JP2011119607A - 窒化物系化合物半導体装置、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オーミック電極のオーミックコンタクト抵抗を確実に低減させる。
【解決手段】各オーミック電極3、4は、GaNキャップ層26表面のリセス28周辺部位に接触する第1電極51と、第1電極51に接触して、リセス28を介して2次元電子ガス層27に及ぶ第2電極52とを有している。第1電極51は、リセス28の開口部を囲む環状のものである。第2電極52は、第1電極51に重なる頭部52a、及びリセス28内に形成された柱状部52bからなる。第1及び第2電極51、52を第1及び第2温度でそれぞれ熱処理しているので、第1及び第2電極51、52のオーミックコンタクト抵抗を共に低減させ、各オーミック電極3、4そのもののオーミックコンタクト抵抗を低減させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物系化合物半導体装置、及びその製造方法に関する。
窒化物系化合物半導体装置としては、例えばHEMT(High Electron Mobility Transistor)と称されるものがあり、GaN 、InGaN 、AlGaN 、AlInGaNなどの窒化物系(GaN系)化合物により構成される。このGaN系化合物の半導体材料は、絶縁破壊電界が大きく、耐熱性に優れており、また電子の飽和ドリフト速度が速いことなどから、Si系やGaAs系化合物の半導体材料と比較して、高温動作や大電力動作などの点で優れた半導体装置の提供を可能にする。
この種のGaN系化合物半導体装置では、電極のオーミックコンタクト抵抗を低減することが課題となっており、このために半導体表面から半導体内の2次元電子ガス層に及ぶリセスを形成し、このリセス内に電極を形成して、電極と2次元電子ガス層間の距離を短縮させることがある。
例えば、特許文献1では、図5(a)、(b)に示すようにSiC基板101上に、バッファ層102、i-GaNチャンネル層103、i-AlGaNショットキー層104、及びGaNキャップ層105を順次積層して、各層101〜105からなる積層構造の半導体部106を構成している。このような積層構造においては、i-GaNチャンネル層103内に2次元電子ガス層107が形成される。更に、Arイオン注入によりアイソレーション領域111を形成し、GaNキャップ層105の表面から2次元電子ガス層107に及ぶ2つのリセス112を形成して、これらのリセス112内にそれぞれのオーミック電極113を形成している。
各リセス112は、レジストパターンを用いて、2次元電子ガス層107よりも最大で50nmほど深くエッチングされて形成される。引き続いて、Ti及びAlをそれぞれ15nm、100nmの厚みで連続蒸着し、リフトオフにより各オーミック電極113をパターンニングする。そして、各オーミック電極113のオーミックコンタクトを得るべく、窒素中2分間600℃の熱処理を施す。
特開2007−165446号公報
ところで、発明者等の研究により、リセス112においては、例えば2分間600℃の熱処理でオーミック電極113のオーミックコンタクト抵抗を低減させることができても、700℃以上の熱処理ではオーミック特性が劣化することが分かった。
一方、図5(a)、(b)から明らかなようにオーミック電極113の頭部にはそれぞれの鍔113aが形成されているが、この鍔113aがGaNキャップ層105の表面に接していることから、リセス111と同一条件の熱処理では、その鍔113aのオーミックコンタクトが得られず、700℃以上のより高温の熱処理でなければ、鍔113aのオーミックコンタクトが低減しないことも分かった。
これは、600℃の熱処理では、鍔113aとGaNキャップ層105間がショットキー接合となるためである。この場合、各オーミック電極113間に電圧を印加すると、低電圧側のオーミック電極113の鍔113aに接するGaNキャップ層105の部位に空乏層が発生し、オーミックコンタクトが得られない。
