JP2011109452A - 車載通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる車載ネットワーク間でデータを中継する際、中継遅延を抑制することができる車載通信システムを提供すること。
【解決手段】タイムトリガ方式の通信ネットワーク21と、イベントドリブン方式の通信ネットワーク41とがゲートウェイを介して接続された車載通信システム100であって、タイムトリガ方式の通信ネットワークから送信された同期フレームに所定の優先順位を設定して、CANネットワークに送信する優先的送信手段26と、同期フレームの受信をトリガにFlexRayネットワークへ送信データを送信する送信手段40と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車載通信システムに関し、特に、異なるプロトコルの車載ネットワークが接続された車載通信システムに関する。
車両の電子化が進むにつれ車両に搭載される電子制御ユニットの数が増大している。各電子制御ユニットが互いにデータ通信することで多彩な制御が可能となるため、各電子制御ユニットはCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークにより接続されている。しかしながら、これまで油圧などで機械的に実現してきた操舵や制動などの機能を、アクチュエータや電気モータで実現する「x by wire」などの搭載が要請されるようになり、CAN通信による制約が目立つようになってきた。このため、CAN通信以外にFlexRayと呼ばれる規格の車載ネットワークが採用されるようになってきた。
しかしながら、FlexRayは普及の初期段階であること、CANよりも高価であること、等の理由により、CANとFlexRayが一台の車両に混在して搭載される場合がある。CANとFlexRayはプロトコルが異なるが、ゲートウェイを介することで、それぞれの車載ネットワークに接続された電子制御ユニットが通信することができる(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、CANではイベントドリブン方式でデータを送信するのに対し、FlexRayでは車載ネットワーク上の各電子制御ユニットが予めスケジューリングされた送信タイミングでデータを送信するタイムトリガ方式を採用している。したがって、FlexRay側で閉じた通信であれば、データ通信に遅延は生じないが、CAN側の電子制御ユニットがFlexRay側の電子制御ユニットに送信したデータは、タイムスケジュールによりゲートウェイに割り当てられた送信タイミングでなければ中継されない。このため、CAN側の電子制御ユニットがFlexRay側の電子制御ユニットにデータを送信する場合は、遅延が発生していた。
特許文献1には、CANとFlexRayという異なる車載ネットワーク間でデータを中継する時の遅延を抑制する目的で、CANネットワークのECUから受信するデータの通信周期を測定して、次にデータを受信するタイミングを推定し、推定された受信タイミングに所定時間を加算した時刻に基づき、FlexRayのECUに向けてデータを送信するタイミングを決定するゲートウェイが開示されている。
特開2008−306648号公報
しかしながら、特許文献1に記載された中継方法では、CAN側の通信量が多くなると、推定した受信タイミングでゲートウェイがCAN側の電子制御ユニットから通信データを受信することが難しくなる。このため、CAN側の通信量が多くなると、中継遅延が大きくなるという問題がある。
また、特許文献1に記載されたゲートウェイは、CAN側のECUから受信する通信周期を測定して、次に通信データを受信するタイミングを推定するので、CAN側を主体とした時間管理となっている。しかし、イベントドリブン方式を採用しているCAN側を主体とした時間管理は、正確であるとは限らない。このため、CAN側のECUから受信する通信周期を測定して、次に通信データを受信するタイミングを推定しても、推定したタイミングが正しいという保証がない。
本発明は、上記課題に鑑み、異なる車載ネットワーク間でデータを中継する際、中継遅延を抑制することができる車載通信システムを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明は、タイムトリガ方式の通信ネットワークと、イベントドリブン方式の通信ネットワークとがゲートウェイを介して接続された車載通信システムであって、タイムトリガ方式の通信ネットワークから送信された同期フレームに所定の優先順位を設定して、CANネットワークに送信する優先的送信手段と、同期フレームの受信をトリガにFlexRayネットワークへ送信データを送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
