JP2010034126A - 有機tftの製造方法、及び有機tft - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程の複雑化と高価格化を招くことなく、優れた特性と高い信頼性を得ることができる有機TFTの製造方法、及び有機TFTを提供する。
【解決手段】下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を付着させる複数の粒状物を散在させる工程と、複数の粒状物が散在した下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を塗布し、有機半導体膜を形成する工程と、を有する。
【選択図】図3
【解決手段】下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を付着させる複数の粒状物を散在させる工程と、複数の粒状物が散在した下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を塗布し、有機半導体膜を形成する工程と、を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、有機TFTの製造方法、及び有機TFTに関する。
近年、基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTとも記す)を形成する技術が大幅に進歩し、特にアクティブマトリクス型の大画面表示装置の駆動素子への応用開発が進められている。現在実用化されているTFTは、a−Siやpoly−SiといったSi系の無機材料で製造されているが、このような無機材料を用いたTFTの製造においては、真空プロセスや高温プロセスを必要とし、製造コストに大きく影響を及ぼしている。
そこで、このような問題に対応する為、近年、有機材料を用いたTFT(以下、有機TFTとも記す)が種々検討されている。有機材料は無機材料に比べ、材料の選択肢が広く、また、有機TFTの製造工程においては、前述の真空プロセス、高温プロセスに代わり、印刷、塗布といった生産性に優れたプロセスが用いられる為、製造コストを抑えることができる。さらに耐熱性の乏しい、例えばプラスティックフィルム基板等にも形成することができる可能性があり、多方面への応用が期待されている。
有機半導体材料の塗布方法としては、有機半導体材料を溶解した溶液(以下、インクとも称する。)を直接塗布するインクジェット法、ディスペンサ法等の液滴塗布技術が知られている。これらの技術は、1.真空プロセスが不要、2.材料の浪費がない、3.直接パターニングできる為フォトリソグラフィ法と比べてエッチング工程が不要、といった利点がある。これにより、製造コストを抑えることができ、多方面で鋭意研究が行われている。
ところで、このような有機TFTにおいて、優れた電気特性と高い信頼性を得る為には、有機半導体膜を適正な膜厚で所定の位置に精度良く形成する必要がある。しかしながら、有機TFTの有機半導体膜を前述のインクジェット法やディスペンサ法等を用いて形成する際には、塗布されたインクが乾燥に至る前に濡れ広がり、隣接する画素にまで到達することにより、クロストークやリーク電流の増加等に繋がるパターニング不良、また、充分な膜厚が得られないこと、等によりトランジスタの良好な特性が得られないといった問題がある。
そこで、このような問題に対応する為に種々の技術が検討されている。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて、被塗布領域の周縁にバンクと呼ばれる壁を形成し、塗布されたインクの塗布領域外への流出を防止する。さらに、インクに対して、被塗布領域がバンクよりも親液性が高くなるようにすることによりインクの塗布領域外への流出を防止するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
また、インクを塗布する下地層の材料として撥液性を有する材料を用い、下地層と塗布されたインクとの接触角を高めることにより、塗布されたインクの塗布領域外への流出を防止するようにした技術が知られている(特許文献2参照)。
また、インクを下地層に塗布する前に、下地層に乾燥し難い(沸点の高い)沈殿剤と称される溶液を塗布しておくことにより、後から塗布、乾燥されて形成された有機半導体膜の表面を平滑にするようにした技術が知られている(特許文献3参照)。
特許第3692524号公報
特表2006−523014号公報
特表2007−524235号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、バンクを形成する為に、例えば、少なくとも以下1項乃至6項に示す工程が必要となる。このため製造工程の複雑化と製造コストの高価格化を招くといった問題がある。
