JP6585314B2 - 防音構造 - Google Patents

防音構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6585314B2
JP6585314B2 JP2018568066A JP2018568066A JP6585314B2 JP 6585314 B2 JP6585314 B2 JP 6585314B2 JP 2018568066 A JP2018568066 A JP 2018568066A JP 2018568066 A JP2018568066 A JP 2018568066A JP 6585314 B2 JP6585314 B2 JP 6585314B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
frame
surface density
soundproof
soundproof structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018568066A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018150828A1 (ja
Inventor
暁彦 大津
暁彦 大津
昇吾 山添
昇吾 山添
真也 白田
真也 白田
美博 菅原
美博 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6585314B2 publication Critical patent/JP6585314B2/ja
Publication of JPWO2018150828A1 publication Critical patent/JPWO2018150828A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10KSOUND-PRODUCING DEVICES; METHODS OR DEVICES FOR PROTECTING AGAINST, OR FOR DAMPING, NOISE OR OTHER ACOUSTIC WAVES IN GENERAL; ACOUSTICS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10K11/00Methods or devices for transmitting, conducting or directing sound in general; Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/16Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/172Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general using resonance effects
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E04BUILDING
    • E04BGENERAL BUILDING CONSTRUCTIONS; WALLS, e.g. PARTITIONS; ROOFS; FLOORS; CEILINGS; INSULATION OR OTHER PROTECTION OF BUILDINGS
    • E04B1/00Constructions in general; Structures which are not restricted either to walls, e.g. partitions, or floors or ceilings or roofs
    • E04B1/62Insulation or other protection; Elements or use of specified material therefor
    • E04B1/74Heat, sound or noise insulation, absorption, or reflection; Other building methods affording favourable thermal or acoustical conditions, e.g. accumulating of heat within walls
    • E04B1/82Heat, sound or noise insulation, absorption, or reflection; Other building methods affording favourable thermal or acoustical conditions, e.g. accumulating of heat within walls specifically with respect to sound only
    • E04B1/84Sound-absorbing elements
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E04BUILDING
    • E04BGENERAL BUILDING CONSTRUCTIONS; WALLS, e.g. PARTITIONS; ROOFS; FLOORS; CEILINGS; INSULATION OR OTHER PROTECTION OF BUILDINGS
    • E04B1/00Constructions in general; Structures which are not restricted either to walls, e.g. partitions, or floors or ceilings or roofs
    • E04B1/62Insulation or other protection; Elements or use of specified material therefor
    • E04B1/74Heat, sound or noise insulation, absorption, or reflection; Other building methods affording favourable thermal or acoustical conditions, e.g. accumulating of heat within walls
    • E04B1/82Heat, sound or noise insulation, absorption, or reflection; Other building methods affording favourable thermal or acoustical conditions, e.g. accumulating of heat within walls specifically with respect to sound only
    • E04B1/84Sound-absorbing elements
    • E04B1/8404Sound-absorbing elements block-shaped
    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10KSOUND-PRODUCING DEVICES; METHODS OR DEVICES FOR PROTECTING AGAINST, OR FOR DAMPING, NOISE OR OTHER ACOUSTIC WAVES IN GENERAL; ACOUSTICS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10K11/00Methods or devices for transmitting, conducting or directing sound in general; Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/16Methods or devices for protecting against, or for damping, noise or other acoustic waves in general
    • G10K11/162Selection of materials
    • G10K11/168Plural layers of different materials, e.g. sandwiches

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Architecture (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Building Environments (AREA)

