JP2011116666A - 乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有する抗ストレス剤及びその製造方法 - Google Patents

乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有する抗ストレス剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】飲食品・医薬品等の様々な用途に利用することができる抗ストレス剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の抗ストレス剤は、ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有することを特徴とする。好ましくは、乳酸菌はラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、及びビフィドバクテリウム属から選ばれる少なくとも一種である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ローヤルゼリーを原料とし、乳酸菌を用いて発酵させることにより得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーを有効成分として含有する抗ストレス剤又はその製造方法に関する。
一般に、ローヤルゼリーは、羽化後3〜15日の雌のミツバチが下咽頭腺及び大腮腺から分泌する分泌物を混合して作るゼリー状の物質で、特有のタンパク質、脂肪酸及びミネラル等が含有されていることが知られている。ローヤルゼリーは、血圧降下作用、抗腫瘍作用、創傷治癒促進、抗菌作用等の種々の生理作用を有していることが知られている。したがって、従来よりローヤルゼリーは、栄養価の高い健康食品のみならず、医薬品、化粧品等の用途にも用いられてきた。
従来より、ローヤルゼリーの機能をより優れたものとするために様々な処理が行われている。例えば、特許文献1,2に開示される方法が知られている。特許文献1は、生ローヤルゼリー又は乾燥ローヤルゼリーに例えば含水エタノールを添加して混合液を調製し、ローヤルゼリー中の可溶性成分を含水エタノール中に溶解させた後、これを濾過して得られるローヤルゼリーエキスの製造方法について開示する。ローヤルゼリーエキスはデセン酸をはじめとするローヤルゼリーに特有な脂肪酸、そのエステルからなる脂質、ローヤルゼリーにのみ含有される特殊な水溶性タンパク質、アミノ酸、糖質、ミネラル等を含有している。
特許文献2は、ローヤルゼリーを微生物で発酵させて得られる発酵物を含有する化粧料について開示する。かかる発酵物は線維芽細胞賦活作用及び細胞内チロシナーゼ活性抑制作用により美肌化効果を向上させる。
特開2000−60455号公報 特開2006−219434号公報
ところで、現代人は、様々な生体に有害な刺激(ストレス)、例えば、騒音及び大気汚染等の物理的・化学的ストレス、過労及び睡眠不足等の生理的ストレス、並びに不安及び緊張等の心理的・社会的ストレスに曝されている。生体がストレスを継続的に受けたり、一度に大きなストレスを受けると、体や心に歪みが生じ、心身が耐えられなくなってストレス病を発症することがある。
生体は、ストレスを受けると、交感神経−副腎髄質系や視床下部−下垂体−副腎皮質系の活動が高まることが知られている。交感神経−副腎髄質系の高まりにより、例えば血圧上昇、発汗、唾液分泌、覚醒等の症状が生ずる。視床下部−下垂体−副腎皮質系の高まりにより、例えば、脳下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が促進され、血中の糖質コルチコイド、例えばコルチゾール、コルチコステロン、及びコルチゾン濃度が上昇する。糖質コルチコイドは、例えば糖新生促進作用、及び抗炎症作用を発揮する一方、過剰に分泌されると、糖尿病を悪化させたり、感染症を悪化させるおそれがある。
本発明は、ローヤルゼリーを乳酸発酵させたものを摂取することにより、生体内で起こるストレス反応を緩和させ、優れた抗ストレス作用を発揮することを発見したことに基づくものである。
