JP2011126372A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化に依らず、効率的に補助電源を用いた電力供給を行うことのできる電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】ECUは、温度センサを用いて補助電源の温度Tを検出する。そして、ECUは、補助電源を用いた電力供給形態にある場合には、当該補助電源(を構成するキャパシタ)の温度特性に合わせて、そのモータに対する駆動電力の供給を抑制する。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とした電動パワーステアリング装置(EPS)があり、このようなEPSには、従来の油圧式のパワーステアリング装置と比較して、レイアウト自由度が高く、且つエネルギー消費量が小さいという利点がある。このため、近年では、車種や車格等を問わず、幅広い範囲において、その採用が進められるようになっている。
ところで、従来、EPSにおいては、駆動源であるモータについて、その追従性の向上が重要な課題の一つとなっている。即ち、モータの回転速度は、その印加電圧に依存する。しかしながら、バッテリ(及び充電器としてのオルタネータ)を主電源とする車両においては、その出力可能な電圧が制限されている。このため、例えば、急操舵時等には、その印加電圧の不足によりモータの回転がステアリング操作に追従できなくなる可能性があり、これが操舵フィーリングの悪化を招く一因(所謂引っ掛かり感)となるおそれがある。そして、この問題は、大型車等、より大きな電力を必要とする用途において、より一層、顕著なものとなる。
そこで、従来、主電源とは別に補助電源を設けることにより、主電源のみによる通常の電力供給形態以外に、同補助電源を用いた電力供給形態として、主電源及び補助電源を直列に接続した状態での電力供給形態を選択可能な構成が提案されている。
例えば、特許文献1には、その補助電源として電気二重層キャパシタ(EDLC)を用いる構成が開示されている。即ち、電気二重層キャパシタは、内部抵抗が低く短時間での充放電が可能という補助電源に適した特徴を有している。そして、これにより、急操舵時はもとより、所謂据え切り時等、大電力の供給が必要とされる場合には、その電力供給形態を補助電源を用いる形態に切り替えることにより、上記のようなモータ追従遅れの問題を回避し、併せて、そのアシスト力の強化を図ることが可能となっている。
特開2008−213611号公報
しかしながら、一般に、補助電源の容量は、主電源よりも小さく設定される。このため、上記のような補助電源を用いる電力供給形態においては、その温度特性の影響が顕在化しやすいという問題がある。
即ち、例えば、上記の従来例において補助電源の構成要素に用いられた電気二重層キャパシタには、温度低下とともに内部抵抗が増大し、その出力効率が低下するという特性がある。そして、こうした温度変化を要因とする出力効率の低下は、二次電池等、補助電源の構成要素となり得るその他の蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池等)にも共通する特性である。
ところが、EPSでは、通常、電流フィードバック制御の実行により、そのモータに対する駆動電力の供給が行われる。そのため、電源出力の低下により電流指令値に実電流が追従しない状況が生じた場合には、その偏差を解消すべくより大きな駆動電力を供給するような制御が実行される結果、電源装置から大電流が引き出されることにより、その出力損失が更に拡大するという状況が起こり得る。そして、これにより、補助電源の放電が早まることで、効率的に当該補助電源を用いた電力供給ができなくなる可能性があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、温度変化に依らず、効率的に補助電源を用いた電力供給を行うことのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記モータに対する駆動電力の供給を通じて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、補助電源を用いた電力供給形態を選択可能な電源装置とを備え、前記制御手段は、目標アシスト力に対応する電流指令値に前記モータの実電流値を追従させるべくフィードバック制御を実行することにより前記駆動電力を供給する電動パワーステアリング装置であって、前記補助電源の温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記補助電源を用いた電力供給形態においては、前記補助電源の温度特性に合わせて前記駆動電力の供給を抑制すること、を要旨とする。
即ち、モータに対する駆動電力の供給を抑制することにより、電源装置から引き出される電流(引き込み電流)が減少する。その結果、温度変化を要因とした出力効率の低下時においても、その大電流の引き込みにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源の急放電を回避することができる。従って、上記構成によれば、温度変化に依らず、効率的に、その補助電源を用いた電力供給を行うことができる。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記補助電源の温度が低いほど、より大きく前記駆動電力の供給を抑制すること、を要旨とする。
即ち、補助電源の構成要素となる蓄電装置の多くは、その温度低下とともに出力効率が低下する。従って、上記構成によれば、モータに対する駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を最小限に抑えつつ、効率的に、その補助電源を用いた電力供給を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、前記補助電源は、電気二重層キャパシタにより構成されること、を要旨とする。
