JP2008166537A - 有機半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れる有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子の提供。
【解決手段】ゲート絶縁層が下式のカルド型樹脂の硬化物からなる有機半導体素子。
Figure 2008166537

【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体トランジスタが用いられた有機半導体素子に関するものである。
近年、TFTに代表される半導体トランジスタは、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。このような半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。従来、上記半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)やインジウムガリウム砒素(InGaAs)などの無機半導体材料が用いられている。近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
その一方で、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。図9に例示するように、上記有機半導体材料を用いたトランジスタ100は、通常、ゲート電極100aと、上記ゲート電極100aを絶縁するゲート絶縁層100bと、上記有機半導体材料からなる有機半導体層100cと、上記有機半導体層100cに接触するように形成されたソース電極100dおよびドレイン電極100eを有するものであり、上記ゲート電極100aが、上記有機半導体層100cの下面側に配置されているボトムゲート型構造のものと(図9(a))、上記ゲート電極100aが上記有機半導体層100cの上面側に配置されているトップゲート型構造のものと(図9(b))、が知られている。
このような有機半導体材料が用いられたトランジスタは、上記無機半導体材料に比べて安価で大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパーに代表されるフレキシブルディスプレイ等の、次世代ディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
しかしながら、図9に例示したように、有機半導体材料が用いられたトランジスタにおいては、一般的に上記有機半導体層と上記ゲート絶縁層とが接するように形成される。このため、上記ゲート絶縁層を構成する材料によって上記有機半導体層の半導体特性が影響を受け、トランジスタ性能が変化してしまうことが知られている。例えば、上記特許文献1には、ポリイミドからなるゲート絶縁層が用いられたトランジスタが開示されているが、このような材料からなるゲート絶縁層が用いられた有機半導体トランジスタは、ゲート電圧の閾値電圧が安定しないという問題点があった。
また、一般的に上記有機半導体材料を用いたトランジスタは、従来の無機半導体材料が用いられたトランジスタと比較して駆動電圧が高いという特徴を有する。このため、上記ゲート絶縁層に用いられる材料としては、従来の無機半導体材料が用いられたトランジスタの場合と比較して、より高い耐電圧を有する材料を用いることが必要とされている。したがって、上記ゲート絶縁層に用いられる材料としては、上述したように有機半導体層に作用することによってトランジスタ特性を損なわないことに加えて、所定の耐電圧を備えることが必要とされている。しかしながら、従来、これらの特性を満足するゲート絶縁層の材料はなかった。
このようなことから、従来、有機半導体材料が用いられたトランジスタであって、ゲート絶縁層によってそのトランジスタ特性が損なわれないものを得ることは困難であった。
特開2003−304014号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れる有機半導体素子を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、基板と、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層および上記有機半導体層に接するように形成されたゲート絶縁層を備える有機半導体トランジスタと、を有する有機半導体素子であって、上記ゲート絶縁層が、下記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなることを特徴とする有機半導体素子を提供する。
Figure 2008166537
上記式(I)において、RおよびRは、それぞれ独立して重合性官能基を有する側鎖を表す。
本発明よれば、上記ゲート絶縁層が上記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなることにより、上記有機半導体トランジスタをゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れたものにできる。このため、本発明によれば有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
本発明においては、上記有機半導体トランジスタがボトムゲート型構造を有することが好ましい。上記有機半導体トランジスタがボトムゲート型構造を有することより、本発明の有機半導体素子を製造することが容易になるからである。
本発明は、有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を提供できるという効果を奏する。
以下、本発明の有機半導体素子について説明する。
本発明の有機半導体素子は、基板と、上記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層および上記有機半導体層に接するように形成されたゲート絶縁層を備える有機半導体トランジスタと、を有するものであって、上記ゲート絶縁層が上記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなることを特徴とするものである。
