JP2011108694A - 有機半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を提供することを主目的とする。
【解決手段】基板、および上記基板上に形成され、配列性を示す有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、上記有機半導体トランジスタが、上記有機半導体層の一方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するゲート絶縁層と、上記有機半導体層の他方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有する配向層と、を有するものであり、さらに上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、上記配向層に用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とする有機半導体素子を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機半導体トランジスタが用いられた有機半導体素子に関するものである。
近年、TFTに代表される半導体トランジスタは、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。このような半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。従来、上記半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)やインジウムガリウム砒素(InGaAs)などの無機半導体材料が用いられている。近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
その一方で、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。図4に例示するように、上記有機半導体材料を用いたトランジスタ100は、通常、ゲート電極100aと、上記ゲート電極100aを絶縁するゲート絶縁層100bと、上記有機半導体材料からなる有機半導体層100cと、上記有機半導体層100cに接触するように形成されたソース電極100dおよびドレイン電極100eを有するものであり、上記ゲート電極100aが、上記有機半導体層100cの下面側に配置されているボトムゲート型構造のものと(図4(a))、上記ゲート電極100aが上記有機半導体層100cの上面側に配置されているトップゲート型構造のものと(図4(b))、が知られている。
このような有機半導体材料が用いられたトランジスタは、上記無機半導体材料に比べて安価で大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイ等の次世代ディスプレイ装置への応用を想定した研究が活発に行われている。
ここで、上記有機半導体材料が用いられたトランジスタの性能は、主として上記有機半導体材料の種類によって決定されるものであるところ、上記有機半導体材料として配列性を有するものを用いることにより、特性に優れたトランジスタを得ることが知られている。より具体的には、有機トランジスタは上記有機半導体層が一定条件下においてソース電極とドレイン電極とを通電させる性質を有することにより、トランジスタとしての性能を発現するものであるところ、上記有機半導体層に用いられる有機半導体材料として配列性を有するものを用い、当該有機半導体材料を有機半導体層において規則的に配列させることにより、ソース電極およびドレイン電極の通電を促すことができ、その結果としてトランジスタ特性に優れた有機トランジスタを得ることができることが知られている。このように、配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタとしては、たとえば、液晶性を有する有機半導体材料が用いられたものが知られている(特許文献1)。
しかしながら、このような配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体素子では、有機半導体層において上記有機半導体材料を規則的に配列させることが現実的には困難であるという問題点があった。これは次のような原因によるものである。
すなわち、上述したように有機半導体が用いられた有機トランジスタはボトムゲート型構造を有するものとトップゲート型構造を有するものとが知られているが、上記トップゲート型構造を有するものは有機半導体層を形成した後、当該有機半導体層上にゲート絶縁層を形成することが必須になっている。一方、上記ボトムゲート型構造を有するものは、トランジスタとしての機能を発現させるのみであれば、上記有機半導体層上に他の構成を形成せずに有機半導体層が最表層となるように形成することも考えられる。しかしながら、上記有機半導体材料は無機半導体材料よりも耐久性が劣ることから、性能を安定化させるためには上記有機半導体層を保護する層を上記有機半導体層上に形成することが現実的には必要になっている。このように、上記有機半導体層が用いられる場合には上記有機半導体層上に何らかの構成を形成することが必要になるところ、上記有機半導体材料として配列性を有するものを用いた場合、有機半導体層上に他の構成を形成する際に有機半導体材料の配列性が損なわれてしまうという問題があった。このようなことから、トランジスタ性能の向上を意図して配列性を有する有機半導体材料を用いたとしても、その目的を十分に達成することが困難であるという問題があった。
