JP2011107180A - 偏光板とそれを備える液晶パネル、vaモ−ド液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも可視光領域において波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性(逆波長分散性)を示すことができ、VAモ−ドの液晶パネルおよび液晶表示装置の光学補償に好適に用いられる、新規な組成を有する偏光子保護フィルムを含む偏光板の提供を目的とする。
【解決手段】少なくとも1枚の偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子保護フィルムが、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)特定の分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、二軸性を有する偏光子保護フィルムである偏光板である。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも1枚の偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子保護フィルムが、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)特定の分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、二軸性を有する偏光子保護フィルムである偏光板である。
【選択図】なし
Description
本発明は、少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性(逆波長分散性)を示す偏光子保護フィルムを有する偏光板、この偏光子保護フィルムを備える液晶パネル、および、VAモ−ド液晶表示装置に関する。
高分子の配向により生じる複屈折を利用した複屈折性を有する光学フィルムが、画像表示分野において幅広く使用されている。例えば、複屈折により生じる位相差を利用した光学フィルムが、画像表示装置の色調の補償、視野角の補償などに広く用いられている。具体的な例として、反射型の液晶表示装置(LCD)では、複屈折により生じた位相差に基づく光路長差(リタ−デ−ション)が波長の1/4である位相差板(λ/4板)が用いられる。これら複屈折性を有する偏光子保護フィルム(以下、単に「複屈折フィルム」または「位相差フィルム」ともいう)は、今後のさらなる用途拡大が期待される。
一方、画像表示装置に用いられる偏光板は、特に液晶表示装置の液晶セルの両側に配置されるが、通常、ヨウ素などの二色性物質を吸着させたポリビニルアルコ−ルフィルムを一軸延伸した偏光子の両面に、TAC(トリアセチルセルロ−ス)フィルムなどの偏光子保護フィルムを積層する構成が代表的である。位相差フィルムは液晶セルと偏光板の間に位置するが、部材の削減や製造工程の短縮によるコスト削減を目的に、位相差フィルムの機能を偏光子保護フィルムに付与し、位相差フィルムと偏光子保護フィルムを一層化した複屈折性を有する偏光子保護フィルムの開発が行なわれている。
複屈折性を有する偏光子保護フィルムには、これまで、ポリカ−ボネ−トや環状オレフィンなどが主に用いられてきたが、これら一般的な高分子は、光の波長が短くなるほど複屈折が大きくなる(即ち、位相差が増大する)特性を有する。表示特性に優れる画像表示装置とするためには、これとは逆に、少なくとも可視光の領域において、光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる(即ち、位相差が減少する)波長分散性を有する複屈折フィルムが望まれる。なお、本明細書では、少なくとも可視光領域において光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を、一般的な高分子(ならびに当前記高分子により形成された複屈折フィルム)が有する波長分散性とは逆であることに基づいて、「逆波長分散性」と呼ぶ。
これまで、逆波長分散性を有する複屈折フィルムを得るために、位相差あるいは波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムを積層したり、特定の光学特性を有する微粒子を部材に添加したりすることがなされている(例えば、微粒子の添加について、特許文献1を参照)。しかし、2種の複屈折フィルムを積層して逆波長分散性を実現するためには、双方の部材を所定の角度で精密に裁断し、さらに両者を所定の角度で精密に積層することが求められるため、製造工程が複雑となって、複屈折フィルムのコスト性、生産性に大きな課題が生じる。また、モバイル機器に用いる画像表示装置では、その小型化、軽量化に対する要求が高いが、2種の部材を積層して逆波長分散性を実現する方法では、得られる複屈折フィルムが厚くなるため、この要求への対応が難しい。一方、微粒子を添加する方法では、製造工程が複雑となり、複屈折フィルムのコスト性、生産性に大きな課題が残る。
これらの技術とは別に、特許文献2には、正の固有複屈折を有するポリマ−と、負の固有複屈折を有するポリマ−とをブレンドして得た、逆波長分散性を有する位相差板が開示されている。当前記文献には、正の固有複屈折を有するポリマ−としてノルボルネン系樹脂が、負の固有複屈折を有するポリマ−としてスチレン系ポリマ−が例示されている。
また、特許文献3には、正の固有複屈折を有する分子鎖と、負の固有複屈折を有する分子鎖とを有する共重合体を含む組成物を用いて形成された、逆波長分散性を有する位相差板が開示されている。当前記文献には、正の固有複屈折を有する分子鎖としてノルボルネン鎖が、負の固有複屈折を有する分子鎖としてスチレン鎖などのスチレン系の分子鎖が例示されている。
本発明は、複屈折性を有する偏光子保護フィルムを含む偏光板であって、位相差または波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは、特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら逆波長分散性を示すことができる新規な組成を有する偏光子保護フィルムを含む偏光板の提供を目的とする。
本発明の偏光板は、少なくとも1枚の偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子保護フィルムが、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)以下の式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、二軸性を有する偏光子保護フィルムである偏光板である。
(前記式(1)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。)
本発明の液晶パネルは、本発明の偏光板をVAモ−ド液晶セルの少なくとも片側に備える。
本発明の液晶パネルは、本発明の偏光板をVAモ−ド液晶セルの少なくとも片側に備える。
本発明のVAモ−ド液晶表示装置は、本発明の液晶パネルを備える。
本発明の偏光板は、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)以下の式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、偏光子保護フィルムを有することにより、位相差または波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは、特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら偏光子保護フィルムが逆波長分散性を示すため、特にVAモ−ドの液晶パネルや液晶表示装置に用いた場合、可視光の幅広い領域において位相差の補償が可能であり、カラ−シフトを低減することにより高い表示品質を維持しながら、さらなる小型化、軽量化などの要求に対する対応性に優れる。
本明細書における「樹脂」は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は、例えば1種または2種以上の重合体からなってもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、フィラ−などの添加剤、相溶化剤、安定化剤などを含んでいてもよい。
[樹脂(A)]
本発明に係る樹脂(A)の構成は、上記式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する限り特に限定されない。式(1)、(2)、(3)に示される分子構造および複素芳香族基を分子構造Xとすると、例えば、樹脂(A)は、分子構造Xが結合した構成単位(繰り返し単位)を有する重合体を含む。
本発明に係る樹脂(A)の構成は、上記式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する限り特に限定されない。式(1)、(2)、(3)に示される分子構造および複素芳香族基を分子構造Xとすると、例えば、樹脂(A)は、分子構造Xが結合した構成単位(繰り返し単位)を有する重合体を含む。
樹脂(A)は、例えばアクリル樹脂またはシクロオレフィン樹脂である。アクリル樹脂およびシクロオレフィン樹脂は、高い透明性および機械的特性を有しており、このような樹脂(A)からなる層を有する光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置に用いる光学フィルムとして好適である。
アクリル樹脂は、アクリル重合体を50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上含む樹脂である。シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン重合体を50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上含む樹脂である。
偏光子保護フィルムは、偏光子の片面または両面に接合された状態で使用される。偏光子は、典型的には、ポリビニルアルコ−ルフィルムをヨウ素または二色性染料などの二色性物質により染色して形成されるが、染色に水溶液を使用するため、偏光子に接合される偏光子保護フィルムは、本来、水透過性を有することが好ましい。偏光子と偏光子保護フィルムとの接合に水系の接着剤が使用されることも、水透過性を有する偏光子保護フィルムが好ましい理由の一つである。例えば、シクロオレフィン重合体からなるフィルムは、当該重合体の疎水性が強いために水透過性をほとんど示さず、偏光子保護フィルムとして必ずしも適しているとはいえない。これに対して、式(1)に示される分子構造は高い親水性を有する。このため、樹脂(A)における当該構造の含有率など、具体的な構成にもよるが、当該構造を有する樹脂(A)からなる層を有する本発明のフィルムは、高い水透過性を示し、偏光子保護フィルムとして好適となる。
樹脂(A)は、2種以上の分子構造Xを有していてもよい。
分子構造Xが結合した構成単位を有する重合体の一例は、以下の式(4)、(5)または(6)に示される単位もしくは複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B−1)である。換言すれば、樹脂(A)は、以下の式(4)、(5)または(6)に示される単位もしくは複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する重合体(B−1)を含んでいてもよい。
式(4)において、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
以下、式(4)、(5)、(6)に示される単位および複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を、構成単位Yと呼ぶ。また、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を、単に、不飽和単量体単位と記載する。
構成単位Yのうち式(4)、(5)、(6)に示される単位は、各々、式(1)、(2)、(3)に示される分子構造に、重合性基であるビニル基またはメチレン基が結合した単量体の重合により形成される構成単位である。また、不飽和単量体単位は、典型的には、複素芳香族基に重合性基であるビニル基またはメチレン基が結合した単量体の重合により形成される構成単位である。
構成単位Yは、重合体(B−1)に負の固有複屈折を与える作用を有する。構成単位Yが有するこの作用により、本発明の偏光子保護フィルムは逆波長分散性を示す。
重合体に負(あるいは正)の固有複屈折を与える作用を有する構成単位とは、当該単位のホモポリマ−を形成したときに、形成したホモポリマ−の固有複屈折が負(あるいは正)となる構成単位をいう。重合体自体の固有複屈折の正負は、当該単位によって生じる複屈折と、重合体が有するその他の構成単位によって生じる複屈折との兼ね合いにより決定される。
重合体の固有複屈折の正負は、重合体の分子鎖が一軸配向した層(例えば、シ−トあるいはフィルム)において、当該層の主面に垂直に入射した光のうち、当該層における分子鎖が配向する方向(配向軸)に平行な振動成分に対する層の屈折率n1から、配向軸に垂直な振動成分に対する層の屈折率n2を引いた値「n1−n2」に基づいて判断できる。固有複屈折の値は、各々の重合体について、その分子構造に基づく計算により求めることができる。
樹脂の固有複屈折の正負は、当該樹脂に含まれる各重合体によって生じる複屈折の兼ね合いにより決定される。
重合体(B−1)は、式(4)または(5)に示される単位もしくは不飽和単量体単位を有することが好ましく、式(4)に示される単位または不飽和単量体単位を有することがより好ましい。
式(4)に示される単位は、式(1)に示されるラクタム構造に、重合性基であるビニル基が結合した単量体(ビニルラクタム)の重合により形成される。式(4)に示される単位は、例えばN−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−イプシロン−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位およびN−ビニル−オメガ−ヘプタラクタム単位から選ばれる少なくとも1種である。
式(5)に示される単位は、ビニルアントラセン単位である。当該単位は、式(2)に示されるアントラセン構造に、重合性基であるビニル基が結合した単量体(ビニルアントラセン)の重合により形成される。なお、式(5)に示す環上の水素原子の一部が、後述の式(8)における有機残基として例示した基によって置換されていてもよい。
式(6)に示される単位は、ジベンゾフルベン単位である。当該単位は、式(3)に示されるフルオレン構造に、重合性基であるメチレン基が結合した単量体(ジベンゾフルベン)の重合により形成される。なお、式(6)に示す環上の水素原子の一部が、後述の式(8)における有機残基として例示した基によって置換されていてもよい。
不飽和単量体単位は特に限定されず、例えば、当該単位が有する複素芳香族基は特に限定されない。複素芳香族基におけるヘテロ原子は、典型的には酸素原子、硫黄原子または窒素原子であるが、重合体(B−1)における複屈折の波長分散性を増大させる作用に優れることから、窒素原子が好ましい。重合体(B−1)における複屈折の波長分散性が増大すると、構成によっては強い逆波長分散性が得られるなど、本発明の偏光子保護フィルムにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
複素芳香族基は、例えばカルバゾ−ル基、ピリジン基、イミダゾ−ル基およびチオフェン基から選ばれる少なくとも1種である。
不飽和単量体単位は、例えばビニルカルバゾ−ル単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾ−ル単位およびビニルチオフェン単位から選ばれる少なくとも1種である。
ビニルカルバゾ−ル単位を、以下の式(7)に示す。なお、式(7)に示す環上の水素原子の一部が、後述の式(8)における有機残基として例示した基によって置換されていてもよい。
重合体(B−1)における複屈折の波長分散性を増大させる作用に特に優れることから、不飽和単量体単位は、ビニルカルバゾ−ル単位およびビニルピリジン単位から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ビニルカルバゾ−ル単位がより好ましい。
重合体(B−1)は2種以上の構成単位Yを有してもよく、逆波長分散性を示す偏光子保護フィルムが得られる限り、構成単位Y以外の構成単位を有してもよい。
樹脂(A)が重合体(B−1)を含むとき、逆波長分散性を示す偏光子保護フィルムが得られる限り、樹脂(A)は重合体(B−1)以外の重合体を含んでもよい。
分子構造Xが結合した構成単位を有する重合体の別の一例は、少なくとも一部の分子構造あるいは官能基が、分子構造Xによって変性された構成単位を有する重合体である。
当該重合体は、例えば、水酸基またはアセチル基が分子構造Xによって変性された繰り返し単位を有する、トリアセチルセルロ−ス(TAC)などのセルロ−ス誘導体である。分子構造Xの結合により、セルロ−ス誘導体の繰り返し単位の少なくとも一部が、当該誘導体に負の固有複屈折を与える作用を有するようになる。分子構造Xによる変性に基づくこの作用により、本発明の偏光子保護フィルムは逆波長分散性を示す。
樹脂(A)は、公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤;酸化防止剤;位相差上昇剤、位相差低減剤などの位相差調整剤;位相差安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリアリルホスフェ−ト、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラ−、無機フィラ−;樹脂改質剤;アンチブロッキング剤;マット剤;酸補足剤;金属不活性化剤;可塑剤;滑剤;難燃剤;ASAやABSなどのゴム質量体などである。添加剤の添加量は、例えば0〜5%であり、好ましくは0〜2%であり、より好ましくは0〜0.5%である。
[偏光子保護フィルム]
以下、本発明に係る偏光子保護フィルムの具体例について説明する。
以下、本発明に係る偏光子保護フィルムの具体例について説明する。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)以下の式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、二軸性を有する偏光子保護フィルムである。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmである。厚さ100マイクロメーターあたりでは波長590nmにおける面内位相差Reが20〜150nm、波長589nmにおける厚さ方向位相差Rthが70〜400nmであることが好ましい。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなる。フィルムの波長分散性は、異なる波長でフィルムの位相差を測定することで評価が可能であり、例えば測定波長が590nmにおける位相差値を基準(R0)として、その他の波長における位相差Rとの比(R/R0)が590nm以下では1未満の場合で、かつ、590nmを超える波長では1を超える場合に、可視光領域において波長が短くなるほど複屈折率が小さくなっており、すなわち、逆波長分散となる。R/R0が447nm/590nmの場合では0.6以上1未満が好ましく、より好ましくは0.7以上0.95未満、R/R0が750nm/590nmの場合では1.0を超えて1.4以下が好ましく、より好ましくは1.02を超えて1.3以下である。
なお、「位相差」はレタ−デ−ション値ともいう。ここでいう面内位相差Reは、
Re=(nx−ny)×d
で、厚さ方向位相差(Rth)は、
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
で、定義される。なお、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とする。また、延伸方向の屈折率が大きくなるものを正の複屈折性があると言い、フィルム面内で延伸方向と垂直方向の屈折率が大きくなるものを負の複屈折性があると言う。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、前記樹脂(A)を含む。偏光子保護フィルムにおける樹脂(A)の含有割合は30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
Re=(nx−ny)×d
で、厚さ方向位相差(Rth)は、
Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
で、定義される。なお、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率が最大となる方向とする。また、延伸方向の屈折率が大きくなるものを正の複屈折性があると言い、フィルム面内で延伸方向と垂直方向の屈折率が大きくなるものを負の複屈折性があると言う。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、前記樹脂(A)を含む。偏光子保護フィルムにおける樹脂(A)の含有割合は30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましく、95%以上が特に好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が110度(摂氏)〜200度(摂氏)であることが好ましい。より好ましくは115度(摂氏)〜200度(摂氏)、さらに好ましくは120度(摂氏)〜200度(摂氏)、特に好ましくは125度(摂氏)〜190度(摂氏)、最も好ましくは130度(摂氏)〜180度(摂氏)である。110度(摂氏)未満であると、厳しくなる使用環境に対して耐熱性が不足し、フィルムが変形して位相差のムラが発生しやすくなることがあるため好ましくない。また、200度(摂氏)を超えると、超高耐熱性のフィルムとなるが、前記フィルムを得るための成形加工性が悪かったり、フィルムの可撓性が大きく低下する場合があるため好ましくない。
本発明に係る偏光子保護フィルムの厚さは、5〜350マイクロメーターが好ましく、より好ましくは20〜200マイクロメーター、さらに好ましくは30〜150マイクロメーターである。膜厚が5マイクロメーターより薄いと強度に乏しく、また、所望の位相差(レタ−デ−ション値)を得ることが困難となる。膜厚が350マイクロメーターより厚いと液晶表示装置の薄型化に不利となる。フィルムの厚さは、例えばデジマチックマイクロメ−タ−((株)ミツトヨ製)などの市販の測定機器を用いて測定することができる。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。より好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%である。全光線透過率は、透明性の目安であり、85%未満であると透明性が低下し、偏光子保護フィルムとして適さない。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、ヘイズが5%以下であることが好ましい。より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。ヘイズが5%を超えると透明性が低下し、偏光子保護フィルムとして適さない。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、外観欠点が少ないことが好ましい。外観欠点は、樹脂などの原料由来や製造工程で混入する異物、成形時の気泡や成形時のダイやロ−ル部分でのダイラインやキズなどに起因し、ポリマ−フィルタなどによる原料のろ過、製造工程のクリ−ン化、成形条件の最適化などによる対策が考えられる。前記偏光子保護フィルム中の欠点の数は、具体的には、粒子径が20マイクロメーター以上の欠点が1000個/m2以下であることが好ましく、500個/m2以下であることがより好ましく、200個/m2以下であることがさらに好ましく、理想的には0個/m2である。
本発明に係る偏光子保護フィルムを成形する方法は特に限定されず、公知の手法に従えばよい。フィルム成形の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダ−法、圧縮成形法など、公知のフィルム成形方法が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、2−ブタノ−ルなどのアルコ−ル系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエ−テル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコ−タ−などが挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレ−ション法などが挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350度(摂氏)、より好ましくは200〜300度(摂氏)である。
本発明に係る偏光子保護フィルムを得るための延伸方法としては、従来公知の延伸方法が適用できるが、必要な面内位相差Reと厚さ方向位相差Rthを発現させ、さらに、フィルム面内の任意の直交する二方向に対する耐折れ曲げ性が向上するという点で、逐次二軸延伸が好ましい。面内の任意の直交する二方向としては、例えば、フィルム面内の遅相軸と平行方向およびフィルム面内の遅相軸と垂直な方向が挙げられる。なお、所望の位相差、所望の耐折れ曲げ性に応じて、延伸倍率、延伸温度、延伸速度等の延伸条件を適宜設定すればよく、特に限定はされない。
延伸等を行う装置としては、例えば、ロ−ル延伸機、テンタ−型延伸機、オ−ブン延伸機、小型の実験用延伸装置として引張試験機、一軸延伸機、逐次二軸延伸機等が挙げられ、これら何れの装置を用いても、本発明に係る偏光子保護フィルムを得ることができる。
延伸温度としては、フィルム原料の重合体、若しくは延伸前のフィルムのガラス転移温度近辺で行うことが好ましい。具体的には、(ガラス転移温度−30)度(摂氏)〜(ガラス転移温度+50)度(摂氏)で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度−20)度(摂氏)〜(ガラス転移温度+20)度(摂氏)、さらに好ましくは(ガラス転移温度−10)度(摂氏)〜(ガラス転移温度+10)度(摂氏)である。(ガラス転移温度−30)度(摂氏)よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(ガラス転移温度+50)度(摂氏)よりも高いと、樹脂の流動(フロ−)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.2〜10倍の範囲、さらに好ましくは1.3〜5倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う位相差性能の発現や靭性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
ある方向に延伸する場合、その一方向に対する延伸倍率は、好ましくは1.05〜10倍の範囲、より好ましくは1.1〜5倍の範囲、さらに好ましくは1.2〜3倍の範囲で行われる。1.05倍よりも小さいと、所望の位相差が得られない場合があり好ましくない。10倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められず、また延伸中にフィルムの破断が起こる場合があり好ましくない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
本発明に係る偏光子保護フィルムは積層体であることも可能であり、上記した延伸の前後に積層させることもできる。積層方法としては共押出や粘・接着層を介した貼り合せなどの公知の方法が可能である。
本発明に係る偏光子保護フィルムは逆波長分散性を示す。即ち、本発明に係る偏光子保護フィルムは、少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折(あるいは位相差もしくはリタ−デ−ション)が小さくなる光学特性を示す。このような広帯域の偏光子保護フィルムを用いることによって、表示特性に優れる画像表示装置を構築できる。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、位相差板としても使用が可能である。特に好ましくはVAモ−ド液晶セルおよびVAモ−ド液晶表示装置に使用され、可視光の幅広い領域において位相差の補償を可能とし、カラ−シフトを低減することにより高い表示品質を提供する。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、実施形態や用途に応じて、他の光学部材と組み合わせて用いてもよい。また、粘接着剤層、接着層、アンカ−層、必要に応じて、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、反射防止層、防眩(ノングレア)層、ハ−ドコ−ト層、帯電防止層、光触媒層などの防汚層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤ−性等の種々の機能性コ−ティング層を各々積層塗工したり、各々の単独の機能性コ−ティング層が塗工された部材を粘着剤や接着剤を介して積層させてもよい。なお、各層の積層順序は特に限定されるものではなく、積層方法も特に限定されない。