1.成膜工程:バンク材料である感光性樹脂をスピンコートで全面に成膜。
2.プリベーク:溶媒を乾燥。
3.露光工程:フォトマスクを配置して、紫外線を露光。
4.PEB(ポスト エクスプロージャー ベーク):100℃程度で樹脂を硬化する等、露光による化学反応の進行を促進。
5.現像工程:現像液に漬け、紫外線が照射したところの樹脂のみを除去。
6.PB(ポスト ベーク):残った樹脂を硬化。
また、特許文献2に開示されているような、下地層に撥液材料層を設けインクとの接触角を大きくする方法では、インクの下地層への密着力が低下し、乾燥のプロセスでの基板の動きやインク自体の溶媒の乾燥に起因する外力等により、インクが転がる等して移動し、所定の位置に塗布できないという問題がある。
また、特許文献3に開示されている方法は、下地層に塗布された沈殿剤にインクが溶けることにより、形成される有機半導体膜の表面を平滑にするものである。しかしながら、沈殿剤を所望の領域に精度よく塗布する為には、そもそもバンクを必要とし、特許文献1の場合と同様の問題が生じる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、製造工程の複雑化と高価格化を招くことなく、優れた特性と高い信頼性を得ることができる有機TFTの製造方法、及び有機TFTを提供することを目的とする。
上記目的は、下記の1乃至7のいずれか1項に記載の発明によって達成される。
1.下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を付着させる複数の粒状物を散在させる工程と、
前記複数の粒状物が散在した前記下地層の上に前記有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を塗布し、有機半導体膜を形成する工程と、を有することを特徴とする有機TFTの製造方法。
前記複数の粒状物が散在した前記下地層の上に前記有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を塗布し、有機半導体膜を形成する工程と、を有することを特徴とする有機TFTの製造方法。
2.前記下地層の上に前記複数の粒状物を散在させる工程は、
前記下地層の上に前記複数の粒状物が分散した分散媒を滴下する工程と、
前記下地層の上に滴下された前記分散媒を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする前記1に記載の有機TFTの製造方法。
前記下地層の上に前記複数の粒状物が分散した分散媒を滴下する工程と、
前記下地層の上に滴下された前記分散媒を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする前記1に記載の有機TFTの製造方法。
3.前記複数の粒状物の材料は、半導体であることを特徴とする前記1または2に記載の有機TFTの製造方法。
4.前記粒状物の直径は、0.1μm以上、3μm以下であることを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
5.前記分散媒は、インクジェット法またはディスペンサ法を用いて滴下することを特徴とする前記2乃至4のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
6.前記有機半導体溶液は、インクジェット法またはディスペンサ法を用いて塗布することを特徴とする前記1乃至5のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
7.前記1乃至6のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法を用いて製造されることを特徴とする有機TFT。
本発明によれば、下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を付着させる複数の粒状物を散在させた後、該複数の粒状物が散在した下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を塗布し、有機半導体膜を形成するようにした。これにより、下地層の上に塗布された有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液が複数の粒状物に付着し、該有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液が乾燥に至る前に濡れ広がるのを抑えることができる。その結果、有機半導体膜を適正な膜厚で所定の位置に精度良く形成することができ、製造工程の複雑化と高価格化を招くことなく、優れた特性と高い信頼性を得ることができる有機TFTを製造することができる。
