JP2011106935A - 回転角計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正可能な回転角計測装置を提供することにある。
【解決手段】回転角計測装置は、磁界センサ301と、信号処理部303Mとを有する。磁界センサは、固定磁化層を有する磁気抵抗素子で構成されたブリッジを2つ有する。信号処理部303Mの比算出部381は、出力信号Vx,Vyの比Vy/Vxを算出する。パラメータ補正部382は、比算出部が算出した比Vy/Vxから、予め検出された補正パラメータβを減算する。atan処理部383は、パラメータ補正部で算出された値に対して、逆正接処理を行い、磁界角度θを算出する。
【選択図】図8

Description

本発明は、固定磁化層を有する磁気抵抗効果素子(MR(Magnetoresistive)素子)を用いて構成された回転角検出装置に係り、特に、ピン角誤差を補正可能な回転角検出装置に関する。
このようなMR素子を用いた回転角検出装置は、例えば、特許文献1などにより知られている。
磁気抵抗効果素子(MR素子)には、巨大磁気抵抗効果素子(Giant Magnetoresistance;GMR素子)や,トンネル磁気抵抗素子(Tunneling Magnetoresistance;TMR素子)などが知られている。以下、GMR素子を用いた磁界検出装置を例にして、その概要を説明する。
図1は、GMR素子の基本構成を示している。
GMR素子は、第1の磁性層13(固定磁性層、あるいはピン磁性層)と第2の磁性層11(自由磁性層)とを有し、両者の磁性層の間に非磁性層12(スペーサ層)を挟み込んだ構成をとる。GMR素子に外部磁界を印加すると、固定磁性層の磁化方向は変化せず固定されたままであるのに対し、自由磁性層の磁化方向20は外部磁界の方向に応じて変化する。
ここでは、固定磁性層の磁化方向角度をピン角(pin angle)と呼び、θpで表す。
GMR素子の両端に電圧を印加すると素子抵抗に応じた電流が流れるが、その素子抵抗の大きさは固定磁性層の磁化方向(ピン角)θpと自由磁性層の磁化方向θfとの差Δθ=θf−θpに依存して変化する。したがって、固定磁性層の磁化方向θpが既知であれば、この性質を利用してGMR素子の抵抗値を測ることで自由磁性層の磁化方向θf,すなわち外部磁界の方向を検出することができる。
GMR素子の抵抗値がΔθ=θf−θpにより変化するメカニズムは、以下の通りである。
薄膜磁性膜中の磁化方向は、磁性体中の電子のスピンの方向と関連している。したがって、Δθ=0の場合は自由磁性層中の電子と固定磁性層の電子とでは、スピンの向きが同一方向である電子の割合が高い。逆にΔθ=180°の場合には両者の磁性層中の電子は、スピンの向きが互いに逆向きの電子の割合が高い。
図2は、自由磁性層11、スペーサ層12、固定磁性層13の断面を模式的に示している。自由磁性層11および固定磁性層13に示す矢印は多数電子のスピンの向きを模式的に示したものである。
図2(a)はΔθ=0の場合であり、自由磁性層11と固定磁性層13のスピンの向きが揃っている。図2(b)はΔθ=180°の場合であり、自由磁性層11と固定磁性層13のスピンの向きが逆向きになっている。
図2(a)のθ=0の場合、固定磁性層13から出た右向きスピンの電子は、自由磁性層11の中でも同じ向きの電子が多数を占めているため、自由磁性層11中での散乱が少なく、電子軌跡810のような軌跡を通る。
一方、図2(b)のΔθ=180°の場合は、固定磁性層13から出た右向きスピンの電子は、自由磁性層11に入ると逆向きスピンの電子が多いため、散乱を強く受け、電子軌跡810のような軌跡を通る。このようにΔθ=180°の場合では電子散乱が増えるため、電気抵抗が増加する。
Δθ=0〜180°の中間の場合は、図2(a)及び図2(b)の中間の状態になる。GMR素子の抵抗値Rは、
Figure 2011106935
となる。ここで、G/RはGMR係数と呼ばれ、数%〜数10%である。
このように電子スピンの向きによって、電流の流れ方(すなわち電気抵抗)を制御できることから、GMR素子はスピンバルブ素子とも呼ばれる。
また、膜厚が薄い磁性膜(薄膜磁性膜)では、面の法線方向の反磁界係数が極端に大きいため、磁化ベクトルは法線方向(膜厚方向)に立ち上がることはできず、面内に横たわっている。GMR素子を構成する自由磁性層11、固定磁性層13はいずれも十分薄いため、それぞれの磁化ベクトルは面内方向に横たわっている。
図3(a)は、4個のGMR素子R1(51−1)〜R4(51−4)を使ってホイートストン・ブリッジ60Aを構成し、磁界センサとして用いる場合の構成を示している。
ここで、GMR素子R1(51−1)、R3(51−3)の固定磁性層の磁化方向をθp=0とし、GMR素子R2(51−2)、R4(51−4)の固定磁化層の磁化方向をθp=180°と設定する。自由磁性層の磁化方向θfは外部磁界で決まるので4個のGMR素子で同一となるため、Δθ2=θf−θp2=θf−θp1−π=Δθ1+πの関係が成り立つ。ここで、Δθ1は、θp=0を基準としているので、Δθ1=θと置き換える。したがって、式(1)からわかるように、GMR素子R1、R3では、
Figure 2011106935
ただし、(n=1、3)となり、
GMR素子R2、R4では、
Figure 2011106935
ただし、(n=2、4)となる。
図3(a)のブリッジ回路60Aに励起電圧e0を印加した時の端子V1、V2間の差電圧Δv=V2−V1は以下の式(4)のようになる。
Figure 2011106935
これに、式(2)、式(3)を代入し、n=1〜4についてRn0が等しいと仮定し、R0=Rn0とおくと、
Figure 2011106935
となる。
このように、信号電圧Δvはcosθに比例するので、磁界の方向θを検出することができる。また、このブリッジ回路は、cosθに比例した信号を出力するのでCOSブリッジと称する。
また、図3(b)は、固定磁化層の方向を図3(a)のCOSブリッジと90度変えたブリッジ60Bを示している。すなわち、θp=90°、270°のGMR素子でブリッジを構成する。上記と同様に計算すると信号電圧は、
Figure 2011106935
とsinθに比例するので、ブリッジ60BをSINブリッジと称する。
COSブリッジとSINブリッジの2つの出力信号の比の逆正接を計算することで、磁界ベクトルの方向θm(磁界角度)が、
Figure 2011106935
と求まる。
このように、磁気抵抗素子は、磁界方向を直接検出することができるという特徴がある。
磁気抵抗素子の抵抗の磁界依存項は、式(1)に示したように固定磁化層の磁化方向(ピン角)θpと外部磁界の角度θmとの差Δθ=θm−θpで決まる。言い換えれば、ピン角θpが基準角度となる。したがって、ピン角の設定に誤差(ズレ)があると、式(5)、式(6)が成り立たなくなり、式(7)にしたがって求めた角度は、正しい磁界角度θmを示さなくなる。
一例として、図3(a)に示したCOSブリッジのGMR素子R2、R4のピン角が0.5°ずれ、図3(b)に示したSINブリッジのGMR素子R2、 R4のピン角が−1°ずれた場合を考える。
図4は、前述の場合における、各ブリッジからの信号Vx、Vyから式(7)にしたがって求めた角度θ1と、真の磁界角度θmとの差(測定誤差)を示している。測定誤差は真の磁界角度θmに依存して変化し、約1°の振幅である。このように、1°のピン角ずれが約1°の角度計測誤差となる。したがって、例えば±0.2°の計測精度を得るためには、全てのピン角を0.2°程度の精度で設定する必要がある。
図3の例のように、磁界センサ内に複数のピン角設定を有する磁界センサの製造方法は、例えば、磁気抵抗素子(図3の各Ri(i=1〜4)に対応する)を方向を変えて配置する方法や、固定磁化層を成膜する際に印加する外部磁界の方向を変える方法などがある。しかし、いずれの方法であっても、全てのピン角を0.2°程度の高精度で設定することは極めて困難である。
これに対し、このピン角誤差による角度計測誤差を補正する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2では、回転角θとその時の磁界センサによる計測角度θ(meas)とを測定し、両者の誤差Δφ(θ)を回転角θの関数として求める。すなわち、
Figure 2011106935
である。
ここで、図4に示したように、誤差Δφ(θ)は、180度周期の形になるので、式(8)で示すように、
Figure 2011106935
と、補正関数SI(θ,α)を定義する。
そして、次式(10)で定義される関数E1(α)が最小になるようなパラメータαを求める。
Figure 2011106935
ここで、積分は、θ=0〜360度の1周期の積分である。
このようにして2倍波成分の誤差を除去すると、4倍波成分が残る。そこで、次に、式(11)で示すように、
Figure 2011106935
と、4倍波の補正関数S2(θ,β)を定義する。
そして、次式(12)で定義される関数E2(β)が最小になるように、
Figure 2011106935
パラメータβを求める。
磁界センサの動作時は、以上のように求めた補正関数を用いて、次式(13)により、
Figure 2011106935
と補正する。
特許第3799270号公報 特開2006−194861号公報
以上のように、固定磁化層を有する磁気抵抗素子を用いた磁界計測装置では、固定磁化層の磁化方向(ピン角度)の設定誤差があると、計測角度に誤差が発生するという課題があった。
それに対して、特許文献2記載の補正方法では、3つの問題点がある。(1)第1に、補正パラメータα、βを取得する際に、α、βを変えながら積分E1、E2を繰り返してE1、E2を最小化するので、計算量が多大になる。(2)第2に、補正関数S1、S2が2θ、4θの関数なので補正時に磁界の角度の絶対値が必要になり、エンコーダなどの角度が既知の調整装置が必要になる。(3)第3に、高速動作が必要とされるセンサ動作時の補正式(13)が、演算量が多い三角関数計算を複数含むため演算処理量が多く、高速なマイコンなどを必要とする。
すなわち、ピン角ズレに起因する計測誤差を補正する従来の方法では、補正に要する演算処理量が多い、という問題があった。
本発明の目的は、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正可能な回転角計測装置を提供することにある。
本明細書では関数SQRT(y) は「yの平方根」を表すものとする。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、磁界センサと、信号処理部とを有し、前記磁界センサは、固定磁化層を有する磁気抵抗素子で構成されたブリッジを2つ有し、前記信号処理部は、第1の前記ブリッジの出力信号Vxと、第2の前記ブリッジの出力信号Vyとが入力し、磁界方向角度θを出力する回転角計測装置であって、前記信号処理部において、前記出力信号Vxの絶対値|Vx|が前記出力信号Vyの絶対値|Vy|より大きい又は等しい時、比Vy/Vxとtanθとの差が、非ゼロの一定値である。
