JP2011118338A - 吸音構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】500Hz前後以下の低周波数領域において吸音率を高くでき、かつ厚みを薄くすることができ、さらに軽量かつ安価で、取付面に曲面部が存在する場合にも良好な取付が可能な吸音構造体の提供を目的とする。
【解決手段】屈曲により形成された凹部からなるセル13を片面側に複数有する非通気性のシート成形体11と、複数のセル13の開口部を覆うようにシート成形体11におけるセルの開口部側表面に積層した非通気性の表面シート21とで構成し、表面シート21を、シート成形体11における外周部16で固定し、隣り合うセル間の部分19ではシート成形体11に対して非固定とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、凹部からなるセルを片面側に複数有するシート成形体と、セルの開口部を覆うようにしてシート成形体に積層された非通気性の表面シートとよりなる吸音構造体に関する。
従来、隔壁で囲まれたセル(室)の平面形状が三角、四角、六角(ハニカム)、八角、あるいは円形からなるハニカムコアは、軽量で剛性を有することからパネルの構造体として使用されているが、吸音特性(整流効果)を有することも知られている。このハニカムコアの前面に直接多孔質吸音材を配置して吸音構造体とすることで、ハニカムコアの整流効果と背後空気層効果により、多孔質吸音材の高周波数対応吸音性を中周波数域の範囲まで向上させることが提案されている(特許文献1,2)。しかし、この構造によっては、500Hz以下の低周波数領域になると、ハニカムコアの厚みを50mm以上の厚いものにしなければ吸音性の向上効果が得られなくなり、吸音構造体が重くなったり、狭い場所には使用できなくなったりする問題がある。
また、板状体とハニカムコアの接着一体化により吸音パネルを構成したものも提案されている(特許文献3,4)。しかし、この構造のものは、吸音パネルとしての性能に劣ることから、主に遮音材として用いられている。
また、板状体の周辺に振動減衰部材(制振材)を介して取付け部を枠状に取付け、その枠を剛性の板部材に固定したものも提案されている(特許文献5)。しかし、この構造のものは、500Hz以下の低周波数領域で良好な吸音性が得られなかったり、厚みが大になったりする問題がある。
また、ハニカムコアを用いないで有機ハイブリッドシートを被せて75〜150mm角の気密空間を持たせて膜振動させる方法も提案されている(特許文献6)。しかし、その気密空間内にハニカムコアを用いていないため、薄くて吸音率の高い吸音材を効率よく得られていない。
これらの構造において、ハニカムコアを用いたものは、枠体を介して吸音材や板状体と接着一体化しており、製造工程が複雑となり、大きな吸音パネルとしては向いているものの、小型の吸音材とするには、高価でかつ重い問題がある。また、射出成型によってハニカムコアを形成する場合は、金型の費用が高価で、生産費用が嵩む問題がある。また、従来の吸音構造体は、ハニカムコアの剛性が高いため、取付面に僅かな曲面部が存在する場合、取付面に沿わせることが難しく、取付面との間に隙間を生じる問題がある。
このように、従来の吸音構造体は、500Hz以下の低周波数領域の吸音性に劣り、かつ、サイズが大きく、価格及び軽量性の点で劣り、さらに取付面に曲面部が存在する場合に良好な取付が難しいものである。
特開2005−247235号公報 特開2005−17636号公報 特開平8−151704号公報 特開2005−254478号公報 特開2005−134653号公報 特開2008−122933号公報
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、500Hz前後以下の低周波数領域において吸音率を高くでき、かつ厚みを薄くすることができ、さらに軽量かつ安価で、取付面に曲面部が存在する場合にも良好な取付が可能な吸音構造体の提供を目的とする。
請求項1の発明は、屈曲により形成された凹部からなるセルを片面側に複数有する非通気性のシート成形体と、前記複数のセルの開口部を覆うように前記シート成形体に積層された非通気性の表面シートとよりなり、前記表面シートは、前記シート成形体の外周部で固定され、隣り合うセル間の部分では前記シート成形体に固定されていないことを特徴とする吸音構造体に係る。
請求項2の発明は、請求項1において、前記シート成形体は、セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部の縁から前記セルの開口部側表面とは反対側へ屈曲して形成された外周側面を有し、前記外周側面の端部から外方へ屈曲したフランジ部を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2において、前記表面シートの縁部に前記シート成形体の側へ屈曲させた外周屈曲面を設け、前記表面シートの外周屈曲面が前記シート成形体の外周側面に密着して前記表面シートと前記シート成形体間が閉鎖空間とされていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1または2において、前記シート成形体は、セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部が、前記表面シートの縁部が載置される外周部内側部と、前記外周部内側部の外周に立設された外周部外枠部とよりなることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記シート成形体は、真空成型により形成されたものであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項において、前記吸音構造体の前記表面シートの上面に、さらに他の前記吸音構造体の前記シート成形体の裏面を固定して前記吸音構造体を複数積層したことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の吸音構造体。