即ち、電気二重層キャパシタは、特定の温度よりも低い領域において、その温度低下とともに内部抵抗が急速に増大するという特性を有する。従って、このような構成において、より顕著な効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、前記制御手段は、前記電流指令値を低減することにより、前記駆動電力の供給を抑制すること、を要旨とする。
即ち、電流フィードバック制御の基礎となる電流指令値を低減することで、出力効率の低下により電源出力が低下した場合であっても、実電流値との間に過大な偏差が発生し難くなる。従って、上記構成によれば、その偏差を解消すべく更に大きな駆動電力を供給するような制御の実行を抑制して、大電流の引き込みにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源の急放電を回避することができる。その結果、効率的に、その補助電源を用いた電力供給を行うことができるようになる。
請求項5に記載の発明は、前記制御手段は、前記電流指令値が上限値を超えないように制限することにより、前記駆動電力の供給を抑制すること、を要旨とする。
即ち、電流フィードバック制御の基礎となる電流指令値を制限することで、出力効率の低下に起因して電源出力が低下した場合であっても、実電流値との間に過大な偏差が発生し難くなる。従って、上記構成によれば、その偏差を解消すべく更に大きな駆動電力を供給するような制御の実行を抑制して、大電流の引き込みにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源の急放電を回避することができる。その結果、効率的に、その補助電源を用いた電力供給を行うことができる。加えて、電流指令値が上限値に満たない場合には、そのガード処理によっても電流指令値は低減されない。その結果、モータに対する駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を回避することができる。
請求項6に記載の発明は、前記制御手段は、前記フィードバック制御のゲインを変更して該フィードバック制御の応答性を下げることにより、前記駆動電力の供給を抑制すること、を要旨とする。
即ち、電流フィードバック制御の応答性を下げることで、温度変化を要因とする出力効率の低下により電源出力が低下しその実電流値との間に過大な偏差が発生するような状況となっても、その偏差を解消すべく更に大きな駆動電力を供給するような制御の立ち上がりを抑える(遅くする)ことができる。従って、上記構成によれば、その電力供給の急激な拡大を抑制して、大電流の引き込みにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源の急放電を回避することができる。その結果、効率的に、その補助電源を用いた電力供給を行うことができるようになる。
本発明によれば、温度変化に依らず、効率的に補助電源を用いた電力供給を行うことが可能な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 第1の実施形態におけるEPSの制御ブロック図。 電源装置の回路図。 補助電源の温度と抑制ゲインとの関係を示す説明図。 補助電源の温度とその内部抵抗との関係を示す説明図。 第2の実施形態におけるEPSの制御ブロック図。 補助電源の温度とガード処理の上限値との関係を示す説明図。 ガード処理の実行手順を示すフローチャート。 第3の実施形態におけるEPSの制御ブロック図。 F/Bゲイン演算部の概略構成図。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。尚、本実施形態では、モータ12には、ブラシ付の直流モータが採用されている。そして、EPSアクチュエータ10は、このモータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
一方、ECU11には、トルクセンサ14及び車速センサ15が接続されている。尚、本実施形態では、ステアリングシャフト3を構成する上記コラムシャフト3aの途中にトーションバー16が設けられており、トルクセンサ14は、このトーションバー16の捩れ、即ち操舵系を伝達する操舵トルクに応じて、そのセンサ信号の出力レベルが変化するように構成されている。本実施形態のECU11は、これらトルクセンサ14及び車速センサ15により検出される操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、操舵系に付与すべきアシスト力(目標アシスト力)を演算する。そして、その目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、モータ12に対する駆動電力の供給を通じて、当該EPSアクチュエータ10の作動を制御する(パワーアシスト制御)。
また、本実施形態のEPS1は、車載のバッテリ及びオルタネータ等により構成された主電源17のみによる電力供給形態(第1の電力供給形態)と、主電源17とは別に設けられた補助電源18を用いた電力供給形態(第2の電力供給形態)とを選択的に切り替え可能に構成された電源装置20を備えている。
本実施形態の電源装置20は、上記ECU11に接続されて同ECU11に電力を供給するとともに、当該ECU11により、上記電力供給形態の切り替えを含め、その作動が制御されている。そして、本実施形態のECU11は、状況に応じて電源装置20の電力供給形態を切り替えつつ、当該電源装置20からの電力供給を受けることにより、モータ12に対する駆動電力の供給を実行する構成となっている。
次に、本実施形態のEPSによるパワーアシスト制御の態様について説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を生成するモータ制御部21を備えたマイコン22と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路23とを備えている。