このような本発明の有機半導体素子について図を参照しながら説明する。図1は本発明の有機半導体素子の一例を示す概略図である。図1に例示するように、本発明の有機半導体素子10は、基板1と、上記基板1上に形成された有機半導体トランジスタ2とを有するものである。
このような例において、上記有機半導体トランジスタ2は、基板1上に形成されたゲート電極2aと、上記ゲート電極2a上に形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に接するように形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2cと、上記有機半導体層2c上で対向するように形成されたソース電極2dおよびドレイン電極2eと、を有するものである。
ここで、本発明の有機半導体素子10は、上記ゲート絶縁層2bが上記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなることを特徴とするものである。
なお、上記図1においては上記有機半導体トランジスタ2として、上記ゲート電極2aが、上記有機半導体層2cよりも基板1側に配置されたボトムゲート構造の例を示した。しかしながら、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、上記ボトムゲート構造のものに限定されるものではなく、例えば、図2に例示するような、上記有機半導体層2cが、上記ゲート電極2aよりも基板1側に配置されたトップゲート構造のものであってもよい。
本発明よれば、上記ゲート絶縁層が上記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなることにより、上記有機半導体トランジスタをゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れたものにできる。
このため、本発明によれば有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子であって、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
また、上記式(I)で表されるカルド型樹脂は耐電圧に優れるため、ゲート絶縁層がこのようなカルド系樹脂の硬化物からなることにより、本発明に用いられるゲート絶縁層を耐電圧に優れたものにでき、その結果として本発明に用いられる有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を向上することができる。
さらに、本発明においては上記ゲート絶縁層を構成する材料として上記式(I)で表されるカルド型樹脂が用いられているため、上記ゲート絶縁層を平坦性に優れたものにできるという利点も有する。
本発明の有機半導体素子は、少なくとも上記基板と、上記有機半導体トランジスタとを有するものである。
以下、本発明の有機半導体素子に用いられる各構成について順に説明する。
1.有機半導体トランジスタ
まず、本発明に用いられる有機半導体トランジスタについて説明する。本発明に用いられる有機半導体トランジスタは後述する基板上に形成されるものであり、有機半導体材料からなる有機半導体層と、上記有機半導体層に接するように形成され、上記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなるゲート絶縁層と、を有するものである。
以下、このような有機半導体トランジスタについて説明する。
(1)ゲート絶縁層
最初に、本発明に用いられるゲート絶縁層について説明する。本発明に用いられるゲート絶縁層は、上記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなるものである。本発明は、このようなカルド型樹脂の硬化物からなるゲート絶縁層が用いられていることにより、ゲート電圧の閾値電圧の安定性に優れた有機半導体素子を得ることができるのである。
本発明に用いられるカルド型樹脂としては、上記式(I)で表されるものであり、所定の耐電圧を備えるゲート絶縁層を形成できるものであれば特に限定されるものではない。このようなカルド型樹脂は本発明の有機半導体素子の製造方法等に応じて所望の性質を備えるものを用いることができる。なかでも本発明に用いられるカルド型樹脂は、絶縁破壊強さが200V/μm〜300V/μmの範囲内であるものが好ましく、特に250V/μm〜300V/μmの範囲内であるものが好ましい。このようなカルド型樹脂を用いることより、上記ゲート絶縁層を絶縁機能により優れたものにできる結果、上記有機半導体トランジスタをより性能に優れたものにできるからである。
ここで、上記耐電圧は、例えば、図3に示すような方法によって測定することができる。すなわち、
1)大きさ100mm×100mm×0.7mmのガラス基板20の表面に、パターニングされたITO電極21(1mm×1mm、厚み1200Å:以下、当該ITO電極21を下部電極と称する場合がある)を形成する(図3(a))。
2)耐電圧の評価対象となるカルド型樹脂を溶媒に溶解した塗工液(固形分20質量%)を用い、スピンコートにより上記基板20上に当該塗工液を塗工し、絶縁層22を形成する(図3(b))。このとき、塗工条件は、800rpm/10secとする。
3)上記絶縁層22を120℃のホットプレートで2分プリベークを行う。ITO電極21の一部にアセトンを用い、電極の表面を露出させた後、230℃のオーブンで30分乾燥させる
4)1mm×1mmの開口部を有するメタルマスクを上記絶縁層22上に配置し、膜厚50nmのAu膜を蒸着することにより、上部電極23を形成する(図3(c))。このとき、蒸着の際の真空度は1×10−4Paとし、蒸着速度は約1Å/secとする。
5)上記上部電極21および下部電極23の間に0V〜300Vの電圧を印加し、上部電極21−下部電極23間を流れる電流値Iを計測する。そして、得られたデータを元に横軸を電界強度E(印加電圧Vを絶縁層22の膜厚dで除した値)、縦軸を絶縁層22の抵抗値R(印加電圧を電流値で除した値)としてプロットする。このようにして作製したグラフを元に、抵抗値Rが急激に低下する電界強度の値Eを絶縁破壊強さ(耐電圧)とする。
