JP2011116840A - 顔料微粒子分散体、これを用いた光硬化性組成物及びカラーフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
顔料の微粒子と下記一般式(1)で表される化合物とを含有する顔料微粒子分散体。
(式中、Qは芳香環を有する有機色素残基を表す。A1は置換基を有してもよいアルキレン基、アリーレン基、又はヘテロアリーレン基である。ZはSO3H又はCO2Hで示される酸性基を表す。R1及びR2は所定の置換基を示す。L1は単結合又は2価の有機連結基を表す。Pは置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい2つ以上のアリール基を連結させた基を形成するのに必要な原子群を示す。mは0又は1の整数を表す。nは1〜4の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
他方、液相法は微細な顔料粒子を得るのに適しており、具体的に、顔料を良溶媒(第1溶媒)に溶解した顔料溶液と貧溶媒(第2溶媒)とを混合してナノ粒子を析出させる再沈法がある。最近では、この再沈法で得た分散液に所定の高分子化合物等を分散剤として添加することが提案されている(特許文献3〜6参照)。
[1]顔料の微粒子と下記一般式(1)で表される化合物とを含有することを特徴とする顔料微粒子分散体。
[2]前記一般式(1)で表される顔料化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする[1]記載の顔料微粒子分散体。
[3]前記顔料微粒子が、該顔料を良溶媒中に溶解させた溶解液を、該溶解液中の顔料に対して貧溶媒となり前記良溶媒と相溶する媒体と混合して生成させたものであることを特徴とする[1]又は[2]のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
[4]前記Qで表される芳香環を有する有機色素残基がジケトピロロピロール顔料化合物の残基であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
[5]前記顔料微粒子を構成する顔料がジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、及びアントラキノン顔料からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
[6]さらにポリカプロラクトン構造を有する分散剤を含有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
[7]さらに下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物を含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
[8]カラーフィルタ用色材である[1]〜[7]いずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
[9][1]〜[8]いずれか1項に記載の分散体と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物。
[10][9]に記載の光硬化性組成物を硬化させて形成した画素を有してなるカラーフィルタ。
[11]下記一般式(1)で表される化合物。
また、本発明の一般式(1)で表される化合物は顔料化合物の結晶成長抑制剤ないし顔料分散体における分散助剤として、使用顔料の種を問わず有用である。
前記一般式(1)中、Qは芳香環(芳香環とは炭化水素環のみならず複素環を含む意味であるが、中でも炭化水素環が好ましい。)を有する有機色素残基であり、具体的にはペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、アントラキノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インダントロン顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、ジオキサジン顔料、アミノアントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、またはイソビオラントロン顔料の化合物残基を表す。
Qが表す母核構造の顔料(以下「顔料B」ともいう)は、好ましくはジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジオキサジン顔料であり、より好ましくはジケトピロロピロール顔料である。
A1のアルキレン:炭素数1〜10が好ましく、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレンなどが挙げられる。
A1のアリーレン:フェニレン基、ナフチレン基、アントラニル基が挙げられる。
A1のヘテロアリーレン:アリールチアゾール、アリールオキサゾール、アリールイミダゾール基等が挙げられる。
A1の有してもよい置換基:任意の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、又はシアノ基等が挙げられる。中でも、メチル基、メトキシ基、又は無置換(水素)であることが好ましい。
A1としては、フェニレン基、ナフチレン基、フェニルイミダゾール連結基が好ましく、中でもフェニル基が好ましい。
