JP2011116078A - 発泡性充填材 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を削減することが可能であり、貫通孔を有するパネルへの取り付けに際して、所定の形状に曲成した状態で維持することができる発泡性充填材を提供する。
【解決手段】発泡性充填材11は、湾曲可能な本体部12と、第1及び第2取付挿通部13,14とを備えている。第1及び第2取付挿通部13,14は、本体部12の第1及び第2端縁12a,12bにそれぞれ連結する第1及び第2本体連結部15,16に設けられている。本体部12は、第1及び第2取付挿通部13,14が挿通される第1及び第2挿通孔17,18を有している。第1及び第2取付挿通部13,14が第1及び第2貫通孔51a,51bに挿通されるとともに係止されることで、本体部12はインナパネル51に取り付けられる。本体部12、第1及び第2取付挿通部13,14、並びに第1及び第2本体連結部15,16は一体に成形されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、中空構造体の内部空間に配置され、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体を形成する発泡性充填材に関する。
自動車のピラー等の中空構造体に発泡体を充填させる際に、発泡性充填材を用いる手法が提案されている。発泡性充填材は、加熱されることで発泡及び硬化して発泡体を形成する。中空構造体に発泡体を充填させるには、発泡性充填材を中空構造体の内部空間に配置した後に、車両製造工程において乾燥工程を通じる際の熱を利用して、発泡性充填材から発泡体を形成させる。この種の発泡性充填材としては、切り欠き部を有し、その切り欠き部を利用して所定の形状とされるものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1の発泡性充填材は、第1発泡基材と第2発泡基材とを備えてなり、各発泡基材の2箇所に切り欠き部が形成されている。そして、各発泡基材の切り欠き部が組み付けられることで、第2発泡基材は湾曲された状態で第1の発泡基材に支持される。この発泡性充填材は、アウタパネル及びインナパネルから構成される中空構造体に配置される。アウタパネルのフランジ部近傍に形成される受け面に第1の発泡基材が当接されるとともに、インナパネルの内面に第2発泡部材が当接されることで、発泡性充填材は中空構造体の内部空間に固定されている。
特開2008−189310号公報
上記のような発泡性充填材では、発泡性材料からの成形後において、切り欠き部を利用して所定の形状とされる。こうした発泡性充填材では、成形時において中空構造体の内周面に沿った立体形状とすることを回避することができるため、発泡性充填材の成形を簡素化することができるようになる。ところが、切り欠き部により複数の発泡基材を連結する構成においては、部品の製造及び製品管理が煩雑となる傾向にある。また、切り欠き部により所定の形状とされた発泡性充填材を中空構造体の内部空間に位置決めするには、パネルに特殊な受け面を形成することになるうえ、発泡性充填材の取り付け作業も円滑に行い難くなる。この点、中空構造体の内部空間の位置決めにおいては、パネルに形成した貫通孔の利用が有効である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を削減することが可能であり、貫通孔を有するパネルへの取り付けに際して、所定の形状に曲成した状態で維持することができる発泡性充填材を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、中空構造体の内部空間に配置させた状態で加熱されることで発泡及び硬化して発泡体を形成する発泡性充填材であって、湾曲又は屈曲可能な本体部と、前記中空構造体を構成するパネルに形成された貫通孔に挿通されるとともに前記貫通孔に係止されることで前記本体部を前記パネルに取り付ける取付挿通部と、前記取付挿通部を本体部の端縁に連結する本体連結部とを備え、前記本体部は、前記取付挿通部が挿通される挿通孔を有してなり、前記本体部、前記取付挿通部及び前記本体連結部は一体に成形されていることを要旨とする。