Description

本発明は、枠と、枠に固定された膜とを備える防音構造に係る。詳しくは、本発明は、膜が面密度分布を有し、ターゲットとなる低周波数の音を選択的に吸収するための防音構造に関する。
従来より、枠と、枠に固定された薄膜と、薄膜に設けられた錘とを備え、錘を有する薄膜の振動によって遮音する防音構造が提案されている(特許文献1、2、及び3参照)。
特許文献1は、重錘を規則的に固定した薄膜からなり、音波による薄膜全体の振動と、重錘により分割された部分の振動とを相互に打ち消し合わせて薄膜の振動を減衰させ、騒音を低減する薄膜からなる遮音装置を開示している。なお、特許文献1は、この薄膜を間隔を置いて2枚以上重ねた遮音装置も開示している。
特許文献1では、軽量でかつ簡単な構造で、容積もとらない薄膜を用い、遮音装置として汎用性があり、十分な騒音低減効果があり、特に低周波数帯域の騒音を低減することができるとしている。
また、特許文献2は、片面に規則的に複数の重錘が固定された防錆処理薄鋼板が、重錘固定面を内側にして、剛性枠体の少なくとも一方の開口に、これを覆って接合されて成る遮音部材を開示している。
特許文献2では、特許文献1を更に改善し、軽量で汎用性が高く、かつ遮音性能(特に低周波帯域の騒音低減性能)、施工性,耐久性、外観に優れていて、建造物の外装材に適用しても、十分な騒音低減部材としての効果を発揮するとしている。
また、特許文献3は、複数の個々のセルに分割された剛性のフレームと、フレキシブルな材料のシートと、複数の錘とを具備し、各重りは各セルにそれぞれ重りが設けられるように、フレキシブルな材料のシートに固定されている音響減衰パネルを開示している。
特許文献3では、広い周波数範囲にわたって音響減衰を行うことができるとしている。
特公平07−019154号公報 特開平11−327563号公報 特開2005−250474号公報
特許文献1、及び2に開示の遮音構造は、従来よりも、軽量でかつ簡単な構造で汎用性が高く、かつ十分な騒音低減効果があり、特に低周波帯域の遮音性能に優れているとしている。しかしながら、特許文献1、及び2に開示の遮音構造は、錘に金属片を用い、膜として薄鋼板を用いるものであり、建造物の外装材に適用することを目的とするものであるため、重く、かつ大サイズであるという問題があった。
また、上記の特許文献1〜3に記載の防音構造は、気体が通過する通気孔となる領域を設けた状態では、高い吸音性能を得るには十分とは言えず、さらに音波の進行方向と膜面の法線ベクトルとが共に水平(即ち、平行)でない場合に吸音性能が十分とは言えないという問題があった。
ところで、本出願人は、「孔部を持つ枠と、孔部を覆うように枠に固定された膜と、を備える防音セルを、開口を有する開口部材に、その開口断面に対して膜の膜面を傾け、開口部材に気体が通過する通気孔となる領域を設けた状態でルを配置した防音構造」の発明を国際出願PCT/JP2016/074427として出願している。
上記発明では、同様のサイズでより低い音を吸収するためには、膜サイズや、背面体積を大きくすることが必要であった。このような素子の大型化は、例えば空間に制約がある場合、即ち狭いダクト内、又は換気スリーブ等に用いることが難しい。また、防音構造のサイズを大きくすることなしに、低周波音を吸収する方法として、膜の弾性率、及び/又は密度を最適化する方法が存在する。しかしながら、この方法では、低周波域に吸収のピークを発現させることはできるものの、吸収率が低下してしまうという問題があった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決するものであって、小型で、かつ低い周波数帯の音に対する防音性能が高い防音構造を提供することにある。
また、本発明の課題は、より詳細には、背面空気層を有する膜型吸音材で、吸音材に用いられる空間体積が制限されている場合に、より低周波域の音を高い吸音率で吸収する、特にサイズの大型化を伴わずに低周波域の音を吸収することができる防音構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは、孔部を覆うように枠に固定された膜にある条件下で面密度分布を設ける(例えば膜に凸部を設ける、又は錘を設置する)ことで、疑似的に低い曲げ剛性、及び高い面密度の膜を実現し、背面空気層を有する膜型吸音材で、吸音材に用いられる空間体積が制限されている場合に、より低周波域の音を高い吸音率で吸収することができるための有効な膜のパラメータ範囲を見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明の第1の態様の防音構造は、孔部を持つ枠と、孔部を覆うように枠に固定された膜と、を備え、膜の背面空間は閉じ切られている防音セルを少なくとも1つ有する防音構造であって、膜が高面密度領域と低面密度領域とからなる面密度分布を有し、隣接する高面密度領域の端部間を結ぶ線分、及び高面密度領域と枠の孔部の端部との間を結ぶ線分のうちの最短の線分長をΔdとし、枠の孔部の端部間を結ぶ線分のうちの最長の線分長をL[m]とし、低面密度領域の材質のヤング率をE[Gpa]とし、低面密度領域の平均膜厚をh[m]とし、膜の最大面密度をρmaxとし、膜の最小面密度をρminとする時、下記式(1)で定義される膜のパラメータXが、下記不等式(2)を満たすことを特徴とする。
X=Eh/(ρmax/ρmin)[N] …(1)
(Δd/L−0.025)/(0.06)[N]≦X[N]≦10[N]…(2)
ここで、上記不等式の左辺分子中の数値0.025は、無次元であり、左辺分母の数値0.06は、[N−1]の次元を持つ。
ここで、膜の最大面密度ρmaxと最小面密度ρminとの比ρmax/ρminは、1.5以上であることが好ましい。
また、膜は、2種類以上の材料から構成されることが好ましい。
また、膜は、高面密度領域を構成する凸部、又は錘を有することが好ましい。
また、凸部を有する膜は、凹凸を有する樹脂膜であることが好ましい。
また、 膜、及び枠は、一体であることが好ましい。
また、防音セルが、膜の第1固有振動周波数の波長よりも小さいことが好ましい。
また、第1固有振動周波数は、100000Hz以下であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様の防音構造の製造方法は、上記第1の態様の凸部を有する膜を備える防音構造を製造するに際し、樹脂成形、又はインプリントで膜に凹凸を成形して、凸部を有する膜を製造する。
また、本発明の第3の態様の防音構造の製造方法は、上記第1の態様の防音構造を製造するに際し、膜と枠とを、3Dプリンタで一括成形する。
本発明によれば、小型で、かつ低い周波数帯の音に対する防音性能が高い防音構造を提供することができる。
また、本発明によれば、背面空気層を有する膜型吸音材で、吸音材に用いられる空間体積が制限されている場合に、より低周波域の音を高い吸音率で吸収することができる。本発明によれば、特にサイズの大型化を伴わずに低周波域の音を吸収することができる。
このため、本発明によれば、例えば従来と同等のサイズで、従来よりも低い周波数域において高い吸音率を得ることができる
本発明の一実施形態に係る防音構造の一例の模式的斜視図である。 図1に示す防音構造の模式的断面図である。 本発明に係る防音構造の他の一例の模式的斜視図である。 図3に示す防音構造の模式的断面図である。 本発明に係る防音構造の他の一例の模式的斜視図である。 図5に示す防音構造の模式的断面図である。 本発明に係る防音構造の他の一例の模式的断面図である。 本発明に係る防音構造の他の一例の模式的断面図である。 本発明に係る防音構造の他の一例の模式的断面図である。 本発明に係る防音構造の他の一例の模式的断面図である。 本発明の他の実施形態に係る防音構造の一例の模式的斜視図である。 図11に示す防音構造のI−I線で切断した模式的断面図である。 本発明の防音構造の開口部材の開口断面に対する防音セルの膜面の傾斜角度を説明する説明図である。 本発明の防音構造の管状の開口部材内に挿入配置された防音セルの防音性能を測定する測定系の一例を説明する斜視図である。 本発明の実施例1〜5、比較例1〜3、及び比較例8〜10の吸音特性を示すグラフである。 本発明の実施例6〜8、及び比較例4〜7の吸音特性を示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態に係る防音構造を添付の図面に示す好適実施形態を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る防音構造の一例の模式的斜視図である。図2は、図1に示す防音構造の模式的断面図である。
(防音構造)
図1及び図2に示す本実施形態の防音構造10は、貫通する孔部12を持つ枠14と、孔部12の一方の開口面を覆うように枠14に固定された振動可能な膜16と、膜16に形成された複数(例えば25個)の凸部18と、孔部12の他方の開口面を覆うように枠14に固定された背面部材20と、を有する1つの防音セル22からなる。
本発明においては、凸部18が設けられた膜16の部分(領域)は、膜16の面密度と凸部18の面密度とが合算された面密度を持つことから、膜の高面密度領域16aを構成する。なお、本発明の防音構造においては、凸部18の代わりに、錘を膜16に取り付けて、膜16と錘からなる高面密度領域16aを構成しても良い。なお、高面密度領域16aは、膜16に少なくとも1箇所形成されていれば良い。
膜16の内、凸部が形成されていない部分(即ち、高面密度領域16aでない部分)は、膜の低面密度領域16bを構成する。
即ち、膜16は、高面密度領域16aと低面密度領域16bとからなる面密度分布を有する。
本実施形態の防音構造10の防音セル22においては、枠14の内周面及び背面部材20で囲まれた膜16の背面空間は、背面部材20によって閉じ切られている。
なお、本発明の防音構造は、1つ以上の防音セルからなるものであれば良く、図1に示す防音構造10のように1つからなるものであっても、複数の防音セルからなるものであっても良い。
本発明の防音構造10は、隣接する高面密度領域16aの端部間を結ぶ線分、及び高面密度領域16aと枠14の孔部12の端部との間を結ぶ線分の内の最短の線分長をΔdとし、枠14の孔部12の端部間を結ぶ線分の内の最長の線分長をL[m]とし、低面密度領域16bの材質のヤング率をE[Gpa]とし、低面密度領域16bの平均膜厚をh[m]とし、膜16の最大面密度をρmaxとし、膜16の最小面密度をρminとする時、
下記式(1)で定義される膜16のパラメータXが、下記不等式(2)を満たす。
X=Eh/(ρmax/ρmin)[N] …(1)
(Δd/L−0.025)/(0.06)[N]≦X[N]≦10[N]…(2)
ここで、上記不等式の左辺分子中の数値0.025は、無次元であり、左辺分母の数値0.06は、[N−1]の次元を持つ。
(膜の高面密度領域、及び低面密度領域)
図1及び図2に示す防音構造10においては、高面密度領域16a、及び低面密度領域16bは、それぞれ凸部18が設けられた膜16の部分、及び凸部18が設けられていない膜16の部分である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、以下のように定義することができる。
膜16の膜面上の面密度をρ(r)とし、面密度平均値をρaveとする時、面密度平均値ρave=∫ρ(r)dS/Sと定義する。この積分は膜面全体に渡る面積分を表し、Sは膜面積である。
現実的には、膜16の膜面上全域に渡って連続的に面密度ρ(r)の値を取得することが難しい場合がある。その場合には、例えば、1mm以下の間隔で面密度ρ(r)を膜面全域に渡って複数点測定し、その平均した値を面密度平均値ρaveとして用いることができる。
上述したように、面密度分布を実現する手段としては、膜16に凸部18を設けたり、錘を張り付けたりすることができる。この時の膜の面密度ρは、単位面積[μm]当たりに相当する質量[g/μm]と定義する。面密度分布が極めて細かい場合には、面密度の面内空間周波数分布の平均周波数より、十分高い(例えば10倍程度高い)周波数に対応する長さからなる、微小正方形領域の面積に相当する質量として算出することが好ましい。
ここで、ρ(r)>ρaveとなる領域を高面密度領域16aとし、ρ(r)≦ρaveとなる領域を低面密度領域16bと定義することができる。
このように定義することにより、膜16の膜面上の各点において、上記の不等式から、高面密度領域16a、及び低面密度領域16bのいずれかに分類することができる。例えば、上述のように、1mm以下程度の間隔で面密度ρ(r)を複数点測定した場合、いずれの点も、上記の不等式に照らして、高面密度領域18a、及び低面密度領域16bのいずれかに分類することができる。
また、高面密度領域16aの端部とは、高面密度領域16aから低面密度領域16bに切り替わる点と定義することができる。例えば、1mm以下程度の間隔で面密度ρ(r)を複数点測定した場合、高面密度領域16aの点と低面密度領域16bの点が隣接する時、隣接する2つの点の中間点と定義することができる。
低面密度領域16bの平均膜厚h[m]とは、低面密度領域16bに該当する部位の膜厚みの平均値と定義する。例えば、膜16には凸部18又は錘が設けられているので、平均膜厚hは、凸部18又は錘が設けられていない膜16の部分の厚みの平均値である。また、1mm以下程度の間隔で面密度ρ(r)を複数点測定した場合、平均膜厚hは、低面密度領域16bに分類されたすべての点の膜厚の平均値である。
(膜の面密度)
ρmax、及びρminは、それぞれ面密度の最大値(即ち、最大面密度)、及び最小値(即ち、最小面密度)を表す。例えば、1mm以下程度の間隔で面密度ρ(r)を膜の膜面全体に渡って複数点測定した場合、最大の面密度を最大面密度と定義し、最小の面密度を最小面密度と定義する。
本発明において、上述したように、膜は膜面内に面密度分布を有する。膜の面密度は、膜の最大面密度ρmaxと膜の最小面密度のρmin比ρmax/ρminが1.5以上となるよう設計されることが好ましい、より好ましくは3.0以上であり、さらに好ましくは5.0以上である。その理由は、ρmax/ρminが1.5より小さいと、吸収率のピークを、膜の面密度分布が無い場合の膜(例えば、ρminの一様な面密度を有する膜)と比較して、顕著に(具体的には3分の2以下の)低い周波数帯に吸収ピークを生じさせることが困難となるからである。
(膜のパラメータX)
低周波域での吸音には、膜型吸音材に低い曲げ剛性、及び高い面密度が必要である。このことから、これを疑似的に実現する手段として、上述したように、膜16に密度分布を設けることが有効である。膜16に面密度分布を設ける場合、一般に、面密度の高い領域(高面密度領域)は曲げ剛性が大きく、面密度の小さい領域(低面密度領域)は曲げ剛性が小さくなる、このため、設計次第で、膜16は音波に対して、疑似的に低い曲げ剛性、かつ高い面密度の膜のように振る舞うことができる。
即ち、本発明の防音構造10のように、背面空気層を有する膜型吸音材は、曲げ易くて重い方がより低周波域の音を高い吸音率で吸収することができる。
この設計手法の目安として、上記式(1)が有効である。
このため、本発明では、膜16のパラメータXを、上記式(1)に示すように、膜16(低面密度領域16b)の材質のヤング率Eと平均膜厚h[m]の2乗との積を膜16の最大面密度と最小面密度との比ρmax/ρmin除算した値として求め、曲げ易さと重さとを合わせて評価する尺度として用いている。ここで、ヤング率Eは、縦弾性率であり、ある方向の応力を歪で除した値で定義される。実験的には、例えば引張試験、又はインデンテーション法により測定することができる。
