JP2006182345A - 発泡充填部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることのできる、発泡充填部材を提供すること。
【解決手段】帯状の発泡シート2を湾曲させることにより、発泡シート2の長手方向両端部がその厚み方向に重なって重合部分12が形成されるように、ループ形状に形成して、その重合部分12に、クリップ3の挿入軸10を挿通して、重合部分12をベース部6と頭部11との間に挟持して、発泡充填部材1を形成する。そして、インナパネル24の固定孔26に、固定部4の支持部9を挿通して、クリップ3をインナパネル24に固定する。インナパネル24とアウタパネル25とを溶接した後、焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱によって、発泡充填部材1を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体23によってピラー21の内部空間22を隙間なく充填する。
【選択図】図3

Description

本発明は、構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材に関する。
従来より、自動車のピラーなどの中空構造物では、制振性や防音性を確保すべく、その内部空間を発泡体で充填することが知られている。そして、そのような発泡体を形成するために、発泡充填部材が用いられている。発泡充填部材は、中空構造物の内部空間に配置され、外部からの加熱により発泡して発泡体を形成し、その発泡体により内部空間を充填するものである。
例えば、中空パネルの内部充填領域に未発泡で固形の発泡充填材を設置し、その後、外部加熱によって発泡充填材を発泡させることで、その発泡に基づく発泡体を内部充填領域に充填させる中空パネルの発泡充填方法であって、発泡充填材を、弾性変形してロール状に巻かれるシート状発泡基材により構成し、シート状発泡基材をロール状に巻いて内部充填領域に配置することで、シート状発泡性基材を、そのロール状の弾性変形に基づく弾発力によって内部充填領域に保持し、その後、シート状発泡基材を加熱発泡させることで、その発泡に基づく発泡体を内部充填領域に充満させる中空パネルの発泡充填方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−63443号公報
しかし、特許文献1に記載される発泡充填方法では、シート状発泡性基材を、そのロール状の弾性変形に基づく弾発力によって内部充填領域に保持するため、シート状発泡性基材のずれにより、ロール状が安定して保持されず、その結果、中空パネルの内部充填領域を確実に充填できないという不具合がある。
一方、シート状発泡性基材のロール状を保持するために、シート状発泡性基材をクリップなどで係止すると、部品点数が増加し、また、そのクリップが発泡体内に埋まるので、制振性や防音性が低下するという不具合を生じる。
本発明の目的は、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることのできる、発泡充填部材を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の発泡充填部材は、構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、前記発泡シートは、前記発泡シートの長手方向において互いに間隔を隔てた部分が対向するように、ループ形状に形成され、前記固定部材は、前記発泡シートの各前記部分を係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴としている。
この発泡充填部材では、固定部材の係止部によって、発泡シートのループ形状を保持しつつ、固定部材の固定部によって、発泡シートを構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材では、固定部材によって、発泡シートのループ形状を保持することができるので、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることができる。
また、本発明の発泡充填部材は、構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、前記発泡シートは、前記発泡シートが厚み方向に重なる重合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、前記固定部材は、前記重合部分を厚み方向に貫通して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴としている。
この発泡充填部材では、固定部材の係止部が重合部分を厚み方向に貫通することにより、発泡シートのループ形状を保持しつつ、固定部材の固定部によって、発泡シートを構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材では、固定部材によって、発泡シートのループ形状を保持することができるので、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることができる。
また、本発明の発泡充填部材は、構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、前記発泡シートは、前記発泡シートの長手方向両端部が互いに突き合わされる突合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、前記固定部材は、前記発泡シートの長手方向各端部をそれぞれ厚み方向に貫通して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴としている。
この発泡充填部材では、固定部材の係止部が発泡シートの長手方向各端部をそれぞれ厚み方向に貫通することにより、発泡シートのループ形状を保持しつつ、固定部材の固定部によって、発泡シートを構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材では、固定部材によって、発泡シートのループ形状を保持することができるので、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることができる。