また、i-GaNチャンネル層103とi-AlGaNショットキー層104のヘテロ構造にAlNスペーサー層を介在させると、2次元電子ガス層107のシートキャリア濃度が高くなって、電子の移動度が上昇することが知られている。ただし、このAlNスペーサー層を含む積層構造では、AlNスペーサー層のバンドギャップが大きくて、AlNスペーサー層が電子にとっての障壁となることから、オーミック電極の鍔のオーミックコンタクトが当然に困難である。実験でも、そのような積層構造に適用されたオーミック電極の鍔については、700℃以上のより高温の熱処理でなければ、オーミックコンタクトが得られないことが分かった。
従って、特許文献1のようにオーミック電極を形成した後での600℃の熱処理だけでは、電極のオーミックコンタクト抵抗が十分に低減されない。
次に、図6に示すようなGaN系化合物半導体装置のモデルを想定して、オーミック電極のコンタクト特性を求めるシミュレーションを行ったので、その結果を図7及び図8のグラフに示す。
図6のGaN系化合物半導体装置では、SiC基板201上に、バッファ層202、i-GaNチャンネル層203、AlNスペーサー層204、i-AlGaNショットキー層205、及びGaNキャップ層206を順次積層し、i-GaNチャンネル層203内に2次元電子ガス層207を形成している。また、GaNキャップ層206の表面から2次元電子ガス層207に及ぶ2つのリセス211を形成して、これらのリセス211内にそれぞれのオーミック電極212を設け、この後に2分間600℃の熱処理によりリセス211におけるオーミック電極212のオーミックコンタクトを得ている。ただし、この2分間600℃の熱処理では、各オーミック電極212の鍔212aとGaNキャップ層206間にオーミックコンタクトが得られず、低電圧側のオーミック電極212の鍔212aに接するGaNキャップ層206の部位に空乏層213が発生する。
また、各リセス211の間隔Lを10μmとし、2次元電子ガス層207のシートキャリア濃度を6.0×1012cm-2とし、i-AlGaNショットキー層205の厚さを22nmとし、ピンチオフ電圧を−2.0Vとし、リセス211におけるオーミック電極212のオーミックコンタクト抵抗を0.2Ωmmとしている。
そして、リセス211からはみ出たオーミック電極212の鍔212aのはみ出し幅をLtとし、鍔212aのはみ出し幅Ltを0μm、つまり鍔212aを無くした状態で、半導体装置をオンにしたときの電流電圧特性と抵抗特性を求め、これらの特性を図7のグラフに示している。また、鍔212aのはみ出し幅Ltを1μmとした状態で、半導体装置をオンにしたときの電流電圧特性と抵抗特性を求め、これらの特性を図8のグラフに示している。
図7のグラフから明らかなようにオーミック電極212の鍔212aを無くした場合は、電流Iと電圧Vが比例関係にあり、抵抗値R(=8.7Ωmm)が一定に維持されるが、図8のグラフから明らかなようにオーミック電極212の鍔212aのはみ出し幅Ltを1μmとした場合は、電流Iと電圧Vが比例関係になく、電圧Vが高くなるにつれて抵抗値Rが10Ωmm近傍から急激に上昇して行く。
このシミュレーションからも明らかなようにオーミック電極を形成した後での600℃の熱処理だけでは、オーミック電極の鍔の影響によりオーミック電極のオーミックコンタクト抵抗が十分に低減しない。
尚、オーミック電極の鍔を無くすのは困難であって、通常はオーミック電極の鍔が形成されるが、鍔による影響を明確にするために、この鍔の無いオーミック電極を想定して、シミュレーションを行った。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、オーミック電極のオーミックコンタクト抵抗を確実に低減させることが可能な窒化物系化合物半導体装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の窒化物系化合物半導体装置は、第1窒化物系化合物半導体層と、前記第1窒化物系化合物半導体層に積層されて、この第1窒化物系化合物半導体層に2次元電子ガス層を生成する第2窒化物系化合物半導体層と、前記第2窒化物系化合物半導体層の表面側から前記2次元電子ガス層に及ぶリセスと、前記リセスに設けられたオーミック電極とを備える窒化物系化合物半導体装置であって、前記オーミック電極は、前記第2窒化物系化合物半導体部表面の前記リセス周辺部位に接触する第1電極と、第1電極に接触して、前記リセスを介して前記2次元電子ガス層に及ぶ第2電極とを有している。