粘接着剤層としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム等のゴム類や、ポリビニルエ−テル系、シリコ−ン系、マレイミド系、シアノアクリレ−ト系粘接着剤などが挙げられ、これらは単独としても使用しても良いが、さらに架橋剤、粘着付与剤を用いることもできる。光学特性上、耐光性、透明性からはアクリル酸アルキルエステル単量体を主成分とする共重合体であるアクリル系樹脂が好ましく、さらに好ましくは、芳香族系粘着付与剤を添加して屈折率を調節し、光学用面状熱可塑性樹脂成形体の屈折率に近づけた粘着剤がより好ましい。必要に応じて、粘着剤に前記の熱線遮蔽物質、例えば、フタロシアニン色素やシアニン色素を混合して機能性の粘着剤層とすることができ、光学積層体として薄層化、生産性の点で有利である。
紫外線遮蔽層は、紫外線遮蔽層よりも下層にある基材層や印刷層などの紫外線劣化する材料の紫外線劣化を防ぐために設けるものである。紫外線遮蔽層は、分子量が1000以下の紫外線吸収剤をアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性、湿気硬化性、紫外線硬化、電子線硬化などの硬化性樹脂に配合したものが使用できるが、特に、耐候性の点から、特許第3081508号公報、特許第3404160号公報、特許第2835396号公報で開示されているような紫外線吸収性骨格を有する単量体を必須に含む単量体混合物を重合して得られるアクリル系ポリマ−が好ましい。市販品としては、例えば、「ハルスハイブリッドUV−G13」や「ハルスハイブリッドUV−G301」(以上、日本触媒社製)、「ULS−935LH」(一方社油脂工業社製)などが挙げられる。
熱線遮蔽層は、例えば、ディスプレイ装置の発光に伴い発生する近赤外線(特に700−1200nm)による周辺機器の誤動作を防ぐために設けられる。熱線遮蔽層としては、有機系や無機系熱線遮蔽物質がアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性、湿気硬化性、紫外線硬化、電子線硬化などの硬化性樹脂に配合したものが使用される。有機系熱線遮蔽物質としては、フタロシアニン色素やジイモニウム系、スクアリリウム系などの近赤外線領域(700−1800nm)に吸収を有する物質であれば特に限定はなく、用途によってはポルフィリン系やシアニン系色素などの可視領域(400−700nm)に吸収を有する色素と、1種または2種以上組み合わせて使用できる。また、無機系熱線遮蔽物質としては、例えば、金属、金属窒化物、金属酸化物などが挙げられるが、分散媒体への溶解性、耐候性の点から、金属酸化物の微粒子が好ましく使用される。金属酸化物としては、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が好ましく、透明性の点から、平均粒径が0.1マイクロメーター以下であるものが好ましい。
電磁波遮蔽層は、例えば、ディスプレ−装置からの発光に伴い発生する電磁波による生体や電子機器への悪影響を防ぐために設けるものである。電磁波遮蔽層は、銀、銅、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ等のような金属または金属酸化物の薄膜からなり、これらは真空蒸着法、イオンプレ−ティング法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ化学蒸着法等の従来公知のドライプレ−ティング法を利用し、製造することができる。電磁波遮蔽層は、最もよく用いられるのは、酸化インジウムスズ(ITOと略記されることもある)の薄膜であるが、メッシュ状の穴を有する銅の薄膜や誘電体層と金属層を基材上に交互に積層させた積層体も好適に用いることができる。前記誘電体層としては、酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的である。積層体は、通常、誘電体層よりはじまり3〜13層程度の間で奇数層となるように積層される。
反射防止層は、表面の反射を抑えて、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止するためのものである。反射防止層は、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物の薄膜からなる場合と、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させたものからなる場合とがある。また、特開2003−292805号公報に開示されているような無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含む薄膜を積層させたものも使用できる。
ノングレア層は、視野角を広げ、透過光を散乱させるために設けられる。シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂等の微粉体をインキ化し、従来公知の塗布法で、他の機能層上に塗布し、熱あるいは光硬化させることにより形成される。また、ノングレア処理したフィルムを他の機能性フィルム上に貼り付けても良い。
ハ−ドコ−ト層は、シリコ−ン系硬化性樹脂、有機ポリマ−複合無機微粒子含有硬化性樹脂、ウレタンアクリレ−ト、エポキシアクリレ−ト、多官能アクリレ−ト等のアクリレ−トと光重合開始剤を有機溶剤に溶解あるいは分散させた塗布液を従来公知の塗布法で、本発明の光学用面状熱可塑性樹脂成形体上に、好ましくは最外層に位置するように、塗布し、乾燥させ、光硬化させることにより形成される。シリコ−ン系硬化性樹脂は、シロキサン結合を持った樹脂であり、例えば、トリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランまたはそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、「Siコ−ト2」(大八化学社製)、「トスガ−ド510」や「UVHC8553」(以上、東芝シリコ−ン社製)、「ソルガ−ドNP720」や「ソルガ−ドNP730」や「ソルガ−ドRF0831」(以上、日本ダクロシャムロック社製)などが挙げられる。また、有機ポリマ−複合無機微粒子とは、無機微粒子の表面に有機ポリマ−が固定された複合無機微粒子を意味し、当該微粒子を含む硬化性樹脂で表面保護層を形成することにより、表面硬度の向上等が図られる。当該複合無機微粒子とはとその製法の詳細は、例えば、特開平7−178335号公報、特開平9−302257号公報、特開平11−124467号公報などに記載されている。当該複合無機微粒子を含有させる硬化性樹脂にも格別の制限はなく、例えば、メラミン樹脂、ポリウレタン系ポリマ−、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。多官能アクリル樹脂としては、ポリオ−ルアクリレ−ト、ポリエステルアクリレ−ト、ウレタンアクリレ−ト、エポキシアクリレ−トなどの樹脂を挙げることができる。上記複合無機微粒子を含有する硬化性樹脂の市販品としては、例えば、「ユ−ダブルC−3300」や「ユ−ダブルC−3600」(以上、日本触媒社製)等が挙げられる。
本発明に係る偏光子保護フィルムは、実施形態や用途に応じて、他の光学部材と組み合わせて用いてもよい。また、粘接着剤層、接着層、アンカ−層、必要に応じて、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、反射防止層、防眩(ノングレア)層、ハ−ドコ−ト層、帯電防止層、光触媒層などの防汚層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤ−性等の種々の機能性コ−ティング層を各々積層塗工したり、各々の単独の機能性コ−ティング層が塗工された部材を粘着剤や接着剤を介して積層させてもよい。なお、各層の積層順序は特に限定されるものではなく、積層方法も特に限定されない。
粘接着剤層としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム等のゴム類や、ポリビニルエ−テル系、シリコ−ン系、マレイミド系、シアノアクリレ−ト系粘接着剤などが挙げられ、これらは単独としても使用しても良いが、さらに架橋剤、粘着付与剤を用いることもできる。光学特性上、耐光性、透明性からはアクリル酸アルキルエステル単量体を主成分とする共重合体であるアクリル系樹脂が好ましく、さらに好ましくは、芳香族系粘着付与剤を添加して屈折率を調節し、光学用面状熱可塑性樹脂成形体の屈折率に近づけた粘着剤がより好ましい。必要に応じて、粘着剤に前記の熱線遮蔽物質、例えば、フタロシアニン色素やシアニン色素を混合して機能性の粘着剤層とすることができ、光学積層体として薄層化、生産性の点で有利である。
紫外線遮蔽層は、紫外線遮蔽層よりも下層にある基材層や印刷層などの紫外線劣化する材料の紫外線劣化を防ぐために設けるものである。紫外線遮蔽層は、分子量が1000以下の紫外線吸収剤をアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性、湿気硬化性、紫外線硬化、電子線硬化などの硬化性樹脂に配合したものが使用できるが、特に、耐候性の点から、特許第3081508号公報、特許第3404160号公報、特許第2835396号公報で開示されているような紫外線吸収性骨格を有する単量体を必須に含む単量体混合物を重合して得られるアクリル系ポリマ−が好ましい。市販品としては、例えば、「ハルスハイブリッドUV−G13」や「ハルスハイブリッドUV−G301」(以上、日本触媒社製)、「ULS−935LH」(一方社油脂工業社製)などが挙げられる。
熱線遮蔽層は、例えば、ディスプレイ装置の発光に伴い発生する近赤外線(特に700−1200nm)による周辺機器の誤動作を防ぐために設けられる。熱線遮蔽層としては、有機系や無機系熱線遮蔽物質がアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性または熱硬化性、湿気硬化性、紫外線硬化、電子線硬化などの硬化性樹脂に配合したものが使用される。有機系熱線遮蔽物質としては、フタロシアニン色素やジイモニウム系、スクアリリウム系などの近赤外線領域(700−1800nm)に吸収を有する物質であれば特に限定はなく、用途によってはポルフィリン系やシアニン系色素などの可視領域(400−700nm)に吸収を有する色素と、1種または2種以上組み合わせて使用できる。また、無機系熱線遮蔽物質としては、例えば、金属、金属窒化物、金属酸化物などが挙げられるが、分散媒体への溶解性、耐候性の点から、金属酸化物の微粒子が好ましく使用される。金属酸化物としては、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が好ましく、透明性の点から、平均粒径が0.1マイクロメーター以下であるものが好ましい。
電磁波遮蔽層は、例えば、ディスプレ−装置からの発光に伴い発生する電磁波による生体や電子機器への悪影響を防ぐために設けるものである。電磁波遮蔽層は、銀、銅、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ等のような金属または金属酸化物の薄膜からなり、これらは真空蒸着法、イオンプレ−ティング法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ化学蒸着法等の従来公知のドライプレ−ティング法を利用し、製造することができる。電磁波遮蔽層は、最もよく用いられるのは、酸化インジウムスズ(ITOと略記されることもある)の薄膜であるが、メッシュ状の穴を有する銅の薄膜や誘電体層と金属層を基材上に交互に積層させた積層体も好適に用いることができる。前記誘電体層としては、酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的である。積層体は、通常、誘電体層よりはじまり3〜13層程度の間で奇数層となるように積層される。
反射防止層は、表面の反射を抑えて、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止するためのものである。反射防止層は、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物の薄膜からなる場合と、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させたものからなる場合とがある。また、特開2003−292805号公報に開示されているような無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含む薄膜を積層させたものも使用できる。
ノングレア層は、視野角を広げ、透過光を散乱させるために設けられる。シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂等の微粉体をインキ化し、従来公知の塗布法で、他の機能層上に塗布し、熱あるいは光硬化させることにより形成される。また、ノングレア処理したフィルムを他の機能性フィルム上に貼り付けても良い。
ハ−ドコ−ト層は、シリコ−ン系硬化性樹脂、有機ポリマ−複合無機微粒子含有硬化性樹脂、ウレタンアクリレ−ト、エポキシアクリレ−ト、多官能アクリレ−ト等のアクリレ−トと光重合開始剤を有機溶剤に溶解あるいは分散させた塗布液を従来公知の塗布法で、本発明の光学用面状熱可塑性樹脂成形体上に、好ましくは最外層に位置するように、塗布し、乾燥させ、光硬化させることにより形成される。シリコ−ン系硬化性樹脂は、シロキサン結合を持った樹脂であり、例えば、トリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランまたはそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物等が挙げられる。市販品としては、例えば、「Siコ−ト2」(大八化学社製)、「トスガ−ド510」や「UVHC8553」(以上、東芝シリコ−ン社製)、「ソルガ−ドNP720」や「ソルガ−ドNP730」や「ソルガ−ドRF0831」(以上、日本ダクロシャムロック社製)などが挙げられる。また、有機ポリマ−複合無機微粒子とは、無機微粒子の表面に有機ポリマ−が固定された複合無機微粒子を意味し、当該微粒子を含む硬化性樹脂で表面保護層を形成することにより、表面硬度の向上等が図られる。当該複合無機微粒子とはとその製法の詳細は、例えば、特開平7−178335号公報、特開平9−302257号公報、特開平11−124467号公報などに記載されている。当該複合無機微粒子を含有させる硬化性樹脂にも格別の制限はなく、例えば、メラミン樹脂、ポリウレタン系ポリマ−、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。多官能アクリル樹脂としては、ポリオ−ルアクリレ−ト、ポリエステルアクリレ−ト、ウレタンアクリレ−ト、エポキシアクリレ−トなどの樹脂を挙げることができる。上記複合無機微粒子を含有する硬化性樹脂の市販品としては、例えば、「ユ−ダブルC−3300」や「ユ−ダブルC−3600」(以上、日本触媒社製)等が挙げられる。
(実施の形態A)
本実施形態の偏光子保護フィルムAは構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)を含む。本実施形態において、重合体(B−1)の固有複屈折は負であり、樹脂(A)は、正の固有複屈折を有する重合体(B−2)をさらに含む。樹脂(A)は、重合体(B−1)と(B−2)とを含む組成物である。
本実施形態の偏光子保護フィルムAは構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)を含む。本実施形態において、重合体(B−1)の固有複屈折は負であり、樹脂(A)は、正の固有複屈折を有する重合体(B−2)をさらに含む。樹脂(A)は、重合体(B−1)と(B−2)とを含む組成物である。
樹脂(A)は、固有複屈折が負の重合体(B−1)と固有複屈折が正の重合体(B−2)とを含むが、双方の重合体に対して同一方向に配向が加えられた場合、各々の重合体の遅相軸(あるいは進相軸)が直交するために、互いの複屈折が打ち消しあう。ここで、複屈折が打ち消し合う程度が波長によって異なるために、複屈折、例えば位相差、の逆波長分散性が生じる。
偏光子保護フィルムAは、単層でありながら逆波長分散性を示す。このため、薄膜化しながら望む光学特性を得ることができ、偏光子保護フィルムAを備える画像表示装置のさらなる小型化、軽量化などの実現が可能となる。また、偏光子保護フィルムAは、複数の層の積層により逆波長分散性を実現したフィルムに比べて、各層の接合角度の調整が不要であるため生産性が高い。
重合体(B−1)、(B−2)の配向に着目すると、偏光子保護フィルムAは、重合体(B−1)および(B−2)を含む樹脂(A)に配向を与えて形成した部材である。樹脂(A)に配向を与えるには、フィルムに成形した樹脂(A)を延伸すればよい。
重合体(B−2)は、正の固有複屈折を有する限り特に限定されない。
重合体(B−2)は、主鎖に環構造を有することが好ましい。主鎖に環構造を有することにより、重合体(B−2)および当該重合体を含む樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が上昇し、高い耐熱性を有する偏光子保護フィルムAとなる。このような高耐熱性の偏光子保護フィルムは、例えば画像表示装置において、光源などの発熱部に近接して配置できる。また、後加工(例えばコ−ティングなどの表面処理)時の加工温度を高くできるため、偏光子保護フィルムAの生産性が高くなる。
主鎖に環構造を有する重合体(B−2)ならびに当該重合体を含む樹脂(A)のTgは、例えば110度(摂氏)以上である。環構造の種類、重合体(B−2)における環構造の含有率および樹脂(A)における重合体(B−2)の含有率によっては、当該Tgは、115度(摂氏)以上、120度(摂氏)以上、さらには130度(摂氏)以上となる。Tgは、JIS K7121に準拠して求めることができる。
主鎖に環構造を有する重合体(B−2)は特に限定されず、例えばシクロオレフィン重合体およびセルロ−ス誘導体から選ばれる少なくとも1種である。
重合体(B−2)は、(メタ)アクリル重合体であってもよく、この場合、光学特性ならびに機械的強度、成形加工性および表面強度などの諸特性が向上した偏光子保護フィルムとなる。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位を、全構成単位の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上有する重合体である。(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造を含んでいてもよく、この場合、(メタ)アクリル酸エステル単位および環構造の合計が全構成単位の50モル%以上であれば、(メタ)アクリル重合体となる。
重合体(B−2)が(メタ)アクリル重合体である場合、偏光子保護フィルムAにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。構成単位Yを主鎖に有する重合体(B−1)が示す複屈折の波長分散性は、(メタ)アクリル重合体である重合体(B−2)が示す複屈折の波長分散性に比べて、かなり大きい。このように、複屈折の波長分散性が大きく異なる重合体(B−1)および(B−2)を組み合わせることで、逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
重合体(B−2)は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であってもよい。上述したように、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体とすることにより、重合体(B−2)および当該重合体を含む樹脂(A)のTgが上昇し、高い耐熱性を有する偏光子保護フィルムAとなる。
(メタ)アクリル重合体が主鎖に有する環構造は、例えば、エステル基、イミド基または酸無水物基を有する環構造である。
より具体的な環構造の例は、ラクトン環構造、グルタルイミド構造、無水グルタル酸構造、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種である。これらの環構造を主鎖に有する重合体(B−2)は、配向によって大きな正の固有複屈折を示すため、重合体(B−1)との組み合わせにより、逆波長分散性の制御の自由度がより向上する。
環構造は、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。ラクトン環構造またはグルタルイミド構造、特にラクトン環構造、を主鎖に有する重合体(B−2)は、複屈折の波長分散性が非常に小さい。このため、重合体(B−1)との組み合わせにより、逆波長分散性の制御の自由度がさらに向上する。
重合体(B−2)が有していてもよい具体的なラクトン環構造は特に限定されないが、例えば、以下の式(8)により示される構造である。
式(8)において、R3、R4およびR5は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜20の範囲の有機残基である。当該有機残基は酸素原子を含んでもよい。
有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数が1〜20の範囲のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数が1〜20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数が1〜20の範囲の芳香族炭化水素基;上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基および上記芳香族炭化水素基において、水素原子の一つ以上が水酸基、カルボキシル基、エ−テル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基;である。
式(8)に示すラクトン環構造は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)とを含む単量体群を共重合した後、得られた共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを脱アルコ−ル環化縮合させて形成できる。このとき、R3はH、R4およびR5はCH3である。
以下の式(9)に、グルタルイミド構造および無水グルタル酸構造を示す。
式(9)におけるR6およびR7は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X1は、酸素原子または窒素原子である。X1が酸素原子のときR8は存在せず、X1が窒素原子のとき、R8は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
X1が窒素原子のとき、式(9)に示される環構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成できる。
X1が酸素原子のとき、式(9)に示される環構造は無水グルタル酸構造となる。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を、分子内で脱アルコ−ル環化縮合させて形成できる。
以下の式(10)に、N−置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造を示す。
式(10)におけるR9およびR10は、互いに独立して、水素原子またはメチル基であり、X2は、酸素原子または窒素原子である。X2が酸素原子のときR11は存在せず、X2が窒素原子のとき、R11は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
X2が窒素原子のとき、式(10)に示される環構造はN−置換マレイミド構造となる。N−置換マレイミド構造を主鎖に有するアクリル樹脂は、例えば、N−置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して形成できる。
X2が酸素原子のとき、式(10)に示される環構造は無水マレイン酸構造となる。無水マレイン酸構造を主鎖に有するアクリル樹脂は、例えば、無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して形成できる。
重合体(B−2)が主鎖に環構造を有する場合、重合体(B−2)における環構造の含有率は特に限定されないが、通常5〜90重量%であり、20〜90重量%が好ましい。当該含有率は、30〜90重量%、35〜90重量%、40〜80重量%および45〜75重量%になるほど、さらに好ましい。環構造の含有率は、特開2001−151814号公報に記載の方法により求めることができる。
重合体(B−2)は、固有複屈折が正である限り、任意の構成単位を有していてもよい。例えば重合体(B−2)が構成単位Yを有していてもよく、この場合、重合体(B−1)と(B−2)との相溶性が向上し、透明性に優れる偏光子保護フィルムAとなる。
重合体(B−2)は公知の方法により製造できる。
一例として、主鎖にラクトン環構造を有する重合体(B−2)は、分子鎖内に水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を任意の触媒存在下で加熱し、脱アルコ−ルを伴うラクトン環化縮合反応を進行させて、得ることができる。
重合体(a)は、例えば、以下の式(11)に示される単量体を含む単量体群の重合により形成できる。
式(11)において、R12およびR13は、互いに独立して、水素原子または式(8)における有機残基として例示した基である。
式(11)に示される単量体の具体的な例は、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルである。なかでも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、高い透明性および耐熱性を有する偏光子保護フィルムAが得られる。
なお、これらの単量体の重合により形成された構成単位は、環化により、当該単位を有する重合体に対して正の固有複屈折を与える作用を有する。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、式(11)に示される単量体を2種以上含んでもよい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、式(11)に示される単量体以外の単量体を含んでもよい。このような単量体は、式(11)に示される単量体と共重合可能な単量体である限り特に限定されず、例えば、式(11)に示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルである。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;である。なかでも、高い透明性および耐熱性を有する偏光子保護フィルムAが得られることから、メタクリル酸メチル(MMA)が好ましい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、これら(メタ)アクリル酸エステルを2種以上含んでもよい。
重合体(a)の形成に用いる単量体群は、その他、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどの単量体を、1種または2種以上含んでもよい。
構成単位Yを有する重合体(B−2)は、上述した(メタ)アクリル酸エステル単量体と、重合により構成単位Yとなる単量体とを含む単量体群を重合して形成できる。単量体群が含む(メタ)アクリル酸エステルの種類を選択し、形成した重合体を環化縮合させることによって、構成単位Yを有するとともに、主鎖に環構造を有する重合体(B−2)としてもよい。
重合体(B−1)は、構成単位Yを有するとともに、負の固有複屈折を有する限り特に限定されない。
構成単位Yは、当該単位を主鎖に有する重合体(B−1)における複屈折の波長分散性を大きく増加させる作用を有する(本願実施例の表6、表12、表16、表27を参照)。このため、重合体(B−1)と(B−2)との組み合わせによって、逆波長分散性の制御の自由度が向上する。重合体(B−2)が(メタ)アクリル重合体、特にラクトン環構造またはグルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(上述したように、これらの重合体は複屈折の波長分散性が非常に小さい)である場合、偏光子保護フィルムAの逆波長分散性の制御の自由度がさらに高くなる。
なお、特開2001−337222号公報に例示されている樹脂の組み合わせでは、両樹脂における複屈折の波長分散性の差はそれほど大きくないため、本発明の偏光子保護フィルムのような効果を得ることができない。
構成単位Yが重合体(B−1)における複屈折の波長分散性を大きく増加させる作用を有することから、重合体(B−1)の全構成単位に占める構成単位Yの割合が低い場合にも、重合体(B−1)は大きな複屈折の波長分散性を示す。なお、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレンなど、従来の光学部材に用いられている重合体は、ホモポリマ−であったとしても、本願実施例に示す可視光領域内のR/R0値にして、およそ0.95〜1.15程度の範囲に入る波長分散性しか示さない。
