって、検体中にターゲット核酸33が存在すると判断するのである。
したがって、本発明において、形成した複合体22は、横倒しになることなく直立した状態を維持するので、より高感度な核酸検出が可能となる。
光学系
本発明で用いる光源は、前記金属薄膜12にプラズモン励起を生じさせることができるものであれば、特に制限がないものの、波長分布の単一性および光エネルギーの強さの点で、レーザ光を光源として用いることが好ましい。レーザ光は、光学フィルタを通して、プリズムに入射する直前のエネルギーおよびフォトン量を調節することが望ましい。
レーザ光の照射により、全反射減衰条件(ATR)において、金属薄膜12の表面に表面プラズモンが発生する。表面プラズモンの電場増強効果により、照射したフォトン量の数十〜数百倍に増えたフォトンにより蛍光分子32を励起する。なお、該電場増強効果によるフォトン増加量は、透明平面基板11の屈折率、金属薄膜12の金属種および膜厚に依存するが、通常、金では約10〜20倍の増加量となる。
蛍光分子32は、光吸収により分子内の電子が励起され、短時間のうちに第一電子励起状態に移動し、この状態(準位)から基底状態に戻る際、そのエネルギー差に相当する波長の蛍光を発する。
「レーザ光」としては、例えば、波長200〜900nm、0.001〜1,000mWのLDレーザ、波長230〜800nm(金属薄膜12に用いる金属種によって共鳴波長が決まる。)、0.01〜100mWの半導体レーザなどが挙げられる。
「プリズム」は、各種フィルタを介したレーザ光が、プラズモン励起センサに効率よく入射することを目的としており、屈折率が透明平面基板11と同じであることが好ましい。本発明は、全反射条件を設定できる各種プリズムを適宜選択することができることから、角度、形状に特に制限はなく、例えば、60度分散プリズムなどであってもよい。このようなプリズムの市販品としては、上述した「ガラス製の透明平面基板」の市販品と同様のものが挙げられる。
「光学フィルタ」としては、例えば、減光(ND)フィルタ、ダイアフラムレンズなどが挙げられる。「減光(ND)フィルタ」(または、中性濃度フィルタ)は、入射レーザ光量を調節することを目的とするものである。特に、ダイナミックレンジの狭い検出器を使用するときには精度の高い測定を実施する上で用いることが好ましい。
「偏光フィルタ」は、レーザ光を、表面プラズモンを効率よく発生させるP偏光とするために用いられるものである。
「カットフィルタ」は、外光(装置外の照明光)、励起光(励起光の透過成分)、迷光(各所での励起光の散乱成分)、プラズモンの散乱光(励起光を起源とし、プラズモン励
起センサ表面上の構造体または付着物などの影響で発生する散乱光)、酵素蛍光基質の自家蛍光、などの各種ノイズ光を除去するフィルタであって、例えば、干渉フィルタ、色フィルタなどが挙げられる。
「集光レンズ」は、検出器に蛍光シグナルを効率よく集光することを目的とするものであり、任意の集光系でよい。簡易な集光系として、顕微鏡などで使用されている、市販の対物レンズ(例えば、(株)ニコン製またはオリンパス(株)製等)を転用してもよい。対物レンズの倍率としては、10〜100倍が好ましい。
「SPFS検出部」としては、超高感度の観点からは光電子増倍管(浜松ホトニクス(株)製のフォトマルチプライヤー)が好ましい。また、これらに比べると感度は下がるが、蛍光を画像として見ることができ、かつノイズ光の除去が容易なことから、多点計測が可能なCCDイメージセンサも好適である。
駆動装置
本発明において、上記光学系は「駆動装置」の形で統合されていてもよい。本発明の駆動装置は、上記プラズモン励起センサを用いて、本発明を実施するためのものである。
「駆動装置」としては、少なくとも光源、各種光学フィルタ、プリズム、カットフィルタ、集光レンズおよびSPFS検出部を含むものとする。なお、検体液、洗浄液などを取り扱う際に、プラズモン励起センサと組み合った送液系を有することが好ましい。送液系としては、本発明の目的が達せられる限り、その種類を問わない。例えば、液ポンプと連結したマイクロ流路デバイスなどでもよい。
また、表面プラズモン共鳴(SPR)検出部、すなわちSPR専用の受光センサとしてのフォトダイオード、SPRおよびSPFSの最適角度を調製するための角度可変部(サーボモータで全反射減衰(ATR)条件を求めるためにフォトダイオードと光源とを同期して、45〜85度の角度変更を可能とする。分解能は0.01度以上が好ましい。)、SPFS検出部に入力された情報を処理するためのコンピュータなども含んでもよい。