以下図面に基づいて、本発明に係る有機TFTの実施の形態を説明する。尚、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
最初に本発明に係る有機TFTの代表的な実施形態の1つであるボトムゲートボトムコンタクト型の有機TFTの構成を図1を用いて説明する。図1は、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機TFT1の概略構成を示す断面図である。
有機TFT1は、図1に示すように、基板P、ゲート電極G、ゲート絶縁膜IF、ソース電極S・ドレイン電極D、粒状物X、有機半導体膜SF、及び図示しないパッシベーション膜等から構成される。
有機TFT1は、基板Pの上にゲート電極G、ゲート絶縁膜IF、ソース電極S・ドレイン電極Dが順に形成され、その上に複数の粒状物(以下、単に粒状物とも称する。)Xを散在させた上で、該粒状物Xを用いて有機半導体膜SFが形成されている。
尚、ここではボトムゲートボトムコンタクト型の有機TFT1の構成を示したが、本発明に係る有機TFTの素子構成は特に限定されず、ボトムゲートトップコンタクト型であってもよい。この場合も同様に、図2に示すように、ゲート絶縁膜IFの上に、粒状物Xを散在させた後、有機半導体溶液を滴下して有機半導体膜SFを形成すればよい。また、さらにトップゲート型であってもよい。
このような構成の有機TFT1において、粒状物Xは、有機半導体膜SFを形成する際に、下地層(この場合は、ゲート絶縁膜IF)の上に塗布された有機半導体溶液を付着させ、該有機半導体溶液が乾燥に至る前に濡れ広がるのを抑えるものである。すなわち、有機半導体膜SFを適正な膜厚で所定の位置に精度良く形成する為のものである。
ここで、粒状物Xを用いた塗布型半導体膜(例えば、有機半導体膜SF)の形成方法の概要を図4を用いて説明する。図4(a)〜図4(d)は、粒状物Xを用いた有機半導体膜SFの形成方法の概要を説明する断面模式図である。
最初に、下地層(例えば、基板P)の上に、例えば、インクジェット法を用いて粒状物Xを分散させた分散媒DMを滴下する(図4(a))。
次に、分散媒DMが滴下された基板Pを乾燥させ、粒状物Xを基板Pに散在させて固定する(図4(b))。
次に、基板Pに散在された粒状物Xの上に、例えば、インクジェット法を用いて有機半導体溶液SLを塗布する(図4(c))。このとき、有機半導体溶液SLは、表面張力により粒状物Xに引き寄せられ付着する。
次に、有機半導体溶液SLが塗布された基板Pを、塗布された該有機半導体溶液SLがピニングしないように乾燥させ、有機半導体膜SFを形成する(図4(d))。
このように、有機半導体溶液SLを基板Pに塗布する際に、予め基板Pの所定の領域に、粒状物Xを散在させておくことにより、塗布された有機半導体溶液SLが粒状物Xに付着する。これにより、有機半導体溶液SLが濡れ広がることなく所定の領域で乾燥されて有機半導体膜SFが形成される。尚、有機半導体膜SFの形成方法の詳細は後述する。
通常、インクジェット法を用いたプロセスにおいて、インクの粘度が低い場合、または塗布する基板とインクの接触角が小さい場合等は、インクが広がりすぎるという問題がある。その結果、乾燥時に半導体膜が自然に寄せ集まらず、良好な特性を得るに充分な膜厚を得られないという問題がある。特に、有機半導体材料等を用いた有機半導体膜の形成プロセスにおいては、基板の表面が清浄であることが要求される為、基板の表面エネルギーは高くなる傾向がある。これにより基板の濡れ性が高まり、必然的にインクと基板の接触角が小さくなるという問題がある。この為、微細なパターン形成にインクジェット法を用いる場合には、インクの広がりを抑える為に、バンクの形成、または下地層に撥液材料を用いて接触角を大きくする等、の対応が必要である。
しかしながら、バンクを形成する為には、それだけで製造コストの高価格化に繋がるフォトリソグラフィ法が必要である。また、下地層に撥液材料層を設け接触角を大きくするとインクの基板への密着力が低下し、乾燥のプロセスでの基板の動きやインク自体の溶媒の乾燥に起因する外力等により、インクが転がる等して移動し、所定の位置に塗布できないという問題が生じる。
本願発明者は、これらの問題に対応する為、鋭意検討した結果、インクを粒状物に付着させる方法を見出した。
すなわち、インクを基板に塗布する際に、予め基板の所定の領域に、粒状物を散在させておくことにより、塗布されたインクが粒状物に付着する。これにより、インクが濡れ広がることなく所定の領域で乾燥されて適正な膜厚の有機半導体膜が形成される。
次に、このような構成の有機TFT1の製造工程の一例を図3を用いて説明する。図3(a)〜図3(h)は、有機TFT1の製造工程の一例を示す断面模式図である。