かかる構成により、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正可能なものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記一定値をxとすると、一定値xは、(1/SQRT(1−x))×(Vy/Vx)−tanθ=xを満たすとともに、前記一定値xは前記θによらないものである。なお,本明細書では関数SQRT(y) は「yの平方根」を表す。
(3)上記(1)において、好ましくは、前記信号処理部は、前記出力信号Vx,Vyの比Vy/Vxを算出する比算出部と、該比算出部が算出した前記比Vy/Vxから、予め検出された補正パラメータβを減算するパラメータ補正部と、該パラメータ補正部で算出された値に対して、逆正接処理を行い、磁界角度θを算出するatan処理部とを備えるようにしたものである。
(4)上記(3)において、好ましくは、前記パラメータ補正部は、算出された値を、Bx=SQRT(1−β)で除算するようにしたものである。
(5)上記(3)において、好ましくは、前記第1の前記ブリッジの出力信号Vxと第2の前記ブリッジの出力信号Vyとから、それぞれ、予め検出されたオフセットbx,byを減算するオフセット減算処理部を備え、該オフセット減算処理部の出力を、前記信号処理部の前記比算出部の入力とするようにしたものである。
(6)上記(3)において、好ましくは、前記信号処理部は、前記比算出部が算出した前記比Vy/Vxに対して、磁界方向が1回転する期間について平均値から、前記補正パラメータβを算出する平均値処理部を備えるようにしたものである。
(7)上記(6)において、好ましくは、前記比算出部が算出した前記比Vy/Vxに対して、前記比Vy/Vxを引数とする窓関数W(r)を乗算する窓関数処理部を備え、該窓関数処理部の出力に対して、前記平均値処理部は、磁界方向が1回転する期間について平均値を算出するようにしたものである。
(8)上記(7)において、好ましくは、前記窓関数W(r)は、偶関数である。
(9)上記(7)において、好ましくは、前記パラメータ補正部は、算出された値を、Bx=SQRT(1−β)で除算するようにしたものである。
(10)上記(1)において、好ましくは、前記磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗素子である。
(11)また、上記目的を達成するために、本発明は、磁界センサと、信号処理部とを有し、前記磁界センサは、固定磁化層を有する磁気抵抗素子で構成されたブリッジを2つ有し、前記信号処理部は、第1の前記ブリッジの出力信号Vxと、第2の前記ブリッジの出力信号Vyとが入力し、磁界方向角度θを出力する回転角計測装置であって、前記信号処理部は、前記出力信号の比Vy/Vxに対して、磁界方向が1回転する期間について平均値から、前記補正パラメータβを算出する平均値処理部を備えるようにしたものである。
かかる構成により、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正可能なものとなる。
(12)上記(11)において、好ましくは、前記比算出部が算出した前記比Vy/Vxに対して、前記比r(=Vy/Vx)を引数とする窓関数W(r)を乗算する窓関数処理部を備え、該窓関数処理部の出力に対して、前記平均値処理部は、磁界方向が1回転する期間について平均値を算出するようにしたものである。
(13)上記(11)において、好ましくは、前記第1の前記ブリッジの出力信号Vxと第2の前記ブリッジの出力信号Vyとから、それぞれ、予め検出されたオフセットbx,byを減算するオフセット減算処理部を備え、該オフセット減算処理部の出力を、前記信号処理部の前記比算出部の入力とするようにしたものである。
(14)上記(13)において、好ましくは、 前記平均値処理部は、磁界を一定角速度で2回転回ったときの、1回転目で前記オフセット電圧bx,byを求め、2回転目で、前記オフセット減算部は、信号Vx,Vyからそれぞれオフセット電圧bx,byを減算した値Vx’=Vx−bx,Vy’=Vy−byを算出し、前記平均値処理部は、値Vx’,Vy’に対して、前記ピン角ズレ量βを求めるようにしたものである。
(15)上記(11)において、好ましくは、前記磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗素子である。
本発明によれば、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正可能となる。
巨大磁気抵抗素子の構成を示す模式図である。 巨大磁気抵抗素子中での電子の挙動を説明する模式図である。 巨大磁気抵抗素子を用いた回転角計測装置で用いる磁界センサ内のセンサブリッジを示す模式図である。 ピン角に誤差がある場合の、計測角度に含まれる誤差を示す図である。 本発明の第1の実施形態による、ピン角ズレαを調べるための回転角計測装置の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態による回転角計測装置に用いる磁界センサの構成図である。 本発明の第1の実施形態による回転角計測装置に用いる磁界センサ内の各ブリッジの位相ずれを示す模式図である。 本発明の第2の実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第2の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第3の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第1の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態による回転角計測装置における信号の比r=Vy/Vxの波形の説明図である。 本発明の第3の実施形態による、ピン角ズレαを調べるための回転角計測装置の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態による回転角計測装置の窓関数処理部で使用する窓関数の説明図である。 本発明の第3の実施形態による回転角計測装置の窓関数処理部で使用する窓関数の説明図である。 本発明の第3の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第3の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第3の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第4の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第2の構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第5の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。 本発明の第6の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第3の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態による回転角計測装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第8の実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第3の構成を示すブロック図である。 本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いたモータシステムの構成図である。 本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いたモータシステムの構成図である。 本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いた電動パワーステアリングシステムの構成図である。 本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いた磁界センサの製造時の検査システムの説明図である。
以下、図5〜図7を用いて、本発明の第1の実施形態による回転角計測装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図5を用いて、本実施形態による、ピン角ズレαを調べるための回転角計測装置の第1の構成について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態による、ピン角ズレαを調べるための回転角計測装置の第1の構成を示すブロック図である。
本実施形態の回転角計測装置201Dは、磁界センサ301と、検出回路部302Dとで構成される。検出回路部302Dは、信号処理部303Dを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジ60Aと、SINブリッジ60B)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。ここで、Vx=−ΔVc=−(V2−V1)になるようにする。また、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。ここで、Vy=ΔVsである。
本明細書では,この差信号Vx,Vyをそれぞれのブリッジの出力信号と呼ぶ。
ここで、図6を用いて、本実施形態による回転角計測装置に用いる磁界センサの構成について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態による回転角計測装置に用いる磁界センサの構成図である。
本実施形態で用いる磁界センサは、図6(a)に示すCOSブリッジ60Aと、図6(b)に示すSINブリッジ60Bとから構成されている。
COSブリッジ60Aを構成する磁気抵抗素子R1(51−1),R3(51−3)のピン角は、θp=0と設定され、磁気抵抗素子R2(51−2),R4(51−4)のピン角は、θp=180°とに設定されている。
SINブリッジ60Bを構成する磁気抵抗素子R1(52−1),R3(52−3)のピン角は、θp=90°と設定され、磁気抵抗素子R2(52−2),R4(52−4)のピン角は、θp=270°に設定されている。
前述の通り、実際の磁界センサには、ピン角設定に誤差が含まれる。各磁気抵抗素子のピン角ズレ(誤差)をαi(i=1〜4)とする。すなわち、図6に示したように、COSブリッジの各ピン角は、θp=0−α1、180°−α2とし、SINブリッジの各ピン角は、θp=90−α3、270°−α4とする。
ピン角の設定は、例えば、固定磁化層を成膜する際に外部磁界を印加することで磁化方向θpを設定することにより行われる。したがって、各ブリッジ内の同じピン角の磁気抵抗素子のピン角ズレαiは同一になる。したがって、図6のように、ピン角設定が4種の誤差αiを持つとしたモデルは、一般性を失わない。
本実施形態では、図6のようにピン角に誤差を有する磁界センサを用いた回転角計測装置において、ピン角ズレに起因する誤差を検出するようにしている。また、後述の他の回転角計測装置では、さらに、出力回転角度から、検出したピン角ズレに起因する誤差を補正するようにしている。