光源、光学フィルタ、カットフィルタ、集光レンズおよびSPFS検出部の好ましい態様は上述したものと同様である。
「送液ポンプ」としては、例えば、送液が微量な場合に好適なマイクロポンプ、送り精度が高く脈動が少なく好ましいが循環することができないシリンジポンプ、簡易で取り扱い性に優れるが微量送液が困難な場合があるチューブポンプなどが挙げられる。
〔核酸検出方法〕
本発明の第3の態様は、上記第1の態様に示したプラズモン励起センサを用いた核酸検出方法であり、上記第2の態様に示した核酸検出装置に対応する核酸検出方法である。具体的には、
工程(a):透明平面基板11の表面に金属薄膜12が形成され、該金属薄膜12の表面に、プローブ分子31と消光状態の蛍光分子32とからなる蛍光修飾プローブ21が配列され、該金属薄膜12の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサに、検体を接触させる工程;
工程(b):前記工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに対して、前記透明平面基板11の、前記金属薄膜12とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された前記蛍光分子32から発光された蛍光量を測定する工程;および、
工程(c):前記工程(b)で得られた測定結果から、前記検体中に含まれるターゲット核酸33の量を算出する工程
を含むことを特徴とする核酸検出方法である。
<工程(a)>
本発明の核酸検出方法において、工程(a)は、上記第1の態様として示したプラズモン励起センサ、すなわち、透明平面基板11の表面に金属薄膜12が形成され、該金属薄膜12の表面に、プローブ分子31と消光状態の蛍光分子32とからなる蛍光修飾プローブ21が配列され、該金属薄膜12の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサに、検体を接触させる工程である。
この工程(a)において用いられる透明平面基板11、金属薄膜12、プローブ分子31、蛍光分子32、蛍光修飾プローブ21、表面処理、プラズモン励起センサ、検体は、上記第1および第2の態様に記載したものと同じ意味である。
接触
本発明において、「接触」とは、プラズモン励起センサのうち蛍光修飾プローブ21が固定化されている面が送液中に浸漬されている状態で、この送液中に含まれる対象物をこのプラズモン励起センサと接触させることをいう。本発明において、上記検体とプラズモン励起センサとの「接触」は、流路中に循環する送液に検体が含まれ、プラズモン励起センサのリガンドが固定化されている片面のみが該送液中に浸漬されている状態において、プラズモン励起センサと検体とを接触させる態様が好ましい。
上記「流路」とは、微量な薬液の送達を効率的に行うことができ、反応促進を行うために送液速度を変化させたり、循環させたりすることができる直方体または管状のものである。また、この流路として、プラズモン励起センサを設置する個所近傍は直方体構造を有することが好ましく、薬液を送達する個所近傍は管状を有することが好ましい。
その材料としては、プラズモン励起センサ部ではメチルメタクリレート、スチレン等を原料として含有するホモポリマーまたは共重合体;ポリエチレン等のポリオレフィンなどの光透過性の材質からなり、薬液送達部ではシリコーンゴム、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマーを用いる。
ただし、プラズモン励起センサ部については、蛍光測定時に流路が一定の形状に保たれ、且つプラズモン励起により発生した蛍光の検出が妨げられない限り、必ずしもその流路構造の全てを光透過性の材質のみから構成する必要はない。すなわち、プラズモン励起センサ部の流路のうち、プラズモン励起により発生した蛍光を透過させて検出部に導くために必要な部分、具体的には蛍光の集光に必要な透光窓を含む部分については、光透過性の材質で構成する必要があるが、その他の部分については、その一部または全部を光透過性の材質以外の化学的に安定な材質で構成してもよい。プラズモン励起センサ部の流路が直方体構造を有する場合、金属薄膜12が表面に存在するプラズモン励起センサの面を底面としたときに、例えば、この底面と対向する位置にある天井面を光透過性の材質で構成し、側面を光透過性の材質以外の化学的に安定な材質で構成してもよい。
