JP2011114897A - 2相ハイブリッド型回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、HB機でありながらPM機のステップ角である7.5°やその半角の3.75°のステップ角を可能とし、かつ、安価で高トルク、低振動、高速化を実現した2相の回転電機を得ることを目的とする。
【解決手段】 外辺が四辺形を含めた多角形や環状形でありラジアル方向に2m個の放射状に主極を設けて、2相式巻き線を施し、それらの先端に各々Ns個の誘導子歯を有する固定子と、エアギャップを介して回転自在に設けられた4n個の歯を等ピッチに有した回転子2個にて軸方向に磁化した永久磁石を互いに歯ピッチの1/2ピッチ分ずらして挟持して単位回転子とし、それを2組、共通回転軸上に設けて近接させ、両単位回転子の近接する回転子磁極同士は歯位置が同一であり且つ同一極性に磁化された回転子とを有する。但しnは1以上の整数、mは1相分の固定子主極数であり2,4,6いずれかの数。
【選択図】 図1

Description

本発明は、巻き線極である2m個の主極に2相の巻線を施してなる固定子と、2個のハイブリッド型回転要素(単位回転子)をそれらの永久磁石を互いに逆方向に磁化した状態で同軸に近接して構成した回転子とを備えたステッピングモータ等の回転電機に関する。
小型で安価、高速高トルク、低振動回転が複写機やプリンタ等のOA機器等に多用されるステッピングモータ等の回転電機に要求されている。OA機器は小型化、低コスト化、高速化、低振動化の動向にあり、その駆動モータにも同じく、小型化、低コスト化、高速化、低振動化の要求がある。この要求を満足する手段の一つとして、特開平10−080126号公報(特許文献1)に示された回転電機がある。特に安価であることを強く要求される用途には、特許文献1の図5に示されるようなクローポール型2相環状コイル式の永久磁石(PM)式ステッピングモータが多用され、高速化対応のため、ハイブリッド(HB)型ステッピングモータよりステップ角度の大きい(ステップ角7.5°または15°)PM形が多用される。
このクローポール型ステッピングモータは、例えば図7に示すように構成されている。すなわち、同図において、回転子1は回転子軸2と一体に構成され、回転方向に同一幅の磁極3がN極とS極とを交互に配置するように形成されている。固定子4は2個の第1、第2の固定子ユニット4A、4Bによって構成されており、同図では固定子4の一部を切り取って展開して示している。各固定子ユニット4A,4Bは同一構造であって、互いにπ/2(後述の磁歯ピッチの1/4)ずれて位置し、それぞれ両側に櫛歯状磁歯4Aa,4Abを形成した磁性鉄板4Ax,4Bxによって回転子1の周囲を所定間隙を設けて巻回した巻き線5A,5Bを覆っている。
上記構造において、巻き線5A,5Bに所定方向に通電すると、この通電された固定子ユニットの櫛歯状磁歯4Aa,4Baと櫛歯状磁歯4Ab,4Bbはその電流方向によってN極又はS極に励磁されて磁極を形成する。従って、第1の固定子ユニット4Aと第2の固定子ユニット4Bそれぞれの巻き線5A,5Bに所定のステップに従ってパルス電流を供給することによって回転磁界が発生し、この回転磁界と回転子1の磁極3との電磁相互作用により回転子1が回転する。
一方、2相HB型回転電機としては、図8A及び図8Bに示すものがある。この回転電機は8主極固定子の場合であり、環状磁性体6Aaの内周から8個の主極6Abが中心に向かって放射状に延び周方向等間隔に配列されて固定子コア6Aを構成し、この各主極6Abに巻き線6Bが巻装されることにより固定子6が構成されている。固定子コア6Aは90°対称の形状となっており、各主極6Abの内側面には例えば6個の誘導子歯が等間隔に突出形成されている。固定子コア6Aの内側には各主極6Abに対して所定の間隙を介して対向する回転子7が配置されている。固定子6の軸方向両側にはブラケット8X,8Yが固定され、これにそれぞれ保持された軸受9X,9Yにより回転子7の回転子軸7Aが固定子6に対して回転自在に支持されている。回転子7は、一対の回転子磁極7B,7Cと、この回転子磁極7B,7C間に挟み込まれた軸方向着磁の円環状永久磁石7Dとを回転子軸7Aに固定して構成され、回転子磁極7B,7Cの外周には50個の磁歯が等間隔に形成され、両者が磁歯の1/2ピッチずれて対向している。これにより、ステップ角1.8°のステッピングモータが得られる。固定子コア6A及び一対の回転子磁極7B,7Cはそれぞれ、珪素鋼板(ラミネーション)を積層して構成されている。
特開平10−080126号公報
しかし、上述した従来構成のものでは、図7に示した環状コイル式モータの場合、1相分コイルが1個で構成される集中巻き構造のため、コイルインダクタンスが大きく、高速回転時のトルクが不足する問題がある。加えて、クローポール式ステッピングモータの固定子鉄心は、HB型のように珪素鋼板を積層したものではないため、高速回転時、電流周波数が高くなると、鉄損が増加し温度上昇が高くなる問題がある。