また、本発明の発泡充填部材は、構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、前記発泡シートは、前記発泡シートの長手方向両端部が互いに間隔を隔てて対向配置される対向部分が形成されるように、ループ形状に形成され、前記固定部材は、前記発泡シートの長手方向各端部をそれぞれ厚み方向に貫通して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴としている。
この発泡充填部材では、固定部材の係止部が発泡シートの長手方向各端部をそれぞれ厚み方向に貫通することにより、発泡シートのループ形状を保持しつつ、固定部材の固定部によって、発泡シートを構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材では、固定部材によって、発泡シートのループ形状を保持することができるので、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることができる。
また、本発明の発泡充填部材は、構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートを備え、前記発泡シートは、前記発泡シートが重なる重合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、前記発泡シートの前記重合部分には、ループ形状を保持するための保持部が形成されていることも特徴としている。
この発泡充填部材では、発泡シートの重合部分に形成される保持部によって、発泡シートのループ形状を保持することができる。そのため、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることができる。
また、本発明では、前記発泡シートの曲げ弾性率が、2〜180MPaであることが好適である。
本発明の発泡充填部材によれば、部品点数を増加させることなく、発泡シートを安定してループ形状で保持することができ、制振性や防音性を向上させることができる。
図1は、本発明の発泡充填部材の第1実施形態を示す正面図、図2は、図1に示す発泡充填部材の斜視図である。
図1および図2において、この発泡充填部材1は、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間を充填する発泡体を形成するために用いられ、発泡シート2と、発泡シート2を構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に固定するための固定部材としてのクリップ3とを備えている。
発泡シート2は、加熱(例えば、120〜210℃前後)により発泡する発泡材料からシート状に形成されている。
発泡材料としては、特に制限されず、公知の発泡用ポリマーが用いられる。発泡用ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリケトンなどの樹脂、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)などのゴムなどが挙げられる。好ましくは、エチレン・酢酸ビニル共重合体が用いられる。エチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることにより、発泡倍率を高くすることができる。これら発泡用ポリマーは、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、発泡材料には、発泡用ポリマーを発泡および硬化させるために、さらに、例えば、架橋剤、発泡剤、必要により発泡助剤などが適宜配合される。
架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生して分子間または分子内に架橋結合を形成させる公知のラジカル発生剤が用いられる。より具体的には、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジターシャリブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジターシャリブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、ターシャリブチルパーオキシケトン、ターシャリブチルパーオキシベンゾエートなどの有機過酸化物などが挙げられる。
また、発泡用ポリマーが加硫可能である場合には、架橋剤として公知の加硫剤を用いることができる。そのような加硫剤としては、特に制限されないが、例えば、硫黄、硫黄化合物類、セレン、酸化マグネシウム、一酸化鉛、酸化亜鉛、ポリアミン類、オキシム類、ニトロソ化合物類、樹脂類、アンモニウム塩類などが挙げられる。
これら架橋剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、架橋剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡用ポリマーに対して、0.1〜10重量部、好ましくは、0.5〜7重量部である。
また、加硫剤を用いる場合には、加硫促進剤を併用することができる。加硫促進剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸類、チアゾール類、グアニジン類、スルフェンアミド類、チウラム類、キサントゲン酸類、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、チオウレア類などの公知の加硫促進剤が挙げられる。このような加硫促進剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができ、その配合割合は、発泡用ポリマーに対して、0.1〜5重量部である。
また、加硫促進剤とは反対に、成形性の調節などを目的として、例えば、有機酸やアミン類などの公知の加硫遅延剤などを適宜配合することもできる。