この構成によれば、本体部を湾曲又は屈曲させながら、本体部の有する挿通孔に取付挿通部を挿通させることで、本体部を所定の形状に曲成することができる。さらに、取付挿通部を貫通孔に係止させることで、本体部を所定の形状に曲成させた状態で、本体部をパネルに取り付けることができる。このように取付挿通部が貫通孔に係止された状態では、取付挿通部が挿通孔から抜け出すことが防止される。こうした本体部、取付挿通部及び本体連結部が一体に成形されていることで、部品点数が削減される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発泡性充填材において、前記取付挿通部が、前記挿通孔に係止されるように構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、取付挿通部を挿通孔に係止することで、本体部を所定の形状に曲成した状態で保持させることができる。これにより、本体部を予め曲成した状態とすることができるため、発泡性充填材をパネルに取り付ける段階では、本体部を曲成する作業を省略できる。従って、発泡性充填材をパネルに取り付ける作業を簡素化することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発泡性充填材において、前記本体連結部には、前記挿通孔に挿通されるとともにその挿通孔に係止される係止部が一体に設けられていることを要旨とする。
この構成によれば、係止部を挿通孔に係止することで、本体部を所定の形状に曲成した状態で保持させることができる。これにより、本体部を予め曲成した状態とすることができるため、発泡性充填材をパネルに取り付ける段階では、本体部を曲成する作業を省略できる。従って、発泡性充填材をパネルに取り付ける作業を簡素化することができる。しかも、発泡性充填材をパネルに取り付けた状態では、係止部は本体部とパネルとの間に配置されることになる。こうした係止部は、本体部とパネルとのスペーサとして機能する。このため、パネルに電着塗装を施す際に本体部とパネルとの間に電着液が流入しやすくなる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡性充填材において、前記本体部は、長手方向を有する形状をなし、前記取付挿通部は、前記長手方向の一端縁である第1端縁に連結される第1取付挿通部と、前記長手方向の他端縁である第2端縁に連結される第2取付挿通部とを含むことを要旨とする。
この構成によれば、本体部を湾曲又は屈曲させながら、挿通孔及び貫通孔に第1及び第2取付挿通部を挿通させることで、複数の環状部を曲成することができる。このため、本体部を中空構造体の内周形状に沿った形状に曲成したり、中空構造体の内部空間において周壁からより離れた領域において本体部を配置させたりすることができるようになる。このように発泡性充填材の形状設定について自由度を高めることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発泡性充填材において、前記本体部は、前記挿通孔よりも前記第1端縁側に形成された第1凹部と、前記挿通孔よりも前記第2端縁側に形成された第2凹部とを有してなり、前記第2凹部は、前記第1凹部の形成される側縁とは反対側の側縁に位置し、前記第1凹部及び前記第2凹部が係合されるように構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、第1及び第2凹部の係合を利用して、挿通孔よりも第1端縁側の本体部により形成される環状部、及び、挿通孔よりも第2端縁側の本体部により形成される環状部の各形状及び位置関係を規定し、その状態で保持することができるようになる。
本発明によれば、部品点数を削減することが可能であり、貫通孔を有するパネルへの取り付けに際して、所定の形状に曲成した状態で維持することができる。
第1の実施形態の発泡性充填材を示す斜視図。 インナパネル及びそれに配置する形状とした発泡性充填材を示す斜視図。 (a)は車両用ピラーに配置された発泡性充填材を示す部分断面図、(b)は中空構造体に充填された発泡体を示す断面図。 第2の実施形態の発泡性充填材を示す斜視図。 インナパネル及びそれに配置する形状とした発泡性充填材を示す斜視図。 インナパネル及びそれに配置する形状とした変更例の発泡性充填材を示す斜視図。
(第1の実施形態)
本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示されるように、発泡性充填材11は、湾曲可能な本体部12と、車両用ピラーを構成するインナパネル51に本体部12を取り付ける第1及び第2取付挿通部13,14とを備えている。本体部12には、第1及び第2取付挿通部13,14を本体部12の端縁に連結する第1及び第2本体連結部15,16が設けられている。本体部12は、第1及び第2取付挿通部13,14が挿通される第1及び第2挿通孔17,18を有している。これら本体部12、第1及び第2取付挿通部13,14、並びに第1及び第2本体連結部15,16は、一体に成形されている。こうした発泡性充填材11は、車両用ピラーの内部空間に配置させた状態で加熱されることで発泡及び硬化して発泡体を形成するものである。
本実施形態の本体部12は、長手方向を有する形状をなし、その可撓性により湾曲可能に構成されている。本体部12において、長手方向における一端縁としての第1端縁12aには、第1本体連結部15を介して第1取付挿通部13が連結されている。本体部12において、長手方向における他端縁である第2端縁12bには、第2本体連結部16を介して第2取付挿通部14が連結されている。
