JP2011126056A - ポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガスバリア性に優れるとともにハンドリング性にも優れるポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体を提供することである。
【解決手段】 ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層されたポリエステル系積層フィルムであって、B層がその全成分に対して、平均粒径0.1〜5μmの無機および/または有機粒子を0.01〜1質量%含有するポリエステル系積層フィルム、およびそれを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体で達成される。
【選択図】なし
【解決手段】 ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層されたポリエステル系積層フィルムであって、B層がその全成分に対して、平均粒径0.1〜5μmの無機および/または有機粒子を0.01〜1質量%含有するポリエステル系積層フィルム、およびそれを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体で達成される。
【選択図】なし
Description
本発明はガスバリア性に優れるとともにハンドリング性にも優れるポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体に関するものである。
従来より、食品や薬品、最近では電子部品等の内容物の変質を防ぐために、外部からのガスの浸入を遮断する効果をもつ包装材が必要とされている。この目的に使用されるガスバリア性に優れたフィルム材料としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体を積層したフィルムやポリアミド等からなるガスバリア性フィルムを組み合わせた複合フィルムが開発されている。しかし、エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド等のフィルムは、ガスバリア性に湿度依存性があり、高湿度下でガスバリア性が大幅に劣化する問題があった。
湿度依存性の少ないガスバリア性ポリマーとして、ポリグリコール酸(以下PGAと略す)が挙げられる。一般的に、このようなガスバリア性に優れるポリマーは高価であるため、他の安価な樹脂からなる層に積層される場合が多い(例えば、特許文献1〜2参照)。
また、近年の環境意識の高まりに伴って、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックを用いたフィルムについて、そのハンドリング性を改良するための検討がなされてきた(例えば、特許文献3〜4参照)
ところが、前述の特許文献1や2では、ポリグリコール酸の層を有するためにガスバリア性に優れたフィルムとすることができるが、そのハンドリング性には劣っていた。一方、特許文献3や4では、得られるフィルムのガスバリア性に劣っていた。
さらに、近年ガスバリア性の要求レベルはさらに高まっており、上記のフィルムではガスバリア性が不十分となりつつあり、更なるガスバリア性の改良が要求されつつあった。
そこで本発明の目的は、ポリグリコール酸の層がそれとは異なるポリエステル層の少なくとも片面に表面層として積層されたフィルムであって、ハンドリング性とガスバリア性の両方に優れ、これらを高度に両立させたポリエステル系積層フィルム、およびその蒸着フィルム、ラミネート体、包装体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層された構成において、B層の表面形状を制御することにより、優れたガスバリア性とハンドリング性を両立したポリエステル系積層フィルムを提供できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
すなわち、本発明のポリエステル系積層フィルムは、ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層されたポリエステル系積層フィルムであって、B層がその全成分100質量%に対して、平均粒径0.1〜5μmの無機粒子および/または有機粒子を0.01〜1質量%含有することを特徴とする。
また、このポリエステル系積層フィルムの好ましい態様として、前記B層の厚みが、0.1〜5μmであることを特徴とする。
また、前記ポリエステル系積層フィルムを用いた好ましい態様として、前記ポリエステル系積層フィルムの少なくとも片面に、金属または無機酸化物からなる蒸着層を有する蒸着フィルム、前記ポリエステル系積層フィルムまたは前記蒸着フィルムを含んでなるラミネート体、前記ポリエステル系積層フィルムまたは前記蒸着フィルムを含んでなる包装体が挙げられる。
本発明のポリエステル系積層フィルムでは、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層が好ましい平均表面粗さを有することから、フィルムの動摩擦係数は十分実用に供される程度に低く、ハンドリング性に優れる。また、同時に酸素、水蒸気などのガスバリア性に優れた蒸着フィルムとすることができる。このため、本発明のポリエステル積層フィルムは、蒸着層を設けたり、ラミネート体や包装体に加工して、ガスバリア性に優れた加工品とすることも容易であり、包装材料用や一般工業用フィルムなどとして好適に用いることができる。
以下に、望ましい実施の形態とともに、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層されており、B層がその全成分100質量%に対して、平均粒径0.1〜5μmの無機粒子および/または有機粒子を0.01〜1質量%含有することを特徴とするフィルムである。以下、本発明のポリエステル系積層フィルムについて説明する。
本発明のポリエステル系積層フィルム(以下、単に本発明のフィルムと略称する場合がある)は、ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層された構成を有する。本発明によれば、このような積層構成とすることにより、優れたバリア性を示しながら、ハンドリング性に優れ、かつコストメリットに優れたフィルムとすることができる。
本発明のフィルムのA層の主たる構成成分であるポリエステル(以下、単にA層のポリエステルと略称する場合がある)としては、ポリグリコール酸以外のポリエステルであれば特に限定されず、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルおよびこれらのブレンド物あるいはコポリマーが挙げられ、本発明では下記に定義されるポリグリコール酸とは区別される。A層のポリエステルが芳香族ポリエステルである場合、得られるフィルムの耐熱性及び経時安定性が向上することで高いバリア性を発現できる。また、A層のポリエステルが脂肪族ポリエステルである場合、生分解性を有するガスバリアフィルムとできるので好ましい。
なお、ここでいうポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)とは、本発明では、A層を構成する全てのポリマー100質量%に対して、その成分(ポリグリコール酸以外のポリエステル)が70質量%以上であると定義される。即ち、A層の主たる構成成分であるポリエステルが、ポリグリコール酸以外の脂肪族ポリエステルであることは、脂肪族ポリエステルが、A層のポリマー全成分100質量%に対して、70質量%以上であることを意味し、芳香族ポリエステルとポリグリコール酸以外の脂肪族ポリエステルとのブレンド物であることは、芳香族ポリエステルおよび該脂肪族ポリエステルの総量が、A層のポリマー全成分100質量%に対して、70質量%以上であることを意味する。なお、本発明のフィルムのA層における主たる構成成分であるポリグリコール酸以外のポリエステルの上限は、A層を構成する全てのポリマー100質量%に対して100質量%以下である。
本発明のフィルムのA層のポリグリコール酸以外のポリエステルである芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステルとしては、酸成分とグリコール成分とをエステル結合させてなる種々のポリエステルを用いることができる。酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸等を用いることができる。一方、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール;ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール等を用いることができる。また、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸なども好ましく用いられる。さらに、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルを共重合してもよい。なお、これらの酸成分、グリコール成分は2種類以上を併用してもよく、2種類以上のポリエステルをブレンドして使用してもよい。
芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、およびこれらにイソフタル酸、セバシン酸、ダイマー酸を共重合したポリエステルを単体、もしくは二種以上ブレンドしたものなどが好適に用いられる。また、生分解性に優れる脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールとコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。また、ポリ−ブチレンサクシネート−テレフタレート、ポリ−ブチレンアジペート−テレフタレートなどの脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルの共重合体も好ましく用いられる。
本発明のフィルムのA層の主たる構成成分であるポリグリコール酸以外のポリエステルの質量平均分子量は、安定製膜性、良好な延伸性、実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万g/molであることが好ましく、より好ましくは10万〜25万g/molである。なお、ここでいう質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリメチルメタクリレート換算法により計算した分子量をいう。
また、耐熱性、樹脂の供給安定性、高い植物度を付与する観点から、本発明のフィルムのA層の主たる構成成分であるポリグリコール酸以外のポリエステルとして特に好適に用いられる脂肪族ポリエステルは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリ乳酸であることが好ましい。ここで、ポリ乳酸は、乳酸以外のほかのコモノマー成分を含有していてもよい。当該コモノマー成分としては、例えば、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。
前述のA層のポリエステルとして好ましく用いられるポリ乳酸としては、樹脂の可用性の観点から、L−乳酸リッチのポリ乳酸(ポリL−乳酸)が好ましく用いられる。ポリL−乳酸としては、該ポリL−乳酸の全乳酸単位100mol%中のL−乳酸単位の含有量(ポリL−乳酸の全乳酸単位100mol%中のL−乳酸単位の含有量を、以後L体量という)が50〜100mol%のものが用いられる。結晶性、樹脂の可用性の観点から、ポリL−乳酸のL体量は、より好ましくは80〜100mol%であり、さらに好ましくは95〜100mol%であり、最も好ましくは97〜100mol%である。一方、D−乳酸リッチのポリ乳酸(ポリD−乳酸)を用いる場合は、該ポリD−乳酸の全乳酸単位100mol%中のD−乳酸単位の含有量(ポリD−乳酸の全乳酸単位100mol%中のD−乳酸単位の含有量を、以後D体量という)が50〜100mol%のものが用いられる。結晶性の観点から、ポリD−乳酸のD体量は、より好ましくは80〜100mol%であり、さらに好ましくは95〜100mol%であり、最も好ましくは97〜100mol%である。
ポリ乳酸の結晶性は、L−乳酸単位、あるいはD−乳酸単位の含有割合に応じて変化する。すなわち、ポリL−乳酸中のD体量が高いほど、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり、非晶性に近づく。一方、ポリL−乳酸中のD体量が低いほど、ポリL−乳酸の結晶性は高くなる。同様に、ポリD−乳酸の結晶性は、L体量に応じて変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL体量が高いほど、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり、非晶性に近づき、逆にポリD−乳酸中のL体量が低ければ、ポリD−乳酸の結晶性は高くなる。なお、結晶性の高いポリ乳酸に結晶性の低いポリ乳酸を配合すると、延伸性の観点から好ましい。
本発明のフィルムのA層の主たる構成成分である、ポリグリコール酸以外のポリエステルとして、ポリ乳酸を用いる場合、当該ポリ乳酸としては、例えば、Nature Works製4032D(D体量=1.4%)、4042D(D体量=4.25%)、4050D(D体量=5.5%)などが挙げられる。これらのなかでも結晶性が高い4032Dが好ましく用いられる。また、A層の延伸性を改良するために、4032DとNature Works製4060D(D体量=12%)などを適宜ブレンドしても構わない。
本発明のフィルムのA層に用いる樹脂には、経済性などの観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムをブレンドして使用してもかまわない。
また、本発明のフィルムのA層には下記で定義されるポリグリコール酸を少量添加しても構わない。つまりA層における主たる構成成分以外の成分として、ポリグリコール酸を使用することができる。ポリグリコール酸を少量A層に含有させることにより、A層とB層の層間接着力が向上する場合がある。A層に含有するポリグリコール酸の量は、A層を構成するポリマー100質量%において0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。A層にポリグリコール酸を少量含有させる方法としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されないが、上記したように本発明のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムをA層の樹脂組成物にブレンドして使用することができる。
