JPH0930860A - 低熱膨張性耐火物の製造方法 - Google Patents

低熱膨張性耐火物の製造方法

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JPH0930860A
JPH0930860A JP7182583A JP18258395A JPH0930860A JP H0930860 A JPH0930860 A JP H0930860A JP 7182583 A JP7182583 A JP 7182583A JP 18258395 A JP18258395 A JP 18258395A JP H0930860 A JPH0930860 A JP H0930860A
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JP
Japan
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petalitic
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refractory
petalite
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JP7182583A
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English (en)
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Kazumi Miyake
一未 三宅
Yukihiro Yabusaki
幸広 薮崎
Yoichi Fukuda
洋一 福田
Takehiko Oshima
武彦 大島
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾燥切れの発生を抑制することにより、高い
歩留りで低熱膨張性耐火物を製造することができる製造
方法を提供する。 【構成】 β−スポジュメン質耐火物は、粒径が0.07〜
0.3mm程度の範囲の粗粒ペタライト質原料を40wt%と、
粒径が 8μm 以下の微粉を50wt%以上含む微粉ペタライ
ト質原料を40wt%とを含む調合原料を調製する調合工程
(工程5乃至7)を含む工程により作製される。このた
め、生成形体の組織は、粗粒ペタライト質原料相互の間
に生じる空隙が、微粉ペタライト質原料によって埋めら
れた状態となって、生成形体の骨格組織が比較的粗粒の
ペタライト原料により構成される。したがって、乾燥工
程において水分が蒸発させられた際にも、その蒸発に伴
う生成形体の収縮が骨格を構成する粗粒により抑制され
ることとなって乾燥切れの発生が抑制され、高い歩留り
でβ−スポジュメン質耐火物を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低熱膨張性耐火物
の製造方法に関し、特に、その製造歩留りを改善する技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】低熱膨張性耐火物、例えば、β−スポジ
ュメン質耐火物は、熱膨張率(常温から1000℃までの伸
びの常温での長さに対する百分率)が0.1 %以下と非常
に小さなことから、その焼成温度(一般に1200℃程度)
よりも十分に低い例えば1100℃程度までの温度範囲で高
い耐熱衝撃性すなわち耐スポーリング性を有するため、
ローラハースキルン等の陶磁器用焼成炉のセッタや匣鉢
等の炉材等に広く用いられている。一般に、焼成炉にお
いては、その昇降温或いは炉材等の入出によって、その
炉材等に大きな温度変化が繰り返して与えられることか
ら、その炉材等が熱膨張率の比較的大きい材料から構成
されている場合には大きな体積変化が生じ、それに起因
する熱応力によって容易に破損することとなるが、β−
スポジュメン質耐火物のような低熱膨張性耐火物から炉
材が構成されている場合には、殆ど体積変化が生じない
ため、熱衝撃或いは冷熱サイクルによる破損が生じ難い
のである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、上記のようなβ
−スポジュメン質耐火物は、例えば、粒径 8μm 程度以
下の微粉が50wt%以上である微粉ペタライト質原料に、
粘土等の結合剤を所定量(例えば20wt%程度)混合した
