JP2011120596A - 精製ウイルス調製物の取得方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒトに適用される遺伝子治療に使用することができるウイルス粒子、特にアデノウイルス粒子、の粗製調製物の精製方法を提供する。
【解決手段】関心あるウイルス粒子、特にアデノウイルス粒子、を含有する粗製ウイルス調製物を精製する方法であって、上記方法が、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、またはそれらの誘導体から選ばれるポリマー、特にアガロースマトリックス、からなる吸着剤粒子を含有する流動床での吸着工程を含む、方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウイルス調製物の新規な精製方法に関する。本発明は、最も特定的には、特にヒトに適用される遺伝子治療の利用分野に関して価値がある。
遺伝子治療は、治療上関心ある、または免疫に関して関心ある遺伝子情報を、宿主細胞または生体に、この細胞またはこの生体内で治療または免疫効果を得る目的で移転することと定義される。ヒトに適用された最初のプロトコルは、アデニンデアミナーゼ(ADA) をコードする遺伝子の突然変異に関係する免疫不全を持つ患者に対して1990年9月に米国で開始された。この特定例において、このプロトコルは、その機能不全が遺伝病の原因であった欠陥遺伝子を、機能性遺伝子と置換することを含んでいた。この最初の実験の相対的な成功はこの技術の発展を鼓舞し、その適用はそれ以来、遺伝的および後天的の両方の他の病気 (がん、例えばエイズのような感染症) の治療に拡張されてきた。
遺伝子治療プロトコルの実施は、宿主細胞または生体への移転と、場合により関心ある遺伝子情報または遺伝子の該細胞または生体中での発現とを可能にするベクターの使用に主に基づいている。ウイルスまたは非ウイルス起源の多くのベクターがここ数年にわたって開発され、当業者に利用可能な膨大な刊行物の主題となってきた (例えば、Robbins et
al., 1998, Tibtech, 16, 35-40およびRolland, 1998, Therapeutic Drug Carrier Systems, 15, 143-198を参照) 。
遺伝子治療ベクターとして使用されてきたウイルスの価値は、従来技術に既に言及されている。最も汎用のウイルスとしてアデノウイルスが好まれるベクターとなっているが、その理由は、アデノウイルスが分裂細胞または静止細胞のいずれであるかに関係なく多くの細胞種の場合に使用でき、それらが組み込みをせず、相対的に病原性が低いからである。特許出願WO 94/28152 またはWO 94/12649 に記載されているように、これらは遺伝子治療の分野で多くの用途がある。ただし、他の多くのウイルスの特性もまた、ウイルス性遺伝子治療ベクターを開発するのに活用されてきた。例として、ポックスウイルスベクター、より具体的にはワクシニアウイルス由来もしくは修飾ウイルスアンカラ(MVA; EP 324350)由来のベクター、レトロウイルスベクター (Naldini et al., 1996, Science 272, 263-267) 等が挙げられる。
遺伝子治療プロトコルに現在使用されているウイルス、特にアデノウイルス類は、環境または宿主生体中でのそれらの伝播を避けるためにそれらの複製特性を変化させ、それらの免疫原性を低減し、かつ関心ある異種核酸配列の導入を可能にするようにゲノムを修飾
(欠失、突然変異等) させたウイルスである。より具体的には、特許出願WO 94/28152 に記載のように、これらのウイルスのゲノムは、感染性ウイルス粒子の産生に必須の領域を特異的に欠失させることができる。また、特許出願EP 83286, EP 110385, US 5185146 およびWO 97/02355 には、ウイルスベクターの開発に使用することができる天然に弱毒化したウイルス形態の同定が記載されている。関心ある少なくとも1つの遺伝子をゲノム中に導入したウイルスを「組換えウイルス」、拡張して「組換えベクター」と呼び、より具体的には、このような組換えウイルスは、宿主細胞または生体中でのこれらの遺伝子の発現に適したエレメントも含んでいる。
ウイルスは本質的に細胞内様式で多重化するという特徴を有する。さらに、遺伝子治療プロトコルの実施に関しては、関心あるベクター、特に関心ある組換えベクターを、特異的ポリペプチドと一緒に含有し、遺伝子治療用の製品として使用できるウイルス粒子、特
に感染性ウイルス粒子を有する必要がある。遺伝子治療プロトコルの分野で使用できるウイルス粒子の製造方法として、下記工程を含む方法が公知である:
(i) 粗製ウイルス粒子調製物を調製し、
(ii)この粗製ウイルス調製物を精製する。
粗製ウイルス粒子調製物は下記工程に従って得られる:
(a) 関心ある少なくとも1種のウイルスベクター、好ましくは関心ある組換えウイルスベクターで適当な細胞系を感染またはトランスフェクションする工程;
(b) 前記感染またはトランスフェクションした細胞系を、ウイルス複製およびウイルス粒子の産生が可能な条件下で培養する工程;
(c) 細胞を回収する工程;
(d) 特に、産生したウイルス粒子が培養工程中に培地中に放出されない場合に、産生した細胞内ウイルス粒子を放出するように、特に細胞溶解プロトコルに従って細胞を処理する任意工程;
(e) および、任意に、固定(c) または(d) で得られた混合物を、細胞性DNA の量を制限し、混合物の粘度を低減するよう意図したDNアーゼでさらに処理する工程。
細胞内で産生したウイルス粒子以外に、粗製ウイルス調製物は、あらゆる種類の構成成分、細胞破片(cellular debris) 、毒素等も含んでおり、これらは、遺伝子治療に使用できる精製ウイルス粒子を含む調製物を得ることを可能にする1または2以上の精製工程を実施することにより除去しなければならない。
従来技術の公知方法によると、粗製ウイルス調製物の精製は、塩化セシウム密度勾配上での超遠心 (Huyghe, B. et al., 1995, Human Gene Therapy, 6, 1403-1416)か、または充填床吸着 (Huyghe, B. et al., 1995, Human Gene Therapy, 6, 1403-1416)のいずれかにより実施される。
塩化セシウム密度勾配上での超遠心は多くの欠点がある。具体的には、塩化セシウムはヒトの治療用途には適合しない毒性化合物であり、これをさらなる精製工程により除去することが望ましい。さらに、この塩化セシウム密度勾配上での超遠心という方法は、少量の粗製ウイルス調製物の処理に特に適している。具体的には、超遠心分離装置は約600 mlの粗製ウイルス調製物しか処理することができない。このような量は、研究用の製造には非常に適しているが、工業的製造用の制約にうまく合致させことはできない。また、超遠心法は自動化することができない。最後に、この超遠心精製法を実施するのに必要な約40時間という時間の長さも、工業的製造を意図した場合には非常な制限因子となる。これらの各欠点は、この粗製ウイルス調製物の精製方法が工業的製造業者が必要とする収量およびコストの要件に適合しないことを示している。
