JP2011113803A - 全固体電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、発電要素を収納するための第1凹部と、上記第1凹部の外周に形成され硫化水素無害部を収納するための第2凹部と、少なくとも上記第2凹部の外周に配置された外周密着部を有する密着部とを有する筐体、および上記外周密着部と密着することにより上記第1凹部および第2凹部を密封する蓋体からなる外装材と、正極層、負極層、および上記正極層と負極層との間に配置された固体電解質層を有し、上記第1凹部に収納された発電要素と、硫化水素無害化剤を有し、上記第2凹部に収納された硫化水素無害部とを有し、上記正極層、上記負極層、および上記固体電解質層の少なくとも一つには硫黄を含む硫化物系固体電解質が含有されていることを特徴とする全固体電池を提供する。
【選択図】図1
Description
固体電解質としては、イオン伝導性が高い材料が求められ、例えば、酸化物系固体電解質や硫化物系固体電解質が知られている。なかでも、硫化物系固体電解質は、イオン伝導性が高いものとして知られているが、水分と反応し硫化水素ガスを発生するといった問題があった。
しかしながら、このような方法では、上記発電要素およびこれを覆う外装材の厚み方向および幅方向に配置される無害化剤、および、このような無害化剤の周囲を覆う更なる外装材が必要となることにより、大幅に体積が増加する。このため、全固体電池とした場合の体積が大幅に増加し、体積エネルギー密度が大幅に低下するといった問題があった。
また、特許文献3では、外装材の周辺部の加工容易とするための枠体として吸水性に優れた素材を用いることが開示されているが、このような方法では、硫化水素を吸収し無害化することができないといった問題があった。
また、上記硫化水素無害化部を収納するための第2凹部が上記発電要素を収納する第1凹部の周囲、すなわち、第1凹部の側面方向にのみ形成されるものであることから、硫化水素ガスを効率よく吸収無害化できると共に、上記外装材の厚み方向の体積増加を抑制することができる。
このため、体積エネルギー密度および安全性に優れたものとすることができる。
本発明の全固体電池は、発電要素を収納するための第1凹部と、上記第1凹部の外周に形成され硫化水素無害部を収納するための第2凹部と、少なくとも上記第2凹部の外周に配置された外周密着部を有する密着部とを有する筐体、および上記外周密着部と密着することにより上記第1凹部および第2凹部を密封する蓋体からなる外装材と、正極層、負極層、および上記正極層と負極層との間に配置された固体電解質層を有し、上記第1凹部に収納された発電要素と、硫化水素無害化剤を有し、上記第2凹部に収納された硫化水素無害部とを有し、上記正極層、上記負極層、および上記固体電解質層の少なくとも一つには硫黄を含む硫化物系固体電解質が含有されていることを特徴とするものである。
また、この例においては、上記全固体電池30は、複数の発電要素20が集電体(中間集電体14c)を介して直列に積層したバイポーラ構造を有するものである。
また、上記硫化水素無害化部を収納するための第2凹部が上記発電要素を収納する第1凹部の周囲である、上記発電要素の側面方向にのみ形成されるものである。ここで、硫化水素の発生箇所としては、通常、上記発電要素うち、他の部材により被覆されていない露出した表面、すなわち、上記発電要素の側面に水分が接触することにより生じると推測される。このため、上記発電要素の側面方向にのみ上記硫化水素無害化部が配置されることにより、硫化水素を効率よく吸収し無害化することができると共に、上記外装材の厚み方向の体積増加を抑制することができる。
このようなことから、体積エネルギー密度および安全性に優れたものとすることができるのである。
以下、本発明の全固体電池の各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられる外装材は、筐体と蓋体とからなるものである。
本発明に用いられる外装材を構成する筐体は、第1凹部、第2凹部、および密着部を少なくとも有するものである。
本発明に用いられる筐体を構成する材料としては、上記発電要素および硫化水素無害化部を安定的に収納することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、熱融着可能な熱可塑性樹脂等を用いることができる。