また、高速時のトルク確保のため、図7のPM機を図8A,図8Bで示したような2相8主極のHB機に置き換える場合、7.5°または15°のステップ角を設計しようとすると、固定子を上述のような90°回転対称とすることはできず、非対称の形状にならざるを得ず、90度の回転積層による効果が期待できないことになり、振動騒音が出易い構造となる問題があった。従って、このような小型安価、高速高トルク仕様に際し、HB機では、PM機のステップ角である7.5°やその半角の3.75°は得られないため、PM機の代替としては適さないものとされていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、HB機でありながらPM機のステップ角である7.5°やその半角の3.75°のステップ角を可能とし、かつ、高速化を実現した2相の回転電機を得ることを目的とする。
本発明は、上記目的を実現するために以下の手段を用いる。
「手段1」
略環状のコアバック部、及びこのコアバック部より放射状に突出形成されそれぞれの先端に複数(Ns)個の誘導子歯を形成してなる2m個(mは2,4,6何れかの数)の主極からなる固定子コアと、該固定子コアのそれぞれの前記主極に巻回された2相の巻き線とを含む固定子と、前記固定子にエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性材からなる1対の回転子磁極と該両回転子磁極で挟み込まれ軸方向に着磁された永久磁石とからなる単位回転子を2組共通回転軸上で軸方向に隣接させて構成された回転子とを備え、
各回転子磁極の外周面には複数(Nr=4n)個(nは1以上の整数)の磁歯が等ピッチで形成され、各単位回転子の1対の回転子磁極はそれぞれの磁歯が1/2ピッチ分ずらせて配置されると共に、両単位回転子はそれぞれの永久磁石の着磁方向が互いに逆になる向きで隣接する回転子磁極の歯位置が一致するように配置されてなる2相ハイブリッド型回転電機であって、
前記各主極それぞれに形成されるNs個の誘導子歯は、前記固定子コアが90°非対称となる配置に設定されており、前記回転子磁極の磁歯の歯数Nrは4n(nは1以上の整数)個に設定されていることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
「手段2」
手段1において、前記固定子の各主極の先端に設けたNs個の誘導子歯を、前記回転子の回転子歯ピッチより略90°/(Ns・Nr)異なるピッチに設定し、第4次平面でNs個のパーミアンスベクトルを2つの単位回転子の磁路内の、それぞれの主極内で各磁路内1次バランスさせ、更に軸方向に2分割した2つの単位回転子の磁路による短縮磁路長効果と2磁路間境界部磁界非干渉効果を活かして、第4次平面で各主極のNs個のパーミアンスベクトルを2磁路間で重畳し、2次バランスをさせる、2重バランス機能を有したことを手段とする回転電機。
「手段3」
手段1又は2において、前記固定子コアは磁性鉄板を積層させて1枚ごとに180°回転積層させ、4次平面で固定子コアの回転部と非回転部で作られる2種類のベクトル群の間で、1次バランスをさせ、更に軸方向に2分割した2つの単位回転子の磁路による短縮磁路長効果と2磁路間境界部磁界非干渉効果を活かして、第4次平面で各主極のNs個のパーミアンスベクトルを2磁路間で重畳し、2次バランスをさせる、2重バランス機能を有したことを手段とする回転電機。
「手段4」
手段1において、手段2及び手段3の条件が同時に設定実施されることを手段とする回転電機。
「手段5」
手段1〜4のいずれかにおいて、回転子に用いる永久磁石の残留磁束密度が略0.5T以下のフェライト系永久磁石であることを手段とする回転電機。
「手段6」
手段1〜5のいずれかにおいて、前記回転子の永久磁石は未着磁でモータとして組み立て後に、一方の単位回転子の永久磁石を軸方向に正方向着磁され、その後、時間差を設けて他方の単位回転子の永久磁石が逆方向に部分着磁されることを手段とする回転電機。
(1)HB型単位回転子を2組有する2分割磁路構成のため、界磁磁束が大きく、しかも2つの磁路間でのパーミアンスの第4次成分のバランス効果により、固定子が90°非対称形で、90°回転積層無しでも低振動となる。また固定子主極数2mでm=4の場合、実用的な8個となり巻き線インダクタンスを小さくでき、高速回転時のトルクの減少を防ぎ、フラットなトルクカーブの低速から高速まで使いやすいステッピングモータ等の回転電機となる。主極数12個の場合は更にフラットなトルクカーブのモータとなる。主極数4個の場合でも不平衡電磁力の起き難い且つ低速時高トルクモータとなる。
(2)本発明では固定子主極の誘導子歯ピッチを回転子磁極の磁歯ピッチと90°/(Ns・Nr)だけ変えるバーニア効果により、パーミアンスの第4次成分を第4次高調波平面でパーミアンスベクトルのバランスをさせることで第4次高調波成分の大部分を消去できる。
(3)固定子を珪素鋼板等の磁性板からプレス打ち抜きして180度回転積層することで、珪素鋼板の圧延方向に対するその直角方向での板厚差を解消して主極間のパーミアンスを均一化しバランスさせることができる。手段1,2との組合わせで多重にパーミアンスベクトルをバランスさせることができる。
(4)従来モータと同一サイズで同一トルクで価格を安くしたい場合でも、本発明では軸方向で2つの磁気回路に分割構成するため、短磁気回路としてフェライト磁石等の低グレード磁石が採用でき安価にできる。またフェライト磁石のB―Hカーブのフラットな傾きによる動作点の安定化により均一な磁束密度効果となるためバラツキの小さい低振動なモータとなる。B―Hカーブがフラットな傾きの場合はエアギャップ等のバラツキで多少動作点が移動しても磁束の値の変化を少なくできることによる。
