以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。先ず制御コマンドを送受信して表示制御を行う遊技機の一般的な構成や動作を説明してから、本発明の主要な動作を説明することによって、本発明の理解の容易化を図る。
図1は、遊技盤10の模式的な説明図である。遊技盤10の略中央部には、3つ(左、中、右)の表示エリアを有していて、各表示エリアにおいて、独立して数字やキャラクタによる図柄で構成される識別情報が変動表示可能な表示装置をなす特別図柄表示装置100が配設されており、その真下には特別図柄始動口104が配設されていて、この特別図柄始動口104の両側には、普通図柄作動ゲート102、102が配設されている。また、一対の開閉部材120、120が、特別図柄始動口104を形成するように離間して開閉可能に設けられている。
さらに、特別図柄始動口104の下方には、大入賞口106、普通図柄表示装置108、アウト口114がこの順で配設されており、さらに、特別図柄始動口104の両斜め上方にはランプ表示装置110、110が配設されていると共に、遊技盤10の両側端部近傍にもランプ表示装置(より具体的にはLED装置)112、112が配設されている。
特別図柄始動口104に遊技球が入賞すると乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が大当り値である時には、各表示エリアにおいて少なくとも1つの識別情報の変動表示が開始され、その後、当り有効ライン上に所定表示パターン(例えば「7、7、7」)の表示が特別図柄表示装置100によって行われ、大入賞口106が所定パターンで開閉制御されて遊技者にとって有利な大当り遊技状態となる。
普通図柄作動ゲート102が遊技球の通過を検出すると、乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が小当り値である時には、普通図柄表示装置108の表示部を所定パターン(例えば「7」や「3」)に表示させ、その後に、開閉部材120が開状態となって遊技球が特別図柄始動口104に入賞した場合にも、同様に乱数抽選が行われ、この抽選された乱数が大当り値である時には、各表示エリアにおける変動表示が開始され、その後、当り有効ライン上に所定表示パターン(例えば「7、7、7」)の表示が特別図柄表示装置100によって行われ、大入賞口106が所定パターンで開閉制御されて遊技者にとって有利な大当り状態となる。一方、入賞されない打球はアウト口114を介して排出される。
図2は、このような遊技の進行状況に応じた遊技機制御が行われる遊技機の主要部のみを示した制御ブロック図である。主制御部200は、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載していて、後に説明する、特別図柄表示装置100を制御するための各種のコマンドを、少なくとも含む多種多様な制御コマンドを格納するコマンドデータテーブル領域202および一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データ等の遊技制御プログラムを格納するROM201と、ワークエリアが形成されるRAM203とが設けられていて、一体型のワンチップマイコンとなっている。主制御部200が所定周期でこの遊技制御プログラムを繰り返して実行することによって遊技動作が行われることになる。
主制御部200には、入力ポート210を介して、特別図柄始動口104内部に設けられ、遊技球の特別図柄始動口104への入賞を検出する特別図柄始動スイッチ304、普通図柄作動ゲート102の内部に設けられ、遊技球のゲート通過を検出する普通図柄作動スイッチ306、および、大入賞口106の内部に設けられ、遊技球の大入賞口106への入賞を検出する大入賞口スイッチ308が接続され、主制御部200は、各検出信号を受信可能となっている。
また、主制御部200には、出力ポート215を介して、特別図柄やキャラクタを表示する表示部を3つ有して夫々を独立して可変表示可能でLCD等で実現される特別図柄表示装置100、ランプを点灯制御するランプ表示装置110、112、効果音を発生する効果音発生装置116、例えば7セグメント表示デバイスで実現される普通図柄表示装置108、特別図柄始動口104の開閉部材120を開閉制御するための始動口作動ソレノイド300、および、大入賞口106の幅広な開閉部材を開閉制御するための大入賞口作動ソレノイド302が接続され、主制御部200は、各装置を制御するための制御信号を送信可能となっている。
