JP2011118338A - 吸音構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】屈曲により形成された凹部からなるセル13を片面側に複数有する非通気性のシート成形体11と、複数のセル13の開口部を覆うようにシート成形体11におけるセルの開口部側表面に積層した非通気性の表面シート21とで構成し、表面シート21を、シート成形体11における外周部16で固定し、隣り合うセル間の部分19ではシート成形体11に対して非固定とした。
【選択図】図2
Description
・実施例1
厚み1.0mmのポリプロピレンシートを真空成型し、図8及び図9のシート成形体11Aと同様のシート成形体Aを形成した。シート成形体Aの寸法は、190×190×27mmである。シート成形体Aにおけるセルは、開口部の形状が一辺40mmの正方形、高さ27mmであり、個数が4×4の16個である。また、隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図8及び図9の19Aの部分)の幅は6mm、シート成形体Aのセルの開口部側表面における外周部(図7及び図8の16Aの部分)の幅は6mmである。次に、190×190×1mmのポリプロピレンシートからなる表面シートを、シート成形体Aにおけるセルの開口部側表面に積層し、表面シートの全周囲をビニルテープによりシート成形体Aの外周部に接着固定して実施例1の吸音構造体を得た。実施例1の吸音構造体16個を、裏面全面に両面接着テープを貼り、それぞれの間を約10mm程度離しながら残響室の床面上に配置して、JIS A 1409に基づき残響室法吸音率を測定した。残響室容積は36m3である。その結果は、図12に示すように、400〜630Hzに吸音率のメインピークを有していた。
実施例1と同様にして得たシート成形体に対し、隣り合うセル間の部分(セルの山部)に接着剤(コニシ社製「GPクリヤー」)を塗布して、実施例1と同様の表面シートをシート成形体に接着し、さらに、表面シートの全周囲をビニルテープでシート成形体の外周部に接着固定して比較例1の吸音構造体を得た。比較例1に対して、実施例1と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図12に示すように、吸音率のメインピークが800Hzと大きく高周波数側にずれた。
実施例1で得たシート成形体の外周に、厚み0.6mmのポリプロピレンシートで、高さ27mmの外周側面(図3及び図4の外周側面17に相当)と、外周側面の端部から外方へ突出した幅5mmのフランジ部(図3及び図4のフランジ部18に相当)を、ビニールテープで接合した以外は実施例1と同様にして実施例2の吸音構造体を得た。この実施例2の吸音構造体に対して、実施例1と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図12に示すように、500Hz以上の吸音率に寄与するシート成形体の膜振動を抑制することができ、表面シートの膜振動によって400Hz付近の吸音率を向上することができた。
厚み0.7mmのポリプロピレンシートを用いて真空成型により、図3及び図4のシート成形体11と同様の外周側面17及びフランジ部18を有するシート成形体Bを形成した。シート成形体Bの寸法は、275×210×25mmである。シート成形体Bにおけるセルは、開口部の形状が49×46mmの長方形、高さが23mm(外周高さ25mmより若干低い)、個数が5×4の20個である。隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図3及び図4の符号19の部分)の幅は4mm、セルの開口部側表面におけるシート成形体Bの外周部(図3及び図4の16の部分)の幅は7mmである。また、外周側面(図3及び4の符号17の部分)の高さは25mm、フランジ部(図3及び図4の符号18の部分)の幅は7mmである。次に、275×210×1mmのポリプロピレンシートからなる表面シートをシート成形体Bにおけるセルの開口部側表面に積層し、表面シートの全周囲をビニルテープによりシート成形体の外周部に接着固定して実施例3の吸音構造体を得た。実施例3の吸音構造体の12個を、裏面に両面接着テープを貼り、それぞれの間を約10mm程度離して残響室の床面上に配置し、吸音率を測定した。その結果は、図13に示すように、400Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在している。
実施例3において表面シートの厚みを1.5mmとした以外は、実施例3と同様にして実施例4の吸音構造体を得て、同様にして吸音率を測定した。その結果は、図13に示すように、表面シートを厚くしたため、実施例3より1/3オクターブ程度低周波側の315Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在している。