(5)時間差を設けた2重逆着磁によりモータ組み立て後の着磁を可能にしたので、安価で品質の高いモータが提供できる。
本発明の一実施形態による2相ハイブリッド型永久磁石回転電機の要部を示す正面図である。 図1の軸方向断面を示す側面図である。 一般的なハイブリッド型永久磁石回転電機の固定子歯と回転子歯との相対位置関係を示す一部拡大正面図である。 図3のベクトルバランスの説明図である。 図1の回転電機のパーミアンスベクトルバランスの原理説明図である。 本発明の回転電機の別の効果を説明するためのパーミアンスベクトルバランスの原理説明図である。 従来のPM型回転電機の斜視図である。 従来のHB型回転電機の正面図である。 図8Aの軸断面を示す側面図である。
本発明に係る2相ハイブリッド型回転電機の実施形態につき、以下図面に基づいて説明する。
図1は本発明の1例である2相ハイブリッド(HB)型ステッピングモータの要部構成を示し、主極数2mにおいてm=4とした8主極機の固定子とHB型回転子とを組合わせたものを軸方向から見た図である。巻き線の図示は省略してあるが、8主極の巻き線極である首部にはそれぞれ巻き線が施され、1個おきの4個の主極に巻回された巻き線が連結されて1相分を形成し、残りの4主極で他の1相分を形成し、全体で2相巻き線としたHB型回転電機である。固定子は不平衡電磁力が発生せず高速性に優れた8主極構造を採用した例である。
固定子10は、外形がほぼ四辺形の環状のコアバック部11aとこのコアバック部11aより放射状に内方に突出して設けられ周方向に等間隔に配列された8個の主極11bとからなる固定子コア11と、各主極11bに巻回された2相の巻き線12(図2に示す)とからなり、巻き線極である各主極11bの先端には2個(Ns個)の誘導子歯11cが突出して設けられている。なお各主極11bの2個の誘導子歯11cの左右に突き出た鍔部は巻き線12の脱落防止を主な役目としている。固定子コア11は複数枚の珪素鋼板を積層して構成されている。図1に示すように、垂直軸(X軸)と水平軸(Y軸)の互いに直交する2つの線上に配置された4個の主極11b、つまり90°毎に配置された4個の主極11bで1相分(A相、C相)を構成し、残りの4個の機械角で互いに90°隔てて且つ1相分主極からは機械角で45度隔てて配置された主極11bで2相分(B相、D相)を形成する。各相において、90°毎の4個の主極11bは巻き線12への通電時に交互に異極となるように励磁され駆動される。
一方、固定子コア11の内側に配置された回転子20は、図2に示すように、回転軸21に軸方向に並んで固定された4個の回転子磁極22,23,24,25と、対の回転子磁極22,23間及び24,25間でそれぞれ挟持され軸方向に着磁された円盤状の永久磁石26,27とにより構成されている。これら回転子磁極22〜25はそれぞれ珪素鋼鈑等を積層して構成され、それぞれの外周には等ピッチで複数(Nr=4n)個(nは1以上の整数)の磁歯が設けられている。この実施形態では、n=6として24個の磁歯28が形成されている。
対の回転子磁極22,23は互いに歯ピッチが1/2ずれて配置されて両者の間に永久磁石26が挟持され、同様に、対の回転子磁極24,25は互いに歯ピッチが1/2ずれて配置され、両者の間に永久磁石27が挟持されている。両永久磁石26,27は着磁方向が互いに逆になるように設定されており、永久磁石26により磁化された回転子磁極22,23と永久磁石27により磁化された回転子磁極24,25とのうち、向かい合う隣接磁極23,24が同極性になるように設定されている。図2では回転子磁極22,25がS極性に、回転子磁極23,24がN極性にそれぞれ磁化されている。このとき隣接する回転子磁極23と24との周方向における歯位置は原則として同じ位置である。回転子磁極22,23及び永久磁石26で単位回転子20aを、回転子磁極24,25及び永久磁石27で単位回転子20bが構成される。なお、図2では単位回転子20a,20bが隙間なく隣接している状態を示しているが、両単位回転子20a,20bが軸方向に僅かに離れた状態で隣接していてもよい。
単位回転子20a,20bの各回転子磁極22〜25のそれぞれの磁歯は固定子10の各主極11bの誘導子歯11cにエアギャップを介して径方向に対向する。図2において固定子10の位置に示した点線矢印Φ1は単位回転子20aによる磁束とその磁路、点線矢印Φ2は単位回転子20bによる磁束とその磁路であり、固定子10の軸方向での中央部では磁束と磁路Φ1、Φ2が同一方向なので干渉効果による2つの磁束の弱め合いは発生しないことが分かる。これを2磁路間境界部磁界非干渉効果と呼ぶことにする。ここで、上記と同一寸法の回転子を従来技術の図8A,図8Bで示したような単位回転子1個で構成する場合に比べると、軸方向の磁路が半減するため短縮磁路長効果が発揮でき、磁気抵抗が半減するため、磁気損失が少なくバラツキが小さい回転電機が得られることになる。永久磁石26,27をそれぞれ挟んで対向した対の回転子磁極22,23間及び24,25間では永久磁石26,27の外周部分での漏洩磁束はあるが、同極性に磁化された回転子磁極23,24同士間では漏洩磁束はなく、ほとんどの磁束が固定子10に向かうので、磁束の無駄が極めて少なく高トルクが得られることになる。