また、発泡剤としては、特に制限されないが、例えば、公知の無機系発泡剤や有機系発泡剤が用いられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
また、有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ系化合物、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロトリメチルトリアミンなどのニトロソ系化合物、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系化合物、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系化合物、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系化合物などが挙げられる。
また、これら発泡剤のなかでも、発泡用ポリマーの軟化温度以上で分解してガスを発生し、かつ、後述する発泡体の形成時において、ほとんど発泡しないものが、組成に応じて適宜選択される。好ましくは、120〜210℃前後で発泡するものが用いられる。
これら発泡剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡用ポリマー100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは、10〜30重量部である。
なお、発泡剤の配合量は、発泡シート2の発泡時において、その発泡倍率が5〜25倍程度、好ましくは、10〜20倍程度で、実質的に独立気泡を生じさせる範囲であることが好適である。発泡剤の配合量が少なすぎると、発泡シート2が十分に発泡せず、一方、発泡剤の配合量が多すぎると、発泡により得られる発泡体の樹脂だれによる空隙を生じ、いずれも充填性が抵下する。
発泡助剤としては、特に制限されないが、例えば、発泡剤の種類に応じて適宜公知の発泡助剤を選択することができ、より具体的には、例えば、尿素を主成分とする尿素系化合物、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物、例えば、サリチル酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられる。好ましくは、高級脂肪酸金属塩が用いられる。
これら発泡助剤は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また、発泡助剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、発泡用ポリマー100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは、5〜10重量部である。
さらに、発泡材料には、その目的および用途によって、得られる発泡体の物性に影響を与えない範囲において、例えば、安定剤、補強材、充填剤、軟化剤や、さらには必要に応じて、例えば、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
そして、発泡シート2は、例えば、まず、上記した各成分を上記した配合割合において配合した後、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダーなどを用いて混練して、発泡材料を調製する。次いで、発泡材料を、プレスやカレンダーロールなどを用いてシート状に連続成形するか、あるいは、押出成形機を用いてシート状に連続成形する。その後、所定幅の帯状に加工することにより、得ることができる。
このように、発泡シート2をシート状に形成することにより、発泡シート2を、連続成形によって、生産効率よく、低コストで生産することができる。
また、このようにして得られる発泡シート2は、厚みが、構造物の形状により適宜調整されるが、一般的には、0.5〜6.0mm、好ましくは、1.0〜5.0mmに設定される。0.5mm未満では、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間を十分に充填できない場合があり、6.0mmを超えると、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間が狭い場合に、取付(挿入)が困難となる場合がある。
また、発泡シート2は、曲げ弾性率が、2〜180MPa、好ましくは、2〜150MPaに設定される。このように設定されることによって、発泡シート2には、適度の屈曲性および反発弾性が付与される。なお、曲げ弾性率が、2未満では、発泡シート2が加熱時にダレてしまい、充填不良を生じる場合がある。一方、180を超えると、発泡シート2の反発が大きくなり過ぎて、構造物に対する取付時の作業性が低下する場合がある。
クリップ3は、硬質樹脂からなり、射出成形などによって、一体成形されており、発泡シート2を内部空間22に固定するための固定部4と、発泡シート2を係止する係止部5とを一体的に備えている。
固定部4は、ベース部6と、ベース部6から突出する内側係止部7および支持部9と、支持部9から内側係止部7と対向方向に突出する外側係止部8とを備えている。
ベース部6は、発泡シート2を受ける略矩形板状に形成されている。内側係止部7は、可撓性の薄板片からなり、ベース部6の一方面において、ベース部6の長手方向両端部から、ベース部6の長手方向外方に傾斜するハの字状に、それぞれ突出形成されている。
支持部9は、ベース部6の一方面において、ベース部6の長手方向中央部から、ベース部6の長手方向と直交する方向に突出形成されている。
外側係止部8は、可撓性の薄板片からなり、支持部9の遊端部から、ベース部6に向かって、ベース部6の長手方向外方に傾斜するハの字状に、それぞれ突出形成されている。これによって、各外側係止部8の遊端部が、各内側係止部9の途中と、間隔を隔てて対向配置される。