尚、本実施形態の駆動回路23は、複数(4つ)のスイッチング素子(MOSFET)をブリッジ状に接続してなり、その対角に位置する各組のスイッチング素子がオン/オフすることにより、その印加電圧、即ち上記電源装置20の出力電圧Vbに基づく駆動電力を出力する周知の構成を有している。また、以下に示す各制御ブロックは、マイコン22が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン22は、所定のサンプリング周期(検出周期)で各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
詳述すると、モータ制御部21は、モータ12に供給する駆動電力の目標値、即ち目標アシスト力に対応する電流指令値I*を演算する電流指令値演算部25と、その電流指令値I*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部26とを備えている。
具体的には、本実施形態の電流指令値演算部25は、上記トルクセンサ14により検出される操舵トルクτ及び車速センサ15により検出される車速Vに基づいて、その操舵トルクτ(の絶対値)が大きいほど、また車速Vが遅いほど、より大きな値(絶対値)の目標アシスト力を演算する。そして、電流指令値演算部25は、その目標アシスト力に対応する電流指令値I*をモータ制御信号出力部26に出力する。
一方、モータ制御信号出力部26には、その電流指令値I*(I**)とともに、電流センサ27により検出されたモータ12の実電流値Iが入力されるようになっている。そして、本実施形態のモータ制御信号出力部26は、その電流指令値I*(I**)に実電流値Iを追従させるべくフィードバック制御を実行することにより、そのモータ制御信号を生成し、及び上記駆動回路23に出力する構成となっている。
即ち、モータ制御信号出力部26において、電流指令値I*(I**)及び実電流値Iは、減算器28に入力され、同減算器28において演算された偏差ΔIは、更にF/B制御部29へと入力される。そして、F/B制御部29は、その偏差ΔI及びフィードバックゲインに基づいて、そのフィードバック制御(比例:P、積分:I)を実行する。
具体的には、F/B制御部29は、偏差ΔIに比例ゲインKpを乗ずることにより得られる比例成分、及び偏差ΔIの積分値に積分ゲインKiを乗ずることにより得られる積分成分を加算することにより、電圧指令値V*を演算する。そして、この電圧指令値V*に基づいて、PWM変換部30がモータ制御信号を生成する。
このようにして生成されたモータ制御信号は、マイコン22から駆動回路23へと出力され、同駆動回路23により当該モータ制御信号に基づく駆動電力がモータ12へと供給される。そして、その目標アシスト力に相当するモータトルクが発生することにより、当該目標アシスト力に対応するアシスト力が操舵系に付与されるようになっている。
また、本実施形態のマイコン22には、上記モータ制御部21とともに、電源管理部31が設けられている。そして、ECU11は、この電源管理部31が生成する各種制御信号(S_vb,S_sw1,S_sw2)を上記電源装置20に出力することにより、同電源装置20の作動を制御する。
次に、本実施形態における電源装置構成、及びその電力供給形態の切替制御について説明する。
図3に示すように、本実施形態の電源装置20において、補助電源18は、主電源17と直列に接続されている。また、主電源17と補助電源18との接続点P1、及び補助電源18の他端(接続点P2)には、それぞれスイッチング素子33,34が接続されている。そして、これら各スイッチング素子33,34は、それぞれECU11の出力するスイッチング信号S_sw1,S_sw2に基づき作動する。尚、本実施形態では、これら各スイッチング素子33,34には、NチャネルMOSFETが用いられている。
また、これら各スイッチング素子33,34は、その他端同士が互いに接続されている。そして、本実施形態の電源装置20は、その接続点P3に平滑用のコンデンサ35を接続することにより、当該接続点P3を出力部として構成されている。
即ち、各スイッチング素子33,34は、それぞれ、ECU11の出力する各スイッチング信号S_sw1,S_sw2がオンとなり、その対応する各駆動回路37,38の出力する駆動電圧がゲート端子に印加されることにより導通する。そして、本実施形態の電源装置20は、これら各スイッチング素子33,34の何れか一方がオンとなることで、上記のように、その主電源17のみによる第1の電力供給形態と、補助電源18を用いた第2の電力供給形態とを選択的に切り替えることが可能となっている。
具体的には、上記接続点P1に接続されたスイッチング素子33がオンとなり、接続点P2に接続されたスイッチング素子34がオフとなることで、電源装置20の出力電圧Vb(上記接続点P3の電圧)は、主電源17と補助電源18との接続点P1の電圧、即ち主電源の出力電圧V1と等しくなる(Vb=V1)。そして、上記接続点P2に接続されたスイッチング素子34がオンとなり、接続点P1に接続されたスイッチング素子33がオフとなることで、電源装置20の出力電圧Vbは、補助電源18の他方の接続点P2における電圧、即ち直列に接続された主電源17及び補助電源の合成出力電圧V2と等しくなる(Vb=V2)。
即ち、本実施形態の電源装置20は、ECU11の出力するスイッチング信号S_sw1がオン(スイッチング信号S_sw2はオフ)となることにより、その電力供給形態が、主電源17のみによる第1の電力供給形態に切り替わる。そして、スイッチング信号S_sw2がオン(スイッチング信号S_sw1はオフ)となることにより、その電力供給形態が、主電源17及び補助電源18が直列に接続された状態での電力供給形態(第2の電力形態)に切り替わるように構成されている。