また、本発明のフィルムのA層のポリエステルにグリコール酸を共重合させることによりA層とB層の層間接着力が向上する場合があり、好ましいことがある。この場合は、A層のポリエステルのグリコール酸単位の含有量は、製膜性、製造コストの観点から、当該ポリエステルに含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に、30mol%未満であることが好ましく、より好ましくは20mol%未満、さらに好ましくは15mol%未満である。
また、下記に詳述する通り、本発明のフィルムを製造する際には、少なくとも一方向に70℃以下で延伸することが好ましい。70℃以下でフィルムを延伸可能とするために、A層のガラス転移温度(Tg)は、65℃以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、JIS K7121(1999)に記載されている方法にしたがって、示差走査熱量計(DSC)により測定した値であり、20℃/分で昇温した時の中間点ガラス転移温度である。A層のTgが65℃を越えると、少なくとも一方向に70℃以下で延伸すると製膜安定性が悪化する場合がある。また、製膜安定性を保持するために延伸温度を上げると、B層の配向結晶化が著しく進行し、B層が粗面化し、得られるフィルムのバリア性が悪化する場合がある。70℃以下で安定製膜を可能とし、得られるフィルムのブロッキングを防止し、フィルムの機械物性を十分高めるためには、A層のTgは、より好ましくは0〜65℃であり、さらに好ましくは30〜65℃であり、最も好ましくは40〜60℃である。A層のポリエステルとしてポリ乳酸を使用する場合、70℃以下の製膜安定性を保持するためには、A層の構成成分(樹脂組成物)には、ポリ乳酸のTgを下げる働きをする可塑剤などの成分や、非晶性のポリ乳酸を含有せしめることができる。
本発明のフィルムのB層は、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする。ここで、ポリグリコール酸を主たる成分とする層(B層)とは、本発明では、B層を構成するポリマー100質量%に対して、その成分が70質量%以上100質量%以下であるものと定義される。即ち、B層は、下記で定義されるポリグリコール酸を70質量%以上100質量%以下含有することが必要である。B層がポリグリコール酸を主たる構成成分とすることにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上できる。また、A層のポリエステルとして脂肪族ポリエステルを用いる場合には、フィルム全体の生分解性を高めることができる。B層のポリグリコール酸の含量は、ガスバリア性の観点から、好ましくはB層を構成するポリマー100質量%に対して80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
本発明のフィルムのB層の主たる構成成分であるポリグリコール酸(以下、B層の主たる構成成分であるポリグリコール酸を、単にB層のポリグリコール酸と略称する場合がある)は、本発明では、B層のポリグリコール酸に含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に、グリコール酸単位をモノマー単位として70mol%以上100mol%以下含有することを意味する。B層のポリグリコール酸の分子構造をこのように制御することにより、優れたガスバリア性、耐熱性を付与することができる。B層のポリグリコール酸のグリコール酸単位の含有量は、好ましくはB層のポリグリコール酸に含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に80mol%以上、より好ましくは85mol%以上である。
一方、B層のポリグリコール酸としてグリコール酸単位以外に少量の共重合成分を導入することは、ポリグリコール酸の結晶性を制御することにより延伸工程での粗面化を抑制できたり、あるいは成形加工時の押出温度を低下できたり、延伸性を向上できる場合があるので好ましい。B層のポリグリコール酸に共重合可能なコモノマー単位としては、例えば、シュウ酸エチレン、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、βーメチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなど)、トリメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサンなどの環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、共重合させやすく、かつ物性に優れた共重合体が得られやすい点で、ラクチド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートなどの環状化合物;乳酸などのヒドロキシカルボン酸などが好ましく用いられる。特に、A層における主たる構成成分のポリエステルとしてポリ乳酸を用いる場合、B層のポリグリコール酸として、ヒドロキシカルボン酸のなかでも乳酸単位と共重合させたポリグリコール酸を用いることにより、ポリグリコール酸の融点が下がるため押出温度をポリ乳酸の押出温度に近付けることができ、A層との層間接着力を向上できる場合があることから好ましい。
また、ポリグリコール酸中のコモノマー単位の共重合量(コモノマー単位の量)は、B層のポリグリコール酸に含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に1〜30mol%であることが好ましい。共重合量が1mol%未満であると、上記した効果が得られない場合がある。共重合量が30mol%を越えると、ポリグリコール酸の優れたガスバリア性が損なわれる場合がある。共重合量は、より好ましくは3〜20mol%、さらに好ましくは5〜15mol%である。
B層のポリグリコール酸は、グリコール酸の脱水重縮合、グリコール酸アルキルエステルの脱アルコール重縮合、グリコリドの開環重合などにより合成することができる。これらのなかでも、グリコリドを少量の触媒(例えば、有機カルボン酸錫、ハロゲン化錫、ハロゲン化アンチモン等のカチオン触媒)の存在下に、およそ120℃から250℃の温度に加熱して、開環重合する方法によってポリグリコール酸を合成する方法が好ましい。開環重合は、塊状重合法または溶液重合法によることが好ましい。
B層を構成する全成分の溶融粘度は、270℃、100sec−1において1000poise〜10000poiseであることが好ましく、より好ましくは2000poise〜6000poise、さらに好ましくは2500poise〜5500poiseである。270℃、100sec−1におけるB層を構成する全成分の溶融粘度が1000poise未満であると、B層の主たる構成成分であるポリグリコール酸の分子量が低く、分解しやすくなる場合がある。また、B層を構成する全成分の溶融粘度が10000poiseを越えると、押出工程で押出機への負荷や濾圧が高くなる、A層との共押出積層が困難になる場合がある。
さらに、本発明のフィルムのB層は、平均粒径0.1〜5μmの無機粒子および/または有機粒子を、B層の全成分100質量%に対して0.01〜1質量%含有することが重要である。このように粒子を含有せしめることにより、フィルムの透明性を大きく損なうことなくB層の表面を適度に粗らすことができ、フィルム同士を重ね合わせた際の滑り性が向上するので、フィルム製膜工程、あるいは印刷・ラミネート・コーティング・製袋・蒸着などの加工工程においてフィルムを巻き取った際にシワや伸び、フィルム端部のズレなどを生じることなく、巻き取り性に優れる。また、経時でブロッキングが生じにくいため、耐ブロッキング性にも優れる。以上のことから、本発明のフィルムは、ハンドリング性に優れる。さらに、本発明のフィルムに蒸着層を形成して蒸着フィルムとして用いる場合、蒸着フィルムの滑り性に優れることから、蒸着層にスクラッチやピンホール、抜けなどの欠陥が発生しにくい。したがって、本発明のフィルムを用いた蒸着フィルムは、ガスバリア性能に優れる。
この際、B層に添加される無機粒子および/または有機粒子(以下、単に粒子と略称する場合がある)の平均粒径は、小さすぎるとハンドリング性、耐ブロッキング性に劣る。また、大きすぎると蒸着層にピンホールなどの欠陥が発生しやすいため、蒸着フィルムのガスバリア性に劣る傾向にある。B層の粒子の平均粒径は、0.5〜4μm、さらに好ましくは0.5〜3μmである。
また、B層の粒子の含有量が低すぎると、ハンドリング性、耐ブロッキング性に劣る。一方、B層の粒子の含有量が高すぎると、フィルムの透明性が損なわれる;フィルムの巻き取り時に端部がずれ、逆にハンドリング性が低下する;またB層の表面粗さが必要以上に大きくなるため、蒸着フィルムとして用いた場合に粒子により形成される突起周辺の蒸着層が容易にはぎ取られ、ピンホール、抜けが形成され、蒸着フィルムのガスバリア性に劣る傾向にある。B層の粒子の含有量は、より好ましくは0.02〜0.5質量%、さらに好ましくは0.03〜0.4質量%である。
ここで、B層に添加される無機粒子としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪酸アルミニウム、水酸化バリウム、カオリン、カオリナイト、タルク、クレイ、珪藻土、モンモリロナイト、酸化チタンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
また、B層に添加される有機粒子としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、架橋剤を用いて高分子化合物を架橋した粒子が挙げられる。架橋高分子粒子としては、例えば、ポリメトキシシラン系化合物、ポリスチレン系化合物、アクリル系化合物、ポリウレタン系化合物、ポリエステル系化合物、フッ素系化合物の架橋粒子、およびこれらの混合物が挙げられる。
本発明のフィルムのB層の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましい。B層の厚みが0.1μm未満であると、B層の粒子がフィルムの製膜工程、加工工程において容易に脱落し、工程を汚染することがある。B層の厚みが5μmを越えると、B層の表面に形成される突起が不均一となり、粗大突起周辺に起因して蒸着層にピンホールや抜けが発生するため、蒸着フィルムのガスバリア性に劣る場合がある。B層の厚みは、より好ましくは0.5〜4μm、さらに好ましくは0.5〜3μm、最も好ましくは0.5〜2μmである。
また、粒子による突起形成を均一化するために、B層の厚み(t)がB層の粒子の平均粒径(d)に占める割合(t/d)は、10〜100%であることが好ましい。t/dが10%未満であると、B層の粒子がフィルムの製膜工程、加工工程において容易に脱落し、工程を汚染する場合がある。t/dが100%を越えると、上記した突起形成の均一化効果が小さくなる場合がある。t/dは、より好ましくは15〜90%、さらに好ましくは20〜80%である。
本発明のフィルムにおいて、A層とB層を直接積層する場合、A層および/またはB層は、層間接着改良剤を含有することが好ましい。当該層間接着改良剤を含有することにより、フィルム製膜工程、あるいは印刷・ラミネート・コーティング・製袋・蒸着などの加工工程において、A層とB層の間で剥離が生じにくく、最終製品へと問題なく加工でき、加工性に優れる。また、最終製品に加工してもA層とB層の間で層間剥離しにくく、加工後の実用性にも優れる。元来、層間接着力を付与するためには、A層とB層の間に接着タイ層を用いることが一般的である。しかしながら、接着タイ層を用いる手法ではA層、B層の他に当該タイ層用に押出機、共押出装置が必要であり、かつフローマークなどの積層ムラのないフィルムとするためには、(特に共押出積層法としてフィードブロック法を用いる場合)これら少なくとも3種の層の溶融粘度を精度良く制御する必要があった。これに対して、A層とB層を直接積層し、A層および/またはB層に層間接着改良剤を含有せしめれば、付加的に押出機、共押出装置を導入する必要が無く、上記のような接着タイ層の積層ムラを懸念する必要もなく、経済的に優れており、共押出時のハンドリング性に優れる。ここで、A層の主たる構成成分であるポリエステルがポリ乳酸である場合は、A層のみに層間接着改良剤を含有せしめた方が、層間接着力が高い場合がある。
当該層間接着改良剤は、未添加の場合に比較して、当該ポリエステル系積層フィルムのA層とB層の間の層間接着力が高められるものであれば高分子量であっても、低分子量であっても特に限定されないが、フィルムへの成形性や低分子量物のフィルム表面への経時ブリードアウト防止のためには、ポリマータイプであることが好ましい。特に、層間接着力を改良するためには、層間接着改良剤がコポリマーであり、該コポリマーのコモノマー成分がエチレン成分及び/又はアクリル酸系誘導体成分を含有することが好ましい。層間接着改良剤のコモノマー成分がエチレン成分又はアクリル酸系誘導体成分を含む場合には、他のコモノマー成分は特に限定されず、種々のモノマー成分を使用することができる。以下、層間接着改良剤が、コモノマー成分としてエチレン成分及び/又はアクリル酸系誘導体成分を含有するコポリマーである態様について説明する。
層間接着改良剤がコポリマーであり、コモノマー成分としてアクリル酸誘導体成分を含む場合には、下記で示されるアクリル酸系誘導体成分をコモノマー成分として含有するコポリマーであることが好ましい。
CH2=CR1COOR2
ここで、R1は水素あるいは炭素数1〜8のアルキル基であり;R2は、水素あるいは炭素数1〜8のアルキル基である。より好ましくは、R2は溶融成形時のハンドリング性(例えば、押出機のの腐食防止)の観点から、水素ではないこと、つまり炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。また、好ましいアクリル酸系誘導体成分としては、例えば、アクリル酸(R1、R2が水素の場合)、メタクリル酸(R1がメチル基、R2が水素の場合)などの誘導体成分が挙げられる。当該誘導体は、溶融押出時のハンドリング性の観点から、R2がメチル基、エチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、グリシジル基などであるエステル化物であることが好ましい。さらに、溶融成形性、米国FDAをはじめとする機関から提供される食品衛生法の観点から、層間接着改良剤がコポリマーである場合には、コモノマー成分としてアクリル酸誘導体成分だけでなく、コモノマー成分としてオレフィン成分、特にエチレン成分が共重合されていることが好ましい。さらに、当該エチレン成分、アクリル酸系誘導体成分の他に、他のグリシジル基含有成分および/または無水マレイン酸に代表される酸無水物誘導体成分を共重合成分として含有することにより、層間密着力が更に改良できる場合があるので、好ましい。