ここで、前記その他の部分、例えば側面は、蛍光測定時に一定の形状が保たれる限り、必ずしも剛体である必要はなく、シール性を確保するために適度な弾性を有していてもよい。例えば、プラズモン励起センサ部の流路について、天井面をポリメチルメタクリレート(PMMA)で構成し、側面をシリコーンゴムで構成してもよい。
プラズモン励起センサ部においては、検体との接触効率を高め、拡散距離を短くする観点から、プラズモン励起センサ部の流路の断面として、縦×横がそれぞれ独立に100nm〜1mm程度が好ましい。
流路において、薬物送達部からプラズモン励起センサ部に送液を導入する送液導入口、及びその送液をプラズモン励起センサ部から排出する送液排出口の位置は、いずれも、蛍光測定の妨げとならない限り特に限定されない。例えば、プラズモン励起センサ部の流路が直方体構造を有する場合、前記送液導入口及び送液排出口とも天井面に設けるのが流路の作成上簡便であるが、この送液導入口と送液排出口とのうちいずれか一方、あるいはその両方を側面に設けてもよい。
流路にプラズモン励起センサを固定する方法は、流路が一定の形状に保たれ、且つ蛍光測定が妨げられない限り特に限定されない。
このような固定方法の例としては、小規模ロット(実験室レベル)では、まず、プラズモン励起センサの金属薄膜12が形成されている表面上に、一定の厚さを有するシリコーンゴム製シートまたはOリングを載せることによって流路の側面構造を形成し、次いで、その上に送液導入口及び送液排出口を設けてある光透過性の天板(例えば、PMMA基板)を配置することによって流路の天井面を形成し、その後、これらを圧着して適当な留め具により固定する方法などが挙げられる。このとき、側面構造を構成する材料として、その中央部に任意の形状および大きさを有する穴を開けてある、適当な厚さを有するシリコーンゴム製シートを用いると、この穴の内周がプラズモン励起センサ部の流路の側面構造となることから、所要の形状および大きさを有する流路を容易に形成することができるので好ましい。例えば、まず、該プラズモン励起センサの金属薄膜12が形成されている表面に、流路高さ0.5mmを有する穴あきポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートを該プラズモン励起センサの金属薄膜12が形成されている部位を囲むようにして配置し、次いで、このポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートの上に、予め送液導入口及び送液排出口を設けてあるPMMA基板を配置し、その後、該PMMA基板と該ポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートと該プラズモン励起センサとを圧着し、ビス等の留め具により固定する方法が好ましい。また、プラズモン励起センサに、シリコーンゴム製シートまたはOリングと光透過性の天板とを圧着し、固定するにあたっては、必要に応じて、シリコーンゴムまたはステンレスなどの材質でできた適当なスペーサーを併用してもよい。
また、工業的に製造される大ロット(工場レベル)では、流路にプラズモン励起センサを固定する方法としては、プラスチックの一体成形品に直接金基板を形成してからその表面に蛍光修飾プローブ21の固定化および撥水処理を行うか、或いは、予め蛍光修飾プローブ21の固定化および撥水処理を行ってある別途作製した金基板を固定した後、流路の天板に相当するプラスチックの一体成形品により蓋をすることで製造できる。必要に応じてプリズムを流路に一体化することもできる。
「送液」としては、検体を希釈した溶媒または緩衝液と同じものが好ましく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、HEPES緩衝食塩水などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