主制御部200は、特に特別図柄表示装置100に対しては所定数個の表示制御用のコマンドを所定のタイミングで送信可能となっている。特別図柄表示装置100は、受け取ったコマンドに基いて、主制御部200に頼らずに自身内のCPUが細かな表示制御を行うようになっている。さらに主制御部200から特別図柄表示装置100へコマンドを送信するのみの一方向通信による通信形態を採っている。
特別図柄始動口104への遊技球の入賞に応じて図柄表示演出を行なう特別図柄表示装置100、この図柄表示演出と共に効果音発生による音出力演出を行う効果音発生装置116、および、この図柄表示演出と共に図示しない点灯部の点消灯制御を行って点消灯演出を行なうランプ表示装置110(112)が演出用周辺装置群を構成している。
主制御部200には、電源供給を行うための電源回路212と、所定時間毎にリセット信号を出力するリセット回路213とが接続されている。さらに、リセット回路213には、主制御部200から周期的タイマカウンタによって生成されたパルス信号が入力されると共に、電源回路212からの電流供給状況を監視するためのモニタ信号が入力される。
図12に示すように、主制御部200から特別図柄表示装置100に送られる表示制御用のコマンドは、コマンドの分類を識別するための識別子で1バイト長のデジタル情報であるモード(MODE)と、実行されるコマンドの内容(機能)を示す1バイト長のデジタル情報であるイベント(EVENT)とでなっており、図6乃至図9は、ROM201に格納されたコマンドデータテーブル領域202上の表示制御用コマンドデータの一部を示している。
図6乃至図9に示すように、表示制御用のコマンドには、「特別図柄を変動させるとともに、変動パターンを指定するためのコマンド(第1のコマンド)」、「特別図柄左の停止図柄を指定するコマンド(第2のコマンド)」、「特別図柄中の停止図柄を指定するコマンド(第2のコマンド)」、「特別図柄右の停止図柄を指定するコマンド(第2のコマンド)」、「特別図柄を停止させるためのコマンド(第3のコマンド)」がある。なお、第1のコマンドには、図柄をどのようなパターンで変動表示させるか、キャラクタをどのようなパターンで表示演出させるか等の変動パターンを指定する情報を含んだコマンドとなっている。主制御部200は、図柄変動表示を開始させるような遊技状況となったとき、これらの5つのコマンドを1回の変動表示制御において所定のタイミングで特別図柄表示装置100に送信する。
図3は、特別図柄表示装置100のブロック構成図である。特別図柄表示装置100は、主制御部200からのストローブ信号やコマンドを受信するためのデータ受信回路1140(データレベルを変換する電圧変換回路を含む)と、この電圧変換回路等に電源供給を行う電源回路1160と、受信したコマンドに基づいて表示制御を行うために必要な制御データを生成して画像処理用LSI(VDP)1060に出力するCPU1020(表示制御手段)と、CPU1020の動作手順を記述したプログラムを内蔵するプログラムROM1040と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM1090と、画像展開処理を行う画像処理用LSI(VDP)1060と、画像処理用LSI(VDP)1060が展開した画像データを一時的に記憶するビデオRAM1080と、画像処理用LSI(VDP)1060が画像展開するために必要なデータを格納したキャラクタROM1180と、ビデオRAM1080に一時的に記憶された画像データを受け取って送出するLCDパネル用インターフェイス回路1100と、このLCDパネル用インターフェイス回路1100から送出された画像データを用いて表示画像を出力するLCDパネル1120とを有している。
