JP2011117663A - リチウムイオン電池の正極活物質製造用匣鉢及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】匣鉢の耐久性をさらに改善した、リチウムイオン電池の正極活物質製造用匣鉢及びその製造方法を提供すること
【解決手段】リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢は、スピネルを40質量%〜60質量%、コージライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有する。匣鉢の気孔率は30%以下である。
【選択図】 なし
【解決手段】リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢は、スピネルを40質量%〜60質量%、コージライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有する。匣鉢の気孔率は30%以下である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話機やノート型パーソナルコンピュータ等のポータブル型電子機器の電源として多く使用されている。リチウムイオン二次電池の正極活物質には、リチウム含有複合酸化物(例えば、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等)が使用されており、この正極活物質は、原料粉末を耐火物(匣鉢)に入れて焼成することによって製造されている。正極活物質を製造するための匣鉢は、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特許文献1においては、安全性が高くかつ長寿命な電池を実現するために、Al、Si、Ca、Y及びZrよりなる群から選択される少なくとも1種類の成分とMgOとを含有し、MgO含有量が99%以上である材料、あるいは、Si、Ca、Y、Zr及びHfよりなる群から選択される少なくとも1種類の成分とMgAl2O4スピネルとを含有し、MgAl2O4スピネルの含有量が95%以上である材料から形成されている正極活物質用リチウム含有複合酸化物の合成用鞘が提案されている。
特許文献2においては、リチウムに対する耐蝕性を改善するために、(A)マグネシア、ジルコニアおよびチタニアからなる群から選択される一種または二種以上を3〜15wt%、(B)溶融シリカを3〜30wt%、又は(A)及び(B)を含有し、残部が実質的にマグネシア−アルミナ質スピネルからなる材料の焼成体により構成された匣鉢が提案されている。
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢の第1の性質としては、まず、製造物である正極活物質の純度を低下させないことが求められる。例えば、匣鉢の成分が正極活物質中に不純物として拡散したり、正極活物質に接する匣鉢の表面が剥離して正極活物質に付着したりしないことが求められる。
第2の性質としては、焼成後における正極活物質の匣鉢からの脱離性がよいこと(焼成により正極活物質と溶着しないこと)が求められる。脱離性が悪いと、製造物である正極活物質を匣鉢から取り出すときに匣鉢の表面の一部が匣鉢に付着しやすくなって、上述の第1の性質が満たされなくなってしまう。また、匣鉢の寿命を短縮させてしまう。さらに、匣鉢からの正極活物質の取り出しに手間及び時間を要することになって、歩留まりが低下してしまう。
第3の性質としては、正極活物質の原料(以下「正極原料」という)及び正極活物質との反応性が低いことが求められる。正極原料や正極活物質との反応性が高いと、上述の第1の性質及び第2の性質の要求が満たされなくなってしまう。また、匣鉢自体の耐久性が低下してしまうので、使用可能回数(寿命)も低減してしまう。
第4の性質としては、耐熱衝撃性が高いことが求められる。耐熱衝撃性が低いと、正極活物質焼成後の急冷工程において匣鉢にクラックが発生し破損に至るため、匣鉢の耐久性は低いものになってしまう。他方、クラック発生防止のために冷却工程に時間を掛けることになると、歩留まりが低下してしまう。
特許文献1及び特許文献2に記載された匣鉢のように、匣鉢中のマグネシア(MgO)及びスピネル(MgAl2O4)の含有率を高くすると、上述の第1の性質及び第3の性質は改善される。
しかしながら、マグネシア及びスピネルの熱膨張率は高いので、マグネシア及び/又はスピネルの含有率が高い匣鉢は熱膨張率が高くなってしまい、上述の第4の性質の要求が満たされなくなってしまう。例えば、マグネシアを90wt%以上含む匣鉢の熱膨張率は約1.4%(室温〜1000℃)となり、スピネルを90wt%以上含む匣鉢の熱膨張率は約0.7%〜0.8%(室温〜1000℃)となる。通常、正極活物質焼成後の冷却工程においては、製造効率を高めるために、炉内へのエアを送入することにより匣鉢及び焼成物を強制的に冷却している。そのため、このような熱膨張率が高い匣鉢を用いると、この冷却工程においてクラックが発生してしまうことになる。