請求項7の発明は、請求項1から5の何れか一項において、前記表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層したことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6において、前記複数積層された前記吸音構造体の最上位置の前記表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層したことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、表面シートがシート成形体の外周部で固定され、隣り合うセル間の部分ではシート成形体に固定されていないため、500Hz前後以下の低周波数領域において吸音率を高くでき、かつ吸音構造体の厚みを薄くすることができる。また、厚みを薄くできることにより、吸音構造体を軽量かつ安価なものにできる。さらに、請求項1の発明によれば、セルが屈曲により形成された凹部で構成され、かつ、隣り合うセル間の部分で表面シートがシート成形体に固定されていないため、セル間の部分で吸音構造体を曲げ易くなり、取付面に曲面部が存在する場合にも吸音構造体を良好に取り付ることが可能である。
請求項2の発明によれば、吸音構造体の取付に際し、フランジ部をタッカー等により取付部に固定することによって吸音構造体の取付を行うことができるため、取付作業が容易になる。
請求項3の発明によれば、接着・粘着、融着などの工程なく、表面シートとシート成形体を嵌め込むだけで吸音構造体となるので生産費用を安価にすることができる。
請求項4の発明によれば、外周部外枠部の存在により、表面シートの固定に際して位置決めが容易となり、また、表面シートの縁部を部分的に固定しても表面シートとシート成形体間を閉鎖空間とすることが可能であり、また、外周部外枠部で包囲される部分に表面シートを嵌め込むだけで表面シートを固定することが可能になるなど、表面シートの固定作業が容易となり吸音構造体の生産費用を安価にすることができる。
請求項5の発明によれば、シート成形体が、射出成型よりも金型費の安価な真空成型により形成されたものであるため、吸音構造体の生産費用を安価にすることができる。
請求項6〜8の発明によれば、メインピークばかりでなく、広い周波数に渡って高吸音率となり、ブロードな中心周波数の騒音、あるいは中心周波数が変化する騒音などに対し効率的に対策を講ずることができる。特に、請求項6においては一方の吸音構造体における表面シートの上面に他方の吸音構造体におけるシート成形体の裏面を固定し積層しているため、固定することなく単に積層した場合に得られる効果と比べて、表面シートの面密度が高くなってより高い吸音率が得られる。また、請求項7及び8においては、表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層しているため、固定することなく単に積層した場合に得られる効果と比べて、表面シートの面密度が高くなってより高い吸音率が得られる。
本発明の第1実施形態に係る吸音構造体の斜視図である。 図1の2−2断面図である。 第1実施形態における吸音構造体の分解斜視図である。 図3の4−4断面図である。 第2実施形態に係る各吸音構造体の断面図である。 第3実施形態に係る吸音構造体の斜視図である。 図6の6−6断面図である。 第3実施形態における吸音構造体の分解斜視図である。 図8の8−8断面図である。 第4実施形態に係る吸音構造体の断面図である。 第5実施形態に係る吸音構造体の断面図である。 残響室吸音率評価結果1のグラフである。 残響室吸音率評価結果2のグラフである。 残響室吸音率評価結果3のグラフである。 残響室吸音率評価結果4のグラフである。 残響室吸音率評価結果5のグラフである。 残響室におけるピンクノイズ常時発生時の各吸音材有無による騒音レベル差異のグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る吸音構造体について、図面を用いて説明する。図1及び図2に示す第1実施形態の吸音構造体10は、非通気性のシート成形体11と非通気性の表面シート21とよりなる。前記吸音構造体10の形状は平面視形状が長方形からなるが、他の形状であってもよい。
前記シート成形体11は、図3及び図4からも理解されるように、一枚の非通気性のシートを複数箇所で屈曲させて形成した凹部からなるセル(室)13を、片面側に複数有するものである。非通気性のシートとしては、樹脂、紙(ペーパー)、セラミックなどの不燃紙、アルミなどの金属等が挙げられるが、特に安価で成形性の優れた樹脂が好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、スチレンゴム、シリコンゴム、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などである。また、前記シート成形体11用のシートとしては、厚みが2mm程度までのシート(フイルムと称されるものを含む)を使用できるが、薄すぎると前記シート成形体11の強度低下を生じるばかりでなく、シート成形体11の膜振動が表面シート21の膜振動よりも優先(有効に効力を発揮)されるようになるので、1mm程度の厚みにしてシート成形体11の膜振動を抑え、前記表面シート21の膜振動を優先(有効に効力を発揮)させて低周波数領域での吸音率を向上させるのが好ましい。