実施例3において表面シートの固定をビニールテープに代えて、シート成形体Bのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)全体に塗布した接着剤(コニシ社製「GPクリヤー」)により行い、その他は実施例3と同様にして実施例5の吸音構造体を形成した。実施例5の吸音構造体を、裏面に両面接着テープを貼ることなく、そのまま残響室の床面上に12個並べて置き、吸音率を測定した。その際の吸音構造体間の間隔は10mm程度である。測定結果は、図13に示すように、実施例3の場合と同様に400Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在している。
実施例5において、表面シートの固定を、シート成形体Bのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)に、両面接着テープで4隅とその中心4点の計8点に約15mm幅接着固定し、その他は実施例5と同様にして比較例2の吸音構造体を形成した。比較例2の吸音構造体に対して、実施例5と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図13に示すように、吸音率のメインピークが630Hzにずれた。
厚み1.0mmのポリプロピレンシートを用いて真空成型により、図3及び図4のシート成形体11と同様の外周側面17及びフランジ部18を有するシート成形体Cを形成した。シート成形体Cの寸法は285×175mm×25mmである。シート成形体Cにおけるセルは、開口部の形状が50×50mmの正方形、高さが縁で25mm、中央部で20mm、個数が5×3の15個である。隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図3及び図4の符号19の部分)の幅は5mm、シート成形体Cのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)の幅は7.5mmである。また、外周側面(図3及び4の符号17の部分)の高さは25mm、フランジ部(図3及び図4の符号18の部分)の幅は5mmである。次に、シート成形体Cのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)全体に接着剤(コニシ社製「GPクリヤー」)を塗布し、285×175×0.5mmのポリプロピレンシートからなる表面シートをシート成形体Cのセルの開口部側表面に積層して、シート成形体Cの外周部(図3及び図4の16の部分)に接着剤で固定し、実施例6の吸音構造体を得た。実施例6の吸音構造体の12個を、裏面に両面接着テープを貼り、それぞれの間を約10mm程度離して残響室の床面上に配置し、吸音率を測定した。測定結果は、図14に示すように、表面シートの厚みが薄くなった分、吸音率のメインピークが1/3オクターブ程度高周波側の500Hzにずれた。
表面シートの厚みを0.5mmから1.0mmに変更した以外は、実施例6と同様にして実施例7の吸音構造体を形成し、実施例6と同様にして吸音率を測定した。その結果は、実施例3ではセルの高さが25mmであるのに対し、実施例7ではセルの底面中央部が盛り上がっており、縁で25mm、中央部で20mmの高さであるため、図14に示すように、吸音率は400Hzのメインピークが幾分低く、500Hz以上のピークも幾分高かった。
実施例7において、表面シートの固定を、シート成形体Cのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)の裏側から、超音波融着機(19.5kHz)を用いて4×70mmのホーンにて外周部全周のみについて融着し、その他は実施例7と同様にして実施例8の吸音構造体を形成して吸音率を測定した。その結果は、図14に示すように、実施例7に比して、400Hzのメインピークが幾分高く、500Hz以上のピークが幾分低くなった。
厚み0.6mmのポリプロピレンシートを用いて真空成型により、図3及び図4のシート成形体11と同様の外周側面17及びフランジ部18を有するシート成形体Dを形成した。シート成形体Dの寸法は、200×200×15mmである。シート成形体Dにおけるセルは、開口部の形状が44×44mmの正方形、高さが15mm、個数が4×4の16個である。隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図3及び図4の符号19の部分)の幅は4mm、セルの開口部側表面におけるシート成形体Bの外周部(図3及び図4の16の部分)の幅は6mmである。また、外周側面(図3及び4の符号17の部分)の高さは15mm、フランジ部(図3及び図4の符号18の部分)の幅は10mmである。次に、200×200×1mmのポリプロピレンシートからなる表面シートをシート成形体Dにおけるセルの開口部側表面に積層し、表面シートの全周囲を実施例8と同様に融着によりシート成形体の外周部に固定して実施例9の吸音構造体を得た。実施例9の吸音構造体16個を、フランジ部の4隅とその中心4点の計8点について両面テープ約20mm角にて床面に接着した以外は、実施例1と同様にして残響室の床面上に配置して吸音率を測定した。その結果は、図15に示すように、500Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在した。