特開2006−163551号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、基板、および上記基板上に形成され、配列性を示す有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、上記有機半導体トランジスタが、上記有機半導体層の一方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するゲート絶縁層と、上記有機半導体層の他方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有する配向層と、を有するものであり、さらに上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、上記配向層に用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とする有機半導体素子を提供する。
本発明によれば、上記有機半導体層が上記有機半導体材料に対して配列性を有する配列性材料を含有するゲート絶縁層および配向層によって挟持された構成を有することにより、有機半導体層が配列性を有する層によって挟持された構成を有するものにできるため、上記有機半導体層中における有機半導体層の配列性を向上させることができる。
また本発明によれば、上記ゲート絶縁層および配向層が上記有機半導体材料に対して配列性を有する配列性材料が含まれることにより、本発明の有機半導体素子を製造する過程において、上記有機半導体層上にゲート絶縁層または配向層を形成する際に、上記有機半導体層中における有機半導体材料の配列性が損なわれることを防止することができるという利点を有する。
さらに本発明によれば、上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と上記配向層に用いられる配列性材料とが同一材料であることにより、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性を近似したものにできる。このため、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性が不均衡であることに起因して生じる有機半導体トランジスタの内部破損を防止することができ、例えば上記基板として可撓性を有するフレキシブル基板を用いた場合に、基板の変形によって有機半導体トランジスタが内部破損してしまうことも防止できる。
このようなことから、本発明によれば配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を得ることができる。
本発明においては、上記有機トランジスタが、ボトムゲート型構造を有するものであり、かつ上記配向層がパッシベーション層を兼ねることが好ましい。上記配向層がパッシベーション層を兼ねることにより、有機半導体層の劣化を防止することを目的として他の層を別途形成することなく、本発明の有機半導体素子の経時安定性を向上させることができるからである。
また、本発明においては上記配列性材料がカルド型樹脂、PVA、またはPVPであることが好ましい。これらの材料は上記有機半導体材料に対する配列性が優れるため、これらの材料が配列性材料として用いられることにより、上記有機半導体層中における上記有機半導体材料の配列規則性を向上させることができ、本発明の有機半導体素子をより半導体特性に優れたものにできるからである。
さらに、本発明においては上記有機半導体材料が液晶性有機半導体材料であることが好ましい。液晶性有機半導体材料は規則的に配列する性質が優れているため、これを用いることにより、本発明の有機半導体素子の性能をさらに向上させることができるからである。
本発明は、配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を提供することができるという効果を奏する。
本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 一般的な半導体トランジスタの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の有機半導体素子について説明する。
上述したように本発明の有機半導体素子は、基板、および上記基板上に形成され、配列性を示す有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられた有機半導体トランジスタを有するものであって、上記有機半導体トランジスタが上記有機半導体層の一方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するゲート絶縁層と、上記有機半導体層の他方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有する配向層とを有するものであり、さらに上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と上記配向層に用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とするものである。
このような本発明の有機半導体素子について図を参照しながら説明する。図1は本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように本発明の有機半導体素子10は、基板1と、上記基板1上に形成された有機半導体トランジスタ2とを有するものである。
このような例において、上記有機半導体トランジスタ2は、基板1上に形成されたゲート電極2aと、上記ゲート電極2a上に形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に接するように形成され、配列性を有する有機半導体材料からなる有機半導体層2cと、上記有機半導体層2c上で対向するように形成されたソース電極2dおよびドレイン電極2eと、上記有機半導体層2c上に接するように形成された配向層2fとを有し、上記ゲート絶縁層2bおよび上記配向層2fが、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料からなり、かつ上記ゲート絶縁層2bに用いられる配列性材料と、上記配向層2fに用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とするものである。