このような本発明の窒化物系化合物半導体装置では、オーミック電極が第1電極と第2電極で構成されている。このため、第1及び第2電極を別々の工程で形成して、それぞれの最適な熱処理を施すことが可能であり、これらの最適な熱処理により第1及び第2電極のオーミックコンタクト抵抗の低減を図ることができる。すなわち、オーミック電極のオーミックコンタクト抵抗を低減させることができる。
また、前記第2電極が前記第1電極の表面一部に重なって接触している。
例えば、第1電極を先の工程で形成し、第2電極を後の工程で形成した場合は、第2電極が第1電極の表面一部に重なって接触することになる。
更に、前記第1窒化物系化合物半導体層と前記第2窒化物系化合物半導体層間に積層されたスペーサー層を備え、前記リセスが前記スペーサー層を介して2次元電子ガス層に及んでいる。
このスペーサー層は、2次元電子ガス層のシートキャリア濃度を高くして、電子の移動度を上昇させるために適用される。この場合は、第1電極がAlNスペーサー層を介して2次元電子ガス層に及ぶことになる。
例えば、前記第1窒化物系化合物半導体層はGaNで形成され、前記第2窒化物系化合物半導体層はALGaNで形成され、前記スペーサー層はAlNで形成されている。
また、前記第2窒化物系化合物半導体部表面にゲート電極を形成し、このゲート電極の両側に、前記オーミック電極をソース電極及びドレイン電極としてそれぞれ配置している。すなわち、本発明の窒化物系化合物半導体装置は、HEMTを構成する。
一方、本発明の製造方法は、第1窒化物系化合物半導体層と、前記第1窒化物系化合物半導体層に積層され該第1窒化物系化合物半導体層に2次元電子ガス層を生成する第2窒化物系化合物半導体層と、前記第2窒化物系化合物半導体層の表面側から前記2次元電子ガス層に及ぶリセスと、前記リセスに設けられたオーミック電極とを備える窒化物系化合物半導体装置の製造方法であって、前記第2窒化物系化合物半導体層の表面側から前記2次元電子ガス層に及ぶリセスを形成するリセス形成工程と、前記第2窒化物系化合物半導体部表面の前記リセス周辺部位に接触する第1電極を形成して、熱処理を施す第1電極形成工程と、前記第1電極に接触しかつ前記リセスを介して前記2次元電子ガス層に及ぶ第2電極を形成して、熱処理を施す第2電極形成工程とを含み、前記第1電極及び第2電極により前記オーミック電極を形成している。
このような本発明の製造方法では、第2窒化物系化合物半導体層表面のリセス周辺部位に接触する第1電極を形成して、熱処理を施してから、第1電極に接触しかつリセスを介して2次元電子ガス層に及ぶ第2電極を形成して、熱処理を施しているので、第1及び第2電極にそれぞれの最適な熱処理を施すことが可能であり、これらの最適な熱処理により第1及び第2電極のオーミックコンタクト抵抗の低減を図ることができる。すなわち、オーミック電極のオーミックコンタクト抵抗を低減させることができる。
例えば、前記第1電極形成工程における熱処理の第1温度は、前記第1電極と前記第2窒化物系化合物半導体部表面をオーミックコンタクト状態にする温度であり、前記第2電極形成工程における熱処理の第2温度は、前記第2電極と前記2次元電子ガス層をオーミックコンタクト状態にする温度である。
あるいは、前記第1電極形成工程における熱処理の第1温度は、前記第2電極形成工程における熱処理の第2温度よりも高い。
この場合は、高い方の第1温度による第1電極の熱処理を先に行うことになるので、低い方の第2温度による第2電極の熱処理が第1電極のオーミックコンタクト状態に影響を及ぼすことがない。仮に、低い方の第2温度による第2電極の熱処理を先に行ったならば、高い方の第1温度による第1電極の熱処理が第2電極のオーミックコンタクト状態に影響を及ぼすことになる。
このような本発明では、オーミック電極は、半導体部表面のリセス周辺部位に接触する第1電極と、第1電極に接触して、リセスを介して2次元電子ガス層に及ぶ第2電極とを有している。このため、第1及び第2電極を別々の工程で形成して、それぞれの最適な熱処理を施すことが可能であり、これらの最適な熱処理により第1及び第2電極のオーミックコンタクト抵抗の低減を図ることができる。すなわち、オーミック電極のオーミックコンタクト抵抗を低減させることができる。
