JP2011108694A - 有機半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板、および上記基板上に形成され、配列性を示す有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、上記有機半導体トランジスタが、上記有機半導体層の一方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するゲート絶縁層と、上記有機半導体層の他方の表面上に接するように形成され、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有する配向層と、を有するものであり、さらに上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、上記配向層に用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とする有機半導体素子を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
Description
すなわち、上述したように有機半導体が用いられた有機トランジスタはボトムゲート型構造を有するものとトップゲート型構造を有するものとが知られているが、上記トップゲート型構造を有するものは有機半導体層を形成した後、当該有機半導体層上にゲート絶縁層を形成することが必須になっている。一方、上記ボトムゲート型構造を有するものは、トランジスタとしての機能を発現させるのみであれば、上記有機半導体層上に他の構成を形成せずに有機半導体層が最表層となるように形成することも考えられる。しかしながら、上記有機半導体材料は無機半導体材料よりも耐久性が劣ることから、性能を安定化させるためには上記有機半導体層を保護する層を上記有機半導体層上に形成することが現実的には必要になっている。このように、上記有機半導体層が用いられる場合には上記有機半導体層上に何らかの構成を形成することが必要になるところ、上記有機半導体材料として配列性を有するものを用いた場合、有機半導体層上に他の構成を形成する際に有機半導体材料の配列性が損なわれてしまうという問題があった。このようなことから、トランジスタ性能の向上を意図して配列性を有する有機半導体材料を用いたとしても、その目的を十分に達成することが困難であるという問題があった。
また本発明によれば、上記ゲート絶縁層および配向層が上記有機半導体材料に対して配列性を有する配列性材料が含まれることにより、本発明の有機半導体素子を製造する過程において、上記有機半導体層上にゲート絶縁層または配向層を形成する際に、上記有機半導体層中における有機半導体材料の配列性が損なわれることを防止することができるという利点を有する。
さらに本発明によれば、上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と上記配向層に用いられる配列性材料とが同一材料であることにより、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性を近似したものにできる。このため、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性が不均衡であることに起因して生じる有機半導体トランジスタの内部破損を防止することができ、例えば上記基板として可撓性を有するフレキシブル基板を用いた場合に、基板の変形によって有機半導体トランジスタが内部破損してしまうことも防止できる。
このようなことから、本発明によれば配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を得ることができる。
このような例において、上記有機半導体トランジスタ2は、基板1上に形成されたゲート電極2aと、上記ゲート電極2a上に形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に接するように形成され、配列性を有する有機半導体材料からなる有機半導体層2cと、上記有機半導体層2c上で対向するように形成されたソース電極2dおよびドレイン電極2eと、上記有機半導体層2c上に接するように形成された配向層2fとを有し、上記ゲート絶縁層2bおよび上記配向層2fが、上記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料からなり、かつ上記ゲート絶縁層2bに用いられる配列性材料と、上記配向層2fに用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とするものである。
また本発明によれば、上記ゲート絶縁層および配向層が上記有機半導体材料に対して配列性を有する配列性材料が含まれることにより、本発明の有機半導体素子を製造する過程において、上記有機半導体層上にゲート絶縁層または配向層を形成する際に、上記有機半導体層中における有機半導体材料の配列性が損なわれることを防止することができるという利点を有する。
さらに本発明によれば、上記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、上記配向層に用いられる配列性材料とが同一材料であることにより、上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性を近似したものにできる。このため、本発明によれば上記配向層および上記ゲート絶縁層の物理的・機械的特性が不均衡であることに起因して生じる有機半導体トランジスタの内部破損を防止することができるため、例えば上記基板として可撓性を有するフレキシブル基板を用いた場合に、基板の変形によって有機半導体トランジスタが内部破損してしまうことも防止できる。
このようなことから、本発明によれば配列性を有する有機半導体材料が用いられた有機半導体トランジスタを備え、上記有機半導体層において上記有機半導体材料が配列されていることにより、性能に優れた有機半導体素子を得ることができる。
以下、本発明の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
まず、本発明に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本発明に用いられる有機半導体トランジスタは後述する基板上に形成されるものであり、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層の一方の面上に接するように形成されたゲート絶縁層と、他方の面上に接するように形成された配向層とを有し、上記ゲート絶縁層と上記配向層とが、同一の配列性材料を含有することを特徴とするものである。
以下、このような有機半導体トランジスタについて説明する。