異なる車載ネットワーク間でデータを中継する際、中継遅延を抑制することができる車載通信システムを提供することができる。
車載通信システムの概略構成図の一例である。 ゲートウェイの機能ブロック図の一例である。 FlexRayネットワークから送信される同期フレームのタイミングと、CANネットワークのECUが通信データを送信するタイミングを説明する図の一例である。 FlexRayネットワークとCANネットワークのECUが通信する手順の一例を示すシーケンス図を示す。 本実施形態の車載通信システムの効果を模式的に示す図の一例である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、車載通信システム100の概略構成図の一例を示す。まず、本実施形態の車載通信システム100の概略を説明する。
(1)ゲートウェイ200がFlexRay側からCAN側に同期トリガ(後述する同期フレーム)を送信する
(2)ゲートウェイ200は同期トリガに優先順位の高いCANIDを付与する。
(3)同期トリガを受信したCAN側の電子制御ユニット(以下、ECU(electronic control unit)という)は、同期トリガを受信したタイミングで制御、データ通信(CAN内、FlexRay向けの両方)を開始する。
CANネットワーク(以下、Cネットワークという)41のECU40が、同期トリガに同期してアクチュエータ等を制御すれば、FlexRayネットワーク(以下、Fネットワークという)21のECU20と協調又は同期した制御が可能になる。Cネットワーク41のECU40が、同期トリガに同期してCネットワーク41のECU40にデータを送信すれば、Cネットワーク41のECU40がFネットワーク21のECU20と協調又は同期した制御が可能になる。Cネットワーク41のECU40が、同期トリガに同期してFネットワーク21のECU20にデータを送信すれば、Fネットワーク21のECU20がCネットワーク41のECU40と協調又は同期した制御が可能になる。
タイムトリガ方式のFネットワーク21のECUから、ゲートウェイ200は、遅延なく同期トリガを受信できる。また、ゲートウェイ200は同期トリガに優先順位の高いCANIDを付与するので、ゲートウェイ200は遅延なくCネットワーク41のECU40に同期トリガを送信することができる。
ゲートウェイ200は、Cネットワーク41から通信データ(以下、1つの通信データをフレームという。)を受信するが、ゲートウェイ200がフレームをFネットワークに転送するタイミングを適切に定めておくことで、ゲートウェイ200は遅延なくFネットワーク21のECU20にフレームを中継することができる。したがって、Fネットワーク21のECU20は、同期トリガを基準としてフレームを受信できることになり、Fネットワーク21のECU20の通信スケジュールを、Cネットワーク41からフレームを受信することを前提に組み立てることができる。
図1では異なる車載ネットワーク(Cネットワーク41、Fネットワーク21)がゲートウェイ200を介して接続されている。なお、Cネットワーク41は、各ECU40がCAN通信制御部を有しCANプロトコルにより通信する車載ネットワークであり、Fネットワーク21は、各ECU20がFlexRay通信制御部を有しFlexRayプロトコルにより通信する車載ネットワークである。
Fネットワーク21には、サスペンションECUやスタビライザECU等、厳密な時間管理が必要なECU20が接続されている。また、Fネットワーク21には後述する同期ノードが接続されている。サスペンションECUやスタビライザECUが同期ノードの場合もある。
一方、Cネットワーク41には、それ以外の、エアバッグECU、エンジンECU、ブレーキECU等のECU40及び舵角センサ42やステアリングセンサ43等が接続されている。
ゲートウェイ200は、後述するCAN通信制御部28及びFlexRay通信制御部24を有する情報処理装置(コンピュータ)である。この他、ゲートウェイ200は、互いにバスで接続されたCPU、主記憶装置、補助記憶装置、EEPROM及び入出力インターフェイス等を有する。
ゲートウェイ200は、フレームのフォーマットを変換するなどして、通信プロトコルの異なるネットワーク間での通信を可能とする。Cネットワーク41からFネットワーク21に(又はその逆に)、中継すべきフレームの識別情報(例えば、CANIDやフレームID)は予めゲートウェイ200に登録されている。ゲートウェイ200は、このフィルタリングルールに従いフレームを中継する。
〔CAN通信〕
CAN通信では、フレーム(以下、Cネットワーク41のECU40から送信されたフレームをCフレームという)を1つの単位としてデータを送受信する。Cフレームのフォーマットは、例えば「SOF;データIDフィールド;RTR;制御フィールド;データフィールド;CRCフィールド;ACKフィールド;EOF」である。あるECU40がバスライン上で送信したCフレームは、バスライン上の他の全てのECU40に同報的に送信される。Cフレームを受信したECU40は、そのCフレームを自分が受信すべきか否か、受信すべきならどのように処理すべきかを判断する。