本発明の目的とするところは、飲食品・医薬品等の様々な用途に利用することができる抗ストレス剤及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の抗ストレス剤は、ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の抗ストレス剤において、前記乳酸菌がラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、及びビフィドバクテリウム属から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の抗ストレス剤において、前記乳酸菌がラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サケイ、ラクトバチルス・デルブルッキー、ラクトバチルス・アシッドフィルス、ペディオコッカス・アシディラクティシィ、ストレプトコッカス・サーモフィルス、及びビフィドバクテリウム・ロンガムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の抗ストレス剤において、前記抗ストレス剤は、血中糖質コルチコイド上昇抑制剤として構成されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有する抗ストレス剤の製造方法において、ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させることを特徴とする。
本発明によれば、飲食品・医薬品等の様々な用途に利用することができる抗ストレス剤及びその製造方法を提供することができる。
試験例1における乳酸発酵ローヤルゼリーの固形分100g中のGABAの含有量を示すデータ。尚、縦軸は、GABAの含有量(mg)を示す。 試験例2における血清中のコルチコステロン濃度を示すデータ。尚、縦軸は血清中のコルチコステロン濃度(ng/mL)を示す。 試験例3における唾液中のアミラーゼ活性の増加率を示すデータ。尚、縦軸は、ストレス負荷前の値を100%とした場合の値(%)を示す。
以下、本発明の抗ストレス剤を具体化した実施形態を説明する。
本実施形態の抗ストレス剤は、原料としてローヤルゼリーを用い、該ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーを有効成分として含有する。
原料としてローヤルゼリーとしては、生ローヤルゼリー及び生ローヤルゼリーを凍結乾燥処理等により乾燥させて粉末化したローヤルゼリー粉末(FD−RJ)のいずれも使用することができる。本実施形態において使用される生ローヤルゼリー及び乾燥ローヤルゼリーの産地は、特に限定されないが、例えば中国、台湾、日本等のアジア諸国、ヨーロッパ諸国、北アメリカ諸国、ブラジル等の南アメリカ諸国のいずれでもよい。
発酵に用いられる乳酸菌としては、特に限定されず、一般食品、例えば乳製品、魚肉・畜産製品、醸造製品、漬物において用いられる公知の乳酸菌を使用することができる。例えば、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、ビフィドバクテリウム属、及びリューコノストック属が挙げられる。これらの中で、抗ストレス作用に優れる観点から、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、及びビフィドバクテリウム属が好ましい。ラクトバチルス属として、例えばラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サケイ、ラクトバチルス・デルブルッキー、ラクトバチルス・アシッドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ブレビス、及びラクトバチルス・ブルガリクスが挙げられる。ペディオコッカス属として、例えばペディオコッカス・アシディラクティシィ、ペディオコッカス・セレビシェ、ペディオコッカス・ソジェー、及びペディオコッカス・ハロフィラスが挙げられる。ストレプトコッカス属として、例えばストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・クレモリス、及びストレプトコッカス・フェカリスが挙げられる。ビフィドバクテリウム属として、例えばビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、及びビフィドバクテリウム・ブレーベが挙げられる。
発酵処理は、ローヤルゼリー原料を適当な溶媒、例えば水で所定倍率に希釈した溶液に乳酸菌を接種し、所定温度で培養することにより行うことができる。ローヤルゼリー原料の希釈倍率は特に限定されないが、粉末化(フリーズドライ)したローヤルゼリー(FD−RJ)の場合、好ましくは5〜20倍、より好ましくは8〜15倍希釈である。希釈倍率が5倍未満の場合、ローヤルゼリーに起因する反応液の粘度上昇を十分に抑えることができないため、発酵処理を迅速に進行させることが困難になる。逆に、希釈倍率が20倍を超える場合、得られた発酵処理ローヤルゼリーを濃縮する際、多くの時間を要するおそれがある。生ローヤルゼリーの場合、好ましくは1〜10倍、より好ましくは2〜5倍希釈である。希釈倍率が1倍未満の場合、ローヤルゼリーに起因する反応液の粘度上昇を十分に抑えることができないため、発酵処理を迅速に進行させることが困難になる。逆に、希釈倍率が10倍を超える場合、得られた発酵処理ローヤルゼリーを濃縮する際、多くの時間を要するおそれがある。