本発明においては、なかでも、外側に気密性を高めることができる金属箔からなる金属箔層を有し、内側、すなわち、上記蓋体と密着する側に熱可塑性樹脂を含む熱融着層を有する防湿性多層フィルムであることが好ましい。上記金属箔層により上記発電要素への水分の透過を抑制することができ、さらに上記熱融着層により強度に優れたものとすることができるからである。また、上記蓋体と容易に密着させることができるからである。
上記金属箔の材料としては、軽量かつ柔軟性を有し、化学的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、物性および価格の面で有利なアルミニウムを好ましく用いることができる。
また、上記熱可塑性樹脂としては、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂あるいは、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を用いることができる。本発明においては、なかでも、ポリエチレンテレフタレートやナイロン樹脂であることが好ましい。機械的強度に優れるからである。
本発明に用いられる筐体における第1凹部は上記発電要素を収納するものであり、上記第2凹部は、上記硫化水素無害化部を収納するものである。このような第1凹部および第2凹部について以下、説明する。
本発明に用いられる筐体における第1凹部の外周に対する第2凹部の形成箇所としては、本発明の全固体電池の劣化や破損により上記発電要素で生じる硫化水素ガスを吸収し無害化できるものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、図3に例示するように、上記第1凹部1の外周に点在するように形成されるものであっても良く、既に説明した図1に例示するように、上記第1凹部1の全外周に形成されるものであっても良い。
本発明においては、なかでも上記第2凹部が上記第1凹部の全外周を囲むように形成されるものであることが好ましい。上記発電要素が配置される第1凹部の全外周を囲むように、上記硫化水素無害化部が配置される第2凹部が形成されることにより、上記発電要素から硫化水素ガスが発生した場合であっても、硫化水素ガスが外装材外に放出されることを効果的に防止することができるからである。
なお、図3は、本発明の全固体電池を筐体側から平面視した場合の概略平面図であり、図中の符号については、図1のものと同一のものである。
また、既に説明した図1に示すように、上記第2凹部が上記第1凹部から独立したものとなる位置、すなわち、上記筐体が上記第1凹部および第2凹部の間に中間密着部を有し、上記蓋体が上記外周密着部と中間密着部と密着することにより、上記第1凹部と第2凹部とを別々に密封するものとすることができる位置に形成することができる。
さらに、本発明においては、上記両態様を含むもの、具体的には、図6に例示するように、上記第2凹部が上記第1凹部に接するものおよび第1凹部から独立したものの両者を有するように配置されるものであっても良い。
なお、図4および6は本発明の全固体電池を筐体側から平面視した場合の概略平面図であり、図5は図4のX−Y線断面図である。また、図中の符号については、図1および図2のものと同一のものである。
また、上記発電要素の周囲に硫化水素ガスが滞留することによる上記発電要素を構成する部材等の劣化を防ぐことができる。
さらに、本発明の全固体電池の体積エネルギー密度を一定とした場合において、上記外周密着部の面積を広いものとすることができるため、上記外装体外部に取り出された集電体(外部端子)等に外部から応力が加わった場合であっても、上記筐体および蓋体が剥離することを抑制することができる。
本発明においては、なかでも、上記第2凹部の開口幅、すなわち、上記第1凹部および筐体の外周の間における第2凹部の幅を狭いものとなるように設計することが好ましい。上記外周密着部を含む密着部の面積を広くすることができ、上記蓋体との密着性を向上させることができるからである。
また、上記第2凹部の深さとしては、上記硫化水素無害化部を安定的に配置することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記第1凹部の深さと同じまたはそれよりも浅いことが好ましい。上記外装体をコンパクトなものとすることができるからである。
本発明に用いられる密着部は、少なくとも上記第2凹部の外周に配置され、上記蓋体と密着することにより上記第1凹部および第2凹部を密封することができる外周密着部を有するものである。
本発明においては、なかでも、上記第2凹部の外周の全領域に形成される外周密着部を有するものであることが好ましく、特に、上記筐体の非凹部形成領域、すなわち、上記第1凹部および第2凹部が形成される領域以外の全領域に形成されるものであることが好ましい。