CPU1020がプログラムROM1040に記録されている制御プログラムを実行することによって、本発明の特徴部の一部を含む以下の処理が実行されるようになっている。なお、プログラムを記録しておくための記録媒体は、ROMには限られず、デジタル情報を記録可能で、この記録したデジタル情報をアクセス可能な記録媒体であればいかなるものでも良い。また、この制御プログラムは、図示しない通信網(有線・無線を問わない)を介して情報処理装置(図示せず)からダウンロードするようにしても良い。
図4(a)に示すように、キャラクタROM1180は、ROMタイトル領域、ROM管理情報領域、実際のキャラクタデータを格納したキャラクタイメージデータ領域、キャラクタの色彩データを格納したパレットデータ領域、および、キャラクタの動きを定義した情報を格納したシナリオデータ領域を有していて、キャラクタデータは、特定の圧縮方法で圧縮された状態でキャラクタイメージデータ領域に格納されており、さらに、図4(b)に示すように、パレットデータ領域は、色番号とカラーコードとが対となったものが複数種類格納されている。
そして、特別図柄表示装置100のCPU1020は、データ受信回路1140が受信したコマンドに応じて生成した制御データを画像処理用LSI(VDP)1060に与えると、画像処理用LSI(VDP)1060は、キャラクタイメージデータ領域から獲得したキャラクタデータを解凍してパレットデータ領域から獲得した色彩データで色付けして、シナリオデータ領域から獲得した情報で指定されたビデオRAM1080上の位置に画像展開したデータを一時的に格納し、一時的に格納したデータをLCDパネル用インターフェイス回路1100に送ることによって、LCDパネル1120によって、変動表示速度変化等を含む様々な画像表示が細かに行われる。
図5は、コマンド送受信タイミングを示したタイミングチャートである。前述したように、コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなっていて、この例では、主制御部200は、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号(DUSTB)の1つ目の立ち上がりを契機として、モード(MODE)情報を送信し、次いで、ストローブ信号(DUSTB)の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)情報を送信する。すると、これに対応して、特別図柄表示装置100のCPU1020は、ストローブ信号(DUSTB)が送信されてくると割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドを受信してRAM1090に格納する。
次に、先ず、主制御部200や特別図柄表示装置100のCPU1020が行う通常の制御動作を図10(遊技制御のゼネラルフローチャート)や図11を参照して説明し、その後、本発明の特徴的な表示制御について説明して、本発明の理解の容易化に努める。なお、図10に示す一連の処理は、主制御部200が実行するが、リセット回路213から所定時間(例えば4msec)毎に供給されるリセット信号をトリガとして先頭のステップから実行され、この一連の処理が繰り返し実行させるようになっている。
まず、図示しない電源スイッチによって電源回路212を起動状態とすると主制御部200が起動状態となるが、この電源投入が行われてから初めての処理が実行されたか否かを判定する(ステップS110)。電源投入後、初めての処理の場合には(Yes)ステップS200に移行する一方、これ以外の場合には(No)ステップS120に移行する。
ステップS200では、RAM203の初期化処理として記憶エリアのクリア処理を実行し、次いで、ステップS210では、初期制御処理を行うためのデータをRAM203の所定の領域にセットする。一方、ステップS120では、RAM203内に形成される図示しない、大当り判定用、小当り判定用等の各種の乱数生成用ループカウンタのカウント値をインクリメントし、ステップS130では、遊技機制御に用いる各種のタイマのタイマ値を更新する。したがって、電源初期投入時には、RAMクリア、初期データセット処理等のイニシャライズが行われて、主制御部200のスタック領域に所定スタック値がスタックされる一方、電源初期投入時ではない場合にも各種乱数更新等のイニシャライズが行われ、これに対応する第2の所定スタック値が、主制御部200のスタック領域にスタックされる。