最初に、本発明に用いられるゲート絶縁層について説明する。本発明に用いられるゲート絶縁層は、後述する有機半導体層に接するように形成され、後述する有機半導体層に用いられる有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するものである。また、本発におけるゲート絶縁層に用いられる配列性材料は、後述する配向層に用いられる配列性材料と同一の材料からなるものである。
なお、上記配列性材料が上記有機半導体材料に対して配列性を有することは、例えば、任意の基板上で有機半導体材料を液晶相温度以上に加熱することによって形成した有機半導体層と、任意の方法で配列性材料からなる層を形成した後、当該配列性材料からなる層上で有機半導体材料を液晶相温度以上に加熱することによって形成した有機半導体層とを比較し、後者の有機半導体層における有機半導体材料の配列性が、前者の有機半導体層における有機半導体材料の配列性よりも向上していることを評価することにより確認することができる。ここで、有機半導体層中の有機半導体材料の配列性は、例えば、原子力間顕微鏡(AFM)によるモルフォロジー観察やX線回析(XRD)によって確認することができる。
ここで、上記塗布法とは所定の組成を有する塗工液を塗布・乾燥することによって膜を形成する方法である。したがって、「塗布法によって製膜することができる」とは、本発明に用いられる配列性材料が溶媒に可溶であること、または溶媒に溶解しなくても、配列性材料それ自体が、塗布可能な程度の粘性を有することを意味することになる。
次に、本発明に用いられる配向層について説明する。本発明に用いられる配向層は後述する有機半導体層に接するように形成され、後述する有機半導体層に用いられる有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するものであり、かつ当該配列性材料は、上述したゲート絶縁層に用いられる配列性材料と同一材料であることを特徴とするものである。
以下、このような配向層について説明する。
次に、本発明に用いられる有機半導体層について説明する。本発明に用いられる有機半導体層は、配列性を有する有機半導体材料からなるものである。
ここで、上記液晶相温度とは、上記液晶性有機半導体材料が液晶相を発現する温度を意味するものである。このような液晶相温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)による熱分析や、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察等によって測定することができる。
本発明に用いられる有機半導体トランジスタは、少なくとも上記ゲート絶縁層、配向層および有機半導体層を有するものであるが、通常はこれらに加えて、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が用いられることにより、トランジスタとしての機能を発現するものである。
さらに、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているボトムゲート・トップコンタクト型構造であってもよく(図2(a))、または、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい(図2(b))。
さらに、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているトップゲート・トップコンタクト型構造であってもよく(図3(a))、または、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているトップゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい(図3(b))。
次に、本発明に用いられる基板について説明する。本発明に用いられる基板は上記有機半導体トランジスタを支持するものである。
本発明の有機半導体素子は、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
本発明の有機半導体素子を製造する方法としては、上記構成を有する有機半導体素子を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、上述した基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極上に、ゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記有機半導体層上に配向層を形成する配向層形成工程とを用いる方法を挙げることができる。このような方法によれば、上述したボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造することができる。
また、上記有機半導体層形成工程においては、必要に応じて上記有機半導体材料を規則的に配列させる処理が実施されてもよい。このような処理としては、たとえば、上記有機半導体材料として液晶性有機半導体材料が用いられている場合は、液晶相温度以上に有機半導体層を加熱する処理がなされることになる。
(1)ゲート電極の形成
アルカリ溶液にて洗浄した大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板にUVオゾン洗浄機を用いて5分間照射後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)にてマスクを用いパターン形成した。このとき、Crの膜厚は150nmに設定した。
ゲート電極が形成された基板を用い、光硬化性カルド型樹脂を1μmの膜厚になるようスピンナーを用いて形成した後、120℃のホットプレートにて2分間加熱し半硬化層を形成した。
ここで、光硬化性カルド型樹脂としては、ビス−フェノールフルオレン−ヒドロキシアクリレートと、ビス−アニリン−フルオレンと、ピロメリト酸無水物とを、モル比=1:4:5で反応させて得られるランダム共重合体を用いた。
次いで、ゲート絶縁層が形成される部位以外を遮光するよう描画されたフォトエッチング用マスクを、上記光硬化性カルド型樹脂の半硬化層上に載置した後、紫外線を350mJ/cm2の条件で照射して露光・現像処理を施すことにより、ゲート絶縁層を形成した。
その後、ゲート絶縁層を完全に硬化させるため、200℃のオーブン内で30分間加熱した。これにより形成したゲート絶縁層の表面粗さRaは0.6nmであった。
ゲート絶縁層が形成された基板に、アルバック社製蒸着装置(VPC−060)にてAuを蒸着源とし、マスクを用いソース電極およびドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極およびドレイン電極の膜厚は50nmとした。
液晶性有機半導体材料(ポリチオフェン)を固形分濃度0.1wt%でモノクロロベンゼン溶媒に溶解させた塗工液を、上記ソース、ドレイン電極まで形成した基板上にスピンコートし、不要な部分をふき取り除去した。その後、N2雰囲気下にてホットプレートを用い、上記基板を150℃まで20℃/minのレートで徐々に加温していき、150℃で10min保持した。このように形成された有機半導体層の膜厚は60nmであった。