第1挿通孔17は、本体部12の中央部において第2端縁12b側に形成されている。第1挿通孔17には、第1取付挿通部13が挿通されることで、第1端縁12a側の本体部12を主要部分として第1環状部19が曲成される。第2挿通孔18は、本体部12の中央部において第1端縁12a側に形成されている。第2挿通孔18には、第2取付挿通部14が挿通されることで、第2端縁12b側の本体部12を主要部分として第2環状部20が形成される。
ここで、本体部12は、第2挿通孔18よりも第1端縁12a側に形成された第1凹部12cと、第1挿通孔17よりも第2端縁12b側に形成された第2凹部12dとを有している。第2凹部12dは、第1凹部12cの形成される側縁とは反対側の側縁に位置し、第1凹部12c及び第2凹部12dは係合されるように構成されている。こうした係合により、第1及び第2環状部19,20の形状及び位置関係が規定され、その状態で保持されるようになる。
第1本体連結部15には、第1挿通孔17に挿通されるとともに第1挿通孔17に係止される第1係止部21が一体に設けられている。第2本体連結部16には、第2挿通孔18に挿通されるとともに第2挿通孔18に係止される第2係止部22が一体に設けられている。そして、図2に示されるように、インナパネル51に取り付けられる前の発泡性充填材11においては、第1及び第2係止部21,22の係止を利用して、本体部12を所定の形状に曲成した状態に保持させることができる。すなわち、そうした係止により、第1及び第2環状部19,20の形状が保持される。
本実施形態では、第1及び第2取付挿通部13,14についても、それぞれ第1及び第2挿通孔17,18に係止可能となっている。従って、これら第1及び第2取付挿通部13,14の係止を利用しても、本体部12を所定の形状に曲成した状態に保持させることができる。
ここで、第1及び第2挿通孔17,18は、本体部12の長手方向に延びる長孔状をなしている。こうした第1及び第2挿通孔17,18の幅寸法は、第1及び第2係止部21,22の幅寸法よりも狭く形成されている。そして、本体部12を捻る変形により、第1係止部21の幅方向が第1挿通孔17の長手方向に沿うようにして第1係止部21を第1挿通孔17に挿通した後に、その変形を復元させることで、第1係止部21を第1挿通孔17に容易に係止させることができる。また、第2挿通孔18及び第2係止部22についても、第1挿通孔17及び第1係止部21と同様に構成されているため、同様の係止操作を実施することができる。なお、第1及び第2挿通孔17,18は、シート状をなす本体部12の厚み方向に貫通している。
図2及び図3(a)に示されるように、インナパネル51には、第1貫通孔51a及び第2貫通孔51bが形成されている。上述した第1取付挿通部13は、その弾性変形を利用して第1貫通孔51aに挿通された後に復元されることで第1貫通孔51aに係止される。第2取付挿通部14についても同様に、その弾性変形を利用して第2貫通孔51bに挿通された後に復元されることで第2貫通孔51bに係止される。
本実施形態の発泡性充填材11は、発泡性材料からシート材を成形し、そのシート材の打抜加工により、上述した各部を有した発泡性充填材11を形成している。なお、シート材は、例えば押出成形、射出成形、及びロール成形の各成形法により成形することができる。こうして得られたシート状の発泡性充填材11は、弾性を有している。シート材の厚み、すなわち発泡性充填材11の厚みは、発泡体を充填する箇所に応じて適宜設定される。こうした厚みは、車両ピラー等の車両の一部に適用する発泡性充填材11では、シート材の厚みは、例えば1mm〜5mm程度であり、シート材の幅は、例えば5mm〜100mm程度に設定されることで、所定の充填性能が得られやすくなるとともに外部加熱による発泡が円滑に行われやすくなる。
発泡性材料には、基材、発泡剤、及び架橋剤が含有される他に、充填剤、可塑剤等が適宜含有されている。基材としては、合成樹脂、エラストマー及びゴムが挙げられる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしては、RB(ポリブタジエンエラストマー)、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。ゴムとしては、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)、UR(ウレタンゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
次に、発泡性充填材11の使用方法について説明する。