充填床(packed-bed)吸着精製法は、沈降または圧密化してクロマトグラフィーカラムに入れた吸着剤の粒子を使用する方法である。この精製法によると、精製すべき粗製ウイルス調製物をカラムに投入し、連続的示差溶離(successive differential elution) を用いて精製する。しかし、特に細胞破片を含む粗製ウイルス調製物の複雑な組成のため、クロマトグラフィーカラムはしばしば詰まり、精製が面倒かつ非効率的になる。この閉塞を避けるため、クロマトグラフィーカラムに調製物を入れる前に、前記粗製ウイルス調製物を細胞破片を除去するように清澄化する工程を実施することができる。また、粗製ウイルス調製物の濃縮、pH調整または伝導率調整の工程、または該カラム上を通過させる工程を実施することも提案されている。これらの追加および必須工程により、この精製方法の総収率が低減し、満足すべき工業的実施に適当した生産収量を得ることができなくなる。
このような状況から、細胞培養液から、遺伝子治療に使用するのに十分な純度のウイルス粒子を製造する新規な方法を提供することは有利であろう。より詳しくは、上述した従来の方法は、精製すべき粗製ウイルス調製物の量に関して制限を生ずる工程 (超遠心) を含んでいる点で、および/または工程数が多すぎて、工業的規模での実施を満たすことができない約5〜20%の総収率の低下を生じるという点で、満足できない。
遺伝子治療用途に使用するウイルス粒子の工業的製造に完全に適した粗製ウイルス調製物の新規な精製方法がここに開発された。
本発明は、第一に、関心あるウイルス粒子、特にアデノウイルス粒子、を含有する粗製ウイルス調製物を精製する方法であって、少なくとも1つの流動床吸着工程を含むことを特徴とする方法に関する。
流動床吸着の原理を以下に簡単に説明する。より詳しい説明は"Expanded Bed Adsorption, Principles and Methods" - Pharmacia Biotech - Edition AAおよび米国特許5,522,993 に見られ、これらの文献は本明細書の一部を構成する。
吸着剤の固体粒子を一緒に沈降または圧密化する充填床吸着とは異なり、流動床吸着の根拠となる原理によると、該流動床中に含有させた吸着剤の固体粒子は、流体 (気体状または液体) 中で懸濁状態に維持され、こうして粒子間に自由空間を発生させる。この吸着剤粒子の懸濁は、1種または2種以上の力 (機械、電磁気、磁気、重力および電気等の力) の作用により得られる。液体または気体状流体中の吸着剤粒子の懸濁は、例えば、吸着剤粒子が自然に曝される重力場とは逆方向に流れる該流体の流れの組合わせにより得ることができる。吸着剤粒子を懸濁状態に保持するためのこの2つの力の方向および強度は当業者により容易に選択される。また、磁力および/または電気力に対して感受性にし、上述した吸着剤粒子の懸濁状態を得るのを可能にする、特定の組成を有する吸着剤粒子を使用することも可能である。最後に、吸着剤粒子それ自体が、適当な条件下での懸濁を可能にするのに十分な磁荷または電荷を有するようにすることも可能である。当業者であれば、本発明のこれらの変更例を実施するのに必要な知識を有している。
吸着剤粒子の展開または懸濁は、該粒子の間に空間の出現を発生させ、これらの空間は、粗製ウイルス調製物からの除去が望まれる細胞、細胞破片または他の望ましくない粒子の通過を可能にする。
本発明によれば、流動床吸着工程に使用する吸着剤粒子は、特に下記よりなる粒子から選択される:
−例えば、シリカ、デキストラン−シリカもしくはセルロース−二酸化チタン等の有機および/もしくは無機複合材料 (Gilcrist et al., 1994, Separations for Biochemistry, 3, pp. 184-190);
−例えば、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレンもしくはそれらの誘導体 (例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、CA2147115 を参照) 等のポリマー。
1つの具体的態様によると、吸着剤粒子はまた中心コアを有する。このような中心コアは特に、石英または不活性金属 (ジルコニウムのような) からなるコア (Hannson et al., 1994, Biotechnology, 12, 285-288; Hjorth et al., 1995, Bioseparation, 5, 217-223) か、またはコアを組み込んだ該吸着剤粒子を磁界、電界または電磁界の印加により流体中で懸濁状態に保持するのを可能にする組成を持つコア (例えば、B.E. Terranova及びM.A. Burns, "Continuous cell suspension processing using magnetically stabilized
fluidized beds", Biotechnology and Bioengineering, Vol. 37, pp. 110-120 (1991) を参照) から構成される。
本発明の好ましい形態によると、吸着剤粒子が、アンチリガンドに特異的かつ可逆的に結合することができる少なくとも1種のリガンドを、直接的または間接的に保有している。本発明によると、このアンチリガンドは、粗製ウイルス調製物からの精製が望まれる、関心あるウイルス粒子の全部または一部からなる。
用語「リガンド」は下記を意味するものである:
−関心ある該ウイルス粒子のタンパク質、特にキャプシドまたはエンベロープ (包膜) タンパク質、ヘキソン、ペントン (Hong et al., 1995, EMBO J., 14, 4712-4727)またはファイバー(Henry et al., 1994, J. Virol, 68, 5239-5246) のようなアデノウイルス粒子の表面に位置するタンパク質、等の全部または一部に特異的かつ可逆的に結合することができるポリペプチドの全部または一部。特に、これは抗体、特異的膜受容体、組換えペプチドまたはプロテインAの全部または一部でよい。
−関心ある該ウイルス粒子またはその構成成分 (上述したタンパク質のいずれか) を可逆的に結合させることができる、ポリペプチド以外の分子の全部または一部あるいは。例として、ヘパリンおよびIMAC (固定化金属アフィニティークロマトグラフィー) に使用するアフィニティーリガンドを挙げることができる。
−正電荷を持つ基、特に、例えば置換アミン、特にアルコール基で置換されたアミン、を有する塩基性基など。好ましくは、ジメチルアミノエチル(DMAE)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、トリメチルアミノエチル(TMAE)基、-R-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3基 (Q基とも呼ばれる、StreamlineTM樹脂−Pharmacia を参照) 、グアニジニウム基、またはポリエチレンイミン(PEI) のようなイミン基から選ばれた塩基性電荷基が選ばれよう。