構成単位Yが、重合体における複屈折の波長分散性を大きく増加させる理由について、本発明者らは、波長域300〜450nmにおける構成単位Yの吸収スペクトルの状態が大きく寄与していると推察する。
複屈折は、重合体の屈折率特性、具体的には屈折率の異方性、により生じる。重合体の屈折率特性は、当該重合体を構成する構成単位の屈折率特性により支配される。例えば、重合体が2種以上の構成単位を有する場合、各々の構成単位が有する屈折率特性の兼ね合いによって、重合体の屈折率特性が決定される。
ここで、ある波長域の光に対する構成単位の屈折率特性の変化は、当該波長域の光に対する構成単位の吸収スペクトルの変化と相関があると考えられる。具体的に言えば、ある波長域における構成単位の吸収スペクトルの変化が大きい場合、当該波長域における構成単位の屈折率特性の変化が大きくなり、当該構成単位における複屈折の波長分散性が増大する。このことは、屈折率nと当該屈折率を示す物質の
分極Pが単位体積あたりの双極子モ−メントで定義され、双極子モ−メントの2乗が振動子強度(オシレ−タストレングス)に比例し、振動子強度がモル吸光係数の和である積分吸収係数に比例することから導かれる。
ところで、逆波長分散性は、少なくとも可視光域(およそ380〜750nmの波長域)において、光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる特性である。即ち、構成単位における複屈折の波長分散性が大きいとは、可視光域における当該構成単位の屈折率特性の変化が大きいことに対応する。
重合体の構成単位は、一般に、紫外域に吸収ピ−クを有する。可視光域から十分に離れた所に吸収ピ−クを有する場合、可視光域では当該ピ−クの影響を受けることなく、構成単位の吸収スペクトルはほぼ一定となるはずである。即ち、この場合、可視光域における構成単位の屈折率特性がほぼ一定となり、当該単位を含む重合体の屈折率特性の変化が小さくなって、複屈折の波長分散性が小さくなる。一方、可視光域に近い所あるいは可視光域であっても非常に短波長の領域に吸収ピ−クを有する場合、可視光域に当該ピ−クの裾野が入り込むため、構成単位の吸収スペクトルは可視光域で大きく変化する。即ち、この場合、可視光域における構成単位の屈折率特性が大きく変化し、当該単位を含む重合体の屈折率特性の変化が大きくなって、複屈折の波長分散性が大きくなる。
300〜450nmの波長域における構成単位の吸収スペクトルの状態は、このような、可視光域における構成単位の屈折率特性の変化に強く影響する。具体的には、450nm以上の可視光域に吸収スペクトルの最大ピ−クが存在しない必要があるが、300〜450nmの波長域におけるモル吸光係数の最大値がある程度以上の値であれば、このような吸収スペクトルを有する構成単位は、当該単位を含む重合体の複屈折の波長分散性を大きく増加させると考えられる(ただし、モル吸光係数の最大値が具体的にどの程度以上の値であればよいかは、今後の検討事項である)。
波長域300〜450nmにおける構成単位の吸収スペクトルの最大値は、当該構成単位からなる重合体の紫外−可視吸収スペクトルを紫外可視分光光度計を用いて測定するか、あるいは当該構成単位もしくは重合によって当該構成単位となる単量体に対して、分子軌道法を用いた予測計算を行うことによって、求めることができる。
重合によってビニルカルバゾ−ル単位、ビニルアントラセン単位およびジベンゾフルベン単位となる各単量体(ビニルカルバゾ−ル、ビニルアントラセン、ジベンゾフルベン)に対して、分子軌道法を用いたモル吸光係数の予測計算を行ったところ、いずれの単量体についても450nm以上の可視光域に吸収スペクトルのピ−クが存在せず、波長域300〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値は全て3000(mol/cm)以上であった。また、重合体の複屈折の波長分散性をほとんど増加させない構成単位であるスチレンに対して同様の計算を行ったところ、波長域300〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値は100(mol/cm)以下であった。
なお、予測計算は、以下の手順で行った。最初に、対象となる単量体について、Accelrys Software Inc.製のソフトウェアであるMaterials studioのビルダ−を用いてモデル化合物を作成し、密度凡関数分子軌道計算ソフトウェアDMol3を用いて最安定構造を探索した。最安定構造を探索するにあたっては、計算条件として、GGA/BLPYをファンクショナルに規定した。次に、得られた最安定構造を用いて、紫外−可視吸収スペクトルの計算を半経験分子軌道計算ソフトウェアにより行った。スペクトルの計算は、ソフトウェアにAccelrys Software Inc.製VAMPを用い、ハミルトニアンにZINDO/INDO/1を指定して行った。
構成単位Yによって重合体の複屈折の波長分散性が大きく増加する理由に関する上記説明は、同様の分子構造を有する分子構造Xについても、あてはめることができると考えられる。
芳香環は、当該環を含む重合体の光弾性係数を上昇させる。従って、光学特性に優れるフィルム、特に画像表示装置に好適なフィルム、を得るためには、当該フィルムにおける芳香環の含有量をできるだけ小さくすることが望まれる。構成単位Yの種類によっては、その分子構造内に芳香環を有する。しかし、構成単位Yを有する重合体(B−1)では、当該重合体における構成単位Yの含有率が小さい場合にも大きな波長分散性が得られることから、重合体(B−1)における芳香環の含有量を抑えながら、逆波長分散性の制御の自由度が高いフィルムが得られる。即ち、構成単位Y(分子構造X)を含む本発明の偏光子保護フィルムは、複屈折に関する優れた光学特性を有しながら光弾性係数の上昇が抑制されており、当該フィルムは画像表示装置への使用に好適である。
また、式(4)に示される構成単位Yは芳香環を含まないため、当該構成単位Yを有する重合体(B−1)とすることにより、フィルムにおける光弾性係数の上昇をより抑制できる。なお、構成単位Y(分子構造X)によってフィルムの光弾性係数の上昇が抑制される効果は、実施の形態B以降に示す偏光子保護フィルムB、21、31においても同様である。
重合体(B−1)は、固有複屈折が負である限り、構成単位Y以外の構成単位を含んでもよい。即ち、重合体(B−1)は、重合により構成単位Yとなる単量体と、その他の単量体との共重合体であってもよい。このとき、重合体(B−1)における構成単位Yの含有率は、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。
例えば重合体(B−1)は、構成単位Yと(メタ)アクリル酸エステル単位とを構成単位として有してもよい。この場合、(メタ)アクリル重合体である重合体(B−2)との相溶性が向上し、透明性に優れる偏光子保護フィルムAとなる。
重合体(B−1)は、上述した環構造を主鎖に有してもよい。この場合、より耐熱性に優れる偏光子保護フィルムAとなる。
具体的な例として、重合体(B−1)は以下の単量体の重合により形成された構成単位を有してもよい:アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル(例えばメチルアクリルレ−ト、エチルアクリレ−ト、カルバゾイルエチルアクリレ−ト)、メタクリル酸アルキルエステル(例えばメチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、カルバゾイルエチルメタクリレ−ト)、アクリル酸アミノアルキルエステル(例えばジエチルアミノエチルアクリレ−ト)、メタクリル酸アミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコ−ルとのモノエステル、メタクリル酸とグリコ−ルとのモノエステル(例えばヒドロキシエチルメタクリレ−ト)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸アミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレ−トとメチルサルフェ−トとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエ−テル、ビニルエチルエ−テル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレ−ト、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコ−ルジアクリレ−ト、グリコ−ルジメタクリレ−ト、ジビニルベンゼン、グリコ−ルジアリルエ−テル。
重合体(B−1)は、構成単位Yの種類によっては(より具体的には、式(4)に示される構成単位の種類によっては)水溶性となることがある。
重合体(B−1)が非水溶性である場合、その重量平均分子量は、例えば5万〜150万であり、8万〜120万が好ましく、10万〜90万がより好ましい。
重合体(B−1)が水溶性である場合、その分子量の指標となるK値は、例えば10〜120であり、25〜95が好ましく、30〜85がより好ましい。K値は、フィケンチャ−法により測定した値である。
重合体(B−1)の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造できる。例えば、重合により構成単位Yとなる単量体を含む単量体群を、公知の方法により重合すればよい。
重合により構成単位Yとなる単量体は、例えば、以下の式(12)〜(15)に示す単量体である。
式(12)に示す単量体はビニルラクタムであり、nは1〜4の範囲の自然数、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。
式(13)に示す単量体はビニルアントラセン、式(14)に示す単量体はジベンゾフルベン、式(15)に示す単量体はビニルカルバゾ−ルである。式(12)、(13)、(15)に示す単量体は、分子構造Xに、重合性基であるビニル基が結合している。式(14)に示す単量体は、分子構造Xに、重合性基であるメチレン基が結合している。
重合体(B−1)の重合時には、重合開始剤として、過酸化水素と金属塩との混合物、アゾ化合物および有機過酸化物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
アゾ化合物は、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)である。重合開始剤として2種以上のアゾ化合物を用いてもよい。
これらのアゾ化合物のうち、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が好ましい。
有機過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、t−ブチルペルオキシピバレ−ト、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、t−アミルヒドロペルオキシドである。重合開始剤として2種以上の有機過酸化物を用いてもよい。
これらの有機過酸化物のうち、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−トが好ましく、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−トが特に好ましい。
重合体(B−1)の重合系における重合開始剤の濃度は、重合する単量体の種類、濃度に応じて調整すればよく特に限定されないが、例えば、単量体100重量部に対して0.001重量部〜3重量部であり、0.005重量部〜2重量部が好ましい。
重合系には、必要に応じ、連鎖移動剤、pH調整剤、緩衝材などを添加できる。
重合溶媒は特に限定されず、例えば、芳香族系溶媒(トルエン、キシレン、ベンゾニトリルなど)、ケトン系溶媒(アセトン、2−ブタノン、MIBKなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)およびこれらの混合溶媒である。水溶性の重合体(B−1)を重合する場合には、水、低級アルコ−ル(メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ジエチレングリコ−ルなど)、アセトニトリルおよびこれらの混合溶媒を重合溶媒として用いてもよい。
重合温度は、重合する単量体の種類に応じて調整すればよく特に限定されないが、例えば40度(摂氏)〜200度(摂氏)であり、50度(摂氏)〜150度(摂氏)が好ましく、60度(摂氏)〜120度(摂氏)がより好ましい。
樹脂(A)における重合体(B−1)と重合体(B−2)との混合比は、各重合体の固有複屈折の絶対値、あるいは偏光子保護フィルムAとして望まれる逆波長分散性の程度などに応じて異なるために一概に述べることができないが、例えば重量比にして、(B−1):(B−2)=1:99〜99:1の範囲であり、(B−1):(B−2)=10:90〜90:10の範囲が好ましく、(B−1):(B−2)=20:80〜80:20の範囲がより好ましい。この範囲において逆波長分散性の制御の自由度を向上でき、用途に応じた良好な逆波長分散性を有する偏光子保護フィルムAとすることができる。
本実施形態における樹脂(A)は、2種以上の重合体(B−1)あるいは2種以上の重合体(B−2)を含んでもよい。
重合体(B−2)が(メタ)アクリル重合体である場合、樹脂(A)における(メタ)アクリル重合体の含有率の合計は、50重量%以上であることが好ましい。
本実施形態における樹脂(A)は、逆波長分散性を示す偏光子保護フィルムが得られる限り、重合体(B−1)、(B−2)以外の任意の重合体を含んでもよい。
構成単位Yは、その種類によっては非常に強い吸湿性を示す。このため樹脂(A)は、重合体(B−1)が有する構成単位Yの種類、重合体(B−1)における構成単位Yの含有率、および樹脂(A)における重合体(B−1)の含有率によっては、単独で層を形成しづらいことがある。この場合、樹脂(A)は、構成単位Yを有する重合体(B−1)のバインダ−となる重合体(バインダ−重合体)を含んでもよい。なお、バインダ−重合体は、固有複屈折が0に近い、即ち、延伸によってほとんど複屈折を示さない重合体が好ましく、この場合、偏光子保護フィルムAの光学特性の制御が容易となる。
樹脂(A)がバインダ−重合体を含む場合、樹脂(A)における重合体(B−1)とバインダ−重合体との混合比は、例えば重量比にして、(B−1):バインダ−重合体=10:90〜70:30の範囲であり、(B−1):バインダ−重合体=20:80〜60:40の範囲が好ましい。
樹脂(A)に含まれる重合体の含有率ならびに重合体における構成単位の含有率は、公知の手法、例えば1H核磁気共鳴(1H−NMR)または赤外線分光分析(IR)により求めることができる。
偏光子保護フィルムAは、必要に応じ、層2以外の任意の層を有してもよい。
偏光子保護フィルムAの製造方法は特に限定されず、公知の手法に従えばよい。例えば、重合体(B−1)および(B−2)を含む樹脂(A)をフィルムに成形し、得られたフィルムを所定の方向に延伸(典型的には逐次二軸延伸)することで、樹脂(A)が含む重合体の分子鎖を配向させて層2を形成し、偏光子保護フィルムAとすればよい。
樹脂(A)は、キャスト法、溶融成形法(例えば溶融押出成形、プレス成形)などの公知の手法により、フィルムに成形できる。
(実施の形態B)
本実施形態の偏光子保護フィルムBは、構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)からなる。本実施形態における重合体(B−1)は、当該重合体に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位として構成単位Yを有するとともに、当該重合体に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Zをさらに有する。本実施形態における重合体(B−1)を、以下、重合体(B−3)と記載する。
本実施形態の偏光子保護フィルムBは、構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)からなる。本実施形態における重合体(B−1)は、当該重合体に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位として構成単位Yを有するとともに、当該重合体に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位Zをさらに有する。本実施形態における重合体(B−1)を、以下、重合体(B−3)と記載する。
重合体(B−3)に配向が加えられると、構成単位YおよびZの各々に由来して生じた複屈折が互いに打ち消しあう。ここで、複屈折が打ち消しあう程度が波長によって異なるために、複屈折、例えば位相差、の逆波長分散性が生じる。
偏光子保護フィルムBは、単層でありながら逆波長分散性を示す。このため、薄膜化しながら望む光学特性を得ることができ、偏光子保護フィルムBを備える画像表示装置のさらなる小型化、軽量化などの実現が可能となる。また、偏光子保護フィルムBは、複数の層の積層により逆波長分散性を実現した偏光子保護フィルムに比べて、各層の接合角度の調整が不要であるため生産性が高い。
重合体(B−3)の配向に着目すると、偏光子保護フィルムBは、重合体(B−3)を含む樹脂(A)に配向を与えて形成した部材である。樹脂(A)に配向を与えるにはフィルムに成形した樹脂(A)を延伸すればよい。
重合体(B−3)は、構成単位YおよびZを有する限り特に限定されない。
構成単位Zは、重合体(B−3)に正の固有複屈折を与える作用を有する限り特に限定されない。構成単位Zは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単位、(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造、およびシクロオレフィン単位から選ばれる少なくとも1種である。構成単位Zは、(メタ)アクリル酸エステル単位および当該単位の誘導体である環構造から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、この場合、偏光子保護フィルムBにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
構成単位Yは、重合体(B−3)における複屈折の波長分散性を増大させる強い作用を有する。これに対して、(メタ)アクリル酸エステル単位および当該単位の誘導体である環構造は、重合体(B−3)における複屈折の波長分散性を増大させる作用はそれほど強くない。このように、重合体(B−3)の波長分散性を増大させる程度が異なる構成単位を組み合わせることにより、逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
なお、特開2001−235622号公報に開示されている分子鎖の組み合わせでは、両者の波長分散性の差はそれほど大きくないため、構成単位Yを有する重合体(B−3)を用いた本発明に係る偏光子保護フィルムのような効果を得ることができない。
環構造は、例えば、実施の形態Aにおいて重合体(B−2)を説明するために例示した環構造である。この例示した環構造を、以下、単に「環構造」という。
重合体(B−3)における(メタ)アクリル酸エステル単位および環構造の含有率の合計が50重量%以上である場合、重合体(B−3)は(メタ)アクリル重合体となる。このとき、光学特性ならびに機械的強度、成形加工性および表面硬度などの諸特性に優れる偏光子保護フィルムBとなる。
重合体(B−3)は、構成単位Zとして、(メタ)アクリル酸エステル単位および環構造の双方を有することが好ましい。即ち、重合体(B−3)は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であることが好ましい。環構造を含む構成単位は、当該単位を有する重合体(B−3)に対して、その配向時に大きな正の固有複屈折を与える作用を有する。このため、構成単位Yとの組み合わせによって、偏光子保護フィルムBにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
また、重合体(B−3)が主鎖に環構造を有することにより、重合体(B−3)および当該重合体を含む樹脂(A)のTgが上昇し、高耐熱性の偏光子保護フィルムBとなる。
主鎖に環構造を有する重合体(B−3)および当該重合体を含む樹脂(A)のTgは、例えば110度(摂氏)以上である。環構造の種類、重合体(B−3)における環構造の含有率ならびに樹脂(A)における重合体(B−3)の含有率によっては、当該Tgは、115度(摂氏)以上、120度(摂氏)以上、さらには130度(摂氏)以上となる。
環構造は、実施の形態Aで説明したように、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。これらの環構造は、重合体(B−3)に正の固有複屈折を与える作用を有するが、その波長分散性が非常に小さい。このため、構成単位Yとの組み合わせによって、偏光子保護フィルムBの逆波長分散性の制御の自由度がさらに向上する。
構成単位Yは特に限定されないが、式(4)に示される単位または不飽和単量体単位が好ましい。換言すれば、重合体(B−3)が、当該重合体に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位として、式(4)に示される単位または不飽和単量体単位を有することが好ましい。
重合体(B−3)は、構成単位YおよびZが主鎖にランダムに配置されたランダム共重合体であってもよいし、構成単位Yからなるブロックと構成単位Zからなるブロックとが存在するブロック共重合体であってもよい。また、構成単位YおよびZから選ばれる一方の構成単位(例えば構成単位Y)を有する主鎖に、他方の構成単位(例えば構成単位Z)を有する側鎖が結合したグラフト共重合体であってもよい。
重合体(B−3)は、2種以上の構成単位Yを有してもよい。
重合体(B−3)は、逆波長分散性を示す偏光子保護フィルムが得られる限り、構成単位YおよびZ以外の任意の構成単位を有してもよい。
重合体(B−3)は、公知の方法により製造できる。
重合体(B−3)における構成単位YおよびZの含有率の比は、重合体(B−3)の固有複屈折に対して各構成単位が作用する程度、あるいは偏光子保護フィルムBとして望まれる逆波長分散性の程度などに応じて異なるために一概に述べることができないが、例えば重量比にして、構成単位Y:構成単位Z=1:99〜38:62の範囲である。この範囲において、逆波長分散性の制御の自由度を向上でき、用途に応じた良好な波長分散性を有する偏光子保護フィルムBが得られる。
樹脂(A)における重合体(B−3)の含有率は特に限定されないが、本発明の効果が確実に得られることから、通常50重量%以上であり、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。
本実施形態における樹脂(A)は、2種以上の重合体(B−3)を含んでもよい。
偏光子保護フィルムBは、必要に応じ、層12以外の任意の層を有してもよい。
偏光子保護フィルムBの製造方法は特に限定されず、公知の手法に従えばよい。例えば、重合体(B−3)を含む樹脂(A)をフィルムに成形し、得られたフィルムを所定の方向に延伸(典型的には逐次二軸延伸)することで、樹脂(A)が含む重合体の分子鎖を配向させて層12を形成し、偏光子保護フィルムBとすればよい。
樹脂(A)は、キャスト法、溶融成形法(例えば溶融押出成形、プレス成形)などの公知の手法により、フィルムに成形できる。
(実施の形態C)
本実施形態の偏光子保護フィルムCは、2つの層(層31および層32)が積層された構造を有する。層31は構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)からなり、樹脂(A)の固有複屈折は負である。層32は、正の固有複屈折を有する樹脂(C)からなる。
本実施形態の偏光子保護フィルムCは、2つの層(層31および層32)が積層された構造を有する。層31は構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)からなり、樹脂(A)の固有複屈折は負である。層32は、正の固有複屈折を有する樹脂(C)からなる。
偏光子保護フィルムCは、固有複屈折の符号が互いに異なる2種類の層(層31および層32)が積層された構造を有するが、このような積層構造では、入射した光に対する両層の複屈折が互いに打ち消しあう現象が生じる。ここで、複屈折が打ち消しあう程度が波長によって異なるために、偏光子保護フィルムCは逆波長分散性を示す。
また、偏光子保護フィルムCでは、層31および層32が各々独立して配置されており、固有複屈折の符号が互いに異なる重合体間の相容性、あるいは重合体に与える固有複屈折の符号が互いに異なる構成単位間の相溶性を考慮する必要がないため、それぞれの層がとりうる組成範囲が広い。これにより、逆波長分散性の制御の自由度をはじめとする光学的な設計の自由度が高い光学部材となる。
層31、層32では、当該層に含まれる重合体の配向により複屈折が生じる。この観点からは、層31は、樹脂(A)に配向を与えて形成した層であり、層32は、樹脂(C)に配向を与えて形成した層である。樹脂(A)、(C)に配向を与えるには、フィルムに成形した樹脂(A)、(C)を延伸すればよい。
樹脂(C)は、正の固有複屈折を有する限り特に限定されず、例えば正の固有複屈折を有する重合体を含めばよい。正の固有複屈折を有する重合体の一例は、上述した重合体(B−2)である。
重合体(B−2)は(メタ)アクリル重合体であることが好ましく、この場合、偏光子保護フィルムCにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。層31は、構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む樹脂(A)からなるが、このような層が示す複屈折の波長分散性は、(メタ)アクリル重合体である重合体(B−2)を含む樹脂(C)からなる層32が示す複屈折の波長分散性に比べてかなり大きい。このように、複屈折の波長分散性が大きく異なる2種類の独立した層を組み合わせることで、偏光子保護フィルムCにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
なお、特開2001−337222号公報に例示されている樹脂の組み合わせに基づいて層31、層32を形成したとしても(例えば、層32をポリノルボルネンにより形成し、層31をスチレン系重合体により形成したとしても)、それぞれの層が示す複屈折の波長分散性の差がそれほど大きくないために、(メタ)アクリル重合体である重合体(B−2)を含む樹脂(C)からなる層32と、重合体(B−1)を含む樹脂(A)からなる層31とを組み合わせたときのような効果を得ることができない。
重合体(B−2)は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であることが好ましい。重合体(B−2)が主鎖に環構造を有することにより、層32の固有複屈折の絶対値が大きくなる。このため、層31との組み合わせによって、偏光子保護フィルムCにおける逆波長分散性の制御の自由度が向上する。
また、実施の形態Aで説明したように、重合体(B−2)が主鎖に環構造を有することによって、重合体(B−2)および当該重合体を含む樹脂(C)のTgが上昇し、層32および偏光子保護フィルムCの耐熱性が向上する。環構造によってTgが高くなる程度は、上述したとおりである。
環構造は、実施の形態Aで説明したように、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ラクトン環構造がより好ましい。これらの環構造は、重合体(B−2)に正の固有複屈折を与える作用を有するが、その波長分散性が非常に小さい。このため、重合体(B−1)を含む層31との組み合わせにより、偏光子保護フィルムCの逆波長分散性の制御の自由度がさらに向上する。
重合体(B−2)のその他の好ましい条件は、実施の形態Aにおいて説明した重合体(B−2)の好ましい条件と同じである。
重合体(B−2)を含む樹脂(C)は、正の固有複屈折を有する限り、重合体(B−2)以外の重合体を含んでもよい。
本実施形態における重合体(B−1)は、実施の形態Aにおいて説明した重合体(B−1)と同様である。
本実施形態における樹脂(A)は、構成単位Yを有する重合体(B−1)を含み、負の固有複屈折を有する限り特に限定されず、例えば重合体(B−1)以外の重合体を含んでもよい。
なお、構成単位Yは、その種類によっては非常に強い吸湿性を示す。このため重合体(B−1)は、当該重合体が有する構成単位Yの種類、および当該重合体における構成単位Yの含有率によっては、単独で層を形成しづらいことがある。この場合、樹脂(A)は、重合体(B−1)のバインダ−となる重合体(バインダ−重合体)を含んでもよい。バインダ−重合体は、固有複屈折が0に近い、即ち、延伸によって複屈折を示さない重合体が好ましく、この場合、層31の光学特性の制御が容易となる。
偏光子保護フィルムCの形成方法は特に限定されない。形成方法の一例は、個別に作成した層31および層32を互いに接合する方法である。例えば、重合体(B−1)を含む樹脂(A)をフィルムとし、得られたフィルムを所定の方向に延伸(典型的には一軸延伸または逐次二軸延伸)することで、樹脂(A)が含む重合体の分子鎖を配向させて層31を形成する。これとは別に、重合体(B−2)を含む樹脂(C)をフィルムとし、得られたフィルムを所定の方向に延伸することで、樹脂(C)が含む重合体の分子鎖を配向させて層32を形成する。次に、形成した双方の層を積層して、図3に示す偏光子保護フィルムCを形成できる。層31と層32との接合は公知の手法に従えばよく、双方の層は、アクリル系接着剤などにより互いに接着してもよい。樹脂(A)、(C)は、キャスト法、溶融成形法(例えば溶融押出成形、プレス成形)などの公知の手法により、フィルムに成形できる。