L1としては、単結合、又はアルキレンが好ましく、単結合がさらに好ましい。
Pのアリール基:フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
Pのアリール基を連結する基:下記X1に記載
Pの有してもよい置換基:A1の有してもよい置換基と同じ
Pとしては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、ジフェニルアミド、1,1-ビスフェニルエタン、2,2-ビスフェニルプロパン、ビスフェニル(ジトリフルオロメチル)メタンが好ましい。
X1の2価の有機連結基:置換若しくは無置換のアルキレン基、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造とからなる2価の有機連結基、又はこれら連結基の組み合わせが好ましい。アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラエチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、イソプロピルメチレン、ジメチルメチレン、ジエチルメチレン、ジメチルエチレン、ジエチルメチレン、ジメチルプロピレン等が挙げられる。ヘテロ原子を含む部分構造におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子があげられ、中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
X1としては、単結合、−O−、−S−、−(C=O)−、−(SO2)−、−(C=O)−NH−、−NH−(C=O)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−が、原料入手容易でかつ耐熱性に優れる観点で好ましい。
一般式(3)中、P、L1、A1、Zは前記一般式(1)と同義であり、このことは下記反応スキームにおいて同様である。
本発明の顔料微粒子分散体には、上記一般式(1)で表される化合物ともに、顔料(以下、「顔料A」ということがある)の微粒子が含有される。
顔料Aは、有機顔料であり、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、アントラキノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インダントロン顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、ジオキサジン顔料、アミノアントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、ピラントロン顔料、もしくはイソビオラントロン顔料、またはそれらの混合物などが挙げられる。なかでも、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジオキサジン顔料であり、より好ましくはジケトピロロピロール顔料である。
本発明においては、上記の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。また、その他の化合物と組み合わせた複合材料としてよい。
本発明に用いる顔料微粒子は粉砕法等のブレイクダウン法によって調製した顔料微粒子であってもよい。その際には、必要により各種溶剤、樹脂、ワニス等を混合して、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより得ることができる。後述する特定の高分子化合物(特定重合体)やその他の顔料分散剤は、すべての成分を混合してから分散してもよいが、初めに顔料と特定の高分子化合物(特定重合体)等、顔料のみ、あるいは顔料と顔料分散剤のみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。
また、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、2本ロールミル等による固形分散、または顔料への塩基性基を有するシナジスト及び/または分散剤の処理を行ってもよい。また、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等の分散機や混合機を利用することができる。
本発明の顔料微粒子分散体において、そこに含有させる有機顔料粒子は、有機材料を良溶媒(以下、これを第1溶媒ということがある)に溶解した有機顔料の溶解液と、前記良溶媒に対して相溶性を有し、有機顔料に対して貧溶媒(以下、これを第2溶媒ということがある)となる溶媒とを混合することにより生成させたものであることが好ましい。以下、この方法を「再沈法」ということもあり、このとき得られる有機顔料粒子を含有する分散液を「顔料再沈液」ということもある。さらに、上記有機顔料の溶解液に上記一般式(1)で表される化合物や、分散剤を共溶解させて再沈法を行うことを、再沈法のなかでも区別して特に「共沈法」ということがある。
先に、有機顔料の貧溶媒について説明する。貧溶媒は、有機顔料を溶解する良溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。貧溶媒としては、有機顔料の溶解度が0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。貧溶媒に対する有機顔料の溶解度にとくに下限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると0.000001質量%以上が実際的である。この溶解度は酸またはアルカリ存在下での溶解度であってもよく、特に水素イオン濃度(pH)によって溶解度が顕著に変化する顔料種の場合、酸またはアルカリを適宜貧溶媒に混合して用いることが好ましい。