実施例9において、シート成形体Dを厚み1.0mmのポリプロピレンシートから真空成型で形成した以外は実施例9と同様にして実施例10の吸音構造体を形成した。この実施例10の吸音構造体を、裏面の外周部となるフランジ部全周を両面テープにて床面に接着した以外は実施例9と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図15に示すように、実施例9に比してやや高周波数にシフトしているが500Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在した。
実施例10において、シート成形体Dの外周部を、図5の(5−1)のように外周部内側部161と外周部内側部161の外周に立設した外周部外枠部165とで構成したシート成形体D’を形成した。外周部内側部は幅6mm、外周部外枠部は(外周部内側部161より)更に高さ3mm高く、幅4mmである。表面シートを比較例2と同様にして両面接着テープでシート成形体D’の外周部内側部の4隅とその中心4点の計8点に約15mm幅に接着し、その他を実施例10と同様にして実施例11の吸音構造体を形成した。実施例11の吸音構造体を、実施例10と同様にして床面に接着して吸音率を測定した。その結果は、実施例5に対して比較例2が高周波側にずれたのに対し、実施例11は、図15に示すように実施例10とほぼ同等の吸音率であってメインピーク周波数のずれはなく、表面シートとシート成形体間に実質的に閉鎖空間が保持できたことを確認できた。
実施例10において、シート成形体Dのセル高さを14mmとし、四隅及び各辺の格子交点部各3ヶ所には係合用の窪みを設けてシート成形体D”とした。また表面シートは、図5の(5−3)のように、外周屈曲面212が前記シート成形体11の外周側面17に接するように、表面シート21の縁部211の外周にシート成形体11の側へ屈曲させた外周屈曲面212、外周屈曲面212の端部から外方へ屈曲したフランジ部213、更に、四隅及び各辺の均等に各3ヶ所にも係合用の窪みを設けた。本実施例の表面シートとシート成形体D”を嵌め込み圧着した吸音構造体を、実施例10と同様にして床面に接着して吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように図15の実施例10とほぼ同等の吸音率であってメインピーク周波数のずれはなく、表面シートとシート成形体間に閉鎖空間が保持できたことを確認できた。
実施例12のように16個配備した吸音構造体の各表面シートの上面に、更に実施例12の吸音構造体の裏面と全面両面テープにて各々接着固定して積層し、同様にして吸音率を測定した。その結果は、1層で30mm厚の場合は315〜400Hzのみのメインピークが予想されるのに対し、2層積層することで、図16に示すようにメインピーク周波数が315〜400Hzばかりでなく更に500〜2kHzについても高吸音率を保持し、ブロードな中心周波数の騒音、あるいは中心周波数が変化する騒音などに対し効率的に対策を講ずることができることが確認できた。
実施例12のように16個配備した吸音構造体の各表面シートの上面に、更にウレタンフォーム(イノアックコーポレーション社製「カームフレックスF2」)10mmを全面両面テープにて接着固定して積層し、同様にして吸音率を測定した。その結果は、図16に示すようにメインピーク周波数が400Hzにややシフトするとともに、更にウレタンフォームに由来したそれ以上の高周波数領域においても高吸音率を保持し、ブロードな中心周波数の騒音、あるいは中心周波数が変化する騒音などに対し効率的に対策を講ずることができることが確認できた。
実施例1〜12に相当する厚み15mmのウレタンフォームの吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように、高周波領域では高吸音率を示すが、500Hz付近では吸音率が低かった。
実施例14に相当する厚み25mmのウレタンフォームの吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように、この厚みにおいても1kHz付近以上の高周波領域では高吸音率を示すが、500Hz付近では吸音率が低かった。
実施例12において、使用する材料をポリ塩化ビニルとし、厚みを0.7mmとした以外は実施例12同様にして吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように、実施例12とほぼ同等の吸音特性であって、比重が1.3のため面密度が0.91kg/m2であり、厚み1.0mm、比重0.91のポリプロピレンシートの面密度0.91kg/m2とほぼ同等であったため、同等な吸音特性となることが確認できた。