なお、上記図1においては上記有機半導体トランジスタ2として、上記ゲート電極2aが、上記有機半導体層2cよりも基板1側に配置されたボトムゲート構造の例を示した。しかしながら、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、上記ボトムゲート構造のものに限定されるものではなく、いわゆるトップゲート構造のものであってもよい。
本発明によれば、上記有機半導体層が上記有機半導体材料に対して配列性を有する配列性材料を含有するゲート絶縁層および配向層によって挟持された構成を有することにより、有機半導体層が、配列性を有する層によって挟持された構成を有するものにできるため、上記有機半導体層中における有機半導体層の配列性を向上させることができる。
また本発明によれば、上記ゲート絶縁層および配向層が上記有機半導体材料に対して配列性を有する配列性材料が含まれることにより、本発明の有機半導体素子を製造する過程において、上記有機半導体層上にゲート絶縁層または配向層を形成する際に、上記有機半導体層中における有機半導体材料の配列性が損なわれることを防止することができるという利点を有する。
さらに本発明によれば、上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、上記配向層に用いられる配列性材料とが同一材料であることにより、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性を近似したものにできる。このため、本発明によれば上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性が不均衡であることに起因して生じる有機半導体トランジスタの内部破損を防止することができるため、例えば上記基板として可撓性を有するフレキシブル基板を用いた場合に、基板の変形によって有機半導体トランジスタが内部破損してしまうことも防止できる。
このようなことから、本発明によれば配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を得ることができる。
本発明の有機半導体素子は、少なくとも上記基板と上記有機半導体トランジスタとを有するものである。
以下、本発明の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
1.有機半導体トランジスタ
まず、本発明に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本発明に用いられる有機半導体トランジスタは後述する基板上に形成されるものであり、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層の一方の面上に接するように形成されたゲート絶縁層と、他方の面上に接するように形成された配向層とを有し、上記ゲート絶縁層と上記配向層とが、同一の配列性材料を含有することを特徴とするものである。
以下、このような有機半導体トランジスタについて説明する。
(1)ゲート絶縁層
最初に、本発明に用いられるゲート絶縁層について説明する。本発明に用いられるゲート絶縁層は、後述する有機半導体層に接するように形成され、後述する有機半導体層に用いられる有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するものである。また、本発におけるゲート絶縁層に用いられる配列性材料は、後述する配向層に用いられる配列性材料と同一の材料からなるものである。
本発明におけるゲート絶縁層は上記配列性材料を含有することにより、有機半導体層を構成する有機半導体材料を配列させることができるという性質を有するものである。したがって、ゲート絶縁層には有機半導体材料を配列させるのに十分な量の配列性材料が含まれることが好ましい。このような観点からすると、本発明におけるゲート絶縁層においては上記配列性材料が主成分として含有されていることが好ましく、または配列性材料のみからゲート絶縁層が形成されていてもよい。
本発明に用いられる配列性材料としては、後述する有機半導体層に用いられる有機半導体材料に対する配列性を示すものであり、ゲート絶縁層に所望の絶縁性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる配列性材料は、所望の絶縁性を有するものの中から、上記有機半導体材料の種類に応じて適宜選択して用いることができるものである。
ここで、上記有機半導体材料に対する‘配列性’とは、有機半導体材料の配列性を促すような積極的作用のみならず、上記有機半導体材料が有する自発的配列性を阻害しないという意味での消極的作用も含むものである。
なお、上記配列性材料が上記有機半導体材料に対して配列性を有することは、例えば、任意の基板上で有機半導体材料を液晶相温度以上に加熱することによって形成した有機半導体層と、任意の方法で配列性材料からなる層を形成した後、当該配列性材料からなる層上で有機半導体材料を液晶相温度以上に加熱することによって形成した有機半導体層とを比較し、後者の有機半導体層における有機半導体材料の配列性が、前者の有機半導体層における有機半導体材料の配列性よりも向上していることを評価することにより確認することができる。ここで、有機半導体層中の有機半導体材料の配列性は、例えば、原子力間顕微鏡(AFM)によるモルフォロジー観察やX線回析(XRD)によって確認することができる。
本発明に用いられる配列性材料は、本発明におけるゲート絶縁層の表面を平滑に形成できるものであることが好ましい。より具体的には、ゲート絶縁層の表面の中心面に対する平均粗さが30nm以下、より好ましくは、0.1nm〜10nmの範囲内、さらに好ましくは0.1nm〜1nmの範囲内にできる配列性材料が用いられることが好ましい。これにより、上述した有機半導体素子に対する配列性のうち、特に有機半導体材料の配列に対する消極的作用を向上させることができるからである。
