JP2011126357A - 踏切照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費電力を抑えて節電効果を期待することができ、また、自殺予防策としても、節電効果のみならず踏切付近の住民らの不快感を軽減することができる踏切照明装置を提供する。
【解決手段】踏切照明装置10の第1光源(第2光源)11〜14を、発光ダイオードとすることで調光制御を可能とし、踏切4における列車5の通過時には第1光源11〜14の出力を100%として、道路1と線路2,3が重なる箇所の照度を通常時より高める一方、列車5が通過しない通常時は第1光源11〜14の出力を70%程度まで落とす。また、沈静効果を狙った青色発光の第3光源15も、列車5の通過時のみ点灯させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、道路と一または複数並ぶ線路が平面交差する踏切付近を夜間等に照らすための踏切照明装置に関し、詳しくは、踏切において列車が接近ないし通過する際に道路の交通を遮断する前後一対の遮断機の間の踏切内道路に光を照射する踏切照明装置に関する。
従来より踏切の照明は、踏切における交通の円滑化を目的として設置され、また、安全性を高めるため、一般の道路交差点の規定照度よりも明るく設定されていた。すなわち、一般の道路交差点の路面照度は、平均すれば10ルックス程度で足りるが、踏切内道路の路面照度は、列車の運転士の視認性を確保するために20ルックス程度が好ましいとされていた。
具体的な踏切の照明としては、例えば特許文献1に開示されているように、光源は水銀灯やナトリウム灯等の調光制御が難しい放電灯が主に採用されており、点灯したら調光は行わずに一定の照度が前提となり、踏切における通常時(遮断機が上がっている状態)と列車通過時とを比較しても、従来は同じ照度で照明を行っていた。
また、従来より青色の照明灯には、人の心理を冷静にする沈静効果があるという研究結果があり、これに基づき実際に踏切に青色の照明灯を導入することで、その設置エリアにおける飛び込み自殺の件数が減少するという効果が上げられている。これにより、青色の照明灯は、踏切における有力な自殺予防策としての期待が寄せられている。
特開平6−115434号公報
しかしながら、踏切における道路側の歩行者や車両の運転者の観点からすれば、通常時(遮断機が上がっている状態)においては、一般の道路交差点の照度があれば全く問題がなく、むしろ線路側の列車の運転士に合わせた高照度な照明は過剰であった。ところが、従来の踏切の照明では、歩行者や車両の通過時と列車の通過時とが同じ照度であるため、無駄な電力が生じておりコストが嵩むという問題があった。
また、青色の照明灯は、たとえ人の心理を冷静にする沈静効果があるとしても、踏切において常に青色の照明を行うとなると、かえって不気味であり人の感情を不快にさせてしまう虞があった。特に、踏切付近の住民が不快感を感じることが予想され、また、あくまで自殺予防策であれば、列車が来る一定の時間の前だけの照明で足り、歩行者の立っている部分を局所的に照射できれば済む問題である。
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、踏切において列車が接近ないし通過する際に、通常時よりも照度を高くすることにより、消費電力を抑えて節電効果を期待することができ、また、自殺予防策としての青色の照明のエリアおよび時間を限定することで、節電効果のみならず踏切付近の住民らの不快感を軽減することができる踏切照明装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]道路(1)と一または複数並ぶ線路(2,3)が平面交差する踏切(4)で、列車(5)が接近ないし通過する際に前記道路(1)の交通を遮断する前後一対の遮断機(20)の間の踏切内道路(1a)に光を照射する踏切照明装置(10)において、
列車(5)の接近ないし通過の有無に関わりなく、前記踏切内道路(1a)の領域全体を照らす第1光源(11〜14)と、
列車(5)が接近ないし通過する際に、前記踏切内道路(1a)のうち列車(5)が通過する線路(2,3)と少なくとも重なる領域を前記第1光源(11〜14)による照度よりも高い照度に照らす第2光源(11〜14)と、
前記第1光源(11〜14)と前記第2光源(11〜14)による光の照射を制御する制御手段(40)と、を有することを特徴とする踏切照明装置(10)。
[2]前記制御手段(40)は、前記遮断機(20)の作動に連動して前記第2光源(11〜14)による光の照射を制御することを特徴とする[1]に記載の踏切照明装置(10)。