乳酸菌の培養条件は、乳酸菌の種類により適宜設定することができる、培養温度は、乳酸菌の増殖が可能な温度であれば特に限定されないが、好ましくは20〜45℃、より好ましくは25〜40℃である。培養時間は、乳酸菌の種類及び培養温度に応じ適宜設定することができるが、好ましくは1〜5日、より好ましくは2〜4日程度が好ましい。培養期間が短いと乳酸菌が十分に増殖することができず、培養期間が長いと乳酸菌の増殖が衰退期に入り発酵処理速度は減少する。培養は、振とう培養でも静置培養でもいずれも用いることができる。
発酵処理後の乳酸菌発酵ローヤルゼリーは、発酵処理液をそのまま飲食品、医薬品等に適用してもよく、溶媒を蒸発させて濃縮処理して適用してもよく、乾燥及び粉末化して適用してもよい。また、発酵処理後の乳酸菌発酵ローヤルゼリーは、乳酸菌が生菌状態で飲食品、医薬品等に適用してもよく、殺菌処理、例えば煮沸した後に各種用途に適用してもよい。
上記のように得られた乳酸菌発酵ローヤルゼリーは、高い抗ストレス作用を有する。したがって、それらの作用効果を得ることを目的とした抗ストレス剤として適用することができる。具体的な配合形態としては、それらの作用効果を得ることを目的とした飲食品、医薬品、医薬部外品等として適用することができる。
本実施形態の抗ストレス剤を飲食品に適用する場合、種々の食品素材又は飲料品素材に添加することによって使用することができる。飲食品の形態としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状のいずれであってもよく、また剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤のいずれであってもよい。その中でも、吸湿性が抑えられることから、カプセル剤であることが好ましい。前記飲食品としては、その他の成分としてゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、油脂、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。
本実施形態の抗ストレス剤を医薬品又は医薬部外品として使用する場合は、服用(経口摂取)により投与する場合の他、経腸投与等の投与方法を採用することが可能である。本実施形態の抗ストレス剤は経口摂取により投与されることが望ましい。剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤等が挙げられる。また、添加剤として賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態において、ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーは、生体内で起こる様々なストレス反応を緩和させることができる。よって、本実施形態の乳酸菌発酵ローヤルゼリーは、抗ストレス作用の発揮を目的とした抗ストレス剤として、飲食品及び医薬品等の分野に好ましく適用することができる。
(2)本実施形態の抗ストレス剤は、生体内で起こるストレス反応を緩和させる作用を発揮する。具体的には、過剰なストレスが付加された場合に生ずる交感神経−副腎髄質系や視床下部−下垂体−副腎皮質系の活動が高まりを抑えることができる。したがって、交感神経−副腎髄質系の高まりにより生ずる症状、例えば血圧上昇、発汗、唾液分泌、覚醒等を緩和することが期待される。また、視床下部−下垂体−副腎皮質系の活動が高まりにより生ずる症状、例えば、血中の糖質コルチコイド濃度の上昇を抑制することが期待される。
(3)本実施形態において、ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーは、γ−アミノ酪酸(GABA)の含有量を増加させることができる。したがって、摂取によりストレス軽減効果を発揮することが期待される。
(4)本実施形態において、好ましくは、乳酸菌としてラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、及びビフィドバクテリウム属から選ばれる少なくとも一種が用いられる。したがって、抗ストレス作用をより向上させることができる。
(5)本実施形態において、好ましくは、乳酸菌としてラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サケイ、ラクトバチルス・デルブルッキー、ラクトバチルス・アシッドフィルス、ペディオコッカス・アシディラクティシィ、ストレプトコッカス・サーモフィルス、及びビフィドバクテリウム・ロンガムから選ばれる少なくとも一種が用いられる。したがって、抗ストレス作用をさらに向上させることができる。