また、本発明に用いられる配列性材料は塗布法によって製膜することができるものであることが好ましい。これにより、本発明の有機半導体素子を製造する工程を簡略化することができるとともに、形成されるゲート絶縁層の表面をより平滑にすることが容易になるからである。
ここで、上記塗布法とは所定の組成を有する塗工液を塗布・乾燥することによって膜を形成する方法である。したがって、「塗布法によって製膜することができる」とは、本発明に用いられる配列性材料が溶媒に可溶であること、または溶媒に溶解しなくても、配列性材料それ自体が、塗布可能な程度の粘性を有することを意味することになる。
本発明に用いられる配列性材料としては、例えば、カルド型樹脂、PVP、PVA等を挙げることができる。本発明においてはこれのいずれの配列性材料であっても好適に用いることができる。
なお、上記カルド型樹脂としては、例えば、下記式(I)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2011108694
(上記式において、RおよびRは、それぞれ独立して重合性官能基を有する側鎖を表す。)
上記式(I)で表わされるカルド型樹脂の具体例としては、例えば、下記式で表わされるものを挙げることができる。
Figure 2011108694
Figure 2011108694
本発明に用いられるゲート絶縁層の厚みとしては、上記カルド型樹脂の種類等に応じて、ゲート絶縁層に所望の耐電圧を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、100μm以下であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらには0.3μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
(2)配向層
次に、本発明に用いられる配向層について説明する。本発明に用いられる配向層は後述する有機半導体層に接するように形成され、後述する有機半導体層に用いられる有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するものであり、かつ当該配列性材料は、上述したゲート絶縁層に用いられる配列性材料と同一材料であることを特徴とするものである。
以下、このような配向層について説明する。
本発明に用いられる配向層は、上述したゲート絶縁層に用いられる配列性材料と同一の配列性材料を含有するものである。このような配列性材料については、上述したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
本発明における配向層は上記配列性材料を含有することにより、有機半導体層を構成する有機半導体材料を配列させることができるという性質を有するものである。したがって、配向層には有機半導体材料を配列させるのに十分な量の配列性材料が含まれることが好ましい。このような観点からすると、本発明における配列層においては上記配列性材料が主成分として含有されていることが好ましく、または配列性材料のみからゲート絶縁層が形成されていてもよい。
本発明に用いられる配向層は上記配列性材料が含まれることにより、少なくとも有機半導体層における有機半導体材料の配列性を促す機能を有するものである。しかしながら、本発明に用いられる配向層は、当該機能以外にも他の機能を発現できるように用いられることが好ましい。このように配向層が他の機能も発現するように用いられる態様としては、例えば、本発明における有機半導体トランジスタをボトムゲート型構造を有するものとし、配向層をパッシベーション層としての兼用する態様や、本発明における有機半導体トランジスタをトップゲート型構造を有するものとし、配向層を基板表面を平滑化する層として兼用する態様を挙げることができる。
本発明における配向層は本発明の有機半導体素子の用途や、有機トランジスタの構造等に応じて種々の機能を併有するように用いることができるものであるが、中でも本発明においては、本発明に用いられる有機半導体トランジスタをボトムゲート型構造とし、配向層をパッシベーション層として兼用する態様が用いられることが好ましい。上記配向層がパッシベーション層を兼ねることにより、有機半導体層の劣化を防止することを目的として他の層を別途形成することなく、本発明の有機半導体素子の経時安定性を向上させることができるからである。
本発明における配向層の厚みとしては、本発明の有機半導体素子の用途や、配向層に求められる機能等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。なかでも本発明においては100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
(3)有機半導体層
次に、本発明に用いられる有機半導体層について説明する。本発明に用いられる有機半導体層は、配列性を有する有機半導体材料からなるものである。
本発明に用いられる上記有機半導体材料としては、規則的に配列する性質を有するものであり、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて、所望の半導体特性を備える有機半導体層を形成できる材料であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体材料を用いた有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料の中から配列性を有するものを適宜選択して用いることができる。ここで、本発明に用いられる有機半導体材料が、配列性を示すことは、例えば、任意の基板上で有機半導体材料を液晶相温度以上に加熱することによって形成した有機半導体層において、有機半導体材料が配列していることを評価することにより確認することができる。ここで、有機半導体材料が配列していることの評価は、原子力間顕微鏡(AFM)によるモルフォロジー観察やX線回析(XRD)によって行うことができる。
本発明に用いられる有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、オリゴチオフェン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。