そこで、本発明者らは、反応性の低いスピネルと熱膨張率の低いコージライトとを組み合わせることにより、反応性を低下させつつも耐熱衝撃性を高め、上述の第1〜第4の性質を満たす匣鉢を発明した(特願2008−150664(以下「先願」と表記する)参照)。
本発明の目的は、先願の明細書等に記載の発明(以下「先願発明」という)よりも上述の第1〜第4の性質をさらに改善した、リチウムイオン電池の正極活物質製造用匣鉢及びその製造方法を提供することである。
本発明の第1視点によれば、スピネルを40質量%〜60質量%、コージライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有する、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢を提供する。匣鉢の気孔率は30%以下である。
本発明の第2視点によれば、Al2O3成分を56質量%〜65質量%、MgO成分を14質量%〜23質量%、及びSiO2成分を15質量%〜25質量%含有する、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢を提供する。Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計は95質量%以上である。匣鉢の気孔率は30%以下である。
本発明の第3視点によれば、スピネルを40質量%〜60質量%、コージライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有する、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢を提供する。匣鉢は、Al2O3成分を56質量%〜65質量%、MgO成分を14質量%〜23質量%、及びSiO2成分を15質量%〜25質量%含有する。Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計は、95質量%以上である。匣鉢の気孔率は30%以下である。
上記第1〜第3視点の好ましい形態によれば、匣鉢の曲げ強度は10MPa以上である。
上記第1〜第3視点の好ましい形態によれば、リチウムイオン電池の正極活物質の原料を収容して焼成したとき、焼成後における原料と接触する表層は、原料を未焼成のときよりもMgO成分を多く含有する。
本発明の第4視点によれば、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、40質量%〜60質量%のスピネル、20質量%〜40質量%のコージライト、及び0質量%〜40質量%のムライトを含有する混合物を湿式混合で作製する工程と、混合物を成形する工程と、混合物の成形体を焼成する工程と、を含む、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢の製造方法を提供する。混合物を作製する工程において、焼成体の気孔率が30%以下となるように混合物中に水分を添加する。
本発明の第5視点によれば、スピネル、コージライト及びムライトの合計成分に対して、Al2O3成分が56質量%〜65質量%、MgO成分が14質量%〜23質量%、及びSiO2成分が15質量%〜25質量%含有し、Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計が95質量%以上となるように、スピネル及びコージライト、又はスピネル、コージライト及びムライトを含有する混合物を湿式混合で作製する工程と、混合物を成形する工程と、混合物の成形体を焼成する工程と、を含む、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢の製造方法を提供する。混合物を作製する工程において、焼成体の気孔率が30%以下となるように混合物中に水分を添加する。
上記第4視点又は第5視点の好ましい形態によれば、成形前の混合物における水分含有率は10質量%以下である。
上記第4視点又は第5視点の好ましい形態によれば、混合物は、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対してマグネシア単体を5質量%以上含有しない。
本発明は、以下の効果のうち少なくとも1つを有する。
本発明の匣鉢は、気孔率が低くなるように設計している。これにより、正極原料の匣鉢中への拡散を抑制することができる。すなわち、正極原料に対する匣鉢の反応性を低下させることができる。