良溶媒の貧溶媒に対する溶解量は30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。良溶媒の貧溶媒に対する溶解量に特に上限はないが、任意の割合で混じり合うことが実際的である。
貧溶媒としては、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒またはエステル化合物溶媒がより好ましい。
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(MMPGAc)などが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF6 −との塩などが挙げられる。
貧溶媒は複数の溶媒を混合して用いても良く、系によっては良溶媒を混合して用いることも可能である。但しこの場合、顔料粒子の析出及び微細化、結晶化の妨げにならない範囲で混合することが必要である。
次に、有機顔料を溶解する良溶媒について説明する。良溶媒は用いる顔料を溶解することが可能で、前記貧溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機顔料の良溶媒への溶解度は0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。溶解度に特に上限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。貧溶媒と良溶媒との溶解度もしくは相溶性の好ましい範囲は前述のとおりである。
良溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が好ましく、水性溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がさらに好ましく、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が特に好ましい。
スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
また、良溶媒に有機顔料を溶解した有機顔料溶液の濃度としては、溶解時の条件における有機顔料の良溶媒に対する飽和濃度ないしこれの1/100程度の範囲が好ましい。有機顔料溶液の調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
有機粒子作製時、すなわち有機粒子を析出し、形成する際の貧溶媒の使用条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。
顔料溶液と貧溶媒の混合比(再沈液中の良溶媒/貧溶媒比)は体積比で1/50〜1/1が好ましく、1/40〜1/1がより好ましく、1/10〜1/1が特に好ましい。これは、フロー式リアクターの流路内における顔料溶液と貧溶媒の体積流量比と同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、混合比を1/2とする場合、具体例として以下のような方法をとることができる。
(i)良溶媒と貧溶媒の体積流量比を1/2とする
(ii)貧溶媒にあらかじめ良溶媒を(良溶媒/貧溶媒の体積比)=(1/4)の割合で混合した溶媒Aを用いて、顔料溶液と溶媒Aの体積流量比を1/5とする。この場合、顔料溶液中の良溶媒と、溶媒A中の良溶媒を足した量は、1+1=2となり、一方で溶媒A中の貧溶媒量は4であるので、良溶媒と貧溶媒の最終的な混合比は1/2となる
顔料再沈液中の顔料濃度は顔料粒子を生成することができれば特に制限されないが、再沈液1000mlに対して顔料粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは40〜25000mgの範囲である。
Re=Duρ/η
によって定義される。本発明においては、Reが1000以上の状態が乱流、100以上1000未満の状態が遷移域、100未満の状態が層流であるとする。
上式の代表長さDとは、管内の流動に最も影響を与えるような管の物性のことであり、円筒管の場合はその直径、そうでない場合は以下の式によって定義される。
D=4A/p
ここで、A[m2]は流路の断面積、p[m]は流路内において流体が壁に接する部分の長さ(浸辺長)である。
このDを用い、前述の線流速uは以下の様に定義される。
u=Q/{(D/2)2×π}
ここでQは線流速を定義する流路を流れる流体の体積流量[m3]である
流路途中で直径や断面形状を変化させた場合の代表径はその変化させた後の断面形状に応じて算出し、その代表径に応じて線流速及びレイノルズ数を求めればよい。
なお、本発明においては混合場の流動状態が重要となるが、混合場の状態を適切に測定することは困難であるため、以下の2条件を共に満たす場合に混合場の状態を乱流支配と推定する。
(i)混合される流体それぞれの混合直前の管レイノルズ数Reから、少なくとも混合場に接続する一流路内の流動状態が乱流とみなされる。
(ii)混合後の流体の混合直後の管レイノルズ数Reから、混合直後の流動状態が乱流とみなされる。