[3]前記線路(2,3)上を踏切(4)に向かって接近してくる列車(5)を検知する列車検知手段(41)を有し、
前記制御手段(40)は、前記列車検知手段(41)から出力された列車検知信号に応じて、前記第2光源(11〜14)による光の照射を制御することを特徴とする[1]に記載の踏切照明装置(10)。
[4]前記第1光源(11〜14)は、調光可能な発光ダイオードからなり、
前記第1光源(11〜14)は、調光制御によって前記第2光源(11〜14)も兼ねるものであり、
前記制御手段(40)は、列車(5)が接近ないし通過する際に前記第1光源(11〜14)による照度を、列車(5)が接近ないし通過しない時よりも一時的に高めて前記踏切内道路(1a)を照らす制御を行うことを特徴とする[1],[2]または[3]に記載の踏切照明装置(10)。
[5]前記第2光源(11〜14)は、前記線路(2,3)上を踏切(4)に向かって接近してくる列車(5)の進行方向に向けて光を照射する向きに設置することを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の踏切照明装置(10)。
[6]前記第1光源(11〜14)および前記第2光源(11〜14)は、それぞれ白色光を照射するものであり、
前記踏切内道路(1a)に連なる道路(1)のうち前記遮断機(20)の手前に位置する領域に青色光を照射する第3光源(15)を有することを特徴とする[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の踏切照明装置(10)。
[7]前記制御手段(40)は、列車(5)が接近ないし通過する際に前記第3光源(15)による青色光を照射させる制御を行うことを特徴とする[6]に記載の踏切照明装置(10)。
[8]前記制御手段(40)は、前記第2光源(11〜14)による光の照射の開始前に、前記第3光源(15)により光を照射させる制御を行うことを特徴とする[7]に記載の踏切照明装置(10)。
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の踏切照明装置(10)によれば、列車(5)の接近ないし通過の有無に関わりなく、第1光源(11〜14)によって、踏切内道路(1a)の領域全体を照らす一方、列車(5)が接近ないし通過する際は、第2光源(11〜14)によって、踏切内道路(1a)のうち列車(5)が通過する線路(2,3)と少なくとも重なる領域を前記第1光源(11〜14)による照度よりも高い照度に照らす。第1光源(11〜14)と第2光源(11〜14)による光の照射は、制御手段(40)によって制御する。
これにより、従来のように列車(5)の接近ないし通過の有無に関わりなく、踏切(4)の照明を列車(5)の通過時(以下、列車(5)の接近時も含む。)における運転士を基準とした高い照度に一律に維持する必要がなくなり、列車(5)の通過時以外の通常時は、踏切内道路(1a)においても一般の道路交差点に必要な照度とすることができる。すなわち、通常時には必要最低限の照度に抑えて、列車(5)の通過時のみ安全性を確保すべく照度を高めることで、消費電力を抑えて節電効果を期待することができる。
前記[2]に記載の踏切照明装置(10)によれば、制御手段(40)は遮断機(20)の作動に連動して第2光源(11〜14)による光の照射を制御する。これにより、遮断機(20)の作動として遮断桿(21)が降りる動作に基づき、第2光源(11〜14)による光の照射を開始し、遮断桿(21)が上がる動作に基づいて、第2光源(11〜14)による光の照射を中止すれば良く、第2光源(11〜14)による光の照射のタイミングを明確に定めることができる。
あるいは、前記[3]に記載したように、線路(2,3)上を踏切(4)に向かって接近してくる列車(5)を検知する列車検知手段(41)を有する場合には、遮断機(20)の作動に連動させることなく、制御手段(40)は、列車検知手段(41)から出力された列車検知信号に応じて、第2光源(11〜14)による光の照射を制御しても良い。これにより、遮断機(20)の作動とは関係なく、例えば遮断機(20)の作動前からでも列車検知信号に応じて第2光源(11〜14)を制御することが可能となる。
また、前記[4]に記載の踏切照明装置(10)によれば、前記第1光源(11〜14)は調光可能な発光ダイオードからなる場合、第1光源(11〜14)の調光制御によって第2光源(11〜14)も兼ねるように構成することができる。すなわち、制御手段(40)によって、列車(5)が接近ないし通過する際だけ第1光源(11〜14)による照度を、列車(5)が接近ないし通過しない通常時よりも一時的に高めるように調光することで、光源の部品点数を削減することができる。