係止部5は、ベース部6から、支持部9と反対方向に突出する挿入軸10と、挿入軸10の遊端部に設けられる頭部11とを備えている。挿入軸10は、径方向の弾性力を付与すべく、1対の半割れ部材10A、10Bからなり、ベース部6の他方面において、ベース部6の長手方向中央部から、ベース部6の長手方向と直交する方向に突出形成されている。なお、1対の半割れ部材10A、10Bは、ベース部6の長手方向において間隔を隔てて対向配置されている。
頭部11は、挿入軸10(各半割れ部材10A、10B)の遊端部において、挿入軸10の周囲外方に膨出するように形成されている。
そして、この発泡充填部材1は、帯状の発泡シート2を湾曲させることにより、発泡シート2の長手方向両端部がその厚み方向に重なって対向する重合部分12が形成されるように、ループ形状(無端形状)に形成して、その重合部分12に、ループ形状の外側から内側に向かって、クリップ3の挿入軸10を挿通して、挿入軸10が重合部分12の厚さ方向を貫通して、その内側に頭部11が突出するように形成する。
これによって、発泡シート2は、その重合部分12がクリップ3のベース部6と頭部11との間に挟持されることにより、係止部5によって係止され、ループ形状が保持される。
そして、このようにして形成される発泡充填部材1は、構造物に支持部9を差し込んで、内側係止部7と外側係止部8とで構造物を挟持することにより、固定部4によって構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に、発泡充填部材1を固定して、発泡温度(例えば、120〜210℃前後)に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができる。そのため、このような発泡充填部材1は、特に制限されることなく、制振、防音、さらには、防塵、断熱、緩衝、水密などを目的として、構造物の空間に充填する、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材1として、用いることができる。
そして、この発泡充填部材1では、クリップ3の係止部5が重合部分12を厚み方向に貫通することにより、発泡シート2のループ形状を保持しつつ、固定部4によって、発泡シート2を構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材1では、クリップ3によって、発泡充填部材1を構造物に固定すると同時に、発泡シート2のループ形状を保持するので、別途、発泡シート2をループ形状に保持するための部材を不要として、部品点数を増加させることなく、発泡シート2を安定してループ形状で保持することができる。そのため、制振性や防音性を向上させることができる。
そして、より具体的には、この発泡充填部材1を用いて、中空構造物として、例えば、自動車のピラーの内部空間を発泡により充填すれば、発泡により形成された発泡体により、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。
次に、この発泡充填部材1を用いて、自動車のピラーの内部空間を充填する方法を、図3を参照して、説明する。
この方法では、まず、充填すべきピラー21の内部空間22の大きさに対応して、発泡シート2をループ形状に形成し、重合部分12に係止部5の挿入軸10を挿通して、クリップ3の係止部5に、発泡シート2をその内部空間22の大きさに対応するループ形状で係止および保持する。
次いで、この方法では、図3(a)に示すように、ピラー21の内部空間に、発泡充填部材1を設置する。ピラー21は、断面略凹状のインナパネル24およびアウタパネル25を備えており、ピラー21の内部空間に発泡充填部材1を設置するには、まず、発泡充填部材1をインナパネル24に固定する。
発泡充填部材1をインナパネル24に固定するには、まず、クリップ3において、固定部4の支持部9を、外側係止部8をその弾性力に抗して支持部9に近接するように撓ませながら、インナパネル24の所定位置に穿孔された固定孔26に、インナパネル24の内側面(アウタパネル25との対向面)から外側面に向かって挿通する。そして、支持部9とともに外側係止部8を、固定孔26の外側面から露出させる。
すると、外側係止部8は、その弾性力により、支持部9から離間するように復元して、インナパネル24の外側面に弾性的に当接する。一方、内側係止部7は、支持部9が固定孔26に挿通された状態では、インナパネル24の内側面に弾性的に当接する。つまり、インナパネル24は、固定孔26に支持部9が挿通されるとともに、その固定孔26の近傍において、内側係止部7と外側係止部8とで挟持される。これによって、クリップ3の固定部4がインナパネル24に固定される。
その後、発泡充填部材1が固定されたインナパネル24と、アウタパネル25の両端のフランジ部を対向当接させて、溶接により接合する。これによって、発泡充填部材1は、ピラー21の閉断面とされた内部空間22に固定される。
その後、この方法では、ピラー21の内周面に、防錆処理を施した後に、図3(b)に示すように、例えば、その後の焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱(例えば、110〜190℃)によって、発泡充填部材1を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体23を形成し、この発泡体23によってピラー21の内部空間22を隙間なく充填する。
なお、発泡体23の形状、設置位置、配置方向および配置数などは、ピラー21の形状などに応じて適宜選択される。また、ピラー21は、より具体的には、車両ボディのフロントピラー、サイドピラーあるいはリヤピラーとして用いられる。
また、発泡体は、その密度(発泡体の重量(g)/発泡体の体積(cm))が、例えば、0.04〜0.2g/cm、さらには、0.05〜0.1g/cmであり、また、発泡時の発泡倍率が、5〜25倍、さらには、10〜20倍であることが好適である。
そして、このような発泡充填部材1では、クリップ3によって、発泡シート2を、予め、ピラー21の内部空間22の大きさに対応するループ形状に保持することができるので、発泡シート2を、ピラー21の内部空間22に最適な大きさで、安定して配置することができる。そのため、発泡シート2を、発泡シート2のずれによりループ形状が崩れることもなく、最適な大きさで安定して発泡させることができるので、発泡体23によって、内部空間22を確実かつ安定して、隙間なく充填することができる。