ここで、図2に示すように、本実施形態では、ECU11のマイコン22に設けられた上記電源管理部31には、電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*が入力されるようになっており、同電源管理部31は、その電流指令値I*に基づいて、モータ12に対して大電力の供給が必要な状況であるか否かを判定する。尚、本実施形態では、この大電力供給の要否に関する判定は、電流指令値I*(の絶対値)を所定の閾値に比較することにより行われる。そして、電源管理部31は、大電力を供給する必要性の低い通常時には、主電源17のみによる電力供給形態を選択し、大電力の供給を必要とする場合にのみ、その補助電源を用いた電力供給形態を選択する構成となっている。
また、本実施形態の補助電源18は、大容量のキャパシタ(電気二重層キャパシタ:EDLC)40により構成されている。そして、上記のように接続点P2側のスイッチング素子34がオンとなった場合には、その接続点P2側に蓄積された電荷を放電することにより、速やかに大電力を出力することが可能となっている。
詳述すると、本実施形態の電源装置20には、主電源17の出力電圧V1を昇圧して出力する昇圧回路41が形成されている。そして、上記キャパシタ40の充電は、この昇圧回路41の出力電圧V3を、キャパシタ40の接続点P2側(の端子)に印加することにより行われる。
具体的には、図3に示すように、本実施形態では、上記主電源17と補助電源18との接続点P1にコイル42の一端が接続されるとともに、そのコイル42の他端には、ダイオード43のアノード端子が接続されている。そして、そのダイオード43のカソード端子は、上記接続点P2に接続されている。また、コイル42とダイオード43との接続点P4は、スイッチング素子44を介して接地されている。尚、本実施形態では、このスイッチング素子44には、PチャネルMOSFETが用いられている。そして、本実施形態の昇圧回路41は、このスイッチング素子44が、ECU11の出力する昇圧信号S_bvに基づきオン/オフすることにより、主電源17の出力電圧V1を昇圧してキャパシタ40の接続点P2側(の端子)に印加する構成となっている。
即ち、本実施形態の昇圧回路41は、スイッチング素子44がオフ作動する瞬間にコイル42に生ずる誘起電圧を利用した周知のフライバック型の昇圧回路であり、ダイオード43は、その出力電圧V3を利用してキャパシタ40の接続点P2側に充電した電荷が、接地側に逆流することを防止する機能を有している。そして、本実施形態のECU11は、その電力供給形態が主電源17のみによる第1の電力供給形態である場合、即ち接続点P2側のスイッチング素子34がオフである場合において、そのスイッチング素子44をオン/オフ作動させるような昇圧信号S_bvを出力する構成となっている。
(補助電源使用時の温度適合制御)
次に、本実施形態における補助電源使用時の温度適合制御の態様について説明する。
上述のように、補助電源の構成要素となり得る蓄電装置には、多くの場合、その温度変化により出力特性が低下する傾向がある。しかしながら、通常、補助電源の容量は、比較的小さく設定される。このため、その温度特性の影響が顕在化しやすく、その結果、補助電源の放電が早まることで、効率的に当該補助電源を用いた電力供給ができなくなる可能性がある。
この点を踏まえ、本実施形態のECU11は、補助電源18の温度を検出するとともに、その補助電源18を用いた電力供給形態においては、当該補助電源18の温度特性に合わせて、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制する。そして、本実施形態では、これにより、電源装置20から大電流が引き出されることにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源18の急放電を回避して、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことが可能となっている。
詳述すると、図3に示すように、本実施形態の電源装置20には、温度センサ50が設けられており、同温度センサ50は、補助電源18(を構成するキャパシタ40)の雰囲気温度に応じた検出信号をECU11に出力するように構成されている。そして、ECU11は、この温度センサ50を用いて当該補助電源18の温度Tを検出する。
即ち、本実施形態では、温度センサ50及びECU11により温度検出手段が構成されている。そして、本実施形態のECU11は、補助電源18を用いた電力供給形態においては、その検出される補助電源18の温度Tに基づいて、上記マイコン22(のモータ制御部21)が実行する電流フィードバック制御の電流指令値I*(の絶対値)を低減することにより、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制する。
さらに詳述すると、図2に示すように、本実施形態のモータ制御部21には、抑制ゲイン演算部51が設けられており、上記温度センサ50により検出される補助電源18の温度Tは、この抑制ゲイン演算部51に入力される。また、本実施形態の抑制ゲイン演算部51は、上記電源管理部31の出力する状態信号S_bkに基づいて、現在、上記補助電源18を用いた電力供給形態であるか否かを検知する。そして、抑制ゲイン演算部51は、当該補助電源を用いた電力供給形態にある場合には、その検出される補助電源18の温度Tに基づいて、電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*(の絶対値)を低減させるような抑制ゲインKを演算する。
具体的には、図4に示すように、本実施形態の抑制ゲイン演算部51は、補助電源18を用いた電力供給形態において、補助電源18の検出温度(T)が所定値T0以下である場合には、その値が「1」よりも小さな抑制ゲインKを演算する。尚、主電源17のみを用いた第1の電力供給形態にある場合、抑制ゲイン演算部51は、上記検出温度(T)にかかわらず、抑制ゲインKとして「1」を演算する。本実施形態では、この抑制ゲイン演算部51の出力する抑制ゲインKは、電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*とともに、乗算器52に入力される。そして、本実施形態のモータ制御信号出力部26は、この抑制ゲインKを乗ずることにより得られる電流指令値I**に基づいて(I**=I*×K)、その電流フィードバック制御を実行する構成となっている。