次に、ステップS140において、特別図柄始動スイッチ304、普通図柄作動スイッチ306、大入賞口スイッチ308が出力した検出信号を入力ポート210を介して図示しない自身内のレジスタに読み込み格納する入力ポート処理を実行し、次いで、ステップS150に移行してポート入力処理で読み込み格納したデータを把握するためのスイッチチェック処理を実行する。
次に、ステップS160にて各スイッチ304、306、308等の断線や短絡の有無のチェックを行い、これらの障害が発生している場合には(Yes)ステップS220に移行する一方、これ以外の場合には(No)ステップS180に移行する(ステップS170)。
そして、ステップS180において、普通図柄表示装置108の表示制御に必要なデータをRAM203の所定領域に格納すると共に、特別図柄表示装置100の表示制御に必要なコマンド(先に図6乃至図9にて説明したコマンドを含む)をRAM203の所定領域に格納して、前記各種のタイマのタイマ値を減じる(ステップS190)。なお、ステップS180において、主制御部200は、遊技制御に応じて必要なモード、イベントのコマンドをコマンドデータテーブル領域202を参照して決定し、決定したモード、イベントを示すデジタル情報をRAM203の所定エリアに格納する。
次に、ステップS195において、大入賞口106と特別図柄始動口104の開閉部材120とを所定パターンで開閉制御するために、始動口作動ソレノイド300と大入賞口作動ソレノイド302とを駆動制御し、次いで、ステップS220において、図示しない賞球払出装置に払出し動作を行わせるための制御情報を出力するための賞球セット処理を実行し、さらにステップS230、240、250において、図示しない遊技機管理装置に各種の遊技データを出力する外部情報処理、ランプ表示装置110、112を遊技状態に対応させて点灯制御するためのコマンドをRAM203の所定エリアに格納する表示灯制御処理、効果音発生装置116を遊技状態に対応させて効果音発生制御するためのコマンドをRAM203の所定エリアに格納する効果音処理を実行する。
次に、ステップS260では、各処理でRAM203に格納したデータを出力ポート215を介して対応する装置に出力し(ポート出力処理)、これを受け取った装置側は、これに基づいた制御動作を行う。そして、特別図柄表示装置100に対して、先ず、ストローブ信号を出力し、ステップS180にてRAM203に格納されたモード、イベントのデータを先に図5に示したようにして送信する。これによって、特別図柄表示装置100には、例えば図6乃至図9にて示したコマンドが主制御部200から送信され、受信することになる。
ステップS270では、リセット回路213からリセット信号が入力されるまでリセット待機処理を実行すると共に、リセット信号が入力された場合には、ステップS110に移行して遊技機制御を継続する。なお、このリセット待機処理としては、先に述べた各種の乱数生成用のカウンタの更新等が挙げられる。
次に、コマンドを受け取った特別図柄表示装置100のCPU1020の動作について、図11を参照しつつ説明する。まず、ステップS1100において、CPU1020は、自身のスタックポインタの設定、RAM1090の初期化、レジスタクリア等の自身の初期化等を行い、ステップS1102において、新しいコマンドが入力されたか否かを判断する。新たな表示制御のためのコマンドが入力されたと判断された場合には(Yes)、ステップS1104に移行する一方、これ以外の場合には(No)ステップS1110に移行する。
ステップS1104では、図5において説明した割り込み処理において、データ受信回路1140が受信したコマンドをRAM1090にコピーし、コマンドが正常か否かのチェック等を行う。次に、CPU1020は、主制御部200とは独立して細かな表示制御を行うための必要なコマンドを得るべく、処理テーブル(図示せず)の先頭アドレスを決定し、次いでステップS1108において、画像処理用LSI1060へ出力するためにRAM1090の必要なエリアのデータを更新する。