本発明の窒化物系化合物半導体装置の一実施形態を示す断面図である。 図1の半導体装置における窒化物系化合物半導体部のバンド構造を示すバンド図である。 (a)〜(d)は、図1の半導体装置の製造工程を示す図である。 (a)、(b)は、図3(c)、(d)の製造工程の代わりに実施することが可能な他の製造工程を示す図である。 (a)、(b)は、従来の窒化物系化合物半導体装置をそれぞれ示す断面図である。 GaN系化合物半導体装置の従来モデルを示す断面図である。 図6の半導体装置におけるオーミック電極の鍔が無かった場合の電流電圧特性及び抵抗特性を示すグラフである。 図6の半導体装置におけるオーミック電極の鍔が有る場合の電流電圧特性及び抵抗特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の窒化物系化合物半導体装置の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の窒化物系化合物半導体装置1は、HEMT(High Electron Mobility Transistor)であって、窒化物系化合物半導体部2と、2つのオーミック電極3、4(ソース電極、ドレイン電極)と、1つのゲート電極5とを備えている。
窒化物系化合物半導体部2は、基板21上に、バッファ層22、チャンネル層23(第1窒化物系化合物半導体層)、スペーサー層24、ショットキー層25(第2窒化物系化合物半導体層)、及びキャップ層26を順次エピタキシャル成長させて積層したものである。このような積層構造においては、ショットキー層25がチャンネル層23に積層されることにより、チャンネル層23に2次元電子ガス層27が形成される。
より具体的には、Siからなる基板21上に、AlGaN及びAlNからなる超格子を3.8μmの厚みに成長させてバッファ層22を形成し、GaNを1.5μmの厚みに成長させてチャンネル層(以下GaNチャンネル層23と称す)23を形成し、AlNを1nmの厚みに成長させてスペーサー層(以下AlNスペーサー層と称す)24を形成し、AlGaN(AlxGa1-xN(0<x<1))を22nmの厚みに成長させてショットキー層(以下AlGaNショットキー層と称す)25を形成し、GaNを1nmの厚みに成長させてキャップ層(以下GaNキャップ層と称す)26を形成している。また、AlGaNショットキー層25のAl混晶比を20%に設定している。
基板21としては、Siの他に、SiC、サファイア、GaNなどからなるものを適用することができる。また、バッファ層22としては、超格子の他に、ダブルへテロなどの構造のものを適用することができる。これらの層21、22は、本実施形態の半導体装置1の主なる特徴を有する各オーミック電極3、4とは非接触であって、各オーミック電極3、4のオーミックコンタクト抵抗に影響を及ぼさないため、種々のものを適用することができる。
GaNチャンネル層23は、その層厚を厚くするのが望ましい。窒化物系化合物半導体装置1をパワーデバイスとして用いる場合は、GaNチャンネル層23の層厚を厚くした方が、各オーミック電極3、4(ソース電極、ドレイン電極)間に高電圧を印加したときにGaNチャンネル層23の破壊が生じ難いためである。
AlNスペーサー層24は、2次元電子ガス層27における電子の移動度及びキャリア濃度を高くするためにGaNチャンネル層23上に設けられている。
AlGaNショットキー層25は、その厚みを薄くするのが望ましい。これにより、各オーミック電極3、4と2次元電子ガス層27間の距離が短くなって、各オーミック電極3、4のオーミックコンタクトを実現し易くなる。
GaNキャップ層26は、プラズマ処理などでAlGaNショットキー層25にダメージを受けることを防ぐ目的で形成される。
このような窒化物系化合物半導体部2には、GaNキャップ層26の表面からGaNチャンネル層23の2次元電子ガス層27に及ぶ2つのリセス28が形成されており、これらのリセス28の部位にそれぞれのオーミック電極3、4が形成されている。