また、本発明に用いられる有機半導体材料は液晶性を示す液晶性有機半導体材料であることが好ましい。液晶性有機半導体材料は規則的に配列する性質が優れているため、本発明の有機半導体素子の性能をさらに向上させることができるという利点があるからである。本発明に用いられる液晶性有機半導体材料としては、半導体特性を備えるものであって、液晶相温度以上に加熱されることにより規則的に配向できるものであれば特に限定されるものではない。このような液晶性有機半導体材料は本発明の有機半導体素子の用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に用いられる液晶性有機半導体材料は、液晶相を示す液晶相温度が450℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
ここで、上記液晶相温度とは、上記液晶性有機半導体材料が液晶相を発現する温度を意味するものである。このような液晶相温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析や、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察等によって測定することができる。
本発明に用いられる液晶性有機半導体材料としては、高分子系液晶性有機半導体材料と、低分子系液晶性有機半導体材料とを挙げることができる。本発明においては、高分子系液晶性有機半導体材料、および低分子系液晶性有機半導体材料のいずれであっても好適に用いることができる。
上記高分子系液晶性有機半導体材料としては、例えば、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリジアセチレン誘導体、ポリトリフェニルアミン誘導体、トリフェニルアミンとフェニレンビニレンとの共重合誘導体、チオフェンとフェニレンとの共重合誘導体、チオフェンとチエノチオフェンとの共重合誘導体、およびチオフェンとフルオレンとの共重合誘導体等を挙げることができる。
一方、上記低分子系液晶性有機半導体材料としては、例えば、オリゴカルコゲノフェン誘導体、オリゴフェニレン誘導体、カルコゲノフェンとフェニレンのコオリゴマー誘導体、テトラチエノアセン等のカルコゲノフェンの縮環化合物誘導体、カルコゲノフェンとフェニレンの縮環化合物誘導体、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ピレン、トリフェニレン、コロネン等の縮合多環炭化水素誘導体、カルコゲノフェンと縮合多環炭化水素とのコオリゴマー誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラチオフルバレン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、チアゾロチアゾール誘導体、およびフラーレン誘導体等を挙げることができる。
なお、本発明に用いられる液晶性有機半導体材料は1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。
また、本発明に用いられる有機半導体層の厚みについては、上記有機半導体材料の種類等に応じて所望の半導体特性を備える有機半導体層を発現できる範囲であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、1000nm以下であることが好ましく、なかでも5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明における有機半導体層は上述した配向層およびゲート絶縁層に挟まれて形成され、また上述したように配向層およびゲート絶縁層は有機半導体材料を配列される機能を有するものである。したがって、本発明における有機半導体層中においては有機半導体材料が配列されて存在することになる。
(4)有機半導体トランジスタ
本発明に用いられる有機半導体トランジスタは、少なくとも上記ゲート絶縁層、配向層および有機半導体層を有するものであるが、通常はこれらに加えて、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が用いられることにより、トランジスタとしての機能を発現するものである。
ここで、本発明に用いられる有機半導体トランジスタの構造としては、上記有機半導体層の一方の表面上に接するようにゲート絶縁層が形成され、かつ他方の表面上に接するように配向層が形成された形成された構造であれば特に限定されるものではなく、一般的に公知の薄膜トランジスタ構造を採用することができる。このような有機半導体トランジスタの構造としては、例えば、ボトムゲート型構造およびトップゲート型構造を挙げることができる。
本発明に用いられる有機半導体トランジスタがボトムゲート型構造を有する場合について図を参照しながら説明する。図2は、本発明に用いられる有機半導体トランジスタが、ボトムゲート型構造を有する場合の一例を示す概略図である。図2(a)、(b)に例示するように、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ゲート電極2aが、有機半導体層2cよりも基板1側に配置されているボトムゲート型構造を有するものであってもよい。
さらに、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているボトムゲート・トップコンタクト型構造であってもよく(図2(a))、または、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい(図2(b))。
次に、本発明に用いられる有機半導体トランジスタが、トップゲート型構造を有する場合について図を参照しながら説明する。図3は、本発明に用いられる有機半導体トランジスタがトップゲート構造を有する場合の一例を示す概略図である。図3に例示するように、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、有機半導体層2cがゲート電極2aよりも基板1側に配置されているトップゲート型構造を有するものであってもよい。