次に、ステップS1110において、RAM1090にセットされている図柄制御用データに基づいて、画像処理用LSI1060へ出力するためのスクロールデータを求めてRAM1090にセットして図柄表示位置を設定し、次いで、ステップS1112において、図柄速度制御に必要なデータを、プログラムROM1040に内蔵されている速度テーブル(図示せず)から取得してRAM1090にセットし、次にステップS1114において、速度データに基づいて図柄オフセット値を更新し、設定された速度で図柄変動を行うための準備を行う。
次に、ステップS1116において、RAM1090にセットされているアニメーション処理用データが格納されているアニメーション処理用テーブル(図示せず)からアニメーションデータを取得し、背景画像の表示のための準備を行い、RAM1090内のVDP出力用バッファにセットし、出力許可フラグが「1」か否かを判断する(ステップS1118)。
そして、出力許可フラグが「1」でない場合(No)には、ステップS1102に戻って一連の処理を繰り返す一方、出力許可フラグが「1」の場合(Yes)には、ステップS1120にて、VDP出力用バッファにセットされているデータを画像処理用LSI1060に出力する。画像処理用LSI1060は、これに応じてキャラクタROM1180のデータを獲得して画像展開し、画像展開されたデータは、ビデオRAM1080に一時的に記憶された後、LCDパネル用インターフェイス回路1100に送られLCDパネル1120による画像表示が行われる。このようにして、特別図柄表示装置100における設定された表示位置において、設定された速度での図柄変動表示や背景画像の表示等が行われる。
図13、図14は、主制御部200から特別図柄表示装置100へ送信するコマンドの送信タイミングの一例、送信コマンドの説明図であり、これらの図を参照すれば分かるように、主制御部200は、特別図柄始動口104に遊技球が入賞した等の所定の条件が満足されると、まず、図柄変動を開始させるとともに変動パターンを指定するためのコマンドを送信し(丸1)、これからT1時間経過後に左停止図柄を指定するためのコマンドを送信し(丸2)、これからT2時間経過後に中停止図柄を指定するためのコマンドを送信し(丸3)、これからT3時間経過後に右停止図柄を指定するためのコマンドを送信し(丸4)、そして、変動開始からT時間経過後に全図柄を停止させるためのコマンドを送信し(丸5)、さらに、これらのコマンドを受信した特別図柄表示装置100のCPU1020は、コマンド(丸5)を受信する前に、変動速度変化等の細かな表示制御を行って一連の変動表示制御を行い、変動開始からT時間経過後に変動表示制御を終了する。また、図3や図11においては図示しないが、CPU1020は、上述した表示制御に加えて、後述するようにソレノイド1500の駆動制御も実行するように構成されている。
(本発明の主要部)
(構成)図15に示すように、特別図柄表示装置100のCPU1020は、先に説明したように表示制御を行なう他に、ソレノイド1500を駆動制御して表示演出中に出現するキャラクタを模して樹脂等で形成した演出用部材としてのメカキャラクタ1601(図16、17参照)を移動制御させる機能を兼ねている。この例では、メカキャラクタ1601は全体的に犬のような形状を呈するように構成されている。
図16に示すように、ソレノイド1500のプランジャ1510の先端部近傍に設けられた突起部1511は、全体的にくの字型のクランク1600の一端側に設けられた開口部1610に遊びを設けた状態で嵌められている。一方、このクランク1600の他端近傍に設けられた円形状の孔1612には、メカキャラクタ1601の背面側に設けられた突起部1611が嵌め込まれて固定されている。このクランク1600自体は、突起部1512に回動可能に固定され、突起部1512を支点として回動可能になっている。
そして、ソレノイド1500がオフ状態(OFF状態)になっている場合には、プランジャ1510が突出状態となって、クランク1600とメカキャラクタ1601とはそれぞれ符号B1、B2に示すような位置に存在する。この状態からソレノイド1500がオン状態(ON状態)になると、プランジャ1510が非突出状態とされるので、クランク1600が突起部1512を支点として時計方向に回動してメカキャラクタ1601が図中右方向に移動して、クランク1600とメカキャラクタ1601の位置はそれぞれ符号A1、A2に示す位置となる。