上記密着部の面積を広いものとすることができ、上記蓋体との密着性に優れたものとすることができるからである。
なお、上記第2凹部が上記第1凹部に対して独立したものとなる位置に形成される筐体を用いて、上記密着部を上記筐体の非凹部形成領域の全領域に形成した場合、上記第1凹部および第2凹部の間に中間密着部を有するものとなる。
なお、図7中の符号については、図1のものと同一のものである。
本発明における外装材を構成する蓋体は、上記筐体の密着部と密着することにより上記第1凹部および第2凹部を密封するものである。
本発明における外装材は、上記筐体の密着部と蓋体とが密着してなるものである。
上記筐体と蓋体との密着形態としては、上記筐体および蓋体が安定的に接着しているものであれば良く、例えば、上記筐体および蓋体同士が接着しているものであっても良く、上記集電体等の他の部材を介して上記筐体および蓋体が接着しているものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記筐体および蓋体として熱可塑性樹脂からなる熱融着層を含むものを用い、この熱融着層を熱融着する方法であることが好ましい。上記外装材の形成が容易だからである。
本発明に用いられる硫化水素無害化部は、硫化水素ガス無害化剤を含み、上記第2凹部に収納されるものであり、さらに絶縁性を有するものである。
このような化学的に硫化水素ガスを吸着し無害化できるものとしては、具体的には、アルカリ性物質を挙げることができる。
上記アルカリ性物質としては、強アルカリ性物質でも弱アルカリ性物質であっても良いが、取り扱いの安全性の観点から弱アルカリ性物質であることが好ましい。
本発明において用いられる強アルカリ性物質としては、具体的には、NaOH,KOH等の周期律表第Ia族の水酸化物を挙げることができ、弱アルカリ性物質としては、Ca(OH)2,Mg(OH)2等の周期律表第IIa族の水酸化物を挙げることができる。
また、物理的に硫化水素ガスを吸着し無害化できるものとしては、具体的には、活性炭やシリカゲル等のガス体を吸着するものを用いることができる。
また、上記収納部材としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、多孔質体や収納ケース等を挙げることができる。
本発明における密着性向上樹脂による被覆箇所としては、上記硫化水素無害化部による硫化水素ガスの吸収および無害化を妨げない箇所であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記硫化水素無害化部のうち上記外装体により密封した際に上記外装体および集電体と接する箇所とすることができる。
本発明においては、なかでも、図8および9に例示するように、上記硫化水素無害化部7の発電要素20側以外を上記密着性向上樹脂8により覆われたもの、すなわち、上記密着性向上樹脂が上記発電要素側に開口を有するように形成されるものであることが好ましい。
上記発電要素側が上記密着性向上樹脂により覆われていないことにより、上記発電要素で発生した硫化水素ガスをより確実に無害化することができるからである。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂としては、一般的な全固体電池に用いられるものを使用することができ、上記外装体および集電体等の材料に応じて適宜設定することができる。具体的には、上記熱可塑性樹脂として上述した熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。
本発明に用いられる発電要素は、少なくとも、正極層、固体電解質層および負極層がこの順で積層されてなる全固体型の発電要素であり、上記正極層、固体電解質層および負極層の少なくとも一つには硫黄を含む硫化物系固体電解質が含有されるものである。
本発明に用いられる硫化物系固体電解質としては、硫黄を含む硫化物あるいは硫化物が配合された物質であれば特に限定されるものではなく、有機化合物、無機化合物、あるいは有機・無機両化合物からなる材料を用いることができ、一般的な全固体電池に用いられるものを使用することができる。
このような硫化物系無機固体電解質としては、特開平4−202034号公報等に記載の無機固体電解質を使用することができる。