−例えば、式:R-SO4 - で示されるサルフェート基、例えば、R=アルキル基 (例、メチルサルフェート) または式:R-COO- で示されるカルボキシレート基、例えば、R=アルキル基 (例、メチルカルボキシレート) 、またはさらには、式:R-PO4 - で示されるホスフェート基、例えば、R=アルキル基のような、負電荷を持つ基。
このような正電荷または負電荷を持つリガンドは、反対の電荷を持つアンチリガンドに特的に結合することができる。
本発明に関して、好ましい吸着剤粒子は、アガロースマトリックスからなり、石英製の中心コアおよび該アガロースマトリックスに共有結合したデキストラン鎖を含み、該アガロースマトリックスに正電荷を持つ基が結合しているものである。非常に好ましくは、吸着剤粒子は、Pharmacia 社から市販のXL型StreamlineTM樹脂であり、最も好ましくは、アガロースマトリックス(6%) からなり、石英製の中心コアおよび該アガロースマトリックスに共有結合したデキストラン鎖を含み、該アガロースマトリックスにQ基が結合している、StreamlineTM Q XL 樹脂である。
本発明はまた、前記リガンドが吸着剤粒子に間接的に結合している場合にも関する。この場合、該リガンドは、アンチリガンドに対する該リガンドの反応性を妨害しない化学アームを介して結合される。このようなアームとその使用は、化学合成に関連する文献に広く記載されている。
特に電荷を持つリガンドを有する吸着剤粒子を使用する場合、特異的リガンド/アンチリガンド結合を最適化するように、本発明の方法を実施するpHを選択することも可能である。例えば、特に表面タンパク質が大部分は 5.3〜6.0 の範囲内の等電点(pI)を有するアデノウイルス粒子を精製するために、塩基性基を有する吸着剤粒子の使用を選択した場合、ウイルスタンパク質の大部分が負電荷を持ち、吸着剤粒子の塩基性基と相互作用するように、pHは約6〜約10、有利には約 7.5〜約9.5 の範囲となり、好ましくは約8.5 となろ
う。逆に、本発明に係る方法が負電荷を持つ基を有する吸着剤粒子を使用する場合は、選択するpHは約 3.5〜約5.0 の範囲内となろう。さらに、特に、負電荷を持つリガンドを有する吸着剤粒子を使用する場合、ウイルスタンパク質のpIより低いpHで作用させることもできる。この場合には、ウイルス粒子を安定化させるため、高伝導率の緩衝剤を使用する必要がある。当業者であれば、緩衝液を使用するか、または必要に応じてそれぞれpHを増大または低下させるために塩基または酸を添加することにより、pHを調整することができる。
本発明の方法を実施するには、リガンドは、関心あるアンチリガンドに可逆的に結合することができなければならない。当業者であれば、リガンドに応じて、使用するアンチリガンドおよび吸着剤粒子の最適条件を確立することができる。指標として、400 mMの最終NaCl濃度で平衡化した緩衝液が、組換えアデノウイルスを精製するためにStreamlineTM Q
XL 樹脂を用いて本発明に係る方法を実施するのに特に適している。リガンド/アンチリガンド解離は、任意の適当な手段、特に反応媒質の塩分濃度またはpHを変化させることによりにより生じさせればよい。好ましくは、この解離は塩分濃度の増大により生じさせる。
また、本発明によれば、取得し、本発明の方法に従って処理したサンプルに対して、当業者に公知の任意の手段により、特に連続的に、精製方法を監視することができる。特に、260 nmおよび280 nmでの吸光度の分光光度法による測定を行って、全ての精製ウイルス調製物がある特性 OD260/OD280 比を有するという知識に基づいて、各サンプルの OD260/OD280 比を算出することができる。指標として、精製アデノウイルス調製物の OD260/OD280 比は約1.25 (1.22〜1.28) である。例えば、電気泳動、PCR および免疫蛍光法、ならびにウイルス力価を決定する方法といった、慣用の検出法を用いて、精製方法を監視することも可能である。
本発明に係る方法を実施する温度は、好ましくは−5℃〜+50℃の範囲内である。ただし、精製したいウイルス粒子の感染性を保存するには、ほぼ+4℃〜+37℃、より好ましくはほぼ約15℃〜+25℃の範囲の温度が好ましいであろう。
1好適態様によると、本発明に係る方法は、約25〜約70 mS/cm、有利には約30〜約40 mS/cm、そして好ましくは約30〜約35 mS/cmの範囲内の伝導率条件下で実施される。ただし、不純物 (汚染物質) の性質およびウイルス粒子の培地の組成に従って伝導率を変化させることは当業者の技術範囲内である。有利には、関心あるウイルス粒子および吸着剤粒子を同じ伝導率条件で平衡化する。
流動床を形成する、即ち、吸着剤粒子を懸濁状態にする際に、これらの粒子が「再循環回転 (recirculated roling)」と呼ばれる永久円形運動を行うことがある。この現象は粒子の吸着能力を低減させ、従って、可及的に少なくすべきである。可能な解決策の1つは、サイズの不均一な吸着剤の粒子を使用することである。具体的には、不均一なサイズ分布は、最小の容積の吸着剤粒子を、吸着剤粒子を入れた装置、例えば、カラム、の上部に位置させることができる。逆に、最も大きな粒子は該装置の下部に位置し、それによって粒子の運動性をかなり減少させることができる。
従って、本発明に係る吸着剤粒子は、それらのサイズ (粒度) が不均一になるように選択することが好ましい。
再循環回転の形成を避ける別の解決策は、吸着剤粒子の運動の可能性を制限するために、装置を区画に分けることである (A. Buijs and J.A. Wesselingh, 1980, Journal of Chromatography, Vol. 201, pp. 319-327) 。
上述したように、本発明に係る方法を実施するには、吸着剤粒子を装置内で懸濁状態に保持する。有利には、該装置は円筒形状で、好ましくはクロマトグラフィーカラムである。本発明に係る方法の1好適態様において、米国特許5,522,993 に記載のクロマトグラフィーカラムを選択する。このカラムは、その両端のそれぞれに、カラムを出入りする流出液と溶離液とが循環する時に通過する少なくとも1つの入口または出口を有する。この特定の例によると、特にカラムの下端に位置する入口から緩衝液を導入し、その上端に位置する出口から緩衝液を排出することにより得た緩衝液の上昇流をクロマトグラフィーカラム内で適用することにより、吸着剤粒子にまず展開段階を受けさせる。この展開段階は「流動床」が得られるまで、即ち、吸着剤粒子をカラムの下端の方向に引きつける地球の重力とカラムの上端の方向に向かう緩衝液の上昇流の同伴力との間で平衡が得られるまで、保持する。