前記セル13の開口部14の形状は、図示の例では、平面形状が四角からなるが、これに限られるものではなく、三角、六角、八角などの多角形からなるものや、円形などからなるものなどが挙げられる。特に、前記セル13は、強度や成形のし易さの点から、平面形状が四角形、六角形のものが好ましい。前記セル13の平面サイズは、小さすぎても大きすぎても吸音率が低下するため、一辺あるいは径が5〜75mmの大きさが好ましい。また、前記セル13の高さは、低すぎると吸音率が低下し、高すぎると前記シート成形体11の強度低下を生じることから、5〜50mmの範囲が好ましく、より好ましい範囲は10〜30mmである。さらに、前記セル13の配置は、図示の例は、複数のセル13が列と行を構成するように縦横に配置されているが、これに限るものではない。
さらに、本実施形態のシート成形体11は、セルの開口部側表面15におけるシート成形体の外周部16の縁から前記セルの開口部側表面15とは反対側へ屈曲して形成された外周側面17を有し、前記外周側面17の端部(開口部側表面15とは反対側端部)から外方へ屈曲したフランジ部18を有している。前記外周側面17は、前記シート成形体11の側部外周を包囲するスカート状となっている。前記外周側面17の存在により前記シート成形体11の膜振動を抑えることができ、前記表面シート21の膜振動による吸音率の向上を図ることができる。また、前記フランジ部18は前記吸音構造体10の取付部として用いることができ、接着剤、両面テープ、面ファスナーばかりでなく、タッカー、ねじ、釘、ピン、ビス等でフランジ部18を取付部に固定することにより、吸音構造体10を容易に取り付けることができる。
前記シート成形体11の成形は、例えば、樹脂製の一枚のシートから真空成型、型込め成形、圧着成形などにより容易に行うことができる。特に、成形作業性及び成形品質の点から真空成型が最も好ましい。
前記表面シート21は、非通気性のシートからなり、前記複数のセル13の開口部14を覆うように前記シート成形体11におけるセルの開口部側表面15に積層されている。前記表面シート21は、前記シート成形体11おけるセルの開口部側表面15におけるシート成形体の外周部16でシート成形体11に固定され、複数のセル13における隣り合うセル間の部分19では前記シート成形体11に固定されていない。前記シート成形体の外周部16では前記シート成形体11が前記シート成形体の外周部16に密着しており、これによって前記シート成形体の外周部16で包囲される部分は、前記シート成形体11と表面シート21の間が閉鎖空間とされている。
前記セルの開口部側表面15におけるシート成形体の外周部16で前記表面シート21とシート成形体11を閉じて、前記シート成形体11と表面シート21の間を閉鎖空間とすることが重要であり、前記セルの開口部側表面15におけるシート成形体の外周部16で、前記表面シート21の固定が全く行われていなかったり、部分的にしか行われていなかったりする(すなわち部分的に開放されている)場合には、前記表面シート21の膜振動による低周波数領域における吸音が十分できず、吸音領域が高周波域へシフトするようになる。但し、表面シート21がシート成形体の外周部16でシート成形体11に完全に固定されていなくても、図5に示す第2実施形態の吸音構造体101,102,103のような構成により、前記表面シート21とシート成形体の外周部16が密着するようにしてシート成形体11と表面シート21の間をピーク周波数が高周波側にシフトしない程度に実質的に閉鎖空間とすることができれば本発明の目的を達成可能である。なお、前記シート成形体の外周部16への表面シート21の固定は、前記シート成形体の外周部16に表面シート21が密着した状態にあり、それによって前記外周部16で表面シート21の移動が阻止される状態をいい、接着等によって前記表面シート21が前記外周部16に固着された状態に限られない。即ち、前記表面シート21のシート成形体11への固定方法は、接着・粘着、溶着、融着、圧着など公知の接合方法の中から、何れか一つあるいは複数の方法で行えばよい。前記接着・粘着には、接着剤や粘着剤を用いる方法、両面接着テープやビニルテープなどを用いる方法などがある。また、溶着や融着には、高周波または超音波融着などがある。また、圧着はシート同士の凹凸、嵌め込み、寸法・傾斜差などによる係合でもよいし、係合治具を用いてもよい。以下図5に示す第2実施形態の吸音構造体を説明する。
図5の(5−1)に示す吸音構造体101は、セルの開口部側表面におけるシート成形体11の外周部16を、表面シート21の縁部211が載置される外周部内側部161と、前記外周部内側部161の外周に立設された外周部外枠部165とで構成し、前記表面シート21の縁部211が前記外周部外枠部165の内側に嵌って前記外周部外枠部165の内壁面166及び外周部内側部161に密着するようにしたものである。このように構成すれば、前記表面シート21が前記外周部16に対して部分的な固定であっても、前記表面シート21とシート成形体11間を閉鎖空間とすることができ、低周波数領域における吸音率を向上させることができる。前記外周部内側部161からの前記外周部外枠部165の高さは表面シート21の厚み以上、即ち2mm程度以上あればよい。