さらに、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているトップゲート・トップコンタクト型構造であってもよく(図3(a))、または、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているトップゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい(図3(b))。
ここで、本発明に用いられる有機半導体トランジスタとしては、上記ボトムゲート型構造または上記トップゲート型構造を有するもののいずれであっても好適に用いることができるが、なかでもボトムゲート構造を有するものが用いられることが好ましい。上述したように上記有機半導体トランジスタをボトムゲート型構造とすることにより、上記配向層をパッシベーション層として兼用することが可能になるという利点があるからである。
本発明に用いられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、通常、金属材料からなるものが用いられる。このような金属材料としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体トランジスタの電極に用いられる金属材料を用いることができる。このような金属材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、および、Mo−Ta合金等を挙げることができる。なかでも本発明においては、Au、または、Alを用いることが好ましい。このような金属材料を用いることにより、本発明により製造される有機半導体素子の性能を向上させることができるからである。
また、本発明に用いられる有機半導体トランジスタには、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止するパッシベーション層を有するものであってもよい。このようなパッシベーション層を有することにより、本発明に用いられる有機半導体トランジスタを、トランジスタ性能の経時劣化が少ないものにすることができるからである。もっとも、上述したように上記配向層がパッシベーション層として兼用される場合には、別途このようなパッシベーション層を形成することは不要である。
本発明に用いられるパッシベーション層に用いられる材料としては、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素系樹脂、および、PVP、PVA等の水溶性樹脂等を挙げることができる。
なお、本発明の有機半導体素子は、通常、後述する基板上に複数の有機半導体トランジスタが配置された構成を有するものである。ここで、上記複数の有機半導体トランジスタが基板上に配置される態様としては特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて所望の態様で配置することができる。
2.基板
次に、本発明に用いられる基板について説明する。本発明に用いられる基板は上記有機半導体トランジスタを支持するものである。
本発明に用いられる基板としては、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。このような基板としては、ガラス基板等の可撓性を有さないリジット基板であってもよく、またはプラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。本発明においてはリジット基板およびフレキシブル基板のいずれであっても好適に用いられるが、なかでもフレキシブル基板を用いることが好ましい。このようなフレキシブル基板を用いることにより、本発明の有機半導体素子をRoll to Rollプロセスにより製造することが可能になるため、本発明の有機半導体素子を生産性の高いものにすることができるからである。また、本発明における有機半導体トランジスタは、上記ゲート絶縁層および配向層が同一の配列性材料を含有するため、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性を近似したものにできる。ここで、従来の有機半導体素子において可撓性を有する基板を用いた場合には、基板の変形に伴って有機半導体トランジスタの内部破損が生じてしまう可能性が高かった。この点、本発明によれば上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性が不均衡であることに起因して生じる有機半導体トランジスタの内部破損を防止することができるため、上記基板として可撓性を有するフレキシブル基板を用いた場合に、基板の変形によって有機半導体トランジスタが内部破損してしまうことを防止できる。
ここで、上記プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPSおよびPEI等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる基板の厚みは、通常、1mm以下であることが好ましく、なかでも50μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。
3.有機半導体素子の用途
本発明の有機半導体素子は、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