本発明によると、粗製ウイルス調製物は、少なくとも1つの流動床吸着工程を含む精製方法を受けさせる。より具体的には、装置がカラムである場合、「流動床」が得られた後、精製すべき粗製ウイルス調製物をカラムに注入する。該カラムが米国特許5,522,993 に記載されたようなものである本発明の好適例の場合、粗製ウイルス調製物はこのカラムの下部に導入する。次に、緩衝液を通過させて、粗製ウイルス調製物を洗浄する。好ましい例では、緩衝液を上昇流で通過させる。洗浄段階の後、吸着剤粒子を沈降させるために、緩衝液の流れを停止する。好ましい例によると、この沈降段階は、緩衝液の下降流により助けられる。次いで、吸着剤粒子上に吸着されたウイルス粒子の放出を可能にするために当業者が調整することができる濃度、pHおよび/または伝導率条件下で、緩衝液の流れ、特に下降流を適用することにより、溶離工程を実施する。また、クロマトグラフィー条件を、各種パラメータ、特にカラム容積、選択した吸着剤粒子、該カラム内の吸着剤粒子の高さ (一般に10〜50 cm 、有利には10〜40 cm 、好ましくは30 cm 前後) 、流速 (50〜600 cm/h、有利には 100〜400 cm/h、特に高さ約30 cm のStreamlineTM Q XL 樹脂のカラムに対しては、好ましくは300 cm/h前後) 、ウイルス濃度、注入量ならびに/または汚染物質の性質、に応じて調整することは当業者の技術範囲内である。ウイルス調製物は、例えば、溶離液の塩分濃度またはpHを変化させることにより溶離させてもよい。
本発明に係る方法は、流動床クロマトグラフィーの前か後に追加工程を含んでいてもよい。1任意態様によると、流動床クロマトグラフィー工程後に得られた溶離ウイルス画分をプールし、場合により従来技術に従って濃縮することができる。特に接線限外濾過(tangential ultrafiltration)および透析濾過(diafiltration) を挙げることができる。BioMax PES (Millipore 参照番号PXB300C50)およびPLCMK (Millipore参照番号PXC300C50)カセットが最も特に好適である。この濃縮工程は、流動床クロマトグラフィー以外のクロマトグラフィーの追加工程によるウイルス粒子調製物の純度の完全化を想定している場合に最も特に指示される。この濃縮工程により、この第2のクロマトグラフィーを実施するのに適した媒体中にウイルス粒子を置くことができる。
特定の1態様によると、本発明に係る粗製ウイルス調製物の精製方法は、充填床クロマトグラフィー工程、好ましくはゲル濾過クロマトグラフィー工程をさらに含んでいてもよい。この2工程 (流動床吸着工程および充填床クロマトグラフィー) は、任意の順序で実施することができるが、好ましくは流動床吸着工程を最初に実施し、その後で充填床クロマトグラフィー、特にゲル濾過クロマトグラフィーを実施する。
ゲル濾過クロマトグラフィー工程によると、直径3〜160 μm、有利には5〜105 μm、好ましくは10〜80μmのビーズを含む固体担体上でサンプルを処理する。この担体はウイルスの寸法に近い気孔度を有するので、ウイルスはビーズ内に侵入しない。他方、これより寸法が小さい分子はビーズ内に侵入するので、その移行は遅くなる。主成分がアガロース (Sepharose)、デキストラン (Sephadexゲル) 、アクリルアミド (Sephacryl および
Trisacryl ゲル) 、シリカ (TSK およびSWゲル) 、エチレングリコール/メタクリレートコポリマー (Biosec, Toyopearl HW, TSK およびPWゲル) 、ならびに混合物、特にアガロースとデキストランの混合物 (Superdexゲル) であるマトリックスといった各種の担体を使用することができる。上に挙げた担体は、官能化基を持たずに使用することが好ましい。本発明に係る精製方法を実施するのに特に適したゲル濾過クロマトグラフィー担体は次の通りである。
−アリルデキストラン/メチレンビスアクリルアミド・マトリックス (ビーズ直径25〜75μmのSephacryl S300 HR 、ビーズ直径25〜75μmのSephacryl S400 HR 、ビーズ直径25〜75μmのSephacryl S500 HR およびビーズ直径40〜105 μmのSephacryl S1000 SF; Pharmacia)、
−エチレングリコール/メタクリレート・マトリックス (ビーズ直径20〜60μmのToyopearl HW 55, Toyopearl HW 65, Toyopearl HW 75; Tosohaas)、
−N-アクリルアミノヒドロキシプロパンジオール・マトリックス (ビーズ直径80〜160 μmのTrisacryl; Biosepra)、または
−アガロース・マトリックス (ビーズ直径20〜80μmのMacro-Prep SE; Biorad)。
指標として、Toyopearl HW65F もしくはS(気孔1000Å) またはSephacryl S400HR型の担体が好ましいことが認められよう。このようなカラムを、担体とウイルス粒子との間の疎水性相互作用を制限する塩類条件およびpHを示す緩衝液中で平衡化させる。有利には、2 mM MgCl2、2%スクロースを含有する25 mM Tris-HCl緩衝液 (pH 8.5) または10 mM アスパラギン酸ナトリウム、54 mg/l Tween 80および2%スクロースを含有する10 mM Tris-HCl緩衝液 (pH 8.5) が使用されよう。関心あるウイルス粒子を保持せずに溶離させ、より低分子量またはより小サイズの汚染物質より前にカラムから出す。1任意態様によると、精製工程後に得られたウイルス画分を引き出し、慣用技術に従って任意に濃縮してもよい。接線限外濾過および透析濾過を挙げることができる。BioMax PES (Millipore 参照番号PXB300C50)およびPLCMK (Millipore参照番号PXC300C52)カセットが最も特に好適である。
本発明は、下記工程(i) および(ii)を含む、遺伝子治療に使用することができるウイルス粒子の製造プロトコルにも関する:
(i) 下記工程を含む粗製ウイルス調製物の製造工程:
(a) 関心ある少なくとも1種のウイルスベクター、好ましくは関心ある組換えウイルスベクターで適当な細胞系を感染またはトランスフェクションし;
(b) 前記感染またはトランスフェクションした細胞系を、ウイルス複製およびウイルス粒子の産生が可能な条件下で培養し;
(c) 細胞および/または上清を回収する、
(ii)上述したような少なくとも1つの流動床吸着工程を含むことを特徴とする方法による、該粗製ウイルス調製物の精製工程。
好ましい特定の例によると、細胞を回収する工程(c) の後に、細胞内様式で産生したウイルス粒子の放出を可能にするため、一般には回収した細胞バイオマスを再懸濁させた後、細胞破壊もしくは溶解工程を行う。この工程には、あらゆる慣用手段、特に化学的および/または機械的手段を使用しうる。例えば、細胞膜を弱くする凍結/解凍サイクル、酵素溶解 (細胞膜を分解する酵素を使用) 、または化学的溶解 (洗浄剤、pH衝撃等) を実施してもよい。機械的手段は、超音波 (音波処理) 、微粉砕 (DynoMillもしくはBeadMillガラスビーズ) 、圧力および剪断力 (French Press高圧ホモジナイザー) 、ミクロ流体 (Microfludics、 Newton, MA)、または液体圧および機械的剪断力を発生する2シリンダの機械作用 (Silverson ホモジナイザー) の結果でよい。