また、このCANIDは、優先順位を判断するために使用される。Cネットワーク41では、各ECU40がCフレームを送信するタイミングが規定されておらず、センサが所定の信号を検出したこと、Cフレームを受信したことなどをトリガにCフレームを送信する(イベントドリブン方式)。このため、Cネットワーク41は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)をバスアクセスに採用し、バスの使用権を調停する。すなわち、先に通信を開始したECU40にバスの使用権が与えられる。
また、複数のECUが同時に通信を始めた場合、各ECU40はバス上に流れるCANIDと自分が送信したCANIDを比較して、ビット単位で、自分よりも優先順位の高いCANIDであると判定すると、送信を中止する。したがって、結果的に、最も優先順位の高いCANIDのCフレームを送信したECU40が優先的にCデータを送信することができる。
〔FlexRay通信〕
次に、FlexRay通信について説明する。Fネットワーク21では、原則的に、各ECU20が同期を取り各ECU20が予め割り当てられたタイミングでのみフレーム(以下、Fネットワーク21のECU20から送信されたフレームをFフレームという)を送信する。なお、例外的に、各ECU20はイベントドリブン方式でFフレームを送信することもできる。
Fネットワーク21では、同期サービスを利用して、各ECU20の送信するタイミングがスケジュールされている。各ECU20は、64サイクルを1つの周期として、サイクル番号1〜63のそれぞれにおいて、Fフレームの送信タイミングを管理している。1つのサイクルは、スタティックセグメント、ダイナミックセグメント、シンボルウィンドウ、ネットワークアイドル時間に分割されている(ダイナミックセグメント、シンボルウィンドウを含めないように設計することもできる)。
スタティックセグメントの時間的な長さは、固定長であるスタティックスロットの整数倍になり、Fネットワーク21上のECU20は予め定められたスタティックスロットでのみFフレームを通信することができる。1つのスタティックスロットが上記のFフレームに相当する。なお、Fネットワーク21のECU20がイベントドリブンで通信する場合は、ダイナミックセグメントを利用する。
1つのスタティックスロットは、アイドル時間、ヘッダ・セグメント、ペイロード・セグメント及びトレイラ・セグメントを有する。ペイロード・セグメントが種々の識別情報を含むセグメントで、ペイロード・セグメントが主にデータを格納するセグメントで、トレイラ・セグメントはCRC(Cyclic Redundancy Check)を格納するセグメントである。
ヘッダ・セグメントには、「Reserved bit」「Payload preamble Indicator」「Null Frame Indicator」「Sync Frame Indicator」「Startup Frame Indicator」「Frame ID」「Length」「Header CRC」「Cycle」の各フィールドが含まれる。本実施例では、「Sync Frame Indicator」と「Frame ID」を説明に用いる。「Sync Frame Indicator」は、同期フレームであることを示すインジケータになる。「Sync Frame Indicator」が「1」の場合、そのスタティックセグメントは同期フレームになる。また、「Frame ID」は、Fフレームを識別するIDであり、「Frame ID」により、Fフレームを受信したECU20が、スタティックスロットの内容や送信したECU20を識別することが可能になる。
各ECU20はそれぞれクロックを有するが、ECU間でクロック(マイクロティックレベル)は若干ずれており、各ECUがそれぞれのローカル時間を補正しないと、時間とともにFフレームのタイミングがずれてしまう。このため、Fネットワーク21上のECU20は、同期フレームを用いてFフレームの時間を調整する(各ECUがマクロティックレベルの時間を合わせる)。同期フレームを送信するECU(同期ノード)はFネットワーク21上で予め定められている。同期フレームを受信した他のECU20は、「Sync Frame Indicator」を監視して、同期フレームであることを検出すると、同期フレームを受信したタイミング等に基づき、クロックの分周を調整する。
〔ゲートウェイ200の機能〕
図2は、ゲートウェイ200の機能ブロック図の一例を示す。ゲートウェイ200は、Cネットワーク41側に受信バッファ29及び送信バッファ27を、Fネットワーク21側に受信バッファ22及び送信バッファ23を、それぞれ有する。また、ゲートウェイ200は、プロトコル変換部25(以下、プロトコル変換部Aという)、プロトコル変換部30(以下、プロトコル変換部Bという)、優先度設定部26、FlexRay通信制御部24、及び、CAN通信制御部28を有する。