本発明においては、膜16に凸部18を形成して膜16に高面密度領域16aと低面密度領域16bとからなる面密度分布を持たせ、膜16のパラメータXを、上記不等式(2)を満足する値に制限することにより、曲げ易く、高密度であり重い膜型吸音材としている。こうすることにより、本発明においては、背面空気層を有する膜型吸音材で、吸音材に用いられる空間体積が制限されている場合であっても、より低周波域の音を高い吸音率で吸収することができる。本発明においては、特にサイズの大型化を伴わずに低周波域の音を吸収することができる。
本発明では、上記式(1)で表される膜16のパラメータXは、上記不等式(2)を満足する必要がある。
その理由は、(Δd/L−0.025)/(0.06)>Xでは、吸収のピーク周波数(吸音ピーク周波数)をあまり低くできないばかりか、吸音率(吸収のピーク)を高くできないからである。この場合の吸収のピーク周波数は、例えば面密度を有しない場合に比較すると、少し低い周波数に吸収ピークを持つが、例えばρminの一様な面密度を有する膜と比較して、吸収率が著しく(半分以下に)低減してしまうからである。
また、Xが10超(X>10)では、吸収のピーク周波数(吸音ピーク周波数)を低くできないからである。この場合には、例えば面密度を有しない膜(例えば、ρminの一様な面密度を有する膜)と比較して、顕著に(具体的には3分の2以下の)低い周波数帯に吸収ピークを生じさせるが困難となる。
次に、上記式(2)の線分長Δd[m]は、隣接する高面密度領域16aの端部間を結ぶ線分、及び高面密度領域16aと枠14の孔部12の端部との間を結ぶ線分のうちの、最短の線分長である。即ち、線分長Δdは、隣接する高面密度領域16aの端部間を結ぶ線分の内の最短の線分と、高面密度領域16aと枠14の孔部12の端部との間を結ぶ線分のうちの最短の線分との、2つの線分の短い方の線分長であると定義できる。例えば、図2に示す例では、隣接する高面密度領域16aの端部間を結ぶ線分は、隣接する凸部18間の距離Δdである。また、高面密度領域16aと枠14の孔部12の端部との間を結ぶ線分は、凸部18と孔部12の内壁との間の距離Δdである。したがって、本発明においては、線分長Δdは、線分Δdの内の最も短い線分と、線分Δdの内の最も短い線分との2つの線分の短い方の線分長であると定義できる。
また、上記式(2)の線分長L[m]は、枠14の孔部12の端部間を結ぶ線分のうちの最長の線分長である。図1に示す例では、孔部12は正方形であるので、最長の端部間距離は、対角線の長さLである。本発明においては、線分長Lは、例えば、孔部12の形状が多角形の場合には、最長の対角線である。例えば、孔部12の形状が円の場合には、直径であり、楕円の場合には、長径である。孔部12の形状がいかなる形状であっても、端部間の線分の内の最長の線分を線分長Lとすれば良い。
(枠)
本発明においては、枠となる部材は、孔部を有している必要があり、気体の透過を遮断することが好ましい。また、音に対して振動しないほどに十分な剛性を有している必要がある。音に対して振動しないほどに十分な剛性とは、膜の振動により生じる歪と比較して無視できる程度の振動歪しか生じないほどに十分な剛性である。ここで、無視できる程度の振動歪とは、膜の振動により生じる歪の1/100以下である。
図1及び図2に示す防音セル22の枠14は、平面視正方形の孔部12を囲む内壁面を持ち、平面視正方形の角筒によって構成される。
枠14は、貫通する孔部12を環状に囲むように形成され、孔部12の片面を覆うように膜16を固定し、かつ支持するためのもので、この枠14に固定された膜16の膜振動の節となるものである。したがって、枠14は、膜16に比べて、剛性が高く、具体的には、単位面積当たりの質量及び剛性は、共に高いことが好ましい。なお、枠14と膜16とは、同じ材料、又は異なる材料で一体化されていても良い。
なお、枠14の孔部12の端部に、膜16の少なくとも一部が固定されている必要がある。低周波領域での吸音に関しては、膜16の端部全てが枠14に固定されていることが好ましい。
即ち、枠14は、膜16の全周を抑えることができるように、膜16の周辺部を固定できる閉じた連続した形状であることが好ましい。本発明は、これに限定されず、枠14が、これに固定された膜16の膜振動の節となるものであれば、一部が切断され、不連続な形状であっても良い。即ち、枠14の役割は、膜16を固定し支持して膜振動を制御することにあるため、枠14に小さな切れ目が入っていても、接着していない部位が存在していても効果を発揮する。
また、枠14、及び孔部12の形状は、平面形状で、図1に示す例では共に正方形である。本発明においては、枠14、及び孔部12の形状は、特に制限的ではなく、例えば長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは円形、楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、枠14の形状と、孔部12の形状とは、同じである方が好ましいが、異なっていても良い。
なお、図1及び図2に示す例では、枠14の孔部12の両側の端部は、共に閉塞されておらず、共に開口端となっており、共にそのまま外部に開放されている。この開放された孔部12の一方の開口端に孔部12を覆うように膜16が枠14に固定される。
この開放された孔部12の他方の開口端には、孔部12を覆うように背面部材20が枠14に固定される。
本発明においては、枠14の孔部12の両側の端部は、図1及び図2に示す例とは異なっていても良い。即ち、孔部12の一方の端部のみが外部に開放され、背面部材20を設けるのではなく、枠14自体で他方の端部が閉塞されていてもよい。即ち、枠14自体が3方を閉塞して膜16の背面空間を構成する構造であっても良い。この場合には、孔部12を覆う膜16は、開放された孔部12の一方の端部にのみ固定されるのは勿論である。
また、枠14のサイズは、平面視の正方形のサイズ、即ち図2のLであり、その孔部12のサイズとして定義できる。したがって、以下では、枠14のサイズを孔部12のサイズLとする。枠14の平面視の形状が、例えば、円形または正方形のような正多角形の場合には、枠14のサイズは、正多角形の中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができる。枠14の平面視の形状が、例えば、多角形、楕円、又は不定形の場合には、枠14のサイズは、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径及び半径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径及び半径である。
このような枠14の孔部12のサイズLは、特に制限的ではなく、本発明の防音構造10が防音のために適用される防音対象物に応じて設定すればよい。防音対象物としては、例えば、複写機、送風機、空調機器、換気扇、ポンプ類、発電機、及びダクト、また、その他にも塗布機、回転機、及び搬送機など音を発するさまざまな種類の製造機器等の産業用機器を挙げることができる。また、防音対象物としては、例えば、自動車、電車、及び航空機等の輸送用機器を挙げることができる。また、防音対象物としては、例えば、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、テレビジョン、コピー機、電子レンジ、ゲーム機、エアコン、扇風機、PC、掃除機、及び空気清浄機等の一般家庭用機器等を挙げることができる。
なお、枠14及び膜16からなる防音セル22は、膜16の第1固有振動数の波長よりも小さくすることが好ましい。そのため、すなわち防音セル22を第1固有振動数の波長よりも小さくするためには、枠14のサイズLを小さくすることが好ましい。
例えば、孔部12のサイズLは、特に制限的ではないが、例えば、0.5mm〜300mmであることが好ましく、1mm〜100mmであることがより好ましく、10mm〜50mmであることが最も好ましい。
なお、上述したように、本発明における枠14の開口端距離(即ち、孔部12の端部間距離)を結ぶ線分の最長の線分長Lは、図1に示す例では孔部12の正方形の対角線の線分長Lで表される。このため、線分長Lは、L=√2Lとして求めることができる。
また、枠14の厚さL及び幅Lも、膜16を固定することができ、膜16を確実に支持できれば、特に制限的ではないが、例えば、孔部12のサイズに応じて設定することができる。
また、枠14、即ち孔部12の厚さLは、0.5mm〜200mmであることが好ましく、0.7mm〜100mmであることがより好ましく、1mm〜50mmであることが最も好ましい。
枠14の幅Lは、例えば、孔部12のサイズLが、0.5mm〜50mmの場合には、0.5mm〜20mmであることが好ましく、0.7mm〜10mmであることがより好ましく、1mm〜5mmであることが最も好ましい。
また、枠14の幅Lは、孔部12のサイズLが、50mm超、300mm以下の場合には、1mm〜100mmであることが好ましく、3mm〜50mmであることがより好ましく、5mm〜20mmであることが最も好ましい。
なお、枠14の幅Lが、枠14のサイズLに対して比率が大きくなりすぎると、全体に占める枠14の部分の面積率が大きくなり、デバイス(防音セル22)が重くなる懸念がある。一方、上記比率が小さくなりすぎると、その枠14部分において接着剤などによって膜16を強く固定することが難しくなってくる。
また、防音セル22は、膜16の第1固有振動数の波長よりも小さくすることが好ましい。したがって、枠14(孔部12)のサイズLは、防音セル22に固定された膜16の第1固有振動周波数の波長以下のサイズであることが好ましい。
防音セル22の枠14(孔部12)のサイズLが、膜16の第1固有振動周波数の波長以下のサイズであれば、膜16の膜面に強度ムラの小さい音圧がかかることになる。このため、音響の制御が困難な膜の振動モードが誘起されにくくなる。つまり、防音セル22は、高い音響制御性を獲得することができる。
強度ムラがより小さい音圧を膜16の膜面にかけることは、膜16の膜面にかかる音圧をより均一にすることになる。このように、膜16の膜面にかかる音圧をより均一にするためには、枠14(孔部12)のサイズLは、防音セル22に固定された膜16の第1固有振動周波数の波長をλとするとき、λ/2以下であることが好ましく、λ/4以下であることがより好ましく、λ/8以下であることが最も好ましい。
枠14の材料は、膜16を支持でき、上述した防音対象物に適用する際に適した強度を持ち、防音対象物の防音環境に対して耐性があれば、特に制限的ではなく、防音対象物及びその防音環境に応じて選択することができる。例えば、枠14の材料としては、樹脂材料、無機材料などが挙げられる。樹脂材料としては、具体的には、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET:PolyEthylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE:PolyEthylene)、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等のオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられる。また、ポリイミド、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタレート、及びトリアセチルセルロース等の樹脂材料も挙げることができる。また、樹脂材料として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon-Fiber-Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass-Fiber-Reinforced Plastics)等も挙げることができる。
一方、透明無機材料としては、具体的には、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子;透光性圧電セラミックス(PLZT:La-modified lead zirconate titanate)等のセラミックス;石英;蛍石等が挙げられる。また、枠14の材料として、アルミニウム、ステンレス等の金属材料が用いられても良い。枠14の材料として、さらに、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、及びこれらの合金等の金属材料を用いても良い。
また、枠14の材料としてこれらの複数種の材料を組み合わせて用いてもよい。
(背面部材)
背面部材20は、枠14の内周面で囲まれた膜16の背面空間を閉じ切るものである。
背面部材20は、膜16の背面に枠14によって形成される背面空間を閉空間とするために、膜16と互いに向き合う、枠14の孔部12の他方の端部に取り付けられる板状部材である。このような板状部材としては、膜16の背面に閉空間を形成することができれば特に制限的ではなく、膜16よりも剛性が高い材料製の板状部材であることが好ましいが、膜16と同じ材料でも良い。枠14の孔部12の両側開口に膜16を固定する場合には、両側の膜16にそれぞれ凸部18を形成しても良いし、又は錘を取り付けても良い。
ここで、背面部材20の材料としては、例えば、上述した枠14の材料と同様な材料を用いることができる。また、背面部材20の枠14への固定方法は、膜16の背面に閉空間を形成することができれば特に制限的ではなく、上述した膜16の枠14への固定方法と同様な方法を用いれば良い。
また、背面部材20は、膜16の背面に枠14によって形成される空間を閉空間とするための板状部材であるので、枠14と一体化されていても良いし、同一材料によって一体的に形成しても良い。
(膜)
膜16は、枠14の内部の孔部12を覆うように枠14に抑えられるようにその周辺部が固定されるものである。膜16は、上述したように、凸部18が形成されて、又は錘等が取り付けられて一体化された状態で、高面密度領域16aと低面密度領域16bとを形成するためのものである。膜16は、低面密度領域16bが外部からの音波に対応して膜振動することにより低面密度領域16b及び高面密度領域16aによって音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するものである。
ところで、膜16は、枠14を節として膜振動する必要があるので、枠14に確実に抑えられるように固定される必要がある。そして、膜16自体は、低面密度領域16bを構成して膜振動の腹となり、音波のエネルギを吸収して、もしくは反射して防音する必要がある。このため、膜16は、可撓性のある弾性材料製であることが好ましい。
このため、膜16の形状は、図1に示す枠14の孔部12の形状である。また、膜16のサイズは、枠14(孔部12)のサイズLであるということができる。
また、図1及び図2に示すように、膜16に凸部18が形成されて、又は錘等が取り付けられて一体化された状態では、凸部18が形成されていない膜16、又は錘等が取り付けられていない膜16は、低面密度領域16bとなる。この場合、膜16の厚さは、低面密度領域16bの厚さとなる。
このため、低面密度領域16bの厚さである膜16の厚さは、音波のエネルギを吸収して、もしくは反射して防音するために、高面密度領域16aに隣接する低面密度領域16bが膜振動することができれば、特に制限的ではない。しかしながら、この膜16の厚さは、固有振動モードを高周波側に得るためには厚く、低周波側に得るためには薄くすることが好ましい。例えば、図2に示す膜16の厚さLは、低面密度領域16bの厚さであるが、本発明では、孔部12のサイズL、即ち膜16のサイズに応じて設定することができる。