また、本発明に用いられるカルド型樹脂は上記式(I)で表されるものであるが、上記式(I)中のRおよびRとしては、重合性官能基を有し、本発明に用いられるゲート絶縁層において、上記式(I)中の環状部位を所定の存在密度で分布させることができる程度の分子量を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては上記式(I)で表されるカルド型樹脂の中でも、下記式(II)で表されるカルド型樹脂を好適に用いることができる。
Figure 2008166537
ここで、上記式(II)においてXおよびXは重合性官能基を表す。また、R11およびR12は、連結基を表す。
本発明に用いられる上記連結基としては、本発明に用いられるゲート絶縁層において、上記式(II)中の環状部位を所定の存在密度で分布させることができる程度の長さで上記重合性官能基と、上記環状構造とを連結できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては炭化水素鎖が好適に用いられる。上記連結基として炭化水素鎖が用いられることにより、上記炭化水素鎖を構成する炭素数を適宜調整することにより、上記重合性官能基と上記環状構造との連結長を任意に調整することが可能になるからである。
上記連結基として炭化水素鎖を用いる場合、当該炭化水素鎖としては所定の長さで上記環状構造と上記重合性官能基とを連結できるものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられる炭化水素鎖は、分岐鎖を有さない直鎖状のものであってもよく、あるいは、分岐鎖を有する分岐鎖状のものであってもよい。また、飽和結合のみからなる飽和炭化水素鎖であってもよく、あるいは、二重結合または三重結合を含む不飽和炭化水素鎖であってもよい。さらに、本発明に用いられる炭化水素鎖は任意の官能基が結合されたものであってもよい。
なかでも本発明に用いられる炭化水素鎖は炭素数が1〜20の範囲内であることが好ましく、特に1〜10の範囲内であることが好ましく、さらに1〜5の範囲内であることが好ましい。ここで、上記炭素数は、炭化水素鎖の主鎖を構成する炭素原子の数を指すものであり、側鎖を構成する炭素原子の数は含まないものとする。
本発明に用いられるカルド型樹脂としては、上記重合性官能基が光照射によって重合反応を生じる光重合性官能基である光硬化性カルド型樹脂と、加熱されることにより重合反応を生じる熱重合性官能基である熱硬化性カルド型樹脂とを挙げることができる。
上記光重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線の作用によって重合する各種重合性官能基を挙げることができる。このような光重合性官能基の代表例としては、例えば、ビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)、および、スルホニル基等を挙げることができる。
一方、上記熱重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、アミノ基、および、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記光硬化性カルド型樹脂、および、上記熱硬化性カルド型樹脂のいずれであっても好適に用いることができる。
本発明に用いられる光硬化性カルド型樹脂の具体例としては、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008166537
また、本発明に用いられる熱硬化性カルド型樹脂の具体例としては、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008166537
なお、本発明に用いられるカルド型樹脂は1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
本発明に用いられるゲート絶縁層は、上述したカルド型樹脂の硬化物が含有されるものであるが、本発明における上記カルド型樹脂の硬化物は単一のカルド型樹脂が重合されてなるものであってもよく、または、複数種類のカルド型樹脂が共重合されてなるものであってもよい。
また、本発明に用いられるゲート絶縁層には、上記カルド型樹脂の硬化物以外に他の材料が含有されていても良い。このような他の材料としてはゲート絶縁層の耐電圧や、後述する有機半導体層の特性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する材料を用いることができる。
本発明に用いられるゲート絶縁層の厚みとしては、上記カルド型樹脂の種類等に応じて、ゲート絶縁層に所望の耐電圧を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、100μm以下であることが好ましく、特に0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらには0.3μm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
(2)有機半導体層
次に、本発明に用いられる有機半導体層について説明する。本発明に用いられる有機半導体層は、有機半導体材料からなるものである。
本発明に用いられる上記有機半導体材料としては、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて、所望の半導体特性を備える有機半導体層を形成できる材料であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体材料を用いた有機半導体トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン、オリゴチオフェン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。なかでも本発明においては上記低分子系有機半導体材料を用いることが好ましい。上記有機半導体材料として低分子系有機半導体材料を用いることにより、本発明の有機半導体素子をよりトランジスタ特性に優れたものにできるからである。