各オーミック電極3、4は、GaNキャップ層26表面のリセス28周辺部位に接触する第1電極51と、第1電極51に接触し、リセス28を介して2次元電子ガス層27に及ぶ第2電極52とを有している。第1電極51は、リセス28の開口部を囲む環状のものである。第2電極52は、第1電極51に重なる頭部52a、及びリセス28内に形成された柱状部52bからなる。第1及び第2電極51、52のいずれも、Hf層、Al層、Hf層、及びAu層を順次積層したものである。
第1及び第2電極51、52の材料としては、Hf、Al、及びAuの他に、Tiを含む合金、Moを含む合金、Vを含む合金、及びZrを含む合金、等を適用することができる。
ゲート電極5は、WN、Auからなる。Auの他に、NiPdの合金等を適用することができる。
図2は、窒化物系化合物半導体部2のバンド構造を示している。この図2から明らかなように、GaNチャンネル層23とAlGaNショットキー層25間にAlNスペーサー層24を入れたことで、2次元電子ガス層27における電子の移動度及びキャリア濃度が高くなるが、AlNスペーサー層24のバンドギャップが大きいため、AlNスペーサー層24が電子に対する障壁となって各オーミック電極3、4のオーミック特性の劣化の原因となる。
先に述べたように発明者等の研究により、リセスにおいては、例えば2分間600℃の熱処理でオーミック電極(第2電極52の柱状部52bに相当する)のオーミックコンタクト抵抗を低減させることができても、700℃以上の熱処理ではオーミック特性が劣化することが分かっている。また、オーミック電極の鍔(第1電極51に相当する)については、GaNキャップ層26の表面に接していることから、700℃以上のより高温の熱処理でなければ、鍔のオーミックコンタクトが得られないことも分かっている。従って、600℃の熱処理だけでは、オーミック電極のオーミックコンタクト抵抗が十分に低減されない。
そこで、本実施形態では、各オーミック電極3、4の第1及び第2電極51、52を別々に形成して、第1及び第2電極51、52の熱処理も別々に行って最適化し、これにより第1及び第2電極51、52を共にオーミックコンタクトさせている。
次に、図3(a)〜(d)を参照しつつ、そのような第1及び第2電極51、52の形成及び熱処理を含む窒化物系化合物半導体装置1の製造方法を説明する。
まず、図3(a)に示すようにSiからなる基板21上に、AlGaN及びAlNからなる超格子のバッファ層22を3.8μmの厚みで、GaNチャンネル層23を1.5μmの厚みで、AlNスペーサー層24を1nmの厚みで、AlGaNショットキー層25を22nmの厚みで、GaNキャップ層26を1nmの厚みで順次エピタキシャル成長させる。また、AlGaNショットキー層25のAl混晶比を20%に設定する。
次に、GaNキャップ層26の表面に、各オーミック電極3、4の第1電極51をパターニングするためのレジストパターンを形成して、厚さ10nmの Hf層、厚さ60nm のAl層、厚さ10nmの Hf層、及び厚さ60nm のAu層を順次蒸着する。そして、図3(b)に示すようにリフトオフにより各オーミック電極3、4の第1電極51を形成する。この後、2分間850℃(第1温度)の熱処理を施す。
この第1温度の熱処理により各オーミック電極3、4の第1電極51のオーミックコンタクトを得て、コンタクト抵抗を低減することができる。
尚、第1電極51の材質(Ti、Mo、V、Zrを含む合金)や窒化物系化合物半導体部2の積層構造等に応じて、第1温度を適宜に設定する必要があるが、第1温度を概ね700℃以上1000℃までの範囲で設定すれば、第1電極51のオーミックコンタクトを得ることができる。
次に、図3(c)に示すようなレジストパターン51を形成して、エッチングにより各リセス28を形成する。このとき、リセス28をGaNチャンネル層23とAlNスペーサー層24の界面よりも50nm深く形成する。また、エッチングには、2次元電子ガス層27のダメージを小さくするべく、Cl2ガスとBCl3ガスを用いた誘導結合型反応性イオンエッチング(Inductively Coupled Plasma - Reactive Ion Etching ; ICP-RIE)を適用するのが好ましい。