正極原料に対する匣鉢の反応性を低下させることにより、匣鉢の耐久性を向上させることができる。特に、正極原料との接触面の耐久性が向上するので、当該接触面におけるクラックや剥離の発生を抑制することができる。また、これにより、匣鉢の一部が正極活物質の付着することを防止して、正極活物質の品質低下を抑制することができる。
先願の特許請求の範囲、明細書、図面及び要約書に記載の内容は、本書に繰り込み記載されているものとする。
本発明のリチウムイオン電池の正極活物質製造用匣鉢について説明する。本発明の匣鉢は、スピネルを40質量%〜60質量%、コージライトを20質量%〜40質量%、及びムライトを0質量%〜40質量%含有する焼成物である。各鉱物の含有率は、匣鉢製造時における添加鉱物の合計質量に対する各鉱物の添加率から算出する。
スピネル、コージライト及びムライトの合計質量は100質量%であると好ましいが、本発明の匣鉢は、上記組成を維持できるのであれば、スピネル、コージライト及びムライト以外の材料を含有することもでき、スピネル、コージライト及びムライト以外の材料の含有率は、好ましくは5質量%以下にすると好ましい。スピネル、コージライト及びムライト以外の材料としては、例えば、カオリン、蛙目粘土、木節粘土、セリサイト等の粘土質原料、アルミナ、マグネシア等を挙げることができる。例えば、マグネシアを添加する場合、匣鉢の熱膨張率が高くなるのを抑制するため、マグネシア単体の含有率は、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して5質量%を越えないようにすると好ましい。
本発明の匣鉢において、スピネルは、焼成時における匣鉢と正極原料の反応性の低下に寄与しているものと考察される。すなわち、正極原料と接触する匣鉢の領域の表層中に存在するスピネルは、焼成時において正極原料と反応し、MgOを生成すると考えられている。この表層中に形成されたMgOは、正極原料との反応性が非常に低いので、匣鉢の劣化を抑制すると共に、これにより正極活物質の品質低下を防止することができる。また、表層のみにMgOが形成されるので、匣鉢全体の熱膨張率は高まらず、MgOを主成分とする匣鉢に比べて耐熱衝撃性を高めることができる。
このスピネルの機能をより効果的に発現させるためには、匣鉢中のスピネルの含有率は40質量%以上であると好ましい。一方、スピネルの含有率が高くなりすぎると匣鉢の熱膨張率が高くなってしまうので、匣鉢中のスピネルの含有率は60質量%以下が好ましい。
本発明の匣鉢において、コージライトは、匣鉢の熱膨張率の低下に寄与しているものと考察される。また、コージライトと正極原料との反応生成物にはスピネルも含まれるので、上述のようなスピネルの機能も併せ持っていると考察される。
匣鉢の熱膨張率をより効果的に低下させるためには、匣鉢中のコージライトの含有率は20質量%以上であると好ましい。一方、コージライトの含有率が高くなりすぎると匣鉢の正極原料との反応性が高まってしまうので、匣鉢中のコージライトの含有率は40質量%以下であると好ましい。
本発明の匣鉢において、ムライトは、含有されていなくてもかまわないが、焼結助剤として添加することもできる。ムライトを添加した場合には、ムライトは、正極原料を入れて焼成する際に匣鉢の底がダレないようにする高温強度と耐クリープ性に寄与しているものと考察される。ムライトの含有率が高くなりすぎると匣鉢の正極原料との反応性が高まってしまうので、匣鉢中のムライトの含有率は40質量%以下であると好ましい。
本発明の匣鉢は、化学組成の視点からは、Al2O3成分を56質量%〜65質量%、MgO成分を14質量%〜23質量%、及びSiO2成分を15質量%〜25質量%含有する焼成物であってもよい。これらの成分以外の成分の含有率は、好ましくは5質量%以下にすると好ましい。化学組成は、JISR2216に準拠し、蛍光X線分析によって測定する。
本発明の匣鉢を用いて正極原料を焼成すると、匣鉢の表面に存在するAl成分及びSi成分が正極活物質原料と反応して、LiAlO2及びLiAlSiO4が形成されると考えられる。LiAlO2及びLiAlSiO4は、匣鉢内部には浸透せずに、匣鉢表面に固着した状態で形成される。これにより、焼成物である正極活物質と匣鉢とが溶着することなく、LiAlO2及びLiAlSiO4の固着物と焼成物との間で剥離し、正極活物質を匣鉢から容易に取り外すことができると考えられる。
本発明の匣鉢の気孔率は、30%以下であると好ましく、28%以下であるとより好ましい。これにより、正極活物質の品質低下を抑制することができると共に、匣鉢の寿命を延ばすことができる。その考慮される理由を以下に説明する。第1の理由としては、匣鉢の気孔率が高いと、正極原料の焼成時における匣鉢との反応面(匣鉢の表層部分)の収縮量が大きくなり、匣鉢表面にクラックが発生しやすくなってしまうためと考えられる。匣鉢表面にクラックが入ると、匣鉢の寿命が短くなるのみならず、表面の一部が剥離して正極活物質に付着、混入してしまう。第2の理由としては、匣鉢の気孔率が低くなると、正極原料と反応する匣鉢の表層部分がより薄くなり、これにより正極原料に対する耐蝕性を高めることができるためと考えられる。これは、匣鉢の気孔率が低くなるほど、正極原料が匣鉢中に拡散しにくくなるためであると考えられる。第3の理由として、気孔率が低くなると、匣鉢の物理的強度、例えば曲げ強度を高くすることができる。匣鉢の気孔率の下限は、特に制限されず、低ければ低いほど好ましい。匣鉢の気孔率は、JISR2205に準拠して測定する。