図5の(5−2)に示す吸音構造体102は、セルの開口部側表面におけるシート成形体11の外周部16を、表面シート21の縁部211が載置される外周部内側部161Aと、前記外周部内側部161Aの外周に立設された外周部外枠部165Aとで構成し、さらに前記外周部外枠部165Aの内壁面166Aを内側へ傾斜させて外周部外枠部165Aが包囲する空間を前記外周部外枠部165Aの先端へ向けて小さくなるようにしたものである。この構成としたことにより、前記表面シートの縁部211が外周部内側部161Aと外周部外枠部165A間に嵌ると同時に動かなくなって外周部内側部161Aの内壁面166Aと外周部外枠部165Aに密着した形となり、接着・粘着、融着などの加工をすることなく固定化することができ、前記表面シート21と前記シート成形体11間を閉鎖空間とすることが可能である。
図5の(5−3)に示す吸音構造体103は、前記表面シート21の縁部211の外周に前記シート成形体11の側へ屈曲させた外周屈曲面212を設け、更に必要に応じ、外周屈曲面212の端部から外方へ屈曲したフランジ部213を設け、前記外周屈曲面212が前記シート成形体11の外周側面17に接するように、前記表面シート21の外周屈曲面212の屈曲角度及び前記シート成形体11の外周側面17の傾斜角度を調整し、前記シート成形体の外周部16に前記表面シート21を密着(圧着)させた状態で、前記表面シート21の外周屈曲面212を前記シート成形体11の外周側面17に接着・粘着により接着する、前記表面シート21のフランジ部213とシート成形体11のフランジ部18を接着・粘着、融着する、あるいは前記シート成形体の外周部16に前記表面シート21及び前記表面シート21の外周屈曲面212ともに係合すべき凹凸部を設けるか、係合部品等(図示せず)により圧着したものであり、これにより前記表面シート21と前記シート成形体11間を閉鎖空間とすることが可能である。
前記第1実施形態から第3実施形態に共通することとして、複数のセル13における隣り合うセル間の部分19、すなわちセル間の山部についても前記表面シート21をシート成形体11に固定すると、前記表面シート21の膜振動による低周波数領域における吸音が十分できず、吸音領域が高周波域へ大きくシフトするようになる。なお、前記表面シート21がセル間の山部に固定せずに圧力がかかるだけでも、固定したのと同様に膜振動による吸音が抑制されるので、セル間の山部の高さは、外周よりも幾分低くして(表面シート21とセル間の山部との間に隙間を設けて)も良い。
また、前記表面シート21と前記シート成形体11との非固定部分は、100mm角以上確保するのが好ましく、更に好ましくは150mm角以上である。前記非固定部分が100mm角以上になると、前記表面シート21の膜振動が十分に行われるようになって低周波数領域での吸音性が向上するようになる。従って、前記吸音構造体10のサイズは、前記表面シート21が固定される外周部16を除いて、少なくとも100mm角以上であることが好ましい。
前記表面シート21を構成する非通気性のシートは、多孔質でない一般樹脂、ゴム・エラストマー、金属、無機材料などによる面状板材(シート)、フイルムなどからなる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、スチレンゴム、シリコンゴム、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などからなる面状板材(シート)、フイルムなどで構成される。
前記表面シート21は、面密度(面重量)が低すぎると、吸音率がピークとなるピーク周波数が高周波数側にずれ、しかも吸音率が低くなる。逆に面密度が高すぎると、ピーク周波数が低周波数側にずれるものの、膜振動がし難くなって吸音率が低くなる。そのため、好ましい面密度は、0.05〜2.0kg/mである。なお、前記表面シート21の膜振動を、前記シート成形体11の膜振動より優先(有効に効力を発揮)させるためには、前記シート成形体11を構成するシートの厚みと同等あるいは薄めのシートで前記表面シート21を構成するのが好ましい。
本吸音構造体10は、その軽量性、屈曲性を生かし、騒音発生機器などの内面に配置することが可能であり、本吸音構造体10の裏面を接着剤、両面テープ、面ファスナーなどにて部分的にも固定することが可能であり、またフランジ部を利用すればタッカー、ねじ、釘、ピン、ビス等でも固定が可能である。前記吸音構造体の配置方法としては、同種のものを複数並べても良く、更に広周波数対応のためには、多層に積層して使用したり、高さやフイルム厚の異なるものを併用したり、ウレタン発泡体や不織布などの多孔質吸音材を前面や並列にして用いても良い。
多層に積層したり、多孔質吸音材を前面(表面シートの上面)に用いる場合には、固定するのが好ましく、両面テープや接着・粘着剤などにより、部分的もしくは全面に貼り付けることができる。また、多孔質吸音材を並列に用いる場合は、本吸音構造体のフランジ部や吸音構造体同士の隙間に配置すれば効率的であり、更に高周波領域の対応が必要な場合は、交互に千鳥形状などに配置すれば、均一的な吸音対策が可能となる。
図6及び図7に示す第3実施形態に係る吸音構造体10Aは、前記第1実施形態の吸音構造体10におけるシート成形体11の外周側面17及びフランジ部18を有しないものであり、他の構成については前記第1実施形態の吸音構造体10と同様である。図8は前記第3実施形態の吸音構造体10Aの分解斜視図であり、また図9は図8の8−8断面図である。図6から図9において、符号11Aはシート成形体、13Aはセル、14Aはセルの開口部、15Aはシート成形体におけるセルの開口部側表面、16Aはセルの開口部側表面15Aにおけるシート成形体の外周部、19Aは隣り合うセル間の部分(セルの山部)、21Aは表面シートである。なお、前記吸音構造体10Aにおいても、前記第2実施形態の吸音構造体101,102におけるシート成形体のように、外周部を外周部内側部と外周部外枠部とで構成してもよい。