(6)本実施形態の抗ストレス剤は、天然由来の原料としてローヤルゼリーが用いられる。したがって、公知の合成医薬品、例えば精神安定剤等に比べて、安全に且つ副作用を生ずることなく摂取することができる。
(7)本実施形態の抗ストレス剤は、好ましくは、血中糖質コルチコイド上昇抑制剤として適用することができる。したがって、特に糖質コルチコイドが過剰に分泌されると、糖尿病を悪化させたり、感染症を悪化させるおそれがある患者に好ましく適用することができる。
(8)本実施形態の抗ストレス剤は、原料としてローヤルゼリーが用いられる。したがって、タンパク質、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸等の成長に必要な栄養素の摂取も期待することができる。また、ローヤルゼリー由来の生理作用、例えば免疫機能の向上、滋養強壮の他、神経痛、肝炎、更年期障害、及び骨粗しょう症の改善作用の発揮も摂取により期待することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態における乳酸発酵ローヤルゼリーは、ヒトが摂取する飲食品及び医薬品等に対して適用することができるのみならず、家畜の飼料にサプリメント、栄養補助食品、医薬品等として配合してもよい。たとえば、ヒト以外の動物においてもストレスが負荷されると、糖質コルチコイドの分泌が促進されることが知られている。糖質コルチコイド濃度の上昇は、骨格筋の分解を刺激するため、乳酸発酵ローヤルゼリーを糖質コルチコイド分泌抑制作用の発揮を目的とした肉質劣化抑制剤として適用することが検討される。
以下に実施例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、凍結乾燥ローヤルゼリー(FD−RJ)10gに精製水90gを加えて(10倍希釈)スターラーで撹拌することにより10%FD−RJ溶液を調製した。次に、この溶液を食品添加用の水酸化ナトリウム溶液でpH7.0に調整した後、オートクレーブ処理により殺菌した。そして、再度、pHを7.0に調整した後、乳酸菌としてラクトバチルス・プランタルム(LP115、協和ハイフーズ社製)を製品の乾燥重量として50mgを添加し、30℃48時間の条件で静置培養した。培養後の試料を、凍結乾燥により粉末化することにより実施例1の乳酸発酵RJを得た。
(実施例2)
乳酸菌としてペディオコッカス・アシディラクティシィ(PA122、サンエイ糖化社製)を使用した以外、実施例1と同様の方法にて乳酸発酵RJを得た。
(実施例3)
乳酸菌としてストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・デルブルッキー・エスエスピー・ブルガリクス、ラクトバチルス・デルブルッキー・エスエスピー・ラクチス、ビフィドバクテリウム、及びラクトバチルス・アシッドフィルスの混合品(ABY−2C、協和ハイフーズ社製)を使用した以外、実施例1と同様の方法にて乳酸発酵RJを得た。
<試験例1:乳酸発酵RJ中のγ−アミノ酪酸(GABA)の測定>
各実施例の乳酸発酵RJについて、GABAの含有量をHPLCを用いて測定した。コントロールとして、乳酸菌を添加せずに、実施例1と同様の方法にて処理することにより得た試料を使用した。HPLCの条件は、移動相:100mMリン酸緩衝液:アセトニトリル=88.6:11.4、カラムL−column ODS CERI、測定波長Ex.365nm、Em.490nmとした。結果を図1に示す。
図1に示されるように、各実施例の乳酸発酵処理によりRJ中のGABAの含有量が増加することが確認された。GABAはストレス軽減効果を発揮することが期待されるため、乳酸発酵RJを摂取することにより、ストレス軽減効果の向上が期待される。
<試験例2:血清中のコルチコステロン濃度の測定>
(使用動物)
ddy系(SLC)雄性マウス(中部科学資材)4週齢、体重16〜19gを使用した。動物は室温23±1℃、湿度55±5%、照明時間14時間/日(6:00〜20:00)の条件下で、プラスチックゲージに4匹ずつ収容して飼育した。固形飼料は日本クレア社製CE−2を使用するとともに、飲料水は水道水を自由摂取とした。入荷後、1週間の予備飼育を行い、健康状態に異常が認められない動物を試験に用いた。動物は、1群6匹で下記のA〜C群に分けた。
A群として、ストレス負荷なし、乳酸発酵RJの摂取なし、代わりに水を摂取
B群として、ストレス負荷あり、乳酸発酵RJの摂取なし、代わりに水を摂取
C群として、ストレス負荷あり、乳酸発酵RJの摂取あり、とした。
投与する乳酸発酵RJとして実施例1のものを使用した。
(ストレス負荷)
A,B群の場合は水、C群の場合は発酵RJの投与直後から、30分間のストレス負荷(拘束)を行った(14〜16時の間に実施)。拘束は、50mL遠沈管にマウスを入れ、余った空間を脱脂綿で詰めて蓋をする事で行った(頭が動く程度の拘束。体の向きなどは変えられない状態を維持)。