また、本発明に用いられる有機半導体層の厚みについては、上記有機半導体材料の種類等に応じて所望の半導体特性を備える有機半導体層を発現できる範囲であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、1000nm以下であることが好ましく、なかでも5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
(3)有機半導体トランジスタ
本発明に用いられる有機半導体トランジスタは、少なくとも上記ゲート絶縁層および上記有機半導体層を有するものであるが、通常は、上記ゲート絶縁層および上記有機半導体層以外に、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極が用いられることにより、トランジスタとしての機能を発現するものである。
ここで、本発明に用いられる有機半導体トランジスタの構造としては、上記ゲート絶縁層に接するように上記有機半導体層が形成された構造であれば特に限定されるものではなく、一般的に公知の薄膜トランジスタ構造を採用することができる。このような有機半導体トランジスタの構造としては、例えば、ボトムゲート型構造およびトップゲート型構造を挙げることができる。
本発明に用いられる有機半導体トランジスタが、ボトムゲート型構造を有する場合について図を参照しながら説明する。図4は、本発明に用いられる有機半導体トランジスタが、ボトムゲート型構造を有する場合の一例を示す概略図である。図4(a)、(b)に例示するように、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ゲート電極2aが、有機半導体層2cよりも基板1側に配置されているボトムゲート型構造を有するものであってもよい。
さらに、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているボトムゲート・トップコンタクト型構造であってもよく(図4(a))、または、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているボトムゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい(図4(b))。
次に、本発明に用いられる有機半導体トランジスタが、トップゲート型構造を有する場合について図を参照しながら説明する。図5は、本発明に用いられる有機半導体トランジスタがトップゲート構造を有する場合の一例を示す概略図である。図5に例示するように、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、有機半導体層2cがゲート電極2aよりも基板1側に配置されているトップゲート型構造を有するものであってもよい。
さらに、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの上面に配置されているトップゲート・トップコンタクト型構造であってもよく(図5(a))、または、ソース電極2dおよびドレイン電極2eが上記有機半導体層2cの下面に配置されているトップゲート・ボトムコンタクト型構造であってもよい(図5(b))。
ここで、本発明に用いられる有機半導体トランジスタとしては、上記ボトムゲート型構造または上記トップゲート型構造を有するもののいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも本発明においては上記ボトムゲート構造を有するものであることが好ましい。上記有機半導体トランジスタがボトムゲート型構造を有することより、本発明の有機半導体素子を製造することが容易になるからである。
本発明に用いられるゲート電極、ソース電極およびドレイン電極としては、通常、金属材料からなるものが用いられる。このような金属材料としては、所望の導電性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に有機半導体トランジスタの電極に用いられる金属材料を用いることができる。このような金属材料の例としては、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Nb、Hf、Mo、Au、Ag、Pt、および、Mo−Ta合金等を挙げることができる。なかでも本発明においては、Au、または、Alを用いることが好ましい。このような金属材料を用いることにより、本発明により製造される有機半導体素子の性能を向上させることができるからである。
また、本発明に用いられる有機半導体トランジスタには、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを防止するパッシベーション層を有するものであってもよい。このようなパッシベーション層を有することにより、本発明に用いられる有機半導体トランジスタを、トランジスタ性能の経時劣化が少ないものにすることができるからである。
図6は、本発明に用いられる有機半導体トランジスタが上記パッシベーション層を有する場合の一例を示す概略図である。図6(a)、(b)に例示するように、本発明に用いられる有機半導体トランジスタ2は、上記有機半導体層2cを覆うようにパッシベーション層2fが形成されているものであってもよい。
本発明に用いられるパッシベーション層に用いられる材料としては、上記有機半導体層が空気中に含有される水分等に曝露されることを所望の程度に防止できるものであれば特に限定されるものではない。このような材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素系樹脂、および、PVP、PVA等の水溶性樹脂等を挙げることができる。
なお、本発明の有機半導体素子は、通常、後述する基板上に複数の有機半導体トランジスタが配置された構成を有するものである。ここで、上記複数の有機半導体トランジスタが基板上に配置される態様としては、特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて所望の態様で配置することができる。
2.基板