受信バッファ22は、Fネットワーク21側から送信されたFフレームを記憶する記憶領域であり、受信バッファ29はCフレームを記憶する記憶領域である。送信バッファ23は、プロトコル変換部Bが受信バッファ29に記憶されたCフレームを変換してFフレームとして記憶する記憶領域であり、送信バッファ27は、プロトコル変換部Aが受信バッファ22に記憶されたFフレームを変換してCフレームとして記憶する記憶領域である。
CAN通信制御部28は、CAN通信のプロトコルに従ってCフレームの通信を制御する。上記のように、CAN通信制御部28は、受信バッファ29に記憶されたCフレームを中継する必要があるか否かをフィルタリング部31に問い合わせる。なお、フィルタリング部31が中継の判定の必要があると判定したCフレームのみ、受信バッファ29に記憶してもよい。
フィルタリング部31はCANIDに基づき、Fネットワーク21側に中継するか否かを判定する。フィルタリング部31は、中継すると判定した場合、プロトコル変換部BにCフレームをFフレーム変換するよう要求し、中継しないと判定した場合、受信バッファ29に記憶されたCフレームを破棄する(削除する)。
プロトコル変換部Bは、予め有する変換テーブルを参照し、Cフレームの各フィールドをFフレームのフィールドに格納する。「Frame ID」には、少なくともCネットワーク41から送信されたFフレームであること、より好ましくはCネットワーク41上のECU40を特定する情報が含まれる。プロトコル変換部Bは、変換により得たFフレームを送信バッファ23に格納する。
FlexRay通信制御部24は、送信バッファ23のFフレームを、ゲートウェイ200に割り当てられたスタティックスロットで送信する。複数のスタティックスロットをゲートウェイ200に割り当てることもできるので、FlexRay通信制御部24はほぼ遅延なくFフレームをFネットワーク21に中継できる。なお、ゲートウェイ200へのスタティックスロットの割り当てについては後述する。
同様に、FlexRay通信制御部24は、FlexRayのプロトコルに従ってFフレームの通信を制御する。FlexRay通信制御部24は、受信バッファ22に記憶されたFフレームを中継する必要があるか否かをフィルタリング部31に問い合わせる。なお、フィルタリング部31が中継の判定の必要があると判定したFフレームのみ、受信バッファ22に記憶してもよい。
フィルタリング部31は「Frame ID」と「Sync Frame Indicator」に基づき、Cネットワーク41側に中継するか否かを判定する。本実施形態のフィルタリング部31は、少なくとも「Sync Frame Indicator」が「1」のFフレーム(=同期フレーム)をCネットワーク41に中継すると判定する。また、この他、この同期フレームでなく、一般制御フレームを同期フレームとして割り当てる(同期フレームとして扱う)こともできる。
フィルタリング部31は、中継すると判定した場合、プロトコル変換部AにFフレームをCフレーム変換するよう要求し、中継しないと判定した場合、受信バッファ22に記憶されたFフレームを破棄する(削除する)。プロトコル変換部Aは、予め有する変換テーブルを参照し、Fフレームの各フィールドをCフレームのフィールドに格納する。
次に、優先度設定部26は、プロトコル変換部AからCフレームを受け取り、CフレームのCANIDに最も優先順位の高い値(小さい値)又はある程度優先順位の高い値を設定する。このCフレームは、同期フレームとしてのFフレームである(又は通信データとしてのFフレーム)。こうすることで、タイムイベント方式を採用しないCネットワーク41において、Fネットワーク21からCネットワーク41への中継に生じる遅延を最小限に抑制できる。優先度設定部26は、Cフレームに変換されCANIDの優先順位が最も高くなったCフレームを送信バッファ27に格納する。CAN通信制御部28は、ECU40がバスを使用していなければ、又は、ECU40がバスを使用していても次のECU40が送信する前に、CフレームをCネットワーク41に送信する。
〔中継後のCネットワーク41側のECU40の動作〕
続いて、Cネットワーク41側のECUの動作について説明する。Cネットワーク41側のECU40は、ゲートウェイ200の中継により、Fフレームとして送信された同期フレームをCフレームとして受信することができる。Cネットワーク41側の各ECU40は同期フレームを受信したことをトリガに予め定められた動作を実行する。動作には次のようなものがある。
A.各ECUに接続されたアクチュエータ等の制御
B.Cネットワーク41内のECU40への通信データの送信