送液を循環させる温度および時間としては、検体の種類などにより異なり、特に限定されるものではないが、通常20〜40℃×1〜60分間、好ましくは37℃×5〜15分間である。ただし、検体の種類などに応じて、送液を循環させる温度および時間をこれらの範囲から変えることは差し支えなく、例えば、送液を循環させる時間をより長く(例えば、90分程度)することを妨げるものではない。
送液中の検体中に含有されるサンプル分子の初期濃度は、100μg/mL〜0.0001pg/mLであってもよい。
送液の総量、すなわち流路の容積としては、通常0.0001〜20mL、好ましくは0.01〜1mLである。
送液の流速は、通常1〜2,000μL/min、好ましくは5〜500μL/min
である。
洗浄工程
洗浄工程とは、上記「接触」を経て得られたプラズモン励起センサの表面を洗浄する工程である。この洗浄工程は、工程(a)に含まれることが好ましい。
洗浄工程に使用される洗浄液としては、例えば、Tween20、TritonX100などの界面活性剤を、上記「接触」で用いたものと同じ溶媒または緩衝液に溶解させ、好ましくは0.00001〜1重量%含有するものが望ましい。
洗浄液を循環させる温度および流速は、上記「接触」における「送液を循環させる温度および流速」と同じであることが好ましい。
洗浄液を循環させる時間は、通常0.5〜180分間、好ましくは5〜60分間である。
<工程(b)>
本発明の核酸検出方法において、工程(b)は、工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサについて、透明平面基板11の、金属薄膜12とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された蛍光分子32から発光された蛍光量を測定する工程である。
この工程(b)において、プリズム、レーザー光などの各光学系は、上記第2の態様に記載したものと同じ意味である。
<工程(c)>
工程(c)とは、上記工程(b)で得られた測定結果から、検体中に含有されるターゲット核酸33の量を算出する工程である。
より具体的には、既知濃度のターゲット核酸33での測定を実施することで検量線を作成し、作成された検量線に基づいて被測定検体中のターゲット核酸33の量を測定シグナルから算出する工程である。
この工程(c)において、ターゲット核酸33は、上記第2の態様に記載したものと同じ意味である。
アッセイS/N比
工程(c)においては、上記工程(b)の前に測定した“ブランク蛍光シグナル”、上記工程(b)で得られた“測定蛍光シグナル”、および何も修飾していない金属基板を流路に固定し、超純水を流しながらSPFSを測定して得られたシグナルを“初期ノイズ”としたとき、下記式(1a)で表されるアッセイS/N比を算出することができる:
アッセイS/N比=|Ia/Io|/In (1a)
(上記式(1a)において、Iaはアッセイ蛍光シグナル、Ioはブランク蛍光シグナル、Inは初期ノイズである)。
ただし、アッセイS/N比を算出するにあたっては、実用上、上記式(1a)に代えて、検体中に含まれるターゲット核酸33の濃度が0の場合における"アッセイノイズシグ
ナル"を基準として、下記式(1b)にしたがって算出してもよい:
アッセイS/N比=|Ia|/|Ian| (1b)
(上記式(1b)において、Ianはアッセイノイズシグナル、Iaは上記式(1a)の場
合と同様にアッセイ蛍光シグナルである)。
〔キット〕
本発明のキットは、本発明の核酸検出方法に用いられることを特徴とするものであって、本発明の核酸検出方法を実施するにあたり、プローブ分子31、蛍光分子32および検体以外に必要とされるすべてのものを含むことが好ましい。
例えば、本発明のキットと、検体として血液または血清と、特定の腫瘍マーカーに対するプローブ分子31とを用いることによって、特定の腫瘍マーカーの含有量を、高感度かつ高精度で検出することができる。この結果から、触診などによって検出することができない前臨床期の非浸潤癌(上皮内癌)の存在も高精度で予測することができる。
このような「キット」としては、具体的に、透明平面基板11の一方の表面に金属薄膜12を形成した基板;撥水処理剤;検体を溶解または希釈するための溶解液または希釈液;該基板と検体との反応の際に用いる溶液;および洗浄試薬が挙げられ、本発明の核酸検出方法を実施するために必要とされる各種器材または資材や上記「駆動装置」を含めることもできる。