図4は、本発明の発泡充填部材の第2実施形態を示す正面図、図5は、図4に示す発泡充填部材をピラーに設置した状態を示す断面図である。なお、図4および図5において、上記した部材と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
第1実施形態の発泡充填部材1では、発泡シート2の長手方向両端部がその厚み方向に重なって対向する重合部分12が形成されるように、発泡シート2をループ形状に形成するとともに、その重合部分12に、クリップ3の挿入軸10を厚み方向に貫通させることにより、クリップ3によって発泡シート2をループ形状に保持したが、重合部分12を形成せずとも、例えば、図4の第2実施形態に示すように、発泡シート2の長手方向両端部が互いに対向して突き合わされる突合部分15が形成されるように、発泡シート2をループ形状に形成するとともに、発泡シート2の長手方向各端部に、クリップ3の挿入軸10の各半割れ部材10A、10Bをそれぞれ厚み方向に貫通させることにより、クリップ3によって発泡シート2をループ形状に保持することもできる。
すなわち、図4に示す発泡充填部材1では、まず、帯状の発泡シート2を湾曲させることにより、発泡シート2の長手方向両端部が互いに対向して突き合わされる突合部分15が形成されるように、ループ形状(無端形状)に形成して、その突き合わされた発泡シート2の長手方向各端部に、ループ形状の外側から内側に向かって、クリップ3の挿入軸10の各半割れ部材10A、10Bをそれぞれ挿通して、各半割れ部材10A、10Bが各端部の厚さ方向を貫通して、その内側に各半割れ部材10A、10Bの頭部11がそれぞれ突出するように形成する。
これによって、発泡シート2は、その長手方向各端部がクリップ3のベース部6と各頭部11との間に挟持されることにより、係止部5によって係止され、ループ形状が保持される。
そして、このようにして形成される第2実施形態の発泡充填部材1も、構造物に支持部9を差し込んで、内側係止部7と外側係止部8とで構造物を挟持することにより、固定部4によって構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に、発泡充填部材1を固定して、発泡温度(例えば、120〜210℃前後)に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができ、上記と同様に、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材1として、用いることができる。
そして、この発泡充填部材1では、クリップ3の係止部5が発泡シート2の長手方向各端部を厚み方向に貫通することにより、発泡シート2のループ形状を保持しつつ、固定部4によって、発泡シート2を構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材1では、クリップ3によって、発泡充填部材1を構造物に固定すると同時に、発泡シート2のループ形状を保持するので、別途、発泡シート2をループ形状に保持するための部材を不要として、部品点数を増加させることなく、発泡シート2を安定してループ形状で保持することができる。そのため、制振性や防音性を向上させることができる。
そして、より具体的には、この発泡充填部材1を用いて、例えば、図5に示すように、充填すべきピラー21の内部空間22の大きさに対応して、発泡シート2をループ形状に形成し、発泡シート2の長手方向各端部に係止部5の挿入軸10の各半割れ部材10A、10Bをそれぞれ挿通し、その後、ピラー21の内部空間に、上記と同様に、発泡充填部材1を設置した後、例えば、焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱(例えば、110〜190℃)によって、発泡充填部材1を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体を形成すれば、この発泡体によって、上記と同様に、ピラー21の内部空間22を隙間なく充填することができる。
図6は、本発明の発泡充填部材の第3実施形態を示す正面図、図7は、図6に示す発泡充填部材をピラーに設置した状態を示す断面図である。なお、図6および図7において、上記した部材と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
また、例えば、図6の第3実施形態に示すように、発泡シート2の長手方向両端部が互いに間隔を隔てて対向配置される対向部分16が形成されるように、発泡シート2をループ形状に形成するとともに、発泡シート2の長手方向各端部に、クリップ3の挿入軸10の各半割れ部材10A、10Bをそれぞれ厚み方向に貫通させることにより、クリップ3によって発泡シート2をループ形状に保持することもできる。
すなわち、図6に示す発泡充填部材1では、まず、帯状の発泡シート2を湾曲させることにより、発泡シート2の長手方向両端部が互いに間隔を隔てて対向配置される対向部分16が形成されるように、ループ形状(無端形状)に形成して、その対向配置された発泡シート2の長手方向各端部に、ループ形状の外側から内側に向かって、クリップ3の挿入軸10の各半割れ部材10A、10Bをそれぞれ挿通して、各半割れ部材10A、10Bが各端部の厚さ方向を貫通して、その内側に各半割れ部材10A、10Bの頭部11がそれぞれ突出するように形成する。
これによって、発泡シート2は、その長手方向各端部がクリップ3のベース部6と各頭部11との間に挟持されることにより、係止部5によって係止され、ループ形状が保持される。
そして、このようにして形成される第3実施形態の発泡充填部材1も、構造物に支持部9を差し込んで、内側係止部7と外側係止部8とで構造物を挟持することにより、固定部4によって構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に、発泡充填部材1を固定して、発泡温度(例えば、120〜210℃前後)に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができ、上記と同様に、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材1として、用いることができる。