本発明においては、顔料を良溶媒に溶解させる際、顔料分散剤や顔料誘導体を共に溶解させてもよい。有機溶剤中では、分子鎖のエントロピー斥力を利用した反発作用により分散性を確保する観点から、分散剤としては高分子分散剤が好ましく用いられる。顔料誘導体の使用によっても粒子表面の修飾が可能であり、特に他の分散剤との相互作用力の向上、あるいは粒子の溶解性や結晶型などの制御が可能であることから、これらの観点で顔料誘導体も好ましく用いられる。
微粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、質量平均、体積平均等)などがあり、本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。本発明の分散体中の微粒子(一次粒子)の平均粒径は100nm以下が好ましく、75nm以下がより好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。本発明の分散体中の微粒子は、その大きさの単結晶または多結晶、会合体であっても、これを含むものであってもよい。
結晶化度の代表的な指標として、α結晶化度の求め方としていえば、α型結晶の特徴的なブラッグ角(2θ)である28±0.5°のピーク強度Iαとβ型結晶の特徴的なブラッグ角(2θ)である27°のピーク強度Iβから下式により算出する。
(α結晶化度)=(Iα)/(Iα+Iβ)
α型結晶の特徴的なブラッグ角(2θ)である28±0.5°のピーク強度Iαとβ型結晶の特徴的なブラッグ角(2θ)である27°のピーク強度Iβは次のようにして求める。X線回折測定により得られた回折パターンからバックグラウンドを次のようにして除去する。α型結晶のブラッグ角の低角度側のすその23°付近と高角度側のすその30°付近に接する直線を引き、この直線をバックグラウンドとして除去した。バックグラウンドを除去した回折パターンから、ピーク強度IαとIβを求め上記式によりα結晶化度を算出する。
Cu−Kα1線を用いたX線回折解析を行う。その後、2θ=4deg〜70degの範囲において、最大強度を示すピークか、あるいは近接するピークと分離可能な十分に大きな強度を示すピークの半値幅を測定し、下記のSherrerの式により、結晶子径を算出する:
D=K×λ/(β×cosθ)…Scherrerの式
[D:結晶子径(Å、結晶子の大きさ)、λ:測定X線波長(Å)、β:結晶の大きさによる回折線の広がり(ラジアン)、θ:回折線のブラッグ角(ラジアン)、K:定数(βとDの定数で異なる)]
一般に、βに半値幅β1/2を用いる場合、K=0.9となることが知られている。またCu−Kα1線の波長は、1.54050Åであるので、本発明における結晶子径Dは次式に基づいて計算される:
D=0.9×1.54050/(β1/2×cosθ)
ここで、測定で得られたスペクトルのピークがブロードで、前記ピークの半値幅が判別できない場合は、結晶子径が20Å未満であるかアモルファス状態(非晶質)であると推定される。
○ 分散体の濃縮
有機顔料微粒子析出後の混合液からの溶媒分の除去工程としては、特に限定されないが、例えば、フィルタなどによりろ過する方法、遠心分離によって有機顔料微粒子を沈降させて濃縮する方法などが挙げられる。フィルタろ過の装置は、例えば、減圧あるいは加圧ろ過のような装置を用いることができる。好ましいフィルタとしては、ろ紙、ナノフィルタ、ウルトラフィルタなどを挙げることができる。遠心分離機は水不溶性化合物微粒子を沈降させることができればどのような装置を用いてもよい。例えば、汎用の装置の他にもスキミング機能(回転中に上澄み層を吸引し、系外に排出する機能)付きのものや、連続的に固形物を排出する連続遠心分離機などが挙げられる。遠心分離条件は、遠心力(重力加速度の何倍の遠心加速度がかかるかを表す値)で50〜10000が好ましく、100〜8000がより好ましく、150〜6000が特に好ましい。遠心分離時の温度は、分散液の溶剤種によるが、−10〜80℃が好ましく、−5〜70℃がより好ましく、0〜60℃が特に好ましい。また、溶媒分の除去工程として、真空凍結乾燥により溶媒を昇華させて濃縮する方法、加熱ないし減圧による溶媒を乾燥させて濃縮する方法、それらを組合せた方法などを用いることもできる。
有機顔料の微粒子は例えばビヒクル中で分散させた状態で用いることができる。前記ビヒクルとは、塗料でいえば、液体状態にあるときに有機顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記水不溶性化合物と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。なお本発明においては、微粒子形成時に用いる高分子化合物および/または再分散化に用いる有機顔料分散剤を総称してバインダーと称する。
本発明においては、上述のとおり再沈法で調製した分散体の水系の溶媒分を除去することが好ましい。上記の水相を除去する工程の後には乾燥工程を有しないことが好ましい。このとき顔料の分散性をより向上させる目的で、特定の顔料分散剤や界面活性剤等の分散剤などを本発明の効果を損なわない限りにおいて加えることもできる。なお、ここで用いる分散剤を先に述べた再沈法において使用し、例えば、顔料微粒子の析出時に共存させてもよい。なお、下記分散剤として主に高分子化合物を例示するが、本発明において、分子量というとき特に断らない限り質量平均分子量を意味し、分子量及び分散度は下記の測定方法で測定した値をいう。