本発明の匣鉢(正極活物質未製造)の25℃〜1000℃における熱膨張率(線膨張率)は0.6%以下であると好ましく、より好ましくは0.5%以下である。これにより、正極活物質焼成後の冷却工程における匣鉢の破損を防止することができると考えられる。匣鉢の熱膨張率は、JISR2207−3に準拠して測定する。特に、25℃〜1000℃の温度範囲において測定すると好ましい。
本発明の匣鉢(正極活物質未製造)の曲げ強度は、10MPa以上であると好ましい。物理的強度を高めることにより、匣鉢の寿命の耐久性を向上させることができる。匣鉢の曲げ強度は、JISR2213に準拠して測定する。
本発明の匣鉢は、正極原料を未焼成の段階においては、各組成はほぼ均一に分布しており、MgO成分を他より多く含有する領域は有していない。しかし、本発明の匣鉢に正極活物質の原料を収容し、正極活物質を製造するために焼成すると、正極活物質の原料と接する匣鉢の表層には、他の領域よりMgO成分を多く含有する層(MgO多含有層)が形成される(特願2008−150664参照)。このMgO多含有層は、焼成時における正極活物質の原料の匣鉢への拡散を防止し、匣鉢の寿命を向上させると考えられる。
また、本発明の匣鉢を用いて正極活物質を製造しても、焼成によって匣鉢と正極活物質が溶着しておらず、正極活物質を匣鉢から容易に取り出すことができる。例えば、匣鉢を引っくり返す(開口を下向きにする)だけで、焼成物を匣鉢から容易に取り出すことができる。この理由としては、匣鉢の表面の一部と正極活物質の原料とが反応して生成したLiAlO2やLiAlSiO4がMgO多含有層の表面に点在し(特願2008−150664参照)、これらの物質が焼成物の匣鉢からの脱離性を高めていると考えられる。したがって、本発明の匣鉢によれば、正極活物質の生産性を高めることができる。また、製品である正極活物質には、溶着を剥がすことによる匣鉢の一部の付着がないので、正極活物質の純度を高めることができると共に、その歩留まりを向上させることができる。さらに、匣鉢の剥がれが抑制されるので、匣鉢の寿命を向上させることができる。
本発明の匣鉢の形状及び寸法は、特に限定されるものではなく、正極活物質の原料を収容し、焼成できるものであれば、適宜好適な形態を選択することができる。
次に、本発明の匣鉢の製造方法について説明する。本発明の匣鉢は、上記組成の匣鉢が得られるように配合した混合物を焼成する。例えば、本発明の匣鉢は、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、40質量%〜60質量%のスピネル、20質量%〜40質量%のコージライト、及び0質量%〜40質量%のムライトを含有する混合物を焼成する。化学成分の組成でいえば、スピネル、コージライト及びムライトの合計成分に対して、Al2O3成分が56質量%〜65質量%、MgO成分が14質量%〜23質量%、及びSiO2成分が15質量%〜25質量%含有するようにスピネル及びコージライト、又はスピネル、コージライト及びムライトを含有する混合物を焼成する。該混合物にマグネシア単体を添加する場合、その含有率は5質量%以下にすると好ましいが、該混合物にマグネシア単体は添加しないほうがより好ましい。マグネシア単体を含有することによる熱膨張率の上昇を防止するためである。
本発明の匣鉢の材料(上記混合物)を混練する際に添加する水は、匣鉢の気孔率を低下させるために、可能な限り少なくすると好ましい。例えば、混練後成形前の混合物(坏土)の水分含有率は、混合物の質量に対して10質量%以下であると好ましい。水分含有率は、加熱乾燥・質量測定方式(乾燥減量法)で測定する。すなわち、水分含有率は以下の式に基づいて算出する。
水分含有率(質量%)=(乾燥前の試料質量−乾燥後の試料質量)/乾燥前の試料質量×100
また、上記混合物には、成形助剤(バインダ)を添加することができる。例えば、水溶性樹脂の添加剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸塩、多糖類等を使用することができる。ここで「多糖類」とは、単糖類(単糖およびその誘導体)がポリグリコシル化した高分子化合物(通常は重合度10以上)を指す。このような多糖類のうちホモ多糖、ヘテロ多糖のいずれも使用可能である。具体的には、寒天、デキストリン、アガロース、カラギーナン、キサンタンガム、カードランおよびコンニャク粉等を用いることができる。これらは、懸濁液または溶液を加熱した際に容易にゲル化するもの(ゲル化剤)が好ましく、寒天粉末およびデキストリンが特に好ましい。これらの材料から選択される1種以上を成形助剤として用いることができる。成形助剤の添加量は、特に限定されるものではなく、適宜調整することができる。