図1は、回転子20の回転子磁極における任意の磁歯28の中心を前述の直交する中心線(X軸、Y軸)上に図示したものである。より厳密に言えば、単位回転子20aにおける一方の回転子磁極22の任意の磁歯28がX軸、Y軸上に位置するようにしている。
回転子磁極の磁歯の歯数Nrは24であるから回転子磁歯ピッチは、360°/24=15°であり、ステップ角は2相機なので回転子磁歯ピッチを4等分した値となり、3.75°である。本モータはHB型であり、前述より明らかなように、図1で示された回転子磁極22がS極に磁化されているとすれば、その各磁歯28の中間にはN極に磁化された回転子磁極23の磁歯が図示は省略してあるが永久磁石26の厚み分軸方向に隔てて存在する。従って単位回転子としての磁歯のN極とS極のピッチは7.5°であり、この値を相数で割ったものがステップ角であるから、本実施形態は2相機のため、ステップ角は上述した3.75°となる。
次に、図1における固定子10と回転子20とのそれぞれの歯の角度関係について説明する。図1の固定子10の8個の主極11bのうちX軸上に位置する2個の主極11bをA相とし、この主極11bそれぞれの2個の誘導子歯のうち時計回転方向下流側に位置する歯が回転子磁極の磁歯と一致した位置にあり、今A相が励磁され回転子20が吸引されてこの位置にあるとする。そして8個の主極11bは時計回りにA,B,C,D相、A,B,C,D相となり、この順に巻き線が励磁されるものとする。
図1に示すように、A相の次に励磁されるB相の主極11bでは、その2個の誘導子歯11cのうち時計回転方向下流側に位置する歯が回転子磁極の磁歯と3.75°ずれて位置し、C相の主極11bでは、2個の誘導子歯11cのうち時計回転方向下流側に位置する歯が回転子磁極の磁歯と7.5°ずれて位置し、さらにD相の主極11bでは、2個の誘導子歯11cのうち時計回転方向下流側に位置する歯が回転子磁極の磁歯と11.25°ずれて位置している。
このように固定子10と回転子20とのそれぞれの歯の角度関係が設定されているため、図1の状態から次にB相が励磁されると、B相の主極11bにおける誘導子歯のうち時計回転方向下流側の誘導子歯は回転子歯と3.75°隔てているのに対して、上流側の誘導子歯は回転子磁極の磁歯と9.37°もの角度差を有しているため、回転子20は上記下流側の誘導子歯が回転子磁極の磁歯に吸引されるかたちで時計回転方向に3.75°回転する。この角度がステップ角となるように固定子主極の歯が配置されている。このときC相の主極11bについて見ると、図1の状態では主極11bの誘導子歯のうち時計回転方向下流側の誘導子歯は回転子磁極の磁歯と7.5°隔てているが、B相の励磁による回転子20の回転により7.5°−3.75°=3.75°の角度差となっている。このため、次にC相が励磁されると、C相の主極11bの誘導子歯が回転子磁極の磁歯を吸引し、回転子が時計回転方向に3.75°回転する。同様にD相の主極11bの誘導子歯のうち時計回転方向下流側の誘導子歯は図1の状態では回転子磁極の磁歯と11.25°(3.75°の3倍)隔てているが、B相の励磁及びC相の励磁でそれぞれ3.75°×2だけ回転するため、D相が励磁されれば11.25°−3.75°×2=3.75°時計回転方向に回転し、ステップ動作することになる。
このとき、固定子各主極の2個の小歯ピッチは90°/(Ns・Nr)だけ、即ちNs=2,Nr=24を代入して1.875°だけ回転子歯ピッチより小さく異ならせている。これはパーミアンスの第4次成分をキャンセルさせることでコギングトルクを小さくして低振動な回転電機にすることを狙うものである。図1のY軸線上の主極11bの2個の誘導子歯のピッチは5.62°+7.5°=13.12°となり、回転子磁極の磁歯ピッチである15°からほぼ1.875°小さいピッチとしてある。他の主極11bの誘導子歯も同じである。B相の主極11bにおける誘導子歯のうち時計回転方向上流側の誘導子歯の位置が回転子磁極の磁歯と9.37°隔てているのは、上述した2個の誘導子歯ピッチが13.12°なので3.75°を引いた角度を設定していることによる。その他の図1で図示した各主極11bの時計回転方向とは反対側の誘導子歯の角度位置も回転子磁極の磁歯との角度差から同様にして得られる。
固定子10の8個の主極11bは、180°隔てた2個がそれぞれ点対称の関係にあり、同相同極性に巻き線電流で磁化されるので、180°の位置でトルク成分と直交するラジアル方向力は常に打ち消されて不平衡電磁力は起きない。そこから90°隔てた2個の主極11bは180°隔てた前述の2個に対して同相異極性に巻き線電流で磁化され、誘導子歯は電気角で180°異なる位置に配置されて、この4個で1相を形成する。2相分の誘導子歯は1相分から電気角で90°隔てた位置になる。
図1に示した構成は、2相HB機なのでステッピングモータとしては回転子歯数Nrが24の場合であるため、ステップ角度(90°/Nr)は、Nr=24により3.75°となる。