前記[5]に記載の踏切照明装置(10)によれば、第2光源(11〜14)は、線路(2,3)上を踏切(4)に向かって接近してくる列車(5)の進行方向に向けて光を照射する向きに設置する。これにより、列車(5)の運転士の視界に光が直接入射することがなく、眩しさによる視界不良を防止することができる。なお、列車(5)の進行方向に向けて光を照射する向きとは、必ずしも平行な同一方向である必要はなく、列車(5)の進行方向に対して鋭角に交差する方向も含むものとする。
また、前記[6]に記載したように、前記第1光源(11〜14)および前記第2光源(11〜14)は、それぞれ白色光を照射するものが適しているが、これとは別に青色光を照射する第3光源(15)を備えた上で、かかる青色光を踏切内道路(1a)に連なる道路(1)のうち遮断機(20)の手前に位置する領域に照射すると良い。これにより、自殺予防策としての青色の照明を、より有効な領域に限定することができる。
さらに、前記[7]に記載したように、列車(5)が接近ないし通過する際に前記第3光源(15)による青色光を照射させる制御を行うようにすれば、節電効果のみならず踏切(4)付近の住民らの不快感をいっそう軽減することができる。また、通常時には円滑に踏切(4)横断が可能な白色光のみの照射とすることができる。
また、前記[8]に記載したように、前記第2光源(11〜14)による光の照射の開始前に、前記第3光源(15)により光を照射させる制御を行うと良い。これにより、列車(5)が接近ないし通過する以前より、踏切(4)の手前に止まる歩行者に対しての沈静効果を期待することができる。
本発明に係る踏切照明装置によれば、列車の接近ないし通過の有無に関わりなく、第1光源によって、踏切内道路の領域全体を照らす一方、列車が接近ないし通過する際は、第2光源によって、踏切内道路のうち列車が通過する線路と少なくとも重なる領域を前記第1光源による照度よりも高い照度に照らすから、列車の運転士を基準とした高い照度に一律に維持する必要がなく、通常時には必要最低限の照度とすることで、消費電力を抑えて節電効果を期待することができると共に、装置の寿命を延すことができる。また、自殺予防策としての青色の照明のエリアおよび時間を限定することにより、節電効果のみならず踏切付近の住民らの不快感を軽減することができる。
本発明の第1実施の形態に係る踏切照明装置の配置構成を模式的に示す平面図である。 本発明の第1実施の形態に係る踏切照明装置の配置構成を模式的に示す正面図である。 本発明の第2実施の形態に係る踏切照明装置の配置構成を模式的に示す平面図である。 本発明の第3実施の形態に係る踏切照明装置の配置構成を模式的に示す平面図である。
以下、図面に基づき本発明を代表する各種の実施の形態を説明する。
図1は、第1実施の形態に係る踏切照明装置10の配置構成を模式的に示す平面図である。図2は、同じく踏切照明装置10の配置構成を模式的に示す正面図である。本実施の形態に係る踏切照明装置10は、道路1と上下2線の平行に並ぶ線路2,3が平面交差する踏切4で、列車5が接近ないし通過する際に道路1の交通を遮断する前後一対の遮断機20,20の間の踏切内道路1aに光を照射する装置である。
踏切4は、前述したように道路1と上下2線の線路2,3が平面交差する場所であり、踏切4には付帯設備として踏切照明装置10や遮断機20の他、警報機30等が設置されている。遮断機20は、列車5が接近ないし通過する際に道路1を遮断するための装置であり、略直立に立ち上がった通常位置と略水平になるまで下降した遮断位置とに揺動可能な遮断桿21を有している。
遮断機20の遮断桿21の動作は、後述する制御手段40によって制御され、図1に示すように、前後一対の遮断機20の遮断桿21が、互いに略水平な遮断位置まで下降することにより、踏切4において道路1を通行する歩行者や車両の交通が遮断される。このとき、前後の遮断桿21,21の間に挟まれる道路1の一部が踏切内道路1aであり、踏切照明装置10はこの領域内の照明を行う。
警報機30は、道路1を通行する歩行者や車両に対して踏切4があることを警告する装置であり、支柱31の上部に×印状の踏切警標32と、交互に点滅する赤色灯33、それに警報音を発するスピーカー(図示せず)等が設けられている。赤色灯33の点灯や警報音は、後述する制御手段40によって制御され、前記遮断桿21が下降してから、警報音が鳴り終わって遮断桿21が上がり始めるまで、赤色灯33は点滅するように設定されている。