上記混合物には、水分量を少なくするために、混練、成形を補助するような助剤を添加してもよい。例えば、加圧成形時の混合物の滑り性を高めることができるステアリン酸系の助剤を添加してもよい。ステアリン酸系の助剤を添加する場合、例えば、混合物の質量に対して2質量%〜3質量%となるように添加することができる。
次に、上記混合物を、成形(例えば、フリクションプレス等による加圧成形)、及び乾燥(例えば、自然乾燥)させた後、焼成する。焼成温度及び時間は、適宜好適な温度及び時間を設定することができ、例えば1300℃〜1420℃、好ましくは1330℃〜1380℃で数時間、好ましくは2時間〜5時間焼成することができる。コージライトの分解を防止するため、焼成温度は1420℃以下にする。
[匣鉢の製造]
市販のスピネル(MgAl2O4)、コージライト(Mg2Al4Si5O18)及びムライト(Al6Si2O13)を表1〜表4に示す所定の配合率で合計30kg乾式混合した後、カルボキシルメチルセルロース600gを添加してさらに混合した。次に、2質量%寒天及び18質量%ステアリン酸系助剤水溶液を加えて混合物を30分間混錬した。ステアリン酸系助剤は、全体に対して2質量%〜3質量%となるように添加した。寒天は、混合物中の水分量を調節するように添加した。
市販のスピネル(MgAl2O4)、コージライト(Mg2Al4Si5O18)及びムライト(Al6Si2O13)を表1〜表4に示す所定の配合率で合計30kg乾式混合した後、カルボキシルメチルセルロース600gを添加してさらに混合した。次に、2質量%寒天及び18質量%ステアリン酸系助剤水溶液を加えて混合物を30分間混錬した。ステアリン酸系助剤は、全体に対して2質量%〜3質量%となるように添加した。寒天は、混合物中の水分量を調節するように添加した。
ここで、表1〜表4に示す成形前水分含有率の測定方法について説明する。まず、混錬後の坏土を25g〜45gを測定試料として採取した。試料は、1cm角以下の塊となるように粉砕した。その試料の水分含有率は、赤外線分析計(株式会社ケツト科学研究所製、FD−600)を用いて測定した。この赤外線分析計は、赤外線ランプを用いて試料を加熱乾燥し、乾燥前後の質量差から水分含有率を算出するものである。
表1に示す実施例1〜6及び表2に示す比較例1〜7においては同一の材料を用いており、各実施例及び各比較例の配合がそれぞれ異なっている。表3に示す実施例7〜12及び表4に示す比較例8〜14においては同一の材料を用いており、各実施例及び各比較例の配合がそれぞれ異なっている。表1に示す実施例1〜6の配合と表3に示す実施例7〜12の配合とはそれぞれ対応しており、表2に示す比較例1〜7の配合と表4に示す実施例8〜14の配合とはそれぞれ対応している。表1に示す実施例1〜6及び表2に示す比較例1〜7と、表3に示す実施例7〜12及び表4に示す比較例8〜14とでは、再現性を確認するために、コージライトの型番を異ならせてある。
混錬後の坏土は、匣鉢用金型に充填し、フリクションプレスを用いて成形圧44.1MPaで加圧成形して、焼成後の寸法及び外形が300mm×300mm×100mm(高さ)、側面肉厚10mm、底面肉厚15mmの上面開放の箱状となるように成形した。次に、自然乾燥工程、端面仕上工程を経て、成形物をトンネル窯で最高温度1350℃、3時間の条件で焼成した。
[物性の測定]
製造した匣鉢について、化学組成、気孔率、熱膨張率、及び曲げ強度をそれぞれ測定した。測定結果を表1〜4に示す。化学組成は、JISR2216に準拠し、蛍光X線装置(株式会社リガク製、ZSX−100e)を用いて測定した。曲げ強度は、JISR2213に準拠して測定した。曲げ強度の測定には、万能材料試験機(インストロン社製、1120型)を使用した。なお、匣鉢の形状の都合上、試料寸法を100mm×15mm×15mm(匣鉢の肉厚)とした。また、使用した支持用ロールの直径は5mmであり、支持用ロールの中心間距離は50mmとした。熱膨張率は、JISR2207−3に準拠して室温〜1000℃において測定した。熱膨張率の測定には、横型熱膨張計(アルバック理工株式会社製、DLY−9400型)を使用した。試料寸法は、50mm×10mm×10mmとした。気孔率は、JISR2205に準拠して真空法により測定した。