この状態で、ソレノイド1500が再度オフ状態になると、プランジャ1510が再度突出状態とされるので、クランク1600が突起部1512を支点として反時計方向に回動してメカキャラクタ1601が図中左方向に移動して、クランク1600とメカキャラクタ1601の位置はそれぞれ符号B1、B2に示す位置に戻る。かくして、CPU1020がソレノイド1500のオン、オフ制御を行なうことによって、第1の位置(B2)と第2の位置(A2)との間でメカキャラクタ1601が移動制御されるようになっている。
図17は、ソレノイド1500を含むメカキャラクタ移動機構を特別図柄表示装置100の近傍に設けた場合の特別図柄表示装置100及び特別図柄表示装置100の前面周囲に設けた後記する前面構成体1800の模式的正面図である。特別図柄表示装置100における表示領域としてのLCDパネル1120の前面周囲は、前面構成体1800によって囲まれる。前面構成体1800は、図17から明らかなように、LCDパネル1120の前面周囲を装飾するものであって、特別図柄表示装置100の右側から右方へ延伸する長さの方が、特別図柄表示装置100の左側から左方へ延伸する長さよりも長い左右非対称形状をなす。そして、メカキャラクタ1601は、前面構成体1800の右部の前面に配設される。また、図16に示したソレノイド1500を含むメカキャラクタ移動機構は、LCDパネル1120の右側部近傍で、かつ前面構成体1800の右部領域内に1つ設けられている。したがって、前面構成体1800におけるメカキャラクタ1601が設けられる側部とは反対側、すなわち左側には、遊技球の流下領域が確保される。つまり、発射された遊技球が、先ず遊技盤10面に到達する位置、すなわち遊技盤10における特別図柄表示装置100及び前面構成体1800右斜め上部近傍に遊技球の流下領域が確保されるとともに、特別図柄表示装置100及び前面構成体1800の下部側に配設される特別図柄始動口104や大当り中に開放する大入賞口106の方向へ遊技球を流下させるために必要となる特別図柄表示装置100及び前面構成体1800の領域が、前面構成体1800の左側に遊技球の流下領域として確保されるので、遊技球の流下領域を実質的に制限することなく、特別図柄表示装置100の近傍にメカキャラクタ1601を設けることが可能となる。
なお、ソレノイド1500や突起部1512等は図示しない固定部材に固定されている。そして、このメカキャラクタ移動機構の内で一番手前側に存在するメカキャラクタ1601よりも更に手前側に、装飾部材としてのカバー1700(図17参照)を装着している。かくして、メカキャラクタ1601が、移動制御されても遊技球の転動方向に影響を与えないようにしている。なお、カバー1700は、プラスチック等を成形することによって実現できるが材質等はこれに限られないことは言うまでもない。
図23は、図17の図柄表示装置100を右側から見た模式的側面図(断面図)である。図17、図23を参照して分かるように、メカキャラクタ1601を正面側から見てその上面側、下面側および両側面側のそれぞれには、LCDパネル1120前面側を覆い且つ遊技盤10に取り付けられる前面構成体1800を備えており、この前面構成体1800に覆われたメカキャラクタ1601の前面にカバー1700が装着されている。このため、メカキャラクタ1600に遊技球が衝突するのが完全に防止されている。
また、図18に示すように、カバー1700は、透明部1701と非透明部1702とから成っていて、両部の境界線(符号Y)の存在方向が鉛直方向となるようにされている。図17に示すように、メカキャラクタ1601が位置B2に位置する場合には、非透明部1702によってメカキャラクタ1601が遊技者側からは目視不能とされているが、その反面、メカキャラクタ1601が位置A2に移動した場合には、透明部1701によってメカキャラクタ1601が遊技者側からは目視可能とされている。かくして、ソレノイド1500がオン状態にされると、それまでカバー1700に隠れていたメカキャラクタ1601が右方向から左方向に出現するように演出されることになる。