この3.75°は従来技術を示した図8の2相PM式ステッピングモータのステップ角度からきている。図8は2相式クローポール固定子のPM式ステッピングモータの立体カット図である。この種のステッピングモータは電磁鉄板を均等ピッチで菊花状に打ち抜き後の残りの中心に向いた逆放射状クローポールを直角に曲げ立てしてクローポールの固定子歯を設けるものである。このときクローポールの数はクローポールが芯金に倣って垂直に曲げ立つために、力のバランスが向上する4の倍数の4n個(但しnは1以上の整数)が経験的に選ばれる傾向がある。その他分解能を考慮して市場で広く使用されているPM式ステッピングモータはクローポールの数は12個が採用され、マグネットロータと図示された永久磁石回転子のN極とS極の対数である極対数も磁気回路の形成から同じ12となり、ステップ角度7.5°のものが広く使用されている。このクローポール群は図8ではA相歯、B相歯と図示されている。それらを環状に巻き線されたA相コイル、B相コイルで90°位相の異なる電流で励磁駆動される。
図1のステップ角3.75°はステップ角度7.5°の半角に相当するものであり、このステッピングモータを2ステップ駆動すれば7.5°となるので、PM機との互換性が得られるものとなる。PM式ステッピングモータはHB型に比べてエアギャップが大きく、回転子磁石も安価なフェライト磁石を使用しており、またクローポールの根元部で磁気飽和が発生し易く、HB型のように珪素鋼板の積層構造でないので鉄損が大きく、一般に高速性が悪くトルクもHB機と比較して小さい傾向がある。そのため、性能不足の場合に、HB機に置き換える必要がある。その場合、両モータの互換性にはステップ角が同じかその半角あるいは倍角であることが求められる。本発明はこのような背景から生まれたものである。
また本発明のHB型回転電機の回転子歯数はPM機と類似のステップ角とするために、また不平衡電磁力の発生の防止も考慮してPM機と同じ4n個に選べばよい。しかし2相HB機で回転子歯数を4の倍数とするとその固定子は非対称形となることを次に示す。
対称形の固定子は圧延珪素鋼板の板厚偏差や圧延時に生ずるパーミアンスの方向による偏差をキャンセルさるさせることができる90°回転積層が可能となる。これを本願では90°対称形、また90°回転積層が不可能な形状は90°非対称形と定義する。そして通常の設計では90°対称形に設計される。そこで90°対称形となる条件を以下に述べる。
主極数の合計は2相式の場合、1相分の主極数をm個とすれば2m個で等ピッチに配置されているから、隣接相のA相、B相間のピッチは360°/2mとなる。2相機の磁路の場合は、A相が励磁されて、ある極性(例えばS極)の回転子歯と対向している時、次にB相が励磁されて吸引する回転子歯の極性はA相と対向した回転子極性と同じ極性となる。この時、A相と対向している回転子歯とB相と次に対向する回転子歯のピッチはnを整数とした時、n(360°/Nr)となる。そして上述したそれらの差がステップ角θsとなるから次の(1)式が成立する。
θs=±{(360°/2m) −(360°n/Nr)}
(1)
一方、前述したように2相機のステップ角θsは90°/Nrであるから(1)式に代入して次の(2)式を得る。
Nr=m(2n±1/2)
(2)
これが、対称形2相磁路の場合の回転子歯数Nrの一般関係式となる。例えば、mは偶数であり8主極の場合はm=4として、(2)式に代入して(3)式を得る。
Nr=8n±2
(3)
例えば、2相HB型の最も標準形で広く使用されている8主極でステップ角度1.8°のものは、(3)式で、n=6を代入して、Nr=50の場合であり、従来技術として示した90°対称形の図8の例に相当する。
(2)式はその右辺のmは2、4、6のいずれかの数ではNrは整数であるが4の倍数とはなり得ないため、回転子歯数を4の倍数とする本願の2相HB機の固定子形状は90°非対称形となる。
尚、mは偶数であるがm=8では固定子主極数は16個となり巻き線が複雑高価となり、低速トルクも減少するので、m=8以上は現実的ではない。
また固定子主極数2mが4,8、12と相違してもステップ角は2相機であれば、90°/Nrとなり、回転子歯数のみで決まる。図1の8主極の構成は90°回転積層すると歯がずれるため、実施不可能であるが、180°の回転積層は可能であることが分かる。これは前述した完全対称形の90°対称形に対し180°対称形ともいえる。
次に本発明に適応するパーミアンスの高調波成分の除去法について、一般的なHB型ステッピングモータを例に用いて説明する。
図3は、図8A,図8Bで説明したような、一般的なHB型ステッピングモータにおける固定子の任意主極31と回転子32との関係を示したものである。主極31に6個の誘導子歯31aが等間隔に設けられた場合において、主極31の中央軸を回転子32の回転子歯32a間の溝幅の中央に一致させた時、6個の誘導子歯31aの位置を対向する回転子歯32aの位置とのずれ角としてθ1〜θ6と表示している。今、固定子主極の誘導子歯ピッチは均一で回転子歯ピッチよりθsだけ小さい値とする。θsは略360°/(f・Ns・Nr)で決まる値となる。これはパーミアンスの第f次高調波成分をNs個の固定子小歯(誘導子歯)数のベクトルバランスで極小化するものであり、回転子歯数をNrとした場合、回転子歯ピッチは機械角表示で360°/Nrであるが、その第4次高調波ベクトル平面表示はf=4として1/4の1周角が90°/Nrでその平面をNs等分した放射状ベクトルにバランスすることから誘導したものである。この場合、Nr=50、Ns=6、f=4とすればθsは0.3°となる。回転子歯ピッチは7.2°なので、固定子の誘導子歯ピッチは6.9°となる。このベクトルバランスを数式で示せば以下のようになる。