最初に、基板Pを準備する(図3(a))。基板Pの材料は、特に限定されることはなく、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラスやフレキシブルなプラスティックフィルム等の樹脂製シートを用いることができる。プラスティックフィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このようなプラスティックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上させることができる。また、ステンレスや真鍮などの金属板を用いることもできる。
次に、ゲート電極Gを形成する(図3(b))。ゲート電極Gの電極材料としては、スパッタや蒸着で薄膜を形成する場合は、Au、Ag、Pb、Al、Cr、Pt、Cu、Mo、ITOやこれらにドーパントを加えた材料等を用いることができる。液滴塗布法の場合は、Agナノ粒子、Auナノ粒子、AgPbナノ粒子等の金属ナノ粒子を溶媒に分散した金属ナノ粒子インク、ITOナノ粒子等の金属酸化物を溶媒に分散した金属酸化物ナノ粒子インク、PEDOT/PSS等の有機材料を溶媒に分散した有機材料分散インク等を用いることができる。形成方法としては、スパッタ法や蒸着法等で電極材料の薄膜を表面に形成した基板Pを、フォトリソグラフィ法を用いてパターンニングする方法や、種々の印刷法や液滴塗布法を用いて所望の部分のみに薄膜を形成することができる。
次に、ゲート絶縁膜IFを形成する(図3(c))。ゲート絶縁膜IFの材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン等の無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物を用いることができる。あるいは、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、シアノエチルプルラン等の有機化合物等も用いることができる。形成方法としては、例えば、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のほか、スピンコート等の塗布法によって形成された絶縁膜を、フォトリソグラフィ法等を用いてパターニングする方法や、種々の印刷法やインクジェット等の液滴塗布法を用いて所望部分のみに薄膜を形成することができる。
次に、ソース電極S・ドレイン電極Dを形成する(図3(d))。ソース電極S・ドレイン電極Dの電極材料としては、ゲート電極Gの場合と同様の電極材料を用いることができる。ゲート絶縁層IFが形成された基板Pを洗浄後、前述のゲート電極Gの形成方法と同様に、フォトリソグラフィ法や、種々の印刷法や液滴塗布法等を用いて形成することができる。
次に、複数の粒状物Xが分散した分散媒DMを滴下する(図3(e))。粒状物Xの材料としては、例えばSiO2や有機半導体そのものも用いることができる。また、分散媒DMとしては、例えば、純水を用いることができる。滴下方法としては、インクジェット法、スプレー法、ディスペンサ法、印刷法等を用いることができる。何れの方法を用いる場合でも、粒状物Xの分散媒DMは、所望の条件で乾燥させることができるので、基板Pや粒状物X自体を侵食するものでなければ、所望の位置に粒状物Xを配置する為のみの用途として選択することができる。これにより、後工程で塗布される有機半導体溶液SLの溶解度等に制約されることなく選択できる。尚、分散媒DMの沸点は、80℃以上が好ましく、さらには120℃以上であるとより好ましい。
また、粒状物Xの材料も選択肢は広く、後工程で形成される有機半導体膜SFの作用に影響を及ぼすものでなければ特に限定されるものではないが、有機半導体溶液SLに対して親液性を有するものであれば好ましい。これにより、有機半導体溶液SLを引き寄せる構造を作る際の制約を緩和することができる。
また、粒状物Xは、機械的に有機半導体溶液SLを表面張力で引き付ける為、素子に対して一定の高さが必要であり、その直径は、0.1μm以上、3μm以下が好ましく、さらには下限値が0.8μm以上であるとより好ましい。但し、粒状物Xが小さい場合は、粒状物自身が凝集し、より大きな粒状物としての作用を示すことが考えられるので、用いる分散媒DMおよび有機半導体溶液SL等の特性に合わせて適切な条件を選択する。
ここで、前述した粒状物Xの材料として、有機半導体そのものを用いることができることについて説明する。
通常、塗布型半導体は、溶解性を高めることと化学的安定性や電荷輸送特性を高めることとが相反する関係になることが多く、特性の良い有機半導体は一般に溶解し難い。