ここで、R1は水素あるいは炭素数1〜8のアルキル基であり;R2は、水素あるいは炭素数1〜8のアルキル基である。より好ましくは、R2は溶融成形時のハンドリング性(例えば、押出機のの腐食防止)の観点から、水素ではないこと、つまり炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。また、好ましいアクリル酸系誘導体成分としては、例えば、アクリル酸(R1、R2が水素の場合)、メタクリル酸(R1がメチル基、R2が水素の場合)などの誘導体成分が挙げられる。当該誘導体は、溶融押出時のハンドリング性の観点から、R2がメチル基、エチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、グリシジル基などであるエステル化物であることが好ましい。さらに、溶融成形性、米国FDAをはじめとする機関から提供される食品衛生法の観点から、層間接着改良剤がコポリマーである場合には、コモノマー成分としてアクリル酸誘導体成分だけでなく、コモノマー成分としてオレフィン成分、特にエチレン成分が共重合されていることが好ましい。さらに、当該エチレン成分、アクリル酸系誘導体成分の他に、他のグリシジル基含有成分および/または無水マレイン酸に代表される酸無水物誘導体成分を共重合成分として含有することにより、層間密着力が更に改良できる場合があるので、好ましい。
当該層間接着改良剤としては、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)製“エルバロイ”、“エルバロイAC”、“ハイミラン”、“ニュクレル”、“HPR”;Arkema製“Lotader MAH”、“Lotader GMA”、“BONDINE”;住友化学(株)製“BONDFAST”;日本ポリエチレン(株)製“REXPEARL ET”、E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax strong”などが挙げられる。これらのなかでも、FDAに適合しており(CFR 175. 105)、層間接着改良効果が高く、延伸加工性も同時に改良されることから、Biomax strong 120が最も好ましい。
A層および/またはB層の層間接着改良剤の含有量は、各層の全成分100質量%に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。層間接着改良剤の含量が0.1質量%未満であると、十分な層間接着力を発現できない場合がある。一方、当該層間接着改良剤の含量が30質量%を超えると、層間接着力の改良効果が飽和する傾向にあり、特にB層に層間接着改良剤を添加せしめる場合、B層の表面粗さが大きくなり、バリア性が悪化する場合がある。当該層間接着改良剤の含量は、各層の全成分100質量%に対して、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは2〜10質量%である。
本発明のフィルムのA層、B層は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、例えば、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、防湿剤、撥水剤、防水剤、離型剤、カップリング剤、鎖延長剤、末端封鎖剤、酸素吸収剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、結晶核剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル低分子量体・ワックスなどの有機滑剤、ポリシロキサンなどの消泡剤、顔料・染料などの着色剤を含有しても構わない。添加剤は、本発明のフィルムのA層および/またはB層に、それぞれの層の全成分100質量%に対して、0〜30質量%含有せしめることができる。
例えばB層には、B層のポリグリコール酸の溶融安定性を向上させるため、熱安定剤として、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、重金属不活性化剤、炭酸金属塩などを含有せしめることができる。これらの熱安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のフィルムは、B層を少なくとも片面の表面層とする。B層を最表層とすることにより、下記に詳述する通り、B層上に蒸着することが可能となり、B層の分解を抑制するとともに、良質な蒸着膜を形成するとともに、ガスバリア性に優れた蒸着フィルムとすることができる。本発明のフィルムの層構成は、A層の少なくとも片面の表面層がB層であれば特に限定されず、例えば、A層/B層(“/”は積層界面を示す)、B層/A層/B層の構成などが挙げられ、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜選択すればよい。
さらに、層間接着力向上、添加剤飛散・ブリードアウト抑制、コーティング膜・蒸着膜易接着、易印刷性付与、ヒートシール性付与、プリントラミネート性付与、光沢付与、滑り性付与、離型性付与、イージーピール性付与、表面硬度向上、平滑性付与、表面粗度向上、手切れ性付与、表面親水性付与、光学特性制御、表面耐熱性付与、隠蔽性向上など、種々の目的に応じて、適宜その他の樹脂層を1層以上積層してもよい。例えば、A層とB層の間に接着タイ層C層を用い、B層/C層/A層、B層/C層/A層/C層/B層としたり、さらにヒートシール層D層を用い、B層/C層/A層/D層とするなど、対称、非対称のフィルム構成とすることができる。
ここで、その他の樹脂層としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、特に限定されない。A層の主たる構成成分であるポリグリコール酸以外のポリエステルとして、脂肪族ポリエステルを用いる場合、屑フィルムの回収性などの観点から上記で定義された脂肪族ポリエステルあるいはその共重合体をその他の樹脂層の主たる構成成分として用いることが好ましい。
例えば、A層の主たる構成成分であるポリグリコール酸以外のポリエステルとしてポリ乳酸を用いる場合、B層/A層/C層のフィルム構成として、C層にD体量が高いポリL−乳酸、L体量が高いポリD−乳酸などの所謂非晶性ポリ乳酸を用いることが好ましい。ヒートシール性を付与するためにC層を積層する場合にC層に用いるポリL−乳酸のD体量は8〜20mol%が好ましく、ポリD−乳酸のL体量は8〜20mol%が好ましい。D体量が高く、本発明のフィルムにヒートシール性を付与するために好ましく用いられるポリL−乳酸としては、例えば、Nature Works製4060D(D体量=12%)が挙げられる。
また、A層(A層が最表面である場合)、上記したその他の樹脂層には、ハンドリング性、耐ブロッキング性を向上するために、上記した態様の無機および/または有機粒子を添加せしめることができる。A層に粒子を添加する場合は、その平均粒径は上記したB層の粒子に関する好ましい態様と同様であることが好ましい。また、その添加量は0.01〜0.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.08質量%である。一方、その他の樹脂層をフィルムのもう一方の表面層として積層する場合は、粒子の平均粒径および添加量、当該樹脂層の厚みは、上記したB層の好ましい態様と同様であることが好ましい。
本発明のフィルムの厚みは、特に制限はないが、包装材料に加工した際のハンドリング性、蒸着加工適性の観点より、5〜100μmである事が好ましく、より好ましくは8〜50μm、さらに好ましくは10〜25μm、最も好ましくは10〜20μmである。また、本発明のフィルムにおいて、B層がフィルム厚みに占める比率は、フィルム全体の厚みを1としたとき、0.01〜0.3であることが好ましい。B層の厚み(ここでいうB層の厚みは、B層が複数層存在する場合は、B層の合計厚みを意味する。)の比率が0.01未満であると、フィルムのガスバリア性が悪い場合があり、0.3を越えるとフィルムの延伸性が悪化する場合がある。B層の厚みの比率は、より好ましくは0.02〜0.25、さらに好ましくは0.025〜0.2である。
本発明のフィルムは、二軸配向していることが好ましい。フィルムが二軸配向していることにより、良好なガスバリア性を発現できる。二軸配向の有無は、下記に別途詳述するX線回折を用いた手法で判別すればよい。本発明のフィルムを二軸配向せしめるためには、下記に別途詳述する公知の二軸延伸方法を用いることが好ましい。
本発明のフィルムは、縦方向屈折率(Nx)、横方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)を測定し、(Nx+Ny)/2−Nzで求められる面配向係数(fn;以下、フィルムのfnと略称する場合がある)が0.01〜0.1であることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.08であり、さらに好ましくは0.03〜0.07である。fnが0.01未満であると、面配向が低いため、ガスバリア性が悪化する場合がある。fnが0.1を越えるとフィルムが劈開しやすくなる場合がある。本発明のフィルムのfnを0.01〜0.1の範囲にするためには、当該フィルムを二軸延伸して製造する際に、延伸工程の延伸温度、延伸倍率、熱固定工程での熱処理温度などにより配向を制御する方法が好ましく用いられる。また、下記の通り本発明のフィルムの少なくとも片面に蒸着層を設けて蒸着フィルムとする場合は、蒸着後であっても、蒸着層を酸で除去し、面配向係数を確認することができる。
本発明のフィルムのB層上に蒸着層を設ける場合、B層の中心線平均粗さ(Ra)が20〜60nmであることが重要である。B層のRaが20nm未満であると、フィルムの滑り性に劣り、製膜中の巻き取り工程や印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、巻き取り・巻き出し時にブロッキングや静電気による帯電を誘発しやすくなり、ハンドリング性に劣るとともにガスバリア性の著しい悪化を招く場合がある。一方、B層のRaが60nmを越えると、B層上に均一な蒸着層が形成されなかったり、蒸着膜にピンホールが発生するため、ガスバリア性が著しく悪化することが多い。B層のRaは、より好ましくは25〜50nm、さらに好ましくは25〜40nmである。B層のRaは、本発明のフィルムを二軸延伸して製造する際に、B層の粒子の平均粒径や添加量およびその厚み、延伸工程の延伸温度、延伸倍率、熱固定工程の熱固定温度などにより制御できる。
本発明のフィルムの縦方向、横方向のヤング率は、それぞれ2.5GPa以上であることが好ましい。ヤング率が2.5GPa未満であると、例えば本発明のフィルムを蒸着して蒸着フィルムに加工する際、張力によりフィルムが伸びたり、蒸着時の熱によりフィルムの構造変化が誘発され、ガスバリア性が悪化する場合がある。また、蒸着後もその後の加工工程などで加工張力によりフィルムが伸び、蒸着膜にクラックが生じるため、ガスバリア性が悪化する場合がある。本発明のフィルムの縦方向、横方向のヤング率は、それぞれ、より好ましくは3〜8GPa、さらに好ましくは4〜8GPaである。本発明のフィルムの縦方向、横方向のヤング率を2.5GPa以上にするためには、本発明のフィルムを二軸延伸法により製造し、その延伸工程の延伸温度、倍率、熱固定工程での熱固定温度などにより面配向を制御する方法が好ましく用いられる。
本発明のフィルムの120℃で15分間熱処理した際の縦方向、横方向の収縮率は、それぞれ10%以下であることが好ましい。熱収縮率が10%を越えると、印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、加工の際に掛かる熱でフィルムが大きく収縮し、ハンドリング性に劣る場合がある。また、収縮によるフィルムの構造変化によりガスバリア性が著しく悪化する場合がある。縦方向、横方向の熱収縮率は、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。熱収縮率を10%以下にするためには、例えば、本発明のフィルムの製造において、熱固定工程の熱固定温度、熱固定時間を制御することが好ましい。なお、本発明のフィルムの熱収縮率は、特に下限は設けないが、安定に製造できる範囲は、−2%程度と推察される(伸びることも許容される)。さらに、縦方向、横方向ともに0であることが最も好ましい。
本発明のフィルムの動摩擦係数は、0.8以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.8を越えると、フィルムの製膜工程、あるいは印刷・ラミネート・コーティング・製袋・蒸着などの加工工程において、フィルムを巻き取る際にシワや伸びなどが生じ、巻き取り性に劣る場合がある。また、耐ブロッキング性に劣る場合がある。本発明のフィルムの動摩擦係数は、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下である。動摩擦係数を0.8以下とするためには、例えば、B層の粒子の平均粒径や添加量およびその厚みなどにより制御することが好ましい。なお、本発明のフィルムの動摩擦係数には、特に下限は設けられないが、0.1程度が実現可能な下限と推察される。
本発明のフィルムは、上記の通り二軸配向していることが好ましい。本発明のフィルムを二軸配向せしめるためには、特に限定されないが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの公知の二軸延伸法、あるいはそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
以下に、本発明のフィルムの製造方法について述べる。
押出機(a)から、ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする、A層に用いる樹脂組成物を溶融押出し、フィルターによる異物除去、ギアポンプによる流量適性化を行った後、内部に複数のマニホールドを有するマルチマニホールド口金、または口金上部に設置したフィードブロックに供給する。また、押出機(b)から、ポリグリコール酸を主たる構成成分とし、特定の無機および/または有機粒子を所定の量含有する、B層に用いる樹脂組成物を溶融押出し、押出機(a)とは別の流路で、フィルターによる異物除去、ギアポンプによる流量適正化を行った後、上記のマルチマニホールド口金またはフィードブロックに供給する。A層、B層以外のその他の樹脂層を積層する場合には、別の押出機(複数であってもよい)から、目的に応じた樹脂組成物を溶融押出し、同様にして別の流路からマルチマニホールド口金またはフィードブロックに供給する。なお、上記マルチマニホールド口金またはフィードブロックは、必要なフィルム層構成に応じて、必要な層数分だけ流路が設けられている必要がある。各押出機から押し出された溶融樹脂は、上記の通りマルチマニホールド口金またはフィードブロックにて合流せしめ、口金よりシート状に共押出される。当該多層シートは、エアナイフまたは静電印加などの方式により、キャスティングドラムに密着させ、冷却固化せしめて未延伸シートとする。