そこで、最初に、4種のピン角ズレαi(i=1〜4)が1種のピン角ズレαの問題に帰着することについて説明する。
最初に、図6(A)に示したCOSブリッジ内の2種類のピン角の誤差の影響を説明する。
磁気抵抗素子R1は、式(2)において、n=1とすると、
Figure 2011106935
となり、磁気抵抗素子R2は、式(3)において、n=2とすると、
Figure 2011106935
であるから、ブリッジの出力信号ΔVcは次式(16)のように、
Figure 2011106935
となる。
ここで、磁界方向依存の部分を展開して整理すると、次式(17)
Figure 2011106935
を得ることができる。
ここで、式(17)において、A=cosα1+cosα2、B=sinα1+sinα2、r=SQRT(A+B)とおくと、
Figure 2011106935
となる。なお,本明細書では関数SQRT(y) は「yの平方根」を表す。
次に、式(18)の振幅rを見積もる。α1=α2の場合(すなわち、ブリッジ内ピン角ズレがない場合)、r=2である。また、ブリッジ内ピン角ズレが4°の場合、例えばα1=+2°、α2=−2°では、r=2×0.9994であり0.06%の振幅差しかない。これは実験的に検知できないレベルであり、ピン角ズレ4°の場合、実質的に振幅変化はない。α1=+5°、α2=−5°(ピン角ズレが10°)の場合でも、r=2×0.996であり実質的に振幅変化がないレベルである。したがって、ブリッジ内ピン角ズレが10°以下の場合、振幅変化は実質的にはなく、位相変化のみ考えればよいことになる。
位相変化を示す式(18)は、以下のように変形できる。
Figure 2011106935
したがって、
Figure 2011106935
となる。
すなわち、ブリッジ内ピン角ズレがあるCOSブリッジの出力信号は、2つのピン角誤差の平均値を角度原点とする座標系で考えればよいことがわかる。SINブリッジ出力についても同様である。
以下の説明では、この座標系の角度原点を「ブリッジの固定磁化層基準角度」と称する。
以上の結果からわかるように、COSブリッジ60Aの角度原点は式(20)で表されるαcになり、SINブリッジ60Bの角度原点はαs=(α3+α4)/2に移動する。
図7は、この様子を模式的に示している。図7において、点線で示したものは、実効的な座標軸である。この実効的な座標軸のx軸70がブリッジの固定磁化層基準角度である。
図7を参照して、COSブリッジの信号VxとSINブリッジの信号Vyの比は、次式になる。
Figure 2011106935
なお、α=αs−αcである。
このようにして、4種のピン角誤差αi(i=1〜4)を含む場合でも、式(20),式(21)で表されるピン角αで補正できる。
ここで、θ=θ’+αcとしているのでαcが未知であるが、αcは回転センサを適用する機器のシステム原点と回転角計測装置の原点との対応付けをとることで容易に求まる。
以上の結果から、図6に示した、ピン角ズレα1,α2を有するCOSブリッジと、ピン角ズレα3,α4を有するSINブリッジからの信号は、以下の式(22),式(23)のように定式化できる。
Figure 2011106935
Figure 2011106935
ここで、Cは比例定数であり、α=αs−αcであり、αc=(α1+α2)/2であり、αs=(α3+α4)/2である。
ここで、Vx=−ΔVc、Vy=ΔVsとおき、VxとVyの比Ryxを求めると、
Figure 2011106935
となる。ここで、分子のsin関数を展開すると、
Figure 2011106935
と得られる。
ここで、tanθが奇関数であるからθ=0〜360°の範囲で式(25)の平均をとると第1項はゼロになり、sinαが求まる。これを、式であらわすと、
Figure 2011106935
となる。
ここで、average( )は、第1引数を第2引数の区間で平均値計算する処理を表す。平均をとる区間[0,2π)は、「0から開始して2πの直前まで」を示す。2πを含めないのは、θ=0と2重に算入するのを避けるためである。
式(26)により、求めようとしているピン角ズレ量αが得られる。ここでは、β=sinαとしている。後述するように、GMR回転センサの動作時に、ピン角ズレ量αから補正処理をする際には、β=sinαを用いる。したがって、実際の補正処理ではβを求めればよく、逆正接計算は不要である。
式(25)の関係からわかるように、式(26)は比Ryxの重心を求めている。したがって、式(25)においては、θに関して等間隔にサンプリングして式(26)の平均処理をすればよい。例えば、磁界発生器を一定角速度で回転させた状態で、Ryxを一定時間間隔でサンプリングすればよい。
なお、実際の補正係数算出にあたっては、式(25)、式(26)でVx=0付近でRyxが無限大に発散するので、絶対値の大小関係で場合分けをする。すなわち、
Figure 2011106935
とする。式(27)では、区間[0,2π)のうち半数のサンプリング点を取り込むので、式(23)のtanθの奇関数性から、式(27)の値はβ=sinαに等しいものである。
ここで、再び、図5を用いて、信号処理部303Dの構成及び動作について説明する。
COSブリッジの出力信号Vx,すなわち差動増幅器351Aの出力信号Vxを信号処理部303Dへの入力信号Vxとし,SINブリッジの出力信号Vy,すなわち差動増幅器351Bの出力信号Vyを信号処理部303Dへの入力信号Vyとする。
信号処理部303Dは、比算出部381と、平均値処理部386と、期間判定器387と、パラメータ記憶部390とを備えている。
比算出部381は、信号処理部303Dへの入力信号Vx,Vyを入力して、比Vy/Vxを算出する。具体的には、信号Vx,VyをマイコンのAD変換器に入力して、マイコン内に比算出部381を設ければよいものである。なお、比Vy/Vxの演算にあたっては、式(27)に示したように、絶対値比較による分岐処理を行うことで、計算誤差を小さくできる。
次に、平均値処理部386は、比r=Vy/Vxを入力して、平均値処理をする。平均値処理は、磁界方向が1回転する期間について行う。1回転する区間を検出するために、期間判定器387を用いて期間判定を行う。具体的には、信号Vxの電圧が開始時電圧と等しい値を2回通過するまでの1区間として期間判定を行う。信号Vxはcosθに比例するので、2回同じ値を通過することは1周期であることに対応する。式(27)に示したように、この平均値がピン角ズレαの正弦β(=sinα)に等しい。
なお,平均値処理をする期間は,磁界方向が複数回回転する期間であってもよい。平均値処理期間が360°の整数倍,すなわち[0,2Nrπ)であれば,(25)式の第1項はゼロになるので,得られた平均値はピン角ズレαの正弦β(=sinα)に等しい。ここで,Nrは1以上の整数であり,磁界方向が回転する周回数である。また,複数回回転させると平均値処理をするデータのサンプリング点数が増えるのでβ値の算出精度が向上するという効果がある。
このようしてに得られたβ値(ピン角ズレαの正弦値)をパラメータ記憶部390に記憶する。
以上のようにして、ピン角ズレαを求めることで、本実施形態のパラメータ取得工程は、次の特徴を有する。
(a)ピン角ズレ量αを求める工程(図5)で、ブリッジ内ピン角ズレがあるCOSブリッジの出力信号は、2つのピン角誤差の平均値を角度原点とする座標系で考えればよいため、角度原点が不要である。したがって、エンコーダは不要であり、一定速度で磁石を回転させて一定時間間隔でサンプリングすれば良い。このため、応用システムに組み込んだ状態でのオンサイト補正も可能である。
(b)三角関数演算は不要なため、演算量が少ない。
(c)パラメータ・フィッティングを行わないので、α値が一義的に求まる。
以上説明のように、本実施形態によれば、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差を補正する際に、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
また、ピン角ズレの算出を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
以下、図8〜図10を用いて、本発明の第2の実施形態による回転角計測装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図8を用いて、本実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第1の構成について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第1の構成を示すブロック図である。
図8は、回転センサとして動作中の補正処理を実行する回路構成であり、図5の構成にて求めたズレ量αの正弦β(=sinα)を用いて回転角計測値を補正する。
本実施形態の回転角計測装置201Mは、磁界センサ301と検出回路部302Mとで構成される。検出回路部302Mは、信号処理部303Mを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。本明細書では,この差信号Vx,Vyをそれぞれのブリッジの出力信号と呼ぶ。ブリッジの出力信号Vx,Vyは信号処理部303Mへの入力信号Vx,Vyとなる。
比算出部381は、信号処理部303Mへの入力信号Vx,Vyを入力して、比Vy/Vxを求める。具体的には、信号Vx,VyをマイコンのAD変換器に入力して、マイコン内に比算出部381を設ければよい。次に、パラメータ補正部382は、パラメータ記憶部390に保管された補正パラメータβを読み出し、補正処理を行う。具体的には、パラメータβを比Vy/Vxから減算する。次に、atan処理部383は、逆正接処理を行い、磁界角度θを算出する。
atan処理部383は、
Figure 2011106935
の演算により、ピン角ズレを補正した角度値θを算出する。ここで、式(28)の処理は、次式のようにθ=0〜360°に亘る4象限の値を適切に出力する処理を示すものとする。すなわち、次式(29)と等価とする。
Figure 2011106935
ここで、θ=atan2(y,x)は、引数x,yが正か負かに応じて、θ=0〜360°(または−180〜180°)の値を適切に出力する関数である。例えば、x,yともに正の場合は、atan2(y,x)=ArcTan(y/x)であり、x,yともに負の場合は、atan2(y,x)=ArcTan(y/x)+180°である。
atan処理部383は、式(29)の処理を行う。
式(28)は、式(25)でcosα=1と近似したことと等価である。本発明者の検討によれば、これは|α|≦4°において有効である。この点は、後にデータを用いて説明する。
すなわち、図8の回路による補正方法は、磁界センサ中の各ブリッジの固定磁化層基準角度の差αが4度以下の場合に適用すると、十分な精度が得られるので特に好ましいものである。
以上のようにして、本実施形態の補正方法におけるセンサ動作時の補正処理は、次の特徴を有する。
(a)補正処理で追加した演算はβ値の減算のみであり、リアルタイム性が要求されるセンサ動作時の補正演算処理の負担が極めて少ない。