さらに、キット要素として、検量線作成用の標準物質、説明書、多数検体の同時処理ができるマイクロタイタープレートなどの必要な器材一式などを含んでもよい。
[実施例1]
以下の手順により、撥水性プラズモン励起センサを作製し、そのセンサを用いて接触角およびSPFS検出シグナルの測定を行った。
(1) プラズモン励起センサの作製
工程A−1:ガラス製透明基板への金薄膜形成
透明平面基板としてSCHOTT AG社製のBK7ガラスを用い、その透明平面基板上に、スパッタ装置を用いてクロム薄膜(厚さ2〜3nm)及び金薄膜(厚さ44〜52nm)をこの順番に積層させて形成した。
工程A−2:金属薄膜基板へのプローブDNA固定
プローブDNAの3'末端をチオール修飾し、5'末端を蛍光分子Alexa 647で修飾
したプローブDNA((株)ニッポンジーン製)をリン酸バッファー pH7.2(シグマ社製)
に溶解し、5μMプローブDNA溶液とした。このプローブDNA溶液を、上記工程A−1で金薄膜を形成した基板に滴下し、約15時間自然乾燥させ、プローブDNAを上記基板に固定した
プローブDNAは、例えば、
ACGCCxxxxxxxxGGCGT
なる配列を有しており、右端と左端の5塩基はループ型プローブのステム部分にあたる。
ここで、「xxxxxxxx」で示される部位にある塩基配列が、検出対象の遺伝子の相補的部分配列となる。
本実施例1では、「xxxxxxxx」で示される配列として、CTCCATCATCCAACATATCAを有するプローブDNA、すなわち、
ACGCCCTCCATCATCCAACATATCAGGCGT (配列番号1)
なる塩基配列で示されるプローブDNAを用いた。
その後、プローブDNAを固定した上記基板を洗浄し、プラズモン励起センサ前駆基板と
した。
工程A−3:プラズモン励起センサの撥水処理
上記工程A−1〜2により作製したプラズモン励起センサ前駆基板に対して、エタノールに溶解した50μM パーフルオロオクチルエチルメルカプタン[CF3−(CF2)7−CH2
CH2−SH](シグマ社製)を滴下した。その後、15時間自然乾燥させ、プラズモン励起センサAとした。
(2) 作製したセンサについての接触角測定
上記工程A−1〜3を経て作製したプラズモン励起センサAに4μlの純水を滴下した
ときの接触角(静的接触角)を、接触角測定装置(FTA社製接触角計、型番:FTA125)を
用いて測定した。
(3) 作製したセンサを用いた核酸検出
上記工程A−1〜3を経て作製したプラズモン励起センサAを用いて、SPFSによる核酸検出を行った。
ターゲット核酸としては、
GAGGTAGGTTGTATAGT (配列番号2)
を(株)ニッポンジーンより購入し、リン酸バッファー pH7.2で100nmol/mlに希釈することによりターゲット核酸原液として調製したものを使用した。
工程B−1:試料溶液の作成
100nmol/mlの上記ターゲット核酸原液をHBS-EPランニングバッファー(0.01M HEPES pH
7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA)で希釈し、1nmol/mlの試料溶液を調製した。
工程B−2:蛍光シグナルの測定
上記工程B−1で調製した試料溶液1mlを、プラズモン励起センサAに流速500μl/min
で送液し、90分間循環させた。この試料溶液の循環中に上記プラズモン励起センサAに対して、プリズム(シグマ光機(株)製)経由でレーザー光(640nm、40μW)を照射し、発した蛍光シグナルをCCDを用いて測定した。なお、試料溶液を送液させる前の上
記ランニングバッファーのみを送液した場合におけるシグナル値を、アッセイノイズシグナルとした。試料溶液についての蛍光シグナルからアッセイノイズシグナルを差し引いて、検出シグナルを得た。
[比較例1]
上記工程A−1、2を経て作製したプラズモン励起センサ前駆基板に対して、工程A−3で用いたパーフルオロオクチルエチルメルカプタンの代わりに、疎水性を付与するためにオクタデカンチオール[CH3−(CH2)17−SH]を用いて表面処理を行い、プラズモン励起センサBとした。
上記の工程を経たプラズモン励起センサBについて、純水を滴下したときの接触角を上記接触角測定装置を用いて測定した。