ここで、ゲルや熱劣化物などの異物による表面荒れを防ぐため、製膜時のフィルターとして平均目開き5〜90μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターを使用することが好ましい。また上記ステンレス繊維を焼結圧縮したフィルターの後に、平均目開き10〜70μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルターをこの順で連続濾過する、あるいは一つのカプセル中に上記2種類のフィルターを併せ持つ複合フィルターを使用することは、ゲルや熱劣化物を効率良く取り除くことができるため好ましく、製膜エッジや巻き芯部分の再利用が可能となるコストメリットがあり望ましい。
次いで、本発明のフィルムを逐次二軸延伸法で製造する場合、該未延伸シートをロールに通して予熱し、引き続き周速差を設けたロール間に通し、縦方向に延伸し、ただちに室温に冷却、引き続き該縦一軸延伸フィルムをテンターに導いて横延伸し、次いで横方向に弛緩を与えつつ、熱固定して巻取る。あるいは、縦方向、横方向を同時に延伸する方法により延伸してもよく、縦方向の延伸、横方向の延伸を複数回数組み合わせて行う方法などにより延伸してもよく、あるいは縦−横延伸後に縦方向および/または横方向に一回以上再延伸を行ってもよい。
また、逐次二軸延伸法を用いる場合は、一軸延伸後のポリグリコール酸の結晶性が増大し、B層が粗面化する恐れがある。これに対して、本発明のフィルムをテンター式同時二軸延伸法で製造する場合、未延伸シートを一挙に縦・横方向に延伸できるため、粗面化しにくく、表面平滑性の観点から好ましい。また、一挙に縦・横方向に延伸できるため、延伸性が向上し、高倍率延伸が可能になり、高配向化、高ヤング率化が可能となる場合があるので好ましい。
本発明のフィルムの延伸条件は、B層のポリグリコール酸の結晶性と配向を調整し、製膜性を向上させ、表面を平滑化させるために、少なくとも一方向に70℃以下で延伸することが好ましく、具体的には、縦方向の延伸温度を40〜70℃とすることが好ましい。縦方向の延伸温度は、より好ましくは40〜65℃であり、さらに好ましくは50℃〜60℃である。縦延伸倍率は2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5倍であり、さらに好ましくは3.0〜4.5倍である。横方向の延伸温度も70℃以下であることが好ましく、具体的には40〜70℃とすることが好ましい。横方向の延伸温度は、より好ましくは40〜65℃であり、さらに好ましくは45〜55℃である。横延伸倍率は2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5倍であり、さらに好ましくは3.0〜4.5倍である。逐次二軸延伸方式の場合、縦延伸、横延伸いずれの延伸温度も70℃を越えると、横延伸工程で予熱の段階からポリグリコール酸の結晶化が進みやすく、延伸・熱固定後にB層表面が必要以上に粗れやすくなったり、B層が不均一に延伸される(当該業者は、当該欠点のことを“エダ”と称することがある)場合がある。また、縦延伸倍率と横延伸倍率の積である面積倍率が4.0倍以下であると、熱固定工程でのポリグリコール酸の熱結晶化が進み、同様に粗面化する傾向にある。
延伸後は、好ましくは120℃以上、A層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点以下の温度、より好ましくは130℃以上、A層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点よりも5℃以上低い温度、さらに好ましくは140℃以上、A層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点よりも10℃以上低い温度で弛緩熱処理し、冷却することが好ましい。適正な延伸後、このような条件下で弛緩熱処理することにより、B層の表面平滑性を保つとともに、低熱収縮率と、高弾性率、一定の面配向係数の範囲を満たし、カールを抑制した平面性の良好なフィルムを得ることができる。弛緩熱処理温度をA層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点よりも高い温度とすると、当該融点を有する層が融解、無配向化し、製膜性が著しく損なわれる場合がある。また、弛緩熱処理温度をB層のポリグリコール酸の融点以上とした場合、ポリグリコール酸が融解し、当該弛緩熱処理後の降温結晶化によりB層が再び結晶化するため、B層が粗面化する場合がある。一方、弛緩熱処理温度を120℃未満とすると、得られるフィルムの耐熱性が大幅に低下したり、印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、加工の際に掛かる熱でフィルムが大きく収縮し、ハンドリング性に劣る場合がある。
本発明のフィルムの少なくとも片面には、蒸着により蒸着層を設けて蒸着フィルムとして用いることが好ましい。本発明のフィルムの少なくとも片面に蒸着層を設けることにより、ガスバリア性を著しく向上できる。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、B層上に蒸着層が形成されることが好ましい。そのような構成としては、例えば、蒸着層/B層/A層などが挙げられる。例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて蒸着層/B層/A層のA層側に、B層やその他の樹脂層を積層することもできる。B層上に蒸着層を形成することにより、B層の分解を著しく抑制することができる。また、フィルムの両表層に蒸着層を形成することもできる。
当該蒸着層に用いる金属または無機酸化物としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化セリウム、酸化カルシウム、ダイアモンド状炭素膜、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。生産性を保持あるいは向上させながら、ガスバリア性をも向上させるために、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素がより好ましく用いられる。アルミニウムを用いた蒸着層は、経済性、ガスバリア性能に優れていることから好ましく、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を用いた蒸着層は、透明性に優れ、コストの点からも好ましい。
本発明のフィルムを蒸着フィルムとして用いる場合、蒸着層の形成方法としては、真空プロセスが用いられる。真空プロセスとしては、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法などが好ましく用いられる。例えば、無機酸化物の蒸着層を設けるためには、生産性、コストの点から反応性蒸着法がより好ましく用いられる。
真空プロセスでは、ガスバリア性の一層の向上のためには、蒸着前フィルムの表面をプラズマ処理やコロナ処理することが好ましい。コロナ処理を施す際の処理強度は5〜50W・分/m2が好ましく、より好ましくは10〜45W・分/m2である。また、金属または無機酸化物からなる蒸着層を設ける前に、プラズマ放電下において核付金属蒸着層を設けることは、蒸着層の密着性向上ひいてはそれに伴うガスバリア性向上の観点から好ましい。この場合、プラズマ放電を酸素および/または窒素ガス雰囲気で行うことが好ましく、核付金属として銅を用いることが好ましい。
反応性蒸着法によって酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下でフィルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が好ましく採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとしては酸素が用いられるが、酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたガスでもよい。更にオゾンを加えたり、イオンアシストなどの反応を促進する手法を併用してよい。酸化珪素の蒸着層を反応性蒸着法によって形成させるには、Si金属、SiOやSiO2を電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下フィルム上に酸化珪素を堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成する方法は、上記の方法が用いられる。
また、蒸着層の厚さは特に限定されないが、生産性、ハンドリング性、外観から5〜100nmが好適であり、さらに好ましくは5〜60nmである。蒸着層の厚さが5nm未満であると、蒸着層欠陥が発生しやすく、ガスバリア性が著しく悪化する場合がある。蒸着層の厚さが100nmより厚くなると、蒸着時のコストが高くなったり、蒸着層の着色が顕著になり、外観的に劣る場合がある。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該蒸着フィルムの水蒸気透過度は、1.5g/m2/day以下であることが好ましい。蒸着フィルムの水蒸気透過度が1.5g/m2/dayを越えると、水蒸気バリア性に劣り、当該蒸着フィルムを包装材料として用いて包装体に加工した際、内容物の鮮度保持性に劣る場合がある。蒸着フィルムの水蒸気透過度は、より優れた水蒸気バリア性が求められる用途には、より好ましくは1g/m2/day以下であり、さらに好ましくは0.5g/m2/day以下、最も好ましくは0.3g/m2/day以下である。なお、水蒸気バリア性は良好であるほど好ましく、特に下限は設けられないが、0.01g/m2/day程度が実現可能な下限と推察される。蒸着フィルムの水蒸気透過度は、蒸着層が形成される層の平均表面粗さ、(B層上に蒸着層を形成する場合)B層の積層厚み、フィルムのfn、蒸着層の金属または無機酸化物の種類、蒸着層の厚さ、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチなど)量などにより制御できる。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該蒸着フィルムの酸素透過度は、2cc/m2/day/atm以下であることが好ましい。蒸着フィルムの酸素透過度が2cc/m2/day/atmを越えると、酸素バリア性に劣り、当該蒸着フィルムを包装材料として用いて包装体に加工した際、内容物の鮮度保持性に劣る場合がある。蒸着フィルムの酸素透過度は、より優れた酸素バリア性が求められる用途には、より好ましくは1cc/m2/day/atm以下であり、さらに好ましくは0.5cc/m2/day/atm以下、最も好ましくは0.2cc/m2/day/atm以下である。なお、酸素バリア性は良好であるほど好ましく、特に下限は設けられないが、0.01cc/m2/day/atm程度が実現可能な下限と推察される。蒸着フィルムの酸素透過度は、蒸着層が形成される層の平均表面粗さ、(B層上に蒸着層を形成する場合)B層の積層厚み、フィルムのfn、蒸着層の金属または無機酸化物の種類、蒸着層の厚さ、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチなど)量などにより制御できる。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該蒸着フィルムの蒸着層密着力は、25g/15mm以上であることが好ましい。蒸着層接着力が25g/15mm未満であると、本発明のフィルムのA層−B層間での剥離よりも蒸着層−本発明のフィルム間の密着力が低い傾向にあり、本発明のフィルムを加工する際の加工性、ハンドリング性に劣っていたり、加工後の包装体の実用性に劣る場合がある。蒸着層密着力は、より好ましくは30g/15mm以上、さらに好ましくは50g/15mm以上、最も好ましくは80g/15mm以上である。蒸着層密着力は、高いほど好ましく、特に上限は設けられないが、1000g/15mm程度が実現可能な上限と推察される。蒸着フィルムの蒸着層密着力は、蒸着層が形成される層の結晶性、蒸着層が形成される層の平均表面粗さ、(B層上に蒸着層を形成する場合)B層の積層厚み、フィルムのfn、蒸着層の金属または無機酸化物の種類、蒸着層の厚さなどにより制御できる。
本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、包装材料として各種包装体に好ましく用いられる。当該包装体としては、特にこれらに限定されるわけではないが、縦ピロー包装体、横ピロー包装体、三方シール包装体、四方シール包装体、真空包装体、スタンドパウチ、上包み包装体などが挙げられる。
これら包装体では、本発明のフィルムの少なくとも片面にヒートシール性が要求される。このためには、本発明のフィルムにヒートシール層(C層)を形成したフィルム構成とし(例えば、B層/A層/C層)、これに適宜蒸着層を形成させ(例えば、蒸着層/B層/A層/C層)、C層をヒートシール層として用いることができる。また、ヒートシール力を更に高めるためには、ポリプロピレン単体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いたポリエチレンもしくはポリプロピレンもしくはエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、公知の非晶ポリエステル、アクリル系樹脂などに代表されるヒートシール性樹脂を、本発明のフィルムの少なくとも片面に形成することができる。当該ヒートシール性樹脂は、押出ラミネート法やウェットコーティング法により直接本発明のフィルム上に形成することができる(ラミネート体構成例:本発明のフィルム/ヒートシール性樹脂層)。また、当該ヒートシール性樹脂からなるフィルムを、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系接着剤などに代表される公知の接着剤からなる接着層を介して本発明のフィルムにドライラミネートしたり、ポリエチレン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂からなる接着層を介して本発明のフィルムに押出ラミネート(ポリサンドラミネート)する方法を用いることもできる(ラミネート体構成例:本発明のフィルム/接着層/ヒートシール性樹脂層)。