製造した匣鉢について、化学組成、気孔率、熱膨張率、及び曲げ強度をそれぞれ測定した。測定結果を表1〜4に示す。化学組成は、JISR2216に準拠し、蛍光X線装置(株式会社リガク製、ZSX−100e)を用いて測定した。曲げ強度は、JISR2213に準拠して測定した。曲げ強度の測定には、万能材料試験機(インストロン社製、1120型)を使用した。なお、匣鉢の形状の都合上、試料寸法を100mm×15mm×15mm(匣鉢の肉厚)とした。また、使用した支持用ロールの直径は5mmであり、支持用ロールの中心間距離は50mmとした。熱膨張率は、JISR2207−3に準拠して室温〜1000℃において測定した。熱膨張率の測定には、横型熱膨張計(アルバック理工株式会社製、DLY−9400型)を使用した。試料寸法は、50mm×10mm×10mmとした。気孔率は、JISR2205に準拠して真空法により測定した。
実施例1〜12及び比較例1〜14のいずれにおいても、気孔率は30%以下となった。特に、実施例1〜12の気孔率は28%以下であった。実施例1〜12の気孔率は20%以上であった。実施例1〜12の曲げ強度は10MPa以上であった。実施例1〜12の曲げ強度は15MPa以下であった。また、実施例1〜12の熱膨張率は、0.5以下となった。
[正極活物質の製造による匣鉢の耐久性試験]
実施例1〜12の匣鉢でLi−Ni−Co−Mn系(いわゆる三元系)正極活物質を製造し、匣鉢の耐久性を試験した。まず、上記方法で製造した匣鉢に、正極活物質の原料混合物5kgを入れ、ローラーハースキルンにて500℃/Hで950℃まで昇温して、950℃で9時間加熱後、エアの導入により炉内を降温し、匣鉢及び焼成物を強制冷却した。その後、匣鉢から焼成物を取り出し、匣鉢におけるクラックの発生及び焼成物を取り出す際の剥がれの発生の有無を確認した。この正極活物質の製造工程を、匣鉢の継続使用が不可能と判断するまで実施し、何回目の焼成で使用不可となるかを確認した。表1〜表4に、繰り返し使用焼成可能回数を示す。
実施例1〜12の匣鉢でLi−Ni−Co−Mn系(いわゆる三元系)正極活物質を製造し、匣鉢の耐久性を試験した。まず、上記方法で製造した匣鉢に、正極活物質の原料混合物5kgを入れ、ローラーハースキルンにて500℃/Hで950℃まで昇温して、950℃で9時間加熱後、エアの導入により炉内を降温し、匣鉢及び焼成物を強制冷却した。その後、匣鉢から焼成物を取り出し、匣鉢におけるクラックの発生及び焼成物を取り出す際の剥がれの発生の有無を確認した。この正極活物質の製造工程を、匣鉢の継続使用が不可能と判断するまで実施し、何回目の焼成で使用不可となるかを確認した。表1〜表4に、繰り返し使用焼成可能回数を示す。
[耐久試験結果]
実施例1〜12においては、繰り返し使用回数が50回以上となったが、比較例1〜14においては31回以下であった。これより、匣鉢の原料は、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、スピネルの含有率を40質量%〜60質量%、コージライトの含有率を20質量%〜40質量%、及びムライトの含有率を0質量%〜40質量%とすると、耐久性の高い匣鉢が得られることが分かった。
実施例1〜12においては、繰り返し使用回数が50回以上となったが、比較例1〜14においては31回以下であった。これより、匣鉢の原料は、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、スピネルの含有率を40質量%〜60質量%、コージライトの含有率を20質量%〜40質量%、及びムライトの含有率を0質量%〜40質量%とすると、耐久性の高い匣鉢が得られることが分かった。
また、化学組成の範囲が、Al2O3成分が56質量%〜65質量%、MgO成分が14質量%〜23質量%、及びSiO2成分が15質量%〜25質量%となるように配合すれば、匣鉢の耐久性が向上することが分かった。
なお、匣鉢の繰り返し使用を終了した原因は、実施例1〜12においては正極活物質と接する表面の剥離やクラック等の損傷であり、スピネルの含有率が高い比較例1〜4及び8〜11においては冷却工程における熱衝撃によるクラックの発生であり、スピネルの含有率が低い比較例5〜7及び12〜14においては正極活物質が匣鉢からの脱離性の悪化である。
[先願との比較]
先願の実施例1〜23において製造した匣鉢の気孔率は、いずれも30%を超えていた(先願明細書の表1〜表4参照)。この点が、本願の実施例1〜12と異なる。そこで、本願の実施例1〜12において製造したLi−Ni−Co−Mn系の正極活物質を、気孔率が30%を越える先願の匣鉢においても製造し、同様に繰り返し使用回数を測定した。先願の匣鉢は、原料の配合が本願の実施例1〜12の範囲内に含まれるように、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、スピネルの含有率が40質量%〜60質量%、コージライトの含有率が20質量%〜40質量%、及びムライトの含有率が0質量%〜40質量%の範囲内にあるものを使用し、配合の異なる数種の匣鉢について試験を実施した。