即ち、本実施形態の補助電源18は、電気二重層キャパシタ(キャパシタ40)により構成されている。そして、同キャパシタ40は、図5に示すように、所定値T0以下の温度領域においては、その温度低下とともに内部抵抗(倍率)が増大するという特性を有している。
つまり、本実施形態の抑制ゲイン演算部51は、このようなキャパシタ40の特性に合わせて、その検出される補助電源18の温度Tが所定値T0以下である場合において、実際に電流指令値I*が低減される「1」よりも小さな抑制ゲインKを演算する(図4参照)。そして、所定値T0以下の温度領域においては、その温度低下とともに増大するキャパシタ40の内部抵抗、即ち、その出力特性の低下に対応して、当該補助電源18の温度Tが低いほど、より大きく電流指令値I*(の絶対値)を低減するような抑制ゲインKを演算する構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)ECU11は、電源装置20に設けられた温度センサ50を用いて補助電源18の温度Tを検出する。そして、ECU11は、補助電源18を用いた電力供給形態にある場合には、当該補助電源18の温度特性に合わせて、モータ12に対する駆動電力の供給を抑制する。
即ち、モータ12に対する駆動電力の供給を抑制することにより、電源装置20から引き出される電流(引き込み電流)が減少する。その結果、温度変化を要因とした出力効率の低下時においても、その大電流の引き込みにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源18の急放電を回避することができる。従って、上記構成によれば、温度変化に依らず、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができる。
(2)ECU11は、そのマイコン22(のモータ制御部21)が実行する電流フィードバック制御の電流指令値I*(の絶対値)を低減することにより、モータ12に対する駆動電力の供給を抑制する。
即ち、電流指令値I*(の絶対値)を低減することで、出力効率の低下に起因して電源出力が低下した場合であっても、実電流値Iとの間に過大な偏差ΔIが発生し難くなる。従って、上記構成によれば、その偏差を解消すべく更に大きな駆動電力を供給するような制御が実行される事態を回避して、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができる。
(3)モータ制御部21は、検出される補助電源18の温度Tに基づいて上記電流指令値I*を低減するための抑制ゲインKを演算する抑制ゲイン演算部51を備える。また、補助電源18は、電気二重層キャパシタ(キャパシタ40)により構成される。そして、抑制ゲイン演算部51は、その補助電源18を構成するキャパシタ40の特性に合わせて、当該補助電源18の検出温度(T)が所定値T0以下である場合において、実際に電流指令値I*が低減される「1」よりも小さな抑制ゲインKを演算する。
即ち、電気二重層キャパシタは、特定の温度(本実施形態において補助電源を構成するキャパシタ40においては所定値T0)よりも低い領域において、その内部抵抗が急速に増大するという特性を有する。従って、上記構成によれば、モータ12に対する駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を最小限に抑えつつ、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができる。
(4)また、抑制ゲイン演算部51は、温度低下とともに増大するキャパシタ40の内部抵抗に対応して、当該補助電源18の温度Tが低いほど、より大きく電流指令値I*(の絶対値)を低減するような抑制ゲインKを演算する。
上記構成によれば、より効率的に、低温時における補助電源18を用いた電力供給を実行することができるようになる。
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態では、上記第1の実施形態において、そのモータ制御部21に設けられていた抑制ゲイン演算部51が廃止されている(図2参照)。そして、本実施形態のモータ制御部61では、その抑制ゲイン演算部51に代えて、電流指令値演算部25が出力する電流指令値I*(の絶対値)を上限値(Ith)以下に制限するガード処理部62が設けられている。
即ち、ガード処理部62は、電流指令値I*の絶対値が上限値Ithを超える場合には(|I*|>Ith)、その絶対値が上限値Ithと等しくなるように当該電流指令値I*を補正して(符号は変更せず)、そのガード処理後の電流指令値I**をモータ制御信号出力部26に出力する機能を有している(I**=Ith又は-Ith)。
また、本実施形態では、このガード処理部62には、上記電源管理部31の出力する状態信号S_bkが入力されるようになっており、同ガード処理部62は、この状態信号S_bkに基づいて、補助電源18を用いた電力供給形態であることを検知する。更に、ガード処理部62には、上記電源装置20に設けられた温度センサ50(図3参照)により検出された補助電源18の温度Tが入力される。そして、本実施形態のガード処理部62は、補助電源18を用いた電力供給形態であり、且つその補助電源18の温度Tが当該補助電源18を構成するキャパシタ40の内部抵抗が増大する上記所定値T0以下である場合において、その電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*(の絶対値)を上限値Ith以下に制限する。
具体的には、本実施形態のガード処理部62は、そのガード処理後の電流指令値I**(の絶対値)を、通常のパワーアシスト制御において演算される電流指令値I*の最大値よりも低い値に制限する。そして、本実施形態では、これにより、補助電源18を用いた電力供給形態において、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制する構成となっている。