さらに、本発明のフィルムには、目的に応じて適宜上記した以外の他のフィルムをラミネートしてラミネート体とすることができ、該ラミネート体を用いて包装体に加工できる。例えば、少なくとも片面に1層以上の印刷層を形成した印刷フィルムを、上記に例示した接着層を用い、上記に例示したラミネート方法で本発明のフィルムにラミネートすることができる(例えば、印刷フィルム/接着層/本発明のフィルム/接着層/ヒートシール樹脂層)。印刷面は、目的に応じて外面、内面にするか選択すればよい。また、本発明のフィルムのガスバリア性能をさらに高めるために、アルミ箔をラミネートしたり、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)などに代表されるガスバリア性樹脂を上記に例示したラミネート方法でラミネートすることもできる。ここでラミネート体とは、本発明のフィルムの少なくとも一方の層に、上述したヒートシール性樹脂、アルミ箔、エチレン・ビニルアルコール共重合体、その他のフィルム等のラミネート材をラミネートして得られるものを意味する。
また、ラミネート前の本発明のフィルムのガスバリア性を更に向上するために、コート剤をインラインおよび/またはオフラインで本発明のフィルムに塗布してもよい。当該コート剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、EVOH、アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、およびポリエステルウレタンなどから選ばれる少なくとも1種の樹脂を水、有機溶媒あるいはそれらの混合溶媒中に溶解あるいはエマルジョン化させたものが好ましく用いられる。本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該コート剤は蒸着前にアンカーコート剤としてフィルム表面に塗布してもよいし、蒸着後にオーバーコート剤として蒸着層上に塗布してもよいし、その両方を行ってもよい。いずれの場合もコート剤としてガスバリア性の高い樹脂を用いることにより、本発明の蒸着フィルムのガスバリア性を高められる。また、アンカーコート層を形成することにより、アンカーコート層とその上に形成される蒸着層との密着性を改良することによりガスバリア性を向上できる場合がある。オーバーコート層を形成することにより、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチなど)を補完することによりガスバリア性を向上できる場合がある。
本発明のフィルムのA層がポリ乳酸に代表される生分解性を有する脂肪族ポリエステルである場合、上記したヒートシール層、接着層、印刷フィルムに代表される他のフィルムなどのラミネート材にも生分解性を有する材料を用いることにより、得られるラミネート体、包装体に生分解性を付与することができる。また、これら材料の植物度が高いほど、ラミネート体、包装体の植物度が向上するので好ましい。
このようにして得られたラミネート体は、縦型あるいは横型の製袋充填機、真空包装機、角折包装機など公知の加工機により製袋され、内容物を充填されることにより、上記に例示した包装体へと加工される。この際、充填される内容物としては、例えば、スナック、キャンディ、チョコレート、クッキー、チーズ、珍味、生肉、魚の切り身などの水産物、青果物、冷菓、和菓子、洋菓子などの菓子類;おにぎり、寿司、てんぷら、ハンバーグ、麺などの食品類;小麦粉、砂糖、醤油、みそ、マヨネーズ、ケチャップなどの調味料;石鹸、スポンジ、シャンプー、リンス、ボディソープなどのバス用品;液体洗剤;コーヒー豆;氷塊;化学薬品、農薬;ビニールテープ;金属あるいはプラスチックの各種部品;工業製品;本などが挙げられるが、特に限定されない。
本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、ガスバリア性に優れるため、これらを用いたラミネート体、包装体も、極めて優れたガスバリア性を発現しうる。また、本発明のフィルムあるいは蒸着フィルムは、ラミネート体、包装体へと加工する加工工程において、ハンドリング性にも優れる。以上のことから、本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、包装用、工業用などに好ましく用いることができる。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明のフィルムについて説明する。
[測定及び評価方法]
本発明で用いた特性の評価方法は、下記の通りである。
1.B層の粒子の平均粒径
本発明のフィルムの横方向のセンター部からサンプルを切り出した。エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトーム法を用い、サンプル片の縦方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。このフィルム断面の薄膜切片を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率1万倍でフィルム断面写真を100視野撮影した。画像解析により、視野中に確認された全ての粒子の面積を測定した。それらのうち、面積が小さい全体の10%のデータを削除し、平均値を算出した。得られた面積の平均値を円換算して算出した粒子の平均直径を当該粒子の平均粒径(μm)とした。
2.各層の厚み
本発明のフィルムの横方向のセンター部からサンプルを切り出した。エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトーム法を用い、サンプル片の縦方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。このフィルム断面の薄膜切片を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率2万倍でフィルム断面写真を撮影し、B層の厚みを測定した。観察箇所を10点変えて同じ測定を行い、得られた値の平均値をB層の厚み(μm)とした。なお、他の樹脂層として非晶ポリ乳酸を用いた場合は、本発明のフィルムの横方向のセンター部について、トルエンを用いて非晶ポリ乳酸を拭き取る前後の厚さの差を測定した。縦方向および横方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、それらの平均を算出することにより厚みを測定した(単位:μm)。
3.質量平均分子量(MW)
ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、40℃、1mL/分で、カラム(HFIP−LG+HFIP−806M×2本:SHODEX)を通し、分子量 82.7万、10.1万、3.4万、1.0万、0.2万の分子量 既知のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)標準物質の示差屈折率検出による溶出時間から求めた検量線をあらかじめ作成し、その溶出時間から、質量平均分子量を計算した。
[測定及び評価方法]
本発明で用いた特性の評価方法は、下記の通りである。
1.B層の粒子の平均粒径
本発明のフィルムの横方向のセンター部からサンプルを切り出した。エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトーム法を用い、サンプル片の縦方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。このフィルム断面の薄膜切片を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率1万倍でフィルム断面写真を100視野撮影した。画像解析により、視野中に確認された全ての粒子の面積を測定した。それらのうち、面積が小さい全体の10%のデータを削除し、平均値を算出した。得られた面積の平均値を円換算して算出した粒子の平均直径を当該粒子の平均粒径(μm)とした。
2.各層の厚み
本発明のフィルムの横方向のセンター部からサンプルを切り出した。エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトーム法を用い、サンプル片の縦方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。このフィルム断面の薄膜切片を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率2万倍でフィルム断面写真を撮影し、B層の厚みを測定した。観察箇所を10点変えて同じ測定を行い、得られた値の平均値をB層の厚み(μm)とした。なお、他の樹脂層として非晶ポリ乳酸を用いた場合は、本発明のフィルムの横方向のセンター部について、トルエンを用いて非晶ポリ乳酸を拭き取る前後の厚さの差を測定した。縦方向および横方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、それらの平均を算出することにより厚みを測定した(単位:μm)。
3.質量平均分子量(MW)
ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、40℃、1mL/分で、カラム(HFIP−LG+HFIP−806M×2本:SHODEX)を通し、分子量 82.7万、10.1万、3.4万、1.0万、0.2万の分子量 既知のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)標準物質の示差屈折率検出による溶出時間から求めた検量線をあらかじめ作成し、その溶出時間から、質量平均分子量を計算した。
ただし、ポリグリコール酸は、昭和電工(株)製「Shodex−104」を用いて、5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、40℃、0.6mL/分で、カラム(HFIP−606M、2本およびプレカラム)を通し、異なる7種の分子量のPMMA標準物質の示差屈折率検出による溶出時間から求めた検量線をあらかじめ作成し、その溶出時間から、質量平均分子量を計算した。
4.共重合成分量
日本電子製JNM−30AL400を用いて、溶液プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)によりスペクトルを測定し、各ピークの積分強度より求められる組成比から質量%の形で算出した。
4.共重合成分量
日本電子製JNM−30AL400を用いて、溶液プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)によりスペクトルを測定し、各ピークの積分強度より求められる組成比から質量%の形で算出した。
測定条件は溶媒を重水素化クロロホルムとして室温にて溶解、試料濃度20mg/mLとし、パルス幅を11μs/45°、パルス線繰り返し時間を9秒、積算回数を256回とし、23℃で測定した。
ただし、ポリグリコール酸は、Bruker製AVANCE400を用いて、溶液プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)によりスペクトルを測定し、各ピークの積分強度より求められる組成比から質量%の形で算出した。
測定条件は溶媒をCDCl3:HFIP=1:1として室温にて溶解、試料濃度20mg/mLとし、パルス幅を4.4μs/45°、取り込み時間を9秒、積算回数を8回とし、27℃で測定した。
5.A層のガラス転移温度(Tg)
JIS K7121(1999)に基づいて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いた。サンプルパンにA層から削り取った樹脂組成物のサンプルを5mgずつ秤量し、昇温速度は20℃/分で走査した。示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点から、Tgを求めた。測定は同じサンプルについて3回行い、得られた値の平均値を当該サンプルのTg(℃)とした。
6.溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mm、荷重を5、10、15、20kgと変更して、測定温度270℃、予熱時間5分で測定した。剪断速度と溶融粘度の関係を測定し、100sec−1における溶融粘度を求めた。測定は同じサンプルについて3回行い、得られた値の平均値を当該サンプルの溶融粘度(poise)とした。
7.フィルム厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの縦方向および横方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、それらの平均値を当該サンプルのフィルム厚み(μm)とした。
8.二軸配向の判別
フィルムの配向状態を、フィルムに対して以下に示す3方向からX線を入射した際に得られるX線回折写真から判別する。
・Through入射:フィルムの縦方向(MD)・横方向(TD)で形成される面に垂直に入射
・End入射 :フィルムの横方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射
・Edge入射 :フィルムの縦方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射。
5.A層のガラス転移温度(Tg)
JIS K7121(1999)に基づいて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いた。サンプルパンにA層から削り取った樹脂組成物のサンプルを5mgずつ秤量し、昇温速度は20℃/分で走査した。示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点から、Tgを求めた。測定は同じサンプルについて3回行い、得られた値の平均値を当該サンプルのTg(℃)とした。
6.溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mm、荷重を5、10、15、20kgと変更して、測定温度270℃、予熱時間5分で測定した。剪断速度と溶融粘度の関係を測定し、100sec−1における溶融粘度を求めた。測定は同じサンプルについて3回行い、得られた値の平均値を当該サンプルの溶融粘度(poise)とした。
7.フィルム厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの縦方向および横方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、それらの平均値を当該サンプルのフィルム厚み(μm)とした。