形成方法の別の一例は、層31の前駆体となる延伸前のフィルム(未延伸フィルムあるいは暫定的に延伸を加えたフィルム)と、層32の前駆体となる延伸前のフィルムとの積層体を所定の方向に延伸する方法である。当該延伸によって、それぞれの前駆体に含まれる重合体(B−1)、(B−2)の分子鎖が配向し、層31と層32との積層体である偏光子保護フィルムCとなる。前駆体の積層体は、例えば、樹脂(A)からなるフィルムと樹脂(C)からなるフィルムとの積層によって形成してもよいし、樹脂(A)と樹脂(C)とを共押出成形することで形成してもよい。また、層31または層32の一方の層の前駆体であるフィルムに、他方の層の前駆体となる樹脂が溶解した溶液を塗布し、塗布膜を乾燥させて形成してもよい。具体的な例として、(メタ)アクリル重合体、シクロオレフィン重合体またはセルロ−ス誘導体からなるベ−スフィルム上に、構成単位Yを有する重合体(B−1)を含む溶液を塗布した後に全体を乾燥させ、得られた積層体を所定の方向に延伸する方法がある。
層31、層32の積層状態(例えば、層31、層32の積層パタ−ンあるいは偏光子保護フィルムCの表面に垂直な方向から見た、層31の配向軸と層32の配向軸とがなす角度など)は特に限定されず、光学的な設計事項に合わせて適宜選択できる。なお、層31、層32を、それぞれの延伸方向がほぼ一致するように積層した場合に、偏光子保護フィルムCが示す逆波長分散性が最も強くなる。
偏光子保護フィルムCが有する層31、層32の数は特に限定されない。また、層31と層32とは接していてもいなくてもよい。
偏光子保護フィルムCは、必要に応じ、層31、層32以外の層を有していてもよい。
(実施の形態D)
本実施形態の偏光子保護フィルムDは、分子構造Xにより変性された構成単位を有する重合体(B−4)を含む樹脂(A)からなる。
本実施形態の偏光子保護フィルムDは、分子構造Xにより変性された構成単位を有する重合体(B−4)を含む樹脂(A)からなる。
重合体(B−4)に配向が加えられると、分子構造Xにより変性される程度が構成単位間で異なるために、各々の構成単位に由来して生じた複屈折が互いに打ち消しあう。ここで、複屈折が打ち消しあう程度が波長によって異なるために、複屈折、例えば位相差、の波長分散性が生じる。
重合体(B−4)は公知の手法により形成できる。例えば、変性の対象である構成単位と結合可能な結合基を分子構造Xに結合させた化合物を、当該構成単位を有する重合体と反応させればよい。重合体がTACなどのセルロ−ス誘導体である場合、当該結合基は、例えば水酸基である。分子構造Xが式(1)に示される構造である場合、上記化合物は、例えば5−オキソピロリジン−2−カルボン酸の酸塩化物である。酸塩化物の形成には、塩化チオニルを使用できる。
偏光子保護フィルムDは、必要に応じ、層32以外の層を有していてもよい。
偏光子保護フィルムDの製造方法は特に限定されず、公知の手法に従えばよい。例えば、重合体(B−4)を含む樹脂(A)をフィルムとし、得られたフィルムを所定の方向に延伸(典型的には一軸延伸または逐次二軸延伸)することで、樹脂(A)が含む重合体の分子鎖を配向させて層32を形成し、偏光子保護フィルムDとすればよい。
樹脂(A)は、キャスト法、溶融成形法(例えば溶融押出成形、プレス成形)などの公知の手法により、フィルムに成形できる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、少なくとも1枚の偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子保護フィルムが、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)以下の式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、二軸性を有する偏光子保護フィルムを含む。
本発明の偏光板は、少なくとも1枚の偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子保護フィルムが、(I)面内位相差Reが30〜80nm、厚み方向位相差Rthが90〜160nmであり、(II)少なくとも可視光領域において、波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を示し、且つ、(III)以下の式(1)、(2)もしくは(3)に示される分子構造または複素芳香族基を有する樹脂(A)を含む、二軸性を有する偏光子保護フィルムを含む。
発明の偏光板は、本発明に使用される前記偏光子保護フィルムを少なくとも1枚含んでいれば良く、偏光子の片面あるいは両面に本発明に使用される偏光子保護フィルムを積層することが出来る。本発明に使用される偏光子保護フィルム以外は、公知の構成が可能で有り、公知の製法を用いて製造が可能である。本発明の偏光板の好ましい実施形態としては、例えば、ポリビニルアルコ−ル系脂フィルムを二色性物質(ヨウ素や二色性染料など)で染色して一軸延伸した偏光子の片面あるいは両面に、接着剤層あるいはアンカ−層を介して偏光子保護フィルムを接着してなる形態である。
本発明の偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば如何なるものでもよく、例えばポリビニルアルコ−ル系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色したポリビニルアルコ−ル系偏光子;ポリビニルアルコ−ルの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;多層積層体あるいはコレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子;等が挙げられ、これらのなかでもポリビニルアルコ−ル系脂フィルムを二色性物質で染色して一軸延伸した偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、5〜100マイクロメーター程度である。
本発明の偏光板においては、本発明に使用される偏光子保護フィルムが前記偏光子に接着剤層を介して接着されてなることが好ましい。好ましい接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂の接着剤、紫外線や電子線などの活性エネルギ−線で硬化する接着剤やアクリル系、シリコン系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。尚、偏光子の偏光機能が低下しない条件で加熱圧着してもよいことはいうまでもなく、その場合は、ゆるやかな加熱圧着条件で接着することができる。
接着剤がポリビニルアルコ−ル系樹脂の場合、ポリビニルアルコ−ル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコ−ル;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコ−ルをアセタ−ル化、ウレタン化、エ−テル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコ−ル;などが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマ−ル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソ−ダ)、スルホン酸ソ−ダ(モノアルキルマレ−ト)、ジスルホン酸ソ−ダアルキルマレ−ト、N−メチロ−ルアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコ−ル系樹脂は1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
前記ポリビニルアルコ−ル系樹脂は、接着性の点からは、平均重合度が好ましくは100〜3000、より好ましくは500〜3000であり、平均ケン化度が好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
前記ポリビニルアルコ−ル系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコ−ル系樹脂を用いることができる。アセトアセチル基を有するポリビニルアルコ−ル系樹脂は、反応性の高い官能基を有するポリビニルアルコ−ル系接着剤であり、偏光板の耐久性が向上する点で好ましい。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコ−ル系樹脂は、ポリビニルアルコ−ル系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコ−ル系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコ−ル系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。また、ポリビニルアルコ−ルにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコ−ル系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不十分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜20モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
前記架橋剤としては、ポリビニルアルコ−ル系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。架橋剤は、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類(なかでもヘキサメチレンジアミンが好ましい);トリレンジイソシアネ−ト、水素化トリレンジイソシアネ−ト、トリメチレンプロパントリレンジイソシアネ−トアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノ−ルブロック物等のイソシアネ−ト類;エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、グリセリンジまたはトリグリシジルエ−テル、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパントリグリシジルエ−テル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザ−ル、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロ−ル尿素、メチロ−ルメラミン、アルキル化メチロ−ル尿素、アルキル化メチロ−ル化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。架橋剤としては、メラミン系架橋剤が好ましく、特にメチロ−ルメラミンが好適である。
記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコ−ル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜35重量部、より好ましくは10〜25重量部である。一方、耐久性をより向上させるには、ポリビニルアルコ−ル系樹脂100重量部に対して、架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することができる。特に、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコ−ル系樹脂を用いる場合には、架橋剤の使用量を30重量部を超えて用いるのが好ましい。架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することにより、耐水性が向上する。
なお、前記ポリビニルアルコ−ル系接着剤には、さらに金属化合物コロイド、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
金属化合物コロイドは、微粒子が分散媒中に分散しているものであり、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有するものである。金属化合物コロイド(微粒子)の平均粒径は1〜100nmである。前記コロイドの平均粒径が前記範囲であれば、接着剤層中において、金属化合物を略均一に分散させることができ、接着性を確保し、かつクニックを抑えることができることが知られている。前記平均粒径の範囲は、可視光の波長領域よりもかなり小さく、形成される接着剤層中において、金属化合物によって透過光が散乱したとしても、偏光特性には悪影響を及ぼさない。金属化合物コロイドの平均粒径は、1〜100nm、さらには1〜50nmであるのが好ましい。
金属化合物コロイドとしては、各種のものを用いることができる。例えば、金属化合物コロイドとしては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の金属酸化物のコロイド;炭酸アンモニウムアルミニウム、炭酸アンモニウムジルコニウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウム等の金属塩のコロイド;セライト、タルク、クレイ、カオリン等の鉱物のコロイドがあげられる。
金属化合物コロイドは、分散媒に分散してコロイド溶液の状態で存在している。分散媒は、主として水である。水の他に、アルコ−ル類等の他の分散媒を用いることもできる。コロイド溶液中の金属化合物コロイドの固形分濃度は、特に制限されないが、通常、1〜50重量%程度、さらには、1〜30重量%のものが一般的である。また、金属化合物コロイドは、安定剤として炭酸、硝酸、塩酸、酢酸などの酸を含有するものを用いることができる。
金属化合物コロイドは、静電的に安定化しており、正電荷を有するものと、負電荷を有するものに分けられるが、金属化合物コロイドは非導電性の材料である。正電荷と負電荷とは、接着剤調製後の溶液におけるコロイド表面電荷の電荷状態により、区別される。金属化合物コロイドの電荷は、例えば、ゼ−タ電位測定機により、ゼ−タ電位を測定することにより確認できる。本発明では、正電荷を有する金属化合物コロイドが、負電荷を有する金属化合物コロイドに比べて、クニックの発生を抑える効果が大きい。正電荷を有する金属化合物コロイドとしては、アルミナコロイド、ジルコニアコロイド、チタニアコロイド等があげられる。これらのなかでも、特に、アルミナコロイドおよび、ジルコニアコロイドが好適である。
金属化合物コロイドは、ポリビニルアルコ−ル系樹脂100重量部に対して、200重量部以下の割合(固形分の換算値)で配合することが好ましい。金属化合物コロイドの配合割合を前記範囲とすることで、偏光子と保護フィルムとの接着性を確保しながら、クニックの発生を抑えることができる。金属化合物コロイドの配合割合は、10〜200重量部であるのが好ましく、さらには20〜175重量部、さらには30〜150重量部であるのが好ましい。ポリビニルアルコ−ル系樹脂に対する金属化合物コロイドの配合割合が過剰であると接着性に劣る場合があり、金属化合物コロイドの配合割合が小さいと、クニック発生を抑止する効果を十分に得られない場合がある。
金属化合物コロイドは、微粒子が分散媒中に分散しているものであり、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的安定化し、永続的に安定性を有するものである。金属化合物コロイド(微粒子)の平均粒径は1〜100nmである。前記コロイドの平均粒径が前記範囲であれば、接着剤層中において、金属化合物を略均一に分散させることができ、接着性を確保し、かつクニックを抑えることができることが知られている。前記平均粒径の範囲は、可視光の波長領域よりもかなり小さく、形成される接着剤層中において、金属化合物によって透過光が散乱したとしても、偏光特性には悪影響を及ぼさない。金属化合物コロイドの平均粒径は、1〜100nm、さらには1〜50nmであるのが好ましい。
金属化合物コロイドとしては、各種のものを用いることができる。例えば、金属化合物コロイドとしては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の金属酸化物のコロイド;炭酸アンモニウムアルミニウム、炭酸アンモニウムジルコニウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウム等の金属塩のコロイド;セライト、タルク、クレイ、カオリン等の鉱物のコロイドがあげられる。
金属化合物コロイドは、分散媒に分散してコロイド溶液の状態で存在している。分散媒は、主として水である。水の他に、アルコ−ル類等の他の分散媒を用いることもできる。コロイド溶液中の金属化合物コロイドの固形分濃度は、特に制限されないが、通常、1〜50重量%程度、さらには、1〜30重量%のものが一般的である。また、金属化合物コロイドは、安定剤として炭酸、硝酸、塩酸、酢酸などの酸を含有するものを用いることができる。
金属化合物コロイドは、静電的に安定化しており、正電荷を有するものと、負電荷を有するものに分けられるが、金属化合物コロイドは非導電性の材料である。正電荷と負電荷とは、接着剤調製後の溶液におけるコロイド表面電荷の電荷状態により、区別される。金属化合物コロイドの電荷は、例えば、ゼ−タ電位測定機により、ゼ−タ電位を測定することにより確認できる。本発明では、正電荷を有する金属化合物コロイドが、負電荷を有する金属化合物コロイドに比べて、クニックの発生を抑える効果が大きい。正電荷を有する金属化合物コロイドとしては、アルミナコロイド、ジルコニアコロイド、チタニアコロイド等があげられる。これらのなかでも、特に、アルミナコロイドおよび、ジルコニアコロイドが好適である。
金属化合物コロイドは、ポリビニルアルコ−ル系樹脂100重量部に対して、200重量部以下の割合(固形分の換算値)で配合することが好ましい。金属化合物コロイドの配合割合を前記範囲とすることで、偏光子と保護フィルムとの接着性を確保しながら、クニックの発生を抑えることができる。金属化合物コロイドの配合割合は、10〜200重量部であるのが好ましく、さらには20〜175重量部、さらには30〜150重量部であるのが好ましい。ポリビニルアルコ−ル系樹脂に対する金属化合物コロイドの配合割合が過剰であると接着性に劣る場合があり、金属化合物コロイドの配合割合が小さいと、クニック発生を抑止する効果を十分に得られない場合がある。
接着剤が活性エネルギ−線硬化接着剤の場合、 硬化性成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物があげられる。これら硬化性成分は、単官能または二官能以上のいずれも用いることができる。これら硬化性成分は、硬化性成分により形成される接着剤層がTg60度(摂氏)以上を満足するように、1種を選択し、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら硬化性成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、N−置換アミド系モノマ−が好適に用いられる。これらモノマ−は、接着性の点で好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を意味する。本発明では(メタ)は前記同様の意味である。
N−置換アミド系モノマ−の具体例としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル−N−プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカアプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカアプトエチル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。また、複素環を有する複素環含有モノマ−としては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等があげられる。これらN−置換アミド系モノマ−は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記N−置換アミド系モノマ−は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、2種以上を組み合わせる場合には、耐久性、接着性の点から、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびN−アクリロイルモルホリンの組み合わせが好適である。また、当該組み合わせの場合、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびN−アクリロイルモルホリンの合計量に対するN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの割合は、40重量%以上であることが、良好な接着性を得るうえで好ましい。前記割合は、40〜90重量%がより好ましく、さらには、60〜90重量%であるのが好ましい。
また、上記硬化性成分としては、上記の他に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、例えば、各種のエポキシ(メタ)アクリレ−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル(メタ)アクリレ−トや、各種の(メタ)アクリレ−ト系モノマ−等があげられる。これらのなかでも、エポキシ(メタ)アクリレ−ト、特に、芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トが好適に用いられる。これら硬化性成分は、単独で、Tg60度(摂氏)以上の接着剤層を形成できない場合には、前記N−置換アミド系モノマ−と併用して用いられる。
芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トは、芳香環およびヒドロキシ基を有する、各種の単官能の(メタ)アクリレ−トを用いることができる。ヒドロキシ基は、芳香環の置換基として存在してもよいが、本発明では、芳香環と(メタ)アクリレ−トとを結合する有機基(炭化水素基、特に、アルキレン基に結合したもの)として存在するものが好ましい。
前記芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トとしては、例えば、芳香環を有する単官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物があげられる。芳香環を有する単官能のエポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエ−テル、t−ブチルフェニルグリシジルエ−テル、フェニルポリエチレングリコ−ルグリシジルエ−テル等があげられる。芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トの、具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェニルポリエチレングリコ−ルプロピル(メタ)アクリレ−ト等があげられる。
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、カルボキシル基モノマ−があげられる。カルボキシル基モノマ−も接着性の点で好ましい。カルボキシル基モノマ−としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレ−ト、カルボキシペンチル(メタ)アクリレ−ト、などがあげられる。これらのなかでもアクリル酸が好ましい。
上記の他、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、イソオクチル(メタ)アクリレ−ト、イソノニル(メタ)アクリレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト等の炭素数は1〜12のアルキル(メタ)アクリレ−ト;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマ−;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレ−トなどのヒドロキシル基含有モノマ−;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマ−;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレ−ト、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマ−;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ−トなどの燐酸基含有モノマ−などがあげられる。また、(メタ)アクリルアミド;マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマ−;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマ−などの窒素含有モノマ−があげられる。
上記の通り、活性エネルギ−線硬化型接着剤における、硬化性成分としては、N−置換アミド系モノマ−を単独で用いるか、または、N−置換アミド系モノマ−と芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トを併用することが好ましい。これらを併用する場合には、N−置換アミド系モノマ−の割合を、40重量%以上、さらには50重量%以上、さらには60重量%以上、さらには70重量%以上、さらには80重量%以上とするのが好ましい。
上記硬化性成分としては、二官能以上の硬化性成分を用いることができる。二官能以上の硬化性成分としては、二官能以上の(メタ)アクリレ−ト、特に二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレ−トが好ましい。二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレ−トは、多官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる。多官能のエポキシ化合物は、各種のものを例示できる。多官能のエポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂があげられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノ−ルAのジグリシジルエ−テル、ビスフェ−ルFのジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルSのジグリシジルエ−テルのようなビスフェノ−ル型エポキシ樹脂;フェノ−ルノボラックエポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノ−ルノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエ−テル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエ−テル、エポキシ化ポリビニルフェノ−ルのような多官能型のエポキシ樹脂などがあげられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、前記芳香族エポキシ樹脂の水添物、シクロヘキサン系、シクロヘキシルメチルエステル系、シクロヘキシルメチルエ−テル系、スピロ系、トリシクロデカン系等のエポキシ樹脂があげられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコ−ル又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエ−テルがあげられる。これらの例としては、1,4−ブタンジオ−ルのジグリシジルエ−テル、1,6−ヘキサンジオ−ルのジグリシジルエ−テル、グリセリンのトリグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパンのトリグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルのジグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルのジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルやプロピレングリコ−ル、グリセリンのような脂肪族多価アルコ−ルに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエ−テルポリオ−ルのポリグリシジルエ−テルなどがあげられる。
前記エポキシ樹脂の、エポキシ当量は、通常30〜3000g/当量、好ましくは50〜1500g/当量の範囲である。