(b)補正値βは磁界角度θに依存しないので、補正処理では角度原点を必要としない。したがって、角度原点にズレがある場合でも角度出力の相対値は正しい値を出力する。
本実施形態の特徴は、図8および式(28)から明らかなように、COSブリッジ、SINブリッジからの出力信号Vx,Vyの比から一定値(β)を減算することでピン角ズレによる誤差分が補正された、より正しい角度値θを得ることにある。β値が負の場合は一定値を加算することになる。
なお、以上及び以下の説明において、ブリッジからの出力信号Vxとは、ブリッジのV1,V2端子の差信号Vx=V1−V2、または、差信号に適当な増幅率を乗じた信号を指す。これは、図8において、差動増幅器351Aの出力信号に対応する。SINブリッジの出力信号Vyは、差信号Vy=V2−V1、または差信号に適当な増幅率を乗じた信号である。
本実施形態における回転角計測装置が出力する角度をθとすると、式(28)が示すように、tanθは(Vy/Vx−β)である。したがって、COSブリッジ,SINブリッジの出力信号の比Vy/Vxと回転角計測装置の出力値θの正接tanθとの差は、回転角度によらない非ゼロの(すなわちゼロでない)一定値(β)になる。すなわち、図8に示した信号処理部303Mの入出力の関係に着目すると、その入力信号はVx及びVyである。一方、その出力はθである。そして、入力信号の比Vy/Vxと,出力角度θの正弦tanθとの差はβである。ここで,βは式(28)からわかるように,回転角度によらない非ゼロの一定値である。信号処理部303Mへの入力信号の比Vy/Vxと回転角計測装置の出力値θの正接tanθとの差は、回転角度によらない非ゼロの(すなわちゼロでない)一定値(β)ということは、これは図8および式(28)で表された補正方法と等価である。
なお、β=0は補正処理がない場合に相当するので、本実施形態の処理を行った場合は、β値は非ゼロの一定値になる。
式(28)、式(29)の関係は正しいが、Vxがゼロに近づくと比Vy/Vxは発散する。そのため、有限桁数で計算した場合には、計算誤差が大きくなる。また、回路の動作検証時には測定誤差の影響が拡大する。そこで、|Vx|<|Vy|の場合には、比r2=Vx/Vyを用いて、式(24)を以下の式(30)のように変換する。
Figure 2011106935
すなわち、図8の回路の動作検証には、|Vx|≧|Vy|の場合には式(28)を用い、|Vx|<|Vy|の場合には式(30)を用いればよい。このようにすると、計算誤差や測定誤差の影響を最小限にして動作検証ができる。なお、式(29)のatan2関数を用いた関係式は、atan2関数の内部アルゴリズムに|Vx|,|Vy|の大小関係による処理分岐を含むので、いずれの場合も成立する。
なお、図8では、差動増幅器351A,351Bを検出回路部302Mに含めた構成を示したが、磁界センサ301に差動増幅器351A,351Bを含めて、出力信号Vx,Vyを結線で伝送して検出回路部302Mに入力する構成にしても良い。このような構成だと、差動増幅器の出力を低インピーダンスにすることにより、外部ノイズの影響を受けにくい構成になる。
次に、図9及び図10を用いて、本実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度について説明する。
図9及び図10は、本発明の第2の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。
シミュレーションにより、ピン角ズレαを含むVx,Vy信号を生成し、その信号に図8に示した処理をしてピン角ズレの推定値αeを求める。このようにして推定誤差(αe−α)を求めた。
図9は、シミュレーション結果を示している。図9は、ピン角誤差αを0〜2°の範囲で変えて、そのときの推定誤差(αe−α)をプロットしたものである。磁界方向を1回転させる間に信号をサンプリングする点数(サンプリング点数)Nをパラメータとして推定誤差量を求めた。サンプリング点N=50の場合、α<2°であればα値は正しく推定されている。しかし、サンプリング点数Nを100点に増やすと、α≧1°で約1°の推定誤差が生じている。
次に、図10は、初期角度θstartを変えた際の推定誤差を調べた結果を示している。初期角度θstartとは、サンプリング範囲を[θstart,2π+θstart)に設定することを示す。ここで、サンプリング点N=100とした。その結果は、図10に示すように、初期角度θstartを5°にすると、ズレ量α<1°の場合でも推定誤差が0.5°以上になり、推定誤差が増大している。実際の補正係数算出処理では磁界方向の原点は不明であるから、どのようなθstart値に対しても正確にα値推定ができる必要がある。初期角度θstartを4°以下の場合には、推定誤差が小さく、実用の範囲内である。この点については、図22を用いて後述する。
以上説明のように、本実施形態によれば、ピン角設定に誤差を含む磁界センサを用いても、正確な回転角度を計測することが可能となる。
また、磁界センサ製造時のピン角設定の許容誤差が増えるので、製造しやすくなる。
さらに、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
また、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差の補正を、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
次に、図11を用いて、本発明の第3の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第1の構成について説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第1の構成を示すブロック図である。なお、図11において、図5及び図8と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の回転角計測装置201DMは、磁界センサ301と検出回路部302DMとで構成される。検出回路部302DMは、信号処理部303DMを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。
信号処理部303DMは、ピン角ズレαを検出するための信号処理部303Dと、検出したピン角ズレαを補正するための信号処理部303Mとを備えている。信号処理部303Dは、図5にて説明した構成を有し、信号処理部303Mは、図8にて説明した構成を有する。すなわち、信号処理部303Dは、比算出部381と、平均値処理部386と、期間判定器387と、パラメータ記憶部390とを備えている。信号処理部303Dの動作は、図5にて説明したとおりである。信号処理部303Mは、比算出部381と、パラメータ補正部382と、atan処理部383と、パラメータ記憶部390とを備えている。信号処理部303Mの動作は、図8にて説明したとおりである。
以上説明のように、本実施形態によれば、ピン角設定に誤差を含む磁界センサを用いても、正確な回転角度を計測することが可能となる。
また、磁界センサ製造時のピン角設定の許容誤差が増えるので、製造しやすくなる。
さらに、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
また、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差の補正を、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
次に、図12〜図18を用いて、本発明の第3の実施形態による回転角計測装置の構成及び動作について説明する。
図9及び図10にて説明したように、第1の実施形態の方法(図5)では、十分な精度でピン角ズレを推定できる範囲がある程度限られている。
そこで、本発明者は、この推定精度を劣化させる原因を鋭意検討した結果、以下の点が明らかになった。
ここで、図12を用いて、第1の実施形態による回転角計測装置における信号の比r=Vy/Vxの波形について説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態による回転角計測装置における信号の比r=Vy/Vxの波形の説明図である。
図12に示すように、信号の比r=Vy/Vxの波形は、式(27)にしたがって、|Vx|と|Vy|の絶対値の大小関係で場合分けをしているので、プロットされない区間がある。式(27)は図12に示した形の比r=r(θ)の平均を算出するわけである。図12からわかるように、比r(θ)は対称性が良いために、平均値処理では中間的な値は正負間で相殺する。そのため、平均値は、図12に○で示したr(θ)の極大・極小値の数点のデータで実質的に支配される。r(θ)の極大・極小値はθのわずかな変化で大きく変わるため、信号Vx,Vyのサンプリング点数など、処理条件により大きな影響をうける。この結果、式(26)で算出したβ値が影響を受け、ピン角ズレ推定値αeに誤差が生じる。
次に、図13を用いて、本実施形態による、ピン角ズレαを調べるための回転角計測装置の第2の構成について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態による、ピン角ズレαを調べるための回転角計測装置の第2の構成を示すブロック図である。
本実施形態は、ピン角ズレαの推定精度を高めたものである。
回転角計測装置201DAは、磁界センサ301と、検出回路部302DAとで構成される。検出回路部302DAは、信号処理部303DAを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジとSINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧をで検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。本明細書では,この差信号Vx,Vyをそれぞれのブリッジの出力信号と呼ぶ。ブリッジの出力信号Vx,Vyは信号処理部への入力信号Vx,Vyとなる。
比算出部381は、信号処理部への入力信号Vx,Vyを入力して、比Vy/Vxを求める。具体的には、信号Vx,VyをマイコンのAD変換器に入力して、マイコン内に比算出部381を設ければよいものである。なお、比Vy/Vxの演算にあたっては、絶対値|Vx|と|Vy|の大小比較による分岐処理を行うことで、計算誤差を小さくできる。
次に、窓関数処理部385は、比r=Vy/Vxを入力して、図14にて後述する適切な窓関数を適用する。平均値処理部386は、窓関数処理した信号を入力して平均値処理をする。平均値処理は磁界方向が1回転する期間について行う。1回転する区間を検出するために期間判定器387を用いて期間判定を行う。具体的には、期間判定器387は、Vx信号電圧が開始時電圧と等しい値を2回通過するまでの区間として期間判定を行う。Vx信号はcosθに比例するので、2回同じ値を通過することは1周期であることに対応する。式(27)に示した通り、この平均値がピン角ズレαの正弦β(=sinα)に等しいものである。