8.二軸配向の判別
フィルムの配向状態を、フィルムに対して以下に示す3方向からX線を入射した際に得られるX線回折写真から判別する。
・Through入射:フィルムの縦方向(MD)・横方向(TD)で形成される面に垂直に入射
・End入射 :フィルムの横方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射
・Edge入射 :フィルムの縦方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射。
なお、サンプルは、フィルムを方向を揃えて、厚みが1mm程度になるよう重ね合わせて、切り出し、測定に供した。
X線回折写真は以下の条件でイメージングプレート法により測定した。
・X線発生装置 :理学電気(株)製 4036A2型
・X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)
・出力 :40Kv、20mA
・スリット系 :1mmφピンホールコリメータ
・イメージングプレート:FUJIFILM BAS−SR
・撮影条件 :カメラ半径(サンプルとイメージングプレートとの間の距離)40mm、露出時間5分。
・X線発生装置 :理学電気(株)製 4036A2型
・X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)
・出力 :40Kv、20mA
・スリット系 :1mmφピンホールコリメータ
・イメージングプレート:FUJIFILM BAS−SR
・撮影条件 :カメラ半径(サンプルとイメージングプレートとの間の距離)40mm、露出時間5分。
ここで、フィルムの無配向、一軸配向、二軸配向の別は、例えば、松本喜代一ら、“繊維学会誌”、第26巻、第12号、1970年、p.537−549;松本喜代一著、“フィルムをつくる”、共立出版(1993)、p.67−86;岡村誠三ら著、“高分子化学序論(第2版)”、化学同人(1981)、p.92−93などで解説されているように、以下の基準で判別できる。
・無配向 :いずれの方向のX線回折写真においても実質的にほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・縦一軸配向:End入射のX線回折写真においてほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・二軸配向 :いずれの方向のX線回折写真においてもその配向を反映した、回折強度が均等ではない回折像が得られる。
9.フィルムの面配向係数(fn)
測定はJIS K 7142(1996)のA法に基づき、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、本発明のフィルムの縦方向屈折率(Nx)、横方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下式から面配向係数(fn)を算出した。マウント液はサリチル酸メチルを用いた。
・無配向 :いずれの方向のX線回折写真においても実質的にほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・縦一軸配向:End入射のX線回折写真においてほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・二軸配向 :いずれの方向のX線回折写真においてもその配向を反映した、回折強度が均等ではない回折像が得られる。
9.フィルムの面配向係数(fn)
測定はJIS K 7142(1996)のA法に基づき、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、本発明のフィルムの縦方向屈折率(Nx)、横方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下式から面配向係数(fn)を算出した。マウント液はサリチル酸メチルを用いた。
fn=(Nx+Ny)/2−Nz
10.B層の中心線平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601(2001)に従って、触針式表面粗さ計(小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器、型式:ET30HK)を用いてフィルムの蒸着される面について以下の条件で測定を行った。
・触針走査方向:フィルムの横方向
・温度・湿度:25℃、65%RH
・測定モード:触針式(STYLUS)
・処理モード:8(ROUGHNESS)
・測定長さ:1mm
・触針径:円錐型0.5μmR
・荷重:16mg
・カットオフ:250μm
・測定ライン数:30本
・走査速度:100μm/秒
・ピッチ:X方向4μm、Y方向10μm
・SLOPE COMP:ON
・GAIN:×1
・測定面積:0.2988mm2
・標準面積:0.1mm2。
中心線平均表面粗さは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(X)で表した時、次の式によって求められる値(μm)を中心線平均表面粗さRaとする。
Ra=(1/L)∫|f(X)|dx。
なお、同じ測定をサンプル毎に測定個所を変えて3回行い、得られた値の平均値を算出し、当該フィルムの蒸着される層のRa(nm)とした。
11.フィルムのヤング率
JIS K7127(1999、試験片タイプ2)、JIS K7161(1994)に準じて、(株)オリエンテック製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RHにて測定した。サンプルを測定方向:15cm、直交方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、縦方向および横方向のヤング率を測定した。同じ測定を各サンプルの各方向について5回ずつ行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの縦方向および横方向のヤング率(GPa)とした。
12.熱収縮率
本発明のフィルムを縦方向および横方向に長さ200mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに150mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して120℃に加熱した熱風オーブン内に15分間設置し、加熱処理を行った。熱処理後に標線間の距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。同じ測定を各サンプルの各方向について5回ずつ行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの縦方向および横方向の熱収縮率(%)とした。
13.動摩擦係数
JIS K7125(1999)に基づき、25℃、65%RHにて測定した。この際、本発明のフィルムのB層表面ともう一方の表面を重ね合わせて測定を行った。同じ測定を5回ずつ行い、得られた値の平均値を当該サンプルの動摩擦係数とした。
14.蒸着層の厚さ
エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトームを用い、本発明の蒸着フィルムの横方向−厚み方向に断面を有する超薄切片を採取した。採取した超薄切片を下記条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察し、蒸着層の厚さを測定した。なお、同じサンプルについて同様の測定を観察箇所を変えて10回行い、それらの平均値を蒸着層の厚さ(nm)とした。
・装置 :(株)日立製作所製 透過型電子顕微鏡(TEM)H−7100FA
・加速電圧:100kV
・観察倍率:40000倍
15.水蒸気透過度
温度38℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。また、測定は蒸着層側から水蒸気流を当て、反対側で検出する測定方式で、2回行い、4つの測定値の平均値を当該サンプルの水蒸気透過率(g/m2/day)とした。
16.酸素透過度
温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(登録商標)(“OXTRAN”2/20))を使用して、JIS K7126−2(2006)に記載の電解センサ法に基づいて測定した。また、測定は蒸着層側から酸素気流を当て、反対側で検出する測定方式で、2回行い、4つの測定値の平均値を当該サンプルの酸素透過度(cc/m2/day/atm)とした。
17.蒸着層の密着力
本発明のフィルムに蒸着層を形成して得られた蒸着フィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)の縦方向を揃えて、下記条件でドライラミネートした。
・CPP: 東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #60 ZK93KM
・接着剤: 東洋モートン(株)製AD503/cat10
・配合量: AD503/cat10/酢酸エチル=20/1/20重量部
・塗布: メタバー#12を使用し、CPPのコロナ処理面側に接着剤を塗布した。
・乾燥: 80℃、45秒
・ラミネート: 乾燥後、CPP上の塗布面を本発明の蒸着フィルムの蒸着面にラミネートした。
・硬化: 40℃、48時間
得られたサンプルから幅15mmの試験片を取り出し、下記条件で剥離試験を行った。剥離力曲線において、上限値と下限値を読み取り、蒸着層の密着力とした。
・剥離試験機: 大英科学精機製作所製引張り試験機
・剥離角度: 180°
・剥離速度: 200mm/分
・チャート速度:20mm/分
・剥離方向: 縦方向
・サンプル幅: 15mm
同じサンプルについて3本の試験片を採取し、同様の測定を3回行った。得られた値の平均値を蒸着層の密着力(g/15mm)とした。
18.実効延伸倍率
スリット状口金から押出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめた未延伸シートに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの縦方向、横方向に平行になるようにスタンプで刻印した後、延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定し、これを縦方向・横方向の実効延伸倍率とした。
19.ハンドリング性テスト
長さ1000m、厚さ20μmの本発明の蒸着フィルムの蒸着面に、厚さ20μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルム(別途製造)を、反対の面に厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP;東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #20 9141)を、それぞれウレタン系接着剤(上記17で用いた接着剤を同様の配合量、乾燥条件を用い、乾燥後塗布厚みが4μmとなるように塗布した)を介してドライラミネートし、得られたロールを40℃で48時間エージングした。該ラミネート体をCPP側が内側になるようにして、(株)フジキカイ製縦型ピロー包装機(FUJI FW−77)を用いて、フィルムを筒状に挿入し、製袋した。なお、この際、内容物は何も充填しなかった。この際、製膜工程におけるフィルムの巻き取り状態、ラミネート工程、製袋工程におけるフィルムの巻き出し、巻き取り状態を確認して以下の評価を行った。
GOOD:巻き出し部に大きなブロッキングがみられず、かつ巻き取り部にフィルムにシワや伸び、端面のずれなどがみられない。
BAD :巻き出し部で大きなブロッキングがみられ、巻き取り部でフィルムにシワ、伸びあるいは端面のずれがみられる。
(実施例)
本発明の実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。
[PGA]
分子量18万、融点221℃、Tg42℃、270℃および100sec−1での溶融粘度3500poiseのホモポリグリコール酸樹脂を準備し、回転式真空乾燥機にて120℃で8時間乾燥して用いた。
[cPLA]
回転式真空乾燥機にて100℃で4時間乾燥した結晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo”4032D;D体量=1.4mol%、融点=168℃、Tg=58℃)。
[aPLA]
回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥した非晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo” 4060D;D体量=12mol%、Tg=58℃)。
[EA]
静置式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したエチレンアクリレート系コポリマー(E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax”strong 120)。
[caPLA]
上記cPLAを85質量%、aPLAを15質量%ブレンドし、シリンダー温度200℃の二軸押出機に供給して、溶融混練により均質化した後、チップ状にペレタイズした。得られたチップは、回転式真空乾燥機にて100℃で4時間乾燥した。
[PLAーMB1]
上記caPLAにおいて、上記aPLAを95質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−30を5質量%ブレンドして使用した以外は同様にして作製したチップを50℃で6時間乾燥した以外は同様にして作製したチップをPLA−MB1とした。
[PGA−MB1]
上記PGAを96質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−30を4質量%ブレンドし、シリンダー温度230℃の二軸押出機に供給して溶融混練した後、チップ上にペレタイズした。得られたチップは、回転式真空乾燥機にて120℃で12時間乾燥した。
[PGA−MB2]
上記PGA−MB1において、PGAを98質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−20を2質量%ブレンドして使用した以外は同様にして作製したチップをPGA−MB2とした。
[PGA−MB3]
上記PGA−MB1において、PGAを95質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−70を5質量%ブレンドして使用した以外は同様にして作製したチップをPGA−MB3とした。