前記二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレ−トは、脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレ−トが好ましい、特に、二官能の脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレ−トが好ましい。
本発明の活性エネルギ−線硬化型接着剤は、硬化性成分を含むが、前記成分に加えて、必要であれば適宜添加剤を添加してもよい。活性エネルギ−線硬化型接着剤は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。前記接着剤を電子線硬化型で用いる場合には、前記接着剤には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型で用いる場合には、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤の使用量は硬化性成分100重量部あたり、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.5〜3重量部である。
また、添加剤の例としては、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や感度を上がる増感剤、シランカップリング剤やエチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明保護フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラ−以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割などがあげられる。
N−置換アミド系モノマ−の具体例としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル−N−プロパン(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカアプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカアプトエチル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。また、複素環を有する複素環含有モノマ−としては、例えば、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等があげられる。これらN−置換アミド系モノマ−は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記N−置換アミド系モノマ−は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができるが、2種以上を組み合わせる場合には、耐久性、接着性の点から、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびN−アクリロイルモルホリンの組み合わせが好適である。また、当該組み合わせの場合、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびN−アクリロイルモルホリンの合計量に対するN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの割合は、40重量%以上であることが、良好な接着性を得るうえで好ましい。前記割合は、40〜90重量%がより好ましく、さらには、60〜90重量%であるのが好ましい。
また、上記硬化性成分としては、上記の他に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、例えば、各種のエポキシ(メタ)アクリレ−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル(メタ)アクリレ−トや、各種の(メタ)アクリレ−ト系モノマ−等があげられる。これらのなかでも、エポキシ(メタ)アクリレ−ト、特に、芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トが好適に用いられる。これら硬化性成分は、単独で、Tg60度(摂氏)以上の接着剤層を形成できない場合には、前記N−置換アミド系モノマ−と併用して用いられる。
芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トは、芳香環およびヒドロキシ基を有する、各種の単官能の(メタ)アクリレ−トを用いることができる。ヒドロキシ基は、芳香環の置換基として存在してもよいが、本発明では、芳香環と(メタ)アクリレ−トとを結合する有機基(炭化水素基、特に、アルキレン基に結合したもの)として存在するものが好ましい。
前記芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トとしては、例えば、芳香環を有する単官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物があげられる。芳香環を有する単官能のエポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエ−テル、t−ブチルフェニルグリシジルエ−テル、フェニルポリエチレングリコ−ルグリシジルエ−テル等があげられる。芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トの、具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェニルポリエチレングリコ−ルプロピル(メタ)アクリレ−ト等があげられる。
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、カルボキシル基モノマ−があげられる。カルボキシル基モノマ−も接着性の点で好ましい。カルボキシル基モノマ−としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレ−ト、カルボキシペンチル(メタ)アクリレ−ト、などがあげられる。これらのなかでもアクリル酸が好ましい。
上記の他、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、イソオクチル(メタ)アクリレ−ト、イソノニル(メタ)アクリレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト等の炭素数は1〜12のアルキル(メタ)アクリレ−ト;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマ−;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレ−トなどのヒドロキシル基含有モノマ−;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマ−;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレ−ト、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマ−;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ−トなどの燐酸基含有モノマ−などがあげられる。また、(メタ)アクリルアミド;マレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、3−(3−ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマ−;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマ−などの窒素含有モノマ−があげられる。
上記の通り、活性エネルギ−線硬化型接着剤における、硬化性成分としては、N−置換アミド系モノマ−を単独で用いるか、または、N−置換アミド系モノマ−と芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレ−トを併用することが好ましい。これらを併用する場合には、N−置換アミド系モノマ−の割合を、40重量%以上、さらには50重量%以上、さらには60重量%以上、さらには70重量%以上、さらには80重量%以上とするのが好ましい。
上記硬化性成分としては、二官能以上の硬化性成分を用いることができる。二官能以上の硬化性成分としては、二官能以上の(メタ)アクリレ−ト、特に二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレ−トが好ましい。二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレ−トは、多官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる。多官能のエポキシ化合物は、各種のものを例示できる。多官能のエポキシ化合物としては、例えば、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂があげられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノ−ルAのジグリシジルエ−テル、ビスフェ−ルFのジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルSのジグリシジルエ−テルのようなビスフェノ−ル型エポキシ樹脂;フェノ−ルノボラックエポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノ−ルノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエ−テル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエ−テル、エポキシ化ポリビニルフェノ−ルのような多官能型のエポキシ樹脂などがあげられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、前記芳香族エポキシ樹脂の水添物、シクロヘキサン系、シクロヘキシルメチルエステル系、シクロヘキシルメチルエ−テル系、スピロ系、トリシクロデカン系等のエポキシ樹脂があげられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコ−ル又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエ−テルがあげられる。これらの例としては、1,4−ブタンジオ−ルのジグリシジルエ−テル、1,6−ヘキサンジオ−ルのジグリシジルエ−テル、グリセリンのトリグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパンのトリグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルのジグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルのジグリシジルエ−テル、エチレングリコ−ルやプロピレングリコ−ル、グリセリンのような脂肪族多価アルコ−ルに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエ−テルポリオ−ルのポリグリシジルエ−テルなどがあげられる。
前記エポキシ樹脂の、エポキシ当量は、通常30〜3000g/当量、好ましくは50〜1500g/当量の範囲である。
前記二官能以上のエポキシ(メタ)アクリレ−トは、脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレ−トが好ましい、特に、二官能の脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレ−トが好ましい。
本発明の活性エネルギ−線硬化型接着剤は、硬化性成分を含むが、前記成分に加えて、必要であれば適宜添加剤を添加してもよい。活性エネルギ−線硬化型接着剤は、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。前記接着剤を電子線硬化型で用いる場合には、前記接着剤には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型で用いる場合には、光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤の使用量は硬化性成分100重量部あたり、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.5〜3重量部である。
また、添加剤の例としては、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や感度を上がる増感剤、シランカップリング剤やエチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明保護フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラ−以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割などがあげられる。
上記の接着剤を用いて接着する方法は、特に限定されず、例えば、キスコ−ト、スピンコ−ト、ロ−ルコ−ト、ディップコ−ト、カ−テンコ−ト、バ−コ−ト、ドクタ−ブレ−ドコ−ト、ナイフコ−ト、エアナイフコ−ト、ダイコ−ト、グラビアコ−ト、マイクログラビアコ−ト、オフセットグラビアコ−ト、リップコ−ト、スプレ−コ−ト、コンマコ−トなどの各種の方法を用い、偏光フィルム及び/又は接合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法などが可能である。接着剤を塗布した後、偏光フィルムとそれに接合されるフィルムをニップロ−ルなどにより挟んで、貼り合わせる。貼り合せる場合は、前記偏光子保護フィルムの光軸と偏光子の吸収軸を直交または平行に配置することが好ましい。
本発明に使用される偏光子保護フィルムは、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレ−ム(火炎)処理、ケン化処理やアンカ−層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカ−層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。アンカ−層としては、特に限定されず、公知のアンカ−層が使用され、アクリル系、セルロ−ス系、ポリウレタン系、シリコ−ン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系や分子中にアミノ基を含んだポリマ−等が使用される。これらのアンカ−層は、単独で用いても2種以上を併用・積層してもよい。
アンカ−層の厚さは、乾燥・硬化または乾燥後の厚さで、例えば、好ましくは0.01〜10マイクロメーター、より好ましくは0.05〜3マイクロメーター、さらに好ましくは0.1〜1マイクロメーターである。アンカ−層の厚さが0.01マイクロメーター未満であると、偏光子と保護フィルムとの接着強度が不充分になることがある。逆に、アンカ−層の厚さが10マイクロメーターを超えると、耐水性または耐湿性試験において、偏光板の色抜けや変色が起こりやすくなることがある。
保護フィルムの偏光子と対向する面にアンカ−層コ−ティング組成物を塗布する方法は、バ−コ−タ−、ロ−ルコ−タ−、グラビアコ−タ−などを用いた通常のコ−ティング技術を採用すればよく、特に限定されるものではない。また、塗布したアンカ−層コ−ティング組成物を乾燥させる方法や条件は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機を用いて、好ましくは50〜130度(摂氏)、より好ましくは75〜110度(摂氏)の温度で、乾燥させればよい。また、アンカ−層コ−ティング組成物のウレタン結合生成反応および/または硬化に関して、養生工程を設けても何ら問題ない。養生工程が必要な場合、養生温度は、例えば、好ましくは20〜100度(摂氏)、より好ましくは20〜50度(摂氏)であるが、前記組成物の乾燥に使用した熱である程度は進行し、接着剤を用いた偏光子と保護フィルムとの接着工程でさらに進行するので、常温養生でも充分な物性が得られる。
なお、表面の濡れ張力を調整するために、アンカ−層を設けた保護フィルムの前記アンカ−層の表面には、後の接着工程の前に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他の従来公知の表面処理を施すことができる。
アンカ−層の厚さは、乾燥・硬化または乾燥後の厚さで、例えば、好ましくは0.01〜10マイクロメーター、より好ましくは0.05〜3マイクロメーター、さらに好ましくは0.1〜1マイクロメーターである。アンカ−層の厚さが0.01マイクロメーター未満であると、偏光子と保護フィルムとの接着強度が不充分になることがある。逆に、アンカ−層の厚さが10マイクロメーターを超えると、耐水性または耐湿性試験において、偏光板の色抜けや変色が起こりやすくなることがある。
保護フィルムの偏光子と対向する面にアンカ−層コ−ティング組成物を塗布する方法は、バ−コ−タ−、ロ−ルコ−タ−、グラビアコ−タ−などを用いた通常のコ−ティング技術を採用すればよく、特に限定されるものではない。また、塗布したアンカ−層コ−ティング組成物を乾燥させる方法や条件は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機を用いて、好ましくは50〜130度(摂氏)、より好ましくは75〜110度(摂氏)の温度で、乾燥させればよい。また、アンカ−層コ−ティング組成物のウレタン結合生成反応および/または硬化に関して、養生工程を設けても何ら問題ない。養生工程が必要な場合、養生温度は、例えば、好ましくは20〜100度(摂氏)、より好ましくは20〜50度(摂氏)であるが、前記組成物の乾燥に使用した熱である程度は進行し、接着剤を用いた偏光子と保護フィルムとの接着工程でさらに進行するので、常温養生でも充分な物性が得られる。
なお、表面の濡れ張力を調整するために、アンカ−層を設けた保護フィルムの前記アンカ−層の表面には、後の接着工程の前に、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理、その他の従来公知の表面処理を施すことができる。
アンカ−層がアクリル系ポリマ−の場合、水性(メタ)アクリル系樹脂分散体が好ましい。水性(メタ)アクリル系樹脂分散体は、代表的には、乳化剤を用いて、モノマ−組成物を乳化重合させて得られる。
上記モノマ−組成物は、好ましくは、ポリアルキレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、(メタ)アクリロイルモルホリンおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性モノマ−を含む。このような水溶性モノマ−を用いることにより、偏光子と偏光子保護フィルムとの接着性(高温・高湿下においても)により優れた偏光子保護フィルムが得られ得る。
上記ポリアルキレングリコ−ル(メタ)アクリレ−トの具体例としては、ポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト、ポリブチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、メトキシポリプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト、メトキシポリブチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、エトキシポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、エトキシポリプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト、エトキシポリブチレングリコ−ルモノアクリレ−ト等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。これらの中でも、アルキル基がエチル基またはプロピル基であるものが好ましく用いられる。
上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソプロピルアクリルアミド、N−1−エチル−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−エチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、1−アクリロイル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソプロピルアクリルアミドである。
上記モノマ−組成物は、上記モノマ−以外にも、任意の適切な他のモノマ−を含み得る。他のモノマ−としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基を有するモノマ−;シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロオクチル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニルメタクリレ−ト、イソボルニルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルメタクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−、4−メチロ−ルシクロヘキシルメチルアクリレ−ト、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト等のシクロアルキル基を有するモノマ−;グリシジル(メタ)アクリレ−ト、α−メチルグリシジルアクリレ−ト、グリシジルアリルエ−テル、オキソシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ−ト、α−メチルグリシジルメタクリレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレ−ト等のエポキシ基を有するモノマ−が挙げられる。また、他のモノマ−としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のカルボキシル基を有するモノマ−;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2−アジリジニルエチル等のアジリジニル基を有するモノマ−;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を有するモノマ−;(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド誘導体類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体類;(メタ)アクリルニトリル等のシアノ基を有するモノマ−;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾ−ル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記乳化剤としては、任意の適切な乳化剤を用い得る。好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記アニオン性界面活性剤としては、任意の適切なアニオン性界面活性剤を用い得る。好ましくは、ナトリウムドデシルサルフェ−ト、カリウムドデシルサルフェ−ト等のアルカリ金属アルキルサルフェ−ト類;アンモニウムドデシルサルフェ−ト等のアンモニウムアルキルサルフェ−ト類;ナトリウムドデシルポリグリコ−ルエ−テルサルフェ−ト、ナトリウムスルホシノエ−ト、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩類;スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネ−ト類;ナトリウムラウリレ−ト、トリエタノ−ルアミンオレエ−ト、トリエタノ−ルアミンアビエテ−ト等の脂肪酸塩類;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネ−ト、アルカリフェノ−ルヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェ−ト等のアルキルアリ−ルスルホネ−ト類;高級アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェ−ト塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルサルフェ−ト塩等が挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、任意の適切なノニオン性界面活性剤を用い得る。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルエ−テル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロ−ルのモノラウレ−ト等の脂肪酸モノグリセライド類;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、エチレンオキサイドと脂肪酸アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等が挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、任意の適切なカチオン性界面活性剤を用い得る。好ましくは、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、任意の適切な両性界面活性剤を用い得る。好ましくは、ラウリルペタイン、ステアリルペタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
上記高分子界面活性剤としては、任意の適切な高分子界面活性剤を用い得る。好ましくは、ポリビニルアルコ−ル、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、これらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体または他の単量体との共重合体、クラウンエ−テル類の相関移動触媒等が挙げられる。
上記重合性界面活性剤としては、任意の適切な重合性界面活性剤を用い得る。好ましくは、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエ−テル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エステル等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエ−テル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル(メタ)アクリル酸エステル等のノニオン性重合性界面活性剤等が挙げられる。
上記乳化重合の方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、モノマ−組成物、乳化剤、重合開始剤、水性媒体を一括添加して重合する方法や、いわゆるモノマ−滴下法、プレエマルジョン法等が挙げられる。また、シ−ド重合、コア・シェル重合、パワ−フィ−ド重合等の多段重合を行い、エマルジョン粒子を異相構造化させてもよい。
上記乳化剤の配合量(合計配合量)は、任意の適切な値に設定され得る。乳化剤の配合量は、上記モノマ−組成物100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部である。上記水性媒体としては、通常、水が用いられ、必要に応じて低級アルコ−ルやケトン等の親水性溶媒を併用することができる。上記重合開始剤としては、任意の適切な重合開始剤を用い得る。具体例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;過酸化水素、過酢酸、ベンゾイルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。重合開始剤の配合量は、好ましくは、モノマ−組成物100重量部に対して0.01〜1重量部である。
上記乳化重合に際し、重合速度を促進させるため、または、低温で重合する場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を用い得る。また、上記乳化重合に際し、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノ−ル等の連鎖移動剤を用い得る。
上記乳化重合の重合温度および重合時間は、任意の適切な値に設定し得る。重合温度は、好ましくは0〜100度(摂氏)、より好ましくは50〜90度(摂氏)である。重合時間は、好ましくは1〜15時間である。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体は、当該分散体の安定性を向上させるため、中和剤により中和されていることが好ましい。水性(メタ)アクリル系樹脂分散体のpHは、好ましくは5〜10、より好ましくは6〜9.5、さらに好ましくは7〜9.5である。pHが5未満であると、当該分散体の安定性、機械的安定性が低下するおそれがある。pHが10を超えると、耐水性の低下や臭気の発生など、実用性に問題があるおそれがある。