比較的流動性の高い調合原料から、鋳込み成形等によっ
て生成形体を得、乾燥後焼成することにより製造されて
いた。ここで、微粉ペタライト質原料を用いるのは、焼
成時にβ−スポジュメンが生成する反応を促進させ、十
分に高い機械的強度と小さい熱膨張率とを得るためであ
る。しかしながら、上記従来のβ−スポジュメン質耐火
物の製造方法においては、上記目的で微粉ペタライト質
原料が用いられていることに起因して、成形後の乾燥時
に微小クラック(所謂乾燥切れ)が生じ易く焼成後に割
れや亀裂等が誘発され、高い歩留りで製造することがで
きないという問題があった。
【0004】すなわち、微粉原料のみから成る調合原料
を用いて成形すると、その微粉原料粒子相互の間には、
粘土或いは有機結合剤が介在することとなるため、成形
後の乾燥時にその粘土や有機結合剤中の液分が蒸発させ
られると、生成形体が大きく収縮させられる。このと
き、生成形体中に密度分布や歪が存在すると、その乾燥
収縮が不均一となって乾燥切れが発生するのである。
【0005】前記のようなセッタや匣鉢等の炉材は、被
焼成物(すなわち、陶磁器等の生成形体等)を載置する
目的で用いられる他、被焼成物を可及的に均一に加熱
し、或いは被焼成物の周囲の雰囲気を所定の状態に保つ
目的にも用いられるものであることから、その被焼成物
の寸法や形状に対応した種々の寸法、形状とされること
が好ましい。特に、比較的大きな被焼成物を焼成する場
合には、例えば、 500〜600 ×500 〜600(mm) 程度の大
きさのセッタが必要となることもある。ところが、上記
の問題は、製造しようとする耐火物の寸法が大きくなる
程顕著となり、例えば、300 ×300 ×8(mm) 程度の寸法
の板状の耐火物では歩留りが50%程度と低下し、500 ×
500(mm) 以上の寸法では更に歩留りが低下して30%程度
となって実質的に製造が困難となるため、結局300 ×30
0(mm) 程度の寸法が製造できる限界であった。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的とするところは、乾燥切れの
発生を抑制することにより、高い歩留りで低熱膨張性耐
火物を製造することができる製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、ペタライト質原料を
含む調合原料から所定の形状の生成形体を得る成形工程
と、その生成形体を所定の温度で焼成する焼成工程とを
含む低熱膨張性耐火物の製造方法であって、0.07乃至
0.3mm程度の粒径の粗粒ペタライト質原料を25乃至50wt
%と、粒径が 8μm 以下の微粉を50wt%以上含む微粉ペ
タライト質原料を30乃至50wt%とを、含む前記調合原料
を調製する調合工程を含むことにある。
【0008】
【発明の効果】本発明による低熱膨張性耐火物は、粒径
が0.07乃至 0.3mm程度の間の粗粒ペタライト質原料と、
粒径が 8μm (0.008mm )以下の微粉が50wt%以上であ
る微粉ペタライト質原料とを含む調合原料を調製する調
合工程を含む工程により製造される。このため、生成形
体の組織は、粗粒ペタライト質原料相互の間に生じる空
隙が、微粉ペタライト質原料によって埋められた状態と
なって、生成形体の骨格組織が粗粒ペタライト質原料に
より構成されることになる。したがって、成形後の乾燥
時において水分が蒸発させられた際にも、その蒸発に伴
う生成形体の収縮が骨格を構成する粗粒により抑制さ
れ、換言すれば粗粒ペタライト質原料が骨材的な作用を
して、その収縮に起因する乾燥切れの発生が抑制され、
高い歩留りで低熱膨張性耐火物を製造することができる
のである。
【0009】なお、粒径が 8μm 乃至70μm (0.07mm)
の中粒ペタライト質原料が調合原料中に含まれる場合に
は、粒径が0.07mm以上の粗粒ペタライト質原料を含有す
ることによる乾燥切れの抑制効果が得られない。また、
前記の低熱膨張性耐火物は、焼成工程においてペタライ
トからβ−スポジュメンが生成されるものであるが、粒
径が 0.3mmよりも大きなペタライト質原料が含まれる場
合には、β−スポジュメンの生成量が低下して良好な特
性を得ることができない。
【0010】また、前記調合原料において粗粒ペタライ
ト質原料の含有量が25乃至50wt%とされているのは、粗
粒ペタライト質原料の含有量が50wt%を越えるとβ−ス