ただし、ウイルス粒子が培地中に放出される場合には、この細胞破壊/溶解工程は、除
外されはしないが、必須ではない。この場合には、細胞と培地の両方を含むサンプルに、または精製すべきウイルス粒子を含有する培養上清だけに、工程(ii)を直接適用することができる。
本発明に係るプロトコルは清澄化工程を含んでいてもよく、この工程の目的は、細胞破壊または溶解工程中に生成する可能性のある不溶物 (細胞破片、巨大分子の凝集物、等) を除去することである。清澄化工程は、任意の慣用の濾過技術 (デプス濾過、接線ミクロ濾過、等) または遠心分離 (連続遠心分離、等) を使用して実施しうる。ウイルス粒子を通過させ、不溶物を保持することができる気孔を有する限り、多くのフィルターを使用しうる。アデノウイルス粒子の大きさは約0.07〜0.1 μmであり、この寸法は高い気孔率のフィルターの使用を必要とすることが指摘される。さらに、フィルターの材料は合成材料
(ナイロン) 、有機材料 (セルロース) または非有機材料 (ジルコニウム) でよい。有利な1態様によると、気孔が低減する複数のフィルターを用いて連続濾過を行う。例えば、まず気孔8μmのフィルター (Sartorius 5591301P5-00) 、次に気孔5μmのフィルター
(Sartorius 5591342P5-00) 、次に気孔3〜0.8 μmのフィルター (Sartorius, Sartoclean CAカプセル5621304E9-00-A) 、その後、場合により、気孔 0.8〜0.65μmのフィルター (Sartorius, Sartoclean CAカプセル5621305G9-00-A) を使用する。別の変更例によると、濾過を、アデノウイルスの寸法より大きな気孔を持つ平膜または中空繊維を用いた接線ミクロ濾過により実施してもよい。これに関して、Durapore (Millipore)およびOmega (Pall)膜を使用しうる。
また、遺伝子治療プロトコルの分野で使用できるウイルス粒子を製造するための本発明に係るプロトコルは、細胞の破壊後にかなりの量で存在する核酸を分解するための少なくとも1つの工程を含んでいてもよい。このために、エンドヌクレオアーゼまたはエクソヌクレアーゼ型の非特異的制限酵素を使用することができる。1好適態様によると、選択する酵素はベンゾナーゼであり、場合により脂質の沈殿を促進するβ−シクロデキストリンを共存させてもよい (推奨最終濃度は、ベンゾナーゼ5〜50 U/ml およびβ−シクロデキストリン 0.1〜10%、特に1.5 %) 。
本発明のプロトコルは、包膜ウイルスを不活化する任意工程を含んでいてもよい。この工程は、特にアデノウイルス調製物の場合に、最終生成物の安全性を改善し、精製アデノウイルス調製物の品質を高めることができる。包膜ウイルス不活化工程の1例は仏国特許出願第98/16147号に記載されている。不活化工程と核酸分解工程を同時に行うことも可能である。
本発明に係るウイルス粒子の製造プロトコルはまた、滅菌濾過工程を含んでいてもよく、この滅菌濾過工程は好ましくは前記製造方法の工程(c) または(ii)の後に行われる。0.22μmフィルターを使用することが有利であろう。例えば、Minisart (Sartorius 、参照番号SM16534) Sartolab P20 (Sartorius、参照番号18053D) 、Millex GF (Millipore、参照番号SLGS025BS)、Millex GV (Millipore、参照番号SLGV025BS)、Millex GP (Millipore、参照番号SLGPR25LS)、あるいはSpirale Cap (Super CQS 92 HSもしくはHPバージョン、Gelman Sciences)、Criticap 50 (12995, Gelman Sciences)またはMillipak (Millipore 参照番号MPGL04SK2)もしくはMPGL02SH2)型を挙げることができる。
本発明に係る、粗製ウイルス調製物の精製方法およびウイルス粒子の製造プロトコルは、例えば、アデノウイルス、ポックスウイルス、イリドウイルス、パポーバウイルス、ロタウイルス、パルボウイルス、ヘパドナウイルス、ヘルペスウイルス、レオウイルス、コロナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、モノネガウイルス、アレナウイルス、ブニヤウイルス、オルトミクソウイルス、カルシウイルス、またはピコルナウイルス粒子といった、特に遺伝子治療用途、特に免疫調製物の製造用途に対して関心あるウイルス粒子
を含むウイルス調製物に関係する。好ましくは、これらのウイルス粒子は組換えウイルスを含有する。本発明によると、精製しようとする粗製ウイルス調製物は、異なるウイルス起源の1種または2種以上のウイルス粒子を含有していてもよい。
本発明の方法およびプロトコルの実施は、複製欠損組換えアデノウイルスを含む精製アデノウイルス粒子を得るのに最も特に適している。「組換え」なる用語は、宿主細胞中でのその発現に適したエレメントの制御下に置かれている少なくとも1種の関心ある遺伝子の存在を意味する。「複製欠損」なる用語は、利用可能な遺伝子情報が宿主細胞中で考慮するウイルスの自律的な複製を許さないことを意味する。この場合、ウイルス粒子の産生は、その欠損した一般に組換え体のウイルスにより、相補性細胞と呼ばれる適当な細胞の任意の適当な手段による感染またはトランスフェクションを必要とする。これらの相補性細胞は、ウイルス粒子の形態の欠損ウイルスの複製および集合に必要な情報をトランスで与える。このような系統およびそれらの使用は、文献に広く記載されている (例えば、出願WO 94/28152 もしくはWO 97/00326; 293系、Graham et al., 1977, J. Gen. Virol.36,
59-72; Lusky et al., 1998, J. Virol. 72, 2022〜2032を参照) 。他のウイルスに関しては、より特異的であるが、完全に支配された細胞培養条件を必要とする (例えば、VV, MVA,レトロウイルス等を参照) 。感染またはトランスフェクションした相補性細胞を広範に記載された条件下で、ウイルスを複製し、ウイルス粒子を集合させるのに十分な時間培養する。
本発明の他の特徴および利点は、以下の実施例を読むと明らかとなろう。ただし、本発明はこれらの実施例の内容に制限されるものではない。