本発明である踏切照明装置10は、列車5の接近ないし通過の有無に関わりなく、踏切内道路1aの領域全体を照らす第1光源11〜14と、列車5が接近ないし通過する際に前記踏切内道路1aのうち列車5が通過する線路2,3と少なくとも重なる領域を前記第1光源11〜14による照度よりも高い照度に照らす第2光源とを有している。本実施の形態に係る第1光源11〜14は、調光可能な白色光の発光ダイオードを有してなり、各第1光源11〜14は、それぞれ調光制御によって前記第2光源も兼ねている。
各第1光源11〜14としては、具体的には例えば、本出願人が既に提案している意匠願2009−8494号に記載されているスポットライトのように、高い指向性を持った高均一照明が可能なものが適する。上り線路2に対応する第1光源11,12は、線路2の手前側で警報機30の支柱31とは別に立設された支柱6の上部に設置されている。同様に、下り線路3に対応する第1光源13,14は、線路3の手前側で同じく警報機30の支柱31とは別に立設された支柱6の上部に設置されている。
第1光源11〜14による照明は、後述する制御手段40によって制御される。すなわち、列車の通過時以外の通常時は、第1光源11〜14はそれぞれ全灯して、踏切内道路1aの領域全体が所定の照度となるように光を照射する。上り線路2における列車5の通過時には、図1中に薄い薄墨色で示したように、踏切内道路1aのうち線路2と重なる領域から他方の線路3との境界付近、および線路2の手前の遮断桿21が降りる付近までの領域を照らす第1光源11,12が、前記所定の照度よりも高い照度となる光を照射するように一時的に調光される。
また、下り線路3における列車5の通過時には、踏切内道路1aのうち線路3と重なる領域から他方の線路2との境界付近、および線路3の手前の遮断桿21が降りる付近までの領域を照らす第1光源13,14が、前記所定の照度よりも高い照度となる光を照射するように一時的に調光される。なお、両方の線路2,3に同時に列車が通過する時には、全ての第1光源11〜14が、一斉に高い照度となる光を照射するように調光される。
上り線路2に対応する第2光源を兼ねた第1光源11,12は、線路2上を踏切4に向かって接近してくる列車5の進行方向に向けて光を照射する向きに設置されている。詳しく言えば、第1光源11,12が光を照射する向きは、図1中に矢印で示したように、列車5の進行方向に対して線路2側かつ下方に鋭角に交差する方向に設定されている。下り線路3に対応する第2光源を兼ねた第1光源13,14は、前述した第1光源11,12とは逆の配置態様に設置されている。
図2に示すように、踏切照明装置10は、第2光源も兼ねる第1光源11〜14による光の照射を制御する制御手段40を有している。かかる制御手段40は、具体的には例えば、各種制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)と、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROMと、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等を主要部とする回路により構成されている。
図2に示すように、制御手段40には、各第1光源11〜14、遮断機20、警報機30、それに列車検知手段41等が、それぞれ信号線を介して接続されている。制御手段40は、例えば遮断機制御箱内に収納されており、この制御手段40の他、各第1光源11〜14、遮断機20、警報機30、列車検知手段41には、それぞれ商用電源が給電される。
列車検知手段41は、線路2,3上を踏切4に向かって接近してくる列車5を検知するセンサである。かかるセンサは、踏切4より離れた場所から列車5の存在を感知し得るセンサであれば、接触方式や非接触方式等の感知方式は問わない。具体的には例えば、線路2,3に電流を流して列車5による短絡を検出するもの、線路2,3を横断する2点間に照射した光を列車5が遮ることにより検出するもの、超音波を送受信することで列車5の存否を感知するもの等、何れの方式であっても良い。
列車検知手段41は列車5を検知すると、その旨を示す列車検知信号を制御手段40に出力する。制御手段40は、列車検知信号をCPUの内蔵するA/D変換器に入力してデジタル信号に変換して、CPUでノイズ等による誤感知を除去するための各種の処理を施した後、前記第2光源11〜14による光の照射を制御する。