詳述すると、本実施形態のガード処理部62は、図7に示すように、温度低下とともに内部抵抗(倍率)が増大するキャパシタ40の特性(図5参照)に合わせて、そのガード処理における上限値Ithを可変する。具体的には、検出される補助電源18の温度Tが低いほど、より小さな値に電流指令値I*(の絶対値)を制限するように、より小さな値に上限値Ithを変更する。そして、本実施形態では、このガード処理部62によるガード処理後の電流指令値I**に基づいて、モータ制御信号出力部26が電流フィードバック制御を実行することにより、そのモータ12に供給する駆動電力を抑制する構成となっている。
次に、本実施形態のガード処理部よるガード処理の実行手順について説明する。
図8のフローチャートに示すように、ガード処理部62は、先ず補助電源18を用いた電力供給形態であるか否かを判定し(ステップ101)、当該補助電源18を用いた電力供給形態である場合(ステップ101:YES)には、続いて補助電源18の検出温度(T)が所定値T0以下であるか否かを判定する(ステップ102)。そして、補助電源18の温度Tが所定値T0以下である場合(ステップ102:YES)には、当該補助電源18の温度Tに基づいて、そのガード処理における上限値Ithを演算する(ステップ103、図7参照)。
次に、ガード処理部62は、電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*(の絶対値)が、このステップ103において演算された上限値Ithを超えるか否かを判定する(ステップ104)。そして、電流指令値I*(の絶対値)が上限値Ithを超える場合(|I*|>Ith、ステップ104:YES)には、その絶対値が上限値Ithと等しくなるように当該電流指令値I*を補正する(I**=Ith又は-Ith、ステップ105)。
尚、上記ステップ104において、電流指令値I*(の絶対値)が上限値Ith以下であると判定した場合(|I*|≦Ith、ステップ104:YES)には、その電流指令値I*をガード処理後の電流指令値I**として、モータ制御信号出力部26に出力する(I**=I*、ステップ106)。そして、上記ステップ101において、補助電源18を用いた電力供給形態ではないと判定した場合(ステップ101:NO)、又は上記ステップ101において、補助電源18の温度Tが所定値T0よりも高いと判定した場合(ステップ102:NO)にも、同様にステップ106の処理を実行する。
本実施形態のECU11は、このようにして電流フィードバック制御の基礎となる電流指令値I*にガード処理を施すことにより、上記補助電源18を用いた電力供給形態においては、その補助電源を構成するキャパシタ40の温度特性に合わせて、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制する。そして、本実施形態では、これにより、電源装置20から大電流が引き出されることにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源18の急放電を回避するとともに、その駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を最小限に抑えて、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことが可能になっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)モータ制御部61には、電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*(の絶対値)を上限値(Ith)以下に制限するガード処理部62が設けられる。そして、ガード処理部62は、補助電源18を用いた電力供給形態にあり、且つその補助電源18の温度Tが当該補助電源18を構成するキャパシタ40の内部抵抗が増大する所定値T0以下である場合には、その電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*(の絶対値)を上限値Ith以下に制限する。
即ち、電流指令値I*(の絶対値)を制限することで、出力効率の低下に起因して電源出力が低下した場合であっても、実電流値Iとの間に過大な偏差ΔIが発生し難くなる。従って、上記構成によれば、その偏差を解消すべく更に大きな駆動電力を供給するような制御が実行されることを抑制して、電源装置20から大電流が引き出されることにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源18の急放電を回避することができ、その結果、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができるようになる。加えて、電流指令値I*(の絶対値)が上限値Ithに満たない場合には、そのガード処理によっても電流指令値I*は低減されない。その結果、モータ12に対する駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を回避することができる。
(2)ガード処理部62は、その温度低下に従って内部抵抗(倍率)が増大するキャパシタ40の特性に合わせて、検出される補助電源18の温度Tが低いほど、より小さな値に電流指令値I*(の絶対値)を制限するように、そのガード処理における上限値Ithを可変する。
上記構成によれば、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を最小限に抑えつつ、より効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができる。
[第3の実施形態]
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態では、上記第1の実施形態において、そのモータ制御部21に設けられていた抑制ゲイン演算部51が廃止されている(図2参照)。そして、本実施形態のモータ制御部71では、そのモータ制御信号出力部72に、F/B制御部29が実行する電流フィードバック制御のゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)を演算するF/Bゲイン演算部73が設けられている。