C.Fネットワーク21へ向けた通信データの送信
Aの構成により、CネットワークのECU20は、ほぼ遅延なく受信される同期フレームに同期してアクチュエータ等を制御できるので、FネットワークのECUと協調又は同期した制御が可能になる。
Bの構成により、Cネットワーク41のECU40は、ほぼ遅延なく受信される同期フレームに同期してCネットワーク41のECU40にデータを送信できるので、同期フレームをトリガにCネットワーク41内のECU40が連鎖的にFネットワーク21のECU20と協調又は同期した制御が可能になる。
Cの構成により、Fネットワーク21のECU20は、イベントドリブン方式のCネットワーク41から受信する通信データのタイミングを制御できる。
図3は、Fネットワーク21から送信される同期フレームのタイミングと、Cネットワーク41のECU40が通信データを送信するタイミングを説明する図の一例である。
Fネットワーク21の同期ノードは、予め決まったタイミング(スタティックスロット)で同期フレームを送信する。同期ノードが送信した同期フレームはゲートウェイ200によりCネットワーク41に中継されるので、遅延時間Taを持ってCネットワーク41の各ECUが受信する。同期フレームのCANIDは優先順位が最も高くなっているので、遅延時間Taはほぼ固定としてよい。
同期フレームを受信したCネットワーク41のECU40(図では単に40a,40bとする)は、それぞれFネットワーク21に通信データを送信する。ECU40a,40bはこの通信データの優先順位(CANID)を最も高くしておくことが好ましい。
したがって、同期ノードが同期フレームを送信してから、ゲートウェイ200が40a,40bからCフレームを受信するまでの時間はほぼ一定であり、同期フレームの送信タイミングが固定されていることから、同期ノードが同期フレームを送信してから、ゲートウェイ200が受信するまでの時間もほぼ固定である。
ここで、ゲートウェイ200のFlexRay通信制御部24は、40a,40bから通信データを受信するタイミングで、スタティックスロットが割り当てられている。したがって、ゲートウェイ200が40a,40bから通信データを受信してから、Fネットワーク21に該通信データを中継するまでの遅延をほぼなくすことができる。若干の余裕を見て、設計者がゲートウェイ200に割り当てるスタティックスロットを、40a,40bから通信データを受信するタイミングに対し1〜3個程度後のスタティックスロットとしても、最大の遅延時間を1〜3このスタティックスロット分の時間程度に制限できる。すなわち、ゲートウェイ200に割り当てられるスタティックスロットを、同期ノードが同期フレームを送信するタイミングと、40a,40bから通信データを受信するタイミングを考慮して決定することで、Fネットワーク21のECU20がCネットワーク41のECU40から受信するタイミングを制御することができる。
また、このようにゲートウェイ200に中継用のスタティックスロットを優先的に割り当てることで、Fネットワーク21の各ECU20に割り当てるスタティックスロットも好適に設計することができる。すなわち、Fネットワーク21のECU20に割り当てられるスタティックスロットを、ゲートウェイ200以外のスタティックスロットとし、かつ、Fネットワーク21のECU20が、40a、40bからのCフレームを受信して所定の処理を行ったタイミング等に(例えば、Cフレームに対する処理結果をFフレームとして送信するタイミング)、決定することができる。
このようにしてFネットワーク21のECU20にスタティックスロットを割り当てれば、Fネットワーク21のECU20は、Cネットワーク41のECU40からほぼ決まったタイミングで通信データを受信できるので、Fネットワーク21のECU20はCネットワーク41のECU40と協調制御することができる。上記のように、Cネットワーク41のECU40は同期フレームに同期して制御する。したがって、Fネットワーク21のECU20から見れば、Fネットワーク21のECU20とCネットワーク41のECU40を問わずに、協調制御や同期制御が可能となる。
〔動作手順〕
図4は、Fネットワーク21のECU20とCネットワーク41のECU40が通信する手順の一例を示すシーケンス図を示す。
Fネットワーク21の同期ノードは、予め定められたタイミングで同期フレームを送信する(S10)。このタイミングは、例えば64サイクル毎又は1サイクル毎の定期的、又は、Fネットワーク21のECU20がCネットワーク41のECU40と協調制御するタイミングである。