すなわち、制御手段40は、列車5が通過する線路2,3に対応する側の第1光源11,12および/または第1光源13,14に調光制御信号を出力して、前記第2光源として光の照射を一時的に高める制御を実行する。ここでの調光は、瞬時に切り換えることも可能であるが、所定時間(5〜10秒程度)に亘り無段階に高めても良い。なお、制御手段40には明暗センサが接続されており、各第1光源11〜14による光の照射の制御は、夜間等の明るさが一定値以下の暗い状況下で実行される。
さらに、踏切照明装置10は、踏切内道路1aに連なる道路1のうち遮断機20の手前に位置する領域(図1中に濃い薄墨色で示す。)に青色光を照射する第3光源15を有している。第3光源15は、青色光の発光ダイオードを有してなり、具体的には例えば、前記第1光源11〜14と同様に意匠願2009−8494号に記載されているスポットライト等が適する。また、第3光源15は前記支柱6の上部にて、前述した照射領域を向く状態に設置され、制御手段40に信号線を介して接続されている。
制御手段40は、前記第1光源11〜14の制御に加えて、列車5が接近ないし通過する際に第3光源15による青色光を照射させる制御を行う。なお、制御手段40により、第2光源としての第1光源11〜14による光の照射の開始前に、第3光源15により光を照射させる制御を行うように設定しても良い。
次に、本実施の形態に係る踏切照明装置10の作用について説明する。
夜間等明るさが一定値以下の暗い状況になると、列車5の通過時以外の通常時は、制御手段40の制御によって第1光源11〜14は、踏切内道路1aの領域全体が一般の道路交差点の規定照度を満たすように白色光を照射する。第1光源11〜14は、調光可能な発光ダイオードであるため、例えば70%程度の出力で前記規定照度を満たすように設定しておくと良い。
列車5の通過時は、制御手段40が列車検知手段41から出力された列車検知信号によって列車5の接近を検知すると、制御手段40の制御によって遮断機20や警報機30が作動する。すなわち、遮断機20の遮断桿21が略水平な遮断位置まで下降すると共に、警報機30の踏切警標32が点滅し警報音が発せられる。所定時間が経過すると、遮断機20や警報機30の作動が解除されて、遮断桿21は略直立に立ち上がって元の通常位置まで戻り、踏切警標32の点滅や警報音も停止する。
このような遮断機20や警報機30の作動と連動するように、制御手段40は、実際に列車5が通過する線路2,3に対応する側の第1光源11,12および/または第1光源13,14に調光制御信号を出力して、前記第2光源としての光の照射を一時的に高める制御を実行する。
例えば上り線路2における列車5の通過時には、遮断桿21が下降するのと同時に、上り線路2側に対応した第1光源11,12が100%の出力に調整されて、図1中に薄い薄墨色で示した列車5が通過する側の領域のみが前述した通常時の照度よりも高くなる。所定時間が経過して遮断桿21が立ち上がるのと同時に、制御手段40の制御によって第1光源11,12の100%の出力が解除されて、通常時の70%の出力状態まで戻る。なお、下り線路3の列車5の通過時における第1光源13,14の調光制御についても同様である。
これにより、従来のように踏切4の照明を列車5の通過時における運転士を基準とした高い照度(100%の出力に相当)に一律に維持する必要がなくなり、通常時には踏切内道路1aにおいても一般の道路交差点に必要な照度まで出力を落としておくことができる。すなわち、通常時には必要最低限の照度を抑えて、列車5の通過時のみ安全性を確保すべく照度を高めることで、消費電力を抑えて節電効果を期待することができると共に、装置の寿命を延すことができる。
本踏切照明装置10では、従来の光源であった放電灯を発光ダイオードに置き換えることにより、瞬時に調光制御を行うことが可能となったが、敢えて所定時間に亘り無段階に高めるように調整しても良い。例えば5〜10秒程度の時間をかけて、第1光源11〜14の出力を100%に調整すれば、瞬時に照度が高まることへの違和感を緩和することができる。また、第1光源11〜14は、その調光制御によって第2光源も兼ねる構成としたので、光源の部品点数を削減することができる。
また、第2光源を兼ねる第1光源11〜14は、線路2,3上を踏切4に向かって接近してくる列車5の進行方向に向けて光を照射する向きに設置する。これにより、列車5の運転士の視界に光が直接入射することがなく、眩しさによる視界不良を防止することができる。なお、列車5の進行方向に向けて光を照射する向きとは、必ずしも平行な同一方向である必要はなく、列車5の進行方向に対して鋭角に交差する方向も含むものとする。