詳述すると、本実施形態では、このF/Bゲイン演算部73には、上記電源装置20に設けられた温度センサ50(図3参照)により検出された補助電源18の温度Tが入力されるようになっている。そして、本実施形態のF/Bゲイン演算部73は、当該補助電源18を用いた電力供給形態である場合には、検出される補助電源18の温度Tに基づいて、そのF/B制御部29に出力するフィードバックゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)を可変する。
具体的には、本実施形態のF/Bゲイン演算部73には、上記電源管理部31の出力する状態信号S_bkが入力されるようになっており、同F/Bゲイン演算部73は、この状態信号S_bkに基づいて、補助電源18を用いた電力供給形態であることを検知する。そして、当該補助電源18を用いた電力供給形態である場合には、その補助電源18を構成するキャパシタ40の温度特性に合わせて、電流フィードバック制御の応答性を低下させるような比例ゲインKp及び積分ゲインKiを演算してF/B制御部29に出力する。
そして、本実施形態では、このようにフィードバックゲインを可変して電流フィードバック制御の応答性を下げることにより、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制する構成となっている。
さらに詳述すると、図10に示すように、本実施形態のF/Bゲイン演算部73は、比例ゲイン演算部75及び積分ゲイン演算部76を備えており、これら比例ゲイン演算部75及び積分ゲイン演算部76は、それぞれ、その対応する比例ゲインKp及び積分ゲインKiと補助電源18の検出温度(T)とが関連付けられたマップ75a,76aを備えている。
具体的には、比例ゲイン演算部75に設けられたマップ75aにおいて、比例ゲインKpは、検出される補助電源18の温度T(の絶対値)が所定値T0以下である場合(|T|≦T0)には、当該補助電源18の温度Tが低いほど、電流フィードバック制御の応答性を下げるような、より小さな値となるように設定されている(α0>α1)。同様に、積分ゲイン演算部76に設けられたマップ76aにおいてもまた、積分ゲインKiは、検出される補助電源18の温度T(の絶対値)が所定値T0以下である場合(|T|≦T0)には、当該補助電源18の温度Tが低いほど、電流フィードバック制御の応答性を下げるような、より小さな値となるように設定されている(β0>β1)。
そして、比例ゲイン演算部75及び積分ゲイン演算部76は、上記のように電源装置20に設けられた温度センサ50により検出される補助電源18の温度Tを、そのマップ75a,76aに参照することにより、当該補助電源18の温度Tに応じた比例ゲインKp及び積分ゲインKiを演算する。
本実施形態のF/Bゲイン演算部73は、このようにして上記比例ゲイン演算部75及び積分ゲイン演算部76が演算した比例ゲインKp及び積分ゲインKiをF/B制御部29に出力する。そして、本実施形態のモータ制御部21は、これにより、補助電源18を構成するキャパシタ40の温度特性(図5参照)に合わせて、F/B制御部29が実行する電流フィードバック制御の応答性を低下させる。
即ち、本実施形態のECU11は、補助電源18を用いた電力供給形態にある場合、所定値T0以下の温度領域においては、その温度低下とともに内部抵抗(倍率)が増大するキャパシタ40に合わせて、補助電源18の検出温度(T)に基づき電流フィードバック制御の応答性を下げることで、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制する。そして、本実施形態では、これにより、電源装置20から大電流が引き出されることにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源18の急放電を回避するとともに、その駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少を最小限に抑えて、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことが可能になっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)モータ制御信号出力部72には、F/B制御部29が実行する電流フィードバック制御のゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)を演算するF/Bゲイン演算部73が設けられる。そして、F/Bゲイン演算部73は、当該補助電源18を用いた電力供給形態である場合には、その補助電源18を構成するキャパシタ40の温度特性に合わせて、電流フィードバック制御の応答性を下げるようなフィードバックゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)を演算する。
即ち、電流フィードバック制御の応答性を下げることで、温度変化を要因とする出力効率の低下により電源出力が低下しその実電流値Iとの間に過大な偏差ΔIが発生するような状況となっても、その偏差を解消すべく更に大きな駆動電力を供給するような制御の立ち上がりを抑える(遅くする)ことができる。従って、上記構成によれば、その電力供給の急激な拡大を抑制して、電源装置20から大電流が引き出されることにより生ずる出力損失の拡大、及びそれに伴う補助電源18の急放電を回避することができ、その結果、効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができるようになる。
(2)F/Bゲイン演算部73は、その温度低下に従って内部抵抗(倍率)が増大するキャパシタ40の特性に合わせて、検出される補助電源18の温度Tが低いほど、電流フィードバック制御の応答性を下げるべく、より小さなフィードバックゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)を演算する。