上記中和剤としては、任意の適切な中和剤を用い得る。具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物類;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物類;アンモニア;ジメチルアミノエタノ−ル、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げられる。これら中和剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。これらの中でも、アンモニアや、ジメチルアミノエタノ−ル、トリエタノ−ルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン類が好ましく用いられ、より好ましくは、アンモニアや、ジメチルアミノエタノ−ル、トリメチルアミン等の低沸点アミン類である。このような中和剤を用いることにより、耐水性に優れた易接着層を得ることができる。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体は、任意の適切な添加剤を含み得る。添加剤としては、例えば、架橋剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび剤、防曇剤、帯電防止剤等が挙げられる。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体の樹脂固形分濃度は、好ましくは2〜35重量%、さらに好ましくは4〜15重量%である。易接着層形成時の作業性に優れ得るからである。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体で形成された易接着層のガラス転移温度は、好ましくは20度(摂氏)以上、より好ましくは25〜100度(摂氏)、さらに好ましくは30〜80度(摂氏)である。易接着層のガラス転移温度が20度(摂氏)以上であることにより、易接着層を積層した(メタ)アクリル系樹脂フィルムをロ−ル加工する際のブロッキングを防止することができる。また、基材(例えば、偏光子)との高い接着性を得ることができる。
上記モノマ−組成物は、好ましくは、ポリアルキレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、(メタ)アクリロイルモルホリンおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性モノマ−を含む。このような水溶性モノマ−を用いることにより、偏光子と偏光子保護フィルムとの接着性(高温・高湿下においても)により優れた偏光子保護フィルムが得られ得る。
上記ポリアルキレングリコ−ル(メタ)アクリレ−トの具体例としては、ポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト、ポリブチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、メトキシポリプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト、メトキシポリブチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、エトキシポリエチレングリコ−ルモノアクリレ−ト、エトキシポリプロピレングリコ−ルモノアクリレ−ト、エトキシポリブチレングリコ−ルモノアクリレ−ト等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。これらの中でも、アルキル基がエチル基またはプロピル基であるものが好ましく用いられる。
上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソプロピルアクリルアミド、N−1−エチル−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−エチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、1−アクリロイル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソプロピルアクリルアミドである。
上記モノマ−組成物は、上記モノマ−以外にも、任意の適切な他のモノマ−を含み得る。他のモノマ−としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基を有するモノマ−;シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロオクチル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニルメタクリレ−ト、イソボルニルアクリレ−ト、ジシクロペンタニルメタクリレ−ト、ジシクロペンタニルアクリレ−、4−メチロ−ルシクロヘキシルメチルアクリレ−ト、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト等のシクロアルキル基を有するモノマ−;グリシジル(メタ)アクリレ−ト、α−メチルグリシジルアクリレ−ト、グリシジルアリルエ−テル、オキソシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ−ト、α−メチルグリシジルメタクリレ−ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレ−ト等のエポキシ基を有するモノマ−が挙げられる。また、他のモノマ−としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル等のカルボキシル基を有するモノマ−;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸2−アジリジニルエチル等のアジリジニル基を有するモノマ−;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基を有するモノマ−;(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド誘導体類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体類;(メタ)アクリルニトリル等のシアノ基を有するモノマ−;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾ−ル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記乳化剤としては、任意の適切な乳化剤を用い得る。好ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記アニオン性界面活性剤としては、任意の適切なアニオン性界面活性剤を用い得る。好ましくは、ナトリウムドデシルサルフェ−ト、カリウムドデシルサルフェ−ト等のアルカリ金属アルキルサルフェ−ト類;アンモニウムドデシルサルフェ−ト等のアンモニウムアルキルサルフェ−ト類;ナトリウムドデシルポリグリコ−ルエ−テルサルフェ−ト、ナトリウムスルホシノエ−ト、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩類;スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネ−ト類;ナトリウムラウリレ−ト、トリエタノ−ルアミンオレエ−ト、トリエタノ−ルアミンアビエテ−ト等の脂肪酸塩類;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネ−ト、アルカリフェノ−ルヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェ−ト等のアルキルアリ−ルスルホネ−ト類;高級アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェ−ト塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルサルフェ−ト塩等が挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、任意の適切なノニオン性界面活性剤を用い得る。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルエ−テル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロ−ルのモノラウレ−ト等の脂肪酸モノグリセライド類;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、エチレンオキサイドと脂肪酸アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等が挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、任意の適切なカチオン性界面活性剤を用い得る。好ましくは、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、任意の適切な両性界面活性剤を用い得る。好ましくは、ラウリルペタイン、ステアリルペタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
上記高分子界面活性剤としては、任意の適切な高分子界面活性剤を用い得る。好ましくは、ポリビニルアルコ−ル、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、これらの重合体の構成単位である重合性単量体の2種以上の共重合体または他の単量体との共重合体、クラウンエ−テル類の相関移動触媒等が挙げられる。
上記重合性界面活性剤としては、任意の適切な重合性界面活性剤を用い得る。好ましくは、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼンスルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルエ−テル硫酸アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン酸エステル等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルベンゼンエ−テル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル(メタ)アクリル酸エステル等のノニオン性重合性界面活性剤等が挙げられる。
上記乳化重合の方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、モノマ−組成物、乳化剤、重合開始剤、水性媒体を一括添加して重合する方法や、いわゆるモノマ−滴下法、プレエマルジョン法等が挙げられる。また、シ−ド重合、コア・シェル重合、パワ−フィ−ド重合等の多段重合を行い、エマルジョン粒子を異相構造化させてもよい。
上記乳化剤の配合量(合計配合量)は、任意の適切な値に設定され得る。乳化剤の配合量は、上記モノマ−組成物100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部である。上記水性媒体としては、通常、水が用いられ、必要に応じて低級アルコ−ルやケトン等の親水性溶媒を併用することができる。上記重合開始剤としては、任意の適切な重合開始剤を用い得る。具体例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;過酸化水素、過酢酸、ベンゾイルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。重合開始剤の配合量は、好ましくは、モノマ−組成物100重量部に対して0.01〜1重量部である。
上記乳化重合に際し、重合速度を促進させるため、または、低温で重合する場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を用い得る。また、上記乳化重合に際し、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノ−ル等の連鎖移動剤を用い得る。
上記乳化重合の重合温度および重合時間は、任意の適切な値に設定し得る。重合温度は、好ましくは0〜100度(摂氏)、より好ましくは50〜90度(摂氏)である。重合時間は、好ましくは1〜15時間である。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体は、当該分散体の安定性を向上させるため、中和剤により中和されていることが好ましい。水性(メタ)アクリル系樹脂分散体のpHは、好ましくは5〜10、より好ましくは6〜9.5、さらに好ましくは7〜9.5である。pHが5未満であると、当該分散体の安定性、機械的安定性が低下するおそれがある。pHが10を超えると、耐水性の低下や臭気の発生など、実用性に問題があるおそれがある。
上記中和剤としては、任意の適切な中和剤を用い得る。具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物類;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物類;アンモニア;ジメチルアミノエタノ−ル、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げられる。これら中和剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。これらの中でも、アンモニアや、ジメチルアミノエタノ−ル、トリエタノ−ルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン類が好ましく用いられ、より好ましくは、アンモニアや、ジメチルアミノエタノ−ル、トリメチルアミン等の低沸点アミン類である。このような中和剤を用いることにより、耐水性に優れた易接着層を得ることができる。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体は、任意の適切な添加剤を含み得る。添加剤としては、例えば、架橋剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび剤、防曇剤、帯電防止剤等が挙げられる。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体の樹脂固形分濃度は、好ましくは2〜35重量%、さらに好ましくは4〜15重量%である。易接着層形成時の作業性に優れ得るからである。
上記水性(メタ)アクリル系樹脂分散体で形成された易接着層のガラス転移温度は、好ましくは20度(摂氏)以上、より好ましくは25〜100度(摂氏)、さらに好ましくは30〜80度(摂氏)である。易接着層のガラス転移温度が20度(摂氏)以上であることにより、易接着層を積層した(メタ)アクリル系樹脂フィルムをロ−ル加工する際のブロッキングを防止することができる。また、基材(例えば、偏光子)との高い接着性を得ることができる。
アンカ−層がセルロ−ス系ポリマ−の場合、セルロ−ス系ポリマ−層は、偏光子保護フィルムの少なくとも片面に設けられる。本発明におけるセルロ−ス系ポリマ−層の形成方法は、特に限定されない。好ましくは、セルロ−ス系ポリマ−を溶媒に溶解させてなるセルロ−ス系ポリマ−溶液を上記透明樹脂層の少なくとも片面に塗布して乾燥させ、セルロ−ス系ポリマ−層を形成する。
上記セルロ−ス系ポリマ−としては、特に限定されない。好ましくは、例えば、セルロ−スエステル系樹脂が挙げられる。セルロ−スエステル系樹脂としては、例えば、加水分解性を有するセルロ−スの脂肪酸エステルが挙げられ、セルロ−スの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。低級脂肪酸としては、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。
上記セルロ−スの低級脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、セルロ−スジアセテ−ト、セルロ−ストリアセテ−ト、セルロ−スプロピオネ−ト、セルロ−スブチレ−ト等の単独脂肪酸エステル、セルロ−スアセテ−トプロピオネ−ト、セルロ−スアセテ−トブチレ−ト等の混合脂肪酸エステル、およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、セルロ−スアセテ−トプロピオネ−ト、セルロ−スアセテ−トブチレ−トが好ましい。セルロ−スエステルを溶液にして上記透明樹脂層上にセルロ−スエステル層を付設する方法を用いる場合に、選択可能な溶媒が比較的広く、かつ該層付設後の加水分解による表面改質が容易となるからである。
セルロ−ス系ポリマ−溶液を得るために用いる溶媒としては、セルロ−ス系ポリマ−を溶解または分散させて流動液を生成しうるもので、かつ本発明における透明樹脂層上に流延可能な親和性を有することが好ましい。例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、トルエン、キシレン、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−プロパノ−ル等が挙げられる。これらは1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
セルロ−ス系ポリマ−溶液の濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。上記濃度が1重量%未満の場合には、本発明の偏光子保護フィルムと偏光子との接着性が十分に発揮できないおそれがある。上記濃度が20重量%を超えると、本発明の偏光子保護フィルムにおいて高い耐熱性、高い透明性、高い光学的特性、高い機械的強度が十分に発揮できないおそれがある。
セルロ−ス系ポリマ−溶液を透明樹脂層上に塗布した後の乾燥温度は、好ましくは50〜130度(摂氏)、より好ましくは80〜120度(摂氏)である。乾燥時間は、好ましくは30秒間〜5分間、より好ましくは30秒間〜2分間である。乾燥温度を高くしたり、乾燥時間を長くしたりすることにより、残存溶剤量を低減することができるが、これら乾燥条件は生産効率が低下しないようにするのが好ましい。
本発明におけるセルロ−ス系ポリマ−層の乾燥厚みは、好ましくは0.3〜3マイクロメーター、より好ましくは0.5〜2.5マイクロメーターである。上記範囲を外れると、セルロ−ス系ポリマ−層中の溶剤残存量が多くなりやすく、セルロ−ス系ポリマ−層のTgの低下により、高温時の貯蔵弾性率が低下して、偏光板が加熱下に曝された場合に偏光子の変化量が大きくなり偏光子クラックが発生しやすい。また、上記範囲を外れると、偏光板を構成した場合に、接着性(リワ−ク性)が低下したり、透過率の視野角特性が低下したりするおそれがある。
セルロ−ス系ポリマ−に架橋剤(本発明において「架橋剤」とは、セルロ−ス系ポリマ−が分子中に有する水酸基と反応して共有結合を形成し得る又は水素結合などの分子間結合を形成し得る官能基を有する化合物を意味する)を添加し、セルロ−ス系ポリマ−層の凝集力を向上させることにより、偏光子との接着性がさらに向上する。
上記架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネ−ト、水素化トリレンジイソシアネ−ト、トリメチロ−ルプロパントリレンジイソシアネ−トアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノ−ルブロック物等のイソシアネ−ト類;エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、グリセリンジまたはトリグリシジルエ−テル、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパントリグリシジルエ−テル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザ−ル、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロ−ル尿素、メチロ−ルメラミン、アルキル化メチロ−ル尿素、アルキル化メチロ−ル化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。また、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などの各種カップリング剤を挙げることができる。
上記架橋剤の使用量は、セルロ−ス系ポリマ−が有する水酸基等の官能基数に対して、前記セルロ−ス系ポリマ−が有する官能基と反応又は相互作用し得る官能基の数が、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下となるようにする。具体的には、セルロ−ス系ポリマ−100重量部に対して、通常、0.1〜40重量部が好ましく、より好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。かかる範囲において、均一な偏光特性を有し、且つ、偏光子との接着性に優れ、耐久性に優れた偏光板が得られ得る。
上記セルロ−ス系ポリマ−としては、特に限定されない。好ましくは、例えば、セルロ−スエステル系樹脂が挙げられる。セルロ−スエステル系樹脂としては、例えば、加水分解性を有するセルロ−スの脂肪酸エステルが挙げられ、セルロ−スの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。低級脂肪酸としては、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。
上記セルロ−スの低級脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、セルロ−スジアセテ−ト、セルロ−ストリアセテ−ト、セルロ−スプロピオネ−ト、セルロ−スブチレ−ト等の単独脂肪酸エステル、セルロ−スアセテ−トプロピオネ−ト、セルロ−スアセテ−トブチレ−ト等の混合脂肪酸エステル、およびこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、セルロ−スアセテ−トプロピオネ−ト、セルロ−スアセテ−トブチレ−トが好ましい。セルロ−スエステルを溶液にして上記透明樹脂層上にセルロ−スエステル層を付設する方法を用いる場合に、選択可能な溶媒が比較的広く、かつ該層付設後の加水分解による表面改質が容易となるからである。
セルロ−ス系ポリマ−溶液を得るために用いる溶媒としては、セルロ−ス系ポリマ−を溶解または分散させて流動液を生成しうるもので、かつ本発明における透明樹脂層上に流延可能な親和性を有することが好ましい。例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、トルエン、キシレン、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−プロパノ−ル等が挙げられる。これらは1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
セルロ−ス系ポリマ−溶液の濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。上記濃度が1重量%未満の場合には、本発明の偏光子保護フィルムと偏光子との接着性が十分に発揮できないおそれがある。上記濃度が20重量%を超えると、本発明の偏光子保護フィルムにおいて高い耐熱性、高い透明性、高い光学的特性、高い機械的強度が十分に発揮できないおそれがある。
セルロ−ス系ポリマ−溶液を透明樹脂層上に塗布した後の乾燥温度は、好ましくは50〜130度(摂氏)、より好ましくは80〜120度(摂氏)である。乾燥時間は、好ましくは30秒間〜5分間、より好ましくは30秒間〜2分間である。乾燥温度を高くしたり、乾燥時間を長くしたりすることにより、残存溶剤量を低減することができるが、これら乾燥条件は生産効率が低下しないようにするのが好ましい。
本発明におけるセルロ−ス系ポリマ−層の乾燥厚みは、好ましくは0.3〜3マイクロメーター、より好ましくは0.5〜2.5マイクロメーターである。上記範囲を外れると、セルロ−ス系ポリマ−層中の溶剤残存量が多くなりやすく、セルロ−ス系ポリマ−層のTgの低下により、高温時の貯蔵弾性率が低下して、偏光板が加熱下に曝された場合に偏光子の変化量が大きくなり偏光子クラックが発生しやすい。また、上記範囲を外れると、偏光板を構成した場合に、接着性(リワ−ク性)が低下したり、透過率の視野角特性が低下したりするおそれがある。
セルロ−ス系ポリマ−に架橋剤(本発明において「架橋剤」とは、セルロ−ス系ポリマ−が分子中に有する水酸基と反応して共有結合を形成し得る又は水素結合などの分子間結合を形成し得る官能基を有する化合物を意味する)を添加し、セルロ−ス系ポリマ−層の凝集力を向上させることにより、偏光子との接着性がさらに向上する。
上記架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネ−ト、水素化トリレンジイソシアネ−ト、トリメチロ−ルプロパントリレンジイソシアネ−トアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネ−ト)、イソホロンジイソシアネ−トおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノ−ルブロック物等のイソシアネ−ト類;エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリエチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、グリセリンジまたはトリグリシジルエ−テル、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ−テル、トリメチロ−ルプロパントリグリシジルエ−テル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザ−ル、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロ−ル尿素、メチロ−ルメラミン、アルキル化メチロ−ル尿素、アルキル化メチロ−ル化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。また、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などの各種カップリング剤を挙げることができる。
上記架橋剤の使用量は、セルロ−ス系ポリマ−が有する水酸基等の官能基数に対して、前記セルロ−ス系ポリマ−が有する官能基と反応又は相互作用し得る官能基の数が、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下となるようにする。具体的には、セルロ−ス系ポリマ−100重量部に対して、通常、0.1〜40重量部が好ましく、より好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。かかる範囲において、均一な偏光特性を有し、且つ、偏光子との接着性に優れ、耐久性に優れた偏光板が得られ得る。