これらの第1光源11〜14を設置する箇所は、歩行者、車両の運転者、列車の運転士が眩しくないように、図1に示すように、道路1と線路2,3がなす角度の中間箇所に設置すると良い。また、本実施の形態では、第1光源11〜14を、警報機30の支柱31とは別に立設された支柱6に設置したことにより、その配置の自由度が増すが、例えば警報機30の支柱31に設置した場合は、第1光源11〜14用に専用の支柱6を新たに立設する必要がなく、安価に取り付けることができる。
また、制御手段40は、列車検知手段41から出力された列車検知信号に応じて第2光源としての第1光源11〜14による光の照射を制御するから、前述した遮断機20や警報機30の作動とは独立して制御することも可能となる。例えば列車検知信号に応じて、遮断機20の遮断桿21の作動に先行して第1光源11〜14の調光制御も可能となる。これにより、なおさら踏切4における列車5の通行時の安全性を高めることができる。
さらに、本踏切照明装置10では、第1光源11〜14とは別に青色光を照射する第3光源15を備えており、かかる青色光を踏切内道路1aに連なる道路1のうち遮断機20の手前に位置する領域(図1中で濃い薄墨色の部分)に照射する。このように、気持ちを落ち着かせると言われている青色光を遮断機20付近に限定して照明することで、自殺予防により有効な領域のみで沈静効果を得ることができる。
第3光源15は、上下の線路2,3における列車5の通過時にだけ、青色光を照射するように制御される。すなわち、制御手段40は、列車検知手段41から出力された列車検知信号によって列車5の接近を検知すると、遮断桿21が下降するのと同時に第3光源15を100%の出力に調整する。そして所定時間が経過すると、遮断桿21が立ち上がるのと同時に第3光源15の出力を0%に戻して消灯させる。
このように、列車5の通過時のみ第3光源15により青色光を照射するように制御することで、節電効果のみならず踏切4の近隣住民らの不快感をよりいっそう軽減することができる。また、通常時には円滑に踏切4の横断が可能な白色光のみの照射とすることができる。
第3光源15も発光ダイオードからなり、瞬時に点灯消灯ないし調光制御を行うことが可能であるが、所定時間に亘り無段階に高めるように調整しても良い。例えば第3光源15の点灯時には、5〜10秒程度の時間をかけて出力を100%に調整すれば、急に白色から青色に変わることへの違和感を緩和することができる。なお、同じ100%の出力として青色光と白色光とを比較すると、青色光の光束は白色光の3分の1程度に落ちることになる。
さらに、第3光源15の点灯を制御するタイミングであるが、第1光源11〜14による第2光源としての光の照射の開始前に、先行して第3光源15により光を照射させる制御を行うように制御しても良い。これにより、列車5の通過時の以前より、踏切4の手前に止まる歩行者に対しての早期の沈静効果を期待することができる。なお、その他の制御として、例えば緊急時には、第1光源11〜14や第3光源15を点滅させて、歩行者、車両の運転者、列車の運転士にその踏切4が緊急状態であることを視認させることもできる。
図3は、本発明の第2実施の形態に係る踏切照明装置10の配置構成を模式的に示す平面図である。前記第1実施の形態は、2車線の道路1と上下2線路2,3が平面交差する踏切4に設置した例を示したが、第2実施の形態では、片側1車線の道路1と上下2線路2,3が平面交差する踏切4に設置した例を示している。
このような第2実施の形態によれば、上り線路2に対応する第1光源(第2光源)11は1個で足り、同様に下り線路3に対応する第1光源(第2光源)13も1個で足りる。また、第3光源15に関しては、第1実施の形態と同様にそれぞれの線路2,3に対応して1個ずつの合計2個が設置される。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
図4は、本発明の第3実施の形態に係る踏切照明装置10の配置構成を模式的に示す平面図である。第3実施の形態は、片側1車線の道路1と単線である線路2が平面交差する踏切4に設置した例を示している。
このような第3実施の形態によれば、踏切内道路1a全体における照射範囲が狭いので第1光源(第2光源)11は1個で足りるが、第3光源15に関しては、線路2の両側に対応して1個ずつの合計2個が設置される。なお、第1,2実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施の形態では、第3光源15を備えているが、第3光源15を省略して構成してもかまわない。