この場合、図3での固定子歯位置と回転子歯位置のずれ角θ1〜θ6は、機械角7.2°を電気角の360°として電気角表示すれば、θ3=θ4=(0.3°/2)×(360°/7.2°)=7.5°、θ2=θ5=(0.3°+0.3°/2)×(360°/7.2°)=22.5°、θ1=θ6=(0.3°+0.3°+0.3°/2)×(360°/7.2°)=37.5°となる。この場合の主極と回転子の対向した位置ずれ角をθ1〜θ6として図3に示したものであるから、図3を参照して、コギングトルクを構成するパーミアンスの第4次空間高調波成分P4は次式で計算でき、その値は零となる。
P4=cos(4・θ3)+cos(4・θ2)+cos(4・θ1)+cos(4・θ4)
+cos(4・θ5)+cos(4・θ6)
=2(cos30°+cos90°+cos150°)=0 (4)
これらの6個の小歯の第4次パーミアンス成分を第4次平面で極座標スベクトル表示すれば、図4の第4次平面の図となりベクトルの総和は零となる。ここで、図4は単位回転子に対する主極31の6個の誘導子歯31aのパーミアンスを第4次高調波平面上のベクトルV1〜V6として示したものである。図3では主極31の中央線に対し回転子32が線対称に位置している時のベクトルV1〜V6が図4のようにバランスする図となっているが、たとえば8主極の任意の1主極では、図3に対し固定子と回転子の相対位置がλ度ずれている場合は、その第4次平面でのベクトルは図4に対しλ/4度だけ6個のベクトルを回転させただけのものとなるのでそれらのベクトルの総和は常に零となり、各主極8個ともそれぞれバランスしていることになる。従って1主極内を吟味すればよい。理論的にはこのようにすればコギングトルクはキャンセルされ、振動も小さくなることになる。
この場合の鎖交磁束となりモータトルクとなる基本波成分は次式となる。
P1=cosθ3+cosθ2+cosθ1+cosθ4+cosθ5+cosθ6
=2(cos7.5°+cos22.5°+cos37.5°)/6=0.902 (5)
即ち90%がトルク成分として残ることになる。
しかし、これは6個の固定子の誘導子歯のパーミアンスが全く等しいという仮定での話である。図3で固定子の8個の主極31の各先端に設けた6個の誘導子歯31aは中央に位置する互いに隣接する一対2個の内側位置歯と、これらの歯の各々に隣接して配置される中間位置の歯と、この中間位置の歯と外側に隣接する外側位置の歯とでは、主極中央位置から見て距離が異なり特に外側に位置する歯はその外側は空間であるため磁束の漏洩状態も他と異なる。このため計算値のように第4次成分は実際には完全には零にならないという問題がある。そのため第4次成分の別のキャンセルの手段を併用して磁路を短くして重複消去することが必要となる。
次に、パーミアンスの第4次成分が主に2相機ではコギングトルク成分となることを説明する。パーミアンスは前述したように余弦表示できる。またコギングトルクTcはパーミアンスの角度変化率となることからパーミアンスを角度で微分して正弦成分構成で一般的にフーリエ級数で次式となる。
Tc=ksinθ+ksin(2θ)+ksin(3θ)+ksin(4θ)
+ksin(5θ)+ksin(6θ)+ksin(7θ)+… (6)
ここで、θは固定子と回転子間の角度、k1、k2、k3、…は各高調波成分の係数である。
2相機では各主極と回転子がπ/2ずれていることから、主極の数だけ加算すれば(6)式で第4項以外はその加算値は零となる。即ち(6)式の第1項〜第7項をそれぞれの調波次数の平面でベクトル表示すれば図示は省略するが奇数次調波成分のベクトルは電気角でπ/2隔てた4種類の2個ずつのベクトルで4箇所でバランスし、偶数次調波成分のベクトルは第4項以外はπ隔てた2種類で4個ずつのベクトルで2箇所でバランスする。しかし偶数次調波成分の第4項のみは8個のベクトルが1箇所に重なりバランスしない。数式で示せば第4項のみの各主極のトルクは加算されて(7)式のようになる。
Tc/k=sin(4θ)+sin{4(θ−π/2)}+sin{4(θ−π)}
+sin{4(θ−3π/2)}+sin{4(θ−π)}+sin{4(θ−π/2−π)}
+sin{4(θ−2π)}+sin{4(θ−π/2)}=8sin4θ (7)
以上の理由で2相機のコギングトルク成分は第4次高調波となるので、前述の(4)式を零ならしめたのはこの第4次高調波を無くすためである。パーミアンスの第4次成分が存在しなければコギングトルクは零に近くなる。コギングトルクが小さくなればモータ回転時の振動も小さくなる。
このように固定子主極の誘導子歯のピッチを回転子と所定の角度θs異ならせることで各単位HB型回転子に磁路毎にパーミアンスのコギングトルク成分である第4次成分をベクトルバランスさせてキャンセルでき、高速回転でも低振動で高トルクとなる。
このとき、本発明のパーミアンスベクトルのバランス効果を得る手段として、固定子主極の誘導子歯のピッチを回転子と所定の角度θsだけ(大きく又は小さく)異ならせる場合、特に、固定子主極の誘導子歯のピッチを回転子のピッチより角度θs小さく選べば主極間の隙間が大きくできて巻き線が容易になる。