実際の騒音対策に本発明の吸音構造体を用いることを想定して、実施例の12、13、14及び比較例3につき、残響室にて、ピンクノイズ(AP約82dBA)常時発生中の吸音構造体の有無による騒音レベルを差異を評価した。なお、配備した数量は12ケとし、ポリプロピレン(PP)シートに貼り付けた以外は実施例1の残響室法吸音率と同じ設置条件とし、吸音構造体12ケの中心上方1m地点で4方向から測定したLAeq値(10秒間の等価騒音レベル)の平均値とした。その結果を表3、及び図17に示す。
具体的には、以下の効果が得られる。
a.実施例12(1層):500Hz中心に効果が大きい。
b.実施例13(2層):より低周波の315、400Hz中心に効果が大きい。
c.実施例14(1層+ウレタンフォーム):400Hz中心に効果が大きく、高周波域も効果がある。
d.比較例3(ウレタンフォーム):1kHz以上の高周波域の効果が大きい。
更に騒音レベルを下げるためには(低減効率を高くするためには)、使用する吸音構造体の数量(面積)を増やせばよい。
なお、本来ピンクノイズは1/3オクターブ周波数に依存しない均一の騒音であるが、本参考例で用いたピンクノイズは高周波域の騒音レベルが高く500Hz前後の騒音レベルが低い騒音であったため、騒音レベルAP値の低減効果が低かった。逆に言えば、本吸音構造体は500Hz付近に特徴的な吸音ピークを持つため、500Hz前後が中心周波数である騒音でなければ、騒音レベルAP値の低減に有効ではないこともわかる。
11,11A シート成形体
13,13A セル
14,14A セルの開口部
15,15A シート成形体のセルの開口部側表面
16,16A セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部
17 外周側面
18 フランジ部
19,19a セル間の部分
21,21A 表面シート
31 多孔質吸音材
161,161A シート成形体の外周部における外周部内側部
165,165A シート成形体の外周部における外周部外枠部
211 表面シートの縁部
212 表面シートの外周屈曲面
213 表面シートのフランジ部
Claims (8)
- 屈曲により形成された凹部からなるセルを片面側に複数有する非通気性のシート成形体と、
前記複数のセルの開口部を覆うように前記シート成形体に積層された非通気性の表面シートとよりなり、
前記表面シートは、前記シート成形体の外周部で固定され、隣り合うセル間の部分では前記シート成形体に固定されていないことを特徴とする吸音構造体。 - 前記シート成形体は、セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部の縁から前記セルの開口部側表面とは反対側へ屈曲して形成された外周側面を有し、前記外周側面の端部から外方へ屈曲したフランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
- 前記表面シートの縁部に前記シート成形体の側へ屈曲させた外周屈曲面を設け、前記表面シートの外周屈曲面が前記シート成形体の外周側面に密着して前記表面シートと前記シート成形体間が閉鎖空間とされていることを特徴とする請求項2に記載の吸音構造体。
- 前記シート成形体は、セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部が、前記表面シートの縁部が載置される外周部内側部と、前記外周部内側部の外周に立設された外周部外枠部とよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の吸音構造体。
- 前記シート成形体は、真空成型により形成されたものであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の吸音構造体。
- 前記吸音構造体の前記表面シートの上面に、さらに他の前記吸音構造体の前記シート成形体の裏面を固定して前記吸音構造体を複数積層したことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の吸音構造体。
- 前記表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層したことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の吸音構造体。
- 前記複数積層された前記吸音構造体の最上位置の前記表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層したことを特徴とする請求項6に記載の吸音構造体。
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