ポジュメンの生成量が低下するため、機械的強度が著し
く低下すると共に熱膨張率も大きくなって、良好な特性
を有する低熱膨張性耐火物が得られず、反対に25wt%未
満では乾燥切れの発生が十分に抑制できず、製造歩留り
の大幅な低下を招くためである。上記の範囲内であれ
ば、上記特性の低下は少なく、耐火物としては十分実用
的な範囲に止まる。
【0011】また、前記調合原料において 8μm 以下が
50wt%以上である微粉ペタライト質原料の含有量が30乃
至50wt%とされているのは、β−スポジュメンの生成反
応を十分促進して、機械的強度が十分に高く、熱膨張率
が十分に小さい範囲で乾燥切れの発生を抑制するためで
ある。なお、含有量が30wt%未満ではβ−スポジュンメ
ンの生成量が低下し、50wt%を越えると粗粒ペタライト
質原料を混合することによる乾燥切れ抑制の効果が得ら
れない。
【0012】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記調合原料
は、0.07乃至 0.3mm程度の粒径の粗粒ペタライト質原料
の含有量が30乃至45wt%であり、更に好適には、その含
有量は、35乃至40wt%である。このようにすれば、粗粒
ペタライト原料の含有量が一層適切な範囲であるため、
製造される低熱膨張性耐火物の一層高い機械的強度と一
層小さな熱膨張率を保ちつつ、十分に乾燥切れの発生を
抑制することができる。
【0013】また、好適には、前記調合原料は、結合剤
として粘土を含むものである。このようにすれば、一層
高い歩留りで低熱膨張性耐火物を作製することができ
る。この理由は明らかではないが、粘土中に含まれるア
ルカリ分によってペタライトのβ−スポジュメン化が一
層促進されると共に、粘土自体も焼成後に低熱膨張性耐
火物組織の一部となって、焼成時にガス化して消失する
有機化合物が結合剤として用いられた場合に比較して、
そのガス化に起因する破損が生じないためと考えられ
る。しかも、結合剤自体が組織の一部となることから、
組織が一層緻密となって一層高い強度が得られる。な
お、上記粘土の含有量は、好適には10乃至40wt%程度で
あり、粘土が10wt%以下では調合原料の粘結性が劣り且
つ流動性が低いことから高い成形性が得られず、反対
に、40wt%以上では生成形体の乾燥収縮が大きくなって
乾燥切れを抑制することができなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。
【0015】図1は、本発明の低熱膨張性耐火物の一実
施例であるβ−スポジュメン質耐火物の製造方法を示す
工程図である。以下、この工程図に従って説明する。先
ず、工程1の混合工程において、例えば、粒径74μm 以
下(米国標準フルイ#200を通過する粒度)のペタライト
質原料(化学式 Li2O・ Al2O3・8SiO2 純度約98wt%)
を66.7wt%と、粒径44μm 以下の本山木節粘土や御作蛙
目粘土等の粘土(組成SiO2 46〜49wt%、Al2O3 32〜33w
t%、Na2O+K2O 0.5〜2 wt%、Igloss 15 〜20wt%程
度)を33.3wt%と、水ガラス系分散剤を0.3 wt%と、水
を31.0wt%とを各々秤量して混合する。次いで、工程2
の粉砕工程において、例えば、ボールミルによって上記
の混合原料を、ペタライト質原料の粒径が 8μm 以下50
wt%以上となるように、25時間程度湿式粉砕して泥漿状
粉砕原料とする。なお、粒径は、JIS R 6001およびJIS
R 6002に定める方法に基づいて測定したものである。
【0016】そして、上記の泥漿状粉砕原料を取り出し
て例えば底の浅いバットに入れ、工程3の乾燥工程にお
いて例えば60〜80℃程度で24時間乾燥し、その後、工程
4の解砕工程において、例えばフルイ目 177μm 程度の
篩を通すことにより、乾燥で固化した粉砕原料を微粉末
状にほぐし、微粉ペタライト質原料と微粉粘土とから成
る微粉調合原料が得られる。本実施例においては、上記
工程1〜4が微粉原料調合工程に対応する。なお、上記
工程1〜4に代えて、ペタライト質原料と粘土とを各々
少なくとも 8μm 以下50wt%以上となるように粉砕し、
これらを所定の混合比にて調整したものを微粉調合原料
としても良い。
【0017】工程5の調合工程においては、上記の微粉
調合原料を例えば60wt%と、別途用意した例えば粒径0.