先願の実施例1〜23において製造した匣鉢の気孔率は、いずれも30%を超えていた(先願明細書の表1〜表4参照)。この点が、本願の実施例1〜12と異なる。そこで、本願の実施例1〜12において製造したLi−Ni−Co−Mn系の正極活物質を、気孔率が30%を越える先願の匣鉢においても製造し、同様に繰り返し使用回数を測定した。先願の匣鉢は、原料の配合が本願の実施例1〜12の範囲内に含まれるように、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、スピネルの含有率が40質量%〜60質量%、コージライトの含有率が20質量%〜40質量%、及びムライトの含有率が0質量%〜40質量%の範囲内にあるものを使用し、配合の異なる数種の匣鉢について試験を実施した。
その結果、Li−Ni−Co−Mn系の正極活物質に対する先願の匣鉢の繰り返し使用回数は34回以下であった。これより、匣鉢の気孔率を低下させると、匣鉢の耐久性を向上できることが分かる。なお、先願の実施例1〜23に比べて繰り返し使用回数が減少しているが、これは、正極活物質の反応性が先願の実施例において使用したLi−Co系よりLi−Ni−Co−Mn系の方が高いためである。
また、先願の実施例1〜23における曲げ強度は9MPa以下であり、本願の実施例1〜12における曲げ強度より低くなっている。これは、本願においては、気孔率を低下させたことにより、曲げ強度が高くなったためと考えられる。
なお、本願においては、先願の実施例1〜23よりも気孔率を低下させるため、成形前の匣鉢中間製品における水分含有率を先願よりも低くしている。すなわち、先願における匣鉢の製造の実施例から原料混合物の水分含有率を計算すると約11.8wt%であり、混合時における蒸発分を考慮しても成形前中間製品の水分含有率は本願よりも高くなるので、先願の実施例1〜23においては匣鉢の気孔率も高くなったと考えられる。
[匣鉢の表面及び断面の観察]
Li−Ni−Co−Mn系正極活物質を製造した後の匣鉢の表面及び断面を顕微鏡観察した。観察に使用した試料は、実施例2及び実施例8の匣鉢であり、いずれもLi−Ni−Co−Mn系正極活物質を55回作製したものである。また、比較例15として、実施例2及び実施例8と同様の配合(スピネル60質量%、コージライト30質量%及びムライト10質量%)であり、気孔率が33.0%の匣鉢で、Li−Ni−Co−Mn系正極活物質を33回作製したものについても表面及び断面を顕微鏡観察した。撮影部分は、Li−Ni−Co−Mn系正極活物質が接していた領域である。
Li−Ni−Co−Mn系正極活物質を製造した後の匣鉢の表面及び断面を顕微鏡観察した。観察に使用した試料は、実施例2及び実施例8の匣鉢であり、いずれもLi−Ni−Co−Mn系正極活物質を55回作製したものである。また、比較例15として、実施例2及び実施例8と同様の配合(スピネル60質量%、コージライト30質量%及びムライト10質量%)であり、気孔率が33.0%の匣鉢で、Li−Ni−Co−Mn系正極活物質を33回作製したものについても表面及び断面を顕微鏡観察した。撮影部分は、Li−Ni−Co−Mn系正極活物質が接していた領域である。
図1に、実施例2の匣鉢の表面の顕微鏡写真を示す。図2に、実施例8の匣鉢の表面の顕微鏡写真を示す。図3に、比較例15の匣鉢の表面の顕微鏡写真を示す。撮影した表面は、正極活物質を取り除いた後、刷毛及びエアで掃除してある。図1〜図3は、倍率20倍にて撮影したものである(画像内スケール5,000μm、株式会社ハイロックス製デジタルマイクロスコープKH−7700使用)。
図4に、実施例2の匣鉢の断面の顕微鏡写真を示す。図5に、実施例8の匣鉢の断面の顕微鏡写真を示す。図6に、比較例15の匣鉢の断面の顕微鏡写真を示す。撮影した断面は、匣鉢の底面部分である。匣鉢の底面について、正極活物質を取り除いた後、刷毛及びエアで表面を掃除した。次に、匣鉢底面をダイヤモンドカッタで切断し、露出面を観察面とした。切断した試料は、周囲を樹脂で固め、観察面を研磨紙(#400)で湿式研磨した後、80℃で乾燥させた。図4〜図6は、倍率100倍にて撮影したものである(画像内スケール1,000μm、株式会社ハイロックス製デジタルマイクロスコープKH−7700使用)。
図7に、実施例2の匣鉢の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す。図8に、実施例8の匣鉢の断面のSEM写真を示す。図9に、比較例15の匣鉢の断面のSEM写真を示す。撮影した断面は、上述のような処理をした後、金を蒸着させてある。図7〜図9は、倍率100倍にて撮影したものである(画像内スケール300μm、日本電子データム株式会社製JSM−6490LA)。