なお,平均値処理をする期間は,磁界方向が複数回回転する期間であってもよい。平均値処理期間が360°の整数倍,すなわち[0,2Nrπ)であれば,(25)式の第1項はゼロになるので,得られた平均値はピン角ズレαの正弦β(=sinα)に等しい。ここで,Nrは1以上の整数であり,磁界方向が回転する周回数である。また,複数回回転させると平均値処理をするデータのサンプリング点数が増えるのでβ値の算出精度が向上するという効果がある。
このようしてに得られたβ値は、パラメータ記憶部390に保管される。
次に、図14及び図15を用いて、本実施形態による回転角計測装置の窓関数処理部385で使用する窓関数W(r)について説明する。
図14及び図15は、本発明の第3の実施形態による回転角計測装置の窓関数処理部で使用する窓関数の説明図である。
窓関数処理部385で使用する窓関数W(r)の具体例として、次式(31)を用いている。
Figure 2011106935
図14は、式(31)で表された窓関数W(r)の関数形を示している。図13の処理回路303DAの窓関数処理部385に適用する窓関数の条件は以下の2つである。
(a)r=0に関して対称な偶関数であること。
(b) 入力範囲の両端ほど値が小さくなる関数形であること。
図14に示したように、式(31)の窓関数W(r)は、条件(a),(b)を満たしている。
図15は、比rに式(26)の窓関数W(r)を乗じた「r×W(r)」を磁界角度θに対してプロットしたものである。窓関数を乗ずることにより、比rにあった不連続点がなくなり、θに関して滑らかな波形になっていることがわかる。このため、例えば、サンプリング点数やサンプリング開始角度などの条件が変化しても、r×W(r)の平均値はほとんど変化しなくなる。すなわち、窓関数を適用することで、安定な(ロバストな)推定方法が得られるので、一層好ましいものとなる。
窓関数を適用してロバスト化した処理回路である図15の処理を数式で示すと、次式(32)となる。
Figure 2011106935
ここで、係数Aは窓関数を導入したことで生じる変換係数であり、式(31)の窓関数を用いた場合は、A=5.5である。窓関数の形を変えると係数Aも変わる。
次に、図16〜図18を用いて、本実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度について説明する。
図16〜図18は、本発明の第3の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。
図15または式(32)に示した構成でピン角ズレαを推定した時の推定誤差について説明する。推定誤差(αe−α)を求める方法は前述の通りである。
図16は、ピン角ズレαの推定誤差(αe−α)を、サンプリング点数Nを変えて調べた結果である。サンプリング点数Nが50点の場合、ピン角ズレαが大きくなるにつれて推定誤差も増えている。一方、N=100点だと推定誤差は±0.1°以内であり、十分な精度が得られる。N=200点にすると更に精度が向上し誤差量は0.03°以下になる。また、推定精度±0.2°を得るには、N≧100とすればよいことがわかる。
図17は、初期角度θstart依存性を調べた結果である。サンプリング範囲を[θstart、360°+θstart) に変えてピン角ズレを推定したものである。θstart=0〜2,22°と変えても推定誤差は±0.1°の範囲で収まっており、窓関数W(r)の導入により安定に推定できるようになったことがわかる。
図18は、ノイズの影響を調べた結果である。Vx,Vy信号にノイズを重畳した影響を調べている。信号電圧Vx,Vyに、cosまたはsin成分に対して振幅比b(%)のノイズ成分が重畳させ、そのノイズを含む信号(Vx,Vy)からピン角ズレαの推定値αeを求める。図18は、その推定誤差を示している。ノイズが振幅比b=0.5%の場合は推定誤差は±0.1°以下であり、b=1%の場合は±0.25°以下である。b=2%とノイズ振幅が大きくなると推定誤差は±1%に増大する。図18から、ノイズが0.5%以下であれば十分な精度でピン角ズレを推定できることがわかる。
以上の結果から、図13の構成、すなわち、比変数r=Vy/Vxに窓関数W(r)を乗じたものを平均値算出することで、ピン角誤差αの正弦β=sinαを求める構成は、各種の信号取得条件が変化しても安定に(ロバストに)正しい推定値αeを与えることができる。
式(32)で示したパラメータ推定処理方法では、磁界角度θは1回転で良いが、複数回転,すなわちNr回転(Nr>1)としても良い。Nr回転とすると、サンプリング点数が実質的に増えるので、パラメータ推定の精度が向上するので、さらに好ましい。
以上説明のように、本実施形態によれば、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差を補正する際に、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
また、ピン角ズレの算出を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
次に、図19を用いて、本発明の第4の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第2の構成について説明する。
図19は、本発明の第4の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第2の構成を示すブロック図である。なお、図19において、図8及び図13と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の回転角計測装置201DMAは、磁界センサ301と検出回路部302DMAとで構成される。検出回路部302DMAは、信号処理部303DMAを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。
信号処理部303DMAは、ピン角ズレαを検出するための信号処理部303DAと、検出したピン角ズレαを補正するための信号処理部303Mとを備えている。信号処理部303DAは、図13にて説明した構成を有し、信号処理部303Mは、図8にて説明した構成を有する。すなわち、信号処理部303DAは、比算出部381と、窓関数処理部385と、平均値処理部386と、期間判定器387と、パラメータ記憶部390とを備えている。信号処理部303Dの動作は、図13にて説明したとおりである。信号処理部303Mは、比算出部381と、パラメータ補正部382と、atan処理部383と、パラメータ記憶部390とを備えている。信号処理部303Mの動作は、図8にて説明したとおりである。
以上説明のように、本実施形態によれば、ピン角設定に誤差を含む磁界センサを用いても、正確な回転角度を計測することが可能となる。
また、磁界センサ製造時のピン角設定の許容誤差が増えるので、製造しやすくなる。
さらに、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
また、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差の補正を、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
次に、図20〜図22を用いて、本発明の第5の実施形態による回転角計測装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図20を用いて、本実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第2の構成について説明する。
図20は、本発明の第5の実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第2の構成を示すブロック図である。
図20は、回転センサとして動作中の補正処理を実行する回路構成であり、図13の構成にて求めたズレ量αの正弦β=sinαを用いて回転角計測値を補正する。この構成では、ピン角誤差が大きい場合にも精度良く補正することができる。
式(28)による補正がピン角誤差|α|≦4°の場合に有効である。本実施形態では、|α|>4°でも有効に補正することができる。
回転角計測装置201MAは、磁界センサ301と検出回路部302MAとで構成される。検出回路部302MAは、信号処理部303MAを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。本明細書では,この差信号Vx,Vyをそれぞれのブリッジの出力信号と呼ぶ。ブリッジの出力信号Vx,Vyは信号処理部への入力信号Vx,Vyとなる。
比算出部381は、信号処理部への入力信号Vx,Vyを入力して、比Vy/Vxを求める。具体的には、信号Vx,VyをマイコンのAD変換器に入力して、マイコン内に比算出部381を設ければよい。次に、パラメータ補正部382は、比rに対して、βを減算した後、係数Bxで除算する。なお、パラメータβ、Bxはパラメータ記憶部390から読み出す。
次に、atan処理部383は、逆正接処理を行い、磁界角度θを算出する。
ここで、具体的に説明する。式(25)から、次式(33)を得る。
Figure 2011106935
なお、Bx=SQRT(1−β)である。
ここで、式(33)は、Vx,Vyの正負を考慮して0〜360°の4象限の値を適切に出力するようにする。すなわち、次式(34)により、
Figure 2011106935
と表せる。
パラメータ補正部382は、式(33)の括弧内を算出する。atan処理部383は、式(34)で表したように0〜360°の出力する処理である。
図20から明らかなように、本実施形態における回転角計測装置201Mが出力する角度をθとすると、tanθと磁界センサ301の出力信号Vx,Vyとの間には以下の関係がある。
Figure 2011106935
ここで、x=βは、回転角θによらない非ゼロの(すなわちゼロでない)一定値である。
なお、β=0は補正処理がない場合に相当するので、本実施形態の処理を行った場合は、β値は非ゼロの一定値になる。
式(33)、式(34)の関係は正しいが、Vxがゼロに近づくと比Vy/Vxは発散する。そのため、有限桁数で計算した場合には、計算誤差が大きくなる。また、回路の動作検証時には測定誤差の影響が拡大する。そこで、|Vx|<|Vy|の場合には比r2=Vx/Vyを用いて式(33)を下記のように変換する。
Figure 2011106935
ここで、r2=(Vx/Vy)である。
すなわち、図20の回路の動作検証には、|Vx|≧|Vy|の場合には式(33)を用い、|Vx|<|Vy|の場合には式(36)を用いればよい。このようにすると、計算誤差や測定誤差の影響を最小限にして動作検証ができる。なお、式(34)のatan2関数を用いた関係式は、atan2関数の内部アルゴリズムに|Vx|,|Vy|の大小関係による処理分岐を含むので、いずれの場合も成立する。
次に、図21及び図22を用いて、本実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度について説明する。
図21及び図22は、本発明の第5の実施形態による回転角計測装置におけるピン角ズレ量αの推定精度の説明図である。