前記吸音構造体を複数多層に積層した実施形態を示す。図10に示す第4実施形態に係る吸音構造体10Bは、前記第3実施形態の吸音構造体10Aを2層に積層したものであり、下側の吸音構造体の10Aにおける表面シート21Aの上面に、上側の吸音構造体10A’におけるシート成形体11Aの裏面を接着等により固定して積層した構成からなる。なお、前記吸音構造体10Aの積層数は2層に限られず、3層以上であってもよい。また積層する吸音構造体は、前記第3実施形態の吸音構造体10Aに限られず、前記第1、第2実施形態の吸音構造体10、101、102、103の何れであってもよい。
前記吸音構造体の表面シートの上面に多孔質吸音材を固定・積層した実施形態を示す。図11に示す第5実施形態に係る吸音構造体10Cは、前記第1実施形態の吸音構造体10における表面シート21の上面に多孔質吸音材31を接着等により固定し積層した構成からなる。前記多孔質吸音材31としては、ウレタン発泡体や不織布などを挙げることができる。なお、前記多孔質吸音材31が積層される吸音構造体は、前記第1実施形態の吸音構造体10に限られず、前記第2〜第4実施形態の吸音構造体101、102、103、10A、10Bの何れであってもよい。また、吸音構造体が複数積層された第4実施形態の表面シート上に多孔質吸音材を積層する場合、最上位置の吸音構造体における表面シートの上面に多孔質吸音材が固定・積層される。
以下、実施例及び比較例について説明する。
・実施例1
厚み1.0mmのポリプロピレンシートを真空成型し、図8及び図9のシート成形体11Aと同様のシート成形体Aを形成した。シート成形体Aの寸法は、190×190×27mmである。シート成形体Aにおけるセルは、開口部の形状が一辺40mmの正方形、高さ27mmであり、個数が4×4の16個である。また、隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図8及び図9の19Aの部分)の幅は6mm、シート成形体Aのセルの開口部側表面における外周部(図7及び図8の16Aの部分)の幅は6mmである。次に、190×190×1mmのポリプロピレンシートからなる表面シートを、シート成形体Aにおけるセルの開口部側表面に積層し、表面シートの全周囲をビニルテープによりシート成形体Aの外周部に接着固定して実施例1の吸音構造体を得た。実施例1の吸音構造体16個を、裏面全面に両面接着テープを貼り、それぞれの間を約10mm程度離しながら残響室の床面上に配置して、JIS A 1409に基づき残響室法吸音率を測定した。残響室容積は36mである。その結果は、図12に示すように、400〜630Hzに吸音率のメインピークを有していた。
・比較例1
実施例1と同様にして得たシート成形体に対し、隣り合うセル間の部分(セルの山部)に接着剤(コニシ社製「GPクリヤー」)を塗布して、実施例1と同様の表面シートをシート成形体に接着し、さらに、表面シートの全周囲をビニルテープでシート成形体の外周部に接着固定して比較例1の吸音構造体を得た。比較例1に対して、実施例1と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図12に示すように、吸音率のメインピークが800Hzと大きく高周波数側にずれた。
・実施例2
実施例1で得たシート成形体の外周に、厚み0.6mmのポリプロピレンシートで、高さ27mmの外周側面(図3及び図4の外周側面17に相当)と、外周側面の端部から外方へ突出した幅5mmのフランジ部(図3及び図4のフランジ部18に相当)を、ビニールテープで接合した以外は実施例1と同様にして実施例2の吸音構造体を得た。この実施例2の吸音構造体に対して、実施例1と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図12に示すように、500Hz以上の吸音率に寄与するシート成形体の膜振動を抑制することができ、表面シートの膜振動によって400Hz付近の吸音率を向上することができた。
・実施例3
厚み0.7mmのポリプロピレンシートを用いて真空成型により、図3及び図4のシート成形体11と同様の外周側面17及びフランジ部18を有するシート成形体Bを形成した。シート成形体Bの寸法は、275×210×25mmである。シート成形体Bにおけるセルは、開口部の形状が49×46mmの長方形、高さが23mm(外周高さ25mmより若干低い)、個数が5×4の20個である。隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図3及び図4の符号19の部分)の幅は4mm、セルの開口部側表面におけるシート成形体Bの外周部(図3及び図4の16の部分)の幅は7mmである。また、外周側面(図3及び4の符号17の部分)の高さは25mm、フランジ部(図3及び図4の符号18の部分)の幅は7mmである。次に、275×210×1mmのポリプロピレンシートからなる表面シートをシート成形体Bにおけるセルの開口部側表面に積層し、表面シートの全周囲をビニルテープによりシート成形体の外周部に接着固定して実施例3の吸音構造体を得た。実施例3の吸音構造体の12個を、裏面に両面接着テープを貼り、それぞれの間を約10mm程度離して残響室の床面上に配置し、吸音率を測定した。その結果は、図13に示すように、400Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在している。
