JP2011125088A - ステータおよびステータコイルの変位防止方法 - Google Patents

ステータおよびステータコイルの変位防止方法 Download PDF

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Yasushi Nishikuma
靖 西隈
Yasuharu Taketsuna
靖治 竹綱
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勝彦 建部
Shingo Yukibuki
晋吾 雪吹
Tomohiro Takenaga
智裕 竹永
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Abstract

【課題】余分な弾性部材を用いることなく、確実にステータコイルが変位することを防止できるステータおよびステータコイルの変位防止方法を提供する。
【解決手段】各楔4・4・・・によって、各スロット部2c・2c・・・において保持する各ステータコイル3・3・・・の変位を規制するステータ1であって、各ステータコイル3・3・・・を、巻線3aを巻回軸X方向に湾曲させながら巻回して、巻回軸X方向に対してバネとして挙動するように形成し、ステータコイル3の巻回軸X方向のバネ高さである高さHを、定常状態の高さHに比して巻回軸X方向に縮小させた状態(即ち、高さHとした状態)で、各スロット部2c・2c・・・において保持する。
【選択図】図6

Description

本発明は、ステータおよびステータコイルの変位防止方法の技術に関する。
モータを構成する部品であるステータは、ステータコアとステータコイルにより構成されており、ステータコアに形成されるトゥース部にステータコイルを巻回して、ステータコアとステータコイルを一体化することによってステータを形成する構成が広く採用されており、このような場合に、各トゥース部の間に形成される間隙部であるスロット部の半径方向内側の開口部を楔で封止することによって、ステータコイルが変位することを防止する構成としたステータが一般的に知られている。
スロット部においてステータコイルが変位し、ステータコイルがスロット部の内壁や楔等と接触すると、ステータコイルの絶縁被覆が破損し絶縁不良を招く恐れがあるため、ステータコイルが変位することを確実に防止することが望ましい。
このため従来、ステータコイルが変位することを確実に防止するための技術が種々検討されており、例えば以下に示す特許文献1および特許文献2にその技術が開示され公知となっている。
特許文献1および特許文献2に開示されている従来技術では、スロット部にステータコイルとともに弾性部材(板ばねや波板状の絶縁性弾性積層板等)を挿入して、弾性部材によってステータコイルにステータコアの半径方向への弾性力を付与している。そして、ステータコイルによってスロット部の底部や楔を押圧して、ステータコイルとスロット部および楔との間で摩擦力を生じさせることによって、ステータコイルが変位することを防止する構成としている。
特開平7−123620号公報 特開2001−69709号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている従来技術では、ステータコイルの変位を防止するために、本来モータの必須の構成部品ではない弾性部材を備えており、部品コストや組立工数が増大し、モータのコスト上昇を招く要因となっていた。
本発明は、このような現状の課題を鑑みてなされたものであり、余分な弾性部材を用いることなく、確実にステータコイルが変位することを防止できるステータおよびステータコイルの変位防止方法を提供することを課題としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、円環状のコアバック部と、該コアバック部から所定の角度割で半径方向内側に突設される複数のトゥース部と、隣り合う各トゥース部によって、該各トゥース部の間に形成される複数のスロット部と、を備えるステータコアと、前記複数のトゥース部に被装するとともに、前記複数のスロット部において保持する複数のステータコイルと、前記複数のスロット部の半径方向内側の各端部に前記ステータコアの回転軸に対して平行に形成される各溝部に嵌挿する複数の楔と、を備え、前記複数の楔によって、前記各スロット部の半径方向内側に向けて開放される各開口部を封止して、前記各スロット部において前記各ステータコイルを保持するステータであって、前記各ステータコイルを、巻線を巻回軸方向に湾曲させながら巻回して、前記巻線の巻回軸方向に対してバネとして挙動するように形成し、前記各ステータコイルの巻回軸方向のバネ高さを、定常状態に比して前記巻回軸方向に縮小させた状態で、前記各スロット部において保持するものである。