アンカ−層がポリウレタン系ポリマ−の場合、「ポリウレタン系ポリマ−」とは、ポリイソシアネ−ト成分と、ポリオ−ル、ポリアミン、水などの活性水素成分との反応により得られる樹脂を意味し、塗布前に予め前記反応が終了しているものを用いてもよく、また、塗布中および/または塗布後に反応してポリウレタン系ポリマ−になるものを用いてもよい。ポリウレタン系ポリマ−としては、塗料、接着剤、コ−ティング用途などに用いられている従来公知のポリウレタン系ポリマ−を用いることができ、例えば、ポリオ−ルとイソシアネ−ト系硬化剤とを含有する2液型ポリウレタン系ポリマ−、1液型ポリウレタン系ポリマ−、1液型湿気硬化型ポリウレタン系ポリマ−などが挙げられる。 ポリウレタン系ポリマ−は、代表的には、ポリオ−ルとポリイソシアネ−トとを反応させることにより得られる。ポリオ−ルとしては、分子中にヒドロキシル基を2個以上有するものであれば特に限定されず、任意の適切なポリオ−ルを採用し得る。例えば、ポリアクリルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリエ−テルポリオ−ル等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリアクリルポリオ−ルは、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基を有する単量体とを共重合させることにより得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等の多価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリアクリルポリオ−ルは、上記単量体成分に加えて、他の単量体を共重合させていてもよい。他の単量体としては、共重合可能な限り、任意の適切な単量体を採用し得る。具体的には、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエ−テル等のビニルエ−テル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリエステルポリオ−ルは、代表的には、多塩基酸成分とポリオ−ル成分とを反応させることにより得られる。多塩基酸成分としては、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマ−ル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリオ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、1,10−デカンジオ−ル、1−メチル−1,3−ブチレングリコ−ル、2−メチル−1,3−ブチレングリコ−ル、1−メチル−1,4−ペンチレングリコ−ル、2−メチル−1,4−ペンチレングリコ−ル、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコ−ル、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコ−ル、1−メチル−1,5−ペンチレングリコ−ル、2−メチル−1,5−ペンチレングリコ−ル、3−メチル−1,5−ペンチレングリコ−ル、1,2−ジメチルブチレングリコ−ル、1,3−ジメチルブチレングリコ−ル、2,3−ジメチルブチレングリコ−ル、1,4−ジメチルブチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF、水添ビスフェノ−ルA、水添ビスフェノ−ルF等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリエ−テルポリオ−ルは、代表的には、多価アルコ−ルにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られる。多価アルコ−ルとしては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリイソシアネ−トとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ドデカメチレンジイソシアネ−ト、1,4−ブタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネ−ト、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネ−ト;イソホロンジイソシアネ−ト、水添キシリレンジイソシアネ−ト、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ−ト、メチルシクロヘキシレンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネ−ト;トリレンジイソシアネ−ト、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネ−ト、4,4′−ジベンジルジイソシアネ−ト、1,5−ナフチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、1,3−フェニレンジイソシアネ−ト、1,4−フェニレンジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネ−ト;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネ−ト、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネ−ト、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト等の芳香脂肪族ジイソシアネ−ト等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリウレタン系ポリマ−は、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有することにより、偏光子と保護フィルムの密着性(特に、高温における)に優れた偏光板を提供し得る。カルボキシル基を有するポリウレタン系ポリマ−は、例えば、上記ポリオ−ルと上記ポリイソシアネ−トとに加え、遊離カルボキシル基を有する鎖長剤を反応させることにより得られる。遊離カルボキシル基を有する鎖長剤は、例えば、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸等が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸は、例えば、ジメチロ−ルアルカン酸(例えば、ジメチロ−ル酢酸、ジメチロ−ルブタン酸、ジメチロ−ルプロピオン酸、ジメチロ−ル酪酸、ジメチロ−ルペンタン酸)等のジアルキロ−ルアルカン酸が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリウレタン系ポリマ−の製造において、上記の成分に加えて、他のポリオ−ル、他の鎖長剤を反応させ得る。他のポリオ−ルとしては、例えば、ソルビト−ル、1,2,3,6−ヘキサンテトラオ−ル、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオ−ル、1,2,5−ペンタントリオ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等の水酸基数が3個以上のポリオ−ルが挙げられる。他の鎖長剤としては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノ−ルアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン;キシリレンジアミン、トリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
上記ポリウレタン系ポリマ−の製造方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、上記各成分を一度に反応させるワンショット法、段階的に反応させる多段法が挙げられる。ポリウレタン系ポリマ−がカルボキシル基を有する場合、好ましくは、多段法である。カルボキシル基を容易に導入し得るからである。なお、上記ポリウレタン系ポリマ−の製造に際し、任意の適切なウレタン反応触媒を用い得る。
上記ポリアクリルポリオ−ルは、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基を有する単量体とを共重合させることにより得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。水酸基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等の多価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリアクリルポリオ−ルは、上記単量体成分に加えて、他の単量体を共重合させていてもよい。他の単量体としては、共重合可能な限り、任意の適切な単量体を採用し得る。具体的には、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエ−テル等のビニルエ−テル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリエステルポリオ−ルは、代表的には、多塩基酸成分とポリオ−ル成分とを反応させることにより得られる。多塩基酸成分としては、例えば、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマ−ル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリオ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、1,10−デカンジオ−ル、1−メチル−1,3−ブチレングリコ−ル、2−メチル−1,3−ブチレングリコ−ル、1−メチル−1,4−ペンチレングリコ−ル、2−メチル−1,4−ペンチレングリコ−ル、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコ−ル、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコ−ル、1−メチル−1,5−ペンチレングリコ−ル、2−メチル−1,5−ペンチレングリコ−ル、3−メチル−1,5−ペンチレングリコ−ル、1,2−ジメチルブチレングリコ−ル、1,3−ジメチルブチレングリコ−ル、2,3−ジメチルブチレングリコ−ル、1,4−ジメチルブチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルF、水添ビスフェノ−ルA、水添ビスフェノ−ルF等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリエ−テルポリオ−ルは、代表的には、多価アルコ−ルにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られる。多価アルコ−ルとしては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリイソシアネ−トとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ドデカメチレンジイソシアネ−ト、1,4−ブタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネ−ト、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネ−ト;イソホロンジイソシアネ−ト、水添キシリレンジイソシアネ−ト、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ−ト、メチルシクロヘキシレンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネ−ト;トリレンジイソシアネ−ト、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネ−ト、4,4′−ジベンジルジイソシアネ−ト、1,5−ナフチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、1,3−フェニレンジイソシアネ−ト、1,4−フェニレンジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネ−ト;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネ−ト、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネ−ト、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト等の芳香脂肪族ジイソシアネ−ト等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリウレタン系ポリマ−は、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有することにより、偏光子と保護フィルムの密着性(特に、高温における)に優れた偏光板を提供し得る。カルボキシル基を有するポリウレタン系ポリマ−は、例えば、上記ポリオ−ルと上記ポリイソシアネ−トとに加え、遊離カルボキシル基を有する鎖長剤を反応させることにより得られる。遊離カルボキシル基を有する鎖長剤は、例えば、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸等が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸は、例えば、ジメチロ−ルアルカン酸(例えば、ジメチロ−ル酢酸、ジメチロ−ルブタン酸、ジメチロ−ルプロピオン酸、ジメチロ−ル酪酸、ジメチロ−ルペンタン酸)等のジアルキロ−ルアルカン酸が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリウレタン系ポリマ−の製造において、上記の成分に加えて、他のポリオ−ル、他の鎖長剤を反応させ得る。他のポリオ−ルとしては、例えば、ソルビト−ル、1,2,3,6−ヘキサンテトラオ−ル、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオ−ル、1,2,5−ペンタントリオ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等の水酸基数が3個以上のポリオ−ルが挙げられる。他の鎖長剤としては、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノ−ルアミン等の脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン;キシリレンジアミン、トリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
上記ポリウレタン系ポリマ−の製造方法は、任意の適切な方法を採用し得る。具体的には、上記各成分を一度に反応させるワンショット法、段階的に反応させる多段法が挙げられる。ポリウレタン系ポリマ−がカルボキシル基を有する場合、好ましくは、多段法である。カルボキシル基を容易に導入し得るからである。なお、上記ポリウレタン系ポリマ−の製造に際し、任意の適切なウレタン反応触媒を用い得る。
ポリウレタン系ポリマ−は水系や溶剤系を用いることが出来る。溶剤系としては、例えば、ポリオ−ルとイソシアネ−ト系硬化剤とを含有する2液型ポリウレタン系ポリマ−、1液型ポリウレタン系ポリマ−、1液型湿気硬化型ポリウレタン系ポリマ−などが挙げられる。これらのポリウレタン系ポリマ−は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。不揮発分の濃度としては、例えば、組成物全体に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜15質量%である。使用可能な溶剤としては、各組成物を構成する成分を溶解する限り、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−トなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン系ポリマ−が水系の場合、好ましくは、上記ポリウレタン系ポリマ−の製造において中和剤を用いる。中和剤を用いることにより、水中におけるポリウレタン系ポリマ−の安定性が向上し得る。中和剤としては、例えば、アンモニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノ−ルアミン、メチルジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ−ル等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
ポリウレタン系ポリマ−が水系の場合、ポリウレタン系ポリマ−の製造に際し、好ましくは、上記ポリイソシアネ−トに対して不活性で、水と相溶する有機溶剤を用いる。当該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテ−ト等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジオキサン、テトラハイドロフラン、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル等のエ−テル系溶剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリウレタン系ポリマ−の数平均分子量は、好ましくは5000〜600000、さらに好ましくは10000〜400000である。上記ポリウレタン系ポリマ−の酸価は、好ましくは10以上、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは20〜45である。酸価がこのような範囲内であることにより、偏光子と保護フィルムとの密着性がより優れ得る。
ポリウレタン系ポリマ−の架橋剤は、カルボキシル基と反応し得る、任意の適切な架橋剤を採用し得る。好ましくは、カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマ−や金属架橋剤が挙げられる。カルボキシル基と反応し得る基としては、例えば、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等が挙げられる。金属架橋剤としては、例えば炭酸アンモニウムジルコニウムや、炭酸アンモニウム亜鉛等が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、オキサゾリン基を有するポリマ−または、炭酸アンモニウムジルコニウムあるいは、これらを併用してもよい。これらの中でも、オキサゾリン基を有する架橋剤は、上記ポリウレタン系ポリマ−と混合したときの室温でのポットライフが長く、加熱することによって架橋反応が進行するため、作業性が良好である。
ポリウレタン系ポリマ−は、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラ−、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらのポリウレタン系ポリマ−は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、ポリウレタン系ポリマ−組成物には、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤;テルペン樹脂、フェノ−ル樹脂、テルペン−フェノ−ル樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着性付与剤;レベリング剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤;消泡剤;可塑剤;無機充填剤;などの従来公知の添加剤を配合することもできる。
ポリウレタン系ポリマ−が水系の場合、好ましくは、上記ポリウレタン系ポリマ−の製造において中和剤を用いる。中和剤を用いることにより、水中におけるポリウレタン系ポリマ−の安定性が向上し得る。中和剤としては、例えば、アンモニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノ−ルアミン、メチルジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ−ル等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
ポリウレタン系ポリマ−が水系の場合、ポリウレタン系ポリマ−の製造に際し、好ましくは、上記ポリイソシアネ−トに対して不活性で、水と相溶する有機溶剤を用いる。当該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテ−ト等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジオキサン、テトラハイドロフラン、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル等のエ−テル系溶剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用い得る。
上記ポリウレタン系ポリマ−の数平均分子量は、好ましくは5000〜600000、さらに好ましくは10000〜400000である。上記ポリウレタン系ポリマ−の酸価は、好ましくは10以上、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは20〜45である。酸価がこのような範囲内であることにより、偏光子と保護フィルムとの密着性がより優れ得る。
ポリウレタン系ポリマ−の架橋剤は、カルボキシル基と反応し得る、任意の適切な架橋剤を採用し得る。好ましくは、カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマ−や金属架橋剤が挙げられる。カルボキシル基と反応し得る基としては、例えば、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等が挙げられる。金属架橋剤としては、例えば炭酸アンモニウムジルコニウムや、炭酸アンモニウム亜鉛等が挙げられる。好ましくは、架橋剤は、オキサゾリン基を有するポリマ−または、炭酸アンモニウムジルコニウムあるいは、これらを併用してもよい。これらの中でも、オキサゾリン基を有する架橋剤は、上記ポリウレタン系ポリマ−と混合したときの室温でのポットライフが長く、加熱することによって架橋反応が進行するため、作業性が良好である。
ポリウレタン系ポリマ−は、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラ−、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらのポリウレタン系ポリマ−は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、ポリウレタン系ポリマ−組成物には、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤;テルペン樹脂、フェノ−ル樹脂、テルペン−フェノ−ル樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着性付与剤;レベリング剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤;消泡剤;可塑剤;無機充填剤;などの従来公知の添加剤を配合することもできる。
アンカ−層がシリコ−ン系ポリマ−の場合、例えば、反応性官能基を有するシリコ−ン層が好ましい。反応性官能基を有するシリコ−ン層の材料は、特に制限されないが、例えば、イソシアネ−ト基含有のアルコキシシラノ−ル類、アミノ基含有アルコキシシラノ−ル類、メルカプト基含有アルコキシシラノ−ル類、カルボキシ含有アルコキシシラノ−ル類、エポキシ基含有アルコキシシラノ−ル類、ビニル型不飽和基含有アルコキシシラノ−ル類、ハロゲン基含有アルコキシラノ−ル類、イソシアネ−ト基含有アルコキシシラノ−ル類が挙げられ、アミノ系シラノ−ルが好ましい。さらに上記シラノ−ルを効率よく反応させるためのチタン系触媒や錫系触媒を添加することにより、接着力を強固にすることができる。また上記反応性官能基を有するシリコ−ンに他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらにはテルペン樹脂、フェノ−ル樹脂、テルペン−フェノ−ル樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤等を用いても良い。
上記反応性官能基を有するシリコ−ン層は公知の技術により塗工、乾燥して形成される。シリコ−ン層の厚みは、乾燥後で、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmである。塗工の際、反応性官能基を有するシリコ−ンを溶剤で希釈してもよい。希釈溶剤は特に制限はされないが、アルコ−ル類があげられる。希釈濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
上記反応性官能基を有するシリコ−ン層は公知の技術により塗工、乾燥して形成される。シリコ−ン層の厚みは、乾燥後で、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmである。塗工の際、反応性官能基を有するシリコ−ンを溶剤で希釈してもよい。希釈溶剤は特に制限はされないが、アルコ−ル類があげられる。希釈濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
アンカ−層が分子中にアミノ基を含んだポリマ−の場合、分子中にアミノ基を含むポリマ−類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、前述アクリル系粘着剤の共重合モノマ−で示したジメチルアミノエチルアクリレ−ト等の含アミノ基含有モノマ−の重合体などを挙げることができる。
上記アンカ−層に帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止性付与のための帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル、ポリキノキサリン等の導電ポリマ−系、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などが挙げられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマ−系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマ−、もしくは水分散性導電性ポリマ−が特に好ましく使用される。これは、帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマ−や水分散性導電性ポリマ−を用いた場合、塗布工程に際して有機溶剤によるフィルム基材の変質を抑える事が出来るためである。
上記アンカ−層に帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止性付与のための帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル、ポリキノキサリン等の導電ポリマ−系、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などが挙げられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマ−系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマ−、もしくは水分散性導電性ポリマ−が特に好ましく使用される。これは、帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマ−や水分散性導電性ポリマ−を用いた場合、塗布工程に際して有機溶剤によるフィルム基材の変質を抑える事が出来るためである。
本発明の偏光板は、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い。他の偏光子保護フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されないが、例えばアクリル系重合体、シリコ−ン系ポリマ−、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエ−テル、フッ素系やゴム系などのポリマ−をベ−スポリマ−とするものを適宜に選択して用いることができる。
前記粘着剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベ−スポリマ−またはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または偏光子保護フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレ−タ上に粘着剤層を形成してそれを偏光子保護フィルム面に移着する方式などがあげられる
本発明の偏光板は、片方/または両方の表面にセパレ−トフィルムなどの表面保護フィルムを積層して表面保護フィルム付き偏光板としてもよい。 積層方法としては、特に限定されず、例えば、偏光板を作製した後に、ラミネ−トロ−ル等を用いて任意の適切な方法によって貼り合わせれば良い。
本発明の偏光板は、片方/または両方の表面にセパレ−トフィルムなどの表面保護フィルムを積層して表面保護フィルム付き偏光板としてもよい。 積層方法としては、特に限定されず、例えば、偏光板を作製した後に、ラミネ−トロ−ル等を用いて任意の適切な方法によって貼り合わせれば良い。
表面保護フィルムとしては任意の適切なフィルムを採用し得る。表面保護フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリカ−ボネ−トが挙げられる。好ましくは、離型処理されたポリエチレンテレフタレ−トである。特に好ましくは、曲げ弾性率が5000MPa以上のポリエチレンテレフタレ−トが挙げられる。
本発明において、表面保護フィルムの厚みは、好ましくは15〜200マイクロメーター、より好ましくは30〜150マイクロメーター、さらに好ましくは50〜100マイクロメーターである。表面保護フィルムの厚みが15マイクロメーター未満であると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。表面保護フィルムの厚みが200マイクロメーターより大きいと、経済的ではなく、また、ロ−ル搬送性が悪くなるおそれがある。
本発明において、表面保護フィルムの厚みは、好ましくは15〜200マイクロメーター、より好ましくは30〜150マイクロメーター、さらに好ましくは50〜100マイクロメーターである。表面保護フィルムの厚みが15マイクロメーター未満であると、本発明の効果が十分に発現できないおそれがある。表面保護フィルムの厚みが200マイクロメーターより大きいと、経済的ではなく、また、ロ−ル搬送性が悪くなるおそれがある。