次に、本発明に用いられる基板について説明する。本発明に用いられる基板は上記有機半導体トランジスタを支持するものである。
本発明に用いられる基板としては、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて任意の機能を有する基板を用いることができる。このような基板としては、ガラス基板等の可撓性を有さないリジット基板であってもよく、または、プラスチック樹脂からなるフィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。本発明においては、このようなリジット基板およびフレキシブル基板のいずれであっても好適に用いられるが、なかでもフレキシブル基板を用いることが好ましい。このようなフレキシブル基板を用いることにより、本発明の有機半導体素子をRoll to Rollプロセスにより製造することが可能になるため、本発明の有機半導体素子を生産性の高いものにすることができるからである。
ここで、上記プラスチック樹脂としては、例えば、PET、PEN、PES、PI、PEEK、PC、PPSおよびPEI等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる基板の厚みは、通常、1mm以下であることが好ましく、なかでも50μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。
3.有機半導体素子の用途
本発明の有機半導体素子は、例えば、TFT方式を用いるディスプレイ装置のTFTアレイ基板として用いることができる。このようなディスプレイ装置としては例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
4.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子を製造する方法としては、上記構成を有する有機半導体素子を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、上述した基板を用い、上記基板上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、上記ゲート電極上に、上述したカルド型樹脂を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を上記基板上に塗工することによって上記ゲート絶縁層形成用塗工液の塗膜を形成した後、上記カルド型樹脂を硬化させることによってゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記ゲート絶縁層上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程とを用いる方法を挙げることができる。このような方法によれば、上述したボトムゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造することができる。
また、他の製造方法の例としては、上述した基板を用い、上記基板上にソース電極およびドレイン電極を形成するソース・ドレイン電極形成工程と、上記ソース電極およびドレイン電極上に有機半導体材料からなる有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、上記有機半導体層上に、上述したカルド型樹脂を含有するゲート絶縁層形成用塗工液を塗工することによって上記ゲート絶縁層形成用塗工液の塗膜を形成した後、上記カルド型樹脂を硬化させることによってゲート絶縁層を形成するゲート絶縁層形成工程と、上記有機半導体層上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程とを用いる方法を挙げることができる。このような方法によれば、上述したトップゲート構造の有機半導体トランジスタを有する有機半導体素子を製造することができる。
上記ゲート絶縁形成工程に用いられるゲート絶縁層形成用塗工液は、通常、上記カルド型樹脂を溶媒に溶解してなるものが用いられる。上記溶媒としては、上述したカルド型樹脂を所望の濃度で溶解できるものであれば特に限定されるものではなく、上記カルド型樹脂の種類等に応じて任意の溶媒を用いることができる。このような溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、および、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
また、上記ゲート絶縁層形成工程において上記ゲート絶縁層形成用塗工液を塗工する方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、およびキャスト法等の塗布方法や、インクジェット法、スクリーン印刷法、パッド印刷法、フレキソ印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、および、グラビア・オフセット印刷法等の印刷方法等を挙げることができる。
さらに、上記ゲート絶縁層形成工程において、上記カルド型樹脂を硬化させる方法としては、上記カルド型樹脂が有する重合性官能基の種類に応じて任意に選択すればよい。例えば、上記カルド型樹脂として上述した光硬化性カルド型樹脂を用いる場合は、上記硬化方法として、光重合性官能基の重合反応を誘起できる光を照射する方法を用いればよく、また、上記カルド型樹脂として熱硬化性カルド型樹脂を用いる場合は、上記硬化方法として、熱重合性官能基の重合反応を誘起できる程度の熱を加える方法を用いればよい。
一方、上記有機半導体層形成工程において有機半導体層を形成する方法としては、使用する有機半導体材料の種類等に応じて、所望の厚みの有機半導体層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上記有機半導体材料が溶媒に可溶なものである場合は、当該有機半導体材料を溶媒に溶解して、有機半導体層形成用塗工液を調製した後、当該有機半導体層形成用塗工液を塗工する方法を挙げることができる。この場合の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、LB法、ディップコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、および、キャスト法等を挙げることができる。