分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定する。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられるが、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましい。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。
装置:HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
検出器:示差屈折計(RI検出器)
プレカラム:TSKGUARDCOLUMN MP(XL)
6mm×40mm(東ソー(株)製)
サンプル側カラム:以下の2本を直結(全て東ソー(株)製)
・TSK-GEL Multipore-HXL-M 7.8mm×300mm
リファレンス側カラム:サンプル側カラムに同じ
恒温槽温度:40℃
移動層:テトラヒドロフラン
サンプル側移動層流量:1.0mL/分
リファレンス側移動層流量:0.3mL/分
試料濃度:0.1重量%
試料注入量:100μL
データ採取時間:試料注入後16分〜46分
サンプリングピッチ:300msec
本発明の顔料分散体には、加工顔料の分散性をより向上させる目的で、顔料分散剤や界面活性剤等の分散剤を加えることもできる。分散剤(顔料分散剤)としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
グラフト型高分子については、特に制限されないが、特開昭54−37082号公報、特開昭61−174939号公報などに記載のポリアルキレンイミンとポリエステル化合物を反応させた化合物、特開平9−169821号公報に記載のポリアリルアミンの側鎖のアミノ基をポリエステルで修飾した化合物、特開昭60−166318号公報に記載のポリエステルポリオール付加ポリウレタン等が好適に挙げられ、更に、特開平9−171253号公報や、マクロモノマーの化学と工業(アイピーシー出版部、1989年)などにあるように、重合性オリゴマー(以下、マクロモノマーと称する)を共重合成分とするグラフト型高分子も好適に挙げることができる。また、顔料に吸着して、良好な分散性を与えるという点において、特開2003−238837に記載の有機色素部分を有するグラフト型高分子が好ましい。グラフト型高分子の枝部は、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカプロラクトン等が好適に挙げられるが、ポリカプロラクトン鎖を有するグラフト型高分子がより好ましい。前記グラフト型高分子の市販品としては、ソルスパース24000、同28000、同32000、同38500、同39000、同55000(以上ルーブリゾール社製)、Disperbyk−161、同−171、同−174(以上BYK Chemie社製)等[いずれも商品名]が挙げられる。
末端変性型高分子としては、例えば、特開平9−77994号公報や、特開2002−273191号公報、特開2007−277514公報、特開2007−140487公報などに記載されているポリマーの末端に官能基を有する高分子を挙げることができる。
ブロック型高分子としては、特に限定されないが、顔料吸着ブロックと、顔料に吸着しないブロックとからなるブロック型高分子が挙げられる。顔料吸着ブロックを構成する単量体としては、特に制限されないが、例えば、顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーが挙げられる。具体的には、有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマー、酸性基を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマーなどを挙げることができる。有機色素構造あるいは複素環構造を有するモノマーとしては、例えば、特開2003−238837に記載の有機色素骨格やマレイミド誘導体などが挙げられる。ブロック型高分子としては、市販品を利用することも可能である。具体的な例としては、Disperbyk−2000、同−2001(以上BYK Chemie社製)、EFKA4330、同4340(以上EFKA社製)等[いずれも商品名]を挙げることができる。
本発明においては、下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物(以下、「分散剤B」ということがある)を含有することが好ましい。
光硬化性組成物は、前記顔料微粒子の分散体と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、好ましくは、更に、アルカリ可溶性樹脂を含む。有機顔料微粒子および、その分散体を作製する方法については既に詳細に述べた。光硬化性組成物中の微粒子の含有量は、全固形分(本発明において、全固形分とは、有機溶媒を除く組成物合計をいう。)に対し、3〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜60質量%がさらに好ましい。この量が多すぎると分散液の粘度が上昇し製造適性上問題になることがある。少なすぎると着色力が十分でない。また、調色のために通常の顔料と組み合わせて用いてもよい。顔料は上記で記述したものを用いることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