請求項2においては、前記ステータコアを、板状部材を積層して形成する場合において、前記楔の前記ステータコアに対する当接面に、前記板状部材の板厚を整数倍した距離をピッチとして、前記楔の挿入方向に対して連続する複数の凸部を形成するものである。
請求項3においては、前記楔の前記ステータコイルに対する当接面を、前記ステータの回転軸方向に対する摩擦係数を増大させた粗し面とするものである。
請求項4においては、円環状のコアバック部と、該コアバック部から所定の角度割で半径方向内側に突設される複数のトゥース部と、隣り合う各トゥース部によって、該各トゥース部の間に形成される複数のスロット部と、を備えるステータコアと、前記複数のトゥース部に被装するとともに、前記複数のスロット部において保持する複数のステータコイルと、前記複数のスロット部の半径方向内側の各端部に前記ステータコアの回転軸に対して平行に形成される各溝部に嵌挿する複数の楔と、を備えるステータにおいて、前記複数の楔によって、前記各スロット部の半径方向内側に向けて開放される各開口部を封止して、前記各スロット部において前記各ステータコイルを保持するステータコイルの変位防止方法であって、前記各ステータコイルを、巻線を巻回軸方向に湾曲させながら巻回して、前記巻線の巻回軸方向に対してバネとして挙動するように形成し、前記各ステータコイルの巻回軸方向のバネ高さを、定常状態に比して前記巻回軸方向に縮小させた状態で、前記各スロット部において保持するものである。
請求項5においては、前記ステータコアを、板状部材を積層して形成する場合において、前記楔の前記ステータコアに対する当接面に、前記板状部材の板厚を整数倍した距離をピッチとして、前記楔の挿入方向に対して連続する複数の凸部を形成するものである。
請求項6においては、前記楔の前記ステータコイルに対する当接面を、前記ステータの回転軸方向に対する摩擦係数を増大させた粗し面とするものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、別部品としての弾性部材を用いることなく、スロット部においてステータコイルが変位することを確実に防止できる。
請求項2においては、楔とステータコアとの間で生じる摩擦力を増大することができ、楔がズレることを確実に防止して、スロット部においてステータコイルが変位することを確実に防止できる。
請求項3においては、楔とステータコイルとの間で生じる摩擦力を増大することができ、スロット部においてステータコイルが変位することをより確実に防止できる。
請求項4においては、別部品としての弾性部材を用いることなく、スロット部においてステータコイルが変位することを確実に防止できる。
請求項5においては、楔とステータコアとの間で生じる摩擦力を増大することができ、楔がズレることを確実に防止して、スロット部においてステータコイルが変位することを確実に防止できる。
請求項6においては、楔とステータコイルとの間で生じる摩擦力を増大することができ、スロット部においてステータコイルが変位することをより確実に防止できる。