また、前記第1実施の形態では、列車5の通過時には各線路2,3ごとに第2光源として第1光源11,12または第1光源13,14を別々に調光制御するように構成したが、列車5の通過時には各線路2,3の区別なく全て第1光源11〜14の出力を100%になるように調整して、踏切4全体が明るくなるように制御しても良い。
また、前記第1実施の形態では、第1光源11〜14が第2光源も兼ねるように構成したが、第1光源と第2光源とを別々に設けておき、第1光源によって踏切内道路1aを一律の照度に照らす一方、列車5が接近ないし通過する際に、加えて第2光源による光の照射を行うように構成しても良い。
かかる場合には、第1光源および第2光源は、発光ダイオードのように必ずしも調光可能である必要はなく、従来の放電ランプを使用しても良い。なお、光の照射を第1光源から第2光源に完全に切り換える場合には、第2光源自体のみによる照度が、第1光源のみによる照度よりも高くなるように設定する必要があるが、第1光源の光に第2光源の光を加える場合、その必要はない。
さらにまた、前記第1実施の形態では、制御手段40は、列車検知手段41から出力された列車検知信号に応じて第2光源による光の照射を制御するように構成したが、他に例えば、遮断機20(の遮断桿21)の作動に連動して第2光源による光の照射を制御するように構成しても良い。これにより、第2光源としての第1光源11〜14による光の照射のタイミングを遮断機20の作動と連動させることができる。
本発明に係る踏切照明装置は、道路と一または複数並ぶ線路が平面交差する踏切付近を夜間等に照らすための装置として、特に踏切の付帯設備として活用することができる。
1…道路
1a…踏切内道路
2…上り線路
3…下り線路
4…踏切
5…列車
6…支柱
10…踏切照明装置
11〜14…第1光源(第2光源)
15…第3光源
20…遮断機
21…遮断桿
30…警報機
31…支柱
32…踏切警標
33…赤色灯
40…制御手段
41…列車検知手段

Claims (8)

  1. 道路と一または複数並ぶ線路が平面交差する踏切で、列車が接近ないし通過する際に前記道路の交通を遮断する前後一対の遮断機の間の踏切内道路に光を照射する踏切照明装置において、
    列車の接近ないし通過の有無に関わりなく、前記踏切内道路の領域全体を照らす第1光源と、
    列車が接近ないし通過する際に、前記踏切内道路のうち列車が通過する線路と少なくとも重なる領域を前記第1光源による照度よりも高い照度に照らす第2光源と、
    前記第1光源と前記第2光源による光の照射を制御する制御手段と、を有することを特徴とする踏切照明装置。
  2. 前記制御手段は、前記遮断機の作動に連動して前記第2光源による光の照射を制御することを特徴とする請求項1に記載の踏切照明装置。
  3. 前記線路上を踏切に向かって接近してくる列車を検知する列車検知手段を有し、
    前記制御手段は、前記列車検知手段から出力された列車検知信号に応じて、前記第2光源による光の照射を制御することを特徴とする請求項1に記載の踏切照明装置。
  4. 前記第1光源は、調光可能な発光ダイオードからなり、
    前記第1光源は、調光制御によって前記第2光源も兼ねるものであり、
    前記制御手段は、列車が接近ないし通過する際に前記第1光源による照度を、列車が接近ないし通過しない時よりも一時的に高めて前記踏切内道路を照らす制御を行うことを特徴とする請求項1,2または3に記載の踏切照明装置。
  5. 前記第2光源は、前記線路上を踏切に向かって接近してくる列車の進行方向に向けて光を照射する向きに設置することを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の踏切照明装置。
  6. 前記第1光源および前記第2光源は、それぞれ白色光を照射するものであり、
    前記踏切内道路に連なる道路のうち前記遮断機の手前に位置する領域に青色光を照射する第3光源を有することを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の踏切照明装置。
  7. 前記制御手段は、列車が接近ないし通過する際に前記第3光源による青色光を照射させる制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の踏切照明装置。
  8. 前記制御手段は、前記第2光源による光の照射の開始前に、前記第3光源により光を照射させる制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の踏切照明装置。
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