10.B層の中心線平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601(2001)に従って、触針式表面粗さ計(小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器、型式:ET30HK)を用いてフィルムの蒸着される面について以下の条件で測定を行った。
・触針走査方向:フィルムの横方向
・温度・湿度:25℃、65%RH
・測定モード:触針式(STYLUS)
・処理モード:8(ROUGHNESS)
・測定長さ:1mm
・触針径:円錐型0.5μmR
・荷重:16mg
・カットオフ:250μm
・測定ライン数:30本
・走査速度:100μm/秒
・ピッチ:X方向4μm、Y方向10μm
・SLOPE COMP:ON
・GAIN:×1
・測定面積:0.2988mm2
・標準面積:0.1mm2。
中心線平均表面粗さは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(X)で表した時、次の式によって求められる値(μm)を中心線平均表面粗さRaとする。
Ra=(1/L)∫|f(X)|dx。
なお、同じ測定をサンプル毎に測定個所を変えて3回行い、得られた値の平均値を算出し、当該フィルムの蒸着される層のRa(nm)とした。
11.フィルムのヤング率
JIS K7127(1999、試験片タイプ2)、JIS K7161(1994)に準じて、(株)オリエンテック製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RHにて測定した。サンプルを測定方向:15cm、直交方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、縦方向および横方向のヤング率を測定した。同じ測定を各サンプルの各方向について5回ずつ行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの縦方向および横方向のヤング率(GPa)とした。
12.熱収縮率
本発明のフィルムを縦方向および横方向に長さ200mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに150mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して120℃に加熱した熱風オーブン内に15分間設置し、加熱処理を行った。熱処理後に標線間の距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。同じ測定を各サンプルの各方向について5回ずつ行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの縦方向および横方向の熱収縮率(%)とした。
13.動摩擦係数
JIS K7125(1999)に基づき、25℃、65%RHにて測定した。この際、本発明のフィルムのB層表面ともう一方の表面を重ね合わせて測定を行った。同じ測定を5回ずつ行い、得られた値の平均値を当該サンプルの動摩擦係数とした。
14.蒸着層の厚さ
エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトームを用い、本発明の蒸着フィルムの横方向−厚み方向に断面を有する超薄切片を採取した。採取した超薄切片を下記条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察し、蒸着層の厚さを測定した。なお、同じサンプルについて同様の測定を観察箇所を変えて10回行い、それらの平均値を蒸着層の厚さ(nm)とした。
・装置 :(株)日立製作所製 透過型電子顕微鏡(TEM)H−7100FA
・加速電圧:100kV
・観察倍率:40000倍
15.水蒸気透過度
温度38℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。また、測定は蒸着層側から水蒸気流を当て、反対側で検出する測定方式で、2回行い、4つの測定値の平均値を当該サンプルの水蒸気透過率(g/m2/day)とした。
16.酸素透過度
温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(登録商標)(“OXTRAN”2/20))を使用して、JIS K7126−2(2006)に記載の電解センサ法に基づいて測定した。また、測定は蒸着層側から酸素気流を当て、反対側で検出する測定方式で、2回行い、4つの測定値の平均値を当該サンプルの酸素透過度(cc/m2/day/atm)とした。
17.蒸着層の密着力
本発明のフィルムに蒸着層を形成して得られた蒸着フィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)の縦方向を揃えて、下記条件でドライラミネートした。
・CPP: 東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #60 ZK93KM
・接着剤: 東洋モートン(株)製AD503/cat10
・配合量: AD503/cat10/酢酸エチル=20/1/20重量部
・塗布: メタバー#12を使用し、CPPのコロナ処理面側に接着剤を塗布した。
・乾燥: 80℃、45秒
・ラミネート: 乾燥後、CPP上の塗布面を本発明の蒸着フィルムの蒸着面にラミネートした。
・硬化: 40℃、48時間
得られたサンプルから幅15mmの試験片を取り出し、下記条件で剥離試験を行った。剥離力曲線において、上限値と下限値を読み取り、蒸着層の密着力とした。
・剥離試験機: 大英科学精機製作所製引張り試験機
・剥離角度: 180°
・剥離速度: 200mm/分
・チャート速度:20mm/分
・剥離方向: 縦方向
・サンプル幅: 15mm
同じサンプルについて3本の試験片を採取し、同様の測定を3回行った。得られた値の平均値を蒸着層の密着力(g/15mm)とした。
18.実効延伸倍率
スリット状口金から押出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめた未延伸シートに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの縦方向、横方向に平行になるようにスタンプで刻印した後、延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定し、これを縦方向・横方向の実効延伸倍率とした。
19.ハンドリング性テスト
長さ1000m、厚さ20μmの本発明の蒸着フィルムの蒸着面に、厚さ20μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルム(別途製造)を、反対の面に厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP;東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #20 9141)を、それぞれウレタン系接着剤(上記17で用いた接着剤を同様の配合量、乾燥条件を用い、乾燥後塗布厚みが4μmとなるように塗布した)を介してドライラミネートし、得られたロールを40℃で48時間エージングした。該ラミネート体をCPP側が内側になるようにして、(株)フジキカイ製縦型ピロー包装機(FUJI FW−77)を用いて、フィルムを筒状に挿入し、製袋した。なお、この際、内容物は何も充填しなかった。この際、製膜工程におけるフィルムの巻き取り状態、ラミネート工程、製袋工程におけるフィルムの巻き出し、巻き取り状態を確認して以下の評価を行った。
GOOD:巻き出し部に大きなブロッキングがみられず、かつ巻き取り部にフィルムにシワや伸び、端面のずれなどがみられない。
BAD :巻き出し部で大きなブロッキングがみられ、巻き取り部でフィルムにシワ、伸びあるいは端面のずれがみられる。
(実施例)
本発明の実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。
[PGA]
分子量18万、融点221℃、Tg42℃、270℃および100sec−1での溶融粘度3500poiseのホモポリグリコール酸樹脂を準備し、回転式真空乾燥機にて120℃で8時間乾燥して用いた。
[cPLA]
回転式真空乾燥機にて100℃で4時間乾燥した結晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo”4032D;D体量=1.4mol%、融点=168℃、Tg=58℃)。
[aPLA]
回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥した非晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo” 4060D;D体量=12mol%、Tg=58℃)。
[EA]
静置式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したエチレンアクリレート系コポリマー(E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax”strong 120)。
[caPLA]
上記cPLAを85質量%、aPLAを15質量%ブレンドし、シリンダー温度200℃の二軸押出機に供給して、溶融混練により均質化した後、チップ状にペレタイズした。得られたチップは、回転式真空乾燥機にて100℃で4時間乾燥した。
[PLAーMB1]
上記caPLAにおいて、上記aPLAを95質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−30を5質量%ブレンドして使用した以外は同様にして作製したチップを50℃で6時間乾燥した以外は同様にして作製したチップをPLA−MB1とした。
[PGA−MB1]
上記PGAを96質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−30を4質量%ブレンドし、シリンダー温度230℃の二軸押出機に供給して溶融混練した後、チップ上にペレタイズした。得られたチップは、回転式真空乾燥機にて120℃で12時間乾燥した。
[PGA−MB2]
上記PGA−MB1において、PGAを98質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−20を2質量%ブレンドして使用した以外は同様にして作製したチップをPGA−MB2とした。
[PGA−MB3]
上記PGA−MB1において、PGAを95質量%、水沢化学工業(株)製“シルトン”JC−70を5質量%ブレンドして使用した以外は同様にして作製したチップをPGA−MB3とした。
本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。なお、所望の厚み構成のフィルムを得るためには、特に断りのない限り、各押出機のポリマーの押出量を所定の値に調節した。さらに、実施例、比較例のフィルムは、上記した評価法8に基づき、二軸配向していることを確認した。さらに、蒸着フィルムとする際は、特に断りがない限り、B層上に蒸着した。比較例1のみ、A層上(実際には当該A層の表面部分は押出機(b)から吐出)に蒸着した。また、表面粗さは、フィルムの蒸着する面に対して測定した。また、比較例1以外のフィルムは、蒸着層密着力試験後に剥離面を確認したところ、A層/B層間の界面であることを確認した。
(実施例1)
単軸押出機(a)に、A層の樹脂組成物として、caPLAを95質量%、EAを5質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、B層の樹脂として、PGAを96.2質量%、PGA−MB1を3.8質量%予め混合したブレンド原料を供給し、250℃で押出し、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。なお、この際流路(ポリマー管)の設定温度としては235℃を用いた。さらに、単軸押出機(c)に、aPLAを97質量%、PLA−MB1を3質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)/押出機(c)の順で積層されるように230℃に加熱されたマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化した。また、B層が金属ドラムに接触するようにして、キャストした。
(実施例1)
単軸押出機(a)に、A層の樹脂組成物として、caPLAを95質量%、EAを5質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、B層の樹脂として、PGAを96.2質量%、PGA−MB1を3.8質量%予め混合したブレンド原料を供給し、250℃で押出し、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。なお、この際流路(ポリマー管)の設定温度としては235℃を用いた。さらに、単軸押出機(c)に、aPLAを97質量%、PLA−MB1を3質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)/押出機(c)の順で積層されるように230℃に加熱されたマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化した。また、B層が金属ドラムに接触するようにして、キャストした。
得られた未延伸シートを、ロール延伸機にて70℃で縦方向に3倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、60℃で横方向に3.5倍延伸し、引き続き横方向に3%の弛緩を与えながら150℃で熱処理をし、冷却後、巻き取った。得られた二軸配向フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=4/14/2μmであった。
24時間のエージングの後、得られた二軸配向フィルムを、フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットした。1.00×10−2Paの高減圧状態にした後に、0℃の冷却金属ドラム上に走行させた。この際、アルミニウム金属を加熱蒸発し、B層上に蒸着層を形成した。
このようにして得られた蒸着フィルムを48時間エージングして、本発明の蒸着フィルムを得た。なお、蒸着フィルムの光学濃度は、蒸着中にオンラインで確認し、2.5となるよう蒸着厚みを制御した。