4.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子を製造する方法としては、上記構成を有する有機半導体素子を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、上述した基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極上に、ゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記有機半導体層上に配向層を形成する配向層形成工程とを用いる方法を挙げることができる。このような方法によれば、上述したボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造することができる。
上記ゲート絶縁層形成工程および上記配向層形成工程において、ゲート絶縁層および配向層を形成する方法としては、均質なゲート絶縁層および配向層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、なかでも本発明においては塗布法が用いられることが好ましい。塗布法によれば上記各工程を簡略化することができるとともに、形成されるゲート絶縁層および配向層の表面をより平滑なものにできる結果、有機半導体層における有機半導体材料の配列性を向上させることができるからである。
上記塗布法に用いられる塗布方式としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等の塗布方法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、および、グラビア・オフセット印刷法等の印刷方法等を挙げることができる。
一方、上記有機半導体層形成工程において有機半導体層を形成する方法としては、使用する有機半導体材料の種類等に応じて、所望の厚みの有機半導体層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上記有機半導体材料が溶媒に可溶なものである場合は、当該有機半導体材料を溶媒に溶解して、有機半導体層形成用塗工液を調製した後、当該有機半導体層形成用塗工液を塗工する方法を挙げることができる。この場合の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、および、キャスト法等を挙げることができる。一方、上記有機半導体材料が溶媒に不溶なものである場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスにより、有機半導体層を形成する方法を挙げることができる。
また、上記有機半導体層形成工程においては、必要に応じて上記有機半導体材料を規則的に配列させる処理が実施されてもよい。このような処理としては、たとえば、上記有機半導体材料として液晶性有機半導体材料が用いられている場合は、液晶相温度以上に有機半導体層を加熱する処理がなされることになる。
なお、上記ゲート電極形成工程、および、上記ソース・ドレイン電極形成工程において、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極をそれぞれ形成する方法としては、一般的に半導体トランジスタを形成する際に用いられている方法と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
(1)ゲート電極の形成
アルカリ溶液にて洗浄した大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板にUVオゾン洗浄機を用いて5分間照射後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)にてマスクを用いパターン形成した。このとき、Crの膜厚は150nmに設定した。
(2)ゲート絶縁層の形成
ゲート電極が形成された基板を用い、光硬化性カルド型樹脂を1μmの膜厚になるようスピンナーを用いて形成した後、120℃のホットプレートにて2分間加熱し半硬化層を形成した。
ここで、光硬化性カルド型樹脂としては、ビス−フェノールフルオレン−ヒドロキシアクリレートと、ビス−アニリン−フルオレンと、ピロメリト酸無水物とを、モル比=1:4:5で反応させて得られるランダム共重合体を用いた。
次いで、ゲート絶縁層が形成される部位以外を遮光するよう描画されたフォトエッチング用マスクを、上記光硬化性カルド型樹脂の半硬化層上に載置した後、紫外線を350mJ/cmの条件で照射して露光・現像処理を施すことにより、ゲート絶縁層を形成した。
その後、ゲート絶縁層を完全に硬化させるため、200℃のオーブン内で30分間加熱した。これにより形成したゲート絶縁層の表面粗さRaは0.6nmであった。
(3)ソース電極およびドレイン電極の形成
ゲート絶縁層が形成された基板に、アルバック社製蒸着装置(VPC−060)にてAuを蒸着源とし、マスクを用いソース電極およびドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極およびドレイン電極の膜厚は50nmとした。
(4)有機半導体層の形成
液晶性有機半導体材料(ポリチオフェン)を固形分濃度0.1wt%でモノクロロベンゼン溶媒に溶解させた塗工液を、上記ソース、ドレイン電極まで形成した基板上にスピンコートし、不要な部分をふき取り除去した。その後、N雰囲気下にてホットプレートを用い、上記基板を150℃まで20℃/minのレートで徐々に加温していき、150℃で10min保持した。このように形成された有機半導体層の膜厚は60nmであった。
(5)配向層(パッシベーション層)の形成
上記有機半導体層まで形成された基板上に光硬化性カルド型樹脂を8μmの膜厚になるようスピンナーを用いて形成した後、120℃のホットプレートにて2分間加熱し、半硬化層を形成した。次いで、電極と有機半導体部分から形成されるトランジスタ部位以外を遮光するよう描画されたフォトエッチング用マスクを、上記光硬化性カルド型樹脂の半硬化層上に載置した後、紫外線を350mJ/cmの条件で照射して露光・現像処理を施すことにより、配向層を形成した。その後、この配向層を硬化させるため、150℃のオーブン内で30分間加熱した。
(6)評価