実施例2及び実施例8において、図1〜2及び図4〜5に示すように、匣鉢表面にクラック発生は認められなかった。一方、比較例15においては、図3及び図6に示すように、匣鉢表面にクラックの発生が認められた。また、図7〜図9を比較すると、匣鉢表面の密になっているように見える部分(両矢印領域)は、比較例15よりも実施例2及び実施例8のほうが薄くなっている。この匣鉢表面の密になっているように見える部分は、正極原料が匣鉢中に拡散して匣鉢と反応した部分である。そこで、SEMを測定した試料について、蛍光X線分析装置を用いて、正極原料と匣鉢とが反応した部分の厚さを測定すると(表層におけるAl2O3、SiO2、MgO等の分布により決定する)、実施例2の匣鉢では545μm、実施例8の匣鉢では490μm、比較例17では820μmであった。比較例15は、実施例2及び実施例8と比べて正極活物質焼成回数が約20回以上少ないのに正極活物質と反応した部分はより厚くなっていた。これより、気孔率を低下させると、正極原料が匣鉢中に拡散しにくくなって、匣鉢の耐久性を向上させることができることが分かる。
本発明のリチウムイオン電池の正極活物質製造用匣鉢及びその製造方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
Claims (9)
- スピネルを40質量%〜60質量%、
コージライトを20質量%〜40質量%、及び
ムライトを0質量%〜40質量%含有し、
気孔率が30%以下であることを特徴とする、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢。 - Al2O3成分を56質量%〜65質量%、
MgO成分を14質量%〜23質量%、及び
SiO2成分を15質量%〜25質量%含有し、
Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計が95質量%以上であり、
気孔率が30%以下であることを特徴とする、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢。 - スピネルを40質量%〜60質量%、
コージライトを20質量%〜40質量%、及び
ムライトを0質量%〜40質量%含有し、
Al2O3成分を56質量%〜65質量%、
MgO成分を14質量%〜23質量%、及び
SiO2成分を15質量%〜25質量%含有し、
Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計が95質量%以上であり、
気孔率が30%以下であることを特徴とする、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢。 - 曲げ強度が10MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の匣鉢。
- リチウムイオン電池の正極活物質の原料を収容して焼成したとき、焼成後における前記原料と接触する表層は、前記原料を未焼成のときよりもMgO成分を多く含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の匣鉢。
- スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対して、40質量%〜60質量%のスピネル、20質量%〜40質量%のコージライト、及び0質量%〜40質量%のムライトを含有する混合物を湿式混合で作製する工程と、
前記混合物を成形する工程と、
前記混合物の成形体を焼成する工程と、を含み、
前記混合物を作製する工程において、焼成体の気孔率が30%以下となるように前記混合物中に水分を添加することを特徴とする、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢の製造方法。 - スピネル、コージライト及びムライトの合計成分に対して、Al2O3成分が56質量%〜65質量%、MgO成分が14質量%〜23質量%、及びSiO2成分が15質量%〜25質量%含有し、
Al2O3成分、MgO成分及びSiO2成分の合計が95質量%以上となるように、スピネル及びコージライト、又はスピネル、コージライト及びムライトを含有する混合物を湿式混合で作製する工程と、
前記混合物を成形する工程と、
前記混合物の成形体を焼成する工程と、を含み、
前記混合物を作製する工程において、焼成体の気孔率が30%以下となるように前記混合物中に水分を添加することを特徴とする、リチウムイオン電池の正極活物質を製造するための匣鉢の製造方法。 - 成形前の前記混合物における水分含有率は10質量%以下であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の匣鉢の製造方法。
- 前記混合物は、スピネル、コージライト及びムライトの合計質量に対してマグネシア単体を5質量%以上含有しないことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の匣鉢の製造方法。
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