例えば、膜16の厚さLは、孔部12のサイズLが0.5mm〜50mmの場合には、0.001mm(1μm)〜5mmであることが好ましく、0.005mm(5μm)〜2mmであることがより好ましく、0.01mm(10μm)〜1mmであることが最も好ましい。
また、膜16の厚さLは、孔部12のサイズLが、50mm超、300mm以下の場合には、0.01mm(10μm)〜20mmであることが好ましく、0.02mm(20μm)〜10mmであることがより好ましく、0.05mm(50μm)〜5mmであることが最も好ましい。
なお、膜16の厚さは、1つの膜16で厚さが異なる場合などは、平均厚さで表すことが好ましい。なお、この平均厚さは、凸部18が形成されていない低面密度領域16b、又は錘等が取り付けられていない低面密度領域16bを構成する膜16の厚さである場合には、低面密度領域16bの平均厚さhとなる。
また、上述したように、凸部18が形成されていない膜16、又は錘等が取り付けられていない膜16は、低面密度領域16bとなる。このため、膜16のヤング率は、低面密度領域16bのヤング率となる。
このため、低面密度領域16bのヤング率となる膜16のヤング率は、音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために、高面密度領域16aに隣接する低面密度領域16bが膜振動することができる弾性を有していれば、特に制限的ではない。この膜16のヤング率は、固有振動モードを高周波側に得るためには大きく、低周波側に得るためには小さくすることが好ましい。膜16のヤング率は、本発明では、例えば、枠14(孔部12)のサイズ(即ち膜のサイズ)Lに応じて設定することができる。
例えば、膜16単独のヤング率は、1000Pa〜3000GPaであることが好ましく、10000Pa〜2000GPaであることがより好ましく、1MPa〜1000GPaであることが最も好ましい。
また、上述したように、凸部18が形成されていない膜16、又は錘等が取り付けられていない膜16は、低面密度領域16bとなるので、膜16の密度も、低面密度領域16bの密度となる。
このため、低面密度領域16bの密度となる膜16の密度は、音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために、高面密度領域16aに隣接する低面密度領域16bが膜振動することができるものであれば、特に制限的ではない。この膜16の密度は、例えば、5kg/m〜30000kg/mであることが好ましく、10kg/m〜20000kg/mであることがより好ましく、100kg/m〜10000kg/mであることが最も好ましい。
膜16の材料は、膜状材料、又は箔状材料にした際に、上述した防音対象物に適用する際に適した強度を持ち、防音対象物の防音環境に対して耐性がある必要がある。また、膜16の材料は、膜16が音波のエネルギを吸収、もしくは反射して防音するために膜振動することができる必要がある。膜16の材料は、上述した特徴を有していれば、特に制限的ではなく、防音対象物及びその防音環境などに応じて選択することができる。
例えば、膜16の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、アクリル(ポリメタクリル酸メチル:PMMA:polymenthyl methacrylate)、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、芳香族ポリアミド、シリコーン樹脂、エチレンエチルアクリレート、酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、及びポリブテン等の膜状にできる樹脂材料を挙げることができる。また、アルミニウム、クロム、チタン、ステンレス、ニッケル、スズ、ニオブ、タンタル、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鉄、銅、及びパーマロイ等の箔状にできる金属材料も挙げることができる。また、紙、セルロースなどその他繊維状の膜になる材質、不織布、ナノサイズのファイバーを含むフィルム、薄く加工したウレタン、及びシンサレート等のポーラス材料、薄膜構造に加工したカーボン材料等、薄い構造を形成できる材質等も挙げることができる。
また、膜16は、枠14の孔部12の少なくとも一方の側の開口を覆うように枠14に固定される。即ち、膜16は、枠14の孔部12の一方の側、又は他方の側、もしくは両側の開口を覆うように枠14に固定されていても良い。
枠14への膜16の固定方法は、特に制限的ではなく、膜16を枠14に膜振動の節となるように固定できればどのようなものでも良い。例えば、枠14への膜16の固定方法は、接着剤を用いる方法、又は物理的な固定具を用いる方法などを挙げることができる。
接着剤を用いる方法は、接着剤を枠14の孔部12を囲む表面上に接着剤を塗布し、その上に膜16載置し、膜16を接着剤で枠14に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成社製)など)、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
物理的な固定具を用いる方法としては、枠14の孔部12を覆うように配置された膜16を枠14と棒等の固定部材との間に挟み、固定部材をネジやビス等の固定具を用いて枠14に固定する方法等を挙げることができる。
なお、本実施形態1の防音セル22は、枠14と膜16とを別体として構成し、膜16を枠14に固定した構造であるが、これに限定されず、同じ材料からなる膜16と枠14が一体化した構造であっても良い。
ここで、防音セル22の枠14に固定され、凸部18又は錘を備える膜16は、防音セル22の構造において、誘起可能な最も低次の固有振動モードの周波数である第1固有振動周波数を持つものである。最も低次の固有振動モードの周波数である第1固有振動周波数は、例えば、防音セル22の枠14に固定され、凸部18又は錘を備える膜16に略垂直に入射する音場に対し、膜の透過損失が最小となり、最も低次の吸収ピークを有する共振周波数である。即ち、本発明では、膜16の第1固有振動周波数においては、音を透過させ、最も低次の周波数の吸収ピークを有する。本発明においては、この共振周波数は、枠14及び凸部18又は錘を備える膜16からなる防音セル22によって決まる。
即ち、枠14及び凸部18又は錘を備える膜16からなる構造における共振周波数、即ち枠14に抑えられるように固定された膜16の共振周波数は、音波が膜振動を最も揺らすところである。音波は、その共振周波数で大きく透過し、その共振周波数は、最も低次の周波数の吸収ピークを有する固有振動モードの周波数である。
また、本発明においては、第1固有振動周波数は、枠14及凸部18又は錘を備える膜16からなる防音セル22によって決まる。本発明では、このようにして決まる第1固有振動周波数を膜の第1固有振動周波数という。例えば、剛性則に従う周波数領域と質量側に従う周波数領域との境界が最も低次の第1共振周波数となる。
枠14に固定され、凸部18又は錘を備えた膜16の第1固有振動周波数は、第1固有振動数が100000Hz以下であることが好ましく、20000Hz以下にあることが更に好ましい。
具体的には、上述の膜16の第1固有振動周波数は、人間の音波の感知域の上限に相当する100000Hz以下であることが好ましく、人間の音波の可聴域の上限である20000Hz以下であることがより好ましく、15000Hz以下であることが更により好ましく、10000Hz以下であることが最も好ましい。また、第一固有振動周波数の下限は、本発明を用いて音響吸収率ピークを可聴域に発現させる場合においては、5Hz以上であることが好ましい。
ここで、本実施形態の防音セル22において、枠14及び凸部18又は錘を備える膜16からなる構造における膜16の共振周波数、例えば第1固有振動周波数は、防音セル22の枠14の幾何学的形態(例えば枠14の形状及び寸法(サイズ))と、防音セル22の凸部18又は錘を備える膜16の剛性(例えば凸部18又は錘を備える膜16の厚さ及び可撓性)と膜背後空間の体積によって定めることができる。
(凸部)
ところで、本発明においては、図1及び図2に示す例では、膜16には、その内側(枠14側)に凸部18が形成されており、又は錘が取り付けられており、凸部18、又は錘を有する膜16の領域は、膜の高面密度領域16aを構成している。即ち、膜の面密度は、膜16に凸部18を設ける、又は錘を付ける等によって膜の高面密度領域16aを実現することができる。
凸部18、又は錘は、膜16において膜の高面密度領域16aを形成するためのものである。凸部18、又は錘は、膜16に膜の高面密度領域16aを形成できれば、どのようなものでも良く、特に制限的ではない。
凸部18の形状は、図1に示す例では、正方形である。本発明においては、凸部18、又は錘の形状は、特に制限的ではなく、例えば長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは円形、楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
凸部18、又は錘の材料は、特に制限的ではなく、膜16と同一の材料であっても良いし、異なる材料であっても良い。また、凸部18、又は錘の材料としては、膜16の材料、又は枠14の材料と同じ材料を用いることができる。錘の材料としては、特に制限的ではないが、膜16の材料よりも重い材料の方が好ましい。
更に、凸部18、又は錘は、膜16と一体化されていても良いし、別体として構成されて膜16に取り付けられていても良い。
即ち、この膜16の凸部18は、樹脂成形、又はインプリント等の成形技術で膜16と一体で成型されていても良い。即ち、この凸部18を有する膜16は、凹凸を有する樹脂膜であることが好ましい。また、膜16の凸部18は、膜16に錘を取り付ける場合と同様に、後から膜16上に、何らかの公知の方法で、例えばテープや接着剤等により固定される形態を取っても良い。膜16に、凸部18、又は錘を固定する場合には、上述した膜16を枠14に固定する方法と同様な方法で行えばよい。
また、3Dプリンタ等を用いて、枠14と膜16とを、又は枠14と膜16と凸部18或いは錘とを一括で成形したり、枠14と一括成形された膜16に凸部18、又は錘の部分のみを後付けで付与することもできる。
図1、及び図2に示す例では、膜16に複数(例えば、5×5(=25))個の凸部18を備えているが、本発明はこれに限定されない。図3、及び図4に示す防音セル22Aを有する防音構造10Aのように、1個の凸部18、又は錘を備えるものであっても良い。
また、図1、及び図2に示す例では、膜16に同じ形状、同じサイズ、同じ高さの複数(例えば、25)個の凸部18を備えているが、本発明はこれに限定されない。膜16は、形状、サイズ、及び高さの少なくとも1つが異なる複数の凸部18を有していても良いし、形状、サイズ、高さ、及び重さの異なる少なくとも1つが錘を有していても良い。
また、図1、及び図2に示す例では、膜16上に複数(例えば、25)個の凸部18が規則的に配列されているが、本発明はこれに限定されない。図5、及び図6に示す防音セル22Bを有する防音構造10Bのように、凸部18、又は錘が膜16上に設けられる形態にあっては、凸部18、又は錘が膜16上に規則的に配列されている必要は無く、複数(例えば、25)個の凸部18、又は錘が膜16上にランダムに配置されていてもよい。
また、図1、及び図2に示す例では、膜16に複数(例えば、25)個の凸部18を備えているが、本発明はこれに限定されない。膜16に凸部18けるのではなく、凹部を設けて低面密度領域16bを形成し、凹部が設けられていない膜16の部分を高面密度領域16aとしても良い。また、膜16、又は膜16の凹部に切り込みを入れるなどして(その結果、曲げ剛性が小さくなり)、低い曲げ剛性を実現する等して、低面密度領域16bを形成しても良い。例えば、格子状に切り込みを入れることにより、より等方的に曲げ剛性を下げて、低面密度領域16bを形成することもできる。
また、図1、及び図2に示す例では、枠14の孔部12の開口の一方の側に膜16を備え、その膜16には、その内側(枠14側)に凸部18が形成されているが、本発明はこれに限定されない。枠14の孔部12の開口の両側に膜16を備えていても良い。また、凸部18、凹部、又は錘は、膜16の内側(枠14側)、及びその外側(枠14と反対側)のいずれの側にあっても良い。
例えば、図7に示す防音セル22Cを有する防音構造10Cのように、枠14の孔部12の開口の両側に膜16を備え、両側の膜16の共にその内側(枠14側)に凸部18、凹部、又は錘を有していても良い。
例えば、図8に示す防音セル22Dを有する防音構造10Dのように、枠14の孔部12の開口の両側に膜16を備え、両側の膜16の一方の膜16の外側(枠14と反対側)に凸部18、凹部、又は錘を有し、他方の膜16の内側(枠14側)に凸部18、凹部、又は錘を有していても良い。
例えば、図9に示す防音セル22Eを有する防音構造10Eのように、枠14の孔部12の開口の両側に膜16を備え、両側の膜16の各膜16の内外両側(枠14側とその反対側)にそれぞれ凸部18、凹部、又は錘を有していても良い。
但し、膜16の凸部18が、枠14の側に存在するとき、膜16の凸部18の体積が大きいと、枠14と膜16とに囲われた背面空気層の体積を減じることになり、この結果背面空気バネの効果が変化し、ピーク周波数が高くなり、狙った低周波のピークが得られないことがある。このような弊害が現れる場合には、膜16の凸部18を枠14と反対(逆)側に設けることが好ましい。
また、図1、及び図2に示す例では、枠14の孔部12の開口の一方の側に1層の膜16を備え、その膜16には、その内側(枠14側)に凸部18が形成されているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図10に示す防音セル22Fを有する防音構造10Fのように、枠14の孔部12の開口の一方の側に膜16及び24からなる2層の積層膜26を備え、その積層膜26の外側(枠14の反対側)に凸部18、凹部、又は錘を有していても良い。防音セル22Fでは、凸部18、凹部、又は錘が取り付けられた積層膜26の領域が高面密度領域26aとなり、凸部18、凹部、又は錘が取り付けられていない積層膜26自体の領域が低面密度領域26bとなる。
なお、2層積層膜26の膜16と膜24との2種類の膜材料が使われている場合には、低面密度領域26bの材質が膜16と膜24との2種類の膜材料から構成される。このように低面密度領域26bが2種類の材料から構成される場合には、膜のパラメータXは、下記式(3)のように定義できる。したがって、この場合には、上記式(1)の代わりに、下記式(3)を用いれば良い。
X=(E +E )/(ρmax/ρmin) [N] ・・・(3)
ここで、E、及びEは、それぞれ低面密度領域26bを構成する膜16、及び膜24の2種類の膜材料のヤング率であり、h、及びhは、それぞれ低面密度領域26bを構成する膜16、及び膜24の平均膜厚である。
同様に、低面密度領域が積層の構造から成る場合には、膜のパラメータXは、下記式(4)のように定義できる。したがって、この場合には、上記式(1)の代わりに、下記式(4)を用いれば良い。
X =Σ(E )/(ρmax /ρmin) [N] …(4)
ここで、Eiは、低面密度領域26bを構成する積層膜26の枠14の側からi番目の膜の膜材料のヤング率であり、hは、低面密度領域26bを構成する積層膜26の枠14の側からi番目の膜の平均膜厚である。