図21(a)は、ピン角誤差αが4°の場合に、図8の補正回路で補正した場合(図中A)と図20の補正回路で補正した場合(図中B)とについて、補正後の回転角θの誤差をプロットしたものである。図21(b)は、ピン角誤差αが20°の場合に、図8の補正回路で補正した場合(図中A)と図20の補正回路で補正した場合(図中B)とについて、補正後の回転角θの誤差をプロットしたものである。
図21(a)はα=4°の場合であり、図8の補正回路の場合、すなわち、β値の補正のみの場合で誤差が最大で0.07°となっており、十分な精度が得られている。一方、図21(b)はα=20°の場合であり、この場合は図8の補正回路では誤差が最大1.7°であり、誤差が大きくなっている。しかし、図20の補正回路を用いると、図21(b)の曲線Bに示されているように誤差はゼロであり、十分な精度が得られる。
図22は、このようにして求めた、種々のピン角ズレ量と、各補正方式による出力角度θの最大誤差との関係を示している。図中、曲線Aは図8の補正回路を用いた結果であり、曲線Bは図20の補正回路を用いた場合である。この図からわかるように、図8の補正回路は、α≦4°の場合に誤差が0.1°以下に収まっており、十分な精度が得られる。一方、α>4°の場合は、図20の補正方式(曲線B)を用いることで十分な精度を確保できることがわかる。
以上説明のように、本実施形態によれば、ピン角設定に誤差を含む磁界センサを用いても、ピン角の推定誤差を小さくして、正確な回転角度を計測することが可能となる。
また、磁界センサ製造時のピン角設定の許容誤差が増えるので、製造しやすくなる。
さらに、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
また、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差の補正を、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
次に、図23を用いて、本発明の第6の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第3の構成について説明する。
図23は、本発明の第6の実施形態による、ピン角ズレαを調べ、そのピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第3の構成を示すブロック図である。なお、図23において、図13及び図20と同一符号は、同一部分を示している。
本実施形態の回転角計測装置201DMBは、磁界センサ301と検出回路部302DMBとで構成される。検出回路部302DMBは、信号処理部303DMBを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。本明細書では,この差信号Vx,Vyをそれぞれのブリッジの出力信号と呼ぶ。ブリッジの出力信号Vx,Vyは信号処理部への入力信号Vx,Vyとなる。
信号処理部303DMBは、ピン角ズレαを検出するための信号処理部303DAと、検出したピン角ズレαを補正するための信号処理部303MAとを備えている。信号処理部303DAは、図13にて説明した構成を有し、信号処理部303MAは、図20にて説明した構成を有する。すなわち、信号処理部303DAは、比算出部381と、窓関数処理部385と、平均値処理部386と、期間判定器387と、パラメータ記憶部390とを備えている。信号処理部303Dの動作は、図13にて説明したとおりである。信号処理部303MAは、比算出部381と、パラメータ補正部382と、atan処理部383と、パラメータ記憶部390とを備えている。信号処理部303MAの動作は、図20にて説明したとおりである。
以上説明のように、本実施形態によれば、ピン角設定に誤差を含む磁界センサを用いても、正確な回転角度を計測することが可能となる。
また、磁界センサ製造時のピン角設定の許容誤差が増えるので、製造しやすくなる。
さらに、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
また、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差の補正を、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
次に、図24を用いて、本発明の第7の実施形態による回転角計測装置の構成について説明する。
図24は、本発明の第7の実施形態による回転角計測装置の構成を示すブロック図である。
GMRセンサを用いた回転角計測装置の計測精度の誤差要因には、ピン角ズレによる誤差の要因の他に、信号オフセットも誤差を発生する場合がある。本実施形態は、この誤差要因をも除去して高精度な計測を可能にするものである。
信号オフセットは、GMR素子の角度非依存項Rn0のバラツキにより発生するものである。GMRセンサの出力信号Vx,Vyに含まれ得る信号オフセットについて説明する。
GMR素子の抵抗を磁界非依存項Rn0と磁界依存項ΔRと分離して、
Figure 2011106935
と表すと、GMRブリッジの出力信号ΔVは次式(38)で表される。
Figure 2011106935
ここで、Cは、
Figure 2011106935
である。
式(38)において、磁界非依存の抵抗成分が互いに等しければ、R10×R30=R20×R40が成立するので信号ΔVにオフセットは生じないが、抵抗値のバラツキによりR10×R30≠R20R40となると、磁界方向に依存性しないオフセット成分が発生する。
オフセットがあると式(22),式(23)は成立しないので、式(27)あるいは式(32)の補正アルゴリズムは成立しない。したがって、これらの補正アルゴリズムの適用に先立って、信号オフセットを除去する必要がある。
式(37)からわかるように、オフセットがある場合は、式(22),式(23)は、次式(40),式(41)で表される。
Figure 2011106935
Figure 2011106935
ここで、cos関数とsin関数は1周期積分すると正負が打ち消しあうので、磁界方向を0〜360°に回転させて平均値をとると、オフセット電圧VCofs,VSofsが求まる。すなわち、
Figure 2011106935
Figure 2011106935
により、算出できる。
したがって、以下の補正手順により、抵抗バラツキ起因のオフセット電圧とピン角ズレの両方を補正できる。
(a)磁界を一定角速度で2回転まわし、
(b)1回転目でVx、 Vyのオフセット電圧bx、 byを式(42),式(43で求める。
(c)2回転目で、Vx,Vyからそれぞれbx,byを減算した値Vx’=Vx−bx,Vy’=Vy−byを算出して、Vx’,Vy’に対して、式(27)あるいは式(32)のアルゴリズムでピン角ズレ量βを求める。
(d)Bx=SQRT(1−β)により、β値からBxを計算する。
なお,上記では,オフセット電圧bx,byの検出工程に磁界方向を1回転させ,ピン角ズレ量(補正パラメータ)βの検出工程に磁界方向を1回転させた例を述べた。ここで,磁界方向を(n+m)回転以上回転させ,オフセット電圧bx,byの検出工程に磁界方向をn回転させ(n>1),その後で,ピン角ズレ量(補正パラメータ)βの検出工程に磁界方向をm回転させ(m>1)てもよい。オフセット電圧の検出工程と補正パラメータβの検出工程の間に磁界方向が回転していても構わないので,磁界方向の回転方向は合計(n+m)回となる。オフセット電圧の検出工程と補正パラメータβの検出工程のそれぞれで,磁界方向を複数回転回すと,サンプリング点数が増えるので,各パラメータの取得精度が向上する利点がある。
図24に示す回路は、磁界センサが信号オフセットとピン角誤差とを有する場合に、ピン角ズレαを調べるために用いられる回路構成である。
本実施形態の回転角計測装置201DBは、磁界センサ301と、検出回路部302DBとで構成される。検出回路部302DBは、信号処理部303DBを有する。磁界センサ301は、図6にて説明したように、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。ここで、Vx=−ΔVc=−(V2−V1)になるようにする。また、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。ここで、Vy=ΔVsである。本明細書では,この差信号Vx,Vyをそれぞれのブリッジの出力信号と呼ぶ。ブリッジの出力信号Vx,Vyは信号処理部への入力信号Vx,Vyとなる。
比算出部381は、信号処理部への入力信号Vx,Vyを入力して、比Vy/Vxを算出する。具体的には、信号Vx,VyをマイコンのAD変換器に入力して、マイコン内に比算出部381を設ければよいものである。なお、比Vy/Vxの演算にあたっては、式(27)に示したように、絶対値比較による分岐処理を行うことで、計算誤差を小さくできる。
次に、窓関数処理部385は、比r=Vy/Vxを入力して、図14にて説明した適切な窓関数を適用する。
平均値処理部386は、窓関数処理した信号を入力して平均値処理をする。磁界回転の1回転目で、信号出力Vx,Vyの平均処理を行い、式(42),式(43)にしたがって、それぞれのオフセットbx,byを求めてパラメータ記憶部390に保管する。磁界回転の2回転目では、出力信号Vx,Vyをオフセット減算処理部353A,353Bにおいて、記憶部390に保管されたオフセットbx,byを用いて、それぞれを減算する。
オフセットが補正された信号Vx’=Vx−bx,Vy’=Vy−byを信号処理部303DBの入力信号とする。信号処理部303DBへの入力信号Vx’,Vy’に対して、比算出部381,窓関数処理部385,平均値処理部386で前述のように処理することで、ピン角ズレαの正弦β(=sinα)が得られる。
このようしてに得られたβ値は、パラメータ記憶部390に保管される。
なお,上記では,オフセット電圧bx,byの検出工程に磁界方向を1回転させ,ピン角ズレ量(補正パラメータ)βの検出工程に磁界方向を1回転させた例を述べた。ここで,磁界方向を(n+m)回転以上回転させ,オフセット電圧bx,byの検出工程に磁界方向をn回転させ(n>1),その後で,ピン角ズレ量(補正パラメータ)βの検出工程に磁界方向をm回転させ(m>1)てもよい。オフセット電圧の検出工程と補正パラメータβの検出工程の間に磁界方向が回転していても構わないので,磁界方向の回転方向は合計(n+m)回となる。オフセット電圧の検出工程と補正パラメータβの検出工程のそれぞれで,磁界方向を複数回転回すと,サンプリング点数が増えるので,各パラメータの取得精度が向上する利点がある。
以上のように、本実施形態では、GMRセンサの素子バラツキ起因の誤差を、3つのパラメータβ,bx,byの減算処理、および係数1/Bxの乗算処理のみで補正できる。これらの処理は計算負荷が少ないので、安価な汎用マイコンで容易に実行できる。
以上説明のように、本実施形態によれば、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差を補正する際に、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
また、ピン角ズレの算出を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