本発明の図5は各主極11bにおける2個の誘導子歯11cのパーミアンスのコギングトルク成分である第4次成分を第4次平面でベクトルバランスさせてキャンセルさせる具体例を示したものである。図1との対比で説明する。
θs=90°/(Ns・Nr) (8)
また各主極の2個の小歯ピッチをθqとすると次式を得る。
θq=(360°/Nr)―θs=(360°/Nr)―90°/(Ns・Nr)
=(90°/Nr)(4―1/Ns) (9)
図1よりNs=2,Nr=24であるから(8)、(9)式より
θs=1.875°、θq=13.125°を得る。
これは即ち図1の小歯ピッチである。
一方、第4次平面の360°は360°/(4Nr)=3.75°=1.875°×2であるから図5の如く第4次平面は3.75°で一回りするので1.875°の2本のベクトルVA,VBが点対象となりバランスして第4次高調波成分をバランスさせてキャンセルさせることができる。しかしこの2本のベクトルVA,VBが完全に点対象でなく僅かなずれがあれば第4次高調波成分を完全にバランスさせることができずその残留成分が振動騒音発生をレベルは小さいが引き起こすこともある。そのような場合を回避する手段が本願構成の前述した回転子による効果である。次に図6にて説明する。
本発明の基本要素である前述した2連HB型単位回転子による2重磁路による第4次ベクトルパーミアンスの2重キャンセルの原理を図6に示す。図2で示した如く軸方向に2分割された2つの磁路Φ1、Φ2ができることによる第一の効果は短縮磁路長効果である。これは磁路長が約半減するため磁気抵抗も半減し界磁磁束の増加による高トルク化や、トルクは同一でその分エアギャップを拡大できたり、低い磁力の永久磁石の使用が可能になる等、エアギャップのバラツキの影響を緩和する効果がある。また2磁路Φ1、Φ2間の境界部で磁束が干渉して弱めあうことがないので、2磁路Φ1、Φ2間での磁束量の安定度が高い。これが第二の効果である。よって第4次平面でのベクトルパーミアンスは短縮磁路長効果と2磁路間境界部磁界非干渉効果により、単位回転子が1個の通常のHB型回転子の場合よりベクトルのバラツキは小さくできる。HB型回転電機は固定子の内径を一種の研磨仕上げである円筒型杜石によるホーニング加工をする。この場合、内径が楕円になったり、軸方向で内径が入り口部は大きめで奥部は小さい等のバラツキも発生する。また珪素鋼板の磁気方向性による影響も受ける。このようなエアギャップや磁路の僅かな磁気抵抗のバラツキ等によりパーミアンスベクトルVA,VBにバラツキが発生し、図5のバランスが崩れ図6の左図である磁路Φ1の如くなった場合でも、磁路Φ2が図6の右図の様であれば、2個のベクトルVA,VB間でバラツキが発生しても、2つの分割された磁路Φ1、Φ2間の4個のベクトルの合成効果によりバラツキがよりキャンセルされ易く、一般に2倍のベクトル数でバランスをとる方が飛躍的に優れた振動抑制効果が得られる。
前述したm=2の4主極は一般に低速回転時に大きなトルクが得られるが巻き線インダクタンスが大きくなるので高速回転時のトルクは低下する。一般に主極数と巻き線インダクタンスは反比例する。従って2相機では4主極よりm=4の8主極やm=6の12主極の方が高速時のトルクは有利となる。本発明はこの高速回転に適したモータの提供にも対応したものである。また低速時のトルクは主極数が少ない方が大きくなる。また4主極では不平衡電磁力が単位回転子1個のHB型回転子の場合は起きるが本発明の2連HB型回転子との組み合わせでは不平衡電磁力をキャンセルさせるメリットもある。
次に固定子鉄芯を珪素鋼板からプレス打ち抜き後、180°ずつ次々に回転して積層して所定の積厚まで積み固定して固定子とする場合のパーミアンスベクトルのバラツキ抑制効果を説明する。図1に示した固定子鉄心は180°点対称構造であるため、180°回転させるて重ね合わせることができる。こうすることにより、プレス抜き型の僅かな寸法の差や珪素鋼板の板厚差によるパーミアンスベクトルのバラツキを、キャンセルさせることができる。
例えば珪素鋼板のフープ材があり圧延方向に対しその材料幅の左サイドが厚く右サイドにいくほど薄くなっているとする。図1の固定子鉄心をその珪素鋼板から打ち抜くと図1の形状で左サイドの主極が厚いのでパーミアンスが大きく、右が小さいことになる。中央の主極はその中間の板厚なのでそのパーミアンス値も中間となる。このような固定子鉄芯を180°回転させると、2枚の積層を単位積層として考えると、左のパーミアンス大の主極と右のパーミアンス小の主極が重なり、中央部は中間の大きさの主極同士が重なり、全体として平均化されることになり、この回転させない1枚と180°回転させた2枚間でパーミアンスはバランスする。この2枚による単位積層を所定の厚さまで増やせばよく、各主極の2個の小歯のパーミアンスの第4次成分も均一化されることになる。従って主極内での第4次平面でのパーミアンスベクトルはバランスし易くなり、モータ全体でも第4次平面でのパーミアンスベクトルはバランスし易くすることになる。