以下の実施例で使用した組換えアデノウイルスは、Chartierら (1996, J. Virol. 70, 4805-4810)に記載されている相同的組換え法を用いて構築した。使用した構築物は、Maniatisら (1989, Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY もしくはより最近の版) に詳述されている遺伝子工学および分子クローニングの一般的な方法に従って、または市販キットを使用した場合には製造業者の推奨に従って、調製した。クローニング工程は、E. coli 5K株 (hsdR, mcrA), DH5a [(recA1, endA1, hodR17 (r-m-), supE44 thi-1, gyrA (nair)]またはNM55 (supE, thi, D(lac-proAB), Dhsd5, (r-m-), (F' proAB, lacl q, ZMD15)を使用し、相同的組換えのクローニング工程は、E. coli BJ 5183 株 (Hanahan, 1983, J. Mol. Biol. 166, 557-580)を使用する。制限部位の修復に関して、使用した方法は、E. coli DNA ポリメラーゼI の大断片 (Klenow, Bohringer Manheim)を使用して、張出し(overhanging) 5'末端を充填することからなる。このDNA 断片はGeneCleanIITM DNA精製キット (Bio101Inc.) を使用して精製する。また、ウイルス構築物に用いたアデノウイルスゲノムの断片は、Genebankデータバンクに参照番号M73260として開示されているように、Ad5 ゲノムのヌクレオチド配列におけるそれらの位置に従って正確に指示される。
細胞生物学に関しては、当業者に周知の標準的方法に従って細胞をトランスフェクションまたは形質導入し、培養する。293 (ATCC CRL-1573), A549 E1+ (WO 94/28152) および293-E4ORF6+7 (Lusky et al., 1998, J. Virol. 72, 2022-2032)細胞系を使用する。他の細胞系も使用できることは当然である。細胞は、1 mMグルタミン、1%アミノ酸 (Gibco BRL)、40 mg/l ゲンタマイシンおよび10%ウシ胎児血清 (SVF, Gibco BRL) を添加したDMEM (Dulbecco修飾Eagle 培地, Gibco BRL)培地中、5%CO2 で富化した高湿度雰囲気中37℃の培養条件に保持する。細胞のトランスフェクションは常法 (リン酸カルシウム沈殿法等) に従って行われる。
以下の実施例は、マーカー遺伝子または治療用遺伝子を発現する組換えアデノウイルス
を用いて実施した。これらはAd5 血清型由来のものであり、下記構造を有している:
−AdTG6297は、欠損がE1機能 (nt 459〜3328の欠失) とE3機能(nt 28592 から30470 までにわたるXbaI断片の欠失) にあるアデノウイルスベクターであり、そのゲノム中に、E1領域の置換物として、GFP タンパク質 (グリーン蛍光タンパク質) をコードするマーカー遺伝子用の発現カセットが挿入されている。GFP タンパク質は、蛍光を発することにより光励起 (485 nm) に対して反応し、その発光強度をフィルター (535 nm) で測定する。より正確には、前記カセットは、CMV プロモーターとそれに続くキメライントロン、GFP タンパク質をコードする配列、およびSV40ウイルスのポリAから構成される。イントロン配列は、pCI プラスミド (Promega Corp. pCI 哺乳動物発現ベクターE1731)から隔離され、ヒトb-グロビン遺伝子のイントロン1のスプライス供与部位と、さらにマウスイムノグロビンの遺伝子の分枝点およびスプライス受容部位とを含んでいる。ウイルス粒子はAdTG6297ベクターをE1相補性細胞系 (293 またはA549 E1+) 中にトランスフェクションし、許容細胞系 (E1相補性細胞系) 上での連続継代により増幅する。
−AdTG5643ベクターは、E1 (nt 459〜3328) 、E3 (nt 28592〜30470)およびE4 (nt 32994〜34998)の各領域が欠失した、ヒトCFTR治療用遺伝子を発現するベクターである。その発現カセットは、CMV 初期プロモーター、CFTR cDNA およびラビット b−グロビン遺伝子のポリAからなり、これが欠失したE1配列の代わりに挿入されている。ウイルス粒子は、AdTG5643ベクターをE1およびE4相補性細胞系 (293-E4OFR6+7) 中にトランスフェクションすることにより産生され、ウイルスストックは許容細胞系 (E1およびE4相補性細胞系) 上での連続継代により作製される。
−AdTG13383 ベクターは、E1 (nt 459〜3511) およびE3 (nt 28539〜30470)の各領域が欠失した、ヒトIL2 治療用遺伝子を発現するベクターである。その発現カセットは、CMV 初期プロモーター、pCI (上記) から隔離された合成イントロン、ヒトIL-2をコードするcDNA、およびSV40ポリAからなり、これが欠失したE1配列の代わりに挿入されている。ウイルス粒子は、ベクターpTG13383をE1相補性細胞系中にトランスフェクションすることにより産生される。ウイルスストックは許容細胞系 (E1相補性細胞系) 上での連続継代により作製される。
相補性細胞からのウイルスの調製
A549-E1+細胞を、1×106 細胞/mlの濃度に達するまで培養皿で培養した後、約3のMOI の量でAdTG6297の予備ストックを感染させる。感染させた細胞を、感染から72時間後に回収し、低速で遠心分離する。得られたペレットを、血清を含まない約600 mlの培地にとる。こうして得られた調製物は、約20 lの培養液の量に相当する。
4200 rpmの回転速度にセットしたSilverson ホモジナイザー (L4R-Silverson)の機械作用に7〜10分間曝して細胞を破壊した後に、細胞内ウイルス粒子を放出させる。この段階では、細胞破壊後のゲノムDNA の放出により調製物は非常に粘稠である。100 mM Tris, 4
mM MgCl2 および4%スクロースからなり (pH 8.5) 、可溶化剤のTween 80 (Merck 参照番号8-22187-1000) を2%の濃度で予め添加した緩衝液を、ベンゾナーゼの最適作用を可能する量でウイルス調製物に加える。この混合物を室温で攪拌してから、50 U/ml の割合でベンゾナーゼ (Merck 参照番号101697) を添加し、攪拌しながら室温で反応を1〜2時間続けさせる。
細胞培養液からのウイルスの調製
細胞と培養液上清 (約20 lの量) を感染から72時間後に回収し、この混合物を、精製すべき粗製ウイルス調製物を得るように、細胞崩壊工程により直接処理する以外は、実施例
1を再現する。
流動床クロマトグラフィー工程を用いた粗製ウイルス調製物の精製
実施例3の目的は、精製ウイルス粒子を得るための本発明に係る方法の1態様を例示することである。
最初に、実施例1および2で得られた粗製ウイルス調製物のいずれか一方を、包膜ウイルスを不活化する工程に付す。この不活化工程は、最終濃度がそれぞれ0.3 %および1%のTNBP/Tween 80 (トリブチルホスフェート参照番号:24 0494 Aldrich)の作用により行う。これを行うため、実施例1または2で得られた粗製ウイルス調製物を、2 mM MgCl2、2%スクロース、450 mM NaCl および0.6 %TNBP (Aldrich 24-049-40)を含有する50 mM Tris緩衝液 (pH 8.5) 中に、同容積量で (volume-for-volume)希釈する。1 mM MgCl2、2%スクロース、2 M NaClおよび3%TNBP (Aldrich 24-049-40)を含有する、より高濃度の50 mM Tris緩衝液 (pH 8.5) を用いて、1/10の量でウイルス調製物に加えることもできる。使用する塩濃度条件 (最終400 mM) はクロマトグラフィーの平衡条件に相当することは認められよう。TNBP/Tween80 の作用は、攪拌しながら (500 rpm)、室温で3時間または4℃で4時間続ける。