図20は、移動判定用乱数テーブル2000の説明図であり、この移動判定用乱数テーブル2000は、図3のプログラムROM1040に格納されている。CPU1020は、RAM1090を用いて、移動判定用乱数を0から19まで循環的にカウントアップしている。そして、選択した移動判定用乱数が「0〜15」の場合には、メカキャラクタ1601を非移動とし、一方、選択した移動判定用乱数が「16から19」の場合には、メカキャラクタ1602を移動する制御を行なう。
図22は、移動制御パターン選択用乱数テーブル2100の説明図であり、この移動制御パターン選択用乱数テーブル2100は、図3のプログラムROM1040に格納されている。CPU1020は、RAM1090を用いて、移動制御パターン選択用乱数を0から2まで循環的にカウントアップしている。そして、選択した移動制御パターン選択用乱数が「0」の場合には、メカキャラクタ1601の移動制御パターンを「パターン1」とし、選択した移動制御パターン選択用乱数が「1」の場合には、メカキャラクタ1601の移動制御パターンを「パターン2」とし、選択した移動制御パターン選択用乱数が「2」の場合には、メカキャラクタ1601の移動制御パターンを「パターン3」として移動制御を行なう。
パターン1での移動制御は、図22(a)に示すように1回のみソレノイド1500をオン状態としてメカキャラクタ1601を右方向から左方向に登場させてその後退場させる。また、パターン2での移動制御は、図22(b)に示すように、先ずソレノイド1500をオン状態としてメカキャラクタ1601を右方向から左方向に1回登場させた後退場させ、再度、ソレノイド1500をオン状態としてメカキャラクタ1601を右方向から左方向に登場させた後退場させる。かくして制御パターン2での制御によればメカキャラクタ1601が合計2回登場するように移動制御される。
パターン3での移動制御は、図22(c)に示すように、先ずソレノイド1500をオン状態としてメカキャラクタ1601を右方向から左方向に1回登場させた後退場させ、再度、ソレノイド1500をオン状態としてメカキャラクタ1601を右方向から左方向に登場させた後退場させ、更にまた、ソレノイド1500をオン状態としてメカキャラクタ1601を右方向から左方向に登場させた後退場させる。かくして制御パターン3での制御によればメカキャラクタ1601が合計3回登場するように移動制御される。
次に、図19を参照して主要部の動作について説明する。今、第1のコマンド、第2のコマンドを受信しているものとする。先ず、CPU1020は、第1のコマンドにて指定された変動パターンが特定の変動パターン、例えば、図6に示す17種類の変動パターンの内、当り期待値が高い変動パターン(この場合変動パターン16、17)か否かを判定する。第1のコマンドで指定された変動パターンが特定変動パターンである場合(Yes)には、ステップS1910に移行し、一方、特定変動パターンでない場合(No)には、ステップS1930に移行する。
次いで、ステップS1910に移行した場合には、CPU1020が移動判定用乱数を抽選し、移動判定用乱数テーブル2000の格納内容を参照して、この抽選した乱数値が「0から15」の場合(No)には、ステップS1930に移行する。一方、移動判定用乱数テーブル2000の格納内容を参照して、この抽選した乱数値が「16から19」の場合(Yes)には、ステップS1920に移行する。
次いで、ステップS1920に移行した場合には、CPU1020が移動制御パターン選定用乱数を抽選し、移動制御パターン選定用乱数テーブル2100の格納内容を参照して、この抽選した乱数値に対応する移動制御パターンを選択する。つまり、抽選乱数値が「0」、「1」、「2」場合には、それぞれ移動制御パターンとして「制御パターン1」、「制御パターン2」、「制御パターン3」を選択する。
次いで、ステップS1930において、CPU1020は、指定された変動パターンに対応した図柄変動表示等をLCDパネル1120において行なう。なお、この際、登場させるキャラクタ画像をメカキャラクタ1601と同じものとすれば一層演出効果が増す。また、他のキャラクタ画像を登場させて、これがメカキャラクタ1601を招くようなアクション例えば「いらっしゃい!○○(キャラクタ名)」等と叫ぶアクションを行なうのに応答して、メカキャラクタ1601が図面左側に移動して登場するようにする等も格別の演出効果に富む。