図8A,図8Bで示した従来技術では、回転子永久磁石に高価な希土類磁石を使用している。本発明ではモータを同一サイズで安価なフェライト磁石で低振動回転にて同一トルクが得られる。即ち軸方向で2つの磁気回路に分割構成することで短磁気回路としてフェライト磁石等の残留磁束密度Brが0.5T以下の低グレード磁石が採用できる。例えば従来技術で用いる希土類のネオジウム磁石1個より同一サイズのフェライト磁石2個の方が安価のためモータコストも安価となる。また希土類磁石に比較してフェライト磁石のB―Hカーブのフラットな傾きによる動作点の安定化により均一な磁束密度効果のため低振動なモータとなる。B―Hカーブがフラットな傾きの場合はエアギャップ等のバラツキで多少動作点が移動しても磁束の値の変化が少なくできることによる。
本発明のモータは回転子の永久磁石は未着磁でモータとして組み立て後に着磁することが品質の向上と安価になるので望ましい。その着磁方法としては軸方向に時間差を設けて正方向着磁とその逆方向着磁をするものである。同時逆方向着磁では反発磁束により永久磁石へ磁化力が十分に届かないことによる。図2で説明すれば最初の磁化は永久磁石26を主に磁化することを目的としてモータ外部から必要な強さの磁界をかける。次に永久磁石27を磁化するのに必要なだけの磁界を部分的にかける。このときの磁化力は最初の磁化とは逆向きでその強さも最初のものとは適宜調整して強さが異なるものが望ましい。この時間差を設けて軸方向でお互いに逆方向に着磁することで、またその磁化力を正と逆で調整することで2個の磁石をお互いに逆方向に十分に磁化することができる。このようにすれば本発明の回転電機の性能をフルに発揮した永久磁石式回転電機の提供を安価で高品質で実現できる。
本発明による回転電機は、PM式回転電機が有する小型化,低コスト化の特徴と共に、従来のPM式回転電機が出せない領域の高速高トルクと低振動が両立して安定して得られ、生産性も良く、安価にもなるので、ステッピングモータや交流同期電動機あるいはブラシレスDCモータとして、OA機器である複写機やプリンターの用途に対し安価で高速高トルク低振動の回転電機の提供が可能であり、工業的に大きな寄与が期待される。その他、医療機器、FA機器、ロボット、遊戯機械、住宅設備機器への応用も大いに期待される。
10 :固定子
11 :固定子コア
11b:主極
11c:誘導子歯
12 :巻き線
20 :回転子
21 :回転子軸
22,23,24,25:回転子磁極
26,27:永久磁石
28 :磁歯

Claims (6)

  1. 略環状のコアバック部、及びこのコアバック部より放射状に突出形成されそれぞれの先端に複数(Ns)個の誘導子歯を形成してなる2m個(mは2,4,6何れかの数)の主極からなる固定子コアと、該固定子コアのそれぞれの前記主極に巻回された2相の巻き線とを含む固定子と、
    前記固定子にエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性材からなる1対の回転子磁極と該両回転子磁極で挟み込まれ軸方向に着磁された永久磁石とからなる単位回転子を2組共通回転軸上で軸方向に隣接させて構成された回転子とを備え、
    各回転子磁極の外周面には複数(Nr=4n)個(nは1以上の整数)の磁歯が等ピッチで形成され、各単位回転子の1対の回転子磁極はそれぞれの磁歯が1/2ピッチ分ずらせて配置されると共に、両単位回転子はそれぞれの永久磁石の着磁方向が互いに逆になる向きで隣接する回転子磁極の歯位置が一致するように配置されてなる2相ハイブリッド型回転電機であって、
    前記各主極それぞれに形成されるNs個の誘導子歯は、前記固定子コアが90°非対称となる配置に設定されており、前記回転子磁極の磁歯の歯数Nrは4n(nは1以上の整数)個に設定されていることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
  2. 請求項1において、前記固定子の各主極の先端に設けたNs個の誘導子歯は、前記回転子の回転子歯ピッチより略90°/(Ns・Nr)異なるピッチである略(90°/Nr)(4―1/Ns)に設定されていることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
  3. 請求項1又は2において、前記固定子コアは磁性鉄板を積層させて1枚ごとに180°回転積層されていることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
  4. 請求項1において、前記固定子の各主極の先端に設けたNs個の誘導子歯は、前記回転子の回転子歯ピッチより略90°/(Ns・Nr)異なるピッチである略(90°/Nr)(4―1/Ns)に設定され、かつ、前記固定子コアは磁性鉄板を積層させて1枚ごとに180°回転積層されていることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記回転子に用いる永久磁石の残留磁束密度が略0.5T以下のフェライト系永久磁石であることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記回転子の永久磁石は未着磁でモータとして組み立て後に、一方の単位回転子の永久磁石を軸方向に正方向着磁され、その後、時間差を設けて他方の単位回転子の永久磁石が逆方向に部分着磁されることを特徴とする2相ハイブリッド型回転電機。
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