(ストレスマーカーの測定)
ストレスによって分泌されるストレスホルモンとして糖質コルチコイドの一種であるコルチコステロンをストレスマーカーとして測定した。30分間の拘束が終了した後、直ちに採血を行った。得られた血液はヘパリン入り小試験管に入れ、遠心分離(3000rpm×10分間:KUBOTA RS3010M)を行い、血漿を得た。得られた血漿を用いて、血清中のコルチコステロン濃度を測定した。測定はCorticodterone ELISA Kit(Assay Max社製EC 3001-1)で行った。尚、エーテル麻酔はストレスとなり結果に影響を及ぼすおそれがあり、また、尾静脈からの採血では必要量を得るのに時間が掛かり、動物へのストレスとなる事が予想されるため、無麻酔で断頭採血とした。結果を図2に示す。
図2に示されるように、ストレス負荷を与えたB群では、ストレス負荷を与えていないA群に比べて約8〜9倍のコルチコステロン濃度の上昇が確認された。一方、乳酸発酵RJを投与したC群は、B群に比べて有意にコルチコステロン濃度の上昇を抑制していることが確認された。以上により、乳酸発酵RJは、生体内で起こるストレス反応を緩和させることができることが期待される。
<試験例3:唾液アミラーゼの活性測定>
(被験者)
持病又はRJに対しアレルギーのない健康正常人24名を対象に試験を実施した。対象年齢は、20〜65歳とした。1群8人で分け、各群は以下の試料を摂取した。
D群として、ブラセボ、摂取量2000mg(マルトデキストリン、商品名パインディックス:松谷化学工業社製)、
E群として、FD−RJ粉末、摂取量2000mg、
F群として、実施例1の発酵RJ粉末、摂取量2000mg、とした。
(ストレス負荷)
ストレス負荷の1時間前に、各試料の摂取を行うとともに、うがいを実施した。ストレス負荷としては内田クレペリンテストを用いた(株式会社日本・精神技術研究所より入手)。クレペリンテストは簡単な1桁の足し算を繰り返し行うものである。これを15分間実施し、被験者にストレスを負荷した。
(アミラーゼ活性の測定)
ストレスを受けると、交感神経−副腎髄質系の活動が高まる。それにより、アミラーゼを分泌する唾液線を刺激し、アミラーゼの分泌が増大する。結果的に、ストレス負荷により唾液中のアミラーゼ(以下、sAMY)活性が上昇する。従って、sAMY活性はストレス負荷に対する交換神経興奮状態の強さ度の指標として利用する事ができるとされている。ストレス負荷の15分前と15分間のストレス負荷後にsAMY活性を測定した。測定には、唾液アミラーゼモニター(ニプロ社製)を用いて測定した。ストレス負荷前後の値との比較から、sAMY活性の増加率を求めた。増加率は、ストレス負荷前の値を100%とした場合の値(%)を示す。結果を図3に示す。
図3に示されるように、乳酸発酵RJを摂取した場合にsAMY活性の増加を抑制していることが確認される。乳酸発酵RJは、交感神経−副腎髄質系の高まりにより生ずる各種症状を緩和することが期待される。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。(a)乳酸発酵ローヤルゼリーを有効成分として含有することを特徴とする肉質劣化抑制剤。

Claims (5)

  1. ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させて得られる乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有することを特徴とする抗ストレス剤。
  2. 前記乳酸菌がラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、及びビフィドバクテリウム属から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の抗ストレス剤。
  3. 前記乳酸菌がラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・サケイ、ラクトバチルス・デルブルッキー、ラクトバチルス・アシッドフィルス、ペディオコッカス・アシディラクティシィ、ストレプトコッカス・サーモフィルス、及びビフィドバクテリウム・ロンガムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の抗ストレス剤。
  4. 前記抗ストレス剤は、血中糖質コルチコイド上昇抑制剤として構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の抗ストレス剤。
  5. 乳酸菌発酵ローヤルゼリーを含有する抗ストレス剤の製造方法において、ローヤルゼリーを乳酸菌で発酵させることを特徴とする抗ストレス剤の製造方法。
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