次に、図25を用いて、本発明の第8の実施形態による回転角計測装置の構成及び動作について説明する。
図25は、本発明の第8の実施形態による、ピン角ズレαを補正するための回転角計測装置の第3の構成を示すブロック図である。
図25は、回転センサとして動作中の補正処理を実行する回路構成であり、図24の構成にて求めたオフセットbx,by及びズレ量αの正弦β(=sinα)を用いて回転角計測値を補正する。
本実施形態の回転角計測装置201MBは、磁界センサ301と検出回路部302MBとで構成される。検出回路部302MBは、オフセット減算処理部353A,353Bと、信号処理部303Mを有する。磁界センサ301は、GMR素子で構成された2つのブリッジ(COSブリッジと、SINブリッジ)を有している。差動増幅器351Aは、COSブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vxを出力する。同様に、差動増幅器351Bは、SINブリッジのV1,V2端子の差電圧を検出して、差信号Vyを出力する。
オフセット減算処理部353A,353Bは、それぞれ、出力信号Vx,Vyから、記憶部390に保管されたオフセットbx,byを減算する。オフセットを補正したVx’=Vx−bx,Vy’=Vy−byを信号処理部303Mの入力信号とする。
入力信号Vx’,Vy’は信号処理部303Mに入力され,比算出部381において比Vy’/Vx’を求める。具体的には、信号Vx’,Vy’をマイコンのAD変換器に入力して、マイコン内に比算出部381を設ければよい。次に、パラメータ補正部382は、パラメータ記憶部390に保管された補正パラメータβを読み出し、補正処理を行う。具体的には、パラメータβを比Vy’/Vx’から減算する。次に、atan処理部383は、逆正接処理を行い、磁界角度θを算出する。atan処理部383は、式(29)の処理を行う。
以上説明のように、本実施形態によれば、ピン角設定に誤差を含む磁界センサを用いても、オフセット誤差も補正して、ピン角の推定誤差を小さくして、正確な回転角度を計測することが可能となる。
また、磁界センサ製造時のピン角設定の許容誤差が増えるので、製造しやすくなる。
さらに、ピン角ズレに起因する補正を少ない演算量で補正をすることができるようになる。
また、回転角計測装置のピン角ズレにより発生する誤差の補正を、校正用のエンコーダを用いることなく実現できるようになる。
以上説明した各実施形態では、比Vy/Vxをもとにして信号処理をする方法を説明してきたが、Vx/Vyをもとにして信号処理をしてもよいものである。式(28),式(33)は、実際の処理ではそれぞれ式(29),式(34)で処理をする。式(29),式(34)中のatan2(y,x)の処理においては、ArcTan(y/x)として角度を算出する以外にも、ArcCot(x/y)として処理しても角度が得られる。|x|>|y|の場合はArcTan(y/x)の方が計算精度が良く、|x|<|y|の場合はArcCot(x/y)の方が計算精度が良い。
次に、図26及び図27を用いて、前述の各実施形態による回転角計測装置を用いたモータシステムの構成について説明する。
図26及び図27は、本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いたモータシステムの構成図である。
本例のモータシステムは、モータ部100と、回転角検出部200とで構成される。
モータ部100は、複数の固定磁極と複数の回転磁極との磁気的作用により複数の回転磁極が回転することにより回転トルクを発生するものである。モータ部100は、複数の固定磁極を構成するステータ110と、複数の回転磁極を構成するロータ120から構成される。ステータ110は、ステータコア111と、ステータコア111に装着されたステータコイル112から構成されている。ロータ120は、ステータ110の内周側に空隙を介して対向配置され、回転可能に支持されている。本実施例では、モータ100として、三相交流式の表面磁石型同期モータを用いている。
筐体は、円筒状のフレーム101と、フレーム101の軸方向両端部に設けられた第1ブラケット102および第2ブラケット103から構成されている。第1ブラケット101の中空部には軸受106が設けられ、第2ブラケット103の中空部には軸受107がそれぞれ設けられている。これらの軸受103,107は、回転軸121を回転可能なように支持している。
フレーム101と第1ブラケット102との間には、シール部材(図示せず)が設けられている。シール部材は、環状に設けられたOリングであり、フレーム101と第1ブラケット102によって軸方向及び径方向から挟み込まれて圧縮する。これにより、フレーム101と第1ブラケット102との間を封止でき、フロント側を防水できる。また、フレーム101と第2ブラケット103との間もシール部材(図示せず)により防水されている。
ステータ110は、ステータコア111と、ステータコア111に装着されたステータコイル112から構成され、フレーム101の内周面に設置されている。ステータコア111は、複数の珪素鋼板を軸方向に積層して形成した磁性体(磁路形成体)であり、円環状のバックコアと、バックコアの内周部から径方向内側に突出して、周方向に等間隔に配置された複数のティースから構成されている。
複数のティースのそれぞれには、ステータコイル112を構成する巻線導体が集中的に巻回されている。複数の巻線導体は、ステータコイル112の一方のコイルエンド部(第2ブラケット103側)の軸方向端部に並置された結線部材によって相毎に電気的に接続され、さらには3相巻線として電気的に接続されている。3相巻線の結線方式にはΔ(デルタ)結線方式とY(スター)結線方式がある。本例では、Δ(デルタ)結線方式を採用している。
ロータ120は、回転軸121の外周面上に固定されたロータコアと、ロータコアの外周表面に固定された複数のマグネットと、マグネットの外周側に設けられたマグネットカバー122a、122bとを備えている。マグネットカバー122は、マグネットのロータコアからの飛散を防止するためのものであって、ステンレス鋼(俗称SUS)などの非磁性体から形成された円筒部材又は管状部材である。
次に、回転角検出部200の構成を説明する。
回転角検出部200は、回転角計測装置201DM(以下、「磁界センサ・モジュール201DM」と称する)とセンサ磁石202とで構成されている。回転角検出部200は、ハウジング203と第2ブラケット103とで囲まれた空間に設置されている。センサ磁石202は、回転軸121と連動して回転する軸に設置されており、回転軸121が回転位置を変えると、それに応じて発生する磁界方向が変化する。この磁界方向を磁界センサ・モジュール201DMで検出することにより回転軸121の回転角(回転位置)を計測できる。
磁界センサ・モジュール201DMは、回転軸121の回転中心線226上に設置すると、センサ磁石202が発生する磁界の空間分布に誤差が少なくなるので好ましい配置である。
センサ磁石202は、2極着磁された2極磁石、あるいは4極以上に着磁された多極磁石である。
磁界センサ・モジュール201DMは、図8に示したように、磁界センサ301と検出回路部302Mとで構成される。検出回路部302Mは、信号処理部303Dを有する。
磁界センサ301は、磁界の方向に応じて出力信号が変化するものであり、GMR素子で構成する。
磁界センサ・モジュール201DMは、磁界センサの設置場所の磁界の方向θmを、磁界センサが持つ基準角度θm0を基準として検出する。すなわち、θ=θm−θm0に対応する信号を出力する。本例で用いた磁界センサ301は2個のGMR素子で構成されており、それぞれcos(θm−θm0)、およびsin(θm−θm0+α)に比例した信号を出力する。ここで、αはピン角ズレである。
磁界センサ・モジュール201DMは、ハウジング203に設置されている。ハウジング203は磁束方向に影響を与えないように、アルミニウムや樹脂など磁化率が1.1以下の材料で構成するのが好ましい。本実施例ではアルミニウムで構成した。
なお、磁界センサ・モジュール201DMは、モータ部に対して固定されていればよく、ハウジング203以外の構成要素に固定してももちろん構わない。モータ部に対して固定されていれば、回転軸121の回転角が変化してセンサ磁石202の方向が変化した場合、磁界センサ301での磁界方向変化を検出することで回転軸121の回転角を検出することができるからである。
磁界センサ・モジュール201DMには、センサ配線208が接続されている。センサ配線208により磁界センサ301の出力信号を外部に伝送する。
磁界センサ・モジュール201DMは、図11に示したように、磁界センサ301と検出回路部302DMとで構成される。磁界センサ301には、複数個のGMR型素子がブリッジ構成で入っている。磁界センサ301は、図6に示した構成である。検出回路部302DMは、GMR素子に印加する電圧を供給する駆動回路部と、GMR素子からの信号を検出・増幅する差動増幅器351と、その出力信号を処理する信号処理部303DMで構成される。信号処理部303DMは、図11に示した構成を有している。
ここで、図27を用いて、補正パラメータを取得する時の構成について述べる。磁界センサ・モジュール201DMからの信号は、電子コントロール・ユニット411(ECUと略記する)に入力される。ECU411は、駆動部412に制御コマンドを送信する。駆動部412は、モータ部100のステータ110に適切な電圧波形を出力することで、ロータ121の回転速度や回転軸位置などを制御する。
補正パラメータを取得する際は、ECU411が駆動部412に一定角速度でロータ121を回転させるコマンドを送信することで、ロータ121が一定速度で回転する。この際、磁界センサ・モジュール201DMの信号処理部303Dは、図13の構成を取ることで、補正パラメータを取得し、パラメータ記憶部390に記憶する。
なお、磁界センサ・モジュール201DMを磁界センサ301のみで構成し、検出回路部302DをECU411の内部に構成してもよい。
また、本例では、ある時間間隔毎に補正パラメータを更新処理することも可能である。これにより、回転角計測装置を長期間にわたって使用することで補正パラメータが経時変化を示す場合でも、更新処理された補正パラメータを使うことで正確な計測結果を維持できる。
なお、磁界センサ・モジュール201DMの構成としては、図19に示した回転角計測装置201DMAや、図23に示した回転角計測装置201DMBの構成とすることもできる。さらに、図29にて後述する装置を用いて、予め、補正パラメータを取得した場合には、磁界センサ・モジュール201DMの構成としては、図8に示した回転角計測装置201Mや、図20に示した回転角計測装置201MAや、図25に示した回転角計測装置201MBの構成とすることもできる。この際、記憶装置390には、予め取得した補正パラメータが記憶されている。
次に、図28を用いて、前述の各実施形態による回転角計測装置を用いた電動パワーステアリングシステムの構成について説明する。
図28は、本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いた電動パワーステアリングシステムの構成図である。