次いで、ステップS1940において、CPU1020は、先にステップS1910において「移動」を行なうことを抽選した場合にのみ、ステップS1920で選択した制御パターンでの移動制御を行なう。先に説明したように、制御パターン1を選択した場合には図22(a)に示すように、ソレノイド1500を1回オン、オフ制御し、制御パターン2を選択した場合には、図22(b)に示すようにソレノイド1500を2回オン、オフ制御し、更に、制御パターン3を選択した場合には、図22(c)に示すようにソレノイド1500を3回オン、オフ制御する。かくして、選択した制御パターンに応じたメカキャラクタ1601の移動制御が行なわれる。
次いで、CPU1020が第3のコマンドを受信すると、ステップS1950では先に第2のコマンドで指定されている図柄を左、中、右停止図柄としてLCDパネル1120に表示する。
したがって、この実施形態によれば、カバー1700(装飾用部材)および前面構成体1800によって演出用部材としてのメカキャラクタ1601への遊技球の衝突が防止されて、メカキャラクタ1601が遊技球の転動方向に影響を与えないようにすることができる。そして、カバー1700を、特別図柄表示装置100の表示領域であるLCDパネル1120側部近傍に設けているので、通常遊技時の遊技球の転動方向に影響を与えにくいようにカバー1700の装着を行なえる。
また、CPU1020は、メカキャラクタ1601が第1の位置(B2)と第2の位置(B1)とに移動し得るように、メカキャラクタ1601を所定の移動態様で移動制御するが、カバー1700は、第1の位置にメカキャラクタ1601が位置する場合には、メカキャラクタ1601を遊技者側から目視不能とされているので、メカキャラクタ1601の登場、退場動作を実現できて演出効果に富む。なお、第2の位置を通常時の位置としてメカキャラクタ1601を目視可能として、第1の位置にメカキャラクタ1601が移動した時に、メカキャラクタ1601が出現するようにしても良く、この場合には、図18における透明部1701と非透明部1702の存在位置を交換すれば良い。これによれば、メカキャラクタ1601の2つの位置間の移動により、メカキャラクタ1601の出没動作が可能となり、簡単な構成により、例えばメカキャラクタ1601が目視できる位置に出現した場合に、大当りとなる可能性が高まったことを報知する構成等に利用できる。
CPU1020は、移動制御を行なう他に、遊技機の動作を全体的に制御する主制御部200からの制御コマンドに応答して特別図柄表示装置100を用いた表示制御を行う手段を更に備えているので、主制御部200の制御負担を軽減させながら、以上説明してきたような演出を行なうことができる。
さらに、以上の説明においては、カバー1700を装着することについて説明してきたが、特にカバー1700を装着せずに、メカキャラクタ1601の移動領域を、特別図柄表示装置100の表示領域であるLCDパネル1120の右側部近傍の所定領域とするように、図16に示した移動機構を配置するだけでも、メカキャラクタ1601が、LCDパネル1120の前面の空間を横切るように移動する場合に比べて、メカキャラクタ1601が遊技球の転動方向に与える影響を極力小さなものとすることが可能となる。つまり、表示領域前方の広い空間内において、メカキャラクタ1601が移動することが無くなり、遊技球の衝突可能性も極小さなものとすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で上記実施形態に種々の変形や変更を施すことが可能となる。例えば、演出用部材の作動契機としての特定遊技状態を、大当り時、リーチ時、それらの予告時、図柄変動時、所定時間毎等とするようにしても良いし、演出用部材を確率変動するか否かの抽選結果を表示する構成や普通図柄の抽選結果を表示する構成に使用しても良い。また、図20や図21に示した乱数の範囲を適宜変更すること、移動機構はクランク以外のものを採用すること、制御パターンを3つ以外の複数としたり1つとすること、特別図柄表示装置100の全体的な形状を、図17に示すもの以外とすること、LCDパネル1120の形状を四角形状のもの以外に丸状や楕円状とすること、メカキャラクタ1601を複数設けること、表示装置とは別個に設けること、メカキャラクタ1601の駆動をモーター等の電気的駆動源によって駆動させること、等が挙げられる。