07〜0.2 mm程度、および粒径0.07〜0.3 mm程度の粗粒ペ
タライト質原料(化学式 Li2O・ Al2O3・8SiO2 純度約
98wt%程度)をそれぞれ20wt%とを秤量して調合し、続
く工程6の混合工程において、例えばニーダーやフレッ
トミル等によって上記の微粉調合原料と粗粒原料とを十
分均一に混合する。そして、工程7において混合機内に
水および適当な粘結剤を適量添加して、更に例えば 8分
程度の所定時間混合することにより、微粉ペタライト質
原料と粗粒ペタライト質原料とが含まれた調合原料が得
られる。本実施例においては、工程5乃至7が調合工程
に対応する。なお、主要原料調合仕様(乾粉の重量比)
を下記に示す。
【0018】上記の調合原料を用い、工程8の成形工程
において、例えばフリクションプレス(成形圧力 150k
gf/cm2程度)やロクロ成形等によって所定の形状の生成
形体を成形し、これを工程9の乾燥工程で、例えば常温
において15時間程度乾燥した後、更に50℃程度に温度を
上げ24時間程度乾燥する。その後、工程10の焼成工程
で、トンネルキルン等の焼成炉により酸化雰囲気下、12
20℃で 3時間程度焼成することにより、ペタライトから
β−スポジュメンが生成されてβ−スポジュメン質耐火
物が得られる。
【0019】上記の工程によって作製したβ−スポジュ
メン質耐火物の種々の製品の特性を測定した結果を、工
程7における有機結合剤と水の添加量と併せて表1に示
す。製品寸法は、それぞれ、「セッタ」が 450× 450×
厚み15(mm)程度、「さや」が250× 250×70×厚み10〜1
3(mm)程度、「 ロクロさや」がφ250 ×30×厚み 8〜9(mm)
程度である。また、セッタおよびさやはプレス成形に
より成形したが、 ロクロさやはロクロ成形によって成形し
た。このとき、何れの成形方法による場合も、乾燥およ
び焼成時の切れ(微小クラック)の発生が殆どなく、工
程全体での歩留りが95%以上と高い歩留りで製品を作製
することができた。なお、下記表1においては、有機結
合剤が添加されており、本実施例においては、粘土およ
び有機結合剤が結合剤に相当する。
【0020】
【表1】
【0021】上記表1において、「従来例」は、粗粒ペ
タライト質原料を含有せず、粒径が8μm 以下の微粉が5
0wt%以上の微粉ペタライト質原料80wt%と 8μm 以下7
0wt%の微粉粘土とから製造されたβ- スポジュメン質
耐火物の特性を示すものである。表1に示されるよう
に、本実施例の製造方法により作製されたβ−スポジュ
メン質耐火物は、従来例に比較して曲げ強度が低下して
いるが、炉材用としてはこの程度の曲げ強度でも十分で
あり、十分実用に耐え得るものである。なお、上記特性
のうち、見掛気孔率、吸水率、見掛比重、嵩比重は、何
れもJIS Z 2205に準拠して、曲げ強度はJIS R 1604に準
拠した3点曲げで測定したものであり、熱膨張率は、常
温から1000℃までの伸びを常温での長さに対する百分率
で表したものである。
【0022】なお、炉材用の耐火物は、耐スポーリング
性(熱衝撃や急激な温度勾配等に起因する膨張差等によ
って亀裂または剥離することに対する抵抗力)が求めら
れるが、上記特性を有する種々の製品について耐久性を
調べたところ、何れも、10回の熱衝撃後に異常が認めら
れず、高い耐スポーリング性を有することが確かめられ
た。なお、耐久性テストは、電気炉内で1100℃まで30〜
40分程度で昇温した後、20℃の水中へ投下する操作を一
回として、同様な操作を繰り返すことにより行った。
【0023】ここで、本実施例によれば、β−スポジュ
メン質耐火物は、粒径が0.07〜 0.3mm程度の間の粗粒ペ
タライト質原料を40wt%と、粒径 8μm 以下の微粉を50
wt%以上含む微粉ペタライト質原料を40wt%とを含む調
合原料を調製する調合工程(工程5乃至7)を含む工程
により製造される。このため、生成形体の組織は、粗粒
ペタライト質原料相互の間に生じる空隙が、微粉ペタラ
イト質原料によって埋められた状態となって、生成形体
の骨格組織が粗粒ペタライト質原料により構成されるこ
とになる。したがって、成形工程(工程8)の後の乾燥
工程(工程9)において水分が蒸発させられた際にも、
その蒸発に伴う生成形体の収縮が骨格を構成する粗粒に
より抑制されるので、その収縮に起因する乾燥切れの発
生が抑制され、前述のように生成形体が比較的大きい寸
法の場合にも、前述のように95%以上の高い歩留りでβ
−スポジュメン質耐火物を製造することができる。