詳細には、より良い半導体特性と認められる高い移動度を得る為には、半導体分子間ホッピング伝導をより行い易くする為に稠密な結晶構造を持つように結晶内の分子間距離を短くすることで導電機能を有するπ電子共役系を近づける必要がある。一方、より高い溶解性を得る為には、π−πスタッキング等の分子間相互作用を弱め、側鎖が大きく溶媒に取り込まれ易い構造を必要とする。したがって、特性の良い有機半導体は一般に溶解し難いものである。
これにより、有機半導体材料からなる粒状物Xに有機半導体溶液SLを塗布しても、粒状物Xは、即座に溶解することなく粒状物Xとしての機能を発することができる。さらに、有機半導体溶液SLに含まれる有機半導体材料が前駆体タイプのものであった場合、粒状物Xは、基本的には溶解しないのでより好ましい。
次に、分散媒DMが滴下された基板Pを乾燥させ、粒状物Xをゲート絶縁膜IFの上に散在させて固定する(図3(f))。
次に、散在された粒状物Xの上に、有機半導体溶液SLを塗布する(図3(g))。このとき、有機半導体溶液SLは、表面張力により粒状物Xに引き寄せられ付着する。これにより、有機半導体溶液SLが乾燥に至る前に濡れ広がるのを抑えることができる。
有機半導体の材料としては、多環芳香族化合物や共役系高分子等を用いることができるが、特に限定されない。高分子材料、オリゴマー、低分子材料でもよく、成膜後に分子が分子間相互作用により規則正しく配列し結晶となるものが特に好ましい。ペンタセン、ポルフィリン、フタロシアニン、オリゴチオフェン、オリゴフェニレン、ポリチオフェン、ポリフェニレン、及びこれら誘導体等を用いることができる。具体的には、ペンタセン、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、テトラベンゾポルフィリン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)等を用いることができる。また、これらの前駆体を成膜した後に熱処理すること等で有機半導体材料等に変換することもできる。
有機半導体溶液SLの塗布方法は、粒状物Xの効果により塗布位置の精度を高めることができる方法であれば特に限定されるものではなく、スクリーン印刷、インクジェット法、マイクロコンタクトプリント、SIJ、ディスペンサ法、凸版、転写等の印刷法を用いると、塗布と同時にパターニングもできる為、製造コストを低減することができ好適である。とりわけ、インクジェット法、SIJ、ディスペンサ法等の液滴塗布法を用いるのが特に好適である。
液滴塗布法を用いる場合には、有機半導体の材料は、前述の材料のなかでも、溶媒に溶解または分散させるものが好適で、有機低分子材料に溶解性を高める為に可溶性の側鎖を設けたものや、半導体の前駆体の溶液についても適用可能である。
また、有機半導体溶液SLに用いる溶媒は、有機半導体材料の溶解度とインクジェット法で吐出を行う為に必要な粘弾性および沸点を有するものであれば特に限定されるものではなく、粒状物Xの効果により着弾位置や下地層(ゲート絶縁膜IF)の濡れ性等を必要以上に考慮することなく選択できる為、選択肢が増え、プロセスの安定化に繋げることができる。これにより、溶媒としては、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、フェノール類等から有機半導体材料に適した溶媒を選択することができる。
次に、有機半導体溶液SLが塗布された基板Pを、塗布された該有機半導体溶液SLがピニングしないように乾燥させ、有機半導体膜SFを形成する(図3(h))。
尚、パッシベーション膜は、有機半導体膜SFを外部雰囲気から遮断、保護する為に適宜成膜する。
次に、本発明の実施形態に係るボトムゲートボトムコンタクト型の有機TFT1の実施例を説明する。
(実施例)
最初に、Cr膜が表面にスパッタされたSTN液晶用のソーダライムガラス基板(図3(a):基板P)に、感光性レジストを塗布した後、ゲート電極Gのパターンを有するフォトマスクを介して露光、現像して、ゲート電極Gの形状のレジスト層を成膜した。Crのエッチング後、レジスト層を除去し、ゲート電極Gを形成した(図3(b))。
最初に、Cr膜が表面にスパッタされたSTN液晶用のソーダライムガラス基板(図3(a):基板P)に、感光性レジストを塗布した後、ゲート電極Gのパターンを有するフォトマスクを介して露光、現像して、ゲート電極Gの形状のレジスト層を成膜した。Crのエッチング後、レジスト層を除去し、ゲート電極Gを形成した(図3(b))。
次に、スパッタリング法を用いて、SiO2を成膜し厚み500nmのゲート絶縁膜IFを形成した(図3(c))。尚、ゲート電極Gの端子部等の保護にはリフトオフレジスト(ゼオン社製)を予めスピンコート法にて塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングしておき保護膜とした。ゲート絶縁膜IFを形成した後、常温のジメチルホルムアミドで超音波洗浄を行い不要部分のゲート絶縁膜IFを除去し、端子出しを行った。