上記工程を経たプラズモン励起センサBを用いて、SPFSによる核酸検出を行った。このとき、工程B−1および工程B−2については、上記実施例1の場合と同様に行った。
[比較例2]
上記工程A−1、2を経て作製したプラズモン励起センサ前駆基板に対して、上記工程A−3による疎水処理を施すことなく、純水に対する接触角の測定およびSPFSによる核酸検出を行った。なお、SPFSによる核酸検出において、工程B−1および工程B−2を上記実施例1の場合と同様に行った。
表2に、プラズモン検出センサの撥水処理が接触角に及ぼす影響を示した。
実施例1、比較例1、2で作製した各プラズモン励起センサについて、純水に対する接触角を比較すると、疎水性処理を行った比較例1では約85度に留まったのに対し、撥水処理を行った実施例1では接触角が90度以上となった。また、実施例1と比較例1および2の蛍光シグナル強度を見ると、図2に示されるように、実施例1では比較例1の1.5倍の
シグナル強度が得られた。従って、この発明において行った撥水性付与のための表面処理がモレキュラービーコンを用いたSPFS検出に有効であり、より高感度な核酸検出を可能とする。
11・・・透明平面基板
12・・・金属薄膜
13・・・撥水処理膜
21・・・蛍光修飾プローブ
22・・・複合体
31・・・プローブ分子
32・・・蛍光分子
33・・・ターゲット核酸
配列番号1
実施例で用いたプローブDNA
配列番号2
実施例で用いたターゲットDNA

Claims (11)

  1. 透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサ。
  2. 透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサを備えており、
    前記プラズモン励起センサ上で前記蛍光修飾プローブと検体中のターゲット核酸との反応により形成される二本鎖の複合体を、プラズモン光によって励起された蛍光シグナルとして検出する
    ことを特徴とする核酸検出装置。
  3. 前記表面処理が、炭化フッ素系化合物による撥水処理である請求項2に記載の核酸検出
    装置。
  4. 前記蛍光修飾プローブにおいて、前記プローブ分子の一方の末端が前記金属薄膜に固定されており、他方の末端が前記蛍光分子と結合している請求項2または3に記載の核酸検出装置。
  5. 前記プローブ分子が、ループ型の構造を有する核酸である請求項2〜4のいずれかに記載の核酸検出装置。
  6. 下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする核酸検出方法:
    工程(a):透明平面基板の表面に金属薄膜が形成され、該金属薄膜の表面に、プローブ分子と消光状態の蛍光分子とからなる蛍光修飾プローブが配列され、該金属薄膜の表面が、表面処理によって対純水接触角90度以上の撥水性を有するプラズモン励起センサに、検体を接触させる工程;
    工程(b):前記工程(a)を経て得られたプラズモン励起センサに対して、前記透明平面基板の、前記金属薄膜とは反対側の表面から、プリズムを経由してレーザ光を照射し、励起された前記蛍光分子から発光された蛍光量を測定する工程;および、
    工程(c):前記工程(b)で得られた測定結果から、前記検体中に含まれるターゲット核酸の量を算出する工程。
  7. 前記表面処理が、炭化フッ素系化合物による撥水処理である請求項6に記載の核酸検出
    方法。
  8. 前記蛍光修飾プローブにおいて、前記プローブ分子の一方の末端が前記金属薄膜に固定されており、他方の末端が前記蛍光分子と結合している請求項6または7に記載の核酸検出方法。
  9. 前記プローブ分子が、ループ型の構造を有する核酸である請求項6〜8のいずれかに記載の核酸検出方法。
  10. 前記検体が、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液からなる群から選択される少なくとも1種の体液である請求項6〜9のいずれかに記載の核酸検出方法。
  11. 透明平面基板の表面に金属薄膜が形成された基板、撥水処理剤、検体を溶解または希釈するための溶解液または希釈液、該基板と検体との反応の際に用いる溶液、および洗浄試
    薬を含むキット。
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