本発明の一実施例に係るステータの全体構成を示す平面視における断面模式図。 本発明の一実施例に係るステータを構成するステータコアを示す平面視における部分断面模式図。 本発明の一実施例に係るステータを構成する第一の実施態様に係るステータコイルを示す模式図、(a)平面断面模式図、(b)ステータコイルの伸縮状況を示す側面断面模式図。 本発明の一実施例に係るステータを構成する第一の実施態様に係る楔を示す模式図、(a)平面断面模式図、(b)斜視模式図。 本発明の一実施例に係るステータにおける第一の実施態様に係るステータコイルの装着状況を示す模式図、(a)楔を装着する前の状況を示す平面視における部分断面模式図、(b)楔を装着したときの状況を示す平面視における部分断面模式図。 本発明の一実施例に係るステータにおける第一の実施態様に係るステータコイルの装着状況を示す模式図、(a)楔の装着した後の状況を示す平面視における部分断面模式図、(b)図6(a)におけるB−B断面模式図。 別実施態様に係るステータコイルの装着状況を示す模式図、(a)第二の実施態様に係るステータコイルを用いた場合の図6(a)におけるB−B断面模式図、(b)第三の実施態様に係るステータコイルを用いた場合の図6(a)におけるB−B断面模式図。 改良した第二の実施態様に係る楔を示す模式図、(a)斜視模式図、(b)改良した第二の実施態様に係る楔を用いた場合の図6(a)におけるC−C断面模式図。 改良した第三の実施態様に係る楔を示す模式図、(a)斜視模式図、(b)改良した第三の実施態様に係る楔を用いた場合の図6(a)におけるB−B断面模式図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施例に係るステータの全体構成について、図1〜図4を用いて説明をする。
図1に示す如く、本発明の一実施例に係るステータ(固定子)1は、モータを構成する部品の一つであり、図示しないロータ(回転子)と一対で用いられるものである。
ステータ1は、ステータコア2、ステータコイル3・3・・・、楔4・4・・・等を備えている。
図1および図2に示す如く、ステータコア2は、電磁鋼板を積層して形成される略円環状の部材であり、円環状のコアバック部2aと、該コアバック部2aから半径方向内側に向けて所定の角度割で突設される複数のトゥース部2b・2b・・・と、各トゥース部2b・2bの間に形成される凹部である複数のスロット部2c・2c・・・等を形成している。尚、本実施例では、30°の角度割で、12箇所のトゥース部2b・2b・・・およびスロット部2c・2c・・・を形成するステータコア2を例示している。
トゥース部2bは、平面視において半径方向内側に向けて縮小する略台形の形状としており、スロット部2cは、平面視において半径方向に沿って形成される略長方形の形状としている。そして、各スロット部2c・2c・・・は、ステータコア2の回転軸方向に貫通しており、また半径方向内側に向けて開放している。
尚、ステータコア2の回転軸心は、ステータ1の回転軸心と一致するため、ステータコア2の回転軸方向と最終的に生成されるステータ1の回転軸方向は一致している(以下同じ)。
また、スロット部2cの半径方向内側の端部には、楔4を嵌挿するための凹部である溝部2eをステータコア2の回転軸方向に対して平行に形成している。そして、溝部2eのステータコア2の周方向の側面には、ステータコア2の半径方向内側に向けて溝部2eが縮小するように傾斜した傾斜面2f・2fを形成している。
図3(a)に示す如く、ステータコイル3は、巻回軸X回りに略四角錘台状に巻線3aを巻回して形成するコイル部材であり、巻線3aの周囲を絶縁体3bによって被覆する構成としている。また、ステータコイル3の内周面3cは、平面視において、トゥース部2bの側面に沿う(言い換えれば、平面視において、隣り合うスロット部2c・2cの各側面に沿う)形状としている。尚、巻線3aの始端および終端は外部に取り出されて電源等に接続されるものであるが、本実施例で示すステータコイル3では、巻線3aの始端および終端の記載は、説明の便宜上省略している。
図1に示す如く、ステータコイル3は、トゥース部2bの個数と同じ個数(本実施例では12個)が備えられ、各トゥース部2b・2b・・・に一つずつステータコイル3を被装している。そして、各トゥース部2b・2b・・・に一つずつステータコイル3を被装することにより、各スロット部2cにおいて、隣り合う二つのステータコイル3・3を一組として保持する構成としている。
本発明の一実施例に係るステータ1に用いられるステータコイル3は、図3(b)に示すように、巻線3aを巻回軸X方向に対して湾曲させて、ステータコイル3全体を巻回軸X方向に対して板バネのように挙動させる構成としており、巻回軸Xの方向に弾性を有している。