レジストマスク51は、その開口部がリセス28の開口部よりも大きくされている。このため、環状の第1電極51がマスクとなって、エッチングによりリセス28が形成され、第1電極51の開口部とリセス28の開口部がずれることなく確実に一致する。また、第1電極51の表層がAu層であることから、Cl2ガスとBCl3ガスを用いて、RIEエッチングを施しても、第1電極51のAu層のエッチングレートが非常に低く、第1電極51が殆どエッチングされることなく、リセス28が形成される。
次に、厚さ10nmの Hf層、厚さ60nm のAl層、厚さ10nmの Hf層、及び厚さ60nm のAu層を順次蒸着する。そして、図3(d)に示すようにレジストパターン51を除去して、リフトオフにより各オーミック電極3、4の第2電極52を形成する。このとき、第2電極52の頭部52aは、第1電極51よりも小さくて、第1電極51と同心状に重なり、第1電極51と第2電極52の頭部52a間に段差が形成される。また、第2電極52の柱状部52bは、リセス28を通じて、GaNチャンネル層23とAlNスペーサー層24の界面よりも50nm深く形成され、2次元電子ガス層27に接する。
この後、2分間650℃(第2温度)の熱処理を施す。この第2温度の熱処理により、各リセス28におけるそれぞれのオーミック電極3、4の第2電極52のオーミックコンタクトを得て、コンタクト抵抗を低減することができる。
尚、第2電極52の材質(Ti、Mo、V、Zrを含む合金)や窒化物系化合物半導体部2の積層構造等に応じて、第2温度を適宜に設定する必要があるが、第2温度を概ね500℃以上700℃までの範囲で適宜に設定すれば、第2電極52のオーミックコンタクトを得ることができる。
最後に、ゲート電極5をパターニングするためのレジストパターンを形成して、WN層、Au層を順次スパッタリングにより形成し、図1に示すようにリフトオフによりゲート電極5を形成する。
このような製造方法では、各オーミック電極3、4の第1及び第2電極51、52を別々に形成して、第1及び第2電極51、52を第1及び第2温度でそれぞれ熱処理しているので、第1及び第2電極51、52を共にオーミックコンタクトさせることができ、延いては各オーミック電極3、4そのもののオーミックコンタクト抵抗を低減させることができる。
そして、このような構造の窒化物系化合物半導体装置1においては、オーミック電極3(ソース電極)を低電圧側に、オーミック電極4(ドレイン電極)を高電圧側に設定して、各オーミック電極3、4間に電圧を印加しても、低電圧側のオーミック電極3の第1電極51に接するGaNキャップ層26の部位に空乏層が発生することはなく、この半導体装置1の特性が向上する。
また、より高い第1温度による熱処理を行ってから、より低い第2温度による熱処理を行っているので、低い方の第2温度による第2電極52の熱処理が第1電極51のオーミックコンタクト状態に影響を及ぼすことがない。仮に、低い方の第2温度による第2電極52の熱処理を先に行ったならば、高い方の第1温度による第1電極51の熱処理が第2電極31のオーミックコンタクト状態に影響を及ぼして、第2電極52のオーミック特性が劣化する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
例えば、図3(c)のレジストパターン51の代わりに、図4(a)に示すようなレジストマスク52を用いてもよい。このレジストマスク52は、その開口部がリセス28の開口部と一致している。この場合は、エッチングによりリセス28を形成した後に、Hf層、Al層、Hf層、及びAu層を順次蒸着し、レジストパターン52を除去して、図4(b)に示すような第2電極52を形成する。Hf層、Al層、Hf層、及びAu層の総厚に応じて、第2電極52の頂部が第1電極51の表面と同一高さになったり第1電極51の表面よりも低くあるいは高くなる。
また、AlNスペーサー層が無くても、本発明の窒化物系化合物半導体装置を構成したり製造することが可能であり、同様の作用効果を達成することができる。
更に、オーミック電極の第1及び第2電極の材質が相互に異なっていても構わない。
1 窒化物系化合物半導体装置
2 窒化物系化合物半導体部
3 オーミック電極
5 ゲート電極
21 基板
22 バッファ層
23 チャンネル層
24 スペーサー層
25 ショットキー層
26 キャップ層
27 2次元電子ガス層