図1〜図10に示す防音構造10、10A、10B、10C、10D、10E、及び10Fは、それぞれ1つの防音セル22、22A、22B、22C、22D、22E、及び22Fを有するものである。しかしながら、本発明はこれらに限定されず、複数個の防音セルを有するものであっても良い。
複数個の防音セルを有する防音構造は、同種の本発明の防音セルを用いるものであっても良いし、異なる種類の複数個の本発明の防音セルを用いるものであっても良い。これらの複数個の防音セルを有する防音構造は、更に1種類以上の従来技術の防音セルを含んでいても良い。
この時、これらの防音構造の複数個の防音セルの複数個の枠14は、1つの枠体として構成されたものであっても良い。また、これらの防音構造の複数個の防音セルの複数枚の膜16は、1枚のシート状膜体として構成されたものであっても良い。
本発明の防音構造10、及び10A〜10F、並びに防音セル22、及び22A〜22Fは、基本的に以上のように構成される。
また、本発明の防音構造は、ダクト等の開口を有する開口部材内に、上述した本発明の防音セル22、及び22A〜22Fのような1つ以上の防音セルを配置した構造を有するものであっても良い。この場合、防音セルは、開口部材の開口断面に対して膜の膜面を傾け、開口部材に気体が通過する通気孔となる領域を設けた状態で、開口部材に配置されることが好ましい。
図11は、本発明の他の実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す斜視図である。図12は、図11に示す防音構造のI−I線で切断した模式的断面図である。
図11、及び図12に示す本実施形態の防音構造30は、図3に示す防音構造10Aの防音セル22Aを、本実施形態の開口部材であるアルミニウム製の管体32(の開口32a)内に配置した構造を有する。防音セル22は、管体32内に、その開口断面32bに対して膜16の膜面を90°傾け、管体32内の開口32aに気体が通過する通気孔32cとなる領域を設けた状態で配置されている。即ち、防音セル10Aは、管体32の中心線に平行に配置されている。
ここで、管体32は、気体の通過を遮断する物体の領域内に形成される開口部材であるが、管体32の管壁は、気体の通過を遮断する物体、例えば2つの空間を隔てる物体等の壁を構成し、管体32の内部は、気体の通過を遮断する物体の一部の領域に形成された開口32aを構成する。
なお、本実施形態において、開口部材は、気体の通過を遮断する物体の領域内に形成される開口を有することが好ましく、2つの空間を隔てる壁に設けられることが好ましい。
ここで、開口が形成される領域を持ち、気体の通過を遮断する物体とは、2つの空間を隔てる部材、及び壁等を言い、部材としては、管体、筒状体等の部材を言い、壁としては、例えば、家、ビル、工場等の建造物の構造体を構成する固定壁、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る固定間仕切り(パーティション)等の固定壁、建造物の部屋内に配置され、部屋内を仕切る可動間仕切り(パーティション)等の可動壁等を言う。
本実施形態の開口部材は、ダクト等の管体、筒体であっても良いし、ルーバ、ガラリ等の換気孔、窓等を取り付けるための開口を持つ壁自体であっても良いし、壁に取り付けられる窓枠等の取付枠等であっても良い。
なお、本実施形態の開口部材の開口の形状は、断面形状で、図示例では円形であるが、本発明においては、防音セル、又は複数の防音セルからなる防音セルユニットを開口内に配置できれば、特に制限的ではなく、例えば、正方形、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
また、本実施形態の開口部材の材料としては、特に制限的ではなく、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、これらの合金等の金属材料、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)、建造物の壁材と同様なコンクリート、モルタル等の壁材等を挙げることができる。
図11、及び図12に示す防音構造30では、1つの防音セル22Aが、その開口断面32bに対して膜16の膜面を90°傾けた状態で、管体32内に配置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、本実施形態の防音構造では、複数の防音セルが防音セルユニットとして管体32内に配置されていても良い。また、本実施形態の防音構造では、防音セル22Aの代わりに、防音構造10、10B、10C、10D、10E、及び10Fの防音セル22、22B、22C、22D、22E、及び22F等の他の形態の防音セルを管体32に内に配置しても良い。また、本実施形態の防音構造では、管体32内の開口32aに気体が通過する通気孔となる領域を設けることができれば、管体32の開口断面32bに対して防音セル22Aの膜16の膜面を平行にしても良い。また、図13に示すように、体32の開口断面32bに対して防音セル22Aの膜16の膜面を所定角度θ傾け、管体32内の開口32aに気体が通過する通気孔32cを設けた状態で配置しても良い。
また、本実施形態においては、この傾斜角度θは、通気性の点からは、20度以上であることが好ましく、45度以上がより好ましく、80度以上がさらに好ましい。
ここで、傾斜角度θが20度以上であることが好ましい理由は、防音セル22Aのデバイス断面(膜16の膜面)が開口断面32bと等しい場合、傾斜角度θを20°以上傾けることで、10%以上の好ましい開口率を得ることができるからである。
また、傾斜角度θが20度〜45度では、低周波の第1振動モードの遮音ピークが、存在しており、最大遮音(θ=0°)に対して、10%以上の遮音性能を維持可能であり、好ましいからである。
また、傾斜角度θが45度以上であることがより好ましい理由は、通風性を考慮した標準的なサッシ、及びガラリの角度が約45度程度であるためである。
また、80度以上が更に好ましい理由は、風による、膜16にかかる定圧力の影響を最小限に抑制でき、風速が大きくなっても防音特性の変化を抑制できるからである。また、80度以上では、風速の減少がなくなり、最も通気能力が高い状態となるからである。
なお、本実施形態の防音構造の開口率は、下記式(5)で定義されるものであり、実施形態2の防音構造10Aにおいては、下記式(5)で定義される開口率は約67%となっており、高い通気性または通風性を得ることができるものである。
開口率(%)={1−(開口断面における防音セルの断面積/開口断面積)}×100…(5)
本実施形態の防音構造においては、図13に示すように、開口部材である管体32内に、防音セル22Aが膜16の膜面を管体32の開口断面32bに対して所定の傾斜角度θで傾斜させて配置されている。なお、図13に示す傾斜した防音セル18の膜16の膜面と管体32の管壁との間にできる隙間は、管体32の開口32aに形成される気体の通過が可能な通気孔32cとなる。
本実施形態においては、この通気孔32cの開口率は、10%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。
ここで、通気孔32cの開口率が、10%以上が好ましい理由は、市販の通気性を有する防音部材(エアトース(登録商標))の開口率が6%程度であるが、本実施形態の防音構造は、従来(市販品)にない2桁以上の開口率においても、高い防音性性能を発揮できるからである。
また、通気孔32cの開口率が、25%以上が好ましい理由は、本実施形態の防音構造は、標準的なサッシ、及びガラリの25%〜30%の開口率においても、高い防音性性能を発揮できるからである。
また、通気孔32cの開口率が、50%以上が好ましい理由は、本実施形態の防音構造は、高通気性のサッシ、及びガラリの50〜80%の開口率においても、高い防音性性能を発揮できるからである。
以下に、本発明の防音構造を持つ防音構造に組合せることができる構造部材の物性、又は特性について説明する。
[難燃性]
建材や機器内防音材として本発明の防音構造を持つ防音構造を使用する場合、難燃性であることが求められる。
そのため、膜は、難燃性のものが好ましい。膜としては、例えば難燃性のPETフィルムであるルミラー(登録商標)非ハロゲン難燃タイプZVシリーズ(東レ社製)、テイジンテトロン(登録商標)UF(帝人社製)、及び/又は難燃性ポリエステル系フィルムであるダイアラミー(登録商標)(三菱樹脂社製)等を用いればよい。
また、枠も、難燃性の材質であることが好ましく、アルミニウム等の金属、セミラックなどの無機材料、ガラス材料、難燃性ポリカーボネート(例えば、PCMUPY610(タキロン社製))、及び/又はや難燃性アクリル(例えば、アクリライト(登録商標)FR1(三菱レイヨン社製))などの難燃性プラスチックなどが挙げられる。
さらに、膜を枠に固定する方法も、難燃性接着剤(スリーボンド1537シリーズ(スリーボンド社製))、半田による接着方法、又は2つの枠で膜を挟み固定するなどの機械的な固定方法が好ましい。
[耐熱性]
環境温度変化にともなう、本発明の防音構造の構造部材の膨張伸縮により防音特性が変化してしまう懸念があるため、この構造部材を構成する材質は、耐熱性、特に低熱収縮のものが好ましい。
膜は、例えばテイジンテトロン(登録商標)フィルム SLA(帝人デュポン社製)、PENフィルム テオネックス(登録商標)(帝人デュポン社製)、及び/又はルミラー(登録商標)オフアニール低収縮タイプ(東レ社製)などを使用することが好ましい。また、一般にプラスチック材料よりも熱膨張率の小さいアルミニウム等の金属膜を用いることも好ましい。
また、枠は、ポリイミド樹脂(TECASINT4111(エンズィンガージャパン社製))、及び/又はガラス繊維強化樹脂(TECAPEEKGF30(エンズィンガージャパン社製))などの耐熱プラスチックを用いること、及び/又はアルミニウム等の金属、又はセラミック等の無機材料やガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、耐熱接着剤(TB3732(スリーボンド社製)、超耐熱1成分収縮型RTVシリコーン接着シール材(モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン社製)、及び/又は耐熱性無機接着剤アロンセラミック(登録商標)(東亜合成社製)など)を用いることが好ましい。これら接着を膜または枠に塗布する際は、1μm以下の厚みにすることで、膨張収縮量を低減できることが好ましい。
[耐候、及び耐光性]
屋外や光が差す場所に本発明の防音構造を持つ防音構造が配置された場合、構造部材の耐侯性が問題となる。
そのため、膜は、特殊ポリオレフィンフィルム(アートプライ(登録商標)(三菱樹脂社製))、アクリル樹脂フィルム(アクリプレン(三菱レイヨン社製))、及び/又はスコッチカルフィルム(商標)(3M社製)等の耐侯性フィルムを用いることが好ましい。
また、枠材は、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリル(アクリル)などの耐侯性が高いプラスチックやアルミニウム等の金属、セラミック等の無機材料、及び/又はガラス材料を用いることが好ましい。
さらに、接着剤も、エポキシ樹脂系のもの、及び/又はドライフレックス(リペアケアインターナショナル社製)などの耐侯性の高い接着剤を用いることが好ましい。
耐湿性についても、高い耐湿性を有する膜、枠、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。吸水性、耐薬品性に関しても適切な膜、枠、及び接着剤を適宜選択することが好ましい。
[ゴミ]
長期間の使用においては、膜表面にゴミが付着し、本発明の防音構造の防音特性に影響を与える可能性がある。そのため、ゴミの付着を防ぐ、または付着したゴミ取り除くことが好ましい。
ゴミを防ぐ方法として、ゴミが付着し難い材質の膜を用いることが好ましい。例えば、導電性フィルム(フレクリア(登録商標)(TDK社製)、及び/又はNCF(長岡産業社製))などを用いることで、膜が帯電しないことで、帯電によるゴミの付着を防ぐことができる。また、フッ素樹脂フィルム(ダイノックフィルム(商標)(3M社製))、及び/又は親水性フィルム(ミラクリーン(ライフガード社製)、RIVEX(リケンテクノス社製)、及び/又はSH2CLHF(3M社製))を用いることでも、ゴミの付着を抑制できる。さらに、光触媒フィルム(ラクリーン(きもと社製))を用いることでも、膜の汚れを防ぐことができる。これらの導電性、親水性、及び/又は光触媒性を有するスプレー、及び/又はフッ素化合物を含むスプレーを膜に塗布することでも同様の効果を得ることができる。
上述したような特殊な膜を使用する以外に、膜上にカバーを設けることでも汚れを防ぐことが可能である。カバーとしては、薄い膜材料(サランラップ(登録商標)など)、ゴミを通さない大きさの網目を有するメッシュ、不織布、ウレタン、エアロゲル、ポーラス状のフィルム等を用いることができる。
付着したゴミを取り除く方法としては、膜の共鳴周波数の音を放射し、膜を強く振動させることで、ゴミを取り除くことができる。また、ブロワー、又はふき取りを用いても同様の効果を得ることができる。
[風圧]
強い風が膜に当たることで、膜が押された状態となり、共鳴周波数が変化する可能性がある。そのため、膜上に、不織布、ウレタン、及び/又はフィルムなどでカバーすることで、風の影響を抑制することができる。
さらに、本発明の防音構造では、防音構造側面で風をさえぎることによる乱流の発生による影響(膜への風圧、風切り音)を抑制するため、防音構造側面に風Wを整流する整流板等の整流機構を設けることが好ましい。
[ユニットセルの組合せ]
図1〜10に示す本発明の防音構造10、及び10A〜10Fは、1つの枠14とそれに取り付けられた1枚の膜16と膜16に設けられた凸部18、錘、又は凹部を持つ単位ユニットセルとしての1つの防音セル22、及び22A〜22Fからなる。一方、本発明の防音構造は、複数の枠が連続した1つの枠体、1つの枠体の複数の枠のそれぞれの孔部に取り付けられる複数の膜が連続したシート状膜体、及び複数の膜に設けられる凸部18、錘、又は凹部と、を有する、予め一体化された複数の防音セルからなる。本発明の防音構造は、このように、単位ユニットセルを独立に使用する防音構造であっても良いし、予め複数の防音セルが一体化された防音構造であっても良いし、又は複数の単位ユニットセルを連結させて使用する複数の防音セルからなる防音構造であっても良い。
複数の単位ユニットセルの連結の方法としては、枠にマジックテープ(登録商標)、磁石、ボタン、吸盤、及び/又は凹凸部を取り付けて組み合わせてもよいし、テープなどを用いて複数の単位ユニットセルを連結させることもできる。
[配置]
本発明の防音構造を有する防音構造を壁等に簡易に取り付け、又はり取外しできるようにするため、防音構造に磁性体、マジックテープ(登録商標)、ボタン、吸盤などからなる脱着機構が取り付けられていることが好ましい。
[枠機械強度]
本発明の防音構造を有する防音構造のサイズが大きくなるにつれ、枠が振動しやすくなり、膜振動に対し固定端としての機能が低下する。そのため、枠の厚みを増して枠剛性を高めることが好ましい。しかし、枠の厚みを増すと防音構造の質量が増し、軽量である本防音構造の利点が低下していく。
そのため、高い剛性を維持したまま質量の増加を低減するために、枠に孔や溝を形成することが好ましい。
また、面内の枠厚みを変える、又は組合せることで、高剛性を確保し、軽量化を図ることもできる。こうすることにより、高剛性化と軽量化を両立することができる。
本発明の防音構造は、以下のような防音構造として使用することができる。
例えば、本発明の防音構造を持つ防音構造としては、
建材用防音構造:建材用として使用する防音構造、