【0024】しかも、粗粒ペタライト質原料の含有量が
40wt%程度であるため、β−スポジュメン質耐火物の機
械的強度(例えば曲げ強度や耐スポーリング性等)や熱
膨張率を耐火物として十分実用的な値に維持しつつ乾燥
切れが抑制される。因みに、粗粒ペタライト質原料の含
有量が25wt%未満では乾燥切れが十分に抑制できず製造
歩留りの大幅な低下を招き、反対に50wt%を越えると機
械的強度が著しく低下すると共に熱膨張率も大きくな
る。
【0025】また、微粉ペタライト質原料の含有量が40
wt%と十分に大きいので、焼成工程(工程10)におい
てβ−スポジュメンの生成反応が十分に進み、粗粒ペタ
ライト質原料が混合されることによる機械的強度の低下
や熱膨張率の増大が抑制されることとなって、一層高い
特性を保ちつつ、乾燥切れの発生を抑制できる。因み
に、微粉ペタライト質原料の含有量が30wt%未満ではβ
−スポジュメンの生成量が低下し、50wt%を越えると粗
粒ペタライト質原料が混合されているにも拘らず乾燥切
れが生じることとなる。
【0026】また、本実施例によれば、調合原料には、
ペタライト質原料の成形性を高めるための結合剤として
粘土が用いられているが、粘土に含まれるアルカリ分に
よってペタライトのβ−スポジュメン化が一層促進され
ると共に、粘土自体もβ−スポジュメン質耐火物組織の
一部となるため、焼成時にガス化して消失する有機化合
物が結合剤として用いられた場合に比較して、そのガス
化に起因する破損が生じ得ず一層高い歩留りでβ−スポ
ジュメン質耐火物を製造することができる。しかも、結
合剤自体が組織の一部となることから、組織が緻密とな
って一層高い強度が得られる。
【0027】また、粘土の含有量が20wt%程度とされて
いることから、生成形体の乾燥切れを発生させることな
く、良好な成形性が得られる。なお、粘土の含有量が10
wt%以下では、調合原料の可塑性、流動性や粘着性が不
十分となって良好な成形性が得られず、反対に、粘土の
含有量が40wt%以上では、粗粒ペタライト質原料を混合
しているにも拘らず、乾燥収縮が大きくなって乾燥切れ
が発生することとなるのである。
【0028】しかも、粘土は工程2(粉砕工程)におい
てペタライト質原料と共に粉砕されて、微粉ペタライト
質原料と同程度の粒径とされているため、調合原料の可
塑性、流動性や粘着性が一層高くされて、一層良好な成
形性が得られる。
【0029】ところで、上述の実施例においては、調合
原料は、粗粒ペタライト質原料を40wt%と、微粉ペタラ
イト質原料を40wt%と、粘土を20wt%とを含んでいた
が、この調合比は適宜変更することが可能である。表2
に種々の調合比と得られた耐火物の特性等を示す。な
お、下記表2において、「微粉ペタライト質原料」は、
粒径 8μm 以下が50wt%以上の微粉原料を表し、「粗粒
ペタライト質原料」は粒径が0.07〜0.3 mmの間の粗粒原
料を表す。また、調合比は調合原料における含有量(単
位wt%)で示されており、熱膨張率は前記表1と同様な
条件で測定した値である。
【0030】
【表2】
【0031】上記表2から明らかなように、微粉ペタラ
イト質原料および粗粒ペタライト質原料の各々の含有量
が10〜70wt%、粘土の含有量が10〜40wt%の全範囲にお
いても、十分に低い熱膨張率が得られるが、粗粒ペタラ
イト質原料が25wt%未満(表2の、)では乾燥切れ
が発生し、反対に50wt%を越えると(、)、β−ス
ポジュメンの生成量が少なくなり、その結果強度低下が
著しい。したがって、粗粒ペタライト質原料は、25〜50
wt%の範囲であることが好ましい。
【0032】また、下記の表3は、粘土の含有量を変化
させた場合の調合比と得られた耐火物の特性等を示すも
のである。下記表3においても、調合比は調合原料にお
ける含有量(単位wt%)で示されている。表3から明ら
かなように、テストした全範囲において熱膨張率は十分
低く、また、十分な機械的強度も得られる(表3には示
さず)が、粘土が10wt%以下では成形性が低下して良好
な生成形体を得ることが困難となり、反対に粘土が30wt
%以上では乾燥切れが生じ易くなる。したがって、粘土
の含有量は10〜30wt%の範囲が好ましいのである。
【0033】
【表3】
【0034】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施さ
れる。
【0035】例えば、前述の実施例においては、微粉ペ
タライト質原料と粗粒ペタライト質原料とを、何れも40