発泡性充填材11を所定の形状とするには、第1端縁12a側を湾曲させるとともに、第1取付挿通部13及び第1係止部21を第1挿通孔17に挿通させる。そして、第1係止部21を第1挿通孔17に係止させる。第2係止部22についても、第1係止部21と同様にして第2挿通孔18に係止させる。そして、第1及び第2凹部12c,12dを係合させることで、第1及び第2環状部19,20を曲成する。なお、第1及び第2凹部12c,12dを係合してから、第1及び第2係止部21,22をそれぞれ第1及び第2挿通孔17,18に係止させることもできる。このように、発泡性充填材11は、図1に示される曲成前の状態から図2に示される曲成された状態とされ、その状態で保持される。
発泡性充填材11をインナパネル51に取り付けるには、図2及び図3(a)に示されるように第1取付挿通部13を第1貫通孔51aに挿通させるとともに、第2取付挿通部14を第2貫通孔51bに挿通させることで、第1及び第2取付挿通部13,14を第1及び第2貫通孔51a,51bに係止させる。このように、第1及び第2取付挿通部13,14を第1及び第2貫通孔51a,51bに係止されることで、第1及び第2取付挿通部13,14が第1及び第2挿通孔17,18から抜け出すことを防止することができる。こうして発泡性充填材11は、曲成された状態で維持されるようになる。
また、発泡性充填材11をインナパネル51に取り付けた状態では、本体部12とインナパネル51の内壁面との間に第1及び第2係止部21,22が配置される。こうした第1及び第2係止部21,22は、本体部12とインナパネル51とのスペーサとして機能する。
図3(a)に示されるように、発泡性充填材11が取り付けられたインナパネル51には、アウタパネル52が接合されることで、車両用ピラー53が形成される。このように発泡性充填材11が内部空間に配置された状態で、車両用ピラー53には電着塗装が施される。このとき、第1及び第2係止部21,22は、本体部12とインナパネル51との間のスペーサとして機能するため、本体部12とインナパネル51の内壁面との間に電着液が流入しやすくなる。このため、インナパネル51では、第1及び第2貫通孔51a,51bの周囲においても、電着塗装が十分に施されるようになる。
続いて、車両用ピラー53は、車両の乾燥工程を通じて、所定の温度で所定の時間加熱される。こうした加熱により、図3(b)に示されるように発泡性充填材11が発泡及び硬化することで、車両用ピラー53の内部空間の所定の位置に発泡体61が充填される。このように発泡体61が充填された車両用ピラー53では、その強度、剛性、制振性等が高められる。
本実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)第1及び第2挿通孔17,18に挿通した第1及び第2取付挿通部13,14を第1及び第2貫通孔51a,51bに係止させることで、本体部12を所定の形状に曲成させた状態で、本体部12をインナパネル51に取り付けることができる。このように第1及び第2取付挿通部13,14が第1及び第2貫通孔51a,51bに係止された状態では、第1及び第2取付挿通部13,14が第1及び第2挿通孔17,18から抜け出すことが防止される。これにより、本体部12は、所定の形状に曲成した状態で維持される。そして、こうした第1及び第2取付挿通部13,14、並びに第1及び第2本体連結部15,16は、一体に成形されているため、部品点数が削減される。このように本実施形態の発泡性充填材11によれば、部品点数を削減することが可能であり、貫通孔を有するパネルへの取り付けに際して、所定の形状に曲成した状態で維持することができる。
(2)第1及び第2本体連結部15,16には、第1及び第2挿通孔17,18に挿通される第1及び第2係止部21,22が一体に設けられている。第1及び第2係止部21,22は、第1及び第2挿通孔17,18に係止されるように構成されている。このため、本体部12を所定の形状に曲成した状態で保持させることができる。これにより、発泡性充填材11をインナパネル51に取り付ける前であっても、本体部12を予め曲成した状態とすることができるため、発泡性充填材11をインナパネル51に取り付ける段階では、本体部12を曲成する作業を省略できる。従って、発泡性充填材11をインナパネル51に取り付ける作業を簡素化することができる。
しかも、発泡性充填材11をインナパネル51に取り付けた状態では、第1及び第2係止部21,22は本体部12とインナパネル51との間に配置されることになる。こうした第1及び第2係止部21,22は、本体部12とパネルとのスペーサとして機能する。このため、インナパネル51に電着塗装を施す際に本体部12とインナパネル51との間に電着液が流入しやすくなる。従って、インナパネル51では、第1及び第2貫通孔51a,51bの周囲においても、電着塗装が十分に施されるようになる。