そして、この発泡充填部材1では、クリップ3の係止部5が発泡シート2の長手方向各端部を厚み方向に貫通することにより、発泡シート2のループ形状を保持しつつ、固定部4によって、発泡シート2を構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材1では、クリップ3によって、発泡充填部材1を構造物に固定すると同時に、発泡シート2のループ形状を保持するので、別途、発泡シート2をループ形状に保持するための部材を不要として、部品点数を増加させることなく、発泡シート2を安定してループ形状で保持することができる。そのため、制振性や防音性を向上させることができる。
そして、より具体的には、この発泡充填部材1を用いて、例えば、図6に示すように、充填すべきピラー21の内部空間22の大きさに対応して、発泡シート2をループ形状に形成し、発泡シート2の長手方向各端部に係止部5の挿入軸10の各半割れ部材10A、10Bをそれぞれ挿通し、その後、ピラー21の内部空間に、上記と同様に、発泡充填部材1を設置した後、例えば、焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱(例えば、110〜190℃)によって、発泡充填部材1を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体を形成すれば、この発泡体によって、上記と同様に、ピラー21の内部空間22を隙間なく充填することができる。
図8は、本発明の発泡充填部材の第4実施形態を示す正面図、図9は、図8に示す発泡充填部材をピラーに設置した状態を示す断面図である。なお、図8および図9において、上記した部材と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
また、例えば、図8の第4実施形態に示すように、クリップ3の係止部5を、ベース部6とともに略断面コ字形状に形成して、発泡シート2の重合部分12を、その係止部5で厚み方向に挟持させることにより、クリップ3によって発泡シート2をループ形状に保持することもできる。
すなわち、図8に示す発泡充填部材1では、クリップ3の係止部5は、挿入軸10および頭部11を備えておらず、その代わりに、ベース部6の長手方向と直交する方向の一端部から、支持部9と反対方向に突出する略矩形板状の側壁17と、その側壁17の上端部からベース部6と間隔を隔てて対向するように延びる略矩形板状の上壁18とを一体的に備えている。そして、さらに、その上壁18の遊端部であって、ベース部6と対向する表面には、ベース部6に向かって突出する断面略三角形状の爪部19が設けられている。
そして、この発泡充填部材1では、まず、帯状の発泡シート2を湾曲させることにより、発泡シート2の長手方向両端部がその厚み方向に重なって対向する重合部分12が形成されるように、ループ形状に形成して、次いで、その重合部分12に、発泡シート2の幅方向に沿って係止部5を外嵌して、上壁18の爪部19とベース部6とで、重合部分12を厚み方向に挟持する。
これによって、発泡シート2は、その重合部分12がクリップ3のベース部6と上壁18との間に挟持されることにより、係止部5によって係止され、ループ形状が保持される。
そして、このようにして形成される第4実施形態の発泡充填部材1も、構造物に支持部9を差し込んで、内側係止部7と外側係止部8とで構造物を挟持することにより、固定部4によって構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に、発泡充填部材1を固定して、発泡温度(例えば、120〜210℃前後)に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができ、上記と同様に、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材1として、用いることができる。
そして、この発泡充填部材1では、クリップ3の係止部5が発泡シート2の重合部分12を厚み方向に挟持することにより、発泡シート2のループ形状を保持しつつ、固定部4によって、発泡シート2を構造物の空間に固定することができる。すなわち、この発泡充填部材1では、クリップ3によって、発泡充填部材1を構造物に固定すると同時に、発泡シート2のループ形状を保持するので、別途、発泡シート2をループ形状に保持するための部材を不要として、部品点数を増加させることなく、発泡シート2を安定してループ形状で保持することができる。そのため、制振性や防音性を向上させることができる。
そして、より具体的には、この発泡充填部材1を用いて、例えば、図9に示すように、充填すべきピラー21の内部空間22の大きさに対応して、発泡シート2をループ形状に形成し、発泡シート2の重合部分12を係止部5によって厚み方向から挟持して、その後、ピラー21の内部空間に、上記と同様に、発泡充填部材1を設置した後、例えば、焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱(例えば、110〜190℃)によって、発泡充填部材1を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体を形成すれば、この発泡体によって、上記と同様に、ピラー21の内部空間22を隙間なく充填することができる。
図10は、本発明の発泡充填部材の第5実施形態を示す斜視図であって、各切り込みの係合前状態を示し、図11は、図10に示す発泡充填部材を示す斜視図であって、各切り込みの係合後状態を示す。
以上の説明においては、発泡シート2の重合部分12をクリップ3の係止部5で係止することにより発泡シート2のループ形状を保持したが、例えば、図10および図11の第5実施形態に示す発泡充填部材1のように、発泡シート2自体に、保持部としての係合部13を設けて、クリップ3の係止部5での係止を不要とすることもできる。