ステータコイル3は、図3(a)に示す高さHが、定常状態では図3(b)に示すように高さHとなるものであり、この高さHは、図2に示すスロット部2cの深さDに比して大きい寸法(即ち、D<H)としている。
また、ステータコイル3は、巻回軸X方向に押圧することにより、図3(a)に示す高さHを、図3(b)に示すように高さHまで縮小することができ、この高さHは図2に示すスロット部2cの深さDに比して小さい寸法(即ち、D>H)としている。
尚、ここで言うステータコイル3の高さHは、巻回軸X方向において最も離間した二位置の距離を意味しており、ステータコイル3の巻回軸X方向におけるバネ高さを表している。また、ここで言う定常状態とは、ステータコイル3に対して、巻回軸X方向に押圧力や張力等を付与しておらず、重力のみが作用している状態を意味している。
図4(a)(b)に示す如く、楔4は、スロット部2cの半径方向内側の開口部を封止するための平面視において略台形状の部材であり、上底面4a、下底面4b、傾斜面4c・4cを形成している。
図1に示す如く、本発明の一実施例に係るステータ1において、楔4は、ステータコア2に形成されるスロット部2cの個数と同じ個数(本実施例では12個)が備えられ、各スロット部2c・2c・・・に形成される各溝部2e・2e・・・に一つずつ嵌挿される。そして楔4は、この嵌挿された状態においては、楔4の傾斜面4c・4cと溝部2eの傾斜面2f・2fの間で生じる楔効果により、ステータ1の半径方向への変位が規制される。これにより、楔4によって、スロット部2cの半径方向内側の開口部を確実に封止する構成としている。
そして、この楔4によって半径方向内側の開口部が封止されたスロット部2cに、隣り合うステータコイル3・3を一組として保持する構成としている。
次に、本発明の一実施例に係るステータ1におけるステータコイル3の保持方法について、図5〜図7を用いて説明をする。
図5(a)に示す如く、ステータコイル3をスロット部2cに保持するときには、まずトゥース部2bにステータコイル3を被装するとともに、ステータコイル3を巻回軸方向に押圧して、高さ(即ち、バネ高さ)Hがスロット部2cの深さD以下となるように縮小しておく。
次に、図5(b)に示す如く、楔4を溝部2eに嵌挿する。
そして、ステータコイル3に対する巻回軸方向への押圧を解除すると、ステータコイル3はステータ1の半径方向に伸長し、楔4の下底面4bおよびスロット部2cの底面2dを押圧する。
そして、図6(a)(b)に示す如く、ステータコイル3は、定常状態の高さHに比して小さい高さHとなる状態でスロット部2cおよび楔4によって形成される空間において保持される。
この空間は、楔4と溝部2eとの間に設定されたクリアランスαにスロット部2cの深さDを加算した高さとなるため、このときのステータコイル3の高さHは、(D+α)となる。尚このとき、H>(D+α)≧Hの関係となっている。
ステータコイル3は、巻回軸方向にはバネとして挙動し定常状態の高さHに復元しようとするため、ステータコイル3によって、スロット部2cの底面2dを半径方向外側へ常時押圧するとともに、楔4の下底面4bを半径方向内側へ常時押圧することができる。
これにより、ステータコイル3は、ステータ1の半径方向に対する変位が一定に保持される。
またこのとき、楔4の傾斜面4c・4cによって、溝部2eの傾斜面2f・2fが常時押圧される。
また、ステータコイル3・3の復元力(バネ力)によって、スロット部2cの底面2dおよび楔4の下底面4bを常時押圧すると、ステータコイル3・3と各部2c・4bとの間で摩擦力が生じるため、この摩擦力によって、ステータ1の回転軸方向に対する変位が一定に保持される。
このように、ステータコイル3は、弾性部材を別途設けなくとも、スロット部2cおよび楔4によって形成される空間において、ステータコイル3がステータ1の半径方向および軸方向に変位することを確実に防止することができる。
尚、本発明の一実施例に係るステータ1に用いられるステータコイル3は、例えば、図7(a)に示すように、巻線3aを湾曲方向を反転させた第二の実施態様に係るステータコイル13や、あるいは、図7(b)に示すように、湾曲方向が反転している巻線3aを組み合わせた第三の実施態様に係るステータコイル23等を採用することも可能であり、巻回軸方向に弾性変形してバネとして挙動する態様のものであれば、巻線3aの巻回態様を変更した種々の態様のステータコイルを採用することが可能である。