上記構成によれば、そのモータ12に対する駆動電力の供給を抑制することにより生ずるアシスト力の減少、詳しくは、その応答性の低下により生ずる追従性低下の影響を最小限に抑えつつ、より効率的に、その補助電源18を用いた電力供給を行うことができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、本発明を所謂コラム型のEPS1に具体化したが、本発明は、所謂ピニオン型やラックアシスト型のEPSに適用してもよい。
・上記各実施形態では、本発明をブラシ付の直流モータを駆動源とするEPS1に具体化したが、ブラシレスモータを駆動源とするEPSに適用してもよい。
・上記各実施形態では、電源装置20は、補助電源18を用いた電力供給形態として、主電源17及び補助電源18を直列に接続した状態での電力供給形態を選択可能に構成されることとした。しかし、これに限らず、補助電源18のみによる電力供給形態を選択可能な構成に適用してもよい。
・上記各実施形態では、補助電源18は、大容量の電気二重層キャパシタ(キャパシタ40)により構成されることとした。しかし、これに限らず、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池、或いはその他の蓄電装置を補助電源の構成要素とするものに適用してもよい。そして、上記各実施形態のようにキャパシタ(コンデンサ)を用いる場合についても、その種類については、例えば、セラミックコンデンサ等、必ずしも電気二重層キャパシタに限るものではない。
・上記各実施形態では、所定値T0以下の温度領域においては、その温度低下とともに内部抵抗(倍率)が増大するキャパシタ40に合わせて、検出される補助電源18の温度Tが低いほど、より大きくモータ12に対する駆動電力の供給を抑制することとした。しかし、これに限らず、温度特性を要因とする出力効率の低下が顕著となる温度領域において、モータ12に対する駆動電力の供給を抑制することができればよく、その抑制量については、必ずしも連続的に変化しなくともよい。
即ち、例えば、上記第1の実施形態における抑制ゲインK、及び上記第1の実施形態におけるフィードバックゲイン(比例ゲインKp及び積分ゲインKi)については、その非抑制時に対応する値(例えば、図10参照、「α0」)と抑制時に対応する値(同図参照、「α1」)の二値を用いる構成としてもよい。そして、第2の実施形態においては、そのガード処理における上限値Ithを可変しなくともよい。
・上記各実施形態では、補助電源18(を構成するキャパシタ40)の雰囲気温度に基づいて、当該補助電源18の温度Tを検出することとした。しかし、これに限らず、直接に補助電源18の温度Tを検出する構成としてもよい。また、雰囲気温度に基づき検出する場合についても、その温度センサの配置については、特に限定されるものではない。即ち、推定により補助電源18の温度Tを検出する構成であってもよい。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、17…主電源、18…補助電源、20…電源装置、21,61,72…モータ制御部、22…マイコン、23…駆動回路、25…電流指令値演算部、26,72…モータ制御信号出力部、29…F/B制御部、31…電源管理部、40…キャパシタ、50…温度センサ、51…抑制ゲイン演算部、52…乗算器、62…ガード処理部、73…F/Bゲイン演算部、75…比例ゲイン演算部、75a…マップ、76…積分ゲイン演算部、76a…マップ、I…実電流値、I*,I**…電流指令値、ΔI…偏差、Ith…上限値、K…抑制ゲイン、T…温度、T0…所定値、Kp…比例ゲイン、Ki…積分ゲイン。

Claims (6)

  1. モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記モータに対する駆動電力の供給を通じて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、補助電源を用いた電力供給形態を選択可能な電源装置とを備え、前記制御手段は、目標アシスト力に対応する電流指令値に前記モータの実電流値を追従させるべくフィードバック制御を実行することにより前記駆動電力を供給する電動パワーステアリング装置であって、
    前記補助電源の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記制御手段は、前記補助電源を用いた電力供給形態においては、前記補助電源の温度特性に合わせて前記駆動電力の供給を抑制すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記補助電源の温度が低いほど、より大きく前記駆動電力の供給を抑制すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記補助電源は、電気二重層キャパシタにより構成されること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記電流指令値を低減することにより、前記駆動電力の供給を抑制すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記電流指令値が上限値を超えないように制限することにより、前記駆動電力の供給を抑制すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  6. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記フィードバック制御のゲインを変更して該フィードバック制御の応答性を下げることにより、前記駆動電力の供給を抑制すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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