すなわち、図10に示すように、発泡シート2の長手方向両端部の後述する重合部分12を形成する部分には、幅方向(長手方向に直交する方向)に沿って途中まで切り込まれる切り込み14が、互いに幅方向反対側から切り込まれるようにして、それぞれ形成されており、これら切り込み14の形成されている部分が、係合部13とされている。
そして、この発泡充填部材1は、上記と同様に、帯状の発泡シート2を湾曲させることにより、発泡シート2の長手方向両端部がその交差位置で重なって重合部分(交差部分)12が形成されるように、ループ形状(無端形状)に形成して、その重合部分12に形成されている切込み14を、図11に示すように、互いに嵌め合わせて係合させることで形成される。
これによって、発泡シート2は、その重合部分12の各切り込み14の係合により互いに固定されるので、ループ形状が保持される。
そして、このようにして形成される発泡充填部材1は、構造物の間の空間や中空構造物の内部空間に、発泡シート2の弾性力によって構造物に圧接させることにより固定して、発泡温度(例えば、120〜210℃前後)に加熱すれば、発泡により、その空間を隙間なく充填することができる。そのため、このような発泡充填部材1もまた、特に制限されることなく、制振、防音、さらには、防塵、断熱、緩衝、水密などを目的として、構造物の空間に充填する、例えば、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材などとして、各種の産業製品の発泡充填部材として、用いることができる。
そして、この発泡充填部材1では、発泡シート2の重合部分12に形成される係合部13によって、発泡シート2のループ形状を保持することができる。そのため、別途、発泡シート2をループ形状に保持するための部材を不要として、部品点数を増加させることなく、発泡シート2を安定してループ形状で保持することができる。そのため、制振性や防音性を向上させることができる。
そして、この発泡充填部材1を用いて、中空構造物として、例えば、自動車のピラーの内部空間を発泡により充填すれば、発泡により形成された発泡体により、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを有効に防止することができる。
次に、この発泡充填部材1を用いて、自動車のピラーの内部空間を充填する方法を、図12を参照して、説明する。なお、図12において、上記と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
この方法では、まず、充填すべきピラー21の内部空間22の大きさに対応して、発泡シート2をループ形状に形成し、重合部分(交差部分)12において、各切り込み14を互いに係合させることにより、発泡シート2をその内部空間22の大きさに対応するループ形状で保持する。
次いで、この方法では、図12(a)に示すように、ピラー21の内部空間22に、発泡充填部材1を設置する。
ピラー21の内部空間22に発泡充填部材1を設置するには、互いに溶接されたインナパネル24およびアウタパネル25により形成される閉断面とされた内部空間22において、発泡シート2を、その弾性力によってピラー21の内周面に圧接させることにより固定する。
そして、この方法では、ピラー21の内周面に、防錆処理を施した後に、図12(b)に示すように、例えば、その後の焼付塗装時の乾燥ライン工程での加熱(例えば、110〜190℃)によって、発泡充填部材1を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体23を形成し、この発泡体23によってピラー21の内部空間22を隙間なく充填する。
そして、このような発泡充填部材1では、発泡シート2自体に設けられる係合部13によって、発泡シート2を、予め、ピラー21の内部空間22の大きさに対応するループ形状に保持することができるので、発泡シート2を、ピラー21の内部空間22に最適な大きさで、安定して配置することができる。そのため、発泡シート2を、発泡シート2のずれによりループ形状が崩れることもなく、最適な大きさで安定して発泡させることができるので、発泡体23によって、内部空間22を確実かつ安定して、隙間なく充填することができる。
なお、上記の説明では、係合部13を、重合部分12において、幅方向途中まで切り込まれる切り込み14により形成したが、係合部13は、発泡シート2の重合部分12において発泡シート2を固定できれば、上記に限らず、例えば、発泡シート2の長手方向両端部において、一方側端部に、切り込み14をより深く形成し、他方側端部には、切り込み14を形成しないようにしてもよく、また互いに係合する切り込み14を複数形成してもよい。
以下に実施例を例示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
1)発泡充填部材の作製
表1に示す配合処方において、発泡用ポリマー、架橋剤および発泡剤の各成分を配合し、ミキシングロールを用いて、温度110℃、回転数20min−1で混練することにより、発泡材料を調製した。次いで、発泡材料を、熱プレスにて110℃、1分間プレス成形し、厚さ5mmのシート状に成形した。これを、長さ175mm×幅15mmの帯状に切り出して、実施例1〜6の発泡シートを得た。各実施例の発泡シートの曲げ弾性率を表1に示す。
そして、各実施例の発泡シートを湾曲させて、発泡シートの長手方向両端部がその厚み方向に重なって重合部分が形成されるようにループ形状に形成し、その重合部分に、無端形状の外側から内側に向かって、重合部分の厚さ方向を貫通するように、ナイロンからなるクリップを挿通し、これによって、各実施例の発泡充填部材を得た。
なお、この発泡充填部材は、上記した第1実施形態の発泡充填部材に相当する。
2)発泡充填部材のピラーに対する取付および発泡
上記により得られた各実施例の発泡充填部材を、図13に示す寸法のピラーの内部空間に、クリップを介してそれぞれ取り付けて、その後、発泡により内部空間を充填した。
より具体的には、まず、各実施例の発泡充填部材を、クリップを介して、インナパネルに固定し、その後、アウタパネルをインナパネルに被せて、インナパネルとアウタパネルの両端のフランジ部を対向当接させて溶接により接合した。なお、このときの各実施例の発泡充填部材のピラーに対する取付作業性(発泡シートの反発によるピラーに対する取付易さ)を評価した。その結果を表1に示す。なお、評価は、○(良好)、△(普通)とした。