(3)本体部12は、長手方向を有する形状をなしている。そして、第1端縁12aには第1取付挿通部13が連結されるとともに第2端縁12bには第2取付挿通部14が連結されている。この構成によれば、複数の環状部、すなわち第1及び第2環状部19,20を形成することができる。このため、例えば、第1挿通孔17から第1端縁12aまでの長さ、又は、第2挿通孔18から第2端縁12bまでの長さを変更することで、第1及び第2環状部19,20を異なる外形寸法にすることができる。これにより、本体部12を車両用ピラー53の内周形状に沿った形状に曲成することができるようになる。また、第1及び第2環状部19,20を形成することで、車両用ピラー53の内部空間において周壁からより離れた領域において本体部12の体積割合を高めて配置させることができるようになる。これにより、車両用ピラー53の断面において、中央付近における発泡体61の密度を周壁の近傍における発泡体61の密度に近づけることが容易となり、その結果、内部空間に充填される発泡体61全体としての物性を安定化させることができるようになる。このように、第1及び第2取付挿通部13,14を設けた構成によれば、形状設定について自由度を高めた発泡性充填材11を提供することができる。
(4)第1及び第2凹部12c,12dの係合を利用して、第1及び第2環状部19,20の各形状及び位置関係を規定し、その状態で保持することができる。こうした第1及び第2凹部12c,12dの設定により、第1及び第2環状部19,20の形状及び配置設定の自由度をより高めることができるようになる。
(5)第1及び第2取付挿通部13,14が、第1及び第2挿通孔17,18に係止されるように構成されている。こうした係止を利用しても、本体部12を所定の形状に曲成した状態で保持させることができるため、上記(2)欄で述べたように、発泡性充填材11をパネルに取り付ける作業を簡素化することができる。
(6)第1及び第2係止部21,22は、第1及び第2挿通孔17,18に係止されるように構成されている。このため、本体部12を所定の形状に曲成した後に、発泡性充填材11を輸送する場合において、例えば発泡性充填材11の収容されたケース内で発泡性充填材11が振動されたとしても、曲成した状態が良好に維持されるようになる。
(第2の実施形態)
本発明を具体化した第2の実施形態について図4及び図5を参照して第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図4に示されるように、本実施形態の発泡性充填材31は、湾曲可能な本体部32と、インナパネルに本体部32を取り付ける取付挿通部33とを備えている。本体部32には、取付挿通部33を本体部32の端縁に連結する本体連結部34が設けられている。本体部32は、取付挿通部33が挿通される挿通孔35を有している。これら本体部32、取付挿通部33及び本体連結部34は一体に成形されている。
本体部32の第1端縁32aには、本体連結部34を介して取付挿通部33が連結されている。挿通孔35は、本体部32の第2端縁32b側に偏倚して位置している。この取付挿通部33は、挿通孔35に係止されるように構成されている。なお、上記第1実施形態の発泡性充填材では、本体連結部34に係止部が設けられているが、本実施形態では係止部を省略している。
このように構成された発泡性充填材31は、図5に示されるように、曲成された状態において、取付挿通部33が挿通孔35に係止されることで、所定の形状に曲成された状態で保持される。そして、インナパネル55に形成された貫通孔55aに取付挿通部33を係止することで、本体部32は所定の形状に曲成した状態で維持することができる。
本実施形態の発泡性充填材31によれば、上記(1)及び(5)欄で述べた効果と同様の効果が得られる。また、取付挿通部33は、挿通孔35に係止されるように構成されているため、本体部32を所定の形状に曲成した後に、発泡性充填材31を輸送する場合において、例えば発泡性充填材31の収容されたケース内で発泡性充填材31が振動されたとしても、曲成した状態が良好に維持されるようになる。
(変更例)
なお、上記第1及び第2の実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・第1の実施形態では、第1及び第2挿通孔17,18を有する本体部32としているが、一つの挿通孔を有する本体部に変更してもよい。すなわち、発泡性充填材11をインナパネル51に取り付ける前においては、一つの挿通孔に対して、第1及び第2取付挿通部13,14が挿通及び係止、又は、第1及び第2係止部21,22を係止されるように構成してもよい。発泡性充填材11をインナパネル51に取り付けた後においては、一つの挿通孔に対して、第1及び第2係止部21,22が係止されるように構成してもよい。
・第1及び第2の実施形態では、第1及び第2取付挿通部13,14、並びに取付挿通部33が、それぞれ第1及び第2挿通孔17,18、並びに挿通孔35に係止されるように構成されている。これら第1取付挿通部13、又は第2取付挿通部14、及び取付挿通部33が、それぞれ挿通孔17,18,35に係止されない構成とすることもできる。