即ち、本発明の一実施例に係るステータ1は、円環状のコアバック部2aと、該コアバック部2aから所定の角度割で半径方向内側に突設される複数のトゥース部2b・2b・・・と、隣り合う各トゥース部2b・2b・・・によって、該各トゥース部2b・2b・・・の間に形成される複数のスロット部2c・2c・・・と、を備えるステータコア2と、複数のトゥース部2b・2b・・・に被装するとともに、複数のスロット部2c・2c・・・において保持するステータコイル3・3・・・と、各スロット部2c・2c・・・の半径方向内側の端部にステータコア2の回転軸に対して平行に形成される溝部2e・2e・・・に嵌挿する複数の楔4・4・・・と、を備え、複数の楔4・4・・・によって、各スロット部2c・2c・・・の半径方向内側に向けて開放される開口部を封止して、各スロット部2c・2c・・・において各ステータコイル3・3・・・を保持するステータ1であって、各ステータコイル3・3・・・を、巻線3aを巻回軸X方向に湾曲させながら巻回して、巻線3aの巻回軸X方向に対してバネとして挙動するように形成し、ステータコイル3の巻回軸X方向のバネ高さである高さHを、定常状態の高さHに比して巻回軸X方向に縮小させて高さHとした状態で、各スロット部2c・2c・・・において保持するものである。
また、本発明の一実施例に係るステータコイルの変位防止方法は、円環状のコアバック部2aと、該コアバック部2aから所定の角度割で半径方向内側に突設される複数のトゥース部2b・2b・・・と、隣り合う各トゥース部2b・2b・・・によって、該各トゥース部2b・2b・・・の間に形成される複数のスロット部2c・2c・・・と、を備えるステータコア2と、複数のトゥース部2b・2b・・・に被装するとともに、複数のスロット部2c・2c・・・において保持するステータコイル3・3・・・と、各スロット部2c・2c・・・の半径方向内側の端部にステータコア2の回転軸に対して平行に形成される溝部2e・2e・・・に嵌挿する複数の楔4・4・・・と、を備えるステータ1において、複数の楔4・4・・・によって、各スロット部2c・2c・・・の半径方向内側に向けて開放される開口部を封止して、各スロット部2c・2c・・・において各ステータコイル3・3・・・を保持するステータコイルの変位防止方法であって、各ステータコイル3・3・・・を、巻線3aを巻回軸X方向に湾曲させながら巻回して、巻線3aの巻回軸X方向に対してバネとして挙動するように形成し、ステータコイル3の巻回軸X方向のバネ高さである高さHを、定常状態の高さHに比して巻回軸X方向に縮小させて高さHとした状態で、各スロット部2c・2c・・・において保持するものである。
このような構成により、別部品としての弾性部材を用いることなく、スロット部2cにおいてステータコイル3が変位することを確実に防止できる。
次に、本発明の一実施例に係るステータにおいて、改良した楔を用いた場合の実施態様について、図8を用いて説明をする。
本発明の一実施例に係るステータ1では、楔4の傾斜面4c・4cによって、溝部2eの傾斜面2f・2fが常時押圧されている。このため、傾斜面4c・4cの挿入方向に対する摩擦係数を増大することにより、溝部2eにおいて楔4がズレる(変位する)ことをより確実に防止できる。
図8(a)に示す如く、改良した楔14は、傾斜面4c・4cにラック状の歯型5を形成している。
歯型5は、楔4の挿入方向となる長さ方向に対して直交する方向に、互いに平行となる凸状部5aと凹状部5bを交互に連続して形成することにより、楔14の挿入方向に対する摩擦係数を増大させる構成としている。
また歯型5は、凸状部5aのピッチpを、ステータコア2を形成する各電磁鋼板2g・2g・・・の板厚dの整数倍(即ち、p=n×d、nは正の整数)としている。
このように構成することにより、図8(b)に示すように、傾斜面4cに形成した全ての凸状部5a・5a・・・を、電磁鋼板2gに形成される各プレス垂れ部2h・2h・・・に同時に掛止させることができるため、楔14と傾斜面2fとの間で生じる挿入方向に対する摩擦力をより効果的に増大させることができる。尚、図8(b)では、n=1とした場合を例示している。