具体的には、Li2SとSiS2、GeS2、P2S5およびB2S3との組み合わせからなる無機固体電解質に、適宜、Li3PO4、ハロゲンおよびハロゲン化合物を添加した無機固体電解質を用いることができ、なかでも本発明においては、硫化リチウム(Li2S)と五硫化ニ燐(P2S5)とから生成する、硫化リチウム(Li2S)、単体燐(P)および単体硫黄(S)から生成する、または、硫化リチウム(Li2S)、五硫化ニ燐(P2S5)、単体燐および/または単体硫黄から生成するリチウムイオン伝導性無機固体電解質を使用することが好ましい。リチウムイオン伝導性が高いからである。
本発明に用いられる正極層は、上記固体電解質層の一方の表面に形成されるものである。また、負極層は、上述した正極層が形成されていない固体電解質層の表面に形成されるものである。
このような正極層および負極層を形成するために用いられる電極活物質材料(正極層形成用材料および負極層形成用材料)としては、一般的な全固体電池における正極層および負極層に用いられるものと同様とすることができ、例えば、少なくとも電極活物質(正極活物質または負極活物質)を有し、必要に応じてさらにLiイオン伝導性向上材および導電化材を有するものとすることができる。
ここで、正極活物質と負極活物質には明確な区別はなく、2種類の化合物の充放電電位を比較して貴な電位を示すものを正極活物質とし、卑な電位を示すものを負極に用いることにより任意の電圧の電池を構成することができる。
上記Liイオン伝導性向上材としては、例えば、上記固体電解質層に用いられる固体電解質と同様の材料を用いることができる。上記導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。
本発明における固体電解質層は、上記正極層と負極層との間に配置されるものである。
このような固体電解質層に用いられる固体電解質としては、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般的な全固体電池に用いられる固体電解質を用いることができる。例えば、上記硫化物系固体電解質、リン酸系固体電解質、ガーネット系固体電解質等を挙げることができる。本発明のおいては、なかでも、上記硫化物系固体電解質であることが好ましい。イオン伝導性が高いからである。
本発明の全固体電池は、上記外装材、硫化水素無害化部および発電要素を有するものであるが、通常、上記発電要素の正極層および負極層の表面に配置される集電体を有するものである。
具体的には、既に説明した図1に示すように外装材10内に複数の発電要素20が中間集電体14cを介して直列に積層されているバイポーラ構造の全固体電池30や、図10に例示するように、外装材10内に複数の発電要素20が集電体を介して並列に積層されているモノポーラ構造の全固体電池30であることが好ましい。
なお、この場合、積層される発電要素の数は、例えば1個以上が好ましく、なかでも2個以上がより好ましく、10個以上がさらに好ましく、50個以上が特に好ましい。一方、積層される発電要素の数は、通常100個以下である。
なお、図10中の符号については、図1のものと同一のものである。
2 … 第2凹部
3 … 筐体
4 … 蓋体
5 … 外周密着部
6 … 中間密着部
7 … 硫化水素無害化部
10 … 外装材
11 … 負極層
12 … 固体電解質
13 … 正極層
14 … 集電体
20 … 発電要素
30 … 全固体電池
Claims (3)
- 発電要素を収納するための第1凹部と、前記第1凹部の外周に形成され硫化水素無害部を収納するための第2凹部と、少なくとも前記第2凹部の外周に配置された外周密着部を有する密着部とを有する筐体、および前記外周密着部と密着することにより前記第1凹部および第2凹部を密封する蓋体からなる外装材と、
正極層、負極層、および前記正極層と負極層との間に配置された固体電解質層を有し、前記第1凹部に収納された発電要素と、
硫化水素無害化剤を有し、前記第2凹部に収納された硫化水素無害部と
を有し、
前記正極層、前記負極層、および前記固体電解質層の少なくとも一つには硫黄を含む硫化物系固体電解質が含有されていることを特徴とする全固体電池。 - 前記第2凹部が、前記第1凹部の全外周を囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の全固体電池。
- 前記筐体は、前記第1凹部と第2凹部との間に、中間密着部を有し、前記蓋体が前記外周密着部と中間密着部と密着することにより、前記第1凹部と前記第2凹部とを別々に密封することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の全固体電池。
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