28 リセス
31 第1電極
32 第2電極
51、52 レジストパターン

Claims (8)

  1. 第1窒化物系化合物半導体層と、前記第1窒化物系化合物半導体層に積層されて、この第1窒化物系化合物半導体層に2次元電子ガス層を生成する第2窒化物系化合物半導体層と、前記第2窒化物系化合物半導体層の表面側から前記2次元電子ガス層に及ぶリセスと、前記リセスに設けられたオーミック電極とを備える窒化物系化合物半導体装置であって、
    前記オーミック電極は、前記第2窒化物系化合物半導体部表面の前記リセス周辺部位に接触する第1電極と、第1電極に接触して、前記リセスを介して前記2次元電子ガス層に及ぶ第2電極とを有することを特徴とする窒化物系化合物半導体装置。
  2. 請求項1に記載の窒化物系化合物半導体装置であって、
    前記第2電極が前記第1電極の表面一部に重なって接触する窒化物系化合物半導体装置。
  3. 請求項1又は2に記載の窒化物系化合物半導体装置であって、
    前記第1窒化物系化合物半導体層と前記第2窒化物系化合物半導体層間に積層されたスペーサー層を備え、前記リセスが前記スペーサー層を介して2次元電子ガス層に及ぶことを特徴とする窒化物系化合物半導体装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化物系化合物半導体装置であって、
    前記第1窒化物系化合物半導体層はGaNで形成され、前記第2窒化物系化合物半導体層はALGaNで形成され、前記スペーサー層はAlNで形成されたことを特徴とする窒化物系化合物半導体装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化物系化合物半導体装置であって、
    前記第2窒化物系化合物半導体部表面にゲート電極を形成し、このゲート電極の両側に、前記オーミック電極をソース電極及びドレイン電極としてそれぞれ配置したことを特徴とする窒化物系化合物半導体装置。
  6. 第1窒化物系化合物半導体層と、前記第1窒化物系化合物半導体層に積層され該第1窒化物系化合物半導体層に2次元電子ガス層を生成する第2窒化物系化合物半導体層と、前記第2窒化物系化合物半導体層の表面側から前記2次元電子ガス層に及ぶリセスと、前記リセスに設けられたオーミック電極とを備える窒化物系化合物半導体装置の製造方法であって、
    前記第2窒化物系化合物半導体層の表面側から前記2次元電子ガス層に及ぶリセスを形成するリセス形成工程と、
    前記第2窒化物系化合物半導体部表面の前記リセス周辺部位に接触する第1電極を形成して、熱処理を施す第1電極形成工程と、
    前記第1電極に接触しかつ前記リセスを介して前記2次元電子ガス層に及ぶ第2電極を形成して、熱処理を施す第2電極形成工程とを含み、
    前記第1電極及び第2電極により前記オーミック電極を形成することを窒化物系化合物半導体装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の窒化物系化合物半導体装置の製造方法であって、
    前記第1電極形成工程における熱処理の第1温度は、前記第1電極と前記第2窒化物系化合物半導体部表面をオーミックコンタクト状態にする温度であり、
    前記第2電極形成工程における熱処理の第2温度は、前記第2電極と前記2次元電子ガス層をオーミックコンタクト状態にする温度であることを特徴とする窒化物系化合物半導体装置の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の窒化物系化合物半導体装置の製造方法であって、
    前記第1電極形成工程における熱処理の第1温度は、前記第2電極形成工程における熱処理の第2温度よりも高いことを特徴とする窒化物系化合物半導体装置の製造方法。
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WO2018110831A1 (ko) * 2016-12-13 2018-06-21 주식회사 웨이비스 질화물계 전자소자 및 그 제조방법

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