・実施例4
実施例3において表面シートの厚みを1.5mmとした以外は、実施例3と同様にして実施例4の吸音構造体を得て、同様にして吸音率を測定した。その結果は、図13に示すように、表面シートを厚くしたため、実施例3より1/3オクターブ程度低周波側の315Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在している。
・実施例5
実施例3において表面シートの固定をビニールテープに代えて、シート成形体Bのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)全体に塗布した接着剤(コニシ社製「GPクリヤー」)により行い、その他は実施例3と同様にして実施例5の吸音構造体を形成した。実施例5の吸音構造体を、裏面に両面接着テープを貼ることなく、そのまま残響室の床面上に12個並べて置き、吸音率を測定した。その際の吸音構造体間の間隔は10mm程度である。測定結果は、図13に示すように、実施例3の場合と同様に400Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在している。
・比較例2
実施例5において、表面シートの固定を、シート成形体Bのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)に、両面接着テープで4隅とその中心4点の計8点に約15mm幅接着固定し、その他は実施例5と同様にして比較例2の吸音構造体を形成した。比較例2の吸音構造体に対して、実施例5と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図13に示すように、吸音率のメインピークが630Hzにずれた。
・実施例6
厚み1.0mmのポリプロピレンシートを用いて真空成型により、図3及び図4のシート成形体11と同様の外周側面17及びフランジ部18を有するシート成形体Cを形成した。シート成形体Cの寸法は285×175mm×25mmである。シート成形体Cにおけるセルは、開口部の形状が50×50mmの正方形、高さが縁で25mm、中央部で20mm、個数が5×3の15個である。隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図3及び図4の符号19の部分)の幅は5mm、シート成形体Cのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)の幅は7.5mmである。また、外周側面(図3及び4の符号17の部分)の高さは25mm、フランジ部(図3及び図4の符号18の部分)の幅は5mmである。次に、シート成形体Cのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)全体に接着剤(コニシ社製「GPクリヤー」)を塗布し、285×175×0.5mmのポリプロピレンシートからなる表面シートをシート成形体Cのセルの開口部側表面に積層して、シート成形体Cの外周部(図3及び図4の16の部分)に接着剤で固定し、実施例6の吸音構造体を得た。実施例6の吸音構造体の12個を、裏面に両面接着テープを貼り、それぞれの間を約10mm程度離して残響室の床面上に配置し、吸音率を測定した。測定結果は、図14に示すように、表面シートの厚みが薄くなった分、吸音率のメインピークが1/3オクターブ程度高周波側の500Hzにずれた。
・実施例7
表面シートの厚みを0.5mmから1.0mmに変更した以外は、実施例6と同様にして実施例7の吸音構造体を形成し、実施例6と同様にして吸音率を測定した。その結果は、実施例3ではセルの高さが25mmであるのに対し、実施例7ではセルの底面中央部が盛り上がっており、縁で25mm、中央部で20mmの高さであるため、図14に示すように、吸音率は400Hzのメインピークが幾分低く、500Hz以上のピークも幾分高かった。
・実施例8
実施例7において、表面シートの固定を、シート成形体Cのセルの開口部側表面における外周部(図3及び図4の16の部分)の裏側から、超音波融着機(19.5kHz)を用いて4×70mmのホーンにて外周部全周のみについて融着し、その他は実施例7と同様にして実施例8の吸音構造体を形成して吸音率を測定した。その結果は、図14に示すように、実施例7に比して、400Hzのメインピークが幾分高く、500Hz以上のピークが幾分低くなった。
・実施例9
厚み0.6mmのポリプロピレンシートを用いて真空成型により、図3及び図4のシート成形体11と同様の外周側面17及びフランジ部18を有するシート成形体Dを形成した。シート成形体Dの寸法は、200×200×15mmである。シート成形体Dにおけるセルは、開口部の形状が44×44mmの正方形、高さが15mm、個数が4×4の16個である。隣り合うセル間の部分(セルの山部であり、図3及び図4の符号19の部分)の幅は4mm、セルの開口部側表面におけるシート成形体Bの外周部(図3及び図4の16の部分)の幅は6mmである。また、外周側面(図3及び4の符号17の部分)の高さは15mm、フランジ部(図3及び図4の符号18の部分)の幅は10mmである。次に、200×200×1mmのポリプロピレンシートからなる表面シートをシート成形体Dにおけるセルの開口部側表面に積層し、表面シートの全周囲を実施例8と同様に融着によりシート成形体の外周部に固定して実施例9の吸音構造体を得た。実施例9の吸音構造体16個を、フランジ部の4隅とその中心4点の計8点について両面テープ約20mm角にて床面に接着した以外は、実施例1と同様にして残響室の床面上に配置して吸音率を測定した。その結果は、図15に示すように、500Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在した。