空気調和設備用防音構造:換気口、空調用ダクトなどに設置し、外部からの騒音を防ぐ防音構造、
外部開口部用防音構造:部屋の窓に設置し、室内又は室外からの騒音を防ぐ防音構造、
天井用防音構造:室内の天井に設置され、室内の音響を制御する防音構造、
床用防音構造:床に設置され、室内の音響を制御する防音構造、
内部開口部用防音構造:室内のドア、ふすまの部分に設置され、各部屋からの騒音を防ぐ防音構造、
トイレ用防音構造:トイレ内またはドア(室内外)部に設置、トイレからの騒音を防ぐ防音構造、
バルコニー用防音構造:バルコニーに設置し、自分のバルコニーまたは隣のバルコニーからの騒音を防ぐ防音構造、
室内調音用部材:部屋の音響を制御するための防音構造、
簡易防音室部材:簡易に組み立て可能で、移動も簡易な防音構造、
ペット用防音室部材:ペットの部屋を囲い、騒音を防ぐ防音構造、
アミューズメント施設:ゲームセンター、スポーツセンター、コンサートホール、映画館に設置される防音構造、
工事現場用仮囲い用の防音構造:工事現場を多い周囲に騒音の漏れを防ぐ防音構造、
トンネル用の防音構造:トンネル内に設置し、トンネル内部及び外部に漏れる騒音を防ぐ防音構造、等を挙げることができる。
以上、本発明の防音構造についての種々の実施形態及び実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明の防音構造を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)
まず、図3及び図4に示す本発明の防音構造10Aを実施例1として作製した。
図3及び図4に示す防音構造10Aは、孔部12を有する枠14と、孔部12を覆うように枠14に固定された振動可能な膜16とを有する防音セル22Aからなるものであった。
当該実施例1では、PETフィルム(東レ(株)社製ルミラー、厚み125μm)を膜16とした。一辺20mmの正方形で、厚み3mmのアクリル片を凸部18としてPETフィルムからなる膜16の中央に配置し、にテープにて膜16に後付けした。枠14として、その長さ(背面距離)が20mmで、孔部12が内辺40mmの正方形、膜16を固定する枠14の外周の厚みが3mmである金属アルミニウムの角筒を用いた。また、同様に厚み3mmの金属アルミニウムの一辺46mm角正方形板を背面部材20として準備し、枠14の枠構造の片面(孔部12の端部)に取り付けて蓋とした。枠14のもう片面の枠部分に、中央に凸部18としてアクリル片が固定された一辺46mm正方形の膜16となるPETフィルムを取り付けた。取り付けは両面テープで接着によって行った。
こうして、図3及び図4に示す防音セル22Aからなる防音構造10Aを作製した。
当該実施例1では、ρmax/ρmin=25であった。最短線分長Δdは、10mm(10×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(比較例1)
PETフィルムの膜上に、一辺20mmの正方形で、厚み3mmのアクリル片からなる凸部18が無いことを除いては、実施例1と同様の従来技術の防音構造を作製した。
当該比較例1では、ρmax/ρmin=1(面密度分布無し)であった。
この比較例1の防音構造をPETフィルムの膜の標準とした。
まず、実施例1、及び比較例1の防音構造の音響特性をそれぞれ測定した。
音響測定は、内径8cmの音響管を用い、以下のようにして行い、実施例1、及び比較例1の防音構造における吸収率を測定した。
音響特性は、図14に示すように、アルミニウム製音響管(管体32)に4つのマイクロフォン34を用いて伝達関数法による測定を行った。この手法は「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従うものである。音響管としては、例えば日東紡音響エンジニアリング株式会社製のWinZacと同一の測定原理であるものとして、アルミニウム製の管体32を用いた。管体32の内部にスピーカ36を収納した円筒状の函体38を配置し、函体38に管体32を載置した。スピーカ34から所定音圧の音を出力し、4本のマイクロフォン34で測定した。この方法で広いスペクトル帯域において音響透過損失を測定することができる。実施例1の防音セル10Aを音響管となる管体32の所定測定部位に防音セル10Aの膜16の膜面を傾斜させて配置して、本実施形態の防音構造30を構成し、100Hz〜4000Hzの範囲で音響吸収率と透過損失測定を行った。
実施例1、及び比較例1の防音構造の吸収率を測定した結果を図15に示す。
PETフィルムの膜16を用いる実施例1の最も低周波側に確認された吸収率ピークに関して、以下の項目を判定した。
(低周波化判定)
凸部が無い場合(比較例1に相当)の吸収ピークのピーク周波数の2分の3以下となっている場合にG(good:良)、そうでない場合はB(bad:不良)と判定した。
(吸収率判定)
凸部が無い場合(比較例1に相当)の吸収ピークの吸収率の50%以上となっている場合にG、そうでない場合はBと判定した。
(条件式判定)
上記式(2)式を満足する場合をTRUE(該)、そうでない場合をFALSE(非)と判定した。また、膜面密度を有しない場合は、当該条件判定式の該非は判定できないためNULL(無)とした。
実施例1のこれらの判定結果を表1に示す。
(実施例2)
膜16上に3x3(9)個のアクリル片(高さ3mm、一辺6.7mm正方形)が6.7mm間隔で均等に配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様の防音構造を作製した。
当該実施例2では、ρmax/ρmin=25であった。最短線分長Δdは、3.3mm(3.3×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(実施例3)
膜16上に5x5(25)個のアクリル片(高さ3mm、一辺4mm正方形)が4mm間隔で均等に配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様である図1及び図2に示す防音セル22からなる防音構造10を作製した。
当該実施例3では、ρmax/ρmin=25であった。最短線分長Δdは、2.0mm(2.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(実施例4)
膜16上に10x10(100)個のアクリル片(高さ3mm、一辺2mm正方形)が2mm間隔で均等配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様の防音構造を作製した。
当該実施例4では、ρmax/ρmin=25であった。最短線分長Δdは、1.0mm(1.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(実施例5)
膜16上に5x5(25)個のアクリル片(高さ3mm、一辺4mm正方形)が不規則に膜上に配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様である図5及び図6に示す防音セル22Bからなる防音構造10Bを作製した。
当該実施例5では、ρmax/ρmin=25であった。最短線分長Δdは、0.5mm(0.5×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
まず、実施例2〜5の防音構造の音響特性をそれぞれ測定した。
実施例2〜5の吸収率を測定した結果を図15に示す。
次に、実施例2〜5について、それぞれ上記低周波化判定、吸収率判定、及び条件式判定を行った。
実施例2〜5の判定結果を表1に示す。
(実施例6)
膜16の材料が厚み50umのシリコーンゴムフィルムであって、膜16上に、10x10(100)個のCuから成る錘(高さ0.5mm、一辺2mm正方形)が2mm間隔で均等に両面テープで接着され配置されていることを除いては、実施例1と同様の防音構造を作製した。
当該実施例6では、ρmax/ρmin=53であった。最短線分長Δdは、1.0mm(1.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(比較例4)
膜上に、Cuの錘が無いことを除いては、実施例6と同様の従来技術の防音構造を作製した。
当該比較例4では、ρmax/ρmin=1(面密度分布無し)であった。
この比較例4の防音構造をシリコーンゴムフィルムの膜の標準とした。
まず、実施例6、及び比較例4の防音構造の音響特性を上述のようにしてそれぞれ測定した。
吸収率を測定した結果を図16に示す。
シリコーンゴムフィルムの膜16を用いる実施例6の最も低周波側に確認された吸収率ピークに関して、以下の項目を判定した。
(低周波化判定)
凸部が無い場合(比較例4に相当)の吸収ピークのピーク周波数の2分の3以下となっている場合にG(good:良)、そうでない場合はB(bad:不良)と判定した。
(吸収率判定)
凸部が無い場合(比較例4に相当)の吸収ピークの吸収率の50%以上となっている場合にG、そうでない場合はBと判定した。
(条件式判定)
上記式(2)式を満足する場合をTRUE(該)、そうでない場合をFALSE(非)と判定した。また、膜面密度を有しない場合は、当該条件判定式の該非は判定できないためNULL(無)とした。
実施例6のこれらの判定結果を表1に示す。
(実施例7)
膜16上に、10x10(100)個のCuから成る錘(高さ1.0mm、一辺2mm正方形)が2mm間隔で均等に両面テープで接着され配置されていることを除いては、実施例6と同様の防音構造を作製した。
当該実施例7では、ρmax/ρmin=104であった。最短線分長Δdは、1.0mm(1.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(実施例8)
膜16上に、10x10(100)個のCuから成る錘(高さ2.0mm、一辺2mm正方形)が2mm間隔で均等に両面テープで接着され配置されていることを除いては、実施例6と同様の防音構造を作製した。
当該実施例7では、ρmax/ρmin=208であった。最短線分長Δdは、1.0mm(1.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
まず、実施例7〜8の防音構造の音響特性をそれぞれ測定した。
実施例7〜8の吸収率を測定した結果を図16に示す。
次に、実施例7〜8について、それぞれ上記シリコーンゴムフィルムの膜16を用いる場合の低周波化判定、吸収率判定、及び条件式判定を行った。
実施例7〜8の判定結果を表1に示す。
(比較例2)
膜上に、1つの凸部(高さ18.75mm、一辺8mm正方形)が膜中央に配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様の防音構造を作製した。
当該比較例2では、ρmax/ρmin=151であった。最短線分長Δdは、16mm(16×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(比較例3)
膜上に、1つのCuの錘(高さ11.7mm、一辺4mm正方形)が膜中央に配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様の防音構造を作製した。
当該比較例3では、ρmax/ρmin=601であった。最短線分長Δdは、18mm(18×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
まず、比較例2〜3の防音構造の音響特性をそれぞれ測定した。
比較例2〜3の吸収率を測定した結果を図15に示す。
次に、比較例2〜3について、それぞれ上記PETフィルムの膜を用いる場合の低周波化判定、吸収率判定、及び条件式判定を行った。
比較例2〜3の判定結果を表1に示す。
(比較例5)
膜上に、5x5(25)個のCuから成る錘(高さ0.5mm、一辺4mm正方形)が4mm間隔で均等に両面テープで接着され配置されていることを除いては、実施例6と同様の防音構造を作製した。
当該比較例5では、ρmax/ρmin=53であった。最短線分長Δdは、2.0mm(2.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(比較例6)
膜上に、5x5(25)個のCuから成る錘(高さ1.0mm、一辺4mm正方形)が4mm間隔で均等に両面テープで接着され配置されていることを除いては、実施例6と同様の防音構造を作製した。
当該比較例6では、ρmax/ρmin=105であった。最短線分長Δdは、2.0mm(2.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
(比較例7)
膜上に、5x5(25)個のCuから成る錘(高さ2.0mm、一辺4mm正方形)が4mm間隔で均等に両面テープで接着され配置されていることを除いては、実施例6と同様の防音構造を作製した。
当該実施例7では、ρmax/ρmin=210であった。最短線分長Δdは、2.0mm(2.0×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
まず、比較例5〜7の防音構造の音響特性をそれぞれ測定した。
比較例5〜7の吸収率を測定した結果を図16に示す。
次に、比較例5〜7について、それぞれ上記シリコーンゴムフィルムの膜を用いる場合の低周波化判定、吸収率判定、及び条件式判定を行った。
比較例5〜7の判定結果を表1に示す。
(比較例8)
枠14の長さ(背面距離)が40mmであることを除いては、比較例1と同様の防音構造を作製した。
(比較例9)
枠14の孔部12は、一辺55mm正方形であることを除いては、比較例1と同様の防音構造を作製した。
(比較例10)
膜上に、1つの凸部(高さ0.5mm、一辺20mm正方形)が膜中央に配置されたPETフィルムであることを除いては、実施例1と同様の防音構造を作製した。
当該比較例10では、ρmax/ρmin=5であった。最短線分長Δdは、10mm(10×10−3m)であった。最長の線分長Lは、56.6mm(56.6×10−3m)であった。
まず、比較例8〜10の防音構造の音響特性をそれぞれ測定した。
比較例8〜10の吸収率を測定した結果を図15に示す。
次に、比較例8〜10について、それぞれ上記PETフィルムの膜を用いる場合の低周波化判定、吸収率判定、及び条件式判定を行った。
比較例8〜10の判定結果を表1に示す。
図15には、実施例1〜5、並びに比較例1〜3、及び8〜10の音響特性を示す。
図15、及び表1から、これらの実施例1〜5と、比較例2〜3、及び8〜10とを比較すると、本発明の条件式(2)を満足した実施例1〜5の場合、比較例1に比較して、ピーク周波数が3分の2以下で、且つ、吸収率が半分以上となっていることから、本発明の有効性が示されたことが分かる。
比較例10については(2)式の左側の不等式のみ満たしている、このため、吸収率判定は十分だが、低周波化が不十分(比較例1に対して3分の2以下になっていない)ことが分かる。
図16は、実施例6〜8、及び比較例5〜7の音響特性を示す。
図16、及び表1から、これらの実施例6〜8と、比較例4〜7とを比較すると、本発明の条件式(2)を満足した実施例6〜8の場合、比較例4に比較して、ピーク周波数が3分の2以下、且つ、吸収率が半分以上となっていることから、本発明の有効性が示されたことが分かる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 防音構造
12 孔部
14 枠
16、24 膜
16a、26a 高面密度領域
16b、26b 低面密度領域
18 凸部
20 背面部材
22、22A、22B、22C、22D、22E、22F 防音セル
26 積層膜