・第1の実施形態において、第1及び第2係止部21,22の少なくとも一方を省略することもできる。また、第1及び第2凹部12c,12dを省略することもできる。この場合、図6に示されるように、第1取付挿通部13を第2挿通孔18に挿通させるとともに、第2取付挿通部14を第1挿通孔17に挿通させることで、2つの独立した環状部19,20を形成させることができる。こうした環状部19,20は、第1及び第2挿通孔17,18の距離に応じて離間させることができるため、環状部19,20の位置設定について自由度を高めることができる。
・第2の実施形態において、本体連結部34に係止部を設けることもできる。この場合であっても、上記(2)欄で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
・第1及び第2の実施形態において、本体部12,32に例えば凹条等の屈曲部を形成することで、本体部12,32を屈曲可能とし、その屈曲を利用して所定の形状に曲成されるように構成してもよい。例えば、厚みを増した本体部の場合では、屈曲部を形成することで、所定の形状に曲成することが容易となる。
・発泡性充填材11,31の取り付け箇所は、インナパネル51,55に限らず、例えばアウタパネル、リンフォースパネル等であってもよい。中空構造体は、車両用ピラーに限らず、例えば車両のドア、バンパ等を構成する車両用中空構造体であってもよい。また、鉄道用、船舶用、航空機用、建築用等に適用される中空構造体に適用してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、本体部12,32の形状は特に限定されず、例えば中空構造体の内部形状、発泡体を充填させる領域等に応じて適宜変更することができる。なお、中空構造体の内周に沿って配置させることで、中空構造体の断面を閉塞するという観点から、本体部は長手方向を有する形状であることが好適である。
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記本体部は、長手方向を有する形状をなし、前記本体部の長手方向における一端縁である第1端縁に、前記取付挿通部が連結されるとともに、前記本体部の長手方向における他端縁である第2端縁側に偏倚して前記係止孔が位置している発泡性充填材。
(ロ)発泡性材料から成形されたシート材を打ち抜くことで形成されてなる発泡性充填材。
11,31…発泡性充填材、12,32…本体部、12a,32a…第1端縁、12b,32b…第2端縁、12c…第1凹部、12d…第2凹部、13…第1取付挿通部、14…第2取付挿通部、15…第1本体連結部、16…第2本体連結部、17…第1挿通孔、18…第2挿通孔、19…第1環状部、20…第2環状部、21…第1係止部、22…第2係止部、33…取付挿通部、34…本体連結部、35…挿通孔、51,55…インナパネル、51a…第1貫通孔、51b…第2貫通孔、52…アウタパネル、53…車両用ピラー、55a…貫通孔、61…発泡体。

Claims (5)

  1. 中空構造体の内部空間に配置させた状態で加熱されることで発泡及び硬化して発泡体を形成する発泡性充填材であって、
    湾曲又は屈曲可能な本体部と、
    前記中空構造体を構成するパネルに形成された貫通孔に挿通されるとともに前記貫通孔に係止されることで前記本体部を前記パネルに取り付ける取付挿通部と、
    前記取付挿通部を本体部の端縁に連結する本体連結部とを備え、
    前記本体部は、前記取付挿通部が挿通される挿通孔を有してなり、
    前記本体部、前記取付挿通部及び前記本体連結部は一体に成形されていることを特徴とする発泡性充填材。
  2. 前記取付挿通部が、前記挿通孔に係止されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発泡性充填材。
  3. 前記本体連結部には、前記挿通孔に挿通されるとともにその挿通孔に係止される係止部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発泡性充填材。
  4. 前記本体部は、長手方向を有する形状をなし、
    前記取付挿通部は、前記長手方向の一端縁である第1端縁に連結される第1取付挿通部と、前記長手方向の他端縁である第2端縁に連結される第2取付挿通部とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発泡性充填材。
  5. 前記本体部は、前記挿通孔よりも前記第1端縁側に形成された第1凹部と、前記挿通孔よりも前記第2端縁側に形成された第2凹部とを有してなり、
    前記第2凹部は、前記第1凹部の形成される側縁とは反対側の側縁に位置し、前記第1凹部及び前記第2凹部が係合されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の発泡性充填材。
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