・実施例10
実施例9において、シート成形体Dを厚み1.0mmのポリプロピレンシートから真空成型で形成した以外は実施例9と同様にして実施例10の吸音構造体を形成した。この実施例10の吸音構造体を、裏面の外周部となるフランジ部全周を両面テープにて床面に接着した以外は実施例9と同様にして吸音率を測定した。その結果は、図15に示すように、実施例9に比してやや高周波数にシフトしているが500Hzに鋭い吸音率のメインピークが存在した。
・実施例11
実施例10において、シート成形体Dの外周部を、図5の(5−1)のように外周部内側部161と外周部内側部161の外周に立設した外周部外枠部165とで構成したシート成形体D’を形成した。外周部内側部は幅6mm、外周部外枠部は(外周部内側部161より)更に高さ3mm高く、幅4mmである。表面シートを比較例2と同様にして両面接着テープでシート成形体D’の外周部内側部の4隅とその中心4点の計8点に約15mm幅に接着し、その他を実施例10と同様にして実施例11の吸音構造体を形成した。実施例11の吸音構造体を、実施例10と同様にして床面に接着して吸音率を測定した。その結果は、実施例5に対して比較例2が高周波側にずれたのに対し、実施例11は、図15に示すように実施例10とほぼ同等の吸音率であってメインピーク周波数のずれはなく、表面シートとシート成形体間に実質的に閉鎖空間が保持できたことを確認できた。
・実施例12
実施例10において、シート成形体Dのセル高さを14mmとし、四隅及び各辺の格子交点部各3ヶ所には係合用の窪みを設けてシート成形体D”とした。また表面シートは、図5の(5−3)のように、外周屈曲面212が前記シート成形体11の外周側面17に接するように、表面シート21の縁部211の外周にシート成形体11の側へ屈曲させた外周屈曲面212、外周屈曲面212の端部から外方へ屈曲したフランジ部213、更に、四隅及び各辺の均等に各3ヶ所にも係合用の窪みを設けた。本実施例の表面シートとシート成形体D”を嵌め込み圧着した吸音構造体を、実施例10と同様にして床面に接着して吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように図15の実施例10とほぼ同等の吸音率であってメインピーク周波数のずれはなく、表面シートとシート成形体間に閉鎖空間が保持できたことを確認できた。
・実施例13
実施例12のように16個配備した吸音構造体の各表面シートの上面に、更に実施例12の吸音構造体の裏面と全面両面テープにて各々接着固定して積層し、同様にして吸音率を測定した。その結果は、1層で30mm厚の場合は315〜400Hzのみのメインピークが予想されるのに対し、2層積層することで、図16に示すようにメインピーク周波数が315〜400Hzばかりでなく更に500〜2kHzについても高吸音率を保持し、ブロードな中心周波数の騒音、あるいは中心周波数が変化する騒音などに対し効率的に対策を講ずることができることが確認できた。
・実施例14
実施例12のように16個配備した吸音構造体の各表面シートの上面に、更にウレタンフォーム(イノアックコーポレーション社製「カームフレックスF2」)10mmを全面両面テープにて接着固定して積層し、同様にして吸音率を測定した。その結果は、図16に示すようにメインピーク周波数が400Hzにややシフトするとともに、更にウレタンフォームに由来したそれ以上の高周波数領域においても高吸音率を保持し、ブロードな中心周波数の騒音、あるいは中心周波数が変化する騒音などに対し効率的に対策を講ずることができることが確認できた。
・比較例3
実施例1〜12に相当する厚み15mmのウレタンフォームの吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように、高周波領域では高吸音率を示すが、500Hz付近では吸音率が低かった。
・比較例4
実施例14に相当する厚み25mmのウレタンフォームの吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように、この厚みにおいても1kHz付近以上の高周波領域では高吸音率を示すが、500Hz付近では吸音率が低かった。
・実施例15
実施例12において、使用する材料をポリ塩化ビニルとし、厚みを0.7mmとした以外は実施例12同様にして吸音率を測定した。その結果は、図16に示すように、実施例12とほぼ同等の吸音特性であって、比重が1.3のため面密度が0.91kg/mであり、厚み1.0mm、比重0.91のポリプロピレンシートの面密度0.91kg/mとほぼ同等であったため、同等な吸音特性となることが確認できた。
なお、前記実施例及び比較例におけるシート成形体A、B、C、D、D’、D”の構成について、表1にまとめて示す。また、各実施例及び比較例におけるシート成形体と表面シートの固定方法及び吸音率測定時の固定方法等について、表2にまとめて示す。
Figure 2011118338
Figure 2011118338
・参考例
実際の騒音対策に本発明の吸音構造体を用いることを想定して、実施例の12、13、14及び比較例3につき、残響室にて、ピンクノイズ(AP約82dBA)常時発生中の吸音構造体の有無による騒音レベルを差異を評価した。なお、配備した数量は12ケとし、ポリプロピレン(PP)シートに貼り付けた以外は実施例1の残響室法吸音率と同じ設置条件とし、吸音構造体12ケの中心上方1m地点で4方向から測定したLAeq値(10秒間の等価騒音レベル)の平均値とした。その結果を表3、及び図17に示す。