ゲートウェイ200は受信したFフレームに対し一連の処理を施す(S20)。すなわち、FlexRay通信制御部24は、受信バッファ22に記憶されたFフレームを中継する必要があるか否かをフィルタリング部31に問い合わせる。フィルタリング部31は「Sync Frame Indicator」が「1」のFフレームをCネットワーク41に中継すると判定する。フィルタリング部31は、プロトコル変換部AにFフレームをCフレーム変換するよう要求する。プロトコル変換部Aは、予め有する変換テーブルを参照し、Fフレームの各フィールドをCフレームのフィールドに格納する。優先度設定部26は、プロトコル変換部AからCフレームを受け取り、CフレームのCANIDに最も優先順位の高い値(小さい値)を設定する。優先度設定部26は、Cフレーム変換されCANIDの優先順位が最も高くなったCフレームを送信バッファ27に格納する。
そして、CAN通信制御部28は、同期フレーム(Cフレーム)をCネットワーク41のECU40に送信する(S30)。
Cネットワーク41のECU40は、CANIDに基づき同期フレーム(Cフレーム)を監視して、同期フレーム(Cフレーム)に応じて予め定められた処理を実行する(S40)。すなわち、上記A〜Cの処理を実行する。
「C」の処理を実行するECU40がある場合、Cネットワーク41のECU40はFネットワーク21へ向けて通信データ(Cフレーム)を送信する(S50)。
ゲートウェイ200は、受信したCフレームに対し一連の処理を施す(S60)。すなわち、CAN通信制御部28は、受信バッファ29に記憶されたCフレームを中継する必要があるか否かをフィルタリング部31に問い合わせる。フィルタリング部31はCANIDに基づきCフレームをCネットワーク41に中継すると判定する。フィルタリング部31は、プロトコル変換部BにCフレームをFフレーム変換するよう要求する。プロトコル変換部Bは、予め有する変換テーブルを参照し、Cフレームの各フィールドをFフレームのフィールドに格納する。プロトコル変換部Bは、Fフレームに変換された通信データ(Fフレーム)を送信バッファ23に格納する。
そして、FlexRay通信制御部24は、割り当てられたスタティックスロットにより遅延なく通信データ(Fフレーム)をFネットワーク21のECU20に送信する(S70)。したがって、Fネットワーク21のECU20は、同期ノードが同期フレームを送信してからほぼ固定のタイミングで通信データ(Fフレーム)を受信することができる。
以上説明したように、本実施形態の車載通信システム100は、異なるプロトコルの一方のネットワークがタイムトリガ方式を採用していれば、タイムトリガ方式の車載通信システム100とイベントドリブンのネットワークの協調制御、同期制御が可能となる。また、ゲートウェイ200による中継遅延を抑制できる。
〔効果〕
図5は、本実施形態の車載通信システム100の効果を模式的に示す図の一例である。図5(a)は本実施形態の車載通信システム100の通信タイミングを、図5(b)は比較のために示した従来の車載通信システム100の通信タイミングを、それぞれ示す。
従来は、Fネットワーク21のECU20が通信データの要求のための通信データS1を送信してから、Fネットワーク21のECU20が受信するまでは時間T1かかっていた。また、この時間T1は不定であった。このため、従来は、Cネットワーク41のECU(P,Q)が通信データを定期的にFネットワーク21に送信することが必要で、これも中継遅延を増大させる一因であった。
これに対し、本実施形態の車載通信システム100は、Fネットワーク21のECU20が通信データの要求のための通信データS1(同期フレーム)を送信してから、Fネットワーク21のECU20が受信するまでは時間T2かかる。時間T2は時間T1よりも短く、かつ、ほぼ一定にすることができる。したがって、遅延時間を短くし、かつ、同期ノードが通信データS1を送信してから、ECU20がECU40a、40bからCフレームを受信するまでの時間を固定することができる。したがって、従来のように、Cネットワーク41のECU40が通信データを定期的にFネットワーク21に送信することなく、ECU20は所望のタイミングで確実にECU40a、40bからCフレームを受信することができる。
また、遅延時間が短いことは、Fネットワーク21とCネットワーク41の間でより多くの通信が可能なることをも意味する。
20 FlexRayネットワークのECU
21 FlexRayネットワーク
40 CANネットワークのECU
41 CANネットワーク
100 車載通信システム
200 ゲートウェイ

Claims (1)

  1. タイムトリガ方式の通信ネットワークと、イベントドリブン方式の通信ネットワークとがゲートウェイを介して接続された車載通信システムであって、
    タイムトリガ方式の通信ネットワークから送信された同期フレームに所定の優先順位を設定して、CANネットワークに送信する優先的送信手段と、
    前記同期フレームの受信をトリガにFlexRayネットワークへ送信データを送信する送信手段と、
    を有することを特徴とする車載通信システム。
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