図28に示す電動パワーステアリング(Electric Power-Assisted Steering)において、ハンドル501に機械的に連結したステアリング・シャフト503は、ギアなどで構成された連結部504を介して回転軸121と連動した動きをする。回転軸121はモータ100の回転軸であり、一方の端にセンサ磁石202が設置されている。センサ磁石202の近傍には、回転角計測装置201DM(以下、「磁界センサ・モジュール201DM」と称する)が設置されており、回転軸121の回転角を計測してECU411に送信する。ECU411は、ステアリング・コラム502内に設置されたトルク・センサ(図示せず)からの信号と、磁界センサ・モジュール201DMからの回転角信号とから、適切なモータ駆動量を算出し、モータ駆動部412に信号を送信する。これにより、モータ100は、回転軸121を介してステアリング・シャフト503の動きをアシストする。
電動パワーステアリング装置のシステムとしての角度原点(システム原点)にシステムを設定し、その状態での回転軸121の回転角θr0を読み出す。具体的には、ハンドル501を適切な位置に設定した状態で、磁界センサ・モジュール201DMの信号を測定して磁界角度θmを求め、システム原点に対応する磁界角度回転角θm0を、電動パワーステアリング装置の制御装置(電子コントロール・ユニットECU)411に記憶・保管する。
回転角検出装置のシステムへの設置時に組み付け誤差があった場合でも、システム原点に対応する磁界角θm0値がわかっていれば誤差の補償ができる。
パワーステアリング装置などのシステムにおいて必要な情報は、システムとしての角度θsys、すなわちハンドルの回転角である。本例によれば、磁界センサ・モジュール201DMの出力信号から得られる磁界角度θmから、システムとしての角度θsysが正確に得られる。
なお、磁界センサ・モジュール201DMの構成としては、図19に示した回転角計測装置201DMAや、図23に示した回転角計測装置201DMBの構成とすることもできる。さらに、図29にて後述する装置を用いて、予め、補正パラメータを取得した場合には、磁界センサ・モジュール201DMの構成としては、図8に示した回転角計測装置201Mや、図20に示した回転角計測装置201MAや、図25に示した回転角計測装置201MBの構成とすることもできる。この際、記憶装置390には、予め取得した補正パラメータが記憶されている。
次に、図29を用いて、前述の各実施形態による回転角計測装置を用いた磁界センサ301の製造時の検査システムについて説明する。
図29は、本発明の各実施形態による回転角計測装置を用いた磁界センサの製造時の検査システムの説明図である。
本例では、補正パラメータの取得を磁界センサ301の製造時の検査工程で行う。図29に示したように、GMR素子を含む磁界センサ301をステージ上に配置しておき、均一磁界を発生する磁界発生体202を回転させながら、各磁界センサの(Vx,Vy)信号を測定し、図5に示した回転角計測装置201Dや、図13に示した回転角計測装置201DAや、図24に示した回転角計測装置201DBを用いて、式(32)の方法、および式(42),式(43)の方法で各センサ毎に補正パラメータを取得する。これにより、それぞれの磁界センサ301毎にピン角ズレ値α(またはその正弦β=sinα)、信号オフセットbx,by、そして式(42),式(43)で定義されるBx値がわかる。
このようにして補正パラメータを取得した磁界センサ301を回転角計測装置201MAに組込む。この回転角計測装置201MAの信号処理部303MAは、図20の構成とし、パラメータ記憶部390に補正パラメータβ、Bxを記録する。このようにすると、回転角計測装置201MAは、ピン角設定誤差の影響を低減できるので、高精度な測定が可能になる。
なお、以上の説明では、磁界センサとしてGMR素子を用いているが、磁界センサとしてTMR素子(トンネル磁気抵抗素子;Tunneling Magneto-Resistance element)を用いた回転角計測装置に対しても有効である。TMR素子は、図2においてスペーサ12として絶縁層を用いたものであり、固定磁化層の磁化方向(ピン角)θpと自由磁化層の磁化方向θfとのなす角度に応じて抵抗値が変化する(自由磁化層の磁化方向は外部磁界の方向に揃う)。したがって、本発明が適用することで同様の効果が得ることができる。
11…自由磁性層
12…スペーサ
13…固定磁性層
51,52…GMR素子
60A,60B…ブリッジ
100…モータ部
110…ステータ
111…ステータコア
112…ステータコイル
120…ロータ
121…回転軸
200…回転角検出部
201D,201DA,201DB,201DM,201DA,201DB,201DM,201DMA,201DMB…回転角計測装置
202…磁界発生体
301…磁界センサ
302D,302DA,302DB,302DM,302DA,302DB,302DM,302DMA,302DMB…検出回路部
303D,303DA,303DB,303DM,303DA,303DB,303DM,303DMA,303DMB…信号処理部
351…差動増幅器
353…オフセット減算処理部
381…比算出部
382…パラメータ補正部
383…atan処理部
385…窓関数処理部
386…平均値処理部
387…期間判定器
390…パラメータ記憶部
411…電子制御コントロールユニット
412…駆動部
501…ハンドル
502…ステアリング・コラム
503…ステアリング・シャフト
504…連結部

Claims (15)

  1. 磁界センサと、信号処理部とを有し、
    前記磁界センサは、固定磁化層を有する磁気抵抗素子で構成されたブリッジを2つ有し、
    前記信号処理部は、第1の前記ブリッジの出力信号Vxを入力信号Vxとし、第2の前記ブリッジの出力信号Vyを入力信号Vyとし、磁界方向角度θを出力する回転角計測装置であって、
    前記信号処理部において、前記入力信号の比Vy/Vxとtanθとの差が、非ゼロの一定値であることを特徴とする回転角計測装置。
  2. 磁界センサと、信号処理部とを有し、
    前記磁界センサは、固定磁化層を有する磁気抵抗素子で構成されたブリッジを2つ有し、
    前記信号処理部は、第1の前記ブリッジの出力信号Vxを入力信号Vxとし、第2の前記ブリッジの出力信号Vyを入力信号Vyとし、磁界方向角度θを出力する回転角計測装置であって、
    前記信号処理部において、前記入力信号の比Vy/Vxとtanθと間で,(1/SQRT(1−x))×(Vy/Vx)−tanθ=xを満たす,非ゼロの一定値xがあり,かつxはθによらない一定値であることを特徴とする回転角計測装置。
  3. 請求項1ないし2に記載の回転角計測装置において、
    前記信号処理部は、
    前記入力信号Vx,Vyの比Vy/Vxを算出する比算出部と、
    該比算出部が算出した前記比Vy/Vxから、予め検出された補正パラメータβを減算するパラメータ補正部と、
    該パラメータ補正部で算出された値に対して、逆正接処理を行い、磁界角度θを算出するatan処理部とを
    備えることを特徴とする回転角計測装置。
  4. 請求項3記載の回転角計測装置において、
    前記パラメータ補正部は、算出された値(Vy/Vx−β)を、Bx=SQRT(1−β)で除算することを特徴とする回転角計測装置。
  5. 請求項3記載の回転角計測装置において、
    前記第1の前記ブリッジの出力信号Vxと第2の前記ブリッジの出力信号Vyとから、それぞれ、予め検出されたオフセットbx,byを減算するオフセット減算処理部を備え、
    該オフセット減算処理部の出力(Vx−bx),(Vy−by)を、それぞれ前記信号処理部の前記入力信号とすることを特徴とする回転角計測装置。
  6. 請求項1ないし2に記載の回転角計測装置において、
    前記信号処理部は、
    前記入力信号の比Vy/Vxに対して、磁界方向が1回転もしくは複数回転する期間についての平均値から、前記補正パラメータβを算出する平均値処理部を備えることを特徴とする回転角計測装置。
  7. 請求項6記載の回転角計測装置において、
    前記比算出部が算出した前記比Vy/Vxに対して、前記比r(=Vy/Vx)を引数とする窓関数W(r)を乗算する窓関数処理部を備え、
    該窓関数処理部の出力に対して、前記平均値処理部は、磁界方向が1回転もしくは複数回転する期間について平均値を算出することを特徴とする回転角計測装置。
  8. 請求項7記載の回転角計測装置において、
    前記窓関数W(r)は、偶関数であることを特徴とする回転角計測装置。
  9. 請求項7記載の回転角計測装置において、
    前記パラメータ補正部は、算出された値を、Bx=SQRT(1−β)で除算することを特徴とする回転角計測装置。
  10. 請求項1記載の回転角計測装置において、
    前記磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗素子であることを特徴とする回転角計測装置。
  11. 磁界センサと、信号処理部とを有し、
    前記磁界センサは、固定磁化層を有する磁気抵抗素子で構成されたブリッジを2つ有し、
    前記信号処理部は、第1の前記ブリッジの出力信号Vxを入力信号Vxとし、第2の前記ブリッジの出力信号Vyを入力信号Vyとし、磁界方向角度θを出力する回転角計測装置であって、
    前記信号処理部は、前記入力信号の比Vy/Vxの、磁界方向が1回転もしくは複数回転する期間についての平均値から、前記補正パラメータβを算出する平均値処理部を備えることを特徴とする回転角計測装置。
  12. 請求項11記載の回転角計測装置において、
    前記比算出部が算出した前記比Vy/Vxに対して、前記比r(=Vy/Vx)を引数とする窓関数W(r)を乗算する窓関数処理部を備え、
    該窓関数処理部の出力に対して、前記平均値処理部は、磁界方向が1回転する期間について平均値を算出することを特徴とする回転角計測装置。
  13. 請求項11記載の回転角計測装置において、
    前記第1の前記ブリッジの出力信号Vxと第2の前記ブリッジの出力信号Vyとから、それぞれ、予め検出されたオフセットbx,byを減算するオフセット減算処理部を備え、
    該オフセット減算処理部の出力を、前記信号処理部の前記比算出部の入力とすることを特徴とする回転角計測装置。
  14. 請求項13記載の回転角計測装置において、
    前記平均値処理部は、1以上の整数値n,mに対し,磁界を一定角速度で(n+m)回転以上回転させる期間のうち、n回転させる期間で前記オフセット電圧bx,byを求め、
    m回転させる期間で、前記オフセット減算部は、信号Vx,Vyからそれぞれ前記オフセット電圧bx,byを減算した値Vx’=Vx−bx,Vy’=Vy−byを算出し、
    前記平均値処理部は、値Vx’,Vy’に対して、前記補正パラメータβを求めることを特徴とする回転角計測装置。
  15. 請求項11記載の回転角計測装置において、
    前記磁気抵抗素子は巨大磁気抵抗素子であることを特徴とする回転角計測装置。
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