まず有機半導体層まで形成した有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は4×10−6A、OFF電流は3×10−13Aであった。その後、配向層(パッシベーション層)を形成し、トランジスタ特性を測定した結果、有機半導体の配向が損なわれなかった結果、配向層形成前のトランジスタ特性と変化がなかった。
[比較例1]
(1)ゲート絶縁層と配向層(パッシベーション層)に用いる材料としてノボラック系樹脂を用いたこと以外は、実施例と同様の方法により有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を作製した。
ここで、ノボラック系樹脂としては、ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=6/4とホルムアルデヒドの縮重合物)と、キノンジアジド感光剤(2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよび1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドのエステル化物)とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させたものを用いた。
(2)評価
有機半導体層まで形成した有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。しかしながら、有機半導体トランジスタのON電流は4×10−8A、OFF電流は6×10−13Aであり実施例で作製したトランジスタのON電流より2桁電流値が低下した。その後、配向層(パッシベーション層)を形成し、トランジスタ特性を測定した結果、OFF電流値に変化はなかったがON電流は2×10−9Aと更に1桁電流値が減少した。これは配列性を持たないゲート絶縁層上で作製した結果、液晶性有機半導体材料が配向しづらく、トランジスタ特性が低下したと考えられる。また、配向層(パッシベーション層)で有機半導体層を保護した後にもトランジスタ特性が低下したのも同様の要因であると考えられる。
[比較例2]
(1)ゲート絶縁層に光硬化性カルド型樹脂を、パッシベーション材料にノボラック系樹脂を用いたこと以外は、実施例と同様の方法により有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を作製した。
ここで、光硬化性カルド型樹脂としては、ビス−フェノールフルオレン−ヒドロキシアクリレートと、ビス−アニリン−フルオレンと、ピロメリト酸無水物とを、モル比=1:4:5で反応させて得られるランダム共重合体を、またノボラック系樹脂としてはノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=6/4とホルムアルデヒドの縮重合物)と、キノンジアジド感光剤(2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよび1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドのエステル化物)とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させたものをそれぞれ用いた。
(2)評価
有機半導体層まで形成した有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は3×10−6A、OFF電流は5×10−13Aであり実施例とほとんど差はみられなかった。その後パッシベーション層を形成しトランジスタ特性を測定した結果、OFF電流値に変化はなかったがON電流は2×10−8Aと2桁電流値が減少した。これは配列性を持ったゲート絶縁層上で液晶性有機半導体材料が配向したものの、配列性を持たないパッシベーション材料を用いたことで、前記液晶性有機半導体材料の配向を乱したことが要因と考えられる。
1 … 基板
2 … 有機半導体トランジスタ
2a … ゲート電極
2b … ゲート絶縁層
2c … 有機半導体層
2d … ソース電極
2e … ドレイン電極
2f … 配向層
10 … 有機半導体素子
100 … 有機半導体トランジスタ
100a … ゲート電極
100b … ゲート絶縁層
100c … 有機半導体層
100d … ソース電極
100e … ドレイン電極

Claims (4)

  1. 基板、および前記基板上に形成され、配列性を示す有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、
    前記有機半導体トランジスタが、前記有機半導体層の一方の表面上に接するように形成され、前記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するゲート絶縁層と、前記有機半導体層の他方の表面上に接するように形成され、前記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有する配向層と、を有するものであり、さらに前記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、前記配向層に用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とする有機半導体素子。
  2. 前記有機トランジスタがボトムゲート型構造を有するものであり、かつ前記配向層がパッシベーション層を兼ねることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子。
  3. 前記配列性材料がカルド型樹脂、PVA、またはPVPであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の有機半導体素子。
  4. 前記有機半導体材料が液晶性有機半導体材料であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機半導体素子。
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