インクジェットインクは前記の水不溶性化合物微粒子を含むものであればよく、重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーを含む媒体に、前記の水不溶性化合物微粒子を含有させたものであることが好ましい。ここで重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーとしては、先に光硬化性組成物において説明したものを用いることができる。
このとき、用いられる射出時のインク特性、インク吹き付け方法、インクジェットヘッド形態や、カラーフィルタのパターン形状およびその形成方法については、特開2008−138194公報に開示されているものと、好ましい範囲についても同様である。
本発明のカラーフィルタの画素は上述した顔料微粒子分散体ないしその溶媒を切り替えた再分散体を用いて形成されたものであることが好ましく、コントラストに優れることが好ましい。本発明においてコントラストとは、2枚の偏光板の間において、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量の比を表す(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。カラーフィルタのコントラストが高いということは液晶と組み合わせたときの明暗のディスクリミネーションが大きくできるということを意味しており、液晶ディスプレイがCRTに置き換わるためには非常に重要な性能である。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R 0.656 0.336 21.4
G 0.293 0.634 52.1
B 0.146 0.088 6.90
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(合成例1) 前記例示化合物a−21の合成
4,4‘−オキシジフタル酸二無水物:71.35g(東京化成社製)、2−アミノベンゼンスルホン酸:39.8g(東京化成社製)をN−メチルピロリドン:230ml(和光純薬社製)に溶解させ、反応液を50℃まで加熱した。次に4−ジメチルアミノピリジン:28.08g(東京化成社製)を投入し、50℃で1時間攪拌し反応させた。次にリン酸二水素アンモニウム:27.8g(和光純薬社製)添加し、反応液内温を140℃まで昇温後、4時間攪拌した。次いで反応液を50℃以下まで放冷した後、水2.3Lに投入し1時間攪拌した。得られた析出物をろ過し、十分脱水した水ペースト300gを得た。この水ペーストをメチルエチルケトン:3L(関東化学社製)に投入し、2時間攪拌した後にろ過、乾燥させて、前記化合物a―21:25gを得た。
また本発明における例示化合物a類は、原料に用いる二無水物を変更する以外は本方法で合成できる。
Cromophtal DPP Coral Red C:25.56g(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を硫酸:540g(和光純薬社製)に溶解させ、反応液を20℃以下に保持した。次に前記例示化合物a−21:52gを投入した後、反応液を30℃まで昇温した後、パラホルムアルデヒド:2.96g(東京化成社製)を添加し30℃水浴下2時間反応させた。得られた反応液を氷水4.4Lに再沈し、そのまま一日静置した後に濾過し水ペーストを得た。得られたペーストをヘキサン6.5L、イソプロパノール6.5Lの混合溶媒に投入し室温下4時間攪拌し、デカントしながら濾過した後、50℃加熱で真空乾燥させた。さらに得られた粉末を粉砕し、メタノール5L(関東化学社製)中で1時間攪拌した後に濾過し、50℃加熱で真空乾燥させることで例示化合物b−13を38g得た。この化合物をHPLC分析した結果、(PR255:(n=1):(n=2+その他)= 64:24:12の面積比であり、融点は116℃、253℃を示した。
Cromophtal DPP Coral Red C:25.56g(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を硫酸:540g(和光純薬社製)に溶解させ、反応液を20℃以下に保持した。次に前記例示化合物a−26:56.2gを投入した後、反応液を30℃まで昇温した後、パラホルムアルデヒド:2.96g(東京化成社製)を添加し30℃水浴下2時間反応させた。得られた反応液を氷水4.4Lに再沈し、そのまま一日静置した後に濾過し水ペーストを得た。得られたペーストをヘキサン6.5L、イソプロパノール6.5Lの混合溶媒に投入し室温下4時間攪拌し、デカントしながら濾過した後、50℃加熱で真空乾燥させた。さらに得られた粉末を粉砕し、メタノール5L(関東化学社製)中で1時間攪拌した後に濾過し、50℃加熱で真空乾燥させることで例示化合物b−18を40g得た。この化合物をHPLC分析した結果、(PR255:(n=1):(n=2+その他)= 60:22:18の面積比であり、融点は130℃、368℃を示した。
(実施例1)
[有機顔料ナノ粒子分散液の調製]
ジメチルスルホキシド(和光純薬社製)を良溶媒とし、良溶媒1000gに顔料C.I.ピグメントレッド254(IRGAZIN DPP RED BO、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50gを分散させ、ここにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%メタノール溶液52.3gを滴下して顔料溶液を調製した。この顔料溶液を、ビスコメイトVM−10A−L(商品名、CBCマテリアルズ社製)を用いて粘度を測定した結果、顔料溶液の液温が24.5℃の時の粘度が14.3mPa・sであった。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸水溶液(和光純薬社製)19gを含有したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1000mlを用意した。