不活化した粗製ウイルス調製物に、次いで流動床イオン交換クロマトグラフィーを受けさせる。これを行うため、2 mM MgCl2、2%スクロース、400 mM NaCl を含有する50 mM Tris緩衝液 (pH 8.5) を使用して予備平衡化したStreamlineTM Q XL 型 (参照Parmacia 17-5075-01)の樹脂を入れたカラムに、ウイルス調製物を注入する。カラム内に緩衝液の上昇流を作り出すように、前記緩衝液をクロマトグラフィーカラムの底部に導入し、カラムの頂部から出すようにする。 100〜300 cm/h、好ましくは150 cm/hの流速を用いて、カラムの平衡化と精製すべき粗製ウイルス調製物の注入とを行う。その後、カラムに適用したウイルス調製物を、上昇および下降方向に緩衝液を何回か流してすすぐ。この操作の目的は、非イオン特異的相互作用により吸着されたか、または機械的に捕捉された最初の部分の汚染物質を除去することである。その後、イオン特異的相互作用によりクロマトグラフィー担体に吸着された各種の細胞構成成分を、漸増する塩分濃度 (425 mM, 450 mM, 500 mM NaCl)を含有する平衡化緩衝液を適用することにより段階的に溶離させる。緩衝液の流れが下降し始めた後は、50〜150 cm/h、好ましくは100 cm/hの流速を適用する。溶出液を分画回収する。各画分を260 nmおよび280 nmで吸光度を測定することにより分析する。一般に、280 nmだけで検出されるタンパク質は、425 mMのNaCl濃度を含有する緩衝液により溶離する。第2の溶離ピークは、280 および260 nmで検出される。これは、関心あるアデノウイルス粒子を含有し、塩分濃度が450 mMの緩衝液により溶離する。この第2の溶離ピークに対応する画分を抜き出し、場合によりゲル濾過クロマトグラフィーにかける。
流動床クロマトグラフィーカラムは、表1に示した一連の工程により再生、洗浄および処理することができる。
Figure 2011120596
このゲルは、その後、0.01 M NaOH 中で数週間保存することができる。
ウイルス粒子の取得方法からの収率は下記のように算出することができる。
Figure 2011120596
IUは感染単位の数値を意味する。
本発明の方法は、約20リットルの量の粗製ウイルス調製物を精製することができ、その間に同時に流動床クロマトグラフィー工程の後で約80%の総収率が得られる。これに対し、従来技術の方法は、最高でも、充填床クロマトグラフィー工程の後で約60%の収率を得ることができるのがせいぜいである。
抗がん (IL-2遺伝子の移入) 用の感染性アデノウイルス粒子の臨床バッチの調製
E1相補性細胞をバイオリアクター内のExcell 525培地 (JRH Biosciences)中で1×106 細胞/mlの濃度が得られるまで培養した後、約10のMOI となる量でAdTG13383 の予備ストックを感染させる。感染から72時間後に、感染細胞と培養液の上清 (約20 lの量) を回収
する。50 Hz の回転速度 (速度8.1)にセットしたSilverson ホモジナイザー (275 UHLS) の機械的作用に細胞を7〜10分間さらして破壊した後、細胞内ウイルス粒子を放出させる。
こうして得た粗製ウイルス調製物を、不溶物 (細胞破片、巨大分子の凝集物、等) を除去するために清澄化工程により処理する。これは、最初に気孔8μmのフィルター (Sartopure 300 PP2 5592501)、次に気孔5μmのフィルター (Sartopure 300 PP3 5592542)、そして最後に、気孔3〜0.8 μmのフィルター (Sartorius, Sartoclean CAカプセル5621304E9-00-A) という、気孔が漸減する複数のフィルターでの逐次的な濾過により行う。
清澄化したウイルス調製物に、DNA 分解工程 (ベンゾナーゼ作用) と、同時に包膜ウイルスの不活化工程 (0.3%TNBP/1%Tween 80混合物の作用) とを受けさせる。これを行うため、清澄化したウイルス調製物に、2%の濃度でTween 80 (Merck 参照番号8-22187-1000) を添加した、4 mM MgCl2および4%スクロースを含有する100 mM Tris 緩衝液 (pH
8.5) を同じ量だけ添加する。この混合物を室温で攪拌してから、ベンゾナーゼ (Merck 参照番号101697) を10 U/ml の割合で、およびTNBP (Aldrich 24-049-40)を0.3 %の最終濃度で添加する。室温で攪拌 (500 rpm)しながら反応を2時間続ける。
こうして得られたウイルス調製物を、流動床イオン交換クロマトグラフィーを実施するのに最適な35 mS/cmの伝導率を得るように、50 mM Tris, 2 mM MgCl2, 2%スクロースおよび2 M NaCl中に希釈する。
伝導率を調整したウイルス調製物を、2 mM MgCl2, 2%スクロースおよび360 mM NaCl を含有する50 mM Tris緩衝液 (pH 8.5) を用いて予備平衡化したStreamlineTM Q XL 型 (参照 Pharmacia 17-5075-01)の樹脂を入れたカラムに注入する。この緩衝液をクロマトグラフィーカラムの底部に導入し、カラムの頂部から出して、カラム内に緩衝液の上昇流を作り出すようにする。カラムの平衡化とウイルス調製物の注入の間、300 cm/hの流速を適用する。注入し終わった後、非イオン特異的相互作用により吸着されたか、または機械的にブロックされた汚染物質を除去する目的で、上昇および下降方向で緩衝液を複数回流してカラムをすすぐ。次いで、漸増する濃度の塩 (650 mM, 2 M NaCl) を含有する平衡化用緩衝液を適用して、イオン特異的相互作用によりクロマトグラフィー担体に吸着された各種の細胞構成成分を段階的に溶離させる。緩衝液の流れが下降し始めたら、150 cm/hの流速を適用する。溶出した画分を、260 nmおよび280 nmでの吸光度を測定することにより分析する。ウイルス粒子はこの二つの波長でOD 260/OD 280比が約1.25 (1.22〜1.28) の吸光度を示し、一般に650 mMの塩濃度領域に溶出ピークが存在する。
流動床クロマトグラフィーカラムは、上述したプロトコルに従って再生および洗浄することができる。
流動床クロマトグラフィー後に得られた、アデノウイルス粒子を含有する画分を、Labscale (Millipore)でBioMax PESカセット (Millipore 参照番号PXB01MC50)を用いて、またはカットオフ閾値が300 kDa および1000 kDaのセルロース膜を用いて透析濾過により濃縮する。