一方、上記有機半導体材料が溶媒に不溶なものである場合は、例えば、真空蒸着法等のドライプロセスにより、有機半導体層を形成する方法を挙げることができる。
なお、上記ゲート電極形成工程、および、上記ソース・ドレイン電極形成工程において、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極をそれぞれ形成する方法としては、一般的に半導体トランジスタを形成する際に用いられている方法と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
1.実施例
(1)基板入手及び洗浄
基盤としてコーニング社製無アルカリガラス(#1737)25mm×25mmを入手し、以下の手順で洗浄した。
i)フルウチ化学社製「セミコクリーン」原液中に上記基板を浸し、超音波洗浄機を用いて15分洗浄する。
ii)超音波洗浄機を用い、純水で5分×3回リンスする。
iii)超音波洗浄機を用い、アセトン中で15分洗浄する。
iv)超音波洗浄機を用い、2−プロパノール中で15分洗浄する。
v)230℃のオーブンに入れ、30分乾燥させる。
(2)ゲート電極の形成
上述した手順で洗浄した基板をUVオゾン洗浄機を用いて5分間洗浄した後、Crをターゲットにしたスパッタリング装置(キャノンアネルバ社製 SPF−730)にてマスクを用いパターン形成した。このとき、Crの膜厚は50nmに設定した。
(3)ゲート絶縁層の形成
ゲート電極が形成された基板を用い、光硬化性カルド型樹脂を1μmの膜厚になるようスピンナーを用いて形成した後、120℃のホットプレートにて2分間加熱し半硬化層を形成した。
ここで、光硬化性カルド型樹脂としては、ビス−フェノールフルオレン−ヒドロキシアクリレートと、ビス−アニリン−フルオレンと、ピロメリト酸無水物とを、モル比=1:4:5で反応させて得られるランダム共重合体を用いた。
次いで、ゲート絶縁層が形成される部位以外を遮光するよう描画されたフォトエッチング用マスクを、上記光硬化性カルド型樹脂の半硬化層上に載置した後、紫外線を350mJ/cmの条件で照射して露光・現像処理を施すことにより、ゲート絶縁層を形成した。その後、ゲート絶縁層を完全に硬化させるため、230℃のオーブン内で30分間加熱した。
(3)有機半導体層の形成
ゲート絶縁層が形成された基板に、液晶性有機半導体材料(5,5'''−dioctyl−2,2’:5’,2’’:5'',2'''−quaterthiophene)をアルバック社製蒸着装置(VPC−060)にてマスクを用いパターン形成することにより、有機半導体層を形成した。このとき、有機半導体層の膜厚は50nmに設定した。
(4)ソース電極およびドレイン電極の形成
有機半導体層が形成された基板に、アルバック社製蒸着装置(VPC−060)にてAuを蒸着源とし、マスクを用いソース電極およびドレイン電極を形成した。このとき、ソース電極およびドレイン電極の膜厚は50nmとした。
以上のような方法により、有機半導体素子を作製した。
2.比較例
ゲート絶縁層を形成する際に、上記光硬化性カルド型樹脂に替えて、ポリイミド系光硬化型樹脂(京セラケミカル社製 CT4160R)を用いたこと以外は、実施例と同様の方法により有機半導体素子を作製した。
3.評価
実施例および比較例において作製した有機半導体素子について、有機半導体トランジスタのtransfer特性を、ソース・ドレイン間電圧−80V,ゲート電圧80V〜−80Vの範囲で走査して測定した。その結果をそれぞれ図7および図8に示す。(図7:実施例,図8:比較例)
図7,8に示すように、実施例の有機半導体素子はゲート電圧の閾値電圧が0V付近で安定した特性を示したが、比較例の有機半導体素子はゲート電圧の閾値電圧が0Vから大きく外れてしまっていた。
本発明の有機半導体素子の一例を示す概略図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略図である。 本発明に用いられるカルド型樹脂の耐電圧測定方法の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる有機半導体トランジスタの一例を示す概略図である。 本発明に用いられる有機半導体トランジスタの他の例を示す概略図である。 本発明に用いられる有機半導体トランジスタの他の例を示す概略図である。 本発明の実施例における有機半導体素子のトランジスタ特性を示すグラフである。 本発明の比較例における有機半導体素子のトランジスタ特性を示すグラフである。 一般的な半導体トランジスタの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 基板
2 … 有機半導体トランジスタ
2a … ゲート電極
2b … ゲート絶縁層
2c … 有機半導体層
2d … ソース電極
2e … ドレイン電極
2f … パッシベーション層
10 … 有機半導体素子
100 … 有機半導体トランジスタ
100a … ゲート電極
100b … ゲート絶縁層
100c … 有機半導体層
100d … ソース電極
100e … ドレイン電極

Claims (2)

  1. 基板と、前記基板上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層および前記有機半導体層に接するように形成されたゲート絶縁層を備える有機半導体トランジスタと、を有する有機半導体素子であって、
    前記ゲート絶縁層が、下記式(I)で表されるカルド型樹脂の硬化物からなることを特徴とする、有機半導体素子。
    Figure 2008166537
    (上記式において、RおよびRは、それぞれ独立して重合性官能基を有する側鎖を表す。)
  2. 前記有機半導体トランジスタがボトムゲート型構造を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子。
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