本発明の偏光板において、偏光子の本発明に使用される偏光子保護フィルムの反対側の面に、本発明に使用される偏光子保護フィルム以外のフィルムを積層することもできる。他樹脂からなるフィルムとしては、例えばトリアセチルセルロ−スなどのセルロ−ス系フィルム、ポリカ−ボネ−トフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、ポリナフタレンテレフタレ−トフィルム、等が挙げられる。光学特性や偏光板のカ−ルが抑制できる点から、(メタ)アクリル系樹脂フィルムが好ましい。
本発明の偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハ−ドコ−ト層を積層することが出来る。前記ハ−ドコ−ト層としては、例えばシリコ−ン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハ−ドコ−ト剤等よりなるハ−ドコ−ト層が挙げられる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレ−ト、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレ−ト、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。ハ−ドコ−ト層の厚みは、0.1〜100マイクロメーターである。また、ハ−ドコ−ト層の間にプライマ−処理をすることもできる。また、反射防止や低反射処理など公知の防眩処理を行うこともできる。
本発明の偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させる為に、少なくとも一層以上のハ−ドコ−ト層を積層することが出来る。前記ハ−ドコ−ト層としては、例えばシリコ−ン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、ウレタン系ハ−ドコ−ト剤等よりなるハ−ドコ−ト層が挙げられる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレ−ト、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレ−ト、紫外線硬化型オキセタン等から選ばれる一種類以上の紫外線硬化樹脂が挙げられる。ハ−ドコ−ト層の厚みは、0.1〜100マイクロメーターである。また、ハ−ドコ−ト層の間にプライマ−処理をすることもできる。また、反射防止や低反射処理など公知の防眩処理を行うこともできる。
本発明の偏光板は種々の画像表示装置への使用が可能である。本発明の偏光板を用いた液晶パネルなどの画像形成素子を、表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の画像表示装置を作製することが出来る。本発明の偏光板が適用可能な画像表示装置の具体例としては、反射型、透過型、半透過型LCDあるいはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、IPS型等の各種駆動方式の液晶表示装置(LCD)で好ましく用いられ、また、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)の各種画像表示装置にも好ましく用いられる。
液晶表示装置の場合、偏光板は液晶セルの両側に配置されるが、本発明の偏光子保護フィルムが画像表示面の偏光子と液晶セルの間に配置する構成が好ましい。また、液晶表示装置の形成に際しては、例えば位相差板、光学補償シ−ト、バックライト部(光源、反射シ−ト、導光板、拡散板、拡散シ−ト、プリズムシ−ト、輝度向上フィルム、等)などの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
[液晶パネルおよびVA用液晶表示装置]
本発明の液晶パネルは、本発明の偏光板をVAモ−ド液晶セルの少なくとも片側に備える。本発明の偏光板はVAモ−ド液晶セルの片側のみに備えても良いし、両側に備えても良い。
本発明の液晶パネルは、本発明の偏光板をVAモ−ド液晶セルの少なくとも片側に備える。本発明の偏光板はVAモ−ド液晶セルの片側のみに備えても良いし、両側に備えても良い。
本発明のVAモ−ド液晶表示装置は本発明の液晶パネルを備える。図1は、本発明の好ましい実施形態によるVAモ−ド液晶表示装置の画像表示面の概略断面図である。VAモ−ド液晶表示装置は、主な構成としては、VAモ−ド液晶セル4(液晶層、ガラス基板、透明電極、配向膜、等を含む)と、VAモ−ド液晶セル4を挟んで配置された偏光板9、10と、バックライト部8(光源、反射シ−ト、導光板、拡散板、拡散シ−ト、プリズムシ−ト、輝度向上フィルム、等を含む)を備える。偏光板9、10は、偏光子2、6と、偏光子を挟んで配置された偏光子保護フィルム1、3,5,7を備える。本発明のVAモ−ド液晶表示装置においては、偏光板9および/または10に本発明の偏光板が採用される。また、VAモ−ド液晶セル4と偏光子2、6の光学補償を偏光子2と偏光子6の間のフィルムで行うことになるため、偏光子保護フィルム3および/または5が本発明に用いられる偏光子保護フィルムであることが好ましい。偏光子2と偏光子保護フィルム3の間、および/または、偏光子6と偏光子保護フィルム5の間に別の位相差フィルムや光学補償層を設置し、本発明に用いられる偏光子保護フィルムと組み合わせて光学補償を行うことが可能である。さらに、必要に応じて、VAモ−ド液晶セル4と偏光板9、10の間に、別の位相差フィルムや光学補償層を設置し組み合わせることが出来る。その他、偏光子保護フィルム1と7には紫外線吸収剤を含有させて紫外線吸収能を付与したり、最表面となる偏光子保護フィルム1にハ−ドコ−ト処理および/または反射防止、低反射処理など公知の防眩処理を行うこともできる。
具体的な保護フィルムの組み合わせとしては、特に限定はされないが、以下の組み合わせが考えられる。偏光子保護フィルム1、3、5、7の全てに本発明に係る偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム3、5に本発明に係る偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム1,7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1,7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3または5に本発明に係る偏光子保護フィルムを採用、残りの偏光子保護フィルム(3または5)に低位相差の偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハ−ドコ−ト処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5に本発明に係る偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハ−ドコ−ト処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5、7に紫外線吸収能を有する本発明に係る偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハ−ドコ−ト処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する本発明に係る偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5、7に紫外線吸収能を有する本発明に係る偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハ−ドコ−ト処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3、5に本発明に係る偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ;偏光子保護フィルム1にハ−ドコ−ト処理と防眩処理を行った紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、7に紫外線吸収能を有する偏光子保護フィルムを採用し、偏光子保護フィルム3または5に本発明に係る偏光子保護フィルムを採用し、残りの偏光子保護フィルム(3または5)に低位相差の偏光子保護フィルムを採用する組み合わせ。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
[重量平均分子量]
共重合体の重量平均分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
共重合体の重量平均分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
システム:東ソ−社製
カラム:TSK−GEL superHZM−M 6.0×150 2本直列
TSK−GEL superHZ−L 4.6×35 1本
リファレンスカラム:TSK−GEL superH−RC 6.0×150 2本直列
溶離液:クロロホルム 流量 0.6mL/分
カラム温度:40度(摂氏)
[ガラス転移温度]
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して求めた。具体的には、示差操作熱量計(リガク社製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200度(摂氏)まで昇温(昇温速度20度(摂氏)/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
カラム:TSK−GEL superHZM−M 6.0×150 2本直列
TSK−GEL superHZ−L 4.6×35 1本
リファレンスカラム:TSK−GEL superH−RC 6.0×150 2本直列
溶離液:クロロホルム 流量 0.6mL/分
カラム温度:40度(摂氏)
[ガラス転移温度]
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して求めた。具体的には、示差操作熱量計(リガク社製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200度(摂氏)まで昇温(昇温速度20度(摂氏)/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[面内位相差Re]
フィルムの測定波長590nmにおける面内位相差は、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。
フィルムの測定波長590nmにおける面内位相差は、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。
[厚さ方向の位相差Rth]
フィルムの測定波長589nmにおける厚さ方向の位相差は、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。
フィルムの測定波長589nmにおける厚さ方向の位相差は、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。
[透過率]
フィルムの全光線透過率は、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用いて測定した。
フィルムの全光線透過率は、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用いて測定した。
[ヘイズ]
フィルムのヘイズは、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用いて測定した。
フィルムのヘイズは、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用いて測定した。
(製造例1)
攪拌装置、温度センサ−、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)30重量部、メタクリル酸メチル(MMA)63重量部、ビニルカルバゾ−ル7重量部、トルエン90重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105度(摂氏)まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.04重量部を添加すると同時に、トルエン10重量部にt−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.08重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105度(摂氏)〜110度(摂氏)で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
攪拌装置、温度センサ−、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)30重量部、メタクリル酸メチル(MMA)63重量部、ビニルカルバゾ−ル7重量部、トルエン90重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105度(摂氏)まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.04重量部を添加すると同時に、トルエン10重量部にt−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.08重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105度(摂氏)〜110度(摂氏)で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/ジオクチル混合物0.9重量部を添加し、80度(摂氏)〜105度(摂氏)の還流下で2時間環化縮合反応を行った。さらに、オ−トクレ−ブ中で240度(摂氏)、90分間加熱した後、得られた重合体溶液を減圧下240度(摂氏)で1時間乾燥し、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル重合体の透明な固体(A−1)を得た。重合体(A−1)の重量平均分子量は11万であり、ガラス転移温度は143度(摂氏)であった。
(製造例2)
攪拌装置、温度センサ−、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、MHMA15重量部、MMA35重量部、トルエン50重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105度(摂氏)まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.03重量部を添加すると同時に、トルエン3.34重量部にt−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.06重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105度(摂氏)〜110度(摂氏)で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
攪拌装置、温度センサ−、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、MHMA15重量部、MMA35重量部、トルエン50重量部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105度(摂氏)まで昇温し、還流開始したところで重合開始剤として、t−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.03重量部を添加すると同時に、トルエン3.34重量部にt−アミルパ−オキシイソノナノエ−ト(ルペロックス570、アルケマ吉富社製)0.06重量部を溶解した溶液を3時間かけて滴下しながら、還流下、約105度(摂氏)〜110度(摂氏)で溶液重合を行い、さらに4時間加温し続けた。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/ジオクチル混合物0.045重量部を添加し、80度(摂氏)〜105度(摂氏)の還流下で2時間環化縮合反応を行った。さらに、オ−トクレ−ブ中で240度(摂氏)、90分間加熱した後、得られた重合体溶液を減圧下240度(摂氏)で1時間乾燥し、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル重合体の透明な固体(B−1)を得た。重合体(B−1)の重量平均分子量は10万であり、ガラス転移温度は141度(摂氏)であった。
(製造例3:偏光子の製造)
ケン化度99%、厚み75マイクロメーターのポリビニルアルコ−ル未延伸フィルムを室温の水で洗浄した後、縦一軸に5倍延伸を行った。このフィルムをヨウ素0.5重量%、ヨウ化カリウム5重量%からなる水溶液に浸漬し二色性色素を吸着させた。更に、ホウ酸10重量%とヨウ化カリウム10重量%からなる50度(摂氏)の水溶液で5分間、架橋処理し偏光子を得た。
ケン化度99%、厚み75マイクロメーターのポリビニルアルコ−ル未延伸フィルムを室温の水で洗浄した後、縦一軸に5倍延伸を行った。このフィルムをヨウ素0.5重量%、ヨウ化カリウム5重量%からなる水溶液に浸漬し二色性色素を吸着させた。更に、ホウ酸10重量%とヨウ化カリウム10重量%からなる50度(摂氏)の水溶液で5分間、架橋処理し偏光子を得た。
(実施例1)
製造例1で作製した重合体(A−1)を、プレス成形機により250度(摂氏)でプレス成形して厚さ約480マイクロメーターのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、二軸延伸装置(東洋精機製作所製、TYPE EX4)により延伸倍率が2倍となるように延伸温度148度(摂氏)で固定端一軸延伸して、さらに、一段目の延伸方向と垂直な方向に延伸倍率が2.2倍となるように固定端一軸延伸して、厚さ110マイクロメーターの延伸フィルム(FA−1)を得た。得られた延伸フィルム(FA−1)の全光線透過率は、91%であり、ヘイズは、0.89%であった。得られた延伸フィルム(FA−1)における位相差(面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rth)の波長分散性を、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。波長分散性の評価結果を以下の表1に示す。なお、表1では、測定波長を590nmとしたときの位相差を基準(R0)として、その他の波長における位相差RとR0との比(R/R0)を併せて示す。
製造例1で作製した重合体(A−1)を、プレス成形機により250度(摂氏)でプレス成形して厚さ約480マイクロメーターのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、二軸延伸装置(東洋精機製作所製、TYPE EX4)により延伸倍率が2倍となるように延伸温度148度(摂氏)で固定端一軸延伸して、さらに、一段目の延伸方向と垂直な方向に延伸倍率が2.2倍となるように固定端一軸延伸して、厚さ110マイクロメーターの延伸フィルム(FA−1)を得た。得られた延伸フィルム(FA−1)の全光線透過率は、91%であり、ヘイズは、0.89%であった。得られた延伸フィルム(FA−1)における位相差(面内位相差Reおよび厚み方向位相差Rth)の波長分散性を、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。波長分散性の評価結果を以下の表1に示す。なお、表1では、測定波長を590nmとしたときの位相差を基準(R0)として、その他の波長における位相差RとR0との比(R/R0)を併せて示す。
表1に示すように、延伸フィルム(FA−1)は、光の波長が短くなるほど位相差が小さくなる逆波長分散性を示し、その変化は大きかった。
ウレタン系樹脂(第一工業製薬社製、ス−パ−フレックス210)10重量部および、架橋剤としてオキサゾリン系化合物(日本触媒社製、エポクロスWS700)1.2重量部からなる組成物を、脱イオン水43.5重量部で希釈し、塗布液を得た。得られた塗布液をバ−コ−タ−#3を用いて、延伸フィルム(FA−1)の偏光子を接着する側に、塗布後の乾燥膜厚が0.2マイクロメーターとなるように塗布し、100度(摂氏)で1分間乾燥し易接着層を形成し、延伸フィルム(FAA−1)。
次に、製造例3で作製した偏光子の両面に、二軸性を有する偏光子保護フィルムとして延伸フィルム(FAA−1)を、接着剤としてポリビニルアルコ−ルの7.5重量%水溶液を用いて、ウェットラミネ−ションにより貼り合わせた。貼合した積層体を熱風乾燥機で60度(摂氏)、10分間乾燥させて、偏光板(PA−1)を作成し、さらに、アクリル系粘着剤を塗布・乾燥した後、セパレ−タフィルム(ポリエチレンテレフタレ−トフィルム)を貼り合わせて、セパレ−タ付き偏光板(PAS−1)を作成した。SONY製KDL−32V2000の液晶パネルに予め貼合されていた偏光板を剥がし、偏光板(PAS−1)のセパレ−タを剥離してから、吸収軸を予め貼合されていた偏光板の吸収軸と同じ方向になるよう、液晶パネルの両面に貼合し、VAモ−ド液晶表示装置を作製した。作製した表示装置を黒表示させ、方位角45°から目視にて光漏れを確認したところ、黒く表示されていることを確認した。
(比較例1)
製造例2で作製した重合体(B−1)を、プレス成形機により250度(摂氏)でプレスし成形して厚さ約300マイクロメーターのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、二軸延伸装置(東洋精機製作所製、TYPE EX4)により延伸倍率が2倍となるように延伸温度146度(摂氏)で固定端一軸延伸して、さらに、一段目の延伸方向と垂直な方向に延伸倍率が2.2倍となるように固定端一軸延伸して、厚さ70マイクロメーターの延伸フィルム(FB−1)を得た。得られた延伸フィルム(FB−1)の全光線透過率は92%であり、ヘイズは0.31%であった。得られた延伸フィルム(FB−1)における位相差(面内位相差Re)の波長分散性を、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。波長分散性の評価結果を以下の表2に示す。なお、表2では、測定波長を590nmとしたときの位相差を基準(R0)として、その他の波長における位相差RとR0との比(R/R0)を併せて示す。
製造例2で作製した重合体(B−1)を、プレス成形機により250度(摂氏)でプレスし成形して厚さ約300マイクロメーターのフィルムとした。次に、作製したフィルムを、二軸延伸装置(東洋精機製作所製、TYPE EX4)により延伸倍率が2倍となるように延伸温度146度(摂氏)で固定端一軸延伸して、さらに、一段目の延伸方向と垂直な方向に延伸倍率が2.2倍となるように固定端一軸延伸して、厚さ70マイクロメーターの延伸フィルム(FB−1)を得た。得られた延伸フィルム(FB−1)の全光線透過率は92%であり、ヘイズは0.31%であった。得られた延伸フィルム(FB−1)における位相差(面内位相差Re)の波長分散性を、全自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA−WR)を用いて評価した。波長分散性の評価結果を以下の表2に示す。なお、表2では、測定波長を590nmとしたときの位相差を基準(R0)として、その他の波長における位相差RとR0との比(R/R0)を併せて示す。
表2に示すように、延伸フィルム(FB−1)は、光の波長が短くなるほど位相差が大きくなり、逆波長分散性を示さなかった。
次に、延伸フィルム(FA−1)の代わりに延伸フィルム(FB−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面に二軸性を有する偏光子保護フィルムを有する偏光板(PB−1)、続いて、セパレ−タ付き偏光板(PBS−1)を得た。さらに、上記で得られた偏光板(PBS−1)を用いて、実施例1と同様にVAモ−ド液晶表示装置を作製した。作製した表示装置を黒表示させ、方位角45°から目視にて光漏れを確認したところ、青紫色に表示されており光漏れを確認した。
本発明の偏光板は、位相差または波長分散性が異なる2種の複屈折フィルムが積層された構成、あるいは、特定の光学特性を有する微粒子が添加された構成をとらずとも、例えば単層でありながら逆波長分散性を示す光学フィルムを含むため、画像表示装置、特にVAモ−ドの液晶パネルや液晶表示装置に用いた場合、可視光の幅広い領域において位相差の補償が可能であり、直行偏光子の視野角特性改善や、カラ−シフトを低減することにより高い表示品質を維持しながら、さらなる小型化、軽量化などの要求に対する対応性に優れる。
VAモ−ド液晶セル4(液晶層、ガラス基板、透明電極、配向膜、等を含む)
VAモ−ド液晶セル4を挟んで配置された偏光板9、10
バックライト部8(光源、反射シ−ト、導光板、拡散板、拡散シ−ト、プリズムシ−ト、輝度向上フィルム、等を含む)
偏光子2、6
偏光子を挟んで配置された偏光子保護フィルム1、3,5,7
VAモ−ド液晶セル4を挟んで配置された偏光板9、10
バックライト部8(光源、反射シ−ト、導光板、拡散板、拡散シ−ト、プリズムシ−ト、輝度向上フィルム、等を含む)
偏光子2、6
偏光子を挟んで配置された偏光子保護フィルム1、3,5,7
Claims (18)
- 前記樹脂(A)がアクリル樹脂またはシクロオレフィン樹脂である請求項1に記載の偏光板。
- 前記樹脂(A)が、前記式(1)に示される分子構造を有する請求項1に記載の偏光板。
- 前記重合体(B−1)が、前記式(4)に示される単位または複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する請求項4に記載の偏光板。
- 前記式(4)に示される単位が、N−ビニル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−イプシロン−カプロラクタム単位、N−ビニル−2−ピペリドン単位、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン単位、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン単位およびN−ビニル−オメガ−ヘプタラクタム単位から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の偏光板。
- 前記α,β−不飽和単量体単位が、ビニルカルバゾ−ル単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾ−ル単位、およびビニルチオフェン単位から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の偏光板。
- 前記重合体(B−1)の固有複屈折が負であり、
前記樹脂(A)が、正の固有複屈折を有する重合体(B−2)をさらに含む請求項4に記載の偏光板。 - 前記重合体(B−2)が、主鎖に環構造を有する請求項8に記載の偏光板。
- 前記重合体(B−2)が、シクロオレフィン重合体およびセルロ−ス誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の偏光板。
- 前記重合体(B−2)が、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である請求項9に記載の偏光板。
- 前記環構造が、ラクトン環構造およびグルタルイミド構造から選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の偏光板。
- 前記樹脂(A)の固有複屈折が負であり、
正の固有複屈折を有する樹脂(C)からなる層をさらに有し、
前記樹脂(A)からなる層と、前記樹脂(C)からなる層とを含む積層構造を有する請求項4に記載の偏光板。 - 前記樹脂(C)が、正の固有複屈折を有する重合体(B−2)を含む請求項13に記載の偏光板。
- 前記重合体(B−1)が、当該重合体に負の固有複屈折を与える作用を有する構成単位として、前記式(4)、(5)または(6)に示される単位もしくは複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を有するとともに、当該重合体に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位をさらに有する請求項4に記載の偏光板。
- 前記重合体(B−1)に正の固有複屈折を与える作用を有する構成単位が、(メタ)アクリル酸エステル単位、および(メタ)アクリル酸エステル単位の誘導体である環構造から選ばれる少なくとも1種である請求項15に記載の偏光板。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の偏光板をVAモ−ド液晶セルの少なくとも片側に備える液晶パネル。
- 請求項17に記載の液晶パネルを備える、VAモ−ド液晶表示装置。
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