ここで、10℃に温度コントロールし、GK−0222−10型ラモンドスターラー(商品名、藤沢薬品工業社製)により500rpmで攪拌した貧溶媒1000mlに、顔料溶液をNP−KX−500型大容量無脈流ポンプ(商品名、日本精密化学社製)を用いて、流路径1.1mmの送液配管から流速400ml/minで100ml注入することにより、下表1の平均粒径の有機顔料粒子を形成し、結晶性有機顔料ナノ粒子の分散液(分散体1)を調製した。前記有機顔料ナノ粒子分散液(分散体1)を5℃に温度コントロールし2時間攪拌した。
上記の手順で調製した有機顔料ナノ粒子分散液(分散体1)をH−112型(商品名、(株)コクサン社製)遠心濾過機およびP89C型(商品名、敷島カンバス(株)社製)濾布を用いて5000rpmで90分濃縮し、次いでイオン交換水を1100g加え混合し、同様に遠心濾過した。再度、イオン交換水を1100g加え混合し遠心濾過した。得られた有機顔料ナノ粒子濃縮ペースト1を回収した。
前記有機顔料ナノ粒子濃縮ペーストをオーブンにより100℃で2時間乾燥することにより平均粒径25nmの有機顔料粉末1を得た。
前記有機顔料粉末1を乳鉢で180μm以下に粉砕した後、下記組成の有機顔料分散組成物1とし、均一に撹拌混合した。
前記有機顔料粉末1 9.7g
顔料誘導体1 2.0g
顔料誘導体2 2.3g
分散剤樹脂1 11.3g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
24.7g
前記例示化合物b−1 3.5g
酸価 10mgKOH/g、Mw:10000
Ra:−CO−nC7H15または水素原子
v:40、w:5、x:10、y+z:45
顔料溶液に添加する化合物を例示化合物b−1に代え、下記表1に示したように変えた以外、実施例1と同様にして、顔料分散液(分散体2〜10、c1〜c5)を調製した。さらに、それぞれの分散体試料を用いて、ペース、粉末及び有機顔料分散組成物(分散体2A〜10A、c1A〜c5A)を調製した。なお分散体c1〜c5については、b−1に代え下記の化合物を用いたことを意味する。
C.I.ピグメントレッド254(IRGAPHOR RED BT−CF、商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を40g(平均粒子径60nm)、顔料誘導体1 1.6g、顔料誘導体2 1.8g、をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 125 mlに混合し、該混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm)により3時間混合・分散して、顔料分散液(分散体s’)を調製した。該分散体s’の40gに前記例示化合物b−1を3.5gを添加し、撹拌子により撹拌して分散体sを得た。その後は、実施例1と同様にして、ペースト、粉末及び有機顔料分散組成物sを調製した。上記実施例1と同様の項目について評価した結果、コントラストにおいてやや劣るもののその他の項目におい効果を奏することを確認した。
得られた顔料分散組成物の各試料について、下記の評価を行った。結果を表1にまとめて示す。
分散液に含まれる顔料粒子の粒子径分布を下記条件で測定し、粒子径20nm以上30nm以下の粒子数の割合Pおよび数平均一次粒径Dpを算出した。
・TEM撮影
装置:日立製、H−7650電顕(商品名)
加速電圧:110kV
(トモグラフィー観察を行い、3D再構築データから粒子同士の重なりの少ない面を取り出し、粒子の投影面積を得た。)
・画像計測
装置:カールツァイス社製、KS−400(商品名)
(ランダムに選択した5000個の顔料粒子のTEM画像を計測し投影面積から円相当径を算出し、上記の割合PおよびDpを算出した。)
得られた顔料分散組成物について、E型粘度計(東機産業(株)社製、RE−85L[商品名]、測定温度25℃)を用いて、分散直後の顔料分散組成物の粘度η1及び分散後室温にて1週間経過した後の顔料分散組成物の粘度η2を測定し、増粘の程度を評価した。ここで、粘度が低いことは、分散剤に起因する粘度の上昇が抑制されており、顔料の分散性及び分散安定性が良好であることを示す。
得られた顔料分散組成物を、ガラス基板上に塗布し、乾燥後の塗布膜の厚さが1μmになるようにサンプルを作製した。2枚の偏光板の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(この評価法は、「1990年第7回 色彩光学コンファレンス、512色表示10.4“サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」を参考にした)。ここで、コントラストが高いことは、顔料が高度に微細化された状態で均一に分散されているため、透過率すなわち着色力が高いことを示す。
[着色感光性組成物の調製]
上記の顔料分散組成物(1A〜10A、c1A〜c5A)をそれぞれ用いて下記の着色感光性組成物を調製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製:光重合性化合物) 100部