Claims (12)

  1. 孔部を持つ枠と、
    前記孔部を覆うように前記枠に固定された膜と、を備え、前記膜の背面空間は閉じ切られている防音セルを少なくとも1つ有する防音構造であって、
    前記膜が高面密度領域と低面密度領域とからなる面密度分布を有し、前記高面密度領域は、前記膜の全面に複数配置されており、
    隣接する前記高面密度領域の端部間を結ぶ線分、及び前記高面密度領域と、前記枠の前記孔部の端部との間を結ぶ線分のうちの最短の線分長をΔd[m]とし、前記枠の前記孔部の端部間を結ぶ線分のうちの最長の線分長をL[m]とし、前記低面密度領域の材質のヤング率をE[GPa]とし、前記低面密度領域の平均膜厚をh[m]とし、前記膜の最大面密度をρmaxとし、前記膜の最小面密度をρminとする時、
    下記式(1)で定義される前記膜のパラメータXが、下記不等式(2)を満たすことを特徴とする防音構造。
    X=Eh/(ρmax/ρmin)[N] …(1)
    (Δd/L−0.025)/(0.06)[N]≦X[N]≦10[N]…(2)
  2. 前記膜の前記最大面密度ρmaxと前記最小面密度ρminとの比ρmax/ρminは、1.5以上である請求項1に記載の防音構造。
  3. 前記膜は、2種類以上の材料から構成される請求項1又は2に記載の防音構造。
  4. 前記膜は、前記高面密度領域を構成する凸部、又は錘を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の防音構造。
  5. 前記凸部を有する前記膜は、凹凸を有する樹脂膜である請求項4に記載の防音構造。
  6. 前記膜、及び枠は、一体である請求項1〜5のいずれか一項に記載の防音構造。
  7. 前記防音セルが、前記膜の第1固有振動周波数の波長よりも小さい請求項1〜6のいずれか一項に記載の防音構造。
  8. 前記第1固有振動周波数は、100000Hz以下である請求項7に記載の防音構造。
  9. 開口を有する開口部材内に、前記防音セルを1つ以上配置した構造を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の防音構造。
  10. 前記防音セルは、前記開口部材の開口断面に対して前記膜の膜面を傾け、前記開口部材に気体が通過する通気孔となる領域を設けた状態で、前記開口部材に配置される請求項9に記載の防音構造。
  11. 請求項4又は5に記載の防音構造を製造するに際し、
    樹脂成形、又はインプリントで前記膜に凹凸を成形して、前記凸部を有する前記膜を製造する防音構造の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の防音構造を製造するに際し、
    前記膜と前記枠とを、3Dプリンタで一括成形する防音構造の製造方法。
JP2018568066A 2017-02-16 2018-01-24 防音構造 Active JP6585314B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017027226 2017-02-16
JP2017027226 2017-02-16
PCT/JP2018/002137 WO2018150828A1 (ja) 2017-02-16 2018-01-24 防音構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6585314B2 true JP6585314B2 (ja) 2019-10-02
JPWO2018150828A1 JPWO2018150828A1 (ja) 2019-11-14