Figure 2011118338
図16にて示した残響室吸音率の結果に相当して、この参考例では各々吸音率の高い周波数にて騒音低減効果が大きいことがわかる。
具体的には、以下の効果が得られる。
a.実施例12(1層):500Hz中心に効果が大きい。
b.実施例13(2層):より低周波の315、400Hz中心に効果が大きい。
c.実施例14(1層+ウレタンフォーム):400Hz中心に効果が大きく、高周波域も効果がある。
d.比較例3(ウレタンフォーム):1kHz以上の高周波域の効果が大きい。
更に騒音レベルを下げるためには(低減効率を高くするためには)、使用する吸音構造体の数量(面積)を増やせばよい。
なお、本来ピンクノイズは1/3オクターブ周波数に依存しない均一の騒音であるが、本参考例で用いたピンクノイズは高周波域の騒音レベルが高く500Hz前後の騒音レベルが低い騒音であったため、騒音レベルAP値の低減効果が低かった。逆に言えば、本吸音構造体は500Hz付近に特徴的な吸音ピークを持つため、500Hz前後が中心周波数である騒音でなければ、騒音レベルAP値の低減に有効ではないこともわかる。
このように、本発明では、500Hz前後以下の低周波数領域においても吸音率を高くでき(500Hz前後以上も可能)、その周波数前後を中心とする騒音対策に有効に活用できる。更に、吸音構造体を多層に積層したり、多孔質吸音材を表面シート上に固定・積層することなどにより、広い周波数領域において吸音率が高く、ブロードな中心周波数の騒音、あるいは中心周波数が変化する騒音などに対し効率的に対策を講ずることが可能である。
また、本発明では、吸音構造体の厚みを薄くできることにより、吸音構造体を軽量かつ安価なものにできる。さらに、屈曲により形成された凹部でセルが構成され、隣り合うセル間の部分で表面シートがシート成形体に固定されていないため、セル間の部分で吸音構造体を曲げ易くなり、取付面に曲面部が存在する場合にも吸音構造体を良好に取り付ることが可能である。
本発明の吸音構造体は、以上の利点を生かし、例えば、建設機械のファンなどの騒音対策、工場における集塵機、空調機など各種モーター機械騒音対策、電気機器類の騒音対策、鉄道・新幹線などのデッキ、パンタグラフでの騒音対策などとして好適に活用できる。
10,101,102,103,10A,10B,10C 吸音構造体
11,11A シート成形体
13,13A セル
14,14A セルの開口部
15,15A シート成形体のセルの開口部側表面
16,16A セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部
17 外周側面
18 フランジ部
19,19a セル間の部分
21,21A 表面シート
31 多孔質吸音材
161,161A シート成形体の外周部における外周部内側部
165,165A シート成形体の外周部における外周部外枠部
211 表面シートの縁部
212 表面シートの外周屈曲面
213 表面シートのフランジ部

Claims (8)

  1. 屈曲により形成された凹部からなるセルを片面側に複数有する非通気性のシート成形体と、
    前記複数のセルの開口部を覆うように前記シート成形体に積層された非通気性の表面シートとよりなり、
    前記表面シートは、前記シート成形体の外周部で固定され、隣り合うセル間の部分では前記シート成形体に固定されていないことを特徴とする吸音構造体。
  2. 前記シート成形体は、セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部の縁から前記セルの開口部側表面とは反対側へ屈曲して形成された外周側面を有し、前記外周側面の端部から外方へ屈曲したフランジ部を有することを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
  3. 前記表面シートの縁部に前記シート成形体の側へ屈曲させた外周屈曲面を設け、前記表面シートの外周屈曲面が前記シート成形体の外周側面に密着して前記表面シートと前記シート成形体間が閉鎖空間とされていることを特徴とする請求項2に記載の吸音構造体。
  4. 前記シート成形体は、セルの開口部側表面におけるシート成形体の外周部が、前記表面シートの縁部が載置される外周部内側部と、前記外周部内側部の外周に立設された外周部外枠部とよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の吸音構造体。
  5. 前記シート成形体は、真空成型により形成されたものであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の吸音構造体。
  6. 前記吸音構造体の前記表面シートの上面に、さらに他の前記吸音構造体の前記シート成形体の裏面を固定して前記吸音構造体を複数積層したことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の吸音構造体。
  7. 前記表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層したことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の吸音構造体。
  8. 前記複数積層された前記吸音構造体の最上位置の前記表面シートの上面に多孔質吸音材を固定して積層したことを特徴とする請求項6に記載の吸音構造体。
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