即ち、本発明の一実施例に係るステータ1およびステータコイルの変位防止方法は、ステータコア2を、板状部材である各電磁鋼板2g・2g・・・を積層して形成する場合において、楔4のステータコア2に対する当接面である傾斜面4c・4cに、電磁鋼板2gの板厚dを整数(n)倍した距離をピッチpとして、楔14の挿入方向に対して連続する複数の凸部である凸状部5a・5a・・・を形成するものである。
このような構成により、楔14とステータコア2との間で生じる摩擦力を増大することができ、楔14がズレることを確実に防止して、スロット部2cにおいてステータコイル3が変位することを確実に防止できる。
尚、本実施例では、弾性力を有するステータコイル3・3・・・を採用したステータ1に改良した楔14・14・・・を適用した場合を例示して説明をしたが、この改良した楔14は、従来のスロット部2cに別途弾性部材を挿入して弾性力を付与する構成のステータであっても適用することができ、従来のステータに改良した楔14を適用した場合であっても、ステータコイルをより確実に保持する効果が期待できる。
次に、本発明の一実施例に係るステータにおいて、改良した別の楔を用いた場合の実施態様について、図9を用いて説明をする。
本発明の一実施例に係るステータ1では、楔4の下底面4bとステータコイル3との間で生じる摩擦力によって、ステータコイル3がステータ1の回転軸方向に変位することを防止する構成としているため、楔4の下底面4bのステータ1の回転軸方向に対する摩擦係数を増大させることによって、より確実にステータコイル3が変位することを防止できる。
図9(a)に示す如く、改良した楔24は、下底面4bに粗し面6を形成しており、楔24において、下底面4bのステータ1の回転軸方向に対する摩擦係数を増大させる構成としている。
粗し面6は、楔24の挿入方向となる長さ方向に対して直交する方向に、互いに平行となる凸状部6aと凹状部6bを交互に連続して形成している。ステータ1では、回転軸方向と楔24の挿入方向が平行であるため、これにより、楔24におけるステータ1の回転軸方向に対する摩擦係数を増大させる構成としている。
このような構成とすることにより、図9(b)に示すように、楔24とステータコイル3との間で生じる摩擦力をさらに増大させることができ、スロット部2cにおいてステータコイル3が変位することをより確実に防止することができる。
尚、本実施例では、ラック上の歯形を有する粗し面6を形成することにより、下底面4bの回転軸方向に対する摩擦係数を増大させる場合を例示しているが、下底面4bの摩擦係数を増大させるために施す加工の態様はこれに限定するものではなく、例えば、下底面を梨地状に荒らしたような態様や、下底面に針状の突起を複数設けたような態様等であってもよく、下底面の回転軸方向に対する摩擦係数を増大させることができる態様であれば、種々の態様を採用することができる。
即ち、本発明の一実施例に係るステータ1およびステータコイルの変位防止方法は、楔24のステータコイル3に対する当接面である下底面4bに、ステータ1の回転軸方向に対する摩擦係数を増大する粗し面6を形成するものである。
このような構成により、楔24とステータコイル3との間で生じる摩擦力を増大することができ、スロット部2cにおいてステータコイル3が変位することをより確実に防止できる。
また、本実施例では、弾性力を有するステータコイル3・3・・・を採用したステータ1に改良した楔24・24・・・を適用した場合を例示して説明をしたが、この改良した楔24は、従来のスロット部2cに別途弾性部材を挿入して弾性力を付与する構成のステータであっても適用することができ、従来のステータに改良した楔24を適用した場合であっても、ステータコイルをより確実に保持する効果が期待できる。
さらに、本発明の一実施例に係るステータ1には、楔4を改良して、各楔14・24を組み合わせた態様(図示せず)とすることも可能である。
即ち、楔4の傾斜面4c・4cに複数の凸状部5a・5a・・・を形成し、さらに下底面4bに粗し面6(即ち、凸状部6a・6a・・・)を形成した態様(図示せず)の楔とすることによって、より確実にステータコイル3の変位を防止することが可能になる。