次に、発泡充填部材が取り付けられた各ピラーを、オーブンに、160℃で20分間投入し、発泡させて、そのピラーの内部空間に対する充填性を目視にて評価した。その結果を表1に示す。なお、評価は、○(良好)、△(普通)とした。
Figure 2006182345
本発明の発泡充填部材の第1実施形態を示す正面図である。 図1に示す発泡充填部材の斜視図である。 図1に示す発泡充填部材を用いて、自動車のピラーの内部空間を充填する方法の一実施形態の工程図であって、(a)は、発泡充填部材をピラーに設置する工程、(b)は、加熱により発泡充填部材を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体によってピラーの内部空間を充填する工程を示す。 本発明の発泡充填部材の第2実施形態を示す正面図である。 図4に示す発泡充填部材をピラーに設置した状態を示す断面図である。 本発明の発泡充填部材の第3実施形態を示す正面図である。 図6に示す発泡充填部材をピラーに設置した状態を示す断面図である。 本発明の発泡充填部材の第4実施形態を示す正面図である。 図8に示す発泡充填部材をピラーに設置した状態を示す断面図である。 本発明の発泡充填部材の第5実施形態を示す斜視図であって、各切り込みの係合前状態を示す。 図10に示す発泡充填部材を示す斜視図であって、各切り込みの係合後状態を示す。 図11に示す発泡充填部材を用いて、自動車のピラーの内部空間を充填する方法の一実施形態の工程図であって、(a)は、発泡充填部材をピラーに設置する工程、(b)は、加熱により発泡充填部材を発泡、架橋および硬化させることにより、発泡体によってピラーの内部空間を充填する工程を示す。 実施例で用いたピラーの寸法を示す断面図である。
符号の説明
1 発泡充填部材
2 発泡シート
3 クリップ
4 固定部
5 係止部
12 重合部分
13 係合部
15 突合部分
16 対向部分

Claims (7)

  1. 構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、
    発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、
    前記発泡シートは、前記発泡シートの長手方向において互いに間隔を隔てた部分が対向するように、ループ形状に形成され、
    前記固定部材は、前記発泡シートの各前記部分を係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
  2. 構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、
    発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、
    前記発泡シートは、前記発泡シートが厚み方向に重なる重合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、
    前記固定部材は、前記重合部分を厚み方向に貫通して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
  3. 構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、
    発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、
    前記発泡シートは、前記発泡シートの長手方向両端部が互いに突き合わされる突合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、
    前記固定部材は、前記発泡シートの長手方向各端部をそれぞれ厚み方向に貫通して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
  4. 構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、
    発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、
    前記発泡シートは、前記発泡シートの長手方向両端部が互いに間隔を隔てて対向配置される対向部分が形成されるように、ループ形状に形成され、
    前記固定部材は、前記発泡シートの長手方向各端部をそれぞれ厚み方向に貫通して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
  5. 構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、
    発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートと、前記発泡シートを構造物の空間に固定するための固定部材とを備え、
    前記発泡シートは、前記発泡シートが厚み方向に重なる重合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、
    前記固定部材は、前記重合部分を厚み方向に挟持して、前記発泡シートを係止する係止部と、構造物に固定するための固定部とを備えていることを特徴とする、発泡充填部材。
  6. 構造物の空間を充填する発泡体を形成するための発泡充填部材であって、
    発泡材料から、シート状に形成されている発泡シートを備え、
    前記発泡シートは、前記発泡シートが重なる重合部分が形成されるように、ループ形状に形成され、
    前記発泡シートの前記重合部分には、ループ形状を保持するための保持部が形成されていることを特徴とする、発泡充填部材。
  7. 前記発泡シートの曲げ弾性率が、2〜180MPaであることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の発泡充填部材。
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