上記有機半導体層まで形成された基板上に光硬化性カルド型樹脂を8μmの膜厚になるようスピンナーを用いて形成した後、120℃のホットプレートにて2分間加熱し、半硬化層を形成した。次いで、電極と有機半導体部分から形成されるトランジスタ部位以外を遮光するよう描画されたフォトエッチング用マスクを、上記光硬化性カルド型樹脂の半硬化層上に載置した後、紫外線を350mJ/cm2の条件で照射して露光・現像処理を施すことにより、配向層を形成した。その後、この配向層を硬化させるため、150℃のオーブン内で30分間加熱した。
まず有機半導体層まで形成した有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は4×10−6A、OFF電流は3×10−13Aであった。その後、配向層(パッシベーション層)を形成し、トランジスタ特性を測定した結果、有機半導体の配向が損なわれなかった結果、配向層形成前のトランジスタ特性と変化がなかった。
(1)ゲート絶縁層と配向層(パッシベーション層)に用いる材料としてノボラック系樹脂を用いたこと以外は、実施例と同様の方法により有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を作製した。
ここで、ノボラック系樹脂としては、ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=6/4とホルムアルデヒドの縮重合物)と、キノンジアジド感光剤(2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよび1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドのエステル化物)とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させたものを用いた。
有機半導体層まで形成した有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。しかしながら、有機半導体トランジスタのON電流は4×10−8A、OFF電流は6×10−13Aであり実施例で作製したトランジスタのON電流より2桁電流値が低下した。その後、配向層(パッシベーション層)を形成し、トランジスタ特性を測定した結果、OFF電流値に変化はなかったがON電流は2×10−9Aと更に1桁電流値が減少した。これは配列性を持たないゲート絶縁層上で作製した結果、液晶性有機半導体材料が配向しづらく、トランジスタ特性が低下したと考えられる。また、配向層(パッシベーション層)で有機半導体層を保護した後にもトランジスタ特性が低下したのも同様の要因であると考えられる。
(1)ゲート絶縁層に光硬化性カルド型樹脂を、パッシベーション材料にノボラック系樹脂を用いたこと以外は、実施例と同様の方法により有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を作製した。
ここで、光硬化性カルド型樹脂としては、ビス−フェノールフルオレン−ヒドロキシアクリレートと、ビス−アニリン−フルオレンと、ピロメリト酸無水物とを、モル比=1:4:5で反応させて得られるランダム共重合体を、またノボラック系樹脂としてはノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=6/4とホルムアルデヒドの縮重合物)と、キノンジアジド感光剤(2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよび1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドのエステル化物)とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させたものをそれぞれ用いた。
有機半導体層まで形成した有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、トランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタのON電流は3×10−6A、OFF電流は5×10−13Aであり実施例とほとんど差はみられなかった。その後パッシベーション層を形成しトランジスタ特性を測定した結果、OFF電流値に変化はなかったがON電流は2×10−8Aと2桁電流値が減少した。これは配列性を持ったゲート絶縁層上で液晶性有機半導体材料が配向したものの、配列性を持たないパッシベーション材料を用いたことで、前記液晶性有機半導体材料の配向を乱したことが要因と考えられる。
2 … 有機半導体トランジスタ
2a … ゲート電極
2b … ゲート絶縁層
2c … 有機半導体層
2d … ソース電極
2e … ドレイン電極
2f … 配向層
10 … 有機半導体素子
100 … 有機半導体トランジスタ
100a … ゲート電極
100b … ゲート絶縁層
100c … 有機半導体層
100d … ソース電極
100e … ドレイン電極
Claims (4)
- 基板、および前記基板上に形成され、配列性を示す有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられた有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、
前記有機半導体トランジスタが、前記有機半導体層の一方の表面上に接するように形成され、前記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有するゲート絶縁層と、前記有機半導体層の他方の表面上に接するように形成され、前記有機半導体材料に対して配列性を示す配列性材料を含有する配向層と、を有するものであり、さらに前記ゲート絶縁層に用いられる配列性材料と、前記配向層に用いられる配列性材料とが同一の材料であることを特徴とする有機半導体素子。 - 前記有機トランジスタがボトムゲート型構造を有するものであり、かつ前記配向層がパッシベーション層を兼ねることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子。
- 前記配列性材料がカルド型樹脂、PVA、またはPVPであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の有機半導体素子。
- 前記有機半導体材料が液晶性有機半導体材料であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機半導体素子。
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