次に、ゲート絶縁膜IFの上に、リフトオフレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングした後、スパッタリング法を用いて、Crを厚み5nm、Auを厚み50nmでこの順に成膜した。その後、常温のジメチルホルムアミドで超音波洗浄を行い不要部分のリフトオフレジストを除去し、ソース電極S・ドレイン電極Dを形成した(図3(d))。チャネル長であるソース電極Sとドレイン電極Dとの間の距離は25μm、チャネル幅は250μmとした。
次に、ディスペンス法を用いて、チャネル間のゲート絶縁膜IFの上(チャネル部)に、粒状物Xとして直径1μmのSiO2を分散させた分散媒DMとしての純水を塗布した。(図3(e))。
次に、分散媒DMが滴下された基板Pを、ホットプレートを用いて80℃、10分間加熱した後、さらに、オーブンを用い120℃、1時間加熱し乾燥させ、粒状物Xをゲート絶縁膜IFの上に散在させて固定させた(図3(f))。
次に、有機半導体溶液SLとしてテトラヒドロナフタレンに6,13−ビストリエチルシリルエチニルペンタセンを3質量%溶解した溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、粒状部Xが散在したゲート絶縁膜IF、及びソース電極S・ドレイン電極Dの上に塗布した(図3(g))。
次に、有機半導体溶液SLが塗布された基板Pを、塗布された該有機半導体溶液SLがピニングしないように、ホットプレートを用いて40℃、2分間加熱した後、さらに、常温(約25℃)、真空(0.1Pa)の環境下にて30分間乾燥させ、直径270μm、平均膜厚50nmの有機半導体膜SFを形成し(図3(h))、ボトムゲートボトムコンタクト型の有機TFT1を完成させた。
このようにして有機TFT1を20素子製作し、その有機半導体膜SFの形状を光学顕微鏡及びAFM(キーエンス社製)にて観察したところ、直径、膜厚ともに殆どばらつきなく、精度よくチャネル部に形成されていることが確認できた。
このように本発明の実施形態に係る有機TFT1の製造方法においては、下地層(ゲート絶縁膜IF)の上に有機半導体溶液SLを付着させる複数の粒状物Xを散在させた後、該複数の粒状物Xが散在した下地層の上に有機半導体溶液SLを塗布し、有機半導体膜SFを形成するようにした。これにより、下地層の上に塗布された有機半導体溶液SLが複数の粒状物Xに付着し、該有機半導体溶液SLが乾燥に至る前に濡れ広がるのを抑えることができる。その結果、有機半導体膜SFを適正な膜厚で所定の位置に精度良く形成することができ、製造工程の複雑化と高価格化を招くことなく、優れた特性と高い信頼性を得ることができる有機TFT1を製造することができる。
1 有機TFT(有機薄膜トランジスタ)
D ドレイン電極
DM 分散媒
G ゲート電極
IF ゲート絶縁膜
S ソース電極
SF 有機半導体膜
SL 有機半導体溶液(インク)
P 基板
X 粒状物
D ドレイン電極
DM 分散媒
G ゲート電極
IF ゲート絶縁膜
S ソース電極
SF 有機半導体膜
SL 有機半導体溶液(インク)
P 基板
X 粒状物
Claims (7)
- 下地層の上に有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を付着させる複数の粒状物を散在させる工程と、
前記複数の粒状物が散在した前記下地層の上に前記有機半導体溶液または有機半導体前駆体溶液を塗布し、有機半導体膜を形成する工程と、を有することを特徴とする有機TFTの製造方法。 - 前記下地層の上に前記複数の粒状物を散在させる工程は、
前記下地層の上に前記複数の粒状物が分散した分散媒を滴下する工程と、
前記下地層の上に滴下された前記分散媒を乾燥させる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の有機TFTの製造方法。 - 前記複数の粒状物の材料は、半導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機TFTの製造方法。
- 前記粒状物の直径は、0.1μm以上、3μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
- 前記分散媒は、インクジェット法またはディスペンサ法を用いて滴下することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
- 前記有機半導体溶液は、インクジェット法またはディスペンサ法を用いて塗布することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法を用いて製造されることを特徴とする有機TFT。
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