濃縮したウイルス調製物を、次いでゲル濾過クロマトグラフィーに付す。これを行うため、54 mg/l Tween 80、2%スクロースおよび10 mM アスパラギン酸ナトリウムを含有する10 mM Tris緩衝液 (pH 8.5) を用いて予備平衡化したToyopearl HW65F 型 (参照番号Tosohaas 070465)の樹脂を入れたカラムにウイルス調製物を注入する。この緩衝液をクロマトグラフィーカラムの頂部から導入し、底部から取り出す。カラムの平衡化と濃縮ウイルス調製物の注入には30 cm/h の流速を使用する。カラムに適用したウイルス調製物 (カラム容積の約20%) を次いで、カラムを平衡化することができる緩衝液 (10 mM Tris, 54 m
g/l Tween 80、2%スクロース, 10 mM アスパラギン酸ナトリウム, pH 8.5) で下降方向にすすぐ。この操作の目的は、ゲルビーズから排除されるウイルスとは異なり、ゲルの細孔内を通過することにより通過速度が遅くなる、低分子量の汚染物質を除去することである。このクロマトグラフィー担体上で遅くなった各種の細胞構成成分をその後、なお同じ緩衝液で徐々に溶出させる。溶出液は分画回収する。各画分を260 nmおよび280 nmでの吸光度を測定することにより分析する。一般に、260 nmおよび280 nmで検出された最初のピークは関心あるアデノウイルス粒子を含有しているのに対し、280 nmだけで検出されたタンパク質汚染物質は第2の部分中に溶出する。第1のピークに相当する画分を抜き出し、場合により透析濾過により濃縮し、適当な組成の緩衝液 (例えば、食塩水または生理食塩水) 中に希釈し、0.22μm Sartolab P20 (Sartorius,参照番号18053D) で濾過してから、使用時まで保存する。
ウイルス粒子の取得方法における各工程での収率は次表のように算出することができる。
Figure 2011120596
IUは、Lusky ら (1998, J. Virol. 72, 2022-2032)に記載のように抗DBP 抗体による免疫蛍光を定量的に測定することにより求めた、感染単位の数値を意味する。
TPは、260 nmおよび280 nmで吸着剤を測定することにより求めた、ウイルス粒子の合計数を意味する。
本発明の方法は、約20リットルの量の粗製ウイルス調製物を精製することができ、同時に流動床クロマトグラフィー工程後に約90%の総収率を得ることができる。これに対し、従来技術の方法は、充填床クロマトグラフィー工程後にせいぜい約60%の収率を得ることができるにすぎない。ゲル濾過工程後の総収率は77〜86%である。

Claims (11)

  1. 関心あるウイルス粒子を含有する粗製ウイルス調製物を精製する方法であって、少なくとも1つの流動床吸着工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記流動床が吸着剤の粒子を含有し、機械、電磁気、磁気、重力および電気の力から選んだ1種または2種以上の力の作用下に該粒子を流体中に懸濁させることにより得たものであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 下記を含む、請求項2記載の方法:
    (a) 特に緩衝液の上昇流を適用することにより、吸着剤粒子をクロマトグラフィーカラム中で展開する段階、この展開段階は流動床が得られるまで続ける;
    (b) 前記粗製ウイルス調製物を、特に前記カラムの下部に注入する段階;
    (c) カラムに緩衝液を、特に上昇流で通過させることにより洗浄する段階;
    (d) 場合により緩衝液の下降流により助ける、沈降段階、
    (e) 該吸着剤粒子上に吸着されたウイルス粒子を放出させるため、特に下降流で、緩衝液の流れを適用することによる溶離工程。
  4. 前記吸着剤粒子がポリマー、より具体的にはアガロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、またはそれらの誘導体から選ばれたポリマー、からなることを特徴とする、請求項2または3記載の方法。
  5. 前記吸着剤粒子が、前記関心あるウイルス粒子の全部または一部からなるアンチリガンドに特異的かつ可逆的に結合することができる少なくとも1種のリガンドを保有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記リガンドが、正電荷を持つ基、有利には塩基性基、より具体的にはジメチルアミノエチル(DMAE)基、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、トリメチルアミノエチル(TMAE)基、-R-CH(OH)-CH2-N+(CH3)3 (Q) 基、グアニジニウム基、またはポリエチレンイミン(PEI) のようなイミン基から選ばれた基、からなることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 前記吸着剤粒子が、アガロースマトリックスからなり、石英製の中心コアおよび該アガロースマトリックスに共有結合したデキストラン鎖を含み、該アガロースマトリックスには前記正電荷を持つ基、特にQ基が結合していることを特徴とする、請求項2ないし6 のいずれかに記載の方法。
  8. 約25〜約70 mS/cm、有利には約30〜約40 mS/cm、そして好ましくは約30〜約35 mS/cmの範囲内の伝導率条件下で行うことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
  9. 下記工程(i) および(ii)を含む、遺伝子治療に使用することができるウイルス粒子の製造プロトコル:
    (i) 下記工程を含む粗製ウイルス調製物の調製工程:
    (a) 関心ある少なくとも1種のウイルスベクター、好ましくは関心ある組換えウイルスベクターを適当な細胞系に感染またはトランスフェクションし;
    (b) 前記感染またはトランスフェクションした細胞系を、ウイルス複製およびウイルス粒子の産生が可能な条件下で培養し;
    (c) 細胞および/または上清を回収する、
    (ii)請求項1〜8のいずれかに記載の方法による前記粗製ウイルス調製物の精製工程。
  10. さらに下記工程を含むことを特徴とする、請求項9記載のプロトコル:
    (i) 工程(c) の後の細胞破壊もしくは溶解工程、場合により核酸分解工程が後に続く、
    (ii)包膜ウイルスを不活化する工程、および/または
    (iii) 充填床クロマトグラフィー工程、特にゲル濾過クロマトグラフィー工程。
  11. 前記ウイルス粒子がアデノウイルス粒子であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法または請求項9もしくは10記載のプロトコル。
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