・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)
アミノフェニル]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−
トリアジン(光重合開始剤) 30部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸(=75/25[質量比])
共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテート溶液(固形分30%)
(アルカリ可溶性樹脂) 400部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート(溶剤) 390部
調製された着色感光性組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、色濃度の指標となるx値が0.650となるように塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗布膜の全面に200mJ/cm2にて(照度20mW/cm2)露光し、露光後の塗布膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように露光及び現像が施された塗布膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ用の着色パターン(着色領域)を形成し、着色フィルタ基板(カラーフィルタ)を作製した。
作製された着色感光性組成物及び着色フィルタ基板(カラーフィルタ)について、以下のようにして評価を行った。結果を前記表にまとめて示す。
カラーフィルタの着色パターン上に偏光板を置いて着色パターンを挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン社製のBM−5(商品名)を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。値が大きいほど高コントラストであることを示す。
○ カラーフィルタ(CF)の輝度
上記コントラストの測定に用いたサンプル塗布基板を、アジレント8453分光光度計を用いて吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから、C光源を用いたときの塗布基板のY値を算出した。
上記コントラストの測定に用いたサンプルを90mW/cm2の高圧水銀ランプで24時間照射し、照射前後の色差を測定し、耐光性の指標とした。なお色度は顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100又は200)により測定し、F10光源視野2度の結果として計算して、xyz表色系のxyY値で表す。また、色度の差は、La*b*表色系の色差で表す。この色差が小さいほど耐光性が高いことを意味する。
○ CR耐熱性の評価
作製したカラーフィルターを、強制的に250℃のオーブンで1時間加熱処理し、処理前後でのコントラスト保持率を評価した。
○ 化合物耐熱性の評価
実施例に示す化合物を、強制的に250℃のオーブンで1時間加熱処理し、処理前後でのHPLCを測定した場合に、(m,n)=(0,1)の化合物残存比が80%を超えるものは○、80〜20%を△、20%〜0%を×として評価した。
また本発明の一般式(I)で表される化合物を用いた分散体から作製されたカラーフィルタの画素は、高温でも色変化が少なく耐熱性にも優れる。これは本発明の化合物が、一般に知られる耐熱性ポリイミド型の骨格を有しており、本質的に化合物耐熱性が高い顔料誘導体であるためと考えられる。
Claims (11)
- 顔料の微粒子と下記一般式(1)で表される化合物とを含有することを特徴とする顔料微粒子分散体。
- 前記顔料微粒子が、該顔料を良溶媒中に溶解させた溶解液を、該溶解液中の顔料に対して貧溶媒となり前記良溶媒と相溶する媒体と混合して生成させたものであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
- 前記Qで表される芳香環を有する有機色素残基がジケトピロロピロール顔料化合物の残基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
- 前記顔料微粒子を構成する顔料がジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料、及びアントラキノン顔料からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
- さらにポリカプロラクトン構造を有する分散剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
- さらに下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
- カラーフィルタ用色材である請求項1〜7いずれか1項に記載の顔料微粒子分散体。
- 請求項1〜8いずれか1項に記載の分散体と、重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物。
- 請求項9に記載の光硬化性組成物を硬化させて形成した画素を有してなるカラーフィルタ。
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