Family

ID=63170582

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018568066A Active JP6585314B2 (ja) 2017-02-16 2018-01-24 防音構造

Country Status (4)

Country Link
US (1) US10902835B2 (ja)
JP (1) JP6585314B2 (ja)
CN (1) CN110249382B (ja)
WO (1) WO2018150828A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11872945B2 (en) 2018-09-14 2024-01-16 Kotobukiya Fronte Co., Ltd. Automotive sound absorption material
JP7186238B2 (ja) * 2018-10-19 2022-12-08 富士フイルム株式会社 音響システム
WO2020196910A1 (ja) * 2019-03-28 2020-10-01 三菱ケミカル株式会社 遮音シートとその製造方法及び遮音構造体
ES2826674B2 (es) * 2021-02-19 2022-03-18 Univ Valencia Politecnica Estructura compuesta y su uso en construccion
CN113729457B (zh) * 2021-10-08 2022-12-13 南方医科大学珠江医院 一种基于大数据的卧床患者用防异味屏风装置

Family Cites Families (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2541159A (en) * 1946-01-22 1951-02-13 Paul H Geiger Sound deadener for vibratory bodies
FR2364310A1 (fr) * 1976-09-10 1978-04-07 Telediffusion Fse Element prefabrique et procede d'isolation et d'absorption acoustiques d'un local
JPS5910568B2 (ja) * 1979-12-18 1984-03-09 株式会社日立製作所 静止誘導電器
JPS5760815A (en) * 1980-09-30 1982-04-13 Hitachi Ltd Stationary induction apparatus
JPH0719154A (ja) 1991-04-09 1995-01-20 Yukio Nagai 潮の干満による海面のレベルの変化と浮力の原理を利用した電力発電
JPH11327563A (ja) 1998-05-15 1999-11-26 Sumitomo Metal Ind Ltd 遮音部材
US6478110B1 (en) * 2000-03-13 2002-11-12 Graham P. Eatwell Vibration excited sound absorber
US7267196B2 (en) * 2004-02-12 2007-09-11 The Boeing Company Method and apparatus for reducing acoustic noise
US7395898B2 (en) 2004-03-05 2008-07-08 Rsm Technologies Limited Sound attenuating structures
US20070014418A1 (en) * 2005-07-14 2007-01-18 Eatwell Graham P Vibration excited sound absorber with dynamic tuning
JP5326472B2 (ja) * 2007-10-11 2013-10-30 ヤマハ株式会社 吸音構造
EP2085962A2 (en) * 2008-02-01 2009-08-05 Yamaha Corporation Sound absorbing structure and vehicle component having sound absorbing properties
JP2010026257A (ja) * 2008-07-18 2010-02-04 Riken Technos Corp 吸音体
JP5245641B2 (ja) * 2008-08-20 2013-07-24 ヤマハ株式会社 吸音構造体
TWI651455B (zh) 2009-01-14 2019-02-21 Kuraray Co., Ltd 隔音板、隔音構造及隔音方法
JP4981880B2 (ja) * 2009-11-30 2012-07-25 株式会社神戸製鋼所 防音材及び防音システム
TW201133468A (en) * 2010-03-31 2011-10-01 Ind Tech Res Inst An unit with sound isolation/shock isolation structure, array employing the same, and method for fabricating the same
US8752667B2 (en) * 2011-10-06 2014-06-17 Hrl Laboratories, Llc High bandwidth antiresonant membrane
WO2015007221A1 (en) * 2013-07-18 2015-01-22 The Hong Kong University Of Science And Technology Extraordinary acoustic absorption induced by hybrid resonance and electrical energy generation from sound by hybrid resonant metasurface
JP6114325B2 (ja) * 2015-02-27 2017-04-12 富士フイルム株式会社 防音構造、および防音構造の作製方法
WO2016136973A1 (ja) * 2015-02-27 2016-09-01 富士フイルム株式会社 防音構造、及び防音構造の製造方法
JP6450003B2 (ja) * 2015-06-22 2019-01-09 富士フイルム株式会社 防音構造

Also Published As

Publication number Publication date
CN110249382B (zh) 2020-07-31
WO2018150828A1 (ja) 2018-08-23
US10902835B2 (en) 2021-01-26
JPWO2018150828A1 (ja) 2019-11-14
US20200005757A1 (en) 2020-01-02
CN110249382A (zh) 2019-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6585314B2 (ja) 防音構造
US10854183B2 (en) Soundproof structure
US10676919B2 (en) Soundproof structure, louver, and partition
US10923095B2 (en) Soundproof structure
JPWO2016208580A1 (ja) 防音構造、及び防音構造の製造方法
US10923094B2 (en) Soundproof structure
US11332926B2 (en) Soundproof structure
JP6591697B2 (ja) 防音構造
US10861432B2 (en) Soundproof structure and opening structure
US11049485B2 (en) Soundproof structure
JP6585321B2 (ja) 防音構造

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190716

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190716

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190716

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6585314

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250