1 ステータ
2 ステータコア
2b トゥース部
2c スロット部
2e 溝部
3 ステータコイル
4 楔(第一の実施態様)
4b 下底面
4c 傾斜面
5 歯型
5a 凸状部
6 粗し面
14 楔(第二の実施態様)
24 楔(第三の実施態様)

Claims (6)

  1. 円環状のコアバック部と、
    該コアバック部から所定の角度割で半径方向内側に突設される複数のトゥース部と、
    隣り合う各トゥース部によって、該各トゥース部の間に形成される複数のスロット部と、
    を備えるステータコアと、
    前記複数のトゥース部に被装するとともに、前記複数のスロット部において保持する複数のステータコイルと、
    前記複数のスロット部の半径方向内側の各端部に前記ステータコアの回転軸に対して平行に形成される各溝部に嵌挿する複数の楔と、
    を備え、
    前記複数の楔によって、前記各スロット部の半径方向内側に向けて開放される各開口部を封止して、前記各スロット部において前記各ステータコイルを保持するステータであって、
    前記各ステータコイルを、
    巻線を巻回軸方向に湾曲させながら巻回して、前記巻線の巻回軸方向に対してバネとして挙動するように形成し、
    前記各ステータコイルの巻回軸方向のバネ高さを、定常状態に比して前記巻回軸方向に縮小させた状態で、前記各スロット部において保持する、
    ことを特徴とするステータ。
  2. 前記ステータコアを、板状部材を積層して形成する場合において、
    前記楔の前記ステータコアに対する当接面に、
    前記板状部材の板厚を整数倍した距離をピッチとして、前記楔の挿入方向に対して連続する複数の凸部を形成する、
    ことを特徴とする請求項1記載のステータ。
  3. 前記楔の前記ステータコイルに対する当接面を、
    前記ステータの回転軸方向に対する摩擦係数を増大させた粗し面とする、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステータ。
  4. 円環状のコアバック部と、
    該コアバック部から所定の角度割で半径方向内側に突設される複数のトゥース部と、
    隣り合う各トゥース部によって、該各トゥース部の間に形成される複数のスロット部と、
    を備えるステータコアと、
    前記複数のトゥース部に被装するとともに、前記複数のスロット部において保持する複数のステータコイルと、
    前記複数のスロット部の半径方向内側の各端部に前記ステータコアの回転軸に対して平行に形成される各溝部に嵌挿する複数の楔と、
    を備えるステータにおいて、
    前記複数の楔によって、前記各スロット部の半径方向内側に向けて開放される各開口部を封止して、前記各スロット部において前記各ステータコイルを保持するステータコイルの変位防止方法であって、
    前記各ステータコイルを、
    巻線を巻回軸方向に湾曲させながら巻回して、前記巻線の巻回軸方向に対してバネとして挙動するように形成し、
    前記各ステータコイルの巻回軸方向のバネ高さを、定常状態に比して前記巻回軸方向に縮小させた状態で、前記各スロット部において保持する、
    ことを特徴とするステータコイルの変位防止方法。
  5. 前記ステータコアを、板状部材を積層して形成する場合において、
    前記楔の前記ステータコアに対する当接面に、
    前記板状部材の板厚を整数倍した距離をピッチとして、前記楔の挿入方向に対して連続する複数の凸部を形成する、
    ことを特徴とする請求項4記載のステータコイルの変位防止方法。
  6. 前記楔の前記ステータコイルに対する当接面を、
    前記ステータの回転軸方向に対する摩擦係数を増大させた粗し面とする、
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のステータコイルの変位防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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