得られたフィルムの製膜条件を表1に、フィルムおよび蒸着フィルムの評価結果を表2に示す。得られたフィルムは、B層に特定の平均粒径の粒子を適量添加することにより、平均表面粗さを好ましい範囲に制御でき、十分低い動摩擦係数が得られた。これにより、ハンドリング性に優れていた。また、A層に特定の層間接着改良剤を含有することにより、層間接着力に優れており、包装材料として用いるのに十分な寸法安定性を有していた。さらに、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。
(実施例2)
実施例1において、B層とA層の厚み構成を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例2とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
(実施例2)
実施例1において、B層とA層の厚み構成を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例2とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性、層間接着力に優れており、包装材料として用いるのに十分な寸法安定性を有していた。さらに、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。
(実施例3)
実施例1において、B層とA層の厚み構成を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例3とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=1/17/2μmであった。
(実施例3)
実施例1において、B層とA層の厚み構成を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例3とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=1/17/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性、層間接着力に優れており、包装材料として用いるのに十分な寸法安定性を有していた。さらに、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。
(実施例4)
実施例2において、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例4とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
(実施例4)
実施例2において、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例4とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性、層間接着力に優れており、包装材料として用いるのに十分な寸法安定性を有していた。さらに、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。
(実施例5)
実施例4において、押出機(b)に供給する樹脂の粒子添加量を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例5とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
(実施例5)
実施例4において、押出機(b)に供給する樹脂の粒子添加量を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例5とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性、層間接着力に優れており、包装材料として用いるのに十分な寸法安定性を有していた。さらに、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。
(実施例6)
実施例4において、B層とA層の厚み構成を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例6とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=1/17/2μmであった。
(実施例6)
実施例4において、B層とA層の厚み構成を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例6とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=1/17/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性、層間接着力に優れており、包装材料として用いるのに十分な寸法安定性を有していた。さらに、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。
(比較例1)
単軸押出機(a)に、caPLAを99質量%、PLA−MB1を1質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、押出機(a)に供給した樹脂と同じものを供給し、220℃で押出し、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。さらに、単軸押出機(c)に、aPLAを97質量%、PLA−MB1を3質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)/押出機(c)の順で積層されるように220℃に加熱されたマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に冷却固化した。また、押出機(c)から供給した樹脂層が金属ドラムに接触するようにして、共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状にキャストした。
(比較例1)
単軸押出機(a)に、caPLAを99質量%、PLA−MB1を1質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、押出機(a)に供給した樹脂と同じものを供給し、220℃で押出し、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。さらに、単軸押出機(c)に、aPLAを97質量%、PLA−MB1を3質量%予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き65μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)/押出機(c)の順で積層されるように220℃に加熱されたマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に冷却固化した。また、押出機(c)から供給した樹脂層が金属ドラムに接触するようにして、共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状にキャストした。
得られた未延伸シートを、ロール延伸機にて80℃で縦方向に2.8倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、75℃で横方向に3.5倍延伸し、引き続き横方向に5%の弛緩を与えながら130℃で熱処理をし、冷却後、巻き取った。得られた二軸配向フィルムの厚み構成は、A層/C層=18/2μmであった。
24時間のエージングの後、得られた二軸配向フィルムを、実施例1と同様にして、蒸着層をA層上(押出機(b)から供給した樹脂層の表面上)に形成した。
得られたフィルムの製膜条件を表1に、フィルムおよび蒸着フィルムの評価結果を表2に示す。得られたフィルムは、ハンドリング性は十分なレベルではあったが、B層を用いていないため、蒸着フィルムのガスバリア性に劣っていた。
(比較例2)
実施例5において、押出機(b)に供給する樹脂に粒子を添加せず、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例2とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。
(比較例2)
実施例5において、押出機(b)に供給する樹脂に粒子を添加せず、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例2とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性に劣り、巻き取り後のフィルムロールにシワが入った。また、蒸着後のフィルムを観察したところ、蒸着層にスクラッチ、抜けが発生していた。このためか、蒸着フィルムのガスバリア性にも劣っていた。
(比較例3)
実施例5において、押出機(b)、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例3とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。
(比較例3)
実施例5において、押出機(b)、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例3とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。
得られたフィルムは、ハンドリング性に劣り、巻き取り後のフィルムロールの端面にズレが発生した。また、蒸着後のフィルムを観察したところ、蒸着層に多数のピンホールが発生していた。また、加工中に粒子が脱落し、これら粒子が工程を汚染した。これらが原因か、蒸着フィルムのガスバリア性にも劣っていた。
ただし、表中の記載は下記の通り。
MD:フィルムの縦方向。
TD:フィルムの横方向。
PGA:ポリグリコール酸。
cPLA:Nature Works製“Ingeo”4032D。
aPLA:Nature Works製“Ingeo”4060D。
caPLA:85質量%のcPLAと15質量%のaPLAのメルトブレンド物。
EA:E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax”strong 120。
PLA−MB1:95質量%のcPLAと5質量%のJC-30のマスターバッチ。
PGA−MB1:96質量%のPGAと4質量%のJC-30のマスターバッチ。
PGA−MB2:98質量%のPGAと2質量%のJC-20のマスターバッチ。
PGA−MB3:95質量%のPGAと5質量%のJC-70のマスターバッチ。
MD:フィルムの縦方向。
TD:フィルムの横方向。
PGA:ポリグリコール酸。
cPLA:Nature Works製“Ingeo”4032D。
aPLA:Nature Works製“Ingeo”4060D。
caPLA:85質量%のcPLAと15質量%のaPLAのメルトブレンド物。
EA:E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax”strong 120。
PLA−MB1:95質量%のcPLAと5質量%のJC-30のマスターバッチ。
PGA−MB1:96質量%のPGAと4質量%のJC-30のマスターバッチ。
PGA−MB2:98質量%のPGAと2質量%のJC-20のマスターバッチ。
PGA−MB3:95質量%のPGAと5質量%のJC-70のマスターバッチ。
表1〜2に示すとおり、本発明のフィルムはB層に特定の平均粒径の粒子を適量添加することにより、平均表面粗さを好ましい範囲に制御でき、十分低い動摩擦係数が得られた。これにより、ハンドリング性に優れていた。また、異なるポリエステルを積層しているにも関わらず、層間接着力に優れるとともに、包装材料として用いるのに、十分な寸法安定性を有していた。当該フィルムを用いた蒸着フィルムは、高い蒸着層密着力と優れたガスバリア性を示した。また、当該蒸着フィルムを用いた包装体は、製袋加工性に優れ、開封性に優れることから、加工性、実用性に優れていた。さらに、本発明のフィルムは、製膜工程、蒸着工程においてもトラブルの発生はなく、製膜安定性、蒸着加工性に優れていた。一方、B層としてポリグリコール酸を用いない比較例のフィルム、B層に粒子を含有しない比較例のフィルム、B層に特定の平均粒径の粒子を含有しない比較例のフィルムは、ハンドリング性に劣っており、ガスバリア性にも劣っていた。加えて、A層に特定の層間接着改良剤を含有しないことから、層間接着力が低かった。
以上のことから、本発明のフィルムは、B層に特定の平均粒径の粒子を適量添加することにより、優れたハンドリング性を付与でき、かつ優れたガスバリア性、層間接着力、寸法安定性を示した。また、これらの優れた特性値は、例えば、フィルムの厚み構成、粒子の種類、平均粒径、添加量、製膜条件(延伸温度・倍率、熱固定温度・率など)などにより制御することができた。
本発明はガスバリア性に優れるとともにハンドリング性にも優れるポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体に関するものである。
Claims (5)
- ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面の表面層として、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が積層されたポリエステル系積層フィルムであって、
B層がその全成分100質量%に対して、平均粒径0.1〜5μmの無機粒子および/または有機粒子を0.01〜1質量%含有することを特徴とするポリエステル系積層フィルム。 - 前記B層の厚みが、0.1〜5μmである請求項1に記載のポリエステル系積層フィルム。
- 請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルムの少なくとも片面に、金属または無機酸化物からなる蒸着層を有する蒸着フィルム。
- 請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム、または請求項3に記載の蒸着フィルムを含んでなるラミネート体。
- 請求項1または2のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム、又は請求項3に記載の蒸着フィルムを含んでなる包装体。
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JP2009284776A JP2011126056A (ja) | 2009-12-16 | 2009-12-16 | ポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体 |
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