wt%づつ混合して製品を製造したが、前記表2に示され
るように、調合原料中の粗粒ペタライト質原料の含有量
が25〜50wt%の範囲内でβ−スポジュメン質耐火物の特
性を十分高く保ちつつ、乾燥切れの発生を抑制できるた
め、粗粒ペタライト質原料の含有量は、その範囲で適宜
変更することができる。なお、このとき、粗粒ペタライ
ト質原料の含有量の変化に伴って微粉ペタライト質原料
の含有量も変化するが、β−スポジュメン質耐火物の特
性を高く保つためには、調合原料中の微粉ペタライト質
原料の含有量が30wt%以上とされることが必要である。
【0036】なお、β−スポジュンメン質耐火物の一層
高い特性を得るためには、調合原料中の粗粒ペタライト
質原料の含有量を45wt%以下とすることが好ましく、更
に高い特性を得るためには、40wt%以下とすることが好
ましい。また、乾燥切れを一層確実に抑制して高い歩留
りを得るためには、粗粒ペタライト質原料の含有量を30
wt%以上とすることが好ましく、更に高い歩留りを得る
ためには、35wt%以上とすることが好ましい。したがっ
て、調合原料中の粗粒ペタライト質原料の含有量は、35
〜40wt%の範囲が最も好ましいのである。
【0037】また、微粉ペタライト質原料の粒度は、実
施例に示したものよりも更に細かく、例えば 8μm 以下
が80wt%以上とされても良い。なお、実施例において
は、粒径74μm 以下の粗い原料を粉砕することにより上
記粒度の微粉原料を作製したが、粒径 8μm 以下が50wt
%以上の原料を別途用意することが可能であれば、粉砕
工程(工程2)乃至解砕工程(工程4)は設けなくとも
良い。
【0038】また、実施例においては、粗粒ペタライト
質原料は、粒径 0.3〜0.07mmの原料と粒径 0.2〜0.07mm
の原料とを等量づつ用いたが、後者を使用したのはβ−
スポジュメン質耐火物の表面粗さを一層良好なものとす
るためであり、必ずしも使用されなくとも良く、両者の
混合比を適宜変更して用いても良い。
【0039】また、実施例においては、調合原料中に粘
土を含有させることにより、焼成工程におけるβ−スポ
ジュメンの生成反応を促進して、β−スポジュメン質耐
火物を製造したが、粘土は必ずしも含まれなくとも良
い。但し、その場合には、調合原料がペタライト質原料
のみから構成されるので、β−スポジュメンの生成量が
少なくなり、β−スポジュメンの少ない低熱膨張性耐火
物が得られる。したがって、実施例の場合よりも幾分機
械的強度が低くなると共に熱膨張率が高くなるが、この
場合でも一般の耐火物に比較して熱膨張率が低く、耐火
物として十分な特性を有するのである。
【0040】また、表1に示される実施例においては、
調合原料に有機結合剤が添加されていたが、これは、粘
土による可塑性や粘結力を更に高めるためであって、必
ずしも用いられなくとも良い。例えば、製品形状・寸法
や製造方法に対応して調合原料の組成を変更することも
可能であり、粘土のみで調合原料に十分な可塑性および
粘結力が得られる場合には、添加する必要はない。ま
た、反対に、粘土を添加せず、有機結合剤のみから結合
剤を構成しても差し支えない。
【0041】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で、種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のβ−スポジュメン質耐火物
の製造方法を示す工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 洋一 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 大島 武彦 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペタライト質原料を含む調合原料から所
    定の形状の生成形体を得る成形工程と、該生成形体を所
    定の温度で焼成する焼成工程とを含む低熱膨張性耐火物
    の製造方法であって、 0.07乃至 0.3mm程度の粒径の粗粒ペタライト質原料を25
    乃至50wt%と、粒径が8μm 以下の微粉を50wt%以上含
    む微粉ペタライト質原料を30乃至50wt%とを、含む前記
    調合原料を調製する調合工程を含むことを特